説明

電解水生成装置

【課題】有隔膜電解槽11にて生成される各電解生成水のうちの一方の電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈して使用に適した濃度に調製する形式の電解水生成装置において、有隔膜電解槽11の電解運転の開始および停止を、被電解水を調製するための原水の供給管路に介装した給水バルブ32の開閉動作に応じて制御することによって、構成部品の部品点数を低減して、当該電解水生成装置を小型化し、かつ、廉価にする。
【解決手段】原水供給管路31における給水バルブ32の下流側を、被電解水を調製する原水を供給する原水供給管路部31aと、電解生成水を希釈する希釈水を供給する希釈水供給管路部31bとに分岐していて、原水供給管路31に供給される原水が被電解水を調製する原水と電解生成水を希釈調製する希釈水とに一定の割合で分割されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電解水生成装置に関し、特に、電解槽にて生成される電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈して、使用に適した濃度に調製する電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電解槽にて生成される電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈して、使用に適した濃度に調製する電解水生成装置は、すでに多数提案されている。例えば、無隔膜電解槽にて生成される略中性の電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈することができる形式の電解水生成装置が提案されている(特許文献1、2,3を参照)。また、有隔膜電解槽にて生成される各電解生成水のうちの一方の電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈することができる形式の電解水生成装置が提案されている(特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−137853号公報
【特許文献2】特開2001−286867号公報
【特許文献3】特開2006−15220号公報
【特許文献4】特開平4−42077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有隔膜電解槽にて生成される各電解生成水のうちの一方の電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈して使用に適した濃度に調製するとともに、他方の電解生成水を希釈しない形式の電解水生成装置を適用対象とするものである。当該形式の電解水生成装置は、上記した特許文献4にて提案されている電解水生成装置とは同一形式の電解水生成装置である。
【0005】
しかしながら、特許文献4には、当該電解水生成装置の構成、および、電解運転が原理的に記載されているにすぎず、当該電解水生成装置における電解運転の開始および停止を如何に制御するかについては、何等の開示もない。当該形式の電解水生成装置においては、電解運転の開始および停止の制御の違いによって、当該制御を行い得るための装置の構成が異なるものである。
【0006】
本発明の目的は、当該形式の電解水生成装置において、有隔膜電解槽の電解運転の開始および停止を、被電解水を調製するための原水の供給管路に介装した給水バルブの開閉動作に応じて制御することによって、構成部品の部品点数を低減して、電解水生成装置を小型化し、かつ、廉価にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電解水生成装置に関する。本発明が適用対象とする電解水生成装置は、有隔膜電解槽にて生成される各電解生成水のうちの一方の電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈して使用に適した濃度に調製するとともに、他方の電解生成水を希釈調製しない形式の電解水生成装置を適用対象とするものある。
【0008】
しかして、本発明に係る電解水生成装置においては、原水供給管路に介装した給水バルブの開閉動作に応じて電解運転の開始および停止を制御されるもので、前記原水供給管路における前記給水バルブの下流側が被電解水を調製する原水を供給する原水供給管路部と、電解生成水を希釈する希釈水を供給する希釈水供給管路部に分岐していて、前記原水供給管路に供給される原水が被電解水を調製する原水と電解生成水を希釈調製する希釈水とに一定の割合で分割されることを特徴とする電解水生成装置。
