説明

電解質系内の時変イオン電流を検知するための方法及び装置

バリア構造5(11、12’、111)で分離された第1の流体チャンバ(4、4’、104)及び第2の流体チャンバ(8、8’’、108)を有する電解質系(2、2’、2‘’)内で時変イオン電流を検知するための装置及び方法であって、バリア構造(11、12’、111)は、厚壁(12.112)と、オリフィス(22、22’、122)を有する基板(14、114)とを含み、第1(4、41’、104)の流体チャンバ及び第2(8、8’、108)の流体チャンバが、オリフィス(22、22’、122)を介して連通する、装置及び方法が提供される。電位が、第1(4、4’、104)の流体チャンバ及び第2(8、8’、108)の流体チャンバの各流体チャンバ内の電極(18、19、118、119)の間に印加され、それによって、電流がオリフィス(22、22’、122)を通じて電極間で駆動される。システムの総静電容量は10pF未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質検知システムの技術に関し、より詳細には、改良された感度及び帯域幅を有する、電解質環境内で時変イオン電流を検知する装置及び方法に関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、2006年6月15日に出願された「System for Improved Ion Channel Recordings and Related Measurement of Objects and Analytes in Solution」と題する米国仮特許出願第60/813,712号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
小流体領域の導電性の測定は、多くの用途において重要なものである。例えば、流体中に懸濁したウィルスのような小さな粒子を、抵抗性パルス法(resistive pulse technique)を使用して、すなわち、ウィルスがオリフィスを通過するときに平均流体導電率に発生させる瞬間的な変化を測定して計数することができる。近年、細胞の膜壁を通って延在する実体の導電率の変動を測定することが科学的及び技術的に極めて重要になった。このような実体は、タンパク質細孔、イオンチャネル、トランスポータ、及び関連する実体(以下、イオンチャネルというグループ名で示す)を含み、細胞への及び/又は細胞からの特定のイオンの通過を制御する。イオン束が運ぶ電流によるイオン束の測定は、放射性トレーサ等のような他の方法よりも容易、高速、且つ基礎的である。
【0003】
イオンチャネル活動の電気測定は、Hodgkin及びHuxleyによる、「イオン伝導」と呼ばれるチャネルの同種集団を通じて流れる電流の特定に遡る。1度に1分子ずつ単一チャネルタンパク質を通る電流測定は、Haydon及びHladkyの研究から開始された。彼らは、単一のグラミシジンチャネルを通る電流が矩形経時変化を有し、開期間(duration of opening)がHodgkin及びHuxleyによって研究された時間依存プロセスに対応するのに対して、チャネルを通る電流の振幅が彼らによって記録された「瞬間電流」に対応することを発見した。
【0004】
今日まで、数百種のイオンチャネルが電気的方法によって調べられており、数千のイオンチャネル及びトランスポータが未研究である。チャネル電流は、現在測定不能(〜0.2ピコアンペア(pA))から数百pAまで様々である。実際には、生物学的及び医学的に重要なイオンチャネルの多くは測定不能の単一チャネル電流を有し、その伝導性は、多くのイオンチャネルの巨視的測定から推定しなくてはならない。小さな電流変化を記録可能である必要がある上に、多くのイオンチャネルの移動速度は既存の記録システムの応答時間よりも速いため、これらのチャネルが測定不能になってしまうと一般に考えられている。
【0005】
イオンチャネルの記録における大きな進歩が、薄壁の延伸ガラスピペットを細胞膜に押しつけることで単一チャネル電流の記録を可能にしたパッチピペット法(patch pipette method)を開発したSakmann及びNeherによってもたらされた。このようなシステムの一例を図1に示す。図示されていないが、通常、パッチクランプ装置全体は、拾われる電磁ノイズを最低限に抑えるために、導電性シールド内に収容される。吸引によって膜をピペット内に数ミクロン引き込み、それによって、ガラス表面に接する膜の面積を増大させることで、測定忠実度を大幅に増大させることができることが分かった。基本的に、ピペットは手で位置決めされる。自動細胞パッチシステムでは、細胞は吸引によってガラス又はシリコンの表面にあるミクロンスケールのオリフィスに引き込まれる。いずれにせよ、細胞が付着すると、先鋭な電極を使用して細胞膜を突き通すか、又は測定領域に付着した細胞膜のパッチを引きはがして、細胞の内表面側のイオンチャネルの部分を槽内で電解液に曝露させることによって、イオンチャネルを通る電気回路を完成されなければならない。
【0006】
