説明

電話機及び電話機の設定方法

【課題】ユーザの意図に反し留守動作モードを応答専用モードに設定されることを防ぐことが可能な留守番機能付き電話機を提供する。
【解決手段】電話機は、留守番機能を有し、留守動作モードとして、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を有する。自作メッセージ録音手段は、予めメモリ部に記録されていない自作メッセージの録音を行う。保持手段は、録音されたメッセージを保持するメモリである。出力手段は、自作メッセージの出力を行う。留守動作モード設定手段は、ユーザからの入力に基づき留守動作モードを設定する。ここで、留守動作モード設定手段は、自作メッセージ録音手段によって録音された自作メッセージが保持手段に保持され、かつ、応答メッセージとして設定されている場合にのみ、留守動作モードを応答専用モードに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留守番機能を有する電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、留守設定における留守動作モードとして、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行うモード(録音モード)と応答メッセージの出力のみ行うモード(応答専用モード)が存在する。例えば、特許文献1には、一定期間以上のキー押下期間があった場合には、留守動作モードを応答専用モードに設定し、一定期間以下のキー押下期間の場合には通常の録音モードに設定する留守番電話機が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−079786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、留守動作モードが3つ以上存在する場合には適用することができない。また、キー押下期間に基づき留守動作モードの変更を行うだけでは、ユーザの意図しない誤操作を十分に防止することができない。特に、ユーザは、録音モードに設定する意図を有する場合に、応答専用モードに誤設定したときには、用件メッセージの録音ができず損害が大きい。従って、電話機は、応答専用モードへの誤設定をできる限り抑制する必要がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、ユーザの意図に反し留守動作モードを応答専用モードに設定されることを防ぐことが可能な留守番機能付き電話機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を留守動作モードとして有する電話機であって、前記応答メッセージとして用いる自作メッセージを録音する自作メッセージ録音手段と、前記自作メッセージ録音手段によって録音されたメッセージを保持する保持手段と、前記自作メッセージを出力する出力手段と、外部からの入力に基づき前記留守動作モードを設定する留守動作モード設定手段と、を有し、前記留守動作モード設定手段は、前記自作メッセージ録音手段によって録音された自作メッセージが前記保持手段に保持され、かつ、前記応答メッセージとして設定されている場合にのみ、前記留守動作モードを応答専用モードに設定する。
【0007】
請求項6に記載の発明では、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を留守動作モードとして有し、録音されたメッセージを保持するメモリを有する電話機に適用され、前記応答メッセージとして用いる自作メッセージを録音する自作メッセージ録音工程と、前記自作メッセージを出力する出力工程と、外部からの入力に基づき前記留守動作モードを設定する留守動作モード設定工程と、を有し、前記留守動作モード設定工程は、前記自作メッセージ録音工程によって録音された自作メッセージが前記メモリに保持され、かつ、前記応答メッセージとして設定されている場合にのみ、前記留守動作モードを応答専用モードに設定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の1つの実施形態では、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を留守動作モードとして有する電話機であって、前記応答メッセージとして用いる自作メッセージを録音する自作メッセージ録音手段と、前記自作メッセージ録音手段によって録音されたメッセージを保持する保持手段と、前記自作メッセージを出力する出力手段と、外部からの入力に基づき前記留守動作モードを設定する留守動作モード設定手段と、を有し、前記留守動作モード設定手段は、前記自作メッセージ録音手段によって録音された自作メッセージが前記保持手段に保持され、かつ、前記応答メッセージとして設定されている場合にのみ、前記留守動作モードを応答専用モードに設定する。