【0009】
本発明に係る電解水生成装置においては、前記原水供給管路における前記希釈水供給管路部に、流量可変バルブおよび流量計を介装する構成とすることができる。また、当該電解水生成装置においては、前記原水供給管路における前記希釈水供給管路部の途中に、前記有隔膜電解槽にて生成される一方の電解生成水を流出させる流出管路を接続するとともに、当該接続部位を、希釈される一方の電解生成水に吸引作用する負圧を発生する吸引負圧発生機構に構成するようにすることができる。
【0010】
また、本発明に係る電解水生成装置においては、希釈される一方の電解生成水の特性に応じて、一方の電解生成水と希釈水の混合割合を制御するようにし、また、電解運転時の電解条件に応じて、一方の電解生成水と希釈水の混合割合を制御するようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電解水生成装置においては、給水バルブの下流側を、被電解水を調製する原水を供給する原水供給管路部と、電解生成水を希釈する希釈水を供給する希釈水供給管路部に分岐して、被電解水を調製する原水と電解生成水を希釈調製する希釈水を、互いに一定の割合で供給されるように構成して、給水バルブの開閉動作に応じて有隔膜電解槽の電解運転の開始および停止を制御して、所定濃度に希釈された電解生成水を注出させるようにしている。
【0012】
このように、本発明に係る電解水生成装置においては、一方の電解生成水を所定濃度に希釈される電解運転を、1個の給水バルブの開閉動作に応じて制御するよう構成しているため、当該電解水生成装置の構成部品の部品点数を低減して、当該電解水生成装置を小型化し、かつ、廉価にすることができる。
【0013】
また、本発明に係る電解水生成装置においては、希釈水供給管路部に流量可変バルブを介装することにより、被電解水を調製する原水と電解生成水を希釈調製する希釈水との供給割合を変更することができ、これにより、注出される一方の電解生成水の希釈濃度を容易に変更することができて、所望濃度の電解生成水を注出することができる。
【0014】
また、本発明に係る電解水生成装置においては、原水供給管路における希釈水供給管路部の途中に、有隔膜電解槽にて生成される一方の電解生成水を流出させる流出管路を接続し、当該接続部位を、希釈される一方の電解生成水に吸引作用する負圧を発生する吸引負圧発生機構に構成すれば、当該電解生成水を流出する給水ポンプおよび流量調整バルブ等が不要となって構造が一層簡単になり、また、流量可変バルブを通して供給される希釈流量が変動しても、当該電解生成水と希釈水とは安定して混合させることができる。
【0015】
また、本発明に係る電解水生成装置においては、安定した流量の希釈水と、安定した特性の電解生成水とを混合することができるため、当該電解生成水のpHや、希釈水の流量に基づいて、注出される電解生成水の希釈濃度を的確に制御することができる。また、かかる制御の他に、電解運転時の電解電流値、電圧、被電解水の水温、水圧、使用電極、供給管路の管径等の電解条件から当該電解生成水のpHと供給流量を算出し、当該pHと供給流量に基づいて、注出される電解生成水の希釈濃度を的確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電解水生成装置の正面図である。
【図2】同電解水生成装置のケースを構成するフロントパネルおよび電装部品を搭載した仕切り板を省略した同電解水生成装置の正面図である。
【図3】同電解水生成装置を模式的に示す概略構成図である。
【図4】同電解水生成装置を構成する原水供給管路に設けた吸引負圧発生機構を示す縦断面図である。
【図5】同電解水生成装置を構成する有隔膜電解槽であって、生成される各電解生成水の使用を選択的に切換える構成の有隔膜電解槽の一例を示す正面図である。
【図6】生成される各電解生成水の使用を選択的に切換える構成の他の一例を示す正面図である。
【図7】同電解水生成装置を構成する有隔膜電解槽であって、塩水の導入に伴って被電解水供給管路に導入されたガスを排除し得る構成の有隔膜電解槽、原水供給管路部および被電解水供給管路を一体的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、有隔膜電解槽にて生成される各電解生成水のうちの一方の電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈して使用に適した濃度に調製するとともに、他方の電解生成水を希釈調製しない電解水生成装置に関する。図1〜図3には、本発明に係る電解水生成装置の一実施形態を示している。
