説明

電話転送システム及び方法

【課題】回線交換網を介して着信した呼を回線交換網経由で転送する際、転送に先立って発信者番号を転送先の電話端末に通知する。
【解決手段】第1の電話番号を有する発信元端末から回線交換網を介して第2の電話番号に発信する。第2の電話番号を有する転送装置が第1の電話番号を記憶装置に格納し、転送先として登録済みの第3の電話番号に対して回線交換網を介して発信する。第3の電話番号を有する転送先端末が、第2の電話番号に基づいて認証を行ない、認証が成功すると、転送先端末の認証情報をパケット交換網経由でサーバに送信する。サーバが認証情報に基づいて転送先端末を認証し、認証が成功すると、第1の電話番号に対応するハイパーテキスト文書を、パケット交換網経由で転送先端末に送信し、転送先端末がハイパーテキスト文書を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話の転送に関し、特に、一般的な携帯電話端末のように入力装置及び表示装置を備え、ウェブブラウザを表示可能な電話端末への転送に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスの電話端末への着信を出先でも受けられるようにする技術として所謂転送電話がある。携帯電話の普及に伴い、転送電話のニーズは以前よりも高まっている。
【0003】
従来の転送電話は概ね次のように行なわれる。発信者がオフィスに電話し、オフィスの構内交換機、ボタン電話装置、或いは電話転送装置等(以下これら装置を総称して転送装置と記す)に着信すると、転送装置は、予め定められた転送先の電話端末に対して発信する。転送先の電話端末が応答すると、転送装置は、発信元の着信呼と転送先とを接続する。
【0004】
他方、電気通信事業者は電話付加サービスとして発信者番号通知サービスを提供している。このサービスでは、発信端末の電話番号を示す信号が着信とともに着信端末に通知される。このサービスを利用することにより、着信端末の利用者は通話を開始する前に発信者の電話番号を知ることができる。
【0005】
ここで発信者番号通知サービスを利用しつつオフィスへの電話を携帯電話端末に転送する場合を考える。一般的な携帯電話端末はディスプレイ装置を備え、着信を検出すると、ディスプレイ装置に転送電話の発信元であるオフィスの電話番号を表示するが、発信者の電話番号については表示することができない。このため、携帯電話端末の利用者は、オフィスの誰かが発信した呼が着信したのか、それとも、オフィス外の誰かがオフィスに発信し、オフィスから転送された呼が着信したのかをオフフック前に識別することができない。
【0006】
一部の電話番号を転送専用番号と定め、転送のための発信を行なう際には転送専用番号から行なうことにより、通知された電話番号に基づいてその着信が転送呼であるか否かを転送先端末にて識別するように構成することは可能である。しかしながら、この場合でも、単に転送呼であるか否かが分かるだけであり、発信元の電話番号は分からない。
【0007】
転送電話に関連する発明が記載された文献として特許文献1を例示する。特許文献1には、発信元のSIP電話端末からINVITEメッセージを受信すると、受信したINVITEメッセージから発信者番号及び着信先番号を取得し、取得した発信者番号に対応する顧客情報を含むINVITEメッセージを生成して、転送先のSIP電話端末に送信することにより、転送先のSIP電話端末に発信者番号に対応する顧客情報を通知するSIPサーバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−135044、第0019段落
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、回線交換網を介して着信した呼を、回線交換網を介して転送する際、転送に先立って、発信者番号を転送先の電話端末に通知する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、第1の電話番号を有する電話端末である発信元端末からの発信を転送し、回線交換網に接続され、第2の電話番号を有する転送装置、及び、前記転送装置とパケット交換網との両方に接続されたサーバを備え、前記発信元端末から、前記回線交換網を介し、発信者番号となる前記第1の電話番号を通知する状態で、前記第2の電話番号に発信した呼が着信すると、前記転送装置は、当該着信に応じて、通知された前記第1の電話番号を、パケット通信網に接続されたサーバからアクセス可能な記憶装置に格納し、前記転送装置は、予め記憶装置に転送先として格納されている第3の電話番号に対し、発信者番号となる前記第2の電話番号を通知する状態で、前記発信元端末からの着信を転送するための発信を、前記回線交換網を介して行ない、着信に応じて、前記第3の電話番号を有する電話端末である転送先端末が、通知された前記第2の電話番号に基づいて認証を行ない、認証が成功すると、前記転送先端末が前記パケット通信網を介して