説明

電話通信システム及び方法

【課題】中継台におけるオペレータの業務を効率的に行うことを支援する。
【解決手段】電話通信システムは、発信者が使用する発信者電話端末からの着信呼を受付ける着信受付手段と、着信呼を1又は複数のオペレータ電話端末のいずれかに着信させるオペレータ端末着信手段と、オペレータ電話端末に着信した着信呼を、当該オペレータ電話端末を使用するオペレータの操作に応じて、さらに転送先電話端末に転送させる転送手段とを備える。そして、電話通信システムは、着信呼について転送先の候補を抽出する手段と、着信呼が着信したオペレータ端末と発信者電話端末との間の通話音声を、抽出された転送先の候補に係るユーザに出力する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電話通信システム及び方法に関し、例えば、中継台のオペレータ業務を支援するシステムに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、中継台のオペレータが、公衆電話網等から着信した電話(呼)に応答し、転送先のユーザにその電話(呼)を転送する業務について、オペレータ作業の支援を行う等、中継台に係る業務の支援を行う電話通信システム(以下、「中継台システム」ともいう)が利用されている。
【0003】
まず、中継台における業務の概要について説明する。
【0004】
中継台でのオペレータによる受付業務において、オペレータは、発信者から用件を聞いて、必要に応じて対応する担当者に対して転送を実施する。この間、発信者は保留状態で待たされることになる。担当者は、内線端末の呼出音によって自分に着信があることを認識し、呼び出しに応答した後、オペレータから発信者の情報や受付内容を引き継いでから、発信者との通話を開始することになる。このため、発信者は、オペレータと担当者とが発信者の情報や受付内容を伝えている間、保留状態で待たされていることになる。
【0005】
以上のように、中継台端末で電話受付業務をする際に、オペレータは発信者から用件を聞いてから、対応する担当者に対して転送を実施している。転送後において、オペレータは、担当者に、発信者の情報や受付内容を伝える作業をおこなっているため、電話取り次ぎや受け付け内容の伝達作業の間、発信者を待たせるという問題があった。さらに、オペレータが中継台端末から担当者の内線を呼び出しても応答がなかった場合には、中継台端末に対して呼び返しが行われ、発信者を保留で長く待たせてしまうといった問題があった。
【0006】
そのため、中継台におけるオペレータの業務を効率的に行うことを支援するためのシステムとして、特許文献1に記載された中継台システムがある。
【0007】
特許文献1に記載された中継台システムでは、発信者の過去の転送先(上述の例の「担当者」に相当)のリスト(転送履歴)を保持しておき、次に当該発信者からの発信があった場合には、保持した転送履歴をオペレータに提示し、同一発信者から同一相手への転送要求が多い中継交換サービスにおいて作業の効率を向上させている。また、特許文献1の記載技術では、オペレータに対して、転送履歴を提示する際に、その転送履歴が示す転送先のユーザのプレゼンス情報(例えば、在席中であるか否か等の情報)を表示することにより、さらに、オペレータの作業を効率的に行うことについても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−298544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の記載技術では、オペレータが担当者(転送先のユーザ)へ、電話を転送する作業については効率的に行うことができる。しかし、実際のオペレータ作業においては、担当者へ電話を転送する作業時間よりも、担当者を呼び出した後に、その担当者に発信者の情報や受付内容を引き継ぐ時間の方が長くなる場合もあるため、その場合、特許文献1の記載技術では、発信者を待たせる時間はそれほど短くならないことになる。
【0010】
そのため、中継台におけるオペレータの業務を効率的に行うことを支援する電話通信システム及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明は、発信者が使用する発信者電話端末からの着信呼を受付ける着信受付手段と、着信呼を1又は複数のオペレータ電話端末のいずれかに着信させるオペレータ端末着信手段と、オペレータ電話端末に着信した着信呼を、当該オペレータ電話端末を使用するオペレータの操作に応じて、さらに転送先電話端末に転送させる転送手段とを備える電話通信システムにおいて、(1)それぞれの着信呼について、上記転送手段による転送先の候補を抽出する転送先候補抽出手段と、(2)上記オペレータ端末着信手段により着信呼が着信された着信先のオペレータ端末と、発信者電話端末との間の通話音声を、上記転送先候補抽出手段により抽出された転送先の候補に係るユーザに出力する通話音声出力手段とを有することを特徴とする。
【0012】