【0009】
上記の電話機は、留守番機能を有し、留守動作モードとして、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を有する。電話機は、さらに、自作メッセージ録音手段と、保持手段と、出力手段と、留守動作モード設定手段と、を有する。自作メッセージ録音手段は、予めメモリ部に記録されていない自作メッセージの録音を行う。保持手段は、録音されたメッセージを保持するメモリである。出力手段は、自作メッセージの出力を行う。留守動作モード設定手段は、外部(ユーザ)からの入力に基づき留守動作モードを設定する。ここで、留守動作モード設定手段は、自作メッセージ録音手段によって録音された自作メッセージが保持手段に保持され、かつ、応答メッセージとして設定されている場合にのみ、留守動作モードを応答専用モードに設定する。このようにすることで、電話機は、ユーザ操作を複雑化することなく、録音されない応答専用モードへユーザが誤設定するのを防ぐことができる。
【0010】
上記の電話機の一態様では、前記出力手段は、設定確認用メッセージを出力し、前記留守動作モード設定手段は、前記設定確認用メッセージの出力中において、留守動作モード選択状態へ移行する信号を受信した場合に実行される。この態様では、電話機は、留守設定を有効にした場合において、留守動作モードの設定を可能にする。このようにすることで、電話機は、ユーザが意図せずに留守動作モードを変更するのを防ぐことができる。よって、電話機は、ユーザが応答専用モードへ誤設定するのを防ぐことができる。
【0011】
上記の電話機の他の一態様では、前記留守動作モード設定手段は、前記留守設定が無効になった場合、前記留守動作モードの設定を初期化する。この態様では、電話機は、ユーザの意思に基づき留守動作モードが応答専用モードに設定された場合であっても、留守設定を無効にするときは、留守動作モードも初期化する。このようにすることで、電話機は、ユーザが意図せずに留守動作モードの設定が保存されているのを防ぐ。従って、電話機は、ユーザの意図に反し留守動作モードが応答専用モードのまま継続して設定されるのを防ぐことができる。
【0012】
上記の電話機の好適な例では、前記留守動作モードの初期設定は、録音モードである。このようにすることで、電話機は、ユーザが明確な意思を有する場合を除き、留守動作モードが応答専用モードに設定されるのを防ぐことができる。
【0013】
上記の電話機の他の一態様では、表示部をさらに有し、前記留守動作モード設定手段は、前記留守動作モードの選択状態において、設定可能な留守動作モード及び当該留守動作モードの設定方法を前記表示部に表示させる。このようにすることで、電話機は、操作性を向上させることができ、ユーザが留守動作モードを応答専用モードへ誤設定するのを防ぐことができる。
【0014】
本発明の他の観点では、電話機の設定方法は、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を留守動作モードとして有し、録音されたメッセージを保持するメモリを有する電話機に適用され、前記応答メッセージとして用いる自作メッセージを録音する自作メッセージ録音工程と、前記自作メッセージを出力する出力工程と、外部からの入力に基づき前記留守動作モードを設定する留守動作モード設定工程と、を有し、前記留守動作モード設定工程は、前記自作メッセージ録音工程によって録音された自作メッセージが前記メモリに保持され、かつ、前記応答メッセージとして設定されている場合にのみ、前記留守動作モードを応答専用モードに設定する。このような方法を用いることによっても、ユーザが留守動作モードを応答専用モードへ誤設定するのを防ぐことが可能となる。
【実施例】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0016】
[概略構成]
まず、本発明の実施例に係る電話機の概略構成について説明する。図1は、実施例に係る電話機100の概略図の一例である。
【0017】
電話機100は、電話機能を実現するための機械(装置)であり、宅内に設置される固定電話機、又は宅外へ持ち運び可能な携帯電話機などに該当する。電話機100は、操作部1と、表示部2と、留守番部3と、メモリ部4と、回線制御部5と、制御部10と、を備える。
【0018】