送信する、前記転送先端末を認証するための認証情報を前記サーバは受信し、前記サーバは、前記認証情報に基づいて前記転送先端末を認証し、認証が成功すると、予め生成された前記第1の電話番号に対応するハイパーテキスト文書を前記転送先端末にて表示するため、前記パケット通信網を介して前記転送先端末に送信することを特徴とする電話転送システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、他の一態様として、第1の電話番号を有する電話端末である発信元端末から、回線交換網を介し、発信者番号となる前記第1の電話番号を通知する状態で、第2の電話番号に発信する段階と、前記第2の電話番号を有する転送装置が、着信に応じて、通知された前記第1の電話番号を、パケット交換網に接続されたサーバからアクセス可能な記憶装置に格納するとともに、予め前記転送装置に転送先として登録された第3の電話番号に対し、発信者番号となる前記第2の電話番号を通知する状態で、前記発信元端末からの着信を転送するための発信を、前記回線交換網を介して行なう段階と、着信に応じて、前記第3の電話番号を有する電話端末である転送先端末が、通知された前記第2の電話番号に基づいて認証を行ない、認証が成功すると、前記転送先端末を認証するための認証情報を、前記パケット交換網を介して前記サーバに送信する段階と、前記サーバが、前記認証情報に基づいて前記転送先端末を認証し、認証が成功すると、予め生成された前記第1の電話番号に対応するハイパーテキスト文書を、前記パケット交換網を介して前記転送先端末に送信する段階と、前記転送先端末が前記ハイパーテキスト文書を表示する段階とを含むことを特徴とする電話転送方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発信元端末からの回線交換網を介した着信を、回線交換網を介して転送先端末に転送する際、転送先端末に発信元電話番号を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態である電話転送システム1のブロック図である。
【図2】転送先端末5のブロック図である。
【図3】転送装置2のブロック図である。
【図4】Webサーバ6のブロック図である。
【図5】電話転送システム1の転送動作を説明するための図である。
【図6】転送電話の着信時に転送先端末5の表示部14に表示されるhtml文書の例を説明するための図である。
【図7】転送先端末5による転送装置2の遠隔操作について説明するための図である。
【図8】電話転送システム1の変形である電話交換システム60のブロック図である。
【図9】電話転送システム1の変形である電話転送システム70のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態である電話転送システム1について図1を参照して説明する。転送装置2にはPSTN3(公衆交換電話網)の電話回線が接続され、転送装置2の先には電話端末4が接続されている。ここで、転送用の回線をPSTNとしているが、IP回線など転送用に使用できるものであれば、特にこだわるものではない。電話端末4の電話番号を03−3333−4444とする。電話端末4への着信を検出すると、所定の携帯電話端末(転送先端末5)に転送するように転送装置2には設定されている。転送先端末5の電話番号を090−5555−6666とする。転送先端末5は移動体通信網7を介してPSTN3及びインターネット8に接続可能である。転送装置2にはWebサーバ6が接続され、Webサーバ6はインターネット8に接続されている。Webサーバ6には転送先端末5の端末固有識別子が予め登録されている。端末固有識別子は個々の端末毎に固有の識別子である。転送先端末5の端末固有識別子をXYZとする。
【0015】
更に図2を参照すると、転送先端末5は記憶部11、制御部12、Webブラウザ13、表示部14、無線通信部15、入力部16、音声入出力部17を備える。転送先端末5は典型的には携帯電話端末であるが、Webブラウザと表示装置を備えていれば特に端末はこだわらない。
【0016】
記憶部11は記憶装置であり、転送先端末5の電話番号(ここでの値は090−5555−6666とする)、転送先端末5の端末固有識別子(ここでの値はXYZとする)を予め記憶している。転送先端末5の電話番号を端末固有識別子としても用いてもよい。或いは、加入者識別モジュールカード(SIMカード)に含まれた加入者固有のID番号を端末固有識別子として用いてもよい。端末を識別できるものであればそれにこだわらない。
【0017】
また、転送電話の着信に先立って、転送元となる転送装置2が転送動作のための発信に際して使用する回線の電話番号(以下、転送元電話番号、ここでの値は03−3333−4444とする)と、Webサーバ6が提供するWebページのURL(Uniform Resource Locator)を記憶部11に保存しておく。
【0018】
