説明

電解質および電池

【課題】 イオン伝導性などの特性を向上させることができる電解質およびそれを用いた電池を提供する。
【解決手段】 正極13と負極14とがセパレータ15および電解質16を介して積層されている。電解質16は高分子化合物と電解液とを含んでおり、いわゆるゲル状となっている。カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含んでいる。カリックスアレーン誘導体によりポリエーテルの末端が固定され、高分子化合物の分子運動が抑制されるので、イオンの移動経路が確保されると共に、高分子化合物の分子運動によりイオンの移動が促進され、高いイオン伝導性を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物を含む電解質およびそれを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話,ノート型コンピュータまたはカムコーダなどの携帯電子機器の発達に伴い、ニッケル水素電池またはリチウム二次電池などの研究開発が進められている。中でも、電解質に高分子化合物を添加して電解液を保持させた電池は、液漏れの可能性が低く、安全性および設計の自由度を向上させることができることから、注目されている。
【0003】
ところが、電解液を高分子化合物に保持させた電解質は、電解液に比べてイオン伝導性が低いので、電気エネルギーの損失が大きいという問題があった。また、この電解質は、電解液に比べて安全性を確保しやすいので、負極に金属リチウムを用いることも検討されているが、その場合には、金属リチウムに対する安定性が求められていた。
【0004】
そこで、これらの問題を解決する技術として、直鎖状ポリエチレンイミンからなる主鎖と、ポリエチレンオキシドとを含む側鎖とを有する高分子化合物を用いること(例えば、特許文献1,2参照。)、またはポリエチレンオキシドを含むポリエチレンイミンからなるデンドリック構造を有する高分子化合物を用いること(例えば、特許文献3参照。)が報告されている。
【特許文献1】特開平6−329793号公報
【特許文献2】特開平8−69817号公報
【特許文献3】特開2002−358822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの技術では十分に特性を向上させることができず、更なる改善が求められていた。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、イオン伝導性などの特性を向上させることができる電解質およびそれを用いた電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電解質は、電解液と高分子化合物とを含有するものであって、高分子化合物は、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含むものである。
【0008】
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、電解質は、電解液と高分子化合物とを含有し、高分子化合物は、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電解質によれば、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドを付加するようにしたので、ポリエーテルの末端が固定され、高分子化合物の分子運動が抑制される。よって、イオンの移動経路が確保されると共に、高分子化合物の分子運動によりイオンの移動が促進され、高いイオン伝導性を得ることができる。また、高分子鎖が解ける運動も減少し、高分子鎖同士の絡み合いが強固となるので、機械的強度が向上し、安全性および金属リチウムに対する安定性も向上する。更に、カリックスアレーン誘導体は遷移金属イオンと共に包接化合物を形成するので、遷移金属イオンに起因する電解液の分解反応を抑制することもできる。
【0010】
従って、本発明の電解質を用いた電池によれば、充放電効率および安全性を向上させることができると共に、電解液の分解による膨れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、電極反応物質としてリチウムを用いたいわゆるリチウム二次電池について説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型といわれるものであり、正極リード11および負極リード12が取り付けられた巻回電極体10をフィルム状の外装部材20の内部に収容したものである。正極リード11および負極リード12は、外装部材20の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されており、アルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されている。
【0013】
外装部材20は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材20は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体10とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材20と正極リード11および負極リード12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム21が挿入されている。密着フィルム21は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。なお、外装部材20は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0014】
図2は図1に示した巻回電極体10の一部を拡大して表すものである。巻回電極体10は、正極13と負極14とをセパレータ15および電解質16を介して積層し、巻回したものである。
【0015】
正極13は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体13Aの両面に正極活物質層13Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体13Aの片面のみに正極活物質層13Bを設けるようにしてもよい。正極集電体13Aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0016】
正極活物質層13Bは、正極活物質として、例えば電極反応物質であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料を含んで構成されている。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウムリン酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表されるリチウム複合酸化物あるいはリチウムリン酸化物が好ましい。なお、式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属を表し、例えば、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn),鉄(Fe),アルミニウム,バナジウム(V)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種が好ましい。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10の範囲内の値である。
【0017】
リチウム複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNiv Co1-v 2 ;0.7<v<1.0)、あるいはスピネル型結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。また、リチウムリン酸化物の具体例としては、LiFePO4 あるいはLiFe0.5 Mn0.5 PO4 などが挙げられる。
【0018】
正極活物質層13Bは、また、例えば導電剤を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。
【0019】
負極14は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体14Aの両面に負極活物質層14Bが設けられた構成を有している。負極集電体14Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0020】
負極活物質層14Bは、負極活物質として、例えば電極反応物質であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて、例えば正極活物質層13Bと同様の結着剤を含んでいてもよい。また、負極活物質層14Bは、負極活物質である金属リチウムにより構成されていてもよく、更に、負極活物質として、金属リチウムと、リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料とを共に用いるようにしてもよい。
【0021】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好な充放電サイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。黒鉛は、人造黒鉛でも天然黒鉛でもよい。
【0022】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、また、リチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含むものが挙げられる。この負極材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れた充放電サイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0023】
リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。中でも、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズである。
【0024】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、酸化鉄,酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどの酸化物や、あるいはLiN3 などが挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレンなどが挙げられる。
【0025】
セパレータ15は、正極13と負極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ15は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0026】
電解質16は、電解液と、高分子化合物とを含有しており、いわゆるゲル状となっている。電解質16は、例えば図2に示したように、正極13および負極14とセパレータ15との間に層状に存在していてもよいが、セパレータ15に含浸されて正極13と負極14との間に存在していてもよい。
【0027】
電解液は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する溶媒とを含んでいる。電解質塩としては、例えば、LiPF6 ,LiBF4 ,LiClO4 , LiAsF6 ,LiN(CF3 SO2 2 ,LiN(C2 5 SO2 2 ,LiB(C6 5 4 ,CH3 SO3 Li,CF3 SO3 Li,LiClあるいはLiBrなどのリチウム塩が挙げられる。電解質塩には、1種を単独で用いてもよいが、2種以上混合して用いてもよい。
【0028】
溶媒としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステルあるいはフルオロベンゼンなどの非水溶媒が挙げられる。溶媒には、1種を単独で用いてもよいが、2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
中でも、溶媒には、環状炭酸エステルを含むようにすることが好ましく、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、および炭酸ビニレンのうちの少なくとも1種を含むようにすることが好ましい。優れた充放電容量および充放電サイクル特性を得ることができるからである。
【0030】
高分子化合物は、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含んでいる。カリックスアレーンは、フェノールとホルムアルデヒドとが脱水縮合した大環状化合物である。カリックスアレーン誘導体には、カリックスアレーンまたはカリックスレゾルシンアレーンからの誘導体があり、例えば、化1に示したカリックスアレーン誘導体、または化2に示したカリックスレゾルシンアレーン誘導体が挙げられる。
【0031】
【化1】