操作部1は、電話番号の指定や電話機100の各種設定を行うための操作ボタン等である。本実施例において、操作部1は、留守番電話機能の有効化、無効化を切り替えるユーザインタフェース(例えば、ボタン)を有する。以後、ユーザの入力に基づき留守番電話機能を有効にすることを、「留守設定を有効にする」または「留守設定にする」と表現し、留守番電話機能を無効にすることを、「留守設定を無効にする」と表現する。さらに、操作部1は、留守設定時における電話機100の動作(応答)モード(以後、「留守動作モード」と呼ぶ。)をユーザが設定したい場合に押下するためのボタン等を有する。
【0019】
表示部2は、例えば、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子から構成される表示画面であり、制御部10等が生成した表示データを表示する。
【0020】
留守番部3は、音声合成、録音、再生などを行い、制御部10の制御に基づき、留守番機能を実現する。例えば、留守番部3は、留守動作モードが「録音モード」の場合、留守番電話機能による応答時に、制御部10の指示に基づきメモリ部4に記憶されている所定の応答メッセージを読み出して送出するとともに、応答メッセージ送出後に受信された受話信号(以後、「用件メッセージ」と呼ぶ。)をメモリ部4に記憶(録音)する。一方、留守動作モードが「応答専用モード」の場合、留守番部3は、留守番電話機能による応答時に、制御部10の指示に基づきメモリ部4に記憶されている所定の応答メッセージを読み出して送出するが、用件メッセージの録音は行わない。また、留守番部3は、図示しないマイクを介して入力された音声信号を録音する。以後、ユーザが自己の意図に基づき録音した音声信号を「自作メッセージMo」と表現し、予めメモリ部4に記憶されている応答メッセージを「テンプレートメッセージ」と表現する。電話機100は、ユーザの入力に基づき、各留守動作モードにおける応答メッセージをテンプレートメッセージに設定するか又は自作メッセージMoに設定するかの設定を行う。即ち、電話機100は、「録音モード」において、テンプレートメッセージまたは自作メッセージMoを利用することができ、「応答専用モード」においても、テンプレートメッセージまたは自作メッセージMoを利用することができる。
【0021】
メモリ部4は、例えばRAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)であり、所定の動作を行う際の制御プログラムを記憶する。また、メモリ部4は、留守設定時に用いる応答メッセージや、「録音モード」において録音した用件メッセージ、自作メッセージMoなどを記憶する。従って、メモリ部4は、本発明における保持手段に該当する。メモリ部4は、「録音モード」に用いる自作メッセージMoを記憶するための記憶領域(以後、「録音モード用メッセージ記憶領域」と呼ぶ。)と、「応答専用モード」に用いる自作メッセージMoを記憶するための記憶領域(以後、「応答専用モード用メッセージ記憶領域」と呼ぶ。)と、を個別または共通に有する。なお、電話機100は、録音モード用メッセージ記憶領域と応答専用モード用メッセージ記憶領域とを1つの共通する記憶領域にて保持することにより、メモリを節約することができる。
【0022】
回線制御部5は、電話機100と電話回線網との通話接続を制御する。また、回線制御部5は、電話機100が携帯電話の場合、無線アダプタ等として機能し、無線制御を行う。
【0023】
制御部10は、電話機100の全般的な制御を行う。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。本実施例において、制御部10は、出力手段と、留守動作モード設定手段と、自作メッセージ録音手段と、を有する。これらについての詳細は後述する。
【0024】
なお、上述の電話機100の構成は一例であり、本発明が適用可能な電話機100の構成は必ずしもこれに限定されない。例えば、電話機100は、IP(Internet Protocol)電話等であってもよい。この場合、電話機100は、閉域網または公衆回線網と電磁的に接続する。また、例えば制御部10及び留守番部3等は、1つのLSI(Large Scale Integration)等で実現されてもよい。
【0025】
[留守動作モードの設定方法]
次に、本実施例における留守動作モードの設定方法の詳細を述べる。図2は、電話機100の機能ブロック図の一例を示す。図2において、制御部10は、メッセージ出力部10aと、留守動作モード設定部10bと、自作メッセージ録音部10cと、を有する。
【0026】