第2の本発明は、発信者が使用する発信者電話端末からの着信呼を受付ける着信受付手段と、着信呼を1又は複数のオペレータ電話端末のいずれかに着信させるオペレータ端末着信手段と、オペレータ電話端末に着信した着信呼を、当該オペレータ電話端末を使用するオペレータの操作に応じて、さらに転送先電話端末に転送させる転送手段とを備える電話通信システムにおける電話通信方法において、(1)転送先候補抽出手段、通話音声出力手段を有し、(2)上記転送先候補抽出手段は、それぞれの着信呼について、上記転送手段による転送先の候補を抽出し、(3)上記通話音声出力手段は、上記オペレータ端末着信手段により着信呼が着信された着信先のオペレータ端末と、発信者電話端末との間の通話音声を、上記転送先候補抽出手段により抽出された転送先の候補に係るユーザに出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中継台におけるオペレータの業務を効率的に行うことを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る電話通信システムの動作について示したシーケンス図である。
【図2】実施形態に係る電話通信システムの全体構成を示すブロック図である
【図3】実施形態に係るIPテレフォニーサーバの機能的構成について示したブロック図である。
【図4】実施形態に係るアプリケーションサーバの機能的構成について示したブロック図である。
【図5】実施形態に係る中継台PC端末の内部構成について示したブロック図である。
【図6】実施形態に係る社員用PC端末の内部構成について示したブロック図である。
【図7】実施形態に係る顧客DBに格納する情報の内容例について示した説明図である。
【図8】実施形態に係る連携端末DBに格納する情報の内容例について示した説明図である。
【図9】実施形態に係る顧客電話履歴DBに格納する情報の内容例について示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による電話通信システム及び方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0016】
(A−1)実施形態の構成
図2は、この実施形態の電話通信システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0017】
電話通信システム1は、中継台のオペレータの支援等中継台に係る処理を行うためのシステムである。
【0018】
図2の電話通信システム1では、公衆電話網N1を介して、発信者(以下、「顧客」ともいう)が利用する電話端末である顧客電話端末60からの着信を受付けて、最初にオペレータが応対し、その後、オペレータが顧客の用件に応じた転送先のユーザ(以下、「社員」という)へ、その電話を転送することになる。
【0019】
図2に示すように、電話通信システム1には、IPテレフォニーサーバ10、3台の社員用PC端末20(20−1〜20−3)、3台の社員用電話端末30(30−1〜30−3)、2台の中継台PC端末40(40−1、40−2)、及びアプリケーションサーバ50が配置されており、それぞれの装置間は社内網N2により相互に接続されているものとする。社内網N2の種類は限定されないものであるが、ここでは、IPに対応したネットワーク(LAN)であるものとして説明する。
【0020】
IPテレフォニーサーバ10は、社内網N2とも接続しており、公衆電話網N1及び社内網N2を介した呼の発信・着信を受付けて、呼制御や交換処理等を行うものである。なお、ここでは、IPテレフォニーサーバ10からの着信を受付けるため公衆電話網N1に接続する構成となっているが、インターネット等のIP網から受付ける構成としても良い。すなわち、顧客電話端末60をIP網に接続するIP電話端末としても良い。
【0021】
社員用PC端末20−1〜20−3は、それぞれ異なる社員が使用するPC端末である。社員用PC端末20は、中継台に係る業務に関わらず通常の業務にも使用可能なPC端末であっても良く、アプリケーションサーバ50と連携して動作する。中継台PC端末40の詳細については後述する。
【0022】
また、社員用電話端末30−1〜30−3も、それぞれ異なる社員が使用する電話端末であり、IPテレフォニーサーバ10の配下に収容されているものとする。なお、社員用PC端末20−1〜20−3は、それぞれ社員用電話端末30−1〜30−3と組になっているものとする。例えば、社員用PC端末20−1と社員用電話端末30−1は、同一の社員が使用していることになる。ここでは、社員用PC端末20と社員用電話端末30とは別装置であるものとして説明するが、社員用PC端末20をソフトフォンとしても機能させて、社員用電話端末30を省略するようにしても良いことは当然である。また、配置する社員用PC端末20及び社員用電話端末30の数は限定されないものである。なお、社員用電話端末30としては、既存の電話端末(IP電話端末)を適用することができる。
【0023】
中継台PC端末40−1、40−2は、それぞれ異なるオペレータが使用するPC端末であり、アプリケーションサーバ50と連携して動作するものである。なお、中継台PC端末40は、IPテレフォニーサーバ10の配下で動作するソフトフォンとしても機能しており、以下では、各オペレータが使用する電話端末も兼ねているものとして説明するが、別途電話端末を備える構成としても良いことは当然である。また、配置する中継台PC端末40の数は限定されないものである。
【0024】
アプリケーションサーバ50は、中継台PC端末40及び社員用PC端末20と連携して、中継台の業務に係るアプリケーションを実現するためのサーバである。
【0025】