【0032】
【化2】

【0033】
化1および化2においてR1およびR2は、それぞれ水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基である。電子供与性が高いとカリックスアレーン誘導体の合成が難しいからである。電子吸引基としては、例えば、アシル基またはアルコキシカルボニル基が挙げられる。アシル基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、1以上7以下であることが好ましい。炭素数が多いとカリックスアレーン誘導体の合成が難しくなるからである。アシル基としては、具体的には、ホルミル基,アセチル基,プロピオニル基,ブチリル基,バレリル基,あるいはベンゾイル基などが挙げられる。
【0034】
水酸基よりも電子供与性の低い置換基としては、炭化水素基,またはアミノ基あるいはアミノ基の少なくとも一方の水素を置換基で置換した基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、1以上30以下が好ましく、1以上18以下であればより好ましい。炭素数が多いとカリックスアレーン誘導体の合成が難しくなるからである。また、炭化水素基は飽和でも不飽和でもよく、少なくとも一部の水素が他の官能基または原子で置換されていてもよい。具体的には、飽和脂肪族炭化水素基,不飽和炭化水素基,脂環式炭化水素基,脂環式−脂肪族炭化水素基,芳香族炭化水素基,または芳香族−脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
【0035】
飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,t−ブチル基,n−ペンチル基,ネオペンチル基,n−ヘキシル基,n−オクチル基,t−オクチル基,n−ノニル基,イソノニル基,またはn−ドデシル基が挙げられる。また、エチレン,プロピレンあるいはブチレンなどの重合体または共重合体からなる基でもよい。不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基,アリル基,イソプロペニル基,または2−ブテニル基が挙げられ、また、アセチレン,ブタジエンあるいはイソプレンなどの重合体または共重合体からなる基でもよい。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基,メチルシクロヘキシル基,またはエチルシクロヘキシル基が挙げられ、脂環式−脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシルメチル基,またはシクロヘキシルエチル基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基,あるいはナフチル基などのアリール基、または、メチルフェニル基,ジメチルフェニル基,トリメチルフェニル基,エチルフェニル基,あるいはブチルフェニル基などのアルキルアリール基が挙げられる。芳香族−脂肪族炭化水素基としては、例えば、ベンジル基,フェニルエチル基,フェニルプロピル基,フェニルブチル基,あるいはメチルフェニルエチル基が挙げられる。
【0036】
化1および化2においてX1およびX2は、それぞれメチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基である。イミノ基の水素と置換する置換基としては、メチル基,エチル基,トリフルオロメチル基,トリフルオロエチル基,n−プロピル基,i−プロピル基,n−ブチル基,i−ブチル基,s−ブチル基,t−ブチル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,あるいはナフチル基など、電解液に対する溶解性を低下させず、かつ立体障害とならないものが好ましい。また、n1およびn2は、それぞれ4から12の整数であり、中でも4,6,または8が合成時の制御が容易であるので好ましい。
【0037】
このような構造を有するカリックスアレーン誘導体の水酸基に付加するアルキレンオキシドは、特に限定されないが、ポリアルキレンオキシドを構成するアルキレン単位に含まれる炭素数が2から8のものが好ましい。このようなアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、2−メチルプロピレンオキシドが挙げられる。中でも、化3に示した化学式で表されるものが反応性および製造コストの点から好ましく、最も好ましいのはエチレンオキシドである。アルキレンオキシドは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、併用した場合には、ブロック,ランダムまたは交互にアルキレンオキシドが付加した生成物が得られる。
【0038】
【化3】