まず、メッセージ出力部10aは、留守設定を有効にする操作信号Saを操作部1から受信する。この操作信号Saは、ユーザが操作部1の有するボタン等を押下することにより生成され、メッセージ出力部10aに送信される。そして、メッセージ出力部10aは、現在の留守動作モードの設定に従って、対応する応答メッセージを音声出力する。例えば、現在の留守動作モードが「録音モード」であり、かつ、「録音モード」において送出する応答メッセージがテンプレートメッセージに設定されている場合、メッセージ出力部10aは、そのテンプレートメッセージを出力する。以後、メッセージ出力部10aが出力する上述の応答メッセージを「設定確認用メッセージMc」と表現する。
【0027】
留守動作モード設定部10bは、ユーザの入力に基づき、留守動作モードの設定を行う。具体的には、留守動作モード設定部10bは、設定確認用メッセージMcの出力中において、留守動作モードを選択可能な状態(以後、「留守動作モード選択状態」と呼ぶ。)へ移行する旨の操作信号Sbを受信した場合に、留守動作モードの選択をユーザに促す。操作信号Sbは、ユーザが操作部1の有するボタンを押下することにより生成され、留守動作モード設定部10bに送信される。このように、設定確認用メッセージMcの出力中にのみ、留守動作モードの設定変更を可能にすることで、電話機100は、留守動作モードに対する誤設定を防ぐことができる。即ち、電話機100は、ユーザが意図せずに留守動作モードが「応答専用モード」に設定されるのを防ぐことができる。
【0028】
さらに、留守動作モード設定部10bは、ユーザに留守動作モードを選択させる場合、選択可能な留守動作モードと、その設定方法とを表示部2に表示させてもよい。図3(a)は、留守動作モード選択画面の一例を示す。図3(a)に示すように、画面70は、選択可能な留守動作モードとして、「録音モード」と「応答専用モード」と「消音モード」とを提示し、さらにその選択方法(本実施例では、押下するボタン)について示している。ここで、「消音モード」は、電話機100が応答メッセージ、呼び出し音、及び録音時の受信音声を出力しない場合の録音モードをいう。このようにすることで、電話機100は、操作性を向上させることができ、ユーザに対し誤操作させることなく留守動作モードを選択させることができる。なお、画面70は、選択方法として、押下するボタンを表示しているが、これに限られず、例えば、十時キーなどにより選択する旨を表示してもよい。
【0029】
そして、留守動作モード設定部10bは、ユーザが録音モードまたは消音モードを選択し決定したと確認した場合には、その設定を有効にする。一方、「応答専用モード」が選択された場合、留守動作モード設定部10bは、メモリ部4において、応答メッセージ用の自作メッセージMoが記録(録音)されているか否か確認する。即ち、留守動作モード設定部10bは、自作メッセージMoがメモリ部4に保持され、かつ、事前に応答メッセージとして設定されているか否か判断する。自作メッセージMoは、自作メッセージ録音部10cにより、ユーザ操作に基づき事前にメモリ部4へ録音される。また、自作メッセージMoは、例えば、ユーザ操作により事前に、または、録音完了後において自動的に応答メッセージとして設定される。
【0030】
そして、留守動作モード設定部10bは、自作メッセージMoが録音され、かつ、応答メッセージとして設定されている場合のみ、留守動作モードを「応答専用モード」に設定する。即ち、自作メッセージMoが録音されていない場合、留守動作モード設定部10bは、留守動作モードを「応答専用モード」に設定しない。
【0031】
一般には、ユーザは、「応答専用モード」を利用する頻度が「録音モード」と比較して少ない。また、「録音モード」等と誤って設定された場合には、録音ができず、ユーザの損害が大きい。従って、留守動作モード設定部10bは、ユーザ操作に基づき「応答専用モード」にする前に、自作メッセージMoが応答メッセージとして設定されているか否かを通じてユーザの意思確認を行う。このようにすることで、留守動作モード設定部10bは、ユーザが「録音モード」または「消音モード」に設定する意図を有しつつ「応答専用モード」に誤設定するのを防ぐことができる。なお、留守動作モード設定部10bは、上述の処理により、留守動作モードの設定操作を複雑化しておらず、ユーザの操作性は低下させていない。即ち、電話機100は、操作性を低下させることなく、誤設定を防止することができる。
【0032】