【0018】
本発明の一実施形態に係る電解水生成装置は、有隔膜電解槽にて生成される各電解生成水のうち、陽極側電解室で生成される電解生成酸性水を希釈調製して注出するとともに、陰極側電解室で生成される電解生成アルカリ性水を何等の調製を施すことなく排水するように構成したものである。
【0019】
当該電解水生成装置は、外殻を構成するケースA内に、装置を構成する構成部品のユニットBと、当該ユニットBの電解運転に関わる電装部品を搭載した図示しない仕切り板とを一体に収容してなるものである。図1は当該電解水生成装置の正面図、図2は当該電解生成装置のフロントパネルaを省略してケースA内に収容した構成部品のユニットBを示す正面図、図3は当該電解水生成装置の構成を模式的に示す概略構成図である。
【0020】
当該電解水生成装置は、電解生成水を生成する電解水生成機構10、濃塩水を供給する塩水供給機構20、および、被電解水を調製する原水および電解生成水を希釈する希釈水を供給する原水供給機構30と、電解運転に関わる図示しない多数の電装部品にて構成されている。
【0021】
電解水生成機構10は、有隔膜電解槽11を主体とするもので、有隔膜電解槽11の陽極側電解室と陰極側電解室の上流側には、被電解水を供給するための被電解水供給管路12(12a,12b)が接続されており、また、有隔膜電解槽11の陽極側電解室と陰極側電解室の下流側には、陽極側電解室にて生成される電解生成酸性水を流出させる流出管路13a、および、陰極側電解室にて生成される電解生成アルカリ性水を流出させる流出管路13bが接続されている。
【0022】
塩水供給機構20は、一定濃度の濃塩水を収容する塩水タンク21と、塩水タンク21と被電解水供給管路12の先端とに接続する塩水供給管路22と、塩水供給管路22に介装された塩水供給ポンプ23とかなる。当該塩水供給機構20においては、電解運転時、塩水供給ポンプ23を駆動して、一定濃度の塩水を、塩水供給管路22を介して一定流量で、被電解水供給管路12に対する供給する。
【0023】
但し、塩水タンク21はケースAの外に位置していて、塩水供給管路22の上流側管路部22aにて、塩水供給ポンプ23の流入口部に接続している。また、塩水供給ポンプ223の吐出口部に接続されている下流側管路部22bは、被電解水供給管路12の基端部に接続されている。かかる状態で、塩水供給管路22は、塩水タンク21と被電解水供給管路12を接続し、その途中に塩水供給ポンプ23を位置させている。なお、符号22cは、塩水供給管路22の下流側管路部22bが被電解水供給管路12に接続する接続部位を示している。
【0024】
塩水タンク21から被電解水供給管路12への塩水の供給は、電解運転の開始から停止するまで継続され、継続して供給される塩水は、電解運転中、被電解水供給管路12に継続して供給される原水にて希釈されて、所定濃度に希釈された希薄塩水(被電解水)に調製される。
【0025】
原水供給機構30は、原水を供給する主管路31を主体とするもので、主管路31は、その途中で互いに分岐する一対の分岐管路部31a,31bを備えており、主管路31における当該分岐部より上流側に給水バルブ32が介装されている。
【0026】
原水供給機構30においては、分岐管路部の一方の分岐管路31aは、被電解水を調製するための原水を供給する原水供給管路部31aに構成され、かつ、分岐管路部の他方の分岐管路31bは、電解生成水を希釈するための希釈水を供給する希釈水供給管路部31bに構成されている。原水供給管路部31aは、被電解水供給管路12の分岐部位より上流側の部位に接続されていて、被電解水供給管路12に被電解水を調製するための原水が供給されるように構成されている。原水供給管路部31aを通して被電解水供給管路12に供給された原水は、被電解水供給管路12に継続して供給される塩水を希釈して、所定濃度の被電解水を調製する。
【0027】
原水供給機構30を構成する希釈水供給管路部31bには、その途中に、電解生成酸性水の流出管路13aが接続されていて、希釈水供給管路部31bの途中に電解生成酸性水が供給されるように構成されている。希釈水供給管路部31bに供給された電解生成酸性水は、希釈水供給管路部31bを流動する希釈水に供給されて、所定濃度に希釈されて、希釈水供給管路部31bの先端に設けた後述する注出口37から注出される。