化3においてR11およびR12は、それぞれ水素、またはメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,あるいはフェニル基などの炭化水素基である。
【0039】
このような高分子化合物としては、化4または化5に示した構造を有するものが挙げられる。
【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
化4および化5において、R1,R2,X1,X2,n1およびn2は、それぞれ化1および化2と同一である。また、R3,R4,R5,R6,R7およびR8は、化3におけるR11およびR12と同様に、それぞれ水素、またはメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,あるいはフェニル基などの炭化水素基である。なお、R3,R5およびR7は水素であることが好ましい。高分子鎖の運動の制限が低いので、イオン伝導性を妨げず、かつ、分子間の相互作用も強固となるからである。
【0043】
化4および化5において、m1,m2およびm3はそれぞれ1以上の整数である。平均重合度は特に制限されないが、重合度が低すぎると分散性、安定性、または耐水性などの高分子化合物が本来有する特性が得られなくなるおそれがあるので、重合度は50以上であることが好ましく、100以上であればより好ましく、300以上であれば更に好ましい。また、重合度が高すぎると粘度が上昇し取り扱いが悪くなるおそれがあるので、重合度は1500以下であることが好ましく、1200以下であればより好ましく、1000以下であれば更に好ましい。ポリアルキレンオキシド部分の長さの分布については特に制限はないが、ばらつきがある方が好ましい。すなわち、1つのカリックスアレーン誘導体の水酸基に付加されているポリアルキレンオキシド部分の長さは、異なっていることが好ましい。より高いイオン伝導性を得ることができるからである。
【0044】
このように、この高分子化合物では、カリックスアレーン誘導体によりポリエーテルの末端が固定され、高分子化合物の分子運動が抑制されるので、イオンの移動経路が確保されると共に、高分子化合物の分子運動によりイオンの移動が促進され、高いイオン伝導性を得ることができるようになっている。また、高分子鎖が解ける運動も減少し、高分子鎖同士の絡み合いが強固となるので、機械的強度が向上し、安全性および金属リチウムに対する安定性も向上させることができるようになっている。更に、カリックスアレーン誘導体は遷移金属イオンと共に包接化合物を形成するので、遷移金属イオンに起因する電解液の分解反応を抑制することもできるようになっている。
【0045】
なお、この高分子化合物は、カリックスアレーン誘導体の少なくとも1つの水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含んでいればよいが、1つのカリックスアレーン誘導体のうちの2以上の水酸基にアルキレンオキシドが付加されることにより、カリックスアレーン誘導体を中心としてポリエーテルが樹状分岐構造を有していることが好ましい。高分子鎖同士の絡み合いがより強固となり、機械的強度を向上させることができるからである。また、ポリエーテルは一方の端部がカリックスアレーン誘導体に結合し、他方の端部は自由末端となっていることが好ましい。イオンの移動を促進させ、イオン伝導性を向上させることができるからである。
【0046】
また、この高分子化合物は、末端の水酸基を利用して、反応性置換基をもつ単量体あるいはポリマーにより、更に変性もしくは架橋されていてもよい。例えば、エポキシ基,イソシアネート基,無水カルボン酸,エピクロロヒドリン,アルキルクロライドなどによるテレケリックポリマー化、カルボン酸とのエステル化、不飽和単量体によるマイケル付加などが挙げられる。使用される化合物の例としては、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸などのカルボン酸基含有単量体、炭素数1から20のアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル、炭素数1から20のアルキルアリルエーテルなどの不飽和結合を有する単量体、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチレンクロライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、トルイレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0047】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0048】
まず、例えば、正極集電体13Aに正極活物質層13Bを形成して正極13を作製すると共に、負極集電体14Aに負極活物質層14Bを形成して負極14を作製する。正極活物質層13Bおよび負極活物質層14Bは、例えば、塗布により形成してもよく、気相法あるいは液相法などにより形成してもよく、金属リチウム箔を貼り合わせることにより形成してもよい。
【0049】
次いで、正極13および負極14のそれぞれに、高分子化合物に電解液を保持させた電解質16を形成する。次いで、正極集電体13Aの端部に正極リード11を取り付けると共に、負極集電体14Aの端部に負極リード12を取り付ける。続いて、電解質16が形成された正極13と負極14とをセパレータ15を介して積層したのち、長手方向に巻回して巻回電極体10を形成する。そののち、例えば、外装部材20の間に巻回電極体10を挟み込み、外装部材20の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード11および負極リード12と外装部材20との間には密着フィルム21を挿入する。これにより、図1,2に示した二次電池が完成する。