そして、留守動作モード設定部10bは、「応答専用モード」が選択されたものの、自作メッセージMoが録音されていない場合、または応答メッセージとして設定されていない場合、1つの方法として、留守動作モードを「応答専用モード」にせず、「録音モード」に設定する。他の方法として、留守動作モード設定部10bは、ユーザが「応答専用モード」を選択したが自作メッセージMoがない場合、ユーザに対し、自作メッセージMoが録音されていないため、留守動作モードを「応答専用モード」には設定できない旨の音声出力または画面出力をする。そして、留守動作モード設定部10bは、自作メッセージMoを録音するか否か選択するようにユーザに促す。図3(b)は、自作メッセージMoの録音の有無を選択させる画面表示の一例を示す。図3(b)に示すように、留守動作モード設定部10bは、自作メッセージMoがないと「応答専用モード」にはできない旨を画面71に表示し、ユーザに自作メッセージMoを録音するか否かを選択させる。そして、自作メッセージMoを録音するとユーザが選択し、決定した場合には、自作メッセージ録音部10cが自作メッセージMoの録音を実行する。このようにすることで、電話機100は、操作性を損なうことなく、留守動作モードの誤設定を防ぐことができる。
【0033】
また、留守動作モード設定部10bは、ユーザ操作に基づき留守設定を無効にする場合、留守動作モードの設定を初期化してもよい。即ち、留守動作モード設定部10bは、留守設定を有効にし、留守動作モード選択状態において「応答専用モード」に設定した場合であっても、留守設定を無効にする場合には、留守動作モードを初期設定(例えば、「録音モード」)にする。一般に、ユーザは、前回の留守設定時において設定した留守動作モードを忘れている場合がある。しかし、このような場合であっても、電話機100は、ユーザの意図に反して留守動作モードの設定が「応答専用モード」のまま継続されることを防ぎ、用件メッセージが録音できなくなるのを防ぐことができる。
【0034】
なお、図2において、留守動作モード設定部10bは、操作部1から操作信号Sa、Sbを受信していたが、これに代わり、留守動作モード設定部10bは、図示しない子機の操作部から操作信号Sa、Sbを受信してもよい。この場合、電話機100は、図1に示す回線制御部5により子機から送信される操作信号Sa、Sbを受信する。これにより、電話機100は子機からのユーザ操作によっても、留守動作モードの設定を変更することが可能となる。
【0035】
また、電話機100が録音モード用メッセージ記憶領域と応答専用モード用メッセージ記憶領域とを別々に有する場合、留守動作モード設定部10bは、応答専用モード用記憶領域に自作メッセージMoが格納されていることを確認することにより、留守動作モードを「応答専用モード」に設定するか否か決定してもよい。即ち、留守動作モード設定部10bは、応答専用モード用記憶領域に自作メッセージMoが格納されていることを確認することにより、自作メッセージMoがメモリ部4に保持され、かつ、事前に応答メッセージとして設定されているか否か判断を行う。この場合、電話機100は、例えば、ユーザ操作に基づき、又は音声解析等に基づき、録音した自作メッセージMoを録音モード用メッセージ記憶領域と応答専用モード用メッセージ記憶領域とのいずれに格納するか決定する。
【0036】
なお、電話機100は、自作メッセージMoの録音時または録音完了後若しくは留守動作モード選択状態において、その自作メッセージMoが録音モード用の自作メッセージMoまたは応答専用モード用の自作メッセージMoのいずれに該当するか音声解析を行って特定し、特定した留守動作モードに対応するフラグ等をその自作メッセージMoとともにメモリ部4に記憶してもよい。これにより、電話機100は、録音モード用メッセージ記憶領域と応答専用モード用メッセージ記憶領域とを各別に有しなくても、「応答専用モード」に対応するフラグとともに自作メッセージMoがメモリ部4に記憶されていることを確認することで、留守動作モードを「応答専用モード」に設定すべきか否か判断することができる。
【0037】
[処理フロー]
次に、図4に示すフローチャートを用いて留守動作モード設定に関する処理の手順について説明する。ステップS1乃至S14は、制御部10が実行する処理に該当する。制御部10は、図4に示すフローチャートの処理を、所定の周期に従って実行する。
【0038】
まず、制御部10は、留守設定操作があったか否かを監視する(ステップS1)。即ち、制御部10は、ユーザが留守設定を有効にする操作をしたか否かを監視する。そして、留守設定操作がない場合(ステップS1;No)、制御部10は、継続して留守設定操作の有無を監視する。
【0039】
一方、留守設定操作があった場合(ステップS1;Yes)、制御部10は、設定確認用メッセージMcの再生を開始する(ステップS2)。次に、制御部10は、留守動作モード選択状態への移行操作があるか否かを判定する(ステップS3)。そして、留守動作モード選択状態への移行操作がない場合(ステップS3;No)、制御部10は、設定確認用メッセージMcの再生が終了したか否かを判定する(ステップS4)。そして、設定確認用メッセージMcの再生が終了していない場合(ステップS4;No)、制御部10は、さらにステップS3において留守動作モード選択状態への移行操作があるか否かの判定を行う。即ち、制御部10は、設定確認用メッセージMcの再生中において、留守動作モード選択状態への移行操作があるか否か監視する。
