説明

電解水生成装置

【課題】電解水生成装置において、電装箱内の基板に搭載されたLEDの表示を、簡単な構成によって、電解水生成装置の外側から確認できるようにする。
【解決手段】水を電気分解して電解水を生成する電解部、および電解部を制御する基板を有する電装箱を収納した電解水生成装置5において、前記基板にLED部72と、ディップスイッチとを備え、前記ディップスイッチの切り替えにより、LED部72の表示形態が、電解部に関する異常の内容を確認可能な確認モードと、異常の有無を表示する表示モードとに切り替えられ、前記電装箱は、前記LED部72を該電装箱の外側に露出させる開口84を有し、前記電装箱及び前記電解部を収納する筐体50に窓90を設け、窓90からLED部72が臨むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部品としてのLEDが搭載された基板を、電装箱に収容した機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、水道水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解水生成装置を備え、電解水を用いて空気中に浮遊するウィルス等の除去を図った除菌装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この除菌装置は、不織布等からなる加湿エレメントに電解水を供給して、加湿エレメント上で空気中のウィルス等を電解水に接触せしめ、ウィルス等を不活化することにより、空気を除菌しようとするものである。
【特許文献1】特開2000−68667号公報
【特許文献2】特開2002−181358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の機器において、上記基板に搭載されたLEDによる表示を、機器の外側から確認できるようにする場合、機器の外面に表示用のLEDを別途設け、上記基板と外面に設けたLEDとを配線で接続する必要があり、部品点数の増加や組立てに手間がかかるという課題があった。
【0004】
そこで、本発明は、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成装置において、電装箱内の基板に搭載されたLEDの表示を、簡単な構成によって、電解水生成装置の外側から確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、水を電気分解して電解水を生成する電解部、および電解部を制御する基板を有する電装箱を収納した電解水生成装置において、前記基板にLEDと、スイッチとを備え、前記スイッチの切り替えにより、LEDの表示形態が、電解部に関する異常の内容を確認可能な確認モードと、異常の有無を表示する表示モードとに切り替えられ、前記電装箱は、前記LEDを該電装箱の外側に露出させる開口を有し、前記電装箱及び前記電解部を収納する筐体に窓を設け、この窓から前記LEDが臨むようにしたことを特徴とする電解水生成装置を提供する。
この構成によれば、電装箱の基板に設けられたLEDは、電装箱の開口から電装箱の外側に露出し、電解水生成装置の筐体に設けられた窓から外側に臨む。これにより、電装箱の開口及び窓を介して基板のLEDを視認でき、筐体の外側に別のLED等を設けない簡単な構成によって、電解水生成装置の外側からLEDの表示を確認できるようにすることができる。
また、スイッチによって確認モードと表示モードとを切り換えて、同一のLEDによって各モードの表示をするため、各モードに専用のLEDを設ける必要がない。これにより、部品点数を削減することができ、電解水生成装置を簡単な構成とすることができる。
【0006】
上記構成において、前記開口は、前記電装箱の内側に向けて先細りに形成される凹部の端に設けられても良い。
この場合、LEDを電装箱の外側に露出させる開口は、電装箱の内側に向けて先細りに形成される凹部の端に設けられるため、凹部の端に設けられる開口を小さくしつつ、凹部を電装箱の外面側にかけて広がる形状とすることができる。これにより、開口を小さくして開口からの塵埃等の侵入を防止しつつ、LED以外の電装箱の内部をできるだけ見えないようにすることができる。また、凹部が電装箱の外面側にかけて広がる形状であるため、凹部の正面から外れた位置からもLEDを視認でき、視認性を向上できる。
【0007】
また、前記凹部は前記電装箱の側面の蓋に設けられ、前記凹部において、前記蓋の面から前記開口の上部に延びる部分は、下方に向けて傾斜していても良い。
この場合、凹部が電装箱の側面に設けられた場合において、電装箱の側面と開口の上部とを繋ぐ部分が開口に向けて下方に傾斜しており、凹部が開口から側面の側にかけて上方に広がっているため、凹部の上方から開口を視認し易く、LEDを電解水生成装置の上方から容易に視認できる。