制御部12はCPU等のプロセッサ、メモリからなり、転送先端末5の動作を制御する。制御部12は着信時に受信した発信者番号を比較する番号比較部18を備える。転送先端末5に着信があると、番号比較部18は、記憶部11に保存されている転送元電話番号と、電気通信事業者の発信者番号通知サービスにより通知される、発信元の電話番号とを比較し、両者が一致する場合、制御部12はWebブラウザ13を起動する。
【0019】
Webブラウザ13はhtml文書を解析し表示する。Webブラウザ13は、端末固有識別子を含むhttpリクエストを生成するhttpリクエスト生成部19、Webサーバ6からのhttpレスポンスにより受信したhtml文書を解析するhtml文書解析部20、解析したhtml文書を表示するhtml文書表示部21を備える。
【0020】
表示部14は表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ装置や有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ装置である。
【0021】
無線通信部15は移動体通信網7の無線基地局との間で無線通信を行なうことにより、移動体通信網7及びPSTN3を介して転送装置2からの着信を受ける。また、移動体通信網7及びインターネット8を介してWebサーバ6との間でデータ通信を行なう。
【0022】
入力部16は転送先端末5の利用者の操作を受け付けるための入力装置であり、例えばテンキー、方向キー等のキーボード、タッチパッド、ポインティングスティック等のポインティングデバイスである。
【0023】
音声入出力部17は通話等のための音声の入出力を行なう装置であり、例えばマイクロフォン、スピーカである。
【0024】
無線通信部15に着信があると、発信者番号通知サービスにより着信に際して通知される発信者番号と、記憶部11に保存してある転送元電話番号とを番号比較部18にて比較する。
【0025】
両者が一致する場合、制御部12はWebブラウザ13を起動する。httpリクエスト生成部19は、予め記憶部11に保存してあるURLに接続するためのhttpリクエスト情報を生成し、無線通信部15から移動体通信網7、インターネット8を介してWebサーバ6に送信する。このとき、httpリクエスト情報には記憶部11に保存してある端末固有識別子を含むようにする。無線通信部15にてhttpレスポンスを得ると、html文書解析部20はhttpレスポンスを解析して、その中に含まれているhtml文書を解析する。解析結果に基づいて、html文書表示部21は表示部14にそのhtml文書を表示する。両者が一致しない場合、制御部12は通常の着信として処理を行なう。
【0026】
後述するように、転送先端末5のユーザは入力部16を介して操作を行うことによりWebサーバ6が提供するWebページを介して転送装置2を遠隔操作することができる。このときは、ユーザの操作に応じて制御部12はhttpリクエスト生成部19は記憶部11に保存してある端末固有識別子を含むhttpリクエスト情報を生成してWebサーバ6に送信する。これに応答して受信するhttpレスポンスの処理については先と同様である。
【0027】
図3に示すように、転送装置2は制御部30、転送部31、記憶部32、留守番電話機能部33を備える。
【0028】
制御部30は転送装置2の動作を制御する。特に、制御部30は、電話端末4からの制御信号、及び、Webサーバ6からの制御信号に応じて、転送部31の起動、停止、転送部31による転送動作に関する動作設定の変更等の制御を行なう。また、Webサーバ6からの制御信号に応じて、電話端末4の動作に関する制御を行なう。
【0029】
更に、制御部30は、転送部31にて転送を行なう設定になっているか否かをWebサーバ6に通知する。この通知を転送設定通知と呼ぶものとする。転送動作が設定されているときに転送すべき着信を受けると、制御部30は、その発信元の電話番号をWebサーバ6に通知する。発信元の電話番号は、電気通信事業者が提供する発信者番号通知サービスにより、転送装置2への着信と共に通知されたものである。
【0030】
転送部31はPSTN3からの着信を、PSTN3を介して電話端末4以外の電話端末に転送する。
【0031】
記憶部32は転送先端末5の電話番号(ここでは090−5555−6666となる)を保存する。複数の電話端末を転送先端末として転送装置2に登録する場合は、それら複数の電話端末の電話番号を記憶部32に保存する。
【0032】
留守電機能部33は、着信に対して自動的に応答し、予め用意した留守ガイダンスの音声メッセージを送出すると共に、発信元からの音声メッセージを録音する。
【0033】
Webサーバ6は、httpリクエスト解析部40、html文書作成部41、httpレスポンス送信部42、記憶部43を備える。以下、図4を更に参照してWebサーバ6について説明する。
【0034】
