説明

電話装置

【課題】多機能を備えつつ、設置規模やコストを抑制した電話装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電話回線3の2線の中点電圧値を出力する中点抽出回路17と、中点電圧値および電話回線3のそれぞれの電圧値に基づいて、回線電圧変動の検出および電話回線の極性の判定を検出する検出部18とを備えた。中点抽出回路17は、分割抵抗17a,17bとすることで、電話回線3の電圧変動の検出を、線間電圧の変動で検出するのではなく、留守番機能付き電話装置1のセットグランドとこの中点抽出回路17の出力との間の電圧を測定することで検出することができ、容易な電気回路の構成で中点電圧値を出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般公衆回線網または内線に接続される電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話回線は交換局からA線とB線といわれる2線で宅内にある電話装置と接続されている。この電話回線は、交換局から48Vが給電されている。
【0003】
電話回線は2線しかないため、電話装置で様々な機能を実現するために、電話回線の極性反転や電圧の変動を利用して行われる。
【0004】
例えば、交換局は、発信元確認などに用いられるコールIDの送信トリガとしてこの48Vの極性を反転させることで電話装置に通知する。
【0005】
また、オートディスコネクトと呼ばれる機能がある。これは、例えば2台の電話装置が別々の部屋に設置され、電話回線に並列に接続されており、そのうち1台が留守番電話機能付き電話装置とする。この留守番電話機能付き電話装置が着信すると自動的にオフフックしてメッセージ録音をする。このとき電話回線は48Vから6〜7V程度まで電圧が低下する。そしてメッセージ録音している最中に、他の部屋に設置された電話装置をオフフックすると、電話回線は負荷が増えたことにより5V付近まで電圧が低下する。留守番電話機能付き電話装置は、電話回線の電圧変動を検知してメッセージ録音を停止することで、無駄なメッセージ録音を途中で中止することができるという機能である。
【0006】
また、コーリング・パーティ・コントロール(Calling Party Control,以下、「CPC」と称す。)と呼ばれる機能がある。これは、通話中の電話装置に対して、交換局が通話相手のオンフックによる電圧変動から通話相手側回線の回線切断を検知すると、6V程度となっている通話中の電話装置側の回線電圧を所定時間だけ0Vとすることで通知する。電話回線が、通話中では6〜7V付近となっていた電圧が所定時間だけ0Vとなることで、通話相手の電話装置がオンフックされたことを検知して、留守番電話機能付き電話装置であればメッセージ録音を停止することができ、オートディスコネクトと同様に無駄なメッセージ録音を停止することができるという機能である。
【0007】
これらの機能を電話装置で実現するためには、電話回線の極性反転を検知する回路や、6〜7Vから5V程度まで電圧低下を検知する回路や、6〜7V付近となっていた電圧が一時的に0Vなることを検知する回路をそれぞれ設けていた。
【0008】
例えば、上述したオートディスコネクト機能を備えた電話装置が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載の電話装置は、電話回線の回線電流を整流部で電圧に変換し、A/D変換部でその電圧を測定する。フック状態検出部は、受話器の状態を検出して、オフフックした時点での回線電圧を初期値として記憶部に格納する。比較部は、定期的に測定した回線電圧と、記憶部に格納した初期値を比較する。そして比較結果として差が一定値以上となったら他の電話装置から使用要求があったものとして警報発生部が警報音を発生させ、使用者に注意を促すものである。
【特許文献1】特開平9−312690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の電話装置は、例えば特許文献1に記載の電話装置のように、オートディスコネク
ト機能を備えたものであっても、CPC機能や、交換局からコールIDを受信するトリガとなる極性反転を検出する機能を備えるためには、別に回路を設ける必要がある。
【0010】
つまり、それぞれの機能を備えるためには、回路を追加する必要があり、部品点数が増加するので、装置規模が大きくなるとともに、コストが上がる。
【0011】