次に、電話通信システム1を構成する各装置の詳細について説明する。
【0026】
まず、IPテレフォニーサーバ10の詳細について説明する。
【0027】
図3は、IPテレフォニーサーバ10の機能的構成について示したブロック図である。
【0028】
IPテレフォニーサーバ10は、呼制御処理等を行うIPテレフォニー処理部11と、IPテレフォニー処理部11が処理を行うためのデータを格納しているデータ記憶部12を有している。また、IPテレフォニー処理部11は、呼処理部111、積滞呼処理部112、及び通信処理部113を有している。なお、図3においては、図示を省略しているが、IPテレフォニーサーバ10は、公衆電話網N1及び社内網N2と接続するためのインタフェースも備えている。
【0029】
呼処理部111は、電話端末間の呼情報を管理し、発信着信、転送処理、呼情報、保留状態の制御等を行うものである。呼処理部111としては、例えば、既存の呼制御及び交換処理を行うIP−PBX等を適用することができる。
【0030】
積滞呼処理部112は、例えば、公衆電話網N1から代表番号等に着信した呼の状態を監視し、例えば、予め登録している中継台PC端末40に対して、積滞呼数、及び、積滞呼に対応する相手端末番号(顧客電話番号)のリスト等を含む情報(以下、「積滞呼情報」という)として通知する。
【0031】
なお、以下では、「積滞呼」とは、IPテレフォニーサーバ10に着信があった呼であって、まだ、いずれの中継台PC端末40にも転送できていない状態のものを言うものとする。積滞呼の発信側(顧客電話端末60)に対しては、IPテレフォニーサーバ10により保留(例えば、保留音等をながした状態とすること)を行うものとする。そして、いずれかの中継台PC端末40から応答要求があった場合には、IPテレフォニーサーバ10は、その応答要求に係る積滞呼を、当該中継台PC端末40へ転送し、顧客電話端末60と中継台PC端末40との間を通話状態とする。
【0032】
すなわち、積滞呼処理部112は、新たに顧客電話端末60から着信があった場合には、積滞呼情報として管理する積滞呼の数を+1(インクリメント)し、中継台PC端末40へ1つの積滞呼を転送した場合や、いずれかの積滞呼が切断された場合には、管理する積滞呼の数を−1(デクリメント)する処理を行う。
【0033】
また、積滞呼処理部112は、状態の変化(新しい着信があった場合や、中継台PC端末40により応答があった場合)がある度にリアルタイムに、中継台PC端末40へ新たな積滞呼情報を通知するものとする。
【0034】
通信処理部113は、図示しない上述のインタフェースを介して、社内網N2上の他の通信装置と通信を行う。
【0035】
次に、アプリケーションサーバ50の詳細構成について説明する。
【0036】
図4は、アプリケーションサーバ50の機能的構成について示したブロック図である。
【0037】
アプリケーションサーバ50は、当該装置が提供するアプリケーションの処理を行うアプリケーション処理部51と、アプリケーション処理部51が処理に当たって参照するデータを格納しているデータ記憶部52を有している。なお、図4においては図示を省略しているが、アプリケーションサーバ50は社内網N2に接続するためのインタフェースも備えている。また、アプリケーション処理部51は、顧客情報処理部511、連携端末処理部512、顧客電話履歴処理部513、在席処理部514、及び通信処理部515を有している。さらに、データ記憶部52は、顧客DB521、連携端末DB522、及び顧客電話履歴DB523を有している。アプリケーションサーバ50は、例えば、既存のプロセッサ及びメモリ等を有する情報処理装置(例えば、サーバ用コンピュータ)に、上述の図4の各構成に相当するプログラムをインストールすることにより構築することができる。
【0038】
顧客情報処理部511は、顧客(すなわち、公衆電話網N1から発信してくると想定されるユーザ)の電話番号等の識別情報を管理する機能を担っている。顧客情報処理部511の処理としては、具体的には、顧客DB521の内容を管理することにより行う。
【0039】
図7は、顧客DB521に格納する情報の内容例について示した説明図である。
【0040】
図7の示すように、顧客DB521では、顧客ごとに「電話番号」及び「顧客情報」の項目の情報が管理されている。
【0041】
「電話番号」の項目は、当該顧客にコンタクトするためのIDであり、電話番号以外(たとえば、任意の文字列で構成されるSIP上のユーザIDやハンドルネーム等)で示すことができる場合には、電話番号以外の情報を適用するようにしても良い。
【0042】
「顧客情報」の項目には、当該顧客の名前等(例えば、「株式会社A」等)、顧客を識別できる情報が格納される。
【0043】
連携端末処理部512は、社員用電話端末30と社員用PC端末20との関連付け等を管理する機能を担っている。連携端末処理部512の処理としては、具体的には、連携端末DB522の内容を管理することにより行う。
【0044】
図8は、連携端末DB522に格納する情報の内容例について示した説明図である。
【0045】
図8に示すように、連携端末DB522では、社員ごとに、「社員名」、「社員番号」、「内線番号」、「社員のPC端末のIPアドレス」、及び「在席情報」の項目の情報が格納されている。
【0046】