代替のより直接的な手段は、イオンチャネルを組み込んだ膜を作り、その膜をテフロン(登録商標)のような固体材料にあるオリフィス(通常、直径100ミクロン又はマイクロメートル(μm)程度)上に膜を懸架するか、又は場合によってはポリマーテザー(polymer tether)を介して固体電極表面で膜を支持することである。このように懸架された人工膜システムの一例を図2に示す。図示されていないが、通常、このシステムは導電性シールドによって囲まれる。前者の方法では、膜の両側から巨視的にアクセスすることができるが、非常に脆い。後者は頑強であるが、脂質又はポリマーテザーの化学的性質によって、電解質に対して主に容量性(すなわち、交流電流(AC))の結合を有する不活性電極(例えば、金)を使用しなければならない。これに加えて、膜と固体表面との間の領域内の非常に小さな流体ボリュームが、膜を横切るイオン濃度勾配の蓄積によって、チャネル電流の測定に従来の直流電流(DC)方法を使用することを妨げる。
【0007】
測定の感度及び帯域幅の点で、従来のイオンチャネル記録は第1段増幅器の電流ノイズによって制限され、第1段増幅器の電圧ノイズによって発生する実効電流ノイズが、増幅器入力での総静電容量に作用する。
【0008】
図1を参照すると、膜201及び電解質槽202を含む典型的なパッチクランプシステム200は、以下の性質を有する。第1段増幅器204の入力静電容量は15ピコファラッド(pF)である。ピペットホルダ208の静電容量は1〜5pFで変化し、ピペット212の静電容量も1〜5pFである。金属シールド(Axon Instrument)を有するホルダには、より大きなピペット静電容量が関連付けられる。しかし、パッチピペットの薄壁先端を槽202内に浸すと、1pF/mm程度のさらなる静電容量が発生する。ピペット先端をごくわずかな距離だけ浸すことが可能であるが、それはセットアップが面倒であると共に、蒸発に起因して流体の液位が変化するため、任意の時間長にわたって実施することが難しい。先端の浸される典型的な距離である5ミリメートル(mm)の場合、追加される静電容量は5pFであり、非常に薄い壁を有するピペット先端の基本的な結果である。電極224からシステム電子回路に延びる配線220の静電容量は、配線の直径及び長さに依存する。配線が直径1mmであり、20センチメートル(cm)長であり、シールド(図示せず)が10cm〜1メートル(m)離れていると仮定すると、配線の静電容量は1.5〜2.1pFである。まとめると、増幅器入力における総静電容量は25〜30pFの範囲である。
【0009】
通常、人工膜装置228の静電容量はより高い。図2を参照すると、第1段増幅器230、及び当該第1段増幅器230を電極236に繋ぐ接続配線234に対しては、同じ静電容量値が見られるが、2つの流体ボリューム240及び242を分けるテフロンシート239上に懸架される膜238は、パッチピペットシステムの膜201よりも1,000〜10,000倍大きな面積を有する。これは、5〜100pFの範囲の追加のシャント静電容量を発生させる。これに加えて、電解質槽の測定側、すなわち流体ボリューム240の静電容量は、槽の半径に伴って線形的に増減する静電容量を発生させ、通常、少なくとも1pFである。全体的に、従来技術の人工膜装置の増幅器入力における総静電容量は22〜120pFである。
【0010】
上記従来技術のシステムは、測定ノイズに対する内部寄与がおおよそ等しいという意味で適切に最適化されている。例えば、総入力静電容量に対して作用する電流ノイズ及び電圧ノイズはおおよそ等しい。しかし、これは、第1段増幅器設計における既知の入力インピーダンスとのトレードオフを表し、2つの従来の種類の測定装置は最終的に、それらの機械設計に固有の限界に達する。パッチピペットの場合、この限界はピペットそれ自体である。テフロンカップの場合、この限界は膜の面積である。結果として、パッチピペット及び関連する人工二重層測定が行われてきた約20年間、感度及び帯域幅の改良はほんのわずかしかなく、そういった改良はほぼすべて、電子技術の進歩によるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に基づき、イオンチャネル記録を実質的に改良するシステムに対する需要が存在する。このようなシステムは、適切に最適化された既存の技術によって得られる感度及び帯域幅を改良するために必要とされる電気的性質を提供しなければならず、且つ現行技術よりも使用し易さが同等以上であると共に、費用が同等以下でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電解質検知装置又は時変イオン電流を検知するシステム及び方法を対象とする。本発明によれば、装置は、電解質で充填され、1つ又は複数のオリフィスを内部に有する基板によって隔てられた第1及び第2の流体ボリューム又はチャンバを含む。対象の検体(複数可)が一方又は両方のチャンバ内に導入される。装置は、第1のチャンバ又は電解質槽内に位置決めされる第1の電極と、第2のチャンバ又は検知ボリューム内に位置決めされる第2の電極とをさらに含む。第1の電極と第2の電極との間に電位差を確立することによって、電界が発生する。この電界は、流体ボリュームを結ぶ1つ又は複数のオリフィスを通じてイオン電流を流す。高感度電気読出し回路が、各オリフィスを横切って接続され、第1段増幅器の入力に接続された主に抵抗性(例えば、ファラデー性)の電極又は主に容量性の電極のいずれかを使用して第1のチャンバ及び第2のチャンバに結合される。次に、この増幅器は、続く増幅器段に接続される。