【0050】
また、この二次電池は、正極13と負極14とをセパレータ15を介して積層して巻回し、外装部材20の間に挟み込んだのち、外装部材20の開放口から電解液と高分子化合物の原料であるモノマーとを含む電解質組成物を注入して、モノマーを重合させることにより電解質16を形成するようにしてもよい。
【0051】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層13Bからリチウムイオンが離脱し、電解液を介して負極活物質層14Bに吸蔵され、または負極活物質層14Bに金属リチウムとして析出する。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが離脱し、または負極活物質層14Bから金属リチウムがイオンとなって溶出し、電解液を介して正極活物質層13Bに吸蔵される。その際、電解液を、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含む高分子化合物に保持させるようにしたので、高分子化合物の分子運動が抑制され、イオンの移動経路が確保されると共に、高分子化合物の分子運動によりイオンの移動が促進される。また、高分子鎖が解ける運動が減少し、高分子鎖同士の絡み合いが強固となり、機械的強度も向上する。
【0052】
このように本実施の形態によれば、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドを付加するようにしたので、ポリエーテルの末端が固定され、高分子化合物の分子運動が抑制される。よって、イオンの移動経路が確保されると共に、高分子化合物の分子運動によりイオンの移動が促進され、高いイオン伝導性を得ることができる。また、高分子鎖が解ける運動も減少し、高分子鎖同士の絡み合いが強固となるので、機械的強度が向上し、安全性および金属リチウムに対する安定性も向上する。更に、カリックスアレーン誘導体は遷移金属イオンと共に包接化合物を形成するので、遷移金属イオンに起因する電解液の分解反応を抑制することができる。従って、充放電効率および安全性を向上させることができると共に、電解液の分解による膨れを抑制することができる。
【実施例】
【0053】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0054】
(実施例1〜14)
電解質を作製した。まず、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを混合して前駆溶液を作製し、この前駆溶液を基板に塗布し混合溶剤を揮発させてゲル状としたのち、基板を剥離することにより、厚み10μmのゲル状の電解質を作製した。その際、高分子化合物には、実施例1〜13では化4に示したものを用い、X1,R1,R3,R4,n1,m1は、それぞれ表1に示したものとした。実施例14では化5に示したものを用い、X2,R2,R5,R6,R7,R8,n2,m2,m3は、それぞれ表1に示したものとした。また、電解液と、高分子化合物とは、電解液:高分子化合物=8:1の質量比で混合した。更に電解液には、溶媒として炭酸エチレンと炭酸プロピレンとを1:1の質量比で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を溶解したものを用い、電解液におけるLiPF6 の濃度は0.6mol/kgとした。なお、表1において、m1,m2およびm3の値は、10の位を四捨五入した値で示した。
【0055】
実施例1〜14に対する比較例1,2として、高分子化合物に直鎖状ポリエチレンオキシドを用いたことを除き、他は実施例1〜14と同様にして電解質を作製した。ポリエチレンオキシドの平均分子量は、500または2000とした。
【0056】
作製した実施例1〜14および比較例1,2の電解質について、イオン伝導度および金属リチウムに対する安定性を調べた。
【0057】
イオン伝導度は、インピーダンスアナライザーを用いた複素インピーダンス法により求めた。その際、電極にはステンレス電極を用いた。結果を表1に示す。
【0058】
また、金属リチウムに対する安定性は、次のようにして求めた。まず、作製した電解質を一対の金属リチウム板に挟み込んでセルを作製した。次いで、充放電試験機により、このセルに電流密度0.1mA/hcm2 の電流を一定時間流したのち、逆方向から電流密度0.1mA/hcm2 の電流を一定時間流し、これを1サイクルとして100サイクル繰り返した。これにより得られた1サイクル目の電位に対する100回目の電位の割合、すなわち、(100回目の電位/1回目の電位)を評価値として求めた。結果を表1に示す。
【0059】
次に、これらの電解質を用いて図1,2に示した二次電池を作製した。具体的には、次のようにして作製した。
【0060】
まず、正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を用い、このリチウム・コバルト複合酸化物と、導電剤としてグラファイトと、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを混合して正極合剤を調製した。次いで、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとしたのち、アルミニウム箔よりなる正極集電体13Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層13Bを形成し、正極13を作製した。
【0061】