電話装置は、家庭では設置する場所も限られており、電話台などの上に置かれることも多い。そのため、多機能を備えた電話装置としても、回路部品が増え、搭載する基板の面積が広くなることによる設置面積を広くすることができないため、回路部品の増加は大きな問題となる。
【0012】
そこで本発明は、多機能を備えつつ、設置規模やコストを抑制した電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電話装置は、電話回線の2線の中点電圧値を出力する中点抽出手段と、前記中点電圧値および前記電話回線のそれぞれの電圧値に基づいて、回線電圧変動の検出および前記電話回線の極性の判定を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電話装置によれば、電話回線の電圧変動を2線の中点電圧値を出力する中点抽出手段を備え、中点電圧値および電話回線のそれぞれの電圧値に基づいて、検出手段が回線電圧変動の検出および前記電話回線の極性の判定を検出するので、多機能を備えつつ、設置規模やコストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本願の第1の発明は、電話回線の2線の中点電圧値を出力する中点抽出手段と、中点電圧値および電話回線のそれぞれの電圧値に基づいて、回線電圧変動の検出および電話回線の極性の判定を検出する検出手段とを備えたことを特徴としたものであり、中点抽出手段が電話回線の2線の中点電圧値を出力し、この中点電圧値と、電話回線のそれぞれの電圧値とに基づいて、制御手段が回線電圧変動の検出と電話回線の極性の判定を検出するので、発信元確認などに用いられるコールIDの送信トリガとして交換局から通知される電話回線の極性反転や、通話中の電話回線の電圧変動によるオートディスコネクトや、CPCなどの機能を備えることができる。
【0016】
本願の第2の発明は、中点検出手段は、分割抵抗もしくはカソード同士を接続したダイオードとしたものであり、電話回線の2線を分割抵抗もしくはカソード同士を接続したダイオードで接続することで、容易な電気回路の構成で中点電圧値を出力することができる。
【0017】
本願の第3の発明は、回線電圧変動の検出は、中点電圧値と所定の閾値電圧とを比較し、中点電圧値が閾値電圧を上回る、または下回ることを検出することであり、電話回線の中点電圧値が第1の閾値電圧(相対値(変化量))を上回る、または下回ることを検出することで電話回線の電圧変動を容易に判定することができる。
【0018】
本願の第4の発明は、電話回線の極性の判定の検出は、電話回線のそれぞれの電圧値と第2の閾値電圧とを比較し、電話回線のそれぞれの電圧値が第2の閾値電圧を上回る、または下回ることを検出することであり、電話回線のそれぞれの電圧値が第2の閾値電圧(絶対値)を上回る、または下回ることを検出することで電話回線の極性の反転を容易に判定することができる。
【0019】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧検出回路の構成を、留守番機能付き電話装置を例に、図1および図2に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧検出回路の構成を示す図である。図2は中点抽出回路の構成を示す図である。
【0020】
図1に示すように、留守番機能付き電話装置1の回線電圧検出回路は、電話回線3に接続され宅内に設置されている。この留守番機能付き電話装置1の他に、電話装置2が電話回線3に並列に接続されている。電話回線3は図示しない交換局の交換機と接続されている。
【0021】
電話回線3は、2線式であり、A線3aとB線3bとで構成され、このA線3aとB線3bとの線間に交換機から、無通話状態で約48Vの直流の線間電圧がかかっている。
【0022】
電話回線3は、整流子11aにB線3bがフックスイッチ12を経由して接続されている。フックスイッチ12は、後述する制御部により着信を検知すると短絡して導通することで、この留守番機能付き電話装置1がオフフックした状態とするスイッチである。
【0023】
整流子11aとトランス11bとで回線1次側を形成し、オフフック状態でDCループとなるようにしている。
【0024】
電話回線3のA線3aとB線3bとは、それぞれ絶縁回路13a,13bとに接続されている。この絶縁回路13a,13bのそれぞれは、同一の抵抗値を持つ2つの抵抗を直列に接続した回路であり、電話回線規格の絶縁抵抗規格(A線3aとセットグランドとの間、およびA線3bとセットグランドとの間)による値になる。電話回線規格一般に絶縁回路13a,13bはそれぞれを数十MΩとなる。絶縁回路13a,13bのそれぞれを数十MΩとした高抵抗とすることで、高電圧がかかる電話回線3側と、操作者が触れると感電する可能性のある留守番機能付き電話装置1側とを擬似的に分離するアイソレータとなる。