【0013】
好ましくは、オリフィスは、1つ又は複数のイオンチャネルを挿入することができる1つ又は複数の膜によって覆われる。膜が付着したオリフィスの電気抵抗は、1ギガオーム(GΩ)程度であり、イオンチャネル電流と並列に流れる電流を最低に抑えるために、好ましくは1GΩより高い。代替的に、例えば、オリフィスを通過する粒子に起因する電流変化を検出するために、装置は、オリフィスが膜でシールされない状態で動作する。しかしこの場合、本発明は、好ましくは、より高い周波数で利用される。例えば、直径20ナノメートル(nm)を有するオリフィス(ガラス及びシリコンにナノスケールのオリフィスを作成するに当たってのおおよその最新技術)は、10メガオーム(MΩ)程度の1モル(M)塩化カリウム(KCl)溶液で充填されたときに伝導性を有する。この場合、本発明は、好ましくは、1キロヘルツ(kHz)を超える信号を測定するために利用される。より大きなオリフィス又は複数のオリフィスの場合、装置が最適に動作する周波数は、総導電率の変化に線形比例して高くなる。
【0014】
膜は、ペイント法、小胞融合、又は当該技術分野において既知の他の方法によってオリフィス上に形成することができる。膜の形態は基板表面の疎水性に依存する。膜は、脂質二重層、又は同様の性質を有する任意の材料、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)から形成することができる。これに加えて、膜は、パッチクランプに使用されるように生体細胞から抽出することもできる。
【0015】
上述した従来技術のシステムとは対照的に、本発明によって構築されるシステムは、2〜10pFという、増幅器自体を含む増幅器入力における総静電容量を有する。この静電容量の劇的な低減は、システムの内部ノイズ又は電流ノイズの低減を提供し、それによって、感度の大幅な増大を提供する。この改良は、抵抗パルス技法が粒子の数及びサイズの測定に利用される場合でのようにシステムオリフィスが開いているか否かに関わらず、又は膜及びイオンチャネルがオリフィスをわたって存在するか否かに関わらず、利用することが可能である。さらに、内部ノイズの低減によって、測定を従来技術のシステムの範囲をはるかに超えた帯域幅で行うことが可能になる。感度の向上に起因して、装置では、より低いイオンイオン電流の使用が可能である。これによって、より低いバイアス電圧を使用しての実施、又はより低濃度の電解質を使用しての実施が可能になる。有利なことに、本発明のシステムは、使用のし易さが従来技術の同等以上であるとともに、費用が同等以下である。
【0016】
本発明は、3つの特定の手法を組み合わせて、第1段増幅器入力に結び付けられる静電容量を最低に抑えることによって高い測定感度及び帯域幅を提供する。第1に、装置は、10μm未満、膜がオリフィスをシールしない場合には50nm未満の横寸法を有するオリフィスを含む。第2に、非常に小さなオリフィスの静電容量を利用して、1つ又は複数のオリフィスを含む基板を横切って現れる第1の流体ボリュームと第2の流体ボリュームとを結ぶ静電容量は、1pF未満であり、好ましくは0.25pF未満である。これは、流体に曝される基板の面積を最低限に抑えると共に、基板を十分に厚くすることによって達成される。第3に、測定電極及び第1段増幅器は、ナノスケールオリフィスの5cm以内に集積され、新規の回路設計及びパッケージングが、小さな全体ボリューム内の非常に高い入力インピーダンスに対して非常に高い感度を提供する。
【0017】
この好ましい構成を使用すれば、小さな流体オリフィス又はイオンチャネルを通じて流れるイオン電流は、従来の方法をはるかに超える感度及び帯域幅で測定される。対象の基本パラメータは、イオン電流の時間に伴う変動である。しかし、場合によっては、膜の漏れ電流のような他の物理的な変動、又は別の定常状態若しくは準定常状態の性質が対象パラメータであってもよい。膜を通って延在するイオンチャネルの好ましい実施形態では、イオンチャネルはその自然な形態であってもよく、又は特定の性質に対する要望に応じて設計するか若しくは他の態様に変更してもよい。本発明の特別の用途は、イオンチャネル内の離散した導電状態を測定することである。これらの状態は、濃度及び種を別個に特定することができるように、検体の存在下で確率的に変化する。本発明の別の用途は、従来のクールター計数器のように、オリフィス内の検体の存在によって発生する抑圧効果によって導電率が簡単に測定される場合、チャネル電流を測定することである。
【0018】
本発明のさらなる目的、特徴、及び利点が、好ましい実施形態の以下の詳細な説明を図面と共に理解すれば容易に明白になるであろう。同様の参照番号は、いくつかの図の対応する部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術のパッチクランプ検知システムを示す図である。
【図2】従来技術の人工膜検知システムを示す図である。
【図3】本発明によって構築される装置の断面図である。
【図4】脂質膜を含む、図3のオリフィスの部分断面図である。
【図5】本発明の装置の代替の実施形態の断面図である。
【図6】細胞膜を含む、図3のオリフィスの部分断面図である。