httpリクエスト解析部40は、インターネット8を介して受信したhttpリクエストを解析し、転送先端末5の端末固有識別子として予め記憶部43に保存されている端末固有識別子を含むか否かを判定する。また、httpリクエストに後述する制御リンクが含まれている場合、httpリクエスト解析部40はその制御リンクに対応する制御信号を転送装置2に送信する。
【0035】
転送先端末5の端末固有識別子がhttpリクエストに含まれるとhttpリクエスト解析部40が判定すると、html文書作成部41はhtml文書を作成し、httpレスポンス送信部42に渡す。
【0036】
httpレスポンス送信部42は、html文書作成部41が作成したhtml文書を含むhttpレスポンスを作成し、httpリクエスト解析部40にて解析したhttpリクエストの送信元の端末に対してインターネット8を介して送信する。
【0037】
記憶部43は、転送先端末5として転送装置2に登録された電話端末の端末固有識別子を保存する。また、転送装置2の制御部30から通知された、転送装置2に着信中の呼の発信元の電話番号を記憶する。例えば、転送先端末5の端末固有識別子XYZと、発信元端末9の電話番号03−1111−2222が記憶部43に記憶される。
【0038】
更に、記憶部43は、その電話番号に関連づけて、その電話番号に関連した各種の情報を保存する。このような情報の例としては、その電話番号から着信した日付、時刻、通話時間等の着信履歴や、その電話番号の加入者名、企業名等の各種の名称がある。記憶部43の内容は、転送装置2の記憶部32に保存し、必要に応じてWebサーバ6が参照することとしてもよい。また、記憶部32と記憶部43はひとつの記憶装置としてもよい。
【0039】
転送先端末5の端末固有識別子がhttpリクエストに含まれ、かつ、転送装置2から転送機能を起動していると転送設定通知にて通知されている場合、html文書作成部41は、記憶部43に記憶されている発信元端末9の電話番号(03−1111−2222)を記載したhtml文書を作成する。電話番号と共に、或いは電話番号の代わりに、その電話番号の加入者名等、その電話番号に関連づけて記憶部43に保存されている情報を記載したhtml文書を作成することとしてもよい。加えて、その電話番号からの着信履歴をhtml文書に記載することとしてもよい。
【0040】
更に、上述の情報に加えて、html文書作成部41は、転送先端末5から移動体通信網7、インターネット8を介して、転送装置2を遠隔操作するための命令をリンクとしてhtml文書に記載してもよい。このようなリンクを制御リンクと呼ぶこととする。
【0041】
制御リンクは、その制御リンクを選択したときに転送装置2に対して行なう指示の内容を説明するため、転送先端末5の表示部14に表示されるテキスト文字列を含む。更に、制御リンクは、その指示に対応する転送装置2への制御信号の名称、その制御信号に関連づけられたURL、或いは、Webサーバ6にて実行されるCGI(Common Gateway Interface)プログラムに引き渡すためにURLに付加される、その制御信号に関連づけられた引数を含む。制御リンク、テキスト文字列、制御信号の対応関係は、例えば記憶部43のようなWebサーバ6からアクセス可能な記憶装置に予め格納される。
【0042】
制御リンクには、例えば、保留、転送等、電話端末4の電話機能を操作するための制御リンク、転送機能の起動や停止等、転送装置2の動作に関する設定を変更するための制御リンク、転送中の電話の転送拒否のように現に転送装置2が実行中の動作の中断や再開等を指示するための制御リンクが考えられる。
【0043】
前述したように、転送装置2の転送機能が起動していないときであっても、転送先端末5のユーザは入力部16を介して操作を行うことによりWebブラウザ13を起動してWebサーバ6にアクセスし、Webサーバ6が提供するWebページを介して転送装置2を遠隔操作することができる。このとき、httpリクエストに転送先端末5の端末固有識別子は含まれているが、転送装置2から転送機能を起動していないと転送設定通知にて通知されている。この場合、html文書作成部41は、転送機能を起動するための制御リンクを含むhtml文書を作成する。
【0044】
この他、html文書作成部41は次のようなhtml文書を作成することとしてもよい。
【0045】
(1)過去に行なわれた転送動作に関する情報。転送した電話の発信元の電話番号や、その電話番号の加入者名、企業名等の各種名称、その加入者や企業の住所、所在地等、各種の発信元情報。この場合、各種名称、住所・所在地その他発信元に関する情報を、その発信元の電話番号と関連づけて、html文書作成部41がアクセス可能な記憶装置、例えば記憶部43に予め格納しておく。一般にこうした情報は顧客データベースにて管理されるので、Webサーバ6とは別途に用意した顧客データベースからhtml文書作成部41が情報を取得するように構成してもよい。
【0046】