【0008】
さらに、前記窓は、前記筐体に形成された開口部に透明な板を設けて構成されても良い。
この場合、筐体に透明な窓を設けた簡単な構成によって、電解水生成装置の外側からLEDを容易に視認できる。
また、前記電解部は、水を貯留する水槽と、該水槽への水の供給を切り替える給水弁と、水を電解する電解ユニットとを備え、前記確認モードでは、前記水槽の水位の異常、前記給水弁の異常、及び、前記電解ユニットにおける電解の電流値の異常の少なくともいずれかを確認可能であっても良い。
この場合、LEDの表示形態を確認モードに切り替えることによって、水槽の水位の異常、給水弁の異常、及び、電解ユニットにおける電解の電流値の異常の少なくともいずれかを確認することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成装置において、電装箱内の基板に搭載されたLEDの表示を、簡単な構成によって、電解水生成装置の外側から分かるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、大空間施設の一例としての映画館100に、ルーフトップ型空気調和機(以下、空気調和機という)110を設置した場合について説明する。図1は、映画館100と空気調和機110の概略図である。
図1に示すように、映画館100には、前方にスクリーン101が配置され、スクリーン101の後方に階段状に客席部102が設けられている。一方、映画館100の天井部103には、空気調和機110から供給された調和空気を館内に吹き出す複数の吹出口104が設けられている。これら吹出口104は、給気ダクト105を介して、空気調和機110の供給口111に連結されている。
また、映画館100の床部106には、床部106付近の館内空気(内気)を吸い込む吸込口107が設けられている。吸込口107は、客席部102から見てスクリーン101の背面側に設けられ、スクリーン101の背後空間を上方に延びる吸気ダクト108を介して、空気調和機110の内気導入口112に連結されている。また、空気調和機110には、空気調和機110内に屋外の空気(外気)を導入する外気導入口113が形成されている。
映画館100内の空気は、矢印Xで示すように、吸込口107から吸い込まれ、吸気ダクト108及び内気導入口112を通じて、空気調和機110内に導かれる。ここで、空気調和機110内には、外気導入口113を通じて外気が導かれているため、この外気と上記内気とが当該空気調和機110内で混合される。この混合された空気は、空気調和機110が備える利用側熱交換器21(図2)で熱交換された後、供給口111及び給気ダクト105を通じて、吹出口104から調和空気として映画館100内に供給される。
【0011】
空気調和機110は、例えば、映画館、劇場、病院、または、ショッピングセンタ等、不特定多数の人が長時間滞在する大空間施設を有する構造物200の屋上に設置され、その直下あるいは近傍の空間を空気調和する。
図2及び図3は空気調和機110の構成を示す図であり、図2は空気調和機110の概略構成を示す図、図3は空気調和機110における空気の出入りを示す模式図である。
【0012】
図2及び図3に示すように、空気調和機110は、1つの筐体部114に熱源側ユニット1と利用側ユニット2とを一体に備えて構成される。
具体的には、筐体部114内は、仕切板115によって区分けされており、機械室である一方の室116に熱源側ユニット1が配置され、他方の室117に利用側ユニット2が配置されている。これら熱源側ユニット1及び利用側ユニット2は、冷媒配管10で連結されて冷媒回路を形成している。
熱源側ユニット1は、図2に示すように、冷媒配管10に設けられた圧縮機11を備え、圧縮機11の吸込側に、アキュムレータ12が接続され、その吐出側には四方弁13と熱源側熱交換器14と電動膨張弁15とが順に接続されている。また、熱源側ユニット1には、熱源側熱交換器14へ向かって送風する熱源側送風機16が配設されている。
一方、利用側ユニット2は、上記冷媒配管10を介して電動膨張弁15に接続される利用側熱交換器21と、利用側熱交換器21へ向かって送風する利用側送風機22とを備えて構成され、当該利用側熱交換器21は、上記冷媒配管10を介して上記四方弁13に接続されている。
【0013】
冷房運転時には、図2に示す実線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四方弁13を経て熱源側熱交換器14に達し、熱源側熱交換器14において凝縮されて電動膨張弁15に送られる。この高圧の冷媒は電動膨張弁15で膨張して利用側熱交換器21に流入し、利用側熱交換器21において蒸発することにより、利用側ユニット2内に導入された空気を冷却する。利用側熱交換器21で蒸発した冷媒は圧縮機11の吸込側に戻る。