【図7】図3の検知ボリューム及び毛細器具の部分断面図である。
【図8】毛細器具が電極である、図7の代替の実施形態の部分断面図である。
【図9】本発明の装置の連続サンプリング実施形態の図である。
【図10】本装置の感度と従来のパッチクランプ及び人工膜システムの感度とを比較する表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
最初に図3を参照すると、本発明によって構築される電解質検知装置又はシステムは、全体的に2で示される。検知システム2は、内部に第1の電解質6が提供される第1の流体チャンバすなわち電解質槽4と、第2の電解質10が提供される第2の流体チャンバすなわち検知ボリューム8とを備える。検知ボリューム8は、少なくとも1GΩ、好ましくは1GΩを超える電気抵抗を有するシール(図示せず)を使用して接合される厚壁バリア12及び基板14で構成されるバリア構造11によって電解質槽4から分離される。代替的に、基板11は、鋳込み又は成形等によって単一のユニットとして形成してもよい。図示の実施形態では、構造11は管の形態である。しかし、構造11が様々な幾何学的形状であってもよいことを理解されたい。
【0021】
取り付け基板16が、電解質槽4及び検知ボリューム8の上部にわたって延在する。測定電極18及び19が、取り付け基板16を通って電解質槽4及び検知ボリューム8内にそれぞれ延在する。本発明によれば、壁12は、導電率の非常に低い材料で作られ、好ましくは、少なくとも0.2mmの厚さであり、内径は1mmである。このような壁の厚さ及び直径は、式C=2πε/ln(douter/dinner)によって与えられるように、壁14の沈められる長さ1mm当たりで0.1pF/mmの静電容量を発生させる。より好ましくは、壁12の厚さは少なくとも0.4mmであり、これは、単位長さ当たりで、0.06pF/mmの静電容量を発生させる。
【0022】
内径1mmを有する構造11では、基板14を横切って電解質槽4に面する電解質10の面積は0.78mmである。基板14は、好ましくは、少なくとも25μmの厚さであり、これは式C=εA/tに従って1pFの静電容量を提供する。式中、tは基板14の厚さである。基板14の平均厚は、より好ましくは少なくとも50μmであり、2つの電解質ボリューム4と8とを結合する静電容量を0.5pF以下に制限する。これらの計算では、便宜上、円形断面が仮定されているが、正方形断面又は他の任意の幾何学的形状を利用してもよいことを理解されたい。全体的に、構造11を通って内部電解質ボリューム8を外部電解質ボリューム4に結合する静電容量は、好ましくは、2pF未満であり、より好ましくは0.25pF未満である。
【0023】
基板14はオリフィス22を含む。オリフィス22は、好ましくは、膜ありで利用される場合には10μm未満であり、膜なしで利用される場合には50nm未満である。両事例において、性能は、オリフィスの面積の低減に伴って向上する。しかし、膜シールの場合に直径3μm未満であると、膜の両端の静電容量は、入力における他の静電容量と比較して小さく、それ以上の有意な向上は達成されない。膜なしの場合、オリフィスの直径は可能な限り小さくあるべきであり、好ましくは20nm未満であり、より好ましくは10nm未満であるべきである。このナノスケール型オリフィス22は、トラックエッチング法、従来のシリコン加工、又は配線をガラス内にシールし配線を取り出す方法によって構築することができる。オリフィス22は、オリフィス22の狭窄に続く流体(電解質)の電気抵抗を最低に抑えるために、円錐形に示されている。しかし、オリフィス22が円錐形であることは重要なことではなく、オリフィス22の上方に位置決めされるイオンチャネルに続く電気抵抗がイオンチャネル抵抗のおおよそ10倍未満である限り、円筒形又は他の任意の形状を使用してよい。
【0024】
基板14は、ポリイミドのようなプラスチック、導電性の非常に低いシリコン、ガラス、石英、サファイア、又は任意の等価の材料で作られる。基板14に対する主な要件は、導電率が低く、誘電正接が低く、且つ好ましくは、高抵抗電気シールを有する膜を支持するのに十分に平坦であることである。基板14及び分離壁12は、好ましくは、同じ材料から作られる。シリコンのようなウェーハ基板が使用される場合、従来の半導体加工方法によって電解質に曝される基板14の面積を実質的に低減することが可能である。面積が低減されれば、基板14をはるかに薄くすることができ、それでもなお、十分に小さな静電容量を提供することができる。オリフィス22を従来のフォトリソグラフィ方法によって製造する場合、電解質に曝される基板面積は、基板14が、好ましくは、1μm未満の厚さを有するように選択される。
【0025】
厚壁12及び電解質槽4の外壁24は、取り付け基板16によって共に接続される。上述したように、測定電極18及び19は取り付け基板16に接続され、電解質槽4内の電解質6及び検知ボリューム8内の電解質10にそれぞれ接する。電極18及び19は、銀/塩化銀(Ag/AgCl)のような従来の不分極型であってもよく、又は全体的にAC方法が使用される場合には白金(Pt)のような非反応性材料のものであってよい。
【0026】