【0040】
そして、留守動作モード選択状態への移行操作を検出しないまま設定確認用メッセージMcの再生が終了した場合(ステップS4;Yes)、制御部10は、留守動作モードを「録音モード」に設定し(ステップS5)、フローチャートの処理を終了する。
【0041】
一方、設定確認用メッセージMcの再生中において、留守動作モード選択状態への移行操作を検出した場合(ステップS3;Yes)、制御部10は、設定確認用メッセージMcの再生を停止する(ステップS6)。そして、制御部10は、留守動作モード選択状態へ移行する(ステップS7)。具体的には、制御部10は、図3(a)に示すような画面表示または音声案内を行うことで、ユーザに留守動作モードを選択、決定させる。
【0042】
そして、制御部10は、ユーザが「録音モード」を選択し、かつ決定したか否かを確認する(ステップS8)。そして、「録音モード」を選択し、かつ決定したことを確認した場合(ステップS8;Yes)、制御部10は、留守モードを「録音モード」に設定し(ステップS9)、フローチャートの処理を終了する。即ち、制御部10は、ユーザの選択に従って、留守動作モードの設定を行う。
【0043】
一方、ユーザにより「録音モード」が選択かつ決定されない場合(ステップS8;No)、制御部10は、次に、ユーザにより「応答専用モード」が選択され、かつ決定されたか否か確認する(ステップS10)。そして、「応答専用モード」が選択され、かつ決定されたことを確認した場合(ステップS10;Yes)、制御部10は、次に、自作メッセージMoが録音され、応答メッセージとして設定されているか否かを確認する(ステップS11)。そして、自作メッセージMoが録音かつ設定されている場合(ステップS11;Yes)、制御部10は、留守動作モードを「応答専用モード」に設定する(ステップS12)。即ち、この場合、制御部10は、ユーザが「応答専用モード」にする明確な意思があり、誤設定ではないと判断し、留守動作モードを「応答専用モード」に設定する。
【0044】
また、自作メッセージMoが録音されていないと判断した場合(ステップS11;No)、制御部10は、留守動作モードを「録音モード」に設定し(ステップS9)、フローチャートの処理を終了する。即ち、この場合、制御部10は、自作メッセージMoが録音されていないことにより、「応答専用モード」の選択及び決定には誤操作の可能性があると判断し、留守動作モードを「応答専用モード」には設定しない。このようにすることで、制御部10は、ユーザの意図に反し留守動作モードを「応答専用モード」に設定することを確実に防ぐことができる。
【0045】
一方、ユーザが「応答専用モード」を選択かつ決定していないと判断した場合(ステップS10;No)、制御部10は、次に、ユーザにより「消音モード」が選択され、かつ決定されているか確認する(ステップS13)。そして、「消音モード」が選択され、かつ決定されていると判断した場合、制御部10は、留守動作モードを「消音モード」に設定し(ステップS14)、フローチャートの処理を終了する。即ち、制御部10は、ユーザの選択に従って、留守動作モードの設定を行う。
【0046】
そして、「消音モード」が選択かつ決定していないと判断した場合(ステップS13;No)、制御部10は、再びステップS8に処理を戻す。即ち、制御部10は、ユーザによる留守動作モードについての選択かつ決定の操作があるまで、ステップS8、S10、及びS13における監視を継続する。
【0047】
なお、ステップS11において、制御部10は、自作メッセージMoが録音されていない場合には、強制的に留守動作モードを「録音モード」に設定した。しかし、制御部10は、「録音モード」に強制的に設定する前に、ユーザに対し、自作メッセージMoがないことにより、留守動作モードを「応答専用モード」には設定できない旨の警告を行ってもよい。また、制御部10は、図3(b)に示すように、警告後において、自作メッセージMoの録音を行うか否かを選択させる表示または音声案内を行ってもよい。これにより、ユーザが留守動作モードを「応答専用モード」に設定する意思を有する場合には、電話機100の指示に従い自作メッセージMoを録音することで、ユーザは留守動作モードを「応答専用モード」に設定することができる。
【0048】