【0028】
当該原水供給機構30においては、原水供給機構30を構成する主管路31の給水バルブ32より上流側には減圧バルブ33が介装されて、また、希釈水供給管路部31bにおける分岐部と流出管路13aの接続部間には、流量可変バルブ34と流量計35が介装されている。また、当該原水供給機構30においては、希釈水供給管路部31bと流出管路部13aが接続する接続部位は、吸引負圧発生機構30aに構成されている。
【0029】
吸引負圧発生機構30aは、図4に示すように、アスピレター構造を構成する構造部材36からなり、当該構造部材36を構成する主管路部36aを希釈水供給管路部31bの先端部に接続するとともに、主管路部36aの途中から分岐する分岐管路部36bを流出管路13aの先端部に接続することにより、吸引負圧発生機構30aを構成している。なお、構造部材36における主管路部36aの先端部には、注出口部37が取付けられている。
【0030】
かかる構成の吸引負圧発生機構30aにおいては、希釈水が主管路部36aの流量絞り部36cを流通する際に負圧が発生する。発生した負圧は、流出管路13aの先端部に臨む電解生成酸性水に対して吸引負圧として作用し、当該電解生成酸性は吸引負圧、換言すれば、希釈水の単位時間当たりの流量(流速)に応じて、主管路部36a内に流入する。
【0031】
なお、図3の符号38はサーミスタを示し、符号14は流量計を示し、符号15は三方切換バルブを示している。三方切換バルブ15は、有隔膜電解槽11内を洗浄する洗浄運転時に、電解生成酸性水を排水すべく機能する。
【0032】
当該電解水生成装置は、図示しない制御装置によって電解運転を制御されるもので、原水供給機構30の主管路31に介装した給水バルブ32の開閉動作に応じて、電解運転の開始および停止を制御する。また、当該電解水生成装置を構成する原水供給管路31においては、主管路31に供給された原水は、原水供給管路部31aと希釈水供給管路部31bに分割して供給されるように構成されているが、その分割割合は、両供給管路部31a,31bの分岐部位、および、両供給管路部31a,31bの管路抵抗等によって、一定の分割割合に設定されている。
【0033】
当該電解水生成装置においては、例えば、原水供給管路31aに流入する原水の時間当たりの流量F1と、希釈水供給管路部31bに流入する希釈水の時間当たりの流量F2は、(F1:F2=1:1〜1:3)の分割割合になるように設定される。これにより、有隔膜電解槽11にて生成される各電解生成水のうち、排水すべき電解生成アルカリ性水の流量を極力少なくなるように配慮している。なお、原水の流量F1と希釈水の流量F2との分割割合は、希釈供給管路31bに介装されている流量可変バルブ34の可変操作にて所望の割合に変更することができる。
【0034】
当該電解水生成装置においては、消費者が注出スイッチ等を操作して給水バルブ32を開成することにより、電解運転が開始される。当該電解水生成装置が搭載する制御装置は、給水バルブ32の開成動作を検出すると電解運転を開始し、原水と塩水とで希釈調製された希薄塩水である被電解水を有隔膜電解槽11の各電解室に連続して供給し、有隔膜電解槽11にて、一定の電解条件下での有隔膜電解を行う。
【0035】
有隔膜電解にて生成された各電解生成水のうち、陽極側電解室にて生成された電解生成酸性水は流出管路13aを通して希釈水供給管路部31に供給され、また、陰極側電解室にて生成された電解生成アルカリ性水は流出管路13bを通して排水される。
【0036】
しかして、陽極側電解室にて生成された電解生成酸性水は、流出管路13aを通して希釈水供給管路部31b側に流入して吸引負圧発生機構30aの構成部材36の分岐管路部36bに臨み、構成部材36aの主管路部36aに設けてある流量絞り部36cを流通する希釈水にて発生する吸引負圧の吸引作用を受ける。これにより、一定流量の電解生成酸性水が継続して主管路部36a内に流入され、主管路部36a内を流動する希釈水にて一定濃度に希釈されて、主管路部36aの先端部に設けてある注出口部37から注出されることになる。
【0037】
当該電解水生成装置の以上に示した電解運転は、消費者が給水バルブ32を閉成操作することによって停止する。なお、給水バルブ32は、電解運転が所定時間経過した時点で、自動的に閉成するように構成することができる。制御装置は、給水バルブ32の閉成動作を検出した場合に電解運転を停止する。
【0038】