第1段増幅器26が、増幅器26を電極19に接続する配線27の長さを最小限に抑えるために、取り付け基板16上に直接取り付けられる。好ましくは、配線27は5cm以下であり、より好ましくは2cm未満である。さらに、増幅器26に関連付けられる回路は、浮遊容量をさらに最小に抑えるためにガード回路及び接地回路(図示せず)並びに関連するフィードバック制御ループ(別個に記されない)を備える。1つ又は複数の穴28が取り付け基板16に作られて、電解質6、10及び検体29を出し入れすることができるようにする。
【0027】
電極18と電極19との間でイオン電流を駆動するための電圧は、図3に示すように印加することができる。好ましくは、電圧源17が槽電極18に接続され、システム電気接地を基準とする。読出し増幅器26は、正の入力が接地に接続された電流−電圧変換器モードで接続される。代替的に、電圧源17を増幅器26の正の入力端子に接続することがより好都合なこともある。これに加えて、高インピーダンスバッファに接続された別個の電極(図示せず)を槽4内に浸すことができる。この基準電極の出力は、槽4の電位のより直接的な測定を提供するために、別個に記録することができる。
【0028】
電極6及び10は、通常、0.1M KClのような従来の生体適合溶液(biocompatible solution)であるが、非生物学的用途の場合、多種多様な導電性流体又は溶液を使用してよい。使用に際して、電圧源17が利用されて、電位が電極18と電極19との間に印加され、電極18と電極19との間に電流が駆動され、ナノメータサイズのオリフィス22を通る。駆動電圧は、イオンチャネル電流の測定に使用される従来の慣例でのようにDCであってもよく、又はAC駆動を使用してもよく、結果として得られる電流は、当業者に既知の方法によって実証されている。対象基本パラメータは、図4に示すように、ターゲット検体29に応答して、槽4から検知チャンバ8にオリフィス22を通過する時変イオン電流Iである。
【0029】
図示のように、基板14は、電解質槽4と検知ボリューム8とを分離する。場合によっては、オリフィス近傍の物体の存在を、オリフィスを通過する電流に対するそれらの影響によって検出するために、さらなる変更なしでそのままオープンオリフィス22を使用してもよい。しかし、オリフィス22は、好ましくは、(図4に示されるように)脂質二重層若しくは二脂質膜30、PDMSのような同等の材料、液膜、又はさらには何らかの様式でイオンチャネル挿入が可能な固体材料を通って延在する。膜は、ペイント法、小胞融合、又は当分野において既知の別の方法によってオリフィスの上方に形成することができる。膜の形態は、基板表面の疎水性に依存する。好ましくは、膜30は、電解質槽4と電解質10との間に10GΩ程度の電気抵抗(シール抵抗)を発生させる。特に、ガラス上の脂質膜が10GΩ以上のシールを生成することが分かっている。
【0030】
膜30の場合、二重層の構成は基板14の表面性質に依存する。ガラスのような親水性基板の場合、膜30は、図4及び図6〜図8に示すように、基板14の表面全体にわたって小さな水31のクッション上に単一の二重層として形成される。しかし、基板14がテフロン(登録商標)のような疎水性材料から作られる場合、又は基板14の外表面が疎水性材料でコーティングされる場合、二重層はオリフィス22上の領域にのみ形成される。
【0031】
最も好ましくは、膜30は、個々に又は他のイオンチャネルとの何らかの組み合わせで膜30に広がる、挿入されたイオンチャネル32を有する。最も好ましい場合、イオンチャネル32は、オリフィス22の真上の膜30の領域を通って延在する。膜30が基板14に広がる場合、図4に示すように、膜30から突出する物理的構造を有するイオンチャネル32を、オリフィス22の内壁部34によってトラップし、それによって、イオンチャネル32がオリフィス22から離れて拡散しないようにすることができる。これは、オリフィス22を介して検知ボリューム8からイオンチャネル32を挿入することによって達成される。しかし、結果として、イオンチャネル32を厳密にこの特定の領域に配置することはあまり重要ではなく、二重層膜30が基板14を覆う場合、イオンチャネル32が、基板14に直接隣接する(すなわち真上の)膜30の一部に挿入された又は移動した場合に発生するように、膜30のオリフィス22の近傍領域にあるイオンチャネル32からチャネル電流を測定することができることが分かった。
【0032】
別の可能な構成では、膜30は電解質槽4ではなく基板14の内側、すなわち検知ボリューム8内に配置される。この実施形態は、シリコンウェーハのような固体材料に検知素子配列を生成するために特に適した構造である図5に示す装置2’に関連する。装置2’は、大きな固体材料(例えば、Si)を使用して、底部に基部40を有する厚壁バリア12’を提供し、それによって、検知ボリューム8’にアクセス出来るようにする小さな充填ライン42を作成する。イオンチャネル(図5に示されないが、第1の実施形態のイオンチャネル32に対応する)は、槽側4’からバリア12’のナノ孔又はオリフィス22’を介して膜30’内に挿入される。所望であれば、電気泳動性又は導電性のリング48が、バリア12’上にオリフィス22’領域の周囲に作られ、チャネルアドレッシングを支援する静電力を提供するために所望の電位まで上げられる。図5の膜構成の一つの利点は、図4のように、膜30’から突出する構造を有するイオンチャネル32が、オリフィス22’の内壁34’によってオリフィス22’内にトラップされることになり、それによって、イオンチャネル32が拡散を防止されることである。第2の利点は、槽ボリューム4’を介してシステムに導入される任意の検体に曝露される膜30’の面積が最小であり、それによって、検体による膜30’に対する潜在的な化学的ストレスが最小限に抑えられる。第3に、脂質のような本質的に可溶性の膜30’の場合、より小容積の検知ボリューム8’が、すべての脂質が電解質中に溶解するのを制限する。