「社員名」、「社員番号」は、当該社員を識別するための情報であり、社員を識別することができる他の情報(例えば、ハンドルネームや呼び名等)に置き換えるようにしても良い。
【0047】
「内線番号」は、当該社員が使用する社員用電話端末30を呼び出すための番号(すなわち、IPテレフォニーサーバ10で設定されている番号)を示している。なお、IPテレフォニーサーバ10内で、「内線番号」以外の識別情報(例えば、ユーザID等)で設定されている場合には、その項目の情報に置き換えるようにしても良い。
【0048】
「社員のPC端末のIPアドレス」は、当該社員が使用している中継台PC端末40に係る識別情報であり、中継台PC端末40を識別することができる他の情報(例えば、ホストネーム等)に置き換えるようにしても良い。
【0049】
「在席情報」は、当該社員のプレゼンス情報(例えば、在席であるか否か等の情報)を示すものである。ここでは、「在席情報」には、「在席」又は「離席」のいずれかの情報が登録されるものとする。連携端末処理部512が、社員ごとの「在席情報」を把握する手段については限定されないものであるが、ここでは、後述する在席処理部514から社員ごとのプレゼンス情報を取得するものとする。
【0050】
在席処理部514は、社員ごとのプレゼンス情報を把握する機能を担っている。在席処理部514が把握する社員ごとのプレゼンス情報としては、上述の通り、「在席」又は「離席」のいずれかであるものとする。在席処理部514が、社員ごとのプレゼンス情報を把握する手段については限定されないものである。例えば、当該社員について、連携端末DB522で関連付けられた中継台PC端末40が、アプリケーションサーバ50にログインした状態の場合は「在席」、ログオフ状態の場合には「離席」と判定するものとする。なお、在席処理部514が、社員ごとのプレゼンス情報を把握する手段としては、その他にも、既存のプレゼンス管理サーバ(図示せず)を用いて管理された情報を収集するようにしても良い。
【0051】
ここでは、アプリケーションサーバ50上で、各社員用PC端末20からのログインを受けつける処理も、在席処理部514で行うものとする。なお、在席処理部514によるログインの受付方法や認証方法等については限定されないものであり、既存のCTIシステムにおける認証システムや、Windows(登録商標)ドメインへのログイン認証システム等を利用するようにしても良い。またアプリケーションサーバ50自体で、ログイン受付や認証を行う必要はなく、別に認証用のサーバを設置するようにしても良い。在席処理部514におけるログイン処理としては、例えば、社員用PC端末20からログイン要求通知(ユーザID及びパスワード等ログイン認証に必要な情報を含む)を受付け、そのログイン要求通知に含まれるユーザID及びパスワードの認証を行い、認証が成功した場合に、当該社員用PC端末20にログイン許可を通知するようにしても良い。以降、在席処理部514は、当該社員用PC端末20に係る社員のプレゼンス情報としては「在席」と管理することができる。また、在席処理部514におけるログオフ処理としては、例えば、社員用PC端末20からログオフ要求通知を受付けた場合に、当該社員用PC端末20にログオフ許可を通知するようにしても良い。以降、在席処理部514は、当該社員用PC端末20に係る社員のプレゼンス情報としては「離席」と管理することができる。
【0052】
顧客電話履歴処理部513は、過去にオペレータから社員へ転送された履歴を管理する機能を担っている。顧客電話履歴処理部513の処理としては、具体的には、顧客電話履歴DB523の内容を管理することにより行う。
【0053】
図9は、顧客電話履歴DB523に格納する情報の内容例について示した説明図である。
【0054】
図9に示すように、顧客電話履歴DB523では、転送履歴1件ごとに、「電話番号」、「日付」、「社員番号」、「受付内容」の項目の情報が格納されている。
【0055】
「電話番号」の項目は、当該履歴の発信者(顧客)の電話番号の情報を示している。なお、顧客へのコンタクトIDが電話番号以外の情報で示される場合には、その電話番号以外の情報に置き換えるようにしても良い。
【0056】
「日付」の項目は、当該履歴に係る通話のあった日時(例えば、着信があった日時等)の情報を示している。
【0057】
「社員番号」の項目は、当該履歴において、オペレータが転送した転送先の社員の識別情報を示している。なお、社員番号以外の情報(例えば、社員名等)により、社員を識別するようにしても良い。
【0058】
「受付内容」の項目は、当該履歴における、顧客(発信者)の用件の概要について示している。「受付内容」の項目は、例えば、「問い合わせ」や「クレーム」等の情報が格納される。「受付内容」の項目は、オペレータが顧客からの電話に応対する際に、中継台PC端末40を用いて入力される内容であり、その入力手段は限定されないものである。
【0059】
通信処理部515は、図示しない上述のインタフェースを介して、社内網N2上の他の通信装置と通信を行う。
【0060】
次に、中継台PC端末40の詳細構成について説明する。
【0061】
図5は、中継台PC端末40の内部構成について示したブロック図である。
【0062】