(2)転送装置2を介して行なわれた、通話、保留、転送、転送拒否等の動作の結果に関する情報。着信日時、通話の開始及び終了日時、保留時間、転送先の電話番号など。この場合、転送装置2の制御部30は、これら動作に関する時刻や時間に関する情報を、発信元番号、転送先番号と関連づけて記憶部32に記憶する。html文書作成部41は例えば発信元番号をキーとしてこれら情報を記憶部32から読み出してhtml文書に記載する。
【0047】
(3)転送拒否に設定した発信元の電話番号の一覧。転送拒否に設定した電話番号から着信があった場合、転送装置2は、転送機能を起動している場合であってもその着信を転送しない。この場合、電話端末4による操作や、転送先端末5による遠隔操作により、転送拒否に設定した電話番号のリストが記憶部32に格納される。以下このリストを転送拒否リストと呼ぶ。転送実行に先立って、制御部30は発信元の番号が転送拒否リストに登録されているか否かを判定し、該当する場合、転送部31が起動中であってもその着信の転送を行なわない。このような転送拒否リストをWebサーバ6からも参照可能としておき、転送拒否リストを参照するための制御リンクを含むhttpリクエストに応じて、html文書作成部41は、転送拒否リストを記載したhtml文書を作成し、httpレスポンス送信部42からhttpリスエストの送信元に送信する。
【0048】
転送拒否設定した電話番号をhtml文書に記載する場合、転送拒否設定した電話番号それぞれに併記して、その電話番号に対する転送拒否設定を解除するための制御リンクを記載することが好ましい。この制御リンクを選択入力したことを示すhttpリクエストを受信すると、httpリクエスト解析部40は、その電話番号に対する転送拒否設定を解除するための制御命令を転送装置2に送信する。この制御命令に応じて、制御部30は、記憶部32の転送拒否リストからその電話番号を削除する。
【0049】
(4)転送動作の設定状況。転送動作の設定の有無。複数の携帯電話端末の端末固有識別子を転送先端末5として登録してあるとき、端末毎に個別に転送動作を設定することが考えられるが、このときの端末別の転送動作の設定状況。
【0050】
次に、図5を参照して電話転送システム1の動作について説明する。電話端末4による操作や、転送先端末5によるインターネット8を介した遠隔操作により、転送装置2の転送部31は予め起動されているものとする。転送先の電話端末、即ち、転送先端末5の電話番号(以下転送先番号と記す)090−5555−6666が転送装置2の記憶部32に予め登録されているものとする。転送先端末5の電話番号(090−5555−6666)と端末固有識別子(XYZ)とが互いに関連づけられてWebサーバ6の記憶部43に予め登録されているものとする。転送先端末5の記憶部11には、自端末の端末固有識別子(XYZ)、転送装置2の電話番号(03−3333−4444)、Webサーバ6が配信するWebページのURL(Uniform Resource Locator)が予め登録されているものとする。ここではURLとしてwww.example.co.jp/XYZ.htmlが登録されているものとする。html文書の名前を示す文字列XYZ.htmlの中にある文字列XYZは、端末固有識別子XYZに対応する。この例では端末固有識別子を直接URLに含めているが、引数の形でURLに含めることとしてもよい。
【0051】
発信者端末9が発信者番号を通知する状態で発信を行ない、PSTN3の不図示の交換機での回線交換によって転送装置2に着信すると、電気通信事業者が提供する発信者番号通知サービスにより、発信者端末9の電話番号(以下発信元番号と記す)である03−1111−2222が転送装置2に通知される(ステップS1)。
【0052】
いま、転送装置2では転送部31が起動しているので、制御部30が着信を検出すると、転送部31は、転送先端末5に対し、発信者番号を通知する状態で発信を行ない、PSTN3の不図示の交換機での回線交換により、転送装置2の電話番号(以下転送元番号と記す)である03−3333−4444を通知しつつ転送先端末5に着信する(ステップS2)。
【0053】
転送先端末5への発信と共に、発信元番号03−3333−4444からの着信を転送するため、転送先番号090−5555−6666に発信したことを、制御部30はWebサーバ6に対して通知する(ステップS3)。この通知を受けて、Webサーバ6では、その転送先番号と発信元番号とを関連づけて記憶部43に記憶する(ステップS4)。
【0054】
転送先端末5では、記憶部11に予め登録されている転送装置2の電話番号と、発信者番号通知サービスにより通知された番号とを比較(ステップS5)し、両者が一致する場合、Webブラウザ13を起動する(ステップS6)。Webブラウザ13では、httpリクエスト生成部19が自端末の端末固有識別子を含むhttpリクエストを生成し、Webサーバ6に送信する(ステップS7)。ステップS5の比較結果が一致しない場合、転送先端末5はその着信を通常の着信として扱う。
【0055】