以上に述べたように、留守番機能を有し、留守動作モードとして、応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を有する。電話機は、さらに、自作メッセージ録音手段と、保持手段と、出力手段と、留守動作モード設定手段と、を有する。自作メッセージ録音手段は、予めメモリ部に記録されていない自作メッセージの録音を行う。保持手段は、録音されたメッセージを保持するメモリである。出力手段は、自作メッセージの出力を行う。留守動作モード設定手段は、外部(ユーザ)からの入力に基づき留守動作モードを設定する。ここで、留守動作モード設定手段は、自作メッセージ録音手段によって録音された自作メッセージが保持手段に保持され、かつ、応答メッセージとして設定されている場合にのみ、留守動作モードを応答専用モードに設定する。このようにすることで、電話機は、操作を複雑化することなく、録音されない応答専用モードへユーザが誤設定するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施例に係る電話機の構成を示す概略図である。
【図2】電話機の機能ブロック図である。
【図3】電話機が出力する表示画面の一例を示す図である。
【図4】本実施例の処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 操作部
2 表示部
3 留守番部
4 メモリ部
5 回線制御部
10 制御部
100 電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を留守動作モードとして有する電話機であって、
前記応答メッセージとして用いる自作メッセージを録音する自作メッセージ録音手段と、
前記自作メッセージ録音手段によって録音されたメッセージを保持する保持手段と、
前記自作メッセージを出力する出力手段と、
外部からの入力に基づき前記留守動作モードを設定する留守動作モード設定手段と、を有し、
前記留守動作モード設定手段は、前記自作メッセージ録音手段によって録音された自作メッセージが前記保持手段に保持され、かつ、前記応答メッセージとして設定されている場合にのみ、前記留守動作モードを応答専用モードに設定することを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記出力手段は、留守設定が有効になった場合に、設定確認用メッセージを出力し、
前記留守動作モード設定手段は、前記設定確認用メッセージの出力中において、留守動作モード選択状態へ移行する信号を受信した場合に実行されることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項3】
前記留守動作モード設定手段は、前記留守設定が無効になった場合、前記留守動作モードの設定を初期化することを特徴とする請求項1または2に記載の電話機。
【請求項4】
前記留守動作モードの初期設定は、録音モードであることを特徴とする請求項3に記載の電話機。
【請求項5】
表示部をさらに有し、
前記留守動作モード設定手段は、前記留守動作モードの選択状態において、設定可能な留守動作モード及び当該留守動作モードの設定方法を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電話機。
【請求項6】
応答メッセージの出力後に用件メッセージの録音を行う録音モードと、応答メッセージの出力のみ行う応答専用モードと、を留守動作モードとして有し、録音されたメッセージを保持するメモリを有する電話機に適用され、
前記応答メッセージとして用いる自作メッセージを録音する自作メッセージ録音工程と、
前記自作メッセージを出力する出力工程と、
外部からの入力に基づき前記留守動作モードを設定する留守動作モード設定工程と、を有し、
前記留守動作モード設定工程は、前記自作メッセージ録音工程によって録音された自作メッセージが前記メモリに保持され、かつ、前記応答メッセージとして設定されている場合にのみ、前記留守動作モードを応答専用モードに設定することを特徴とする電話機の設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−16667(P2010−16667A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175372(P2008−175372)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000111878)パイオニアコミュニケーションズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】