【0025】
絶縁回路13a,13bは高抵抗であるため、絶縁回路13a,13bから出力された電話回線3のA線3aとB線3bからの電圧は微小となる。そのため電圧をA線増幅回路14aとB線増幅回路14bとでA線3a側とB線3b側のそれぞれを増幅する。これらA線増幅回路14aとB線増幅回路14bからの出力は、後述するAD変換器の入力電圧に対応させるように、A線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bとにより調整される。
【0026】
ゲイン調整回路16は、A線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bとの電圧の調整度合いを制御する回路である。オンフック状態とオフフック状態とでは電話回線3の電圧が大きく異なり、オンフック状態では、例えば電話回線3の線間電圧を0V付近から50V付近まで監視する必要があり、オフフック状態では電話回線3の線間電圧を0V付近から10V付近まで監視する必要がある。ゲイン調整回路16は、フックスイッチ12の状態に従って、オンフック状態とオフフック状態とに応じてA線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bとの電圧調整の度合いを変更する。このように状態に応じて適切な電圧に調整することで、後述する検出部での電圧の監視の精度を向上させることができる。
【0027】
調整されたA線とB線は、中点抽出回路17に接続されている。中点抽出回路17は、A線とB線との線間電圧の中点電圧値を出力する。この中点抽出回路17は、たとえば図
2(a)に示すように分割抵抗とすることで、容易に中点電圧値を出力することができる。つまり、電話回線3の電圧変動の検出を、線間電圧の変動で検出するのではなく、留守番機能付き電話装置1のセットグランドとこの中点抽出回路17の出力との間の電圧を測定することで検出することができる。この分割抵抗の抵抗17aと抵抗17bとは同じ抵抗値(電圧値)とするのが望ましい。同じ抵抗値(電圧値)とすることで、A線3a側とB線3b側との線間電圧の半分の電圧値を出力することができる。また中点抽出回路17は、図2(b)に示すように、ダイオード17c,17dのカソード同士を接続した構成としてもよい。
【0028】
A線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bと中点抽出回路17との出力は、A線電圧調整回路15aの出力をLine-DCIN+とし、B線電圧調整回路15bの出力をLine-DCIN-とし、中点抽出回路17の出力をOFF-HOOK_LINE-DCINとして、検出部18に接続されている。
【0029】
検出部18は、これらのA線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bと中点抽出回路17との出力に基づいて、電話回線3の電圧変動の検出および電話回線3の極性の判定を検出している。
【0030】
検出部18は、それぞれの電圧をデジタル値へ変換するAD変換器18aと、デジタル変換された信号を所定の閾値電圧と比較する制御部18bと、制御部18bに所定時間を通知するタイマ18cとを備えている。
【0031】
AD変換器18aは、A線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bと中点抽出回路17との出力の電圧値をデジタル値へ変換する。
【0032】
制御部18bは、AD変換器18aによりデジタル変換された電圧値により、回線電圧の変動または極性の判定を行う。
【0033】
回線電圧の変動は、フックスイッチ12がオフフック状態(短絡状態)において、中点抽出回路17の出力であるOFF-HOOK_LINE-DCINの電圧値が、制御部18bに設定された所定の電圧(第1の閾値電圧)を上回るまたは下回る変化をしたことを制御部18bにより検出する。また、極性の判定は、フックスイッチ12がオンフック状態(開放状態)において、A線電圧調整回路15aの出力であるLine-DCIN+と、B線電圧調整回路15bの出力であるLine-DCIN-とが、制御部18bに設定された所定の電圧(第2の閾値電圧)を、上回るまたは下回る変化をしたことを制御部18bにより検出する。この検出は、制御部18bが有するメモリにAD変換器18aの電圧値を格納して、前回格納した電圧値と比較することで電圧値が変動したか否かで行われる。