また、暖房運転時には、図2に示す破線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、利用側熱交換器21に送られ、利用側熱交換器21において凝縮することにより、利用側ユニット2内に導入された空気を加温する。利用側熱交換器21で凝縮した冷媒は、電動膨張弁15で膨張して熱源側熱交換器14に流入し、熱源側熱交換器14で蒸発した後、四方弁13を介してアキュムレータ12に送られ、圧縮機11の吸込側に戻る。
【0014】
空気調和機110には、利用側送風機22の運転により、利用側熱交換器21で冷房または暖房された調和空気を除菌する除菌ユニット150が設けられており、本実施形態では、空気調和機110と、空気調和機110内に設けられた除菌ユニット150とを備えて空気調和除菌システムが構成される。
除菌ユニット150は、図2に示すように、利用側ユニット2に導入された空気に活性酸素種を含む電解水を接触させて空気の除菌を行う空気除菌部4と、所定のイオン種を含む水を電気分解して活性酸素種を含む当該電解水を生成し、この電解水を上記空気除菌部4に循環供給する電解水生成装置5とを備えている。
【0015】
利用側ユニット2が設けられる他方の室117は、図3に示すように、仕切板118によって、さらに熱交換室119とチャンバとしての除菌室120とに区分けされている。
熱交換室119には、上記した内気導入口112及び外気導入口113が形成され、これら内気導入口112及び外気導入口113の下流側に利用側熱交換器21が筋交い状に配置されている。熱交換室119には内気導入口112から映画館100の館内空気が流入する一方、外気導入口113から外気が流入するので、利用側熱交換器21は、内気導入口112からの内気及び外気導入口113からの外気が全て利用側熱交換器21を通過するように配置されている。利用側熱交換器21は、図3に示すように上記2つの開口部と利用側送風機22との間に配置され、筋交いのように位置する。
また、仕切板118には、熱交換室119と除菌室120とを連通させる開口118Aが形成されている。開口118Aには利用側送風機22が取り付けられ、利用側送風機22の運転により、熱交換室119内の空気が開口118Aを通じて除菌室120に送風される。除菌室120には利用側送風機22の下流側に空気除菌部4が配置され、空気除菌部4の下流側には、供給口111を介して給気ダクト105(図1)に連通する後室121が形成されている。利用側ユニット2に導入された空気は、除菌室120の空気除菌部4に設けられた気液接触部材(図示略)を通過する際に電解水と接触することにより除菌され、除菌された空気が後室121、供給口111及び給気ダクト105を通じて、映画館100内に循環供給される。
【0016】
続いて、空気調和機110のより具体的な実施態様を説明する。
図4は、本実施形態における電解水生成装置5の構成及び設置状態を示す外観斜視図である。理解の便宜を図るため、図4には熱源側ユニット1及び利用側ユニット2と、電解水生成装置5と熱源側ユニット1及び利用側ユニット2との間に敷設される配管類とを、併せて図示する。
除菌ユニット150(図2)は、除菌室120内に配置される空気除菌部4と除菌室120に隣接して配置される電解水生成装置5とを備える。電解水生成装置5は、除菌能を有する電解水を生成して空気除菌部4に循環供給し、空気除菌部4は、電解水生成装置5から供給される電解水と空気とを接触させて空気を除菌する。
【0017】
図4に示すように、電解水生成装置5と除菌室120との間には、電解水生成装置5から除菌室120に対して電解水を供給する電解水供給管56、及び、除菌室120から電解水が電解水生成装置5へ環流する循環水戻り管55が接続されている。また、電解水生成装置5には、市水(水道水)を電解水生成装置5へ供給する給水管57が、減圧弁57Aを介して接続されている。さらに、電解水生成装置5には、電解水を貯留する貯水タンク51(水槽)内の水位が所定水位を超えた場合に排水を行うオーバーフロー管68、及び、貯水タンク51内の電解水を排出する排水管67が取り付けられている。また、除菌室120には、除菌室120内に納められた除菌ユニット150から空気調和機110の外へ電解水を排水する排水管69が接続されている。
【0018】
図5は、電解水生成装置5の構成を示す分解斜視図である。