このように、本発明に係る電解水生成装置においては、原水供給機構30を構成する原水供給管路31に介装した給水バルブ32の下流側を、被電解水を調製する原水を供給する原水供給管路部31aと、電解生成水を希釈する希釈水を供給する希釈水供給管路部31bに構成して、被電解水を調製する原水と電解生成水を希釈調製する希釈水を、互いに一定の割合で供給されるように構成して、給水バルブ32の開閉動作に応じて有隔膜電解槽11の電解運転の開始および停止を制御して、所定濃度に希釈された電解生成酸性水を注出するようにしている。このため、当該電解水生成装置においては、1個の給水バルブ32の開閉動作に応じて電解運転の開始および停止を制御することができ、装置の構成部品の部品点数を低減して、当該電解水生成装置を小型化し、かつ、廉価にすることができる。
【0039】
また、本発明に係る電解水生成装置においては、希釈水供給管路部31bに流量可変バルブ34を介装して、被電解水を調製する原水と電解生成水を希釈調製する希釈水との供給割合を変更することができるようにしているため、電解生成酸性水の希釈濃度を容易に変更することができて、所望濃度に希釈された電解生成酸性水を注出することができる。
【0040】
また、本発明に係る電解水生成装置においては、原水供給管路の希釈水供給管路部31bの途中に、有隔膜電解槽11から電解生成酸性水を流出させる流出管路13aを接続するとともに、当該接続部位を、希釈される電解生成酸性水に吸引作用する負圧を発生する吸引負圧発生機構30aに構成しているため、当該電解生成酸性水を流出する給水ポンプおよび流量調整バルブ等が不要となって構造が一層簡単になり、また、流量可変バルブ34を通して供給される希釈水の流量が変動しても、当該電解生成酸性水と希釈水とは安定した状態で混合させることができる。
【0041】
また、本発明に係る電解水生成装置においては、安定した流量の希釈水と、安定した特性の電解生成水とを混合することができるため、当該電解生成水のpHや、希釈水の流量に基づいて、注出される希釈電解生成酸性水の希釈濃度を的確に制御することができる。また、かかる制御の他に、電解運転時の電解電流値、電圧、被電解水の水温、水圧、使用電極、配管の管径等の電解条件から、電解生成酸性水のpHと供給流量を算出し、当該pHと供給流量に基づいて、注出される電解生成酸性水の希釈濃度を的確に制御することができる。
【0042】
本発明に係る電解水生成装置においては、有隔膜電解槽11にて生成される各電解生成水の使用を選択的に切換えることができるように構成されている。図5および図6には、各電解生成水の使用を選択的に切換えることができる有隔膜電解槽11の正面を示している。
【0043】
図5に示す有隔膜電解槽11においては、陽極側電解室に設けた電解生成酸性水の流出口部11a、および、陰極側電解室に設けた電解生成アルカリ性水の流出口部11bを、各電解生成水の流出管路13a,13bが互いに差し替えることができるように構成している。
【0044】
このため、図5に示すように、当該電解水生成装置を構成する電解生成酸性水の流出管路13aを陰極側電解室の電解生成アルカリ性水の流出口部11bに接続し、電解生成アルカリ性水の流出管路13bを陽極側電解室の電解生成酸性水の流出口部11aに接続すれば、流出管路13aは電解生成アルカリ性水を流出させる流出管路として機能し、また、流出管路13bは電解生成酸性水を流出させる流出管路として機能する。これにより、各電解生成水を選択的に使い分けすることができる。
【0045】
また、このような接続態様の有隔膜電解槽11においては、流出管路13aを通して電解生成アルカリ性水を希釈水供給管路部31bに供給することができる構成とすることができ、電解生成アルカリ性水を希釈水にて希釈して、適宜の濃度に希釈された電解生成アルカリ性水を注出することができる。
【0046】
図6に示す有隔膜電解槽11は、陽極側電解室の電解生成酸性水の流出口部11a、および。陰極側電解室の電解生成アルカリ性水の流出口部11bを、流出管路に接続されるY型継手管17の分岐管路部17a、17bに差し替えることができるように構成している。
【0047】
このため、図6に示すように、電解水生成装置を構成するいずれか一方の流出管路13aまたは他の流出管路16をY型継手管17に接続すれば、有隔膜電解槽11にて生成される電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水を混合した状態で流出管路13aまたは流出管路16へ流出することができ、流出管路13a,16から略中性の電解生成水を注出することができる。