【0034】
また、制御部18aは、フックスイッチ12を制御する機能を有している。例えば、図示しない着信検出回路からの通知により、フックスイッチ12を短絡させてオフフック状態としたり、通話が完了するとフックスイッチ12を開放してオンフック状態としたりする。
【0035】
タイマ18cは、所定時間の計測をして制御部18bへ通知する。
【0036】
以上のように構成される本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧検出回路の動作を図3から図8に基づいて説明する。図3は本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧検出回路の動作を説明するフローチャートである。図4(a)〜(c)は通話中に併設電話装置2がオフフックされた場合の電圧変動を説明する図、図5はオートディスコネクト閾値の設定を説明する図である。図6は本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧
検出回路の動作を説明するフローチャートである。図7(a)〜(b)は電話回線の極性反転時の電圧変動を説明する図、図8は極性反転を判定するための閾値の設定を説明する図である。
【0037】
まず、留守番機能付き電話装置1の回線電圧検出回路による電話回線3の電圧変動の検出を図3に基づいて説明する。
【0038】
図3に示すように、留守番機能付き電話装置1の初期状態は、オンフック状態であり、回線捕捉待ちまたは極性反転待ち状態である(S100)。そして着信検出回路にて着信が検出されない場合はS100を繰り返す(S110)。
【0039】
着信検出回路にて着信を検出すると、オフフックとするようフックスイッチ12を短絡状態とし、図示しない留守番機能を有する回路である留守番電話部により留守録を開始する(S120)。
【0040】
電話回線3のA線3aとB線3cとは、絶縁回路13a,13bとを介してA線増幅回路14aとB線増幅回路14bとで電流が増幅され、A線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bとで電圧が調整され、中点抽出回路17により中点電圧値をOFF-HOOK_LINE-DCINとして検出部18へ入力される。
【0041】
検出部18に入力されたOFF-HOOK_LINE-DCINは、AD変換器18aによりデジタル値に変換されて制御部18bのメモリに格納される。制御部18bは、このAD変換器18aからの出力を周期的に読み取りメモリに格納する(S130)。
【0042】
制御部18bは、AD変換器18aから読み込むと、前回メモリに格納した電圧値と比較して異なるか否かで電話回線3の電圧が変動したか否かを判定する。電話回線3の電圧が変動していない場合は、S130へ移行する。そして、制御部18bは、これを周期的に繰り返すことで、電話回線3の電圧変動の監視を行っている(S140)。
【0043】
S140にて電話回線3の電圧変動を検出すると、CPC閾値(絶対値)を下回ったか否かを判定する。これは、交換局が留守番機能付き電話装置1の通話相手のオンフックによる電圧変動から、通話相手側の電話回線3の回線切断を検知すると、通話中で6Vとなっている電話回線3の電圧を0VとするCPCの通知を判定することである。つまりCPC閾値は、電話回線3上で、6Vが0Vとなったか否かを判定するための閾値である(S150)。
【0044】
S150にて、OFF-HOOK_LINE-DCINをAD変換器18bにより変換した電圧値が、CPC閾値(絶対値)を下回った場合に、CPC閾値(絶対値)を下回った時間が所定時間以上か否かを判定する。これは制御部18bがタイマ18cにより時間計測を行って判定をする(S160)。
【0045】
S160にて所定時間に満たない場合はS140へ移行する。所定時間以上の場合は、交換局からCPCの通知であるため、通話相手が回線切断したことを意味しているので、留守録を停止するように、制御部18bは留守番電話部へ通知する(S170)。
【0046】
S150にて、制御部18bによりCPC閾値(絶対値)を下回っていないと判定されると、ディスコネクト閾値(相対値(変化量))を上回ったか否かを判定する。これは留守番電話機能付き電話装置1が通話中である場合に、6V程度となっている電話回線3が、電話装置2のオフフックにより5V程度まで更に低下したか否かを判定することである。つまりディスコネクト閾値(相対値(変化量))は、電話回線3上で、6V程度となっ