なお、ここでは、各中継台PC端末40は、全て同じ構成であるものとして説明する。また、図5においては、図示を省略しているが、中継台PC端末40は、社内網N2と接続するためのインタフェース、オペレータとのインタフェース(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、等の入出力装置)、及び電話端末(ソフトフォン)の機能に必要なマイク及びスピーカ(ヘッドセットとしても良い)が搭載されているものとする。
【0063】
中継台PC端末40は、積滞呼処理部41、呼処理部42、PC端末アプリ通知処理部43及び通信処理部44を有している。
【0064】
中継台PC端末40は、例えば、既存のプロセッサ及びメモリ等を有する情報処理装置(例えば、パソコン等の端末)に、上述の図5の各構成に相当するプログラムをインストールすることにより構築することができる。
【0065】
積滞呼処理部41は、IPテレフォニーサーバ10から通知される積滞呼情報を、オペレータに出力(たとえば、ディスプレイ表示)する機能を担っている。積滞呼処理部41は、IPテレフォニーサーバ10から、新たな積滞呼情報が通知される度に、オペレータへ表示する積滞呼情報の情報も更新する。
【0066】
呼処理部42は、IPテレフォニーサーバ10の配下でソフトフォンとして動作するための呼制御処理等の機能を担っている。呼処理部42は、例えば、IPテレフォニーサーバ10から通知された積滞呼に対してオペレータの操作に応じて応答したり、通話中の呼をオペレータの操作に応じて社員用電話端末30へ転送したりする処理等を行う。呼処理部42は、例えば、既存のCTIシステム等におけるクライアント端末と同様のものを適用することができる。
【0067】
PC端末アプリ通知処理部43は、アプリケーションサーバ50や社員用PC端末20と連携して、中継台に係る業務を支援するアプリケーションを実行する機能を担っている。
【0068】
PC端末アプリ通知処理部43は、積滞呼の応答時にIPテレフォニーサーバ10から通知される積滞呼情報に含まれる発信者の識別情報(ここでは、顧客電話端末60の電話番号)や、アプリケーションサーバ50の顧客電話履歴DB523の内容等を利用して、当該積滞呼の転送先の候補となる社員を、1又は複数抽出する処理(以下、「転送先候補抽出処理」という)を行う。
【0069】
また、PC端末アプリ通知処理部43は、顧客電話履歴DB523の内容から抽出した転送先の候補となる社員について、さらに、当該社員のプレゼンス情報(在籍情報)を利用して絞り込んだ結果を、転送先候補抽出処理による結果として適用するようにしても良い。例えば、PC端末アプリ通知処理部43は、顧客電話履歴DB523の内容の内容から抽出した転送先の候補となる社員うち、プレゼンス情報(在籍情報)が、離席となっている社員(すなわち、在席となっていない社員)については、候補からはずすようにしても良い。
【0070】
そして、PC端末アプリ通知処理部43は、転送先候補抽出処理により抽出された社員の使用する端末(社員用PC端末20等)と連携し、これから行うオペレータと顧客との通話音声を、当該社員に聴取させるアプリケーションや、オペレータと当該社員との間のコミュニケーション機能を提供するアプリケーションの処理を行う。なお、PC端末アプリ通知処理部43が実行するアプリケーションの詳細については後述する。
【0071】
PC端末アプリ通知処理部43が行う転送先候補抽出処理の方法は限定されないものである。PC端末アプリ通知処理部43は、例えば、IPテレフォニーサーバ10から通知される積滞呼情報に含まれる発信者の識別情報(ここでは、顧客電話端末60の電話番号)をキーに、アプリケーションサーバ50の顧客電話履歴DB523から、過去の当該顧客に係る履歴情報を抽出し、その履歴で過去に対応した社員を、転送先候補抽出処理の結果として抽出するようにしても良い。なお、顧客電話履歴DB523からのデータ抽出はアプリケーションサーバ50側で行うようにしても良い。また、PC端末アプリ通知処理部43は、過去の当該顧客からの電話に基づく履歴やプレゼンス情報(在籍情報)により、複数の社員を検出した場合には、全ての社員を転送先候補抽出処理の結果として適用するようにしても良いし、その複数の社員からさらに一部の社員に絞り込んで転送先候補抽出処理の結果として適用するようにしても良い。例えば、PC端末アプリ通知処理部43は、抽出した複数の社員のうち、もっとも履歴の件数が多い社員や、最も直近に対応した履歴があった社員を選択して、転送先候補抽出処理の結果として適用するようにしても良い。
【0072】
また、PC端末アプリ通知処理部43は、転送先候補抽出処理により抽出された社員のリストをオペレータに提示(例えば、ディスプレイに表示)し、提示したリストの中からオペレータにより選択(例えば、GUI操作等により選択)された社員が使用する社員用電話端末30へ、現在オペレータが顧客と通話中の呼を転送する呼制御を、呼処理部111に実施させる処理も行う。
【0073】
なお、転送先候補抽出処理により抽出された社員が一人もいなかった場合に、PC端末アプリ通知処理部43において、転送先の社員を選択させる方法は限定されないものであるが、例えば、社員の一覧リストから選択させる等、従来の中継台システムと同様の処理を適用することができる。転送先候補抽出処理により抽出された社員が一人もいなかった場合とは、オペレータが通話中の顧客が、初めて電話をしてきた顧客だった場合や、候補となり得る社員が全員離席だった場合等がある。
【0074】