Webサーバ6では、httpリクエストを受信するとhttpリクエスト解析部40にてそのhttpリクエストを解析し、記憶部43に予め転送先端末5として登録されている端末の端末固有識別子が、そのhttpリクエストに含まれているか否かを判定(ステップS8)し、含まれている場合は更に、その端末固有識別子に対応する電話番号を記憶部43から読み出す(ステップS9)。ステップS8にてhttpリクエストが登録端末の端末固有識別子を含まないと判定した場合、Webサーバ6はそのhttpリクエストを無視するか、非登録端末用に予め用意したhtml文書を含むhttpレスポンスを送信する。
【0056】
続いて、httpリクエスト解析部40は、ステップS4にて記憶部43に転送先番号として記憶した番号と、ステップS9にて読み出した電話番号とを比較することにより、ステップS7にて取得した端末固有識別子を有する電話端末の電話番号を転送先番号としたときに、ステップS4にてその転送番号に関連づけて記憶された発信元番号があるか否かを判定する(ステップS10)。こうして、httpリクエストの送信元の端末の電話番号を転送先番号とし、ステップS4にてその転送先番号に関連づけて記憶された発信元番号が記憶部43に記憶されていることが分かると、html文書作成部41はhtml文書を作成する(ステップS11)。
【0057】
尚、転送先端末5の端末固有識別子と転送先番号とを互いに関連づけて予め記憶部43に記憶しておくこととしてもよい。この場合、ステップS4にて転送装置2から転送先番号と発信元番号とを受け取ったときに、その転送先番号が記憶部43に格納されているか否か判定することにより、ステップS8に相当する登録端末か否かの判定を行なうことができる。更に、ステップS4の段階で転送先番号を仲立ちとして端末固有識別子と発信元番号を関連づけておくことにより、ステップS9、S10に相当する処理を済ませることとしてもよい。
【0058】
このときhtml文書作成部41は、ステップS4にて記憶部43にその転送先番号と関連づけて記憶した発信元番号を記載したhtml文書を作成する。発信元番号に加えて、或いは、発信元番号に代えて、顧客データベース等から読み出したその発信元番号に関連づけられた情報を記載することとしてもよい。更に、制御リンクを記載することとしてもよい。
【0059】
httpレスポンス送信部42は、ステップS7にて受信したhttpリクエストの送信元に対し、そのhtml文書を送信する(ステップS12)。
【0060】
ステップS10にて両者が一致しない場合は、転送先端末として登録された端末からのhttpリクエストではあるが、その端末は、転送装置2が現に転送している端末ではない。このとき、httpレスポンス送信部42は、転送装置2から転送先端末5に転送中ではない旨記載したhtml文書を、ステップS7にて受信したhttpリクエストの送信元に対して送信する。このhtml文書は、記憶部43に予め格納しておいてもよいし、html文書作成部41が適宜生成することとしてもよい。このhtml文書をWebブラウザ13にて読むことにより、転送先端末5のユーザは、転送装置2から現在着信している呼が、転送のためのものではなく、電話端末4からの通常の発信によるものであると知ることができる。
【0061】
Webサーバ6からhttpレスポンスを受信すると、転送先端末5では、html文書解析部20がそのhttpレスポンスに含まれるhtml文書を抽出し、抽出したhtml文書をhtml文書表示部21が表示部14にて表示する(ステップS13)。
【0062】
このとき表示部14に表示される画面の一例を図6に示す。アドレス欄50にはステップS7にて送信したhttpリクエストにて指定したURLが記載されている。主画面51には上から順に、転送呼である旨を示すメッセージ52、発信元番号欄53、名称欄54、住所欄55、制御リンク欄56が上から順に記載されている。名称欄54及び住所欄55の記載は、顧客データベース等に予め発信元番号欄53に記載の電話番号と関連づけて格納されている情報である。制御リンク欄56の各行はそれぞれ制御リンクであり、行頭の番号はダイヤル番号を示す。
【0063】
発信元番号欄53、名称欄54、住所欄55の情報が表示部14に表示されるため、転送先端末5のユーザは、ステップS2から始まる転送装置2からの着信が、電話端末4からの通常の着信ではなく、転送呼であることを知り、更に、発信元の電話番号、名称、住所等を確認した上で、オフフック(ステップS14)して通話を開始することができる。
【0064】
続いて、転送先端末9から転送装置2を遠隔操作するときの動作について図7を参照して説明する。ここでは、ステップS1からS13の動作によって転送呼の発信番号を知った転送先端末9のユーザが、その転送呼に応答する代わりに転送装置2が留守番電話機能部33を起動するときの動作について説明する。
【0065】
ステップS11においてhtml文書作成部41は、遠隔操作の内容を示すテキストメッセージと、転送装置2への制御信号の送出をWebサーバ6に指示するコマンドとからなる制御リンクを含む、図6のようなhtml文書を作成したものとする。制御信号は目的の操作を実現するために転送装置2が実行すべき動作を指示するための信号である。今、ステップS1からS13まで経過したが、ステップS14にてオフフックはしていない状態であるとする。