【0048】
本発明に係る電解水生成装置においては、塩水(電解質溶液)を伴ってガスが被電解水供給管路12に流入することがあることを想定して、流入ガスを排除し得るように構成している。当該電解水生成装置においては、図7に示すように、原水供給管路部31aの下流側にて被電解水供給管路12の先端部に接続されている塩水供給管路の接続部位22cを、原水供給管路部31aと略同一高さの位置とし、かつ、被電解水を各電解室に導入するための導入口部11cまでを常に水平または上り勾配の管路としている。
【0049】
これにより、塩水の導入に伴い導入されたガスは、原水供給管路31aと被電解水供給管路12のこのような配管関係に基づく被電解水の流動によって、電解槽11の各電解室へ円滑に移行し、各電解室から各電解生成水とともに排出されることになる。
【符号の説明】
【0050】
A…ケース、a…フロントパネル、B…構成部品のユニット、10…電解生成水生成機構、11…有隔膜電解槽、11a,11b…電解生成水の流出口部、11c…被電解水の導入口部、12(12a,12b)…被電解水供給管路、12c…流量計、13a…電解生成酸性水の流出管路、13b…電解生成アルカリ性水の流出管路、14…流量計、15…三方切換バルブ、16…流出管路、17…Y型継手管、17a,17b…分岐管路部、20…塩水供給機構、21…塩水タンク、22…塩水供給管路、22a…上流側管路部、22b…下流側管路部、22c…塩水供給管路の接続部位、23…塩水供給ポンプ、30…原水供給機構、30a…吸引負圧発生機構、31…原水供給管路の主管路、31a…原水供給管路部、31b…希釈供給管路部、32…給水バルブ、33…減圧バルブ、34…流量可変バルブ、35…流量計、36…吸引負圧発生機構の構成部材、36a…主管路部、36b…分岐管路部、36c…流量絞り部、37…注出口部、38…サーミスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有隔膜電解槽にて生成される各電解生成水のうちの一方の電解生成水を、被電解水を調製するための原水の一部にて所定濃度に希釈して使用に適した濃度に調製するとともに、他方の電解生成水を希釈調製しない電解水生成装置であり、当該電解水生成装置は、原水供給管路に介装した給水バルブの開閉動作に応じて電解運転の開始および停止を制御するもので、前記原水供給管路における前記給水バルブの下流側が被電解水を調製する原水を供給する原水供給管路部と、電解生成水を希釈する希釈水を供給する希釈水供給管路部に分岐していて、前記原水供給管路に供給される原水が被電解水を調製する原水と電解生成水を希釈調製する希釈水とに一定の割合で分割されることを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電解水生成装置であり、当該電解水生成装置は、前記原水供給管路における前記希釈水供給管路部の途中に介装された流量可変バルブ、および、流量計を備えていることを特徴とする電解水生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電解水生成装置であり、当該電解水生成装置は、前記原水供給管路における前記希釈水供給管路部の途中に、前記有隔膜電解槽にて生成される一方の電解生成水を流出させる流出管路が接続されていて、当該接続部位が希釈される一方の電解生成水に吸引作用する負圧を発生する吸引負圧発生機構に構成されていることを特徴とする電解水生成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解水生成装置であり、当該電解水生成装置は、希釈される一方の電解生成水の特性に応じて、同電解生成水と希釈水の混合割合を制御することを特徴とする電解水生成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解水生成装置であり、当該電解水生成装置は、電解運転時の電解条件に応じて、一方の電解生成水と希釈水の混合割合を制御することを特徴とする電解水生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−167600(P2011−167600A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31646(P2010−31646)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】