電解水生成装置5は、熱源側ユニット1及び利用側ユニット2とは別体として構成される筐体50を有し、この単一の筐体50に、電解部25及び電装箱30を収納して構成されている。電解部25は、電解水を生成して循環供給させる機能を有し、貯水タンク51、貯水タンク51内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニット52、貯水タンク51への水道水の供給を調節する給水弁58、電解水供給管56上に設けられ電解水を循環させる送水ポンプ53、送水ポンプ53の下流側で電解水供給管56から分岐して電解ユニット52に接続される分岐管(図示略)、空気除菌部4から戻る電解水を貯水タンク51に導く循環水戻り管55(図4)、所定のイオン種を含む食塩水を貯留する食塩水タンク59、及び、食塩水タンク59の食塩水を貯水タンク51に送る供給ポンプ61等を備えて構成されている。
【0019】
図5に示すように、電解水生成装置5の筐体50は直方体であり、筐体50内の奥側、すなわち、除菌室120に近い側に、貯水タンク51及び食塩水タンク59が並べて配置され、手前側に電装箱30が配置されている。貯水タンク51及び食塩水タンク59は比較的大型に形成され、筐体50内の奥行方向の半分以上を占めている。電装箱30は、貯水タンク51と食塩水タンク59より手前側において、筐体50の幅方向に延在している。
【0020】
電解ユニット52は貯水タンク51の側面の下部に設けられている。電解ユニット52は、有底円筒形状の本体ケースと、本体ケース内に収納される少なくとも一対の電極板(図示略)とを備え、これら電極板間に電圧を印加することにより、水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成させる。また、貯水タンク51の側面には、食塩水タンク59からの食塩水が投入される食塩水投入部95、及び、給水管57(図4)と接続される給水弁58が設けられている。給水弁58は、貯水タンク51内に設けられるフロートスイッチFS(図5)の動作に基づき開閉制御される。
【0021】
電解水中の活性酸素種の濃度は、制御部39(図6)の制御によって、除菌するウィルス等を不活化させる濃度となるように調整される。活性酸素種の濃度の調整は、電解ユニット52の一対の電極板間に印加する電圧を調整して、電極板間に流す電流値を調整することにより行われる。例えば、一方の電極板に正の電位を与えて、電極板間に流れる電流値を、電流密度で20mA(ミリアンペア)/cm(平方センチメートル)とすると、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))が発生する。また、電極板間に印加する電圧を変更して、電流値を高くすることで、電解水中の次亜塩素酸の濃度を高い濃度に調整できる。
【0022】
筐体50はその上面が着脱可能な蓋50Aとなっていて、底部を構成する底板50Bの縁部に、側面を構成する4つの側板がそれぞれ立設されている。これら4つの側板は、複数の配管が引き出される配管引出パネル50C、配管引出パネル50Cと対向する食塩水タンク側パネル50D、電装箱30の側に位置する前面パネル50E、及び、筐体50の奥側に位置する背面パネル50Fにより構成されている。また、図4に示すように、底板50Bの下面には、配管引出パネル50C及び食塩水タンク側パネル50Dに沿って延在する支持台49がそれぞれ設けられ、筐体50は、支持台49によって支持されている。
【0023】
蓋50Aは、図示しない複数のネジ等により固定され、このネジを取り外すことによって開くことが可能である。蓋50Aの開放状態では、筐体50の内部に収容された電装箱30、貯水タンク51、送水ポンプ53、食塩水タンク59、供給ポンプ61等の各部へのアクセスが可能となる。
蓋50Aは、屋外に設置される電解水生成装置5への雨水及び塵埃の侵入を防止するため、筐体50の上面および各側面の上端を覆っている。また、貯水タンク51は、その上方を覆う蓋部材(図示略)により密閉される。
【0024】
配管引出パネル50Cは、貯水タンク51が設置された側の側面に相当し、電解水生成装置5の外部と貯水タンク51とに繋がる各種配管を通すための複数の孔が開口している。
さらに、配管引出パネル50Cには、筐体50内外に連通する導入口96が設けられ、導入口96から筐体50内に空気が導入される。導入口96は、雨水の浸入を防止可能な鎧戸状に形成され、配管引出パネル50Cの下部に形成されている。
【0025】
また、前面パネル50Eは筐体50の前面を構成し、配管引出パネル50C及び配管引出パネル50Cの端を折り曲げて形成したカバー取付部50Gにネジ止めされている。前面パネル50Eは、カバー取付部50Gへのネジ止めを外すことにより筐体50の前面側から簡単に取り外すことができる。
【0026】
前面パネル50Eを取り外すと、筐体50内における手前側に設けられた電装箱30が露出する。