また、PC端末アプリ通知処理部43は、顧客と通話中の呼を、いずれかの社員用電話端末30に転送した場合、その転送履歴の情報を生成し、アプリケーションサーバ50に通知する。そして、アプリケーションサーバ50では、顧客電話履歴処理部513により、顧客電話履歴DB523にその転送履歴の情報が追加される。なお、PC端末アプリ通知処理部43が生成する転送履歴の情報に含まれる項目は、顧客電話履歴DB523の項目と一致している必要がある。顧客電話履歴DB523のうち、受付内容の項目については、例えばGUI操作等により、オペレータがPC端末アプリ通知処理部43に入力した内容を適用することができる。オペレータに受付内容等の項目の情報を入力させる手段については限定されないものであるが、例えば、既存のコンタクトセンタシステムにおけるオペレータ用の端末と同様の手段を適用することができる。なお、PC端末アプリ通知処理部43による、転送履歴の情報生成及びアプリケーションサーバ50への通知は、転送先候補抽出処理により1人も社員が抽出できなかった場合でも行われる。
【0075】
通信処理部24は、図示しない上述のインタフェースを介して、社内網N2上の他の通信装置と通信を行う。
【0076】
次に、社員用電話端末30の詳細構成について説明する。
【0077】
図6は、社員用PC端末20の内部構成について示したブロック図である。
【0078】
ここでは、各社員用PC端末20は、全て同じ構成であるものとして説明する。
【0079】
社員用PC端末20は、ログイン処理部21、顧客情報通知処理部22、音声テキスト処理部23、及び通信処理部24を有している。また、図6においては、図示を省略しているが、社員用PC端末20は、社内網N2と接続するためのインタフェースや、社員とのインタフェース(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、等の入出力装置)等が搭載されているものとする。社員用PC端末20は、例えば、既存のプロセッサ及びメモリ等を有する情報処理装置(例えば、パソコン等の端末)に、上述の図6の各構成に相当するプログラムをインストールすることにより構築することができる。
【0080】
ログイン処理部21は、社員の操作に応じて、アプリケーションサーバ50へのログインやログオフの処理を行うものである。なお、ログイン処理部21でログインやログオフの操作を社員から受付けるための画面構成や操作内容については、限定されないものであり、例えば、既存のCTIシステムに接続するクライアント端末と同様の構成等を適用することができる。ログイン処理部21は、例えば、当該社員用PC端末20が起動された時に、ログイン画面(例えば、ユーザID及びパスワードを入力させる画面)をユーザに提示し、ユーザにより入力された内容と共に、アプリケーションサーバ50にログイン要求を通知し、アプリケーションサーバ50からログインを許可する旨の通知を受付ける処理を行うようにしても良い。なお、上述の通り、社員用PC端末20から、ログインを要求する要求先は、アプリケーションサーバ50に限定されないものであり、その場合、ログイン処理部21は、予め要求先として設定された装置(例えば、認証サーバ等)へログイン要求を通知する。また、ログイン処理部21は、社員により、ログオフを行うための操作が行われた場合(例えば、ログオフ処理のメニュー選択)等に、アプリケーションサーバ50にログオフ要求を通知する処理を行うようにしても良い。
【0081】
顧客情報通知処理部22は、中継台PC端末40から通知されてくる情報(例えば、オペレータが応答する呼の顧客情報等)を、社員に出力(例えば、ディスプレイ表示)するものである。
【0082】
音声テキスト処理部23は、中継台PC端末40のPC端末アプリ通知処理部43と連携して、社員用PC端末20側で上述のアプリケーションを提供するための処理を行う機能を担っている。すなわち、音声テキスト処理部23は、顧客と通話を行うオペレータが使用する中継台PC端末40(PC端末アプリ通知処理部43)と連携し、顧客とオペレータの通話音声を社員に出力したり、社員とオペレータとの間のコミュニケーションを支援する機能を担っている。なお、音声テキスト処理部23が、中継台PC端末40(PC端末アプリ通知処理部43)と連携して実行するアプリケーションの詳細については後述する。
【0083】
通信処理部24は、図示しない上述のインタフェースを介して、社内網N2上の他の通信装置と通信を行う。
【0084】
次に、中継台PC端末40のPC端末アプリ通知処理部43と、社員用PC端末20の音声テキスト処理部23とが連携して実行する上述のアプリケーションの詳細について説明する。
【0085】
まず、中継台PC端末40のPC端末アプリ通知処理部43と、社員用PC端末20の音声テキスト処理部23とが連携を開始する処理の例について説明する。
【0086】
上述の通り、中継台PC端末40では、積滞呼に応答する際に、当該呼の転送先候補抽出処理を行う。そして、中継台PC端末40は転送先候補抽出処理に成功すると抽出した社員が使用する社員用電話端末30に、顧客からの電話が転送される可能性がある旨を示す情報(以下、「転送前通知情報」という)を通知する。転送前通知情報の内容としては、例えば、当該呼の発信者の情報(顧客の名前や電話番号等)を含むようにしても良い。なお、転送先候補抽出処理の結果、一人も該当する社員が抽出されなかった場合(例えば、初めて電話をしてきた顧客だった場合等)には、PC端末アプリ通知処理部43は、社員用電話端末30及び社員用PC端末20に対する上述のアプリケーションを実行する処理は行われない。