【0066】
このとき、転送先端末5の表示部14には図6のようなhtml文書が表示されている(ステップS20)。ここで入力部16にて1〜9の数字キーのいずれかが押下されると、制御リンク欄56に記載の制御リンクのうち、行頭の数字が押下されたものと同じ制御リンクが選択(ステップS21)されたこととなる。この押下に応答して、httpリクエスト生成部13は選択された制御リンクを含むhttpリクエストを生成し、Webサーバ6に送信する(ステップS22)。ここでは、転送装置2の留守電機能を起動するため、ユーザは数字キー「2」を押下したものとする。
【0067】
Webサーバ6では、httpリクエスト解析部40が受信したhttpリクエストを解析し、制御リンクを抽出すると、その制御リンクに対応する制御信号を転送装置2に送信する(ステップS23、S24)と共に、所定のhttpレスポンスを転送先端末5に返信する(ステップS25)。
【0068】
制御信号を受信すると、転送装置2の制御部30は、その制御信号に応じた動作を行なう。ステップS21で押下された制御リンクに対応する制御信号が送信され、その制御信号に応じた動作を転送装置2が行なう。ここでは数字キー「2」の「留守番電話起動」の押下に応答して、制御部30は留守番電話機能部33を起動することとなる(ステップS26)。また、これに伴い、転送部31は、図5のステップS2から続けていた転送先端末5への発信を停止する(ステップS27)。
【0069】
留守番電話機能部33は、図5のステップS1から続く発信元端末9からの着信に応答して呼を確立した後、予め記憶装置に格納していた留守ガイダンスの音声メッセージを発信者端末9に送信(ステップS28)し、発信者端末9のユーザが発声した音声メッセージ等を記憶装置に音声データとして格納する(ステップS30)。
【0070】
先の説明では、転送先端末5は、転送装置2からの着信を契機としてWebブラウザ13を起動したが、転送装置2からの着信がないときであってもユーザが入力部16にて行なった操作に応じてWebブラウザ13を起動し、ステップS6以後の動作を行なってもよい。この場合、html文書作成部41は制御リンク欄56のみを含むようなhtml文書を作成する。
【0071】
特に、制御リンク欄56には転送機能を起動するための制御リンクを記載することが好ましい。図6の制御リンク欄56において、「3.転送電話の起動/停止」がこの制御リンクにあたる。図6のhtml文書が表示部14に表示されている状態で数字キー「3」を押下すると、Webサーバ6は転送装置2に対して転送部31の起動を求める制御信号を送出する。このような制御リンクを用いることにより、転送先端末5のユーザは、転送装置2の転送機能を起動せずに外出しても、外出先から起動することができる。
【0072】
電話転送システム1は本発明の一実施形態であり、様々な変形が考えられる。変形の一例である電話交換システム60を図8に示す。電話転送システム1との違いは、転送装置2の代わりに構内交換システム61の主装置62を用いること、電話端末4に相当する複数の内線電話端末4a、4b、…、4n(nは自然数)が存在することである。内線電話端末4a、4b、…、4nにはそれぞれ固有の識別子としてID=1、2、…、nが付与されている(nは自然数)。電話交換システム60は概ね次のように動作する。
【0073】
(1)発信元端末が発信者番号を通知して電話番号03−3333−4444に発信する。
【0074】
(2)主装置は各内線電話端末を鳴動させる。このとき、予め転送を設定してあった内線電話端末(ID=1)については鳴動させず、その代わりに、予めID=1に関連づけて登録済みの電話番号090−5555−6666に着信を転送する。
【0075】
(3)着信に応じて、転送先端末5はWebブラウザ13を起動する。Webブラウザ13はWebサーバ6配下のアドレスに対し、その端末自身の端末固有識別子XYZを通知する。
【0076】
(4)Webサーバ6は、通知された端末固有識別子を有する転送先端末5に現在転送中の着信を特定し、その着信の発信者番号である03−1111−2222を記載したhtml文書を生成して、転送先端末5に送信する。Webブラウザ13はそのhtml文書を表示する。
【0077】
別の変形例である電話転送システム70を図9に示す。電話転送システム1では転送装置2とWebサーバ6が他装置を介することなく接続されていた。これに対して電話転送システム70ではWebサーバ6がインターネット8上に配置され、転送装置71とWebサーバ6はインターネット8を介して接続されている。このような接続形態を取るため、転送装置71はLAN(Local Area Network)カードを備え、インターネット8に接続可能な構成となっている。
【0078】