電装箱30は、プリント基板、電源トランス、端子盤、コンデンサ等の各種電気回路を収容する箱本体31と、箱本体31の側面に形成された開口部30Aを開放可能に塞ぐ蓋体38(蓋)とを有している。蓋体38は、前面パネル50Eの裏面に重なるようにして、前面パネル50Eに近接した位置に設けられ、電装箱30の前面を構成している。
電装箱30は、直方体に形成され、その底面30Bが筐体50の底板50Bから浮くように、食塩水タンク側パネル50Dにブラケット35を介して固定され、電装箱30の下方の空間には、供給ポンプ61及び送水ポンプ53が並べて設置されている。
【0027】
電装箱30の底面30Bには、電装箱30の内外に連通する通気口30Cが設けられ、筐体50内に導入された空気は通気口30Cから電装箱30内に導かれる。また、電装箱30の側面において食塩水タンク側パネル50Dと面する排気側側面30Dには、電装箱30の外側に連通する排気口30Eが設けられ、排気口30Eは、食塩水タンク側パネル50Dに設けられた排気孔(図示略)と繋がっている。さらに、上記排気孔には、この排気孔を覆うフード47(図6)が取り付けられており、排気孔からの雨水等の浸入が防止されている。このように、電装箱30は、通気口30C及び排気口30Eを有し、電装箱30内を通過する空気によって電装箱30内を冷却することができる。
【0028】
供給ポンプ61は、食塩水供給管(図示略)を介して食塩水タンク59の内部に繋がる吸込口61Aと、貯水タンク51の食塩水投入部95に繋がる吐出口61Bとを有し、吸込口61Aから吸い込んだ食塩水を吐出口61Bから吐出する。供給ポンプ61の脚部61Cは底板50Bに固定されている。
送水ポンプ53は、貯水タンク51内の電解水を吸い込む吸込口53Aと、吸込口53Aから吸い込んだ電解水を除菌室120へ吐出する吐出口53Bとを有する。また、吐出口53Bから吐出された電解水の一部は分岐して電解ユニット52へ供給され、その後、貯水タンク51に戻る。送水ポンプ53の脚部53Cは底板50Bに固定されている。
【0029】
また、電装箱30の下方に設置された供給ポンプ61及び送水ポンプ53は、電装箱30の底面30Bに穿設された配線通し孔37を通る配線(図示略)によって電源回路部33に接続される。
【0030】
また、貯水タンク51の配管引出パネル50C側の面には、オーバーフロー排出口81、水抜き口82、及び、循環水戻り口44が設けられている。オーバーフロー排出口81は、貯水タンク51内の電解水の水位が、オーバーフロー排出口81の高さを超えた場合に、電解水をオーバーフロー管68(図4)に排出させる開口部である。循環水戻り口44は、除菌室120からの循環水戻り管55が接続される開口部である。また、水抜き口82は、メンテナンス時に貯水タンク51内の電解水を強制的に全量排水するための開口部であり、手作業により開閉されるコックが取り付けられている。
【0031】
貯水タンク51の内部は仕切壁64によって区画され、仕切壁64には貫通孔が設けられており、この貫通孔にはスケールフィルタ66が取り付けられ、電解水は電解ユニット52側の室から他方の室へスケールフィルタ66を通って流れる。スケールフィルタ66の下流側の室には、貯水タンク51の電解水の水位を検出する複数のフロートスイッチFSが取り付けられている。
【0032】
図6は、前面パネル50E及び蓋体38を外した状態の電解水生成装置5を筐体50の前面から見た正面図である。
電装箱30には、制御部39を構成するマイコン等が実装された制御基板32(基板)及び、電解ユニット52、送水ポンプ53、及び、供給ポンプ61等に電源を供給する電源回路部33が収容されている。制御部39は、電解ユニット52、送水ポンプ53、供給ポンプ61、給水弁58、及び、フロートスイッチFS等に接続され、電解部25の動作を制御する。
制御基板32及び電源回路部33は、電装箱30の背面を構成する背面板30Hの側に設けられ、電装箱30内の奥側に位置している。制御基板32は、電装箱30内において食塩水タンク側パネル50Dの側に位置し、蓋体38と略平行に設けられている。また、電源回路部33は、配管引出パネル50Cの側に設けられている。
【0033】
制御基板32において蓋体38の側に面する基板前面32aには、電解部25の運転状態を点灯のパターンによって表示する第1のLED(Light Emitting Diode)71a及び第2のLED71bを備えたLED部72(LED)が設けられている。第1のLED71aは基板前面32aの上部に配設され、第2のLED71bは第1のLED71aの下方において第1のLED71aに隣接して配設されている。また、基板前面32aには、LED部72の表示形態を切り替えるためのディップスイッチ73(スイッチ)が設けられている。
【0034】