た電話回線3の電圧が、約5V程度となったか否かを判定する閾値である。ディスコネクト閾値(相対値(変化量))を上回っていない場合は、S130へ移行する。(S180)。
【0047】
S180にて、OFF-HOOK_LINE-DCINをAD変換器18aにより変換した電圧値が、ディスコネクト閾値(相対値(変化量))を上回った場合に、ディスコネクト閾値(相対値(変化量))を超えた時間が所定時間以上か否かを判定する。これは制御部18bがタイマ18cにより時間計測を行って判定をする。所定時間を超えていない場合は、S130へ移行する(S190)。
【0048】
S190にて所定時間以上であると判定された場合は、電話装置2がオフフックしたことを意味しているので、留守録を停止するように、制御部18bは留守番電話部へ通知する(S200)。
【0049】
ここで、電話回線3のオートディスコネクトによる電圧変動について図4に基づいて詳細に説明する。図4は、通話中(電話装置1自体がオフフック状態)において、タイミングT1で電話装置2がオフフックされた場合を示す。図4(a)はA側の線3aとB側の線3bの電圧変化を、また図4(b)はA側のLine-DCIN+とB側のLine-DCIN-の電圧変化を示す。また図4(c)は、Line-DCIN+とLine-DCIN-との中点電圧であるOFF-HOOK_LINE-DCINの電圧変化を示す。
【0050】
電話装置1がオフフック状態になると(通話中)、電話回線3は、線間電圧48Vが6V付近まで電圧降下する。図4(a)の例ではセットグランドに対してA線3a側が0V、B線3b側が6Vで線間電圧が6Vとなっている。この状態でタイミングT1にて電話装置2がオフフックすると、B側電圧が5V程度まで低下する。
【0051】
電圧低下した電話回線3のA線3aとB線3bは、それぞれ絶縁回路13a,13bと、A線増幅回路14a,14bと、A線電圧調整回路15a,15bとで増幅および電圧が調整される。図4(b)に示すように、電話回線3のA線3aは変動がないため、Line-DCIN+は変動しないが、B線3bはタイミングT1にて変動しているため、Line-DCIN-がタイミングT1にて電圧変動する。従って、図4(c)に示すように、Line-DCIN+とLine-DCIN-との中点電圧であるOFF-HOOK_LINE-DCINは、Line-DCIN+とLine-DCIN-との電圧値の和の1/2の値となる。
【0052】
制御部18bは、このようにOFF-HOOK_LINE-DCINの電圧変動を検出すると、図5に示すようにオートディスコネクト閾値(相対値(変化量))を上回った否かを判定することで、通話中に電話装置2がオフフックしたか否かを判定する。またこの判定をタイマ18cにより所定時間以上継続しているか否かを判定することで、電話回線3の一時的な電圧変動による誤検知を防止する。
【0053】
次に、留守番機能付き電話装置1の回線電圧検出回路による電話回線の極性の判定の検出を図6に基づいて説明する。
【0054】
図6に示すように、A線電圧調整回路15aとB線電圧調整回路15bとで電圧が調整されたLine-DCIN+とLine-DCIN-とを入力したAD変換器18aによりデジタル値に変換されて制御部18bのメモリに格納される。制御部18bは、このAD変換器18aからの出力を周期的に読み取りメモリに格納する(S210)。
【0055】
制御部18bは、AD変換器18aからの読み込むと、前回メモリに格納した電圧値と比較して異なるか否かで電話回線3の電圧が変動したか否かを判定する。電話回線3の電
圧が変動していない場合は、S210へ移行する。そして、制御部18bは、これを周期的に繰り返すことで、電話回線3の電圧変化の監視を行っている(S220)。
【0056】
S220にて電話回線3の電圧変化を判定すると、制御部18bは、変化後のLine-DCIN+とLine-DCIN-とを入力したAD変換器18aの電圧値を読み込む(S230)。
【0057】
制御部18bは、所定の閾値電圧(極性判定閾値(絶対値))をLine-DCIN+およびLine-DCIN-が上回って、または下回って電圧変動したか否かを判定する。極性判定閾値(絶対値)を上回って、または下回っていない場合はS210へ移行する。極性判定閾値を上回って、または下回っている場合は、制御部18bは電話回線3の極性が反転したと判定する(S240)。この極性反転は、交換局がコールIDの送信トリガとして通知するなどであるため、制御部18bはコールIDの受信の準備をする(S250)。
【0058】