以上、本発明について実施の形態に即して説明したが、上述の実施形態及びその変形は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
1 電話転送システム
2 転送装置
3 PSTN(公衆交換電話網)
4 電話端末
5 転送先端末
6 Webサーバ
7 移動体通信網
8 インターネット
11 記憶部
12 制御部
13 Webブラウザ
14 表示部
15 無線通信部
16 入力部
17 音声入出力部
18 番号比較部
19 httpリクエスト生成部
20 html文書解析部
21 html文書表示部
30 制御部
31 転送部
32 記憶部
33 留守番電話機能部
40 httpリクエスト解析部
41 html文書作成部
42 httpレスポンス送信部
43 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電話番号を有する電話端末である発信元端末からの発信を転送し、回線交換網に接続され、第2の電話番号を有する転送装置、及び、前記転送装置とパケット交換網との両方に接続されたサーバを備え、
前記発信元端末から、前記回線交換網を介し、発信者番号となる前記第1の電話番号を通知する状態で、前記第2の電話番号に発信した呼が着信すると、前記転送装置は、当該着信に応じて、通知された前記第1の電話番号を、パケット通信網に接続されたサーバからアクセス可能な記憶装置に格納し、
前記転送装置は、予め記憶装置に転送先として格納されている第3の電話番号に対し、発信者番号となる前記第2の電話番号を通知する状態で、前記発信元端末からの着信を転送するための発信を、前記回線交換網を介して行ない、
着信に応じて、前記第3の電話番号を有する電話端末である転送先端末が、通知された前記第2の電話番号に基づいて認証を行ない、認証が成功すると、前記転送先端末が前記パケット通信網を介して送信する、前記転送先端末を認証するための認証情報を前記サーバは受信し、
前記サーバは、前記認証情報に基づいて前記転送先端末を認証し、認証が成功すると、予め生成された前記第1の電話番号に対応するハイパーテキスト文書を前記転送先端末にて表示するため、前記パケット通信網を介して前記転送先端末に送信する
ことを特徴とする電話転送システム。
【請求項2】
前記ハイパーテキスト文書は、前記第1の電話番号、及び、前記第1の電話番号に関連づけて予め記憶装置に格納した情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の電話転送システム。
【請求項3】
前記ハイパーテキスト文書は、前記転送装置の制御信号に対応するリンクを含み、
前記転送先端末での前記リンクを選択する入力に応答して、前記サーバは、当該リンクに対応する前記制御信号を前記転送装置に対して送信し、
前記転送装置は前記制御信号に従って動作する
ことを特徴とする請求項1に記載の電話転送システム。
【請求項4】
第1の電話番号を有する電話端末である発信元端末から、回線交換網を介し、発信者番号となる前記第1の電話番号を通知する状態で、第2の電話番号に発信する段階と、
前記第2の電話番号を有する転送装置が、着信に応じて、通知された前記第1の電話番号を、パケット交換網に接続されたサーバからアクセス可能な記憶装置に格納するとともに、予め前記転送装置に転送先として登録された第3の電話番号に対し、発信者番号となる前記第2の電話番号を通知する状態で、前記発信元端末からの着信を転送するための発信を、前記回線交換網を介して行なう段階と、
着信に応じて、前記第3の電話番号を有する電話端末である転送先端末が、通知された前記第2の電話番号に基づいて認証を行ない、認証が成功すると、前記転送先端末を認証するための認証情報を、前記パケット交換網を介して前記サーバに送信する段階と、
前記サーバが、前記認証情報に基づいて前記転送先端末を認証し、認証が成功すると、予め生成された前記第1の電話番号に対応するハイパーテキスト文書を、前記パケット交換網を介して前記転送先端末に送信する段階と、
前記転送先端末が前記ハイパーテキスト文書を表示する段階と
を含むことを特徴とする電話転送方法。
【請求項5】
前記ハイパーテキスト文書は、前記第1の電話番号、及び、前記第1の電話番号に関連づけて予め記憶装置に格納した情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項4に記載の電話転送方法。
【請求項6】
前記ハイパーテキスト文書は、前記転送装置の制御信号に対応するリンクを含み、
前記転送先端末での前記リンクを選択する入力に応答して、前記サーバは、当該リンクに対応する前記制御信号を前記転送装置に対して送信し、
前記転送装置は前記制御信号に従って動作する
ことを特徴とする請求項4に記載の電話転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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