また、負極活物質として人造黒鉛を用意し、この人造黒鉛と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを混合して負極合剤を調製した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとしたのち、銅箔よりなる負極集電体14Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層14Bを形成し、負極14を作製した。
【0062】
続いて、正極集電体13Aに正極リード11を取り付けると共に、負極集電体14Aに負極リード12を取り付けた。次いで、正極活物質層13Bおよび負極活物質層14Bのそれぞれの上に、上述した前駆溶液を均一に塗布したのち、混合溶剤を揮発させゲル状の電解質16を形成した。
【0063】
そののち、セパレータ15、正極13、セパレータ15、負極14の順に積層して巻回し、巻回電極体10を形成したのち、巻回電極体10をアルミラミネートフィルムよりなる外装部材20の間に封入した。これにより実施例1〜14および比較例1,2の二次電池を得た。
【0064】
作製した実施例1〜14および比較例1,2の二次電池について、充放電を行い、初回効率を調べた。初回効率は、1サイクル目の充電容量に対する放電容量の比率、すなわち(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100(%)から求めた。また、実施例1〜14および比較例1,2の二次電池について、500サイクル充放電を行い、サイクル特性を調べた。充電は23℃で0.8A、上限4.2Vの定電流定電圧充電を行い、放電は23℃で0.8Aの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った。サイクル特性は、5サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の比率、すなわち、(500サイクル目の放電容量/5サイクル目の放電容量)×100(%)から求めた。なお、初回効率は88%以上を良とし、サイクル特性は75%以上を良とした。結果を表2に示す。
【0065】
更に、実施例1〜14および比較例1,2の二次電池について、高温による保存試験を行うことにより、容量残存率および電池の膨れ率を求めた。まず、23℃で0.8A、上限4.5Vとして定電流定電圧充電を行う充電を行うことにより過充電状態としたのち、0.2Aの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行うことにより放電容量を求めた。続いて、同様にして定電流定電圧充電を行うことにより過充電状態としたのち、これらを温度60℃,湿度90%RHのオーブンに投入して1カ月間保存した。そののち、同様にして定電流放電を終止電圧3.0Vまで行うことにより放電容量を求めた。
【0066】
容量残存率は、保存前の放電容量に対する保存後の放電容量の比率、すなわち、(保存後の放電容量/保存前の放電容量)×100(%)から求めた。また、膨れ率は、[(保存後の電池の厚み−保存前の電池の厚み)/(保存前の電池の厚み)]×100(%)から求めた。結果を表2に示す。なお、容量残存率は、80%以上を良とし、膨れ率は12%以下を良とした。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
表1から分かるように、化4または化5に示した高分子化合物を用いた実施例1〜14の電解質によれば、他の高分子化合物を用いた電解質よりも、イオン伝導度およびリチウム金属に対する安定性が向上した。また、化4または化5に示した高分子化合物を用いた実施例1〜14の二次電池によれば、他の高分子化合物を用いた比較例1,2の二次電池よりも、初回効率,サイクル特性、容量残存率および膨れ率のすべてについて良好な値が得られた。
【0070】
すなわち、化4または化5に示した高分子化合物を用いるようにすれば、イオン伝導性および機械的強度を向上させることができると共に、電解液の分解反応も抑制することができることが分かった。
【0071】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、正極13および負極14を巻回する場合について説明したが、正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねるようにしてもよい。また、上記実施の形態および実施例においては、ラミネートフィルム型の二次電池について説明したが、例えば、円筒型、楕円型、多角形型、コイン型、ボタン型、角型あるいは大型などの他の形状を有する二次電池についても本発明を適用することができる。加えて、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す部分分解斜視図である。
【図2】図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10…巻回電極体、11…正極リード、12…負極リード、13…正極、13A…正極集電体、13B…正極活物質層、14…負極、14A…負極集電体、14B…負極活物質層、15…セパレータ、16…電解質、20…外装部材、21…密着フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液と高分子化合物とを含有する電解質であって、
前記高分子化合物は、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含む
ことを特徴とする電解質。
【請求項2】
前記高分子化合物は、1つのカリックスアレーン誘導体のうちの2以上の水酸基にアルキレンオキシドが付加された樹状分岐構造を有することを特徴とする請求項1記載の電解質。
【請求項3】
前記高分子化合物は、化1に示したカリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含むことを特徴とする請求項1記載の電解質。
【化1】