ここで、この極性反転時の電圧変動を図7に基づいて詳細に説明する。図7(a)はA線3aとB線3bは電圧変動を示し、図の例では、極性反転の前はA側の線3aは0V,B側の線3bは48Vである。この状態でタイミングT2にて交換局がコールIDの送信トリガとなる極性反転をしたとする。極性反転により、A側の線3aは48V,B側の線3bは0Vに変わる。極性反転した電話回線3のA線3aとB線3bは、それぞれ絶縁回路13a,13bと、A線増幅回路14a,14bと、A線電圧調整回路15a,15bとで増幅および電圧が調整される。
【0059】
図7(b)はA側のLine-DCIN+とB側のLine-DCIN-の電圧変化を示す。図7(b)に示すように、電話回線3のA線3aはタイミングT2にて0Vから48Vへ変動しているため、Line-DCIN+は0Vからプラス電圧方向へ変動する。またB線3bはタイミングT2にて48Vから0Vへ変動しているためLine-DCIN-はタイミングT2にて0Vとなる。
【0060】
制御部18bは、このようなLine-DCIN+とLine-DCIN-の電圧変動を検出すると、図8に示すように、閾値電圧(絶対値)を上回って、または下回ってか否かを判定することで極性反転を検出する。
【0061】
以上のように、本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧変動検出回路によれば、中点抽出回路17が電話回線3の2線の中点電圧値を出力し、この中点電圧値と、電話回線3のそれぞれの電圧値とに基づいて、制御部18bが回線電圧3の電圧変動の検出と電話回線3の極性の判定を検出するので、発信元確認などに用いられるコールIDの送信トリガとして交換局から通知される電話回線3の極性反転や、通話中の電話回線3の電圧変動によるオートディスコネクトや、CPCなどの機能を備えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、多機能を備えつつ、設置規模やコストを抑制することができるので、一般公衆回線網または内線に接続される電話装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧検出回路の構成を示す図
【図2】中点抽出回路の構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧検出回路の動作を説明するフローチャート
【図4】通話中に併設電話装置がオフフックされた場合の電圧変動を説明する図
【図5】オートディスコネクト閾値の設定を説明する図
【図6】本発明の実施の形態に係る電話装置の回線電圧検出回路の動作を説明するフローチャート
【図7】電話回線の極性反転時の電圧変動を説明する図
【図8】極性反転を判定するための閾値の設定を説明する図
【符号の説明】
【0064】
1 留守番機能付き電話装置
2 電話装置
3 電話回線
3a A線
3b B線
11a 整流子
11b トランス
12 フックスイッチ
13a,13b 絶縁回路
14a A線増幅回路
14b B線増幅回路
15a A線電圧調整回路
15b B線電圧調整回路
16 ゲイン調整回路
17 中点抽出回路
18 検出部
18a AD変換器
18b 制御部
18c タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線の2線の中点電圧値を出力する中点抽出手段と、
前記中点電圧値および前記電話回線のそれぞれの電圧値に基づいて、回線電圧変動の検出および前記電話回線の極性の判定を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記中点抽出手段は、分割抵抗もしくはカソード同士を接続したダイオードである請求項1記載の電話装置。
【請求項3】
前記回線電圧変動の検出は、前記中点電圧値と第1の閾値電圧とを比較し、前記中点電圧値が前記第1の閾値電圧を上回る、または下回ることを検出することである請求項1または2記載の電話装置。
【請求項4】
前記電話回線の極性の判定の検出は、前記電話回線のそれぞれの電圧値と第2の閾値電圧とを比較し、前記電話回線のそれぞれの電圧値が前記第2の閾値電圧を上回る、または下回ることを検出することである請求項1から3のいずれかの項に記載の電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−5428(P2006−5428A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176827(P2004−176827)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】