【0033】
膜が細胞から抽出される事例は図6に示す構成に近い。この場合、基板14は細胞に押し付けられ(完全には示されていない)、膜50が細胞膜それ自体であるため、少なくとも1つの細胞イオンチャネル52が膜50に既に存在する。この場合、基板14は電解質槽4の外側構造24に接続されず、むしろ、関連する電子回路を有する装置構造11及び取り付け基板16は、要望に応じて細胞に対して配置するために、電解質槽4内で自由に移動することができる。膜50の接着を支援するために、基板14の表面は、図6に示すように、任意選択的に、ポリリシン又はフィブロネクチンのような材料54でコーティングすることができるが、このような接着層を使用しても、水の層31’’が依然として存在すると考えられる。これに加えて、細胞のパッチクランプ手法でのように吸引が検知ボリューム8に適用される。本発明によって提供される感度は高いため、従来技術では小さすぎて測定できない導電性を有するイオンチャネル52のような細胞イオンチャネルのスクリーニングが可能である。
【0034】
本システムの設計の1つの利点は、増幅器入力での総静電容量が10pFに、より好ましくは6pFに、最も好ましくは2pFに低減されることである。この総静電容量は、膜が存在する場合には膜の両端の静電容量、壁12及び基板14の静電容量、検知電極19を増幅器26に、そして有効回路接地に接続する配線27の静電容量、及び増幅器回路内の浮遊容量を含むトランジスタ及び他の回路素子(図示せず)の静電容量の総和である。
【0035】
本発明のナノスケールオリフィスから生じる別の利点は、オリフィスサイズが低減するにつれて、膜は機械的且つ電気的にはるかに頑強になることである。電気的頑強性の増大は、150ミリボルト(mV)程度の従来の限度よりも大きな印加電圧に耐えることができるイオンチャネルの測定感度の効果的な増大に関連する。一般に、電圧の増大は、正比例で増大するチャネル電流を増大させ、実測信号対雑音比の線形的な増大を提供する。
【0036】
オリフィスを非常に小さくすることの大きな1つの問題は、イオンチャネルを挿入するために必要な時間である。100μm直径のオリフィスから1μm直径のオリフィスへの規模変更は、イオンチャネルを挿入するために必要な時間を10,000倍程度増大させる。標準パッチピペットに使用される膜よりもはるかに小さな膜の場合、挿入時間は法外に長くなり得る。例えば、25nm直径の膜の場合、挿入時間は、従来の人工膜実験よりも16,000,000倍長い。挿入時間を低減するための一解決策は、イオンチャネルをオリフィス領域に可能な限り近づけることである。図3の検知システム構成を特に利用する、これを行う一方法を図7に示す。小型毛細管60が、イオンチャネル又はテストされる検体をオリフィス22のすぐ近くに注入するために、検知ボリューム8内に挿入される。比較的小容積の検知ボリューム8が、毛細管60をオリフィス22と位置合わせするための自然のガイドとして機能する。図8に示すさらなる実施形態では、毛細管60’は導電体64で覆われ、別個の電極19が必要ないように、電極として使用される。さらに、イオンチャネルをオリフィスに送る速度を増大させるために、電気泳動又は電気浸透を利用することもできる。イオンチャネルがオリフィスの近傍に来ると、密閉された幾何学的形状によって電界が増大し、それによって、駆動力が増大する。
【0037】
本発明の連続サンプリング実施形態2’’を利用する方法について、これより図9を参照して考察する。システム2’’は、電解質槽又は流体送出要素104と、電解質110を備える電解質槽108とを備える。流体送出要素104は、厚壁バリア112及び基板114で構成される構造111によって電解質槽108から分離される。さらに、取り付け基板116が、電解質槽108の上部にわたって延びる。測定電極118及び119が、流体送出素子104及び電解質槽108内にそれぞれ延びる。基板114はオリフィス122を含む。記録電子回路126が、導電性配線127によって電極119に接続される。電圧源117が槽電極118に接続され、システム電気接地を基準とする。送出要素104は、流密的に基板114に取り付けられ、対象流体サンプルをオリフィス122のエリアに送出するためにオリフィス122上を通る流体充填チャネル154を含む。流体は、アクセスポート156から送出要素104内に入れられ、排出ポート158から除去される。測定電極118は、図示のようにチャネル154内に取り付けられるか、又は低電気インピーダンスによってチャネル154に接続された流体ボリューム内に取り付けられる。チャネル154は、サンプルの出し入れ要件によって決まる任意の都合のよいサイズであってよい。場合によっては、チャネル154の断面積及び/又はその長さは、収集しなければならない検体量を最小にするために、可能な限り小さく作られる。こういった場合、チャネル154の断面は、好ましくは、1mm未満であり、最も好ましくは、チャネル154は、マイクロ流体技術によって送出要素104内に作られ、オリフィス122のエリアでは10μm幅×10μm高程度の断面を有し、1cm程度の長さを有する。