図7は、前面パネル50Eを外した状態の電解水生成装置5を筐体50の前面から見た正面図である。図8は、蓋体38を電装箱30の内側から見た図である。
蓋体38は長方形の平板により構成され、縁部に複数形成された固定孔38aを介して、複数のネジ65によって箱本体31に着脱自在に取り付けられている。
【0035】
蓋体38には、箱本体31に取り付けられた状態において、電装箱30の内側に向けて窪んだ凹部83が設けられている。凹部83は、図7に示すように、蓋体38に形成された矩形の孔部38bの各辺から電装箱30の内側へ延びる4つの板部によって構成されている。電装箱30の内側へ延びる凹部83の端には、矩形の開口84が形成されている。
【0036】
図7及び図8に示すように、蓋体38が箱本体31に取り付けられた状態において凹部83の両側面を構成する2つの側板部85は、両側板部85の間の幅が電装箱30の内側に行くほど狭くなるように傾斜して設けられている。また、凹部83の上面を構成する上板部86は、蓋体38の面から開口84の上部へ延び、下方に向けて傾斜している。凹部83の底面を構成する底板部87は、略水平に電装箱30の内側に延びている。このように、凹部83は、2つの側板部85が幅狭となるよう傾斜して設けられるとともに、上板部86が下方に傾斜して設けられており、電装箱30の内側へ行くほど先細るように形成されている。また、言い換えれば、凹部83は、電装箱30の外側に行くほど広がる形状に形成されている。
【0037】
図7に示すように、凹部83及び開口84は、電装箱30の内部に配設されたLED部72の位置に対応して設けられている。凹部83は、電装箱30内の奥側に位置するLED部72の近傍まで延びている。そして、図7の正面視においては、開口84とLED部72とが重なっており、LED部72が、開口84から電装箱30の外側に露出している。また、開口84は、開口84からLED部72が露出する大きさに形成されるとともに、LED部72以外の制御基板32の部分ができるだけ露出しないような大きさに形成されている。
【0038】
凹部83は、蓋体38の孔部38bに、電装箱30の内側へ延びるLEDカバー88を取り付けることで構成されている。図8に示すように、LEDカバー88は、蓋体38の裏面側に孔部38b(図7)と重なるように取り付けられるベース板89に、板金加工により形成された複数の板を組み合せて立体的に構成されている。また、ベース板89は、孔部38bと重なる部分に開口(図示略)を有し、枠状に形成されている。蓋体38の裏側から見た場合、LEDカバー88は電装箱30の内側方向に突出し、開口84は先細りに形成されたLEDカバー88の端に形成されている。
また、図7に示すように、LEDカバー88は、蓋体38の表面側から複数のネジ63によって固定されている。
【0039】
図9は、電解水生成装置5の斜視図である。
電解水生成装置5の筐体50の前面を構成する前面パネル50Eの上部には、矩形の窓90が設けられている。窓90は、前面パネル50Eに形成された矩形の開口部91に、透明なアクリル板等で構成される透明板92を設けることで構成されている。透明板92は、前面パネル50Eの裏面側から開口部91を塞ぐように取り付けられている。
【0040】
窓90は、前面パネル50Eの裏面側の近傍に位置する蓋体38の凹部83及び開口84に対応した位置に設けられており、この窓90からは、凹部83及び開口84を視認することができる。また、窓90は、凹部83と同等の大きさに形成され、窓90を介して凹部83の全体を見ることが可能になっている。
そして、この窓90から見える開口84からはLED部72が露出しており、窓90からは、LED部72が臨んでいる。これにより、電解水生成装置5の外側から窓90を覗くことによって、LED部72の表示を確認することができる。
【0041】
ここで、電解部25の運転状態とLED部72の表示について説明する。
LED部72は、制御基板32に設けられた制御部39によって制御され、ディップスイッチ73による切り替え操作によって、電解部25に関する異常の内容を確認可能な確認モードと、電解部25に関する異常の有無を表示する表示モードとの2つの表示形態で点灯される。詳細には、電解部25に関する異常の内容とは、貯水タンク51の水位の異常、給水弁58の異常、及び、電解ユニット52における電解の電流値の異常である。
【0042】
上記表示モードは、電解部25の運転状態に異常がない通常の運転時に用いられるモードである。この表示モードにおいて、電解部25の運転状態に異常がない場合、制御部39は、第1のLED71aを点灯させ、第2のLED71bを消灯する表示パターンによって、電解部25が正常に運転していることを表示する。
一方、表示モードにおいて、電解部25の運転状態に異常がある場合、制御部39は、第1のLED71aと第2のLED71bとを交互に点滅させる表示パターンによって、電解部25に異常があることを表示する。