【0087】
そして、転送前通知情報を受信した社員用PC端末20では、顧客情報通知処理部22により、転送前通知情報の内容が社員に提示(例えば、ディスプレイ上の所定のウィンドウに表示)されるものとする。そして、そのとき、当該社員が対応可能(少なくとも、顧客からの通話を聴取することが可能)であり、当該社員により社員用電話端末30に受付けの操作が行われた場合(例えば、ディスプレイ上の所定のボタン等を押下した場合)には、対応可能である旨の通知(以下、「対応可能通知」という)が、中継台PC端末40に通知されることになる。
【0088】
この実施形態では、上述のような処理で、中継台PC端末40と、社員用PC端末20との連携を開始する処理が行われるものとするが、連携開始の契機は上述の処理に限定されないものである。上述の例では、中継台PC端末40からの要求に、社員用PC端末20(社員)が応答を通知した場合にのみ連携を開始しているが、例えば、社員の応答の有無に関わらず連携を開始するようにしても良い。
【0089】
次に、中継台PC端末40と、社員用PC端末20との連携が開始された後、オペレータと顧客との通話を、社員に聴取させるアプリケーションの処理について説明する。
【0090】
中継台PC端末40は、転送先候補抽出処理により抽出された社員が使用する社員用PC端末20と連携を開始すると、IPテレフォニーサーバ10へ、積滞呼に応答する旨を通知する。そして、中継台PC端末40は、オペレータと顧客との通話が開始されると、その通話音声のデータを、リアルタイムに社員用電話端末30に供給する。中継台PC端末40で、通話音声のデータを生成する処理については、限定されないものであるが、例えば、オペレータが使用するマイクの入力音声信号と、ヘッドホンから出力される出力音声信号を取得して混合し生成するようにしても良い。また、中継台PC端末40で生成した音声信号を、社員用電話端末30に供給する方式についても限定されないものであり、例えば、所定の形式で符号化した音声データを、RTP(Real−Time Transport Protocol)を用いるようにしても良い。そして、社員用PC端末20側では、中継台PC端末40から供給された音声データ(オペレータと顧客の通話音声)の供給を受けて社員に出力することになるが、この場合、音声出力を行うためのスピーカやヘッドホン等の音声出力装置を、当該社員用PC端末20が備える必要がある。
【0091】
また、オペレータと顧客との通話を社員に聴取させる方式として、中継台PC端末40で生成した音声データを供給する方式ではなく、中継台PC端末40のソフトフォン(IP電話端末)としての呼制御機能を用いて、当該社員が使用する社員用電話端末30(複数端末としても良い)と三者通話(多者通話)の状態を確立して実現するようにしても良い。例えば、中継台PC端末40から、IPテレフォニーサーバ10を介して、当該社員が使用する社員用電話端末30(社員用PC端末20がソフトフォンの構成を備えている場合にはそのソフトフォンを代用しても良い)を呼び出して接続することにより、オペレータ、顧客、及び社員(社員の数は複数としても良い)の三者通話(多者通話)を実現するようにしても良い。
【0092】
なお、各社員が使用する社員用PC端末20と社員用電話端末30とは、連携端末DB522で管理されているため、中継台PC端末40は、顧客との通話を社員に聴取させる際には、連携端末DB522の内容に基づいた内線番号を呼び出すようにしても良い。また、当該社員が所望する電話端末(連携端末DB522で関連付けされている内容とは異なる電話端末)で、オペレータと顧客との通話音声を聴取させる場合には、中継台PC端末40と社員用電話端末30との連携を開始する際に、社員用PC端末20が送信する対応可能通知に、その所望の電話番号等(例えば、社員が社員用PC端末20を操作することにより指定された電話番号)を含めるようにしても良い。
【0093】
次に、中継台PC端末40と、社員用PC端末20との連携が開始された後、中継台PC端末40を使用するオペレータと、社員用PC端末20を使用する社員とのコミュニケーションを支援するアプリケーションの処理について説明する。なお、電話通信システム1では、以下に説明するコミュニケーションを支援する構成の全てを実装するようにしても良いし、一部だけを実装するようにしても良い。
【0094】
社員とオペレータ(顧客と通話中)との間のコミュニケーション手段は限定されないものであるが、オペレータは顧客と通話中であるので、例えば、社員が社員用PC端末20の入力装置(例えば、キーボード等)を用いて入力したデータ(例えば、テキストデータ等)を中継台PC端末40のディスプレイ上に表示すること等、オペレータの通話を阻害しない方式を用いることが望ましい。その他にも、社員からオペレータへ音声で指示するコミュニケーション手段を用いる場合には、社員の音声が顧客に聴こえないようにミュートするように構成することが望ましい。
【0095】