【0038】
本発明は、非常に小さな(ナノスケール)膜面積(すなわち、オリフィスにわたる)の使用、大半の従来の測定に使用される「パッチピペット」と比較して比較的厚い壁バリア構造の使用、及び導電体の長さをさらに最小化する高度に一体化された設計を介してイオンチャネルに並列する静電容量を低減することによって、既存の技術からの鍵となる進歩を可能にする。さらに、オリフィスが非常に小さいと、使用される印加電圧を大きくすることが可能であり、より大きなチャネル電流を発生させる。さらに、従来技術では、電解質の導電率は、イオン電流を最大限にするために、慣例上許容レベルの上限に設定される。場合によっては、電解質濃度を低減すること、又は濃度範囲にわたって性質を測定することが望ましいであろう。しかし、これは、信号対雑音比(SNR)の配慮に起因して、従来技術では一般に行われない。本システムの優れた感度によって、低減されたイオン電流の使用が可能になる。これは、より低いバイアス電圧を使用して、又はより低濃度の電解質を使用しての実施を可能にする。例えば、システム感度を5倍に向上させると、バイアス電圧を100mVから20mVに低減することが可能になるか、又は電解質濃度を1Mから0.2Mに低減することが可能になる。
【0039】
図10は、感度及び帯域幅の改良と従来のテフロンオリフィス(人工膜)及びパッチピペットシステムとを比較する。増幅器入力又は記録電子回路において、同じ感度で、印加されるバイアス電圧を10倍に増大することの影響も示される。
【0040】
図10に示すように、現在使用されている測定周波数2〜10kHzでは、感度は2〜4倍に増大し、10倍高い電圧が使用される場合には20〜40倍増大する。これに加えて、システムは、第1段増幅器がより高い周波数での性能向けに最適化されているか否かに応じて、標準感度レベルの従来技術の5〜10倍の測定帯域幅の増大を提供する。この帯域幅の増大は、チャネルを通過するDNAのような非常に高速な電流変化を発生させるイベントの検出に即座に適用することができる。今日まで、このような高速変化は直接測定することができなかった。
【0041】
本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明に対する様々な変形形態及び/又は変更形態が可能なことは容易に理解されるはずである。例えば、図示される様々な実施形態は単一のイオンチャネルシステムを示すが、本発明は検知素子配列と併せて利用することも可能なことを理解されたい。一般に、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質系内の時変イオン電流を検知するための装置であって、
第1の電解質流体を含む電解質槽を画定する第1の流体チャンバと、
第2の電解質流体を含む検知ボリュームを画定する第2の流体チャンバと、
壁部、及びオリフィスが配置された基板を含むバリア構造であって、該バリア構造は、前記第1の流体チャンバ及び前記第2の流体チャンバを分離し、該第2の流体チャンバは、前記オリフィスを介して該第1の流体チャンバと連通する、バリア構造と、
前記オリフィスを通るイオン電流を駆動するために、前記バリア構造の両端に電位差を確立するための電圧源と、
前記第1の流体チャンバから前記第2の流体チャンバまで前記オリフィスを通過する前記時変イオン電流を検知し、それによってイオン電流信号を生成するように位置決めされる電極と、
配線によって前記電極に接続されると共に前記バリア構造の近傍に配置される増幅器であって、該増幅器は前記イオン電流信号を増幅し、該増幅器の入力における総静電容量は10pF未満である、増幅器と
を備える、装置。
【請求項2】
前記第1の流体チャンバと前記第2の流体チャンバとを結合する総静電容量は2pF未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の流体チャンバと前記第2の流体チャンバとを結合する総静電容量は0.25pF未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記配線の長さは5cm未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記基板は少なくとも25μmの厚さを有し、前記基板の前記流体に曝露される部分の面積は1mm未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記基板は1μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記壁部は少なくとも0.2mmの厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記壁部は少なくとも0.4mmの厚さを有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