【0043】
そして、上記表示モードによって電解部25に異常があることが表示された場合、電装箱30内のディップスイッチ73がサービスマン等によって押圧されることで、LED部72の表示形態が上記確認モードに切り替えられる。
具体的には、確認モードおいて貯水タンク51の水位の異常がある場合、制御部39は、第1のLED71a及び第2のLED71bを2秒間隔で同時に点滅させ、給水弁58に異常がある場合、第1のLED71a及び第2のLED71bを5秒間隔で同時に点滅させ、電解ユニット52における電解の電流値に異常がある場合、第1のLED71a及び第2のLED71bを10秒間隔で同時に点滅させる表示パターンによって、電解部25の異常の内容を表示する。
なお、上記のLED部72の表示パターンは一例であり、任意のパターンで表示するようにすることができる。
【0044】
つまり、電解部25の運転状態に異常がない通常の運転時においては、電解水生成装置5の外側から窓90を覗くことによって、表示モードの状態にあるLED部72の表示を視認でき、電解部25の運転状態に関する異常の有無を確認できる。
また、上記表示モードによって電解部25に異常があることが表示された場合、サービスマン等により、前面パネル50E及び蓋体38が取り外されてLED部72外側に露出させられ、ディップスイッチ73が切り替えられることで、LED部72の表示形態が上記確認モードに切り替えられる。そして、この確認モードの表示パターンを判別することによって、貯水タンク51の水位の異常、給水弁58の異常、及び、電解ユニット52における電解の電流値の異常のいずれかが発生していることを確認できる。
【0045】
電解水生成装置5においては、前面パネル50Eに設けた窓90からLED部72が臨むようにしたため、LED部72を電解水生成装置5の外側から視認できる。これにより、筐体50の外側に別のLED及びこの別のLEDに接続される配線等を設けない簡単な構成によって、電解水生成装置5の外側からLED部72の表示を確認することができる。
また、電解水生成装置5では、表示モードを表示するためのLEDと、確認モードを表示するためのLEDとを兼用しているLED部72を窓90から確認できる。従って、まず、表示モードによって電解水生成装置5の外側から電解部25の運転状態に関する異常の有無を確認し、異常があると確認された場合にのみ、前面パネル50E及び蓋体38を外してディップスイッチ73により確認モードに切り替えれば良い。これにより、LED部72の確認のために頻繁に前面パネル50E及び蓋体38を外す必要がないという効果が得られる。
【0046】
以上、本実施形態によれば、電装箱30の制御基板32に設けられたLED部72は、電装箱30の開口84から電装箱30の外側に露出し、電解水生成装置5の筐体50に設けられた窓90から外側に臨んでいる。これにより、電装箱30の開口84及び窓90を介して制御基板32のLED部72を確認でき、筐体50の外側に別のLED等を設けない簡単な構成によって、電解水生成装置5の外側からLED部72の表示を確認できる。
また、ディップスイッチ73によって確認モードと表示モードとを切り換えて、同一のLEDによって各モードの表示をするため、各モードに専用のLEDを設ける必要がない。これにより、部品点数を削減することができ、電解水生成装置5を簡単な構成とすることができる。
【0047】
また、開口84は、電装箱30の内側に向けて先細りに形成される凹部83の端に設けられるため、開口84を小さくしつつ、凹部83を蓋体38の面の側にかけて広がる形状とすることができる。これにより、開口84を小さくして開口84からの塵埃等の侵入を防止しつつ、LED部72以外の電装箱30の内部をできるだけ見えないようにすることができる。また、凹部83が蓋体38の面の側にかけて広がる形状であるため、凹部83の正面から外れた位置からもLED部72を視認でき、LED部72の視認性を向上できる。
【0048】
また、電装箱30の側面を構成する蓋体38に設けられた凹部83において、蓋体38の面と開口84の上部とを繋ぐ上板部86が開口84に向けて下方に傾斜しており、凹部83が開口84から蓋体38の面の側にかけて上方に広がっているため、凹部83の上方から開口84を視認し易く、LED部72を電解水生成装置5の上方から容易に視認できる。特に、電解水生成装置5が低い位置に設けられる場合において上方からLED部72を確認でき、効果が高い。
【0049】
さらに、筐体50に透明な窓90を設けた簡単な構成によって、電解水生成装置5の外側からLED部72を容易に視認できる。