(化1において、R1は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X1は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基である。n1は4から12の整数である。)
【請求項4】
前記高分子化合物は、化2に示したカリックスレゾルシンアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含むことを特徴とする請求項1記載の電解質。
【化2】

(化2において、R2は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X2は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基である。n2は4から12の整数である。)
【請求項5】
前記高分子化合物は、化3に示した構造を有することを特徴とする請求項1記載の電解質。
【化3】

(化3において、R1は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X1は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基であり、R3およびR4は、それぞれ水素または炭化水素基である。n1は4から12の整数であり、m1は1以上の整数である。)
【請求項6】
前記高分子化合物は、化4に示した構造を有することを特徴とする請求項1記載の電解質。
【化4】

(化4において、R2は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X2は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基であり、R5,R6,R7およびR8は、それぞれ水素または炭化水素基である。n2は4から12の整数であり、m2およびm3はそれぞれ1以上の整数である。)
【請求項7】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記電解質は、電解液と高分子化合物とを含有し、
前記高分子化合物は、カリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含む
ことを特徴とする電池。
【請求項8】
前記高分子化合物は、1つのカリックスアレーン誘導体のうちの2以上の水酸基にアルキレンオキシドが付加された樹状分岐構造を有することを特徴とする請求項7記載の電池。
【請求項9】
前記高分子化合物は、化5に示したカリックスアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含むことを特徴とする請求項7記載の電池。
【化5】

(化5において、R1は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X1は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基である。n1は4から12の整数である。)
【請求項10】
前記高分子化合物は、化6に示したカリックスレゾルシンアレーン誘導体の水酸基にアルキレンオキシドが付加されたポリエーテルを含むことを特徴とする請求項7記載の電池。
【化6】

(化6において、R2は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X2は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基である。n2は4から12の整数である。)
【請求項11】
前記高分子化合物は、化7に示した構造を有することを特徴とする請求項7記載の電池。
【化7】

(化7において、R1は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X1は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基であり、R3およびR4は、それぞれ水素または炭化水素基である。n1は4から12の整数であり、m1は1以上の整数である。)
【請求項12】
前記高分子化合物は、化8に示した構造を有することを特徴とする請求項7記載の電池。
【化8】

(化8において、R2は、水素,電子求引性基,水酸基よりも電子供与性の低い置換基,またはハロゲン基であり、X2は、メチレン基,オキシ基,チオ基,スルフィニル基,スルホニル基,カルボニル基,イミノ基,またはイミノ基の水素を置換基で置換した基であり、R5,R6,R7およびR8は、それぞれ水素または炭化水素基である。n2は4から12の整数であり、m2およびm3はそれぞれ1以上の整数である。)

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−35577(P2007−35577A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221073(P2005−221073)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】