記バリア構造は管状であり、一端でシールされる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バリア構造はシリコンウェーハである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記オリフィスをシールする膜をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記オリフィスの直径は10μm未満である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記オリフィスの直径は50μm未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記膜を通って延在するイオンチャネルをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記膜は細胞膜である、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記膜は、前記基板の検知ボリューム側で前記オリフィスをシールする、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記オリフィス上への前記膜のシールを支援するようになっている前記基板上のコーティングをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記イオンチャネルは、前記基板の内壁によって前記オリフィス内にトラップされる、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
検体を前記オリフィスに輸送するようになっているマイクロ流体チャネルをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
検体を前記オリフィスに輸送するようになっている毛細管をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記毛細管は前記検知電極を支持する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
電解質系内の時変電流を検知するための装置であって、
第1の電解液を含む電解質槽を画定する第1の流体チャンバと、
第2の電解液を含む検知ボリュームを画定する第2の流体チャンバと、
オリフィスが配置された基板を含むバリア構造であって、該バリア構造は、前記第1の流体チャンバ及び前記第2の流体チャンバを分離し、該第2の流体チャンバは、前記オリフィスを介して該第1の流体チャンバと連通する、バリア構造と、
前記バリア構造の両端に電位差を確立し、前記オリフィスを通るイオン電流を駆動するための手段と、
前記第1の流体チャンバから前記第2の流体チャンバまで前記オリフィスを通過する前記時変イオン電流を検知する手段であって、それによってイオン電流信号を生成する、手段と、
配線によって前記電極に接続されると共に前記バリア構造の近傍に配置される増幅器であって、該増幅器は前記イオン電流信号を増幅し、該増幅器の入力における総静電容量は6pF未満である、増幅器と
を備える、装置。
【請求項23】
オリフィスを含むバリア構造によって第2の流体チャンバから分離された第1の流体チャンバを含む電解質系内の時変イオン電流を検知する方法であって、前記第2の流体チャンバは、前記オリフィスを介して前記第1の流体チャンバと連通し、該方法は、
検体を前記第1の流体チャンバ内に配置すること、
前記バリア構造の両端に電位差を確立し、前記オリフィスを通る時変イオン電流を駆動すること、及び
前記第1の流体チャンバから前記第2の流体チャンバまで前記オリフィスを通過する前記時変イオン電流を検知することであって、増幅器入力での総静電容量は10pF未満である、検知すること、
を含む、方法。
【請求項24】
前記オリフィスを膜でシールすることであって、それによって、前記膜の部分を前記オリフィス上に懸架する、シールすること、及び
前記バリア構造をガイドとして使用して、イオンチャネルを前記膜の前記部分上に配置すること、
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記検体に対する前記イオンチャネルの反応を記録することをさらに含む、請求項24に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−540332(P2009−540332A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515399(P2009−515399)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/011257
【国際公開番号】WO2007/145748
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(505388436)エレクトロニック・バイオサイエンシーズ・エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】