また、LED部72の表示形態を確認モードに切り替えることによって、貯水タンク51の水位の異常、給水弁58の異常、及び、電解ユニット52における電解の電流値の異常を確認することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されない。例えば、上記実施の形態では、LED部72は第1のLED71a及び第2のLED71bを備えるものとして説明したが、LED部72が備えるLEDの個数は1個であっても複数であっても良い。また、上記実施の形態では、凹部83は、蓋体38に形成された矩形の孔部38bの各辺から電装箱30の内側へ延びる4つの板部によって構成されているものとして説明したが、これに限らず、例えば、円筒状の部材を蓋体38に形成された円形の孔部に設けることで凹部を構成しても良い。さらに、上記実施の形態では、確認モードは、貯水タンク51の水位の異常、給水弁58の異常、及び、電解ユニット52における電解の電流値の異常を表示するものとして説明したが、これら3つの電解部25の異常の少なくともいずれかを表示するようにしても良く、また、電解部25の他の部分の異常を表示するようにしても良く、例えば、送水ポンプ53の異常を表示するようにしても良い。また、その他の電解水生成装置5の細部構成等についても任意に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態に係るルーフトップ型空気調和機が建屋に設置された状態を示す断面図である。
【図2】空気調和機の概略構成を示す図である。
【図3】空気調和機の内部構成を上方から見た図である。
【図4】電解水生成装置の構成及び設置状態を示す外観斜視図である。
【図5】電解水生成装置の構成を示す分解斜視図である。
【図6】前面パネル及び蓋体を外した状態の電解水生成装置を筐体の前面から見た正面図である。
【図7】前面パネルを外した状態の電解水生成装置を筐体の前面から見た正面図である。
【図8】蓋体を電装箱の内側から見た図である。
【図9】電解水生成装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
5 電解水生成装置
25 電解部
30 電装箱
32 制御基板(基板)
38 蓋体
50 筐体
51 貯水タンク(水槽)
52 電解ユニット
58 給水弁
71a 第1のLED
71b 第2のLED
72 LED部(LED)
73 ディップスイッチ(スイッチ)
83 凹部
84 開口
86 上板部
90 窓
91 開口部
92 透明板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して電解水を生成する電解部、および電解部を制御する基板を有する電装箱を収納した電解水生成装置において、
前記基板にLEDと、スイッチとを備え、前記スイッチの切り替えにより、LEDの表示形態が、電解部に関する異常の内容を確認可能な確認モードと、異常の有無を表示する表示モードとに切り替えられ、
前記電装箱は、前記LEDを該電装箱の外側に露出させる開口を有し、
前記電装箱及び前記電解部を収納する筐体に窓を設け、この窓から前記LEDが臨むようにしたこと、
を特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
前記開口は、前記電装箱の内側に向けて先細りに形成される凹部の端に設けられたこと、
を特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記凹部は前記電装箱の側面の蓋に設けられ、
前記凹部において、前記蓋の面から前記開口の上部に延びる部分は、下方に向けて傾斜していること、
を特徴とする請求項2記載の電解水生成装置。
【請求項4】
前記窓は、前記筐体に形成された開口部に透明な板を設けて構成されたこと、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電解水生成装置。
【請求項5】
前記電解部は、水を貯留する水槽と、該水槽への水の供給を切り替える給水弁と、水を電解する電解ユニットとを備え、
前記確認モードでは、前記水槽の水位の異常、前記給水弁の異常、及び、前記電解ユニットにおける電解の電流値の異常の少なくともいずれかを確認可能であること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電解水生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−172870(P2010−172870A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21248(P2009−21248)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】