このようなコミュニケーション手段により、例えば、社員からオペレータへ、顧客への対応情報(対応に注意する必要が相手であること等)や、自身への転送可否などの情報を伝達することができる。また、オペレータから社員への情報伝達を行うコミュニケーション手段を設けるようにしても良いが、オペレータは顧客と通話中であるので、同様に顧客との通話を阻害しないコミュニケーション手段を用いることが望ましい。
【0096】
また、社員とオペレータ(顧客と通話中)との間のコミュニケーション手段として、テキストデータの入力ではなく、GUI(例えば、ボタンやスイッチの押下を行う操作等)を用いて、操作負担を軽減するようにしても良い。例えば、社員用PC端末20側で、オペレータに情報を伝達するためのボタンやスイッチ等を用意しておき、社員用PC端末20側の操作内容に応じたメッセージ等(例えば、転送可能である旨等)を、中継台PC端末40側のディスプレイで表示するようにしても良い。このように、社員からオペレータへ伝達する内容が、ある程度定型化できる場合には、社員用PC端末20側のGUIでボタン等をクリックするだけで、中継台PC端末40にそのボタンに応じたメッセージ等を表示できるので、操作負担を軽減することができる。特に、顧客と通話中のオペレータから社員への情報伝達を行う場合には、上述のGUIを用いたコミュニケーション手段のように、操作負担が少ないものが望ましい。
【0097】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の電話通信システム1の動作(実施形態の電話通信方法)を説明する。
【0098】
図1は、電話通信システム1の動作について示したシーケンス図である。
【0099】
なお、図1では、説明を簡易にするために、顧客電話端末60から着信した呼が、中継台PC端末40−1により応答され、その後、社員用電話端末30−1(社員用PC端末20−1を使用する社員)に転送される例について説明しているが、その他の端末に置き換わった場合でも同様の処理となるため説明を省略する。また、電話通信システム1において、顧客電話端末60から発信された呼を、どの中継台PC端末40が応答するかを決定する処理については限定されないものであり、既存の中継台システムと同様の処理により決定するようにしても良い。
【0100】
また、以下では、例として、顧客電話端末60を利用する顧客の電話番号を「048XXXXXXXX」とする。また、社員用PC端末20−1及び社員用電話端末30−1を利用する社員は、図8に示す社員番号が「0001」の社員(社員名:山田太郎、内線番号:4000、社員PCIPアドレス:172.19.1.XX)であるものとする。さらに、以下では、アプリケーションサーバ50における顧客DB521、連携端末DB522、及び顧客電話履歴DB523の内容は、それぞれ、図7〜図9の内容(但し、図8に示す社員名「山田太郎」に対応する在席情報は、当初「不在」となっているものとする)であるものとして以下の説明を行う。
【0101】
まず、社員用PC端末20−1及び社員用電話端末30−1を使用する社員が、出社し、社員用PC端末20−1を利用して、アプリケーションサーバ50にログインしたものとする(S101)。これにより、アプリケーションサーバ50で管理される連携端末DB522の内容のうち、社員名「山田太郎」に対応する在席情報が「在席」となり、連携端末DB522の内容は図8に示す状態と同様になる。
【0102】
そして、その後、顧客電話端末60(電話番号:048XXXXXXXX)からIPテレフォニーサーバ10に呼が着信し、積滞呼(保留状態)となったものとする(S102)。
【0103】
そして、IPテレフォニーサーバ10は、管理する積滞呼情報を更新(積滞呼の数のインクリメント、及び、積滞呼のリスト更新)し、新たな積滞呼情報が、各中継台PC端末40に通知される(S103)。また、ここでは、電話通信システム1において、上述のステップS102で発生した積滞呼(顧客電話端末60からの呼)の応答については、中継台PC端末40−1が行うことになったものとする。
【0104】
そして、中継台PC端末40−1のPC端末アプリ通知処理部43では、アプリケーションサーバ50の情報(顧客電話履歴DB523)を利用して、応答する積滞呼に係る転送先候補抽出処理を行う(S104)。ここでは、顧客電話履歴DB523の内容は、図9のようになっており、中継台PC端末40−1では、顧客電話端末60(電話番号:048XXXXXXXX)に対応する履歴情報として、1件(電話番号:048XXXXXXXX、社員番号:0001の履歴情報)のみ抽出されることになる。そして、中継台PC端末40−1では、抽出した履歴情報に基づいて、転送先候補抽出処理の結果、社員番号:0001に対応する社員(社員名:山田太郎、内線番号:4000、社員PCIPアドレス:172.19.1.XX)が抽出されることになる。
【0105】
そして、中継台PC端末40−1は、転送先候補抽出処理の結果抽出された社員(社員名:山田太郎)が使用する社員用電話端末30−1に対して、転送前通知情報を通知する(S105)。
【0106】
そして、転送前通知情報を受信した社員用電話端末30−1では、PC端末アプリ通知処理部43により、転送前通知情報の内容がユーザ(当該社員用電話端末30−1を使用する社員)に提示(例えば、ディスプレイ上の所定のウィンドウに表示)されるものとする。そして、そのとき、当該社員が対応可能(少なくとも、顧客からの通話を聴取することが可能)であり、当該社員により社員用電話端末30−1に受付けの操作(例えば、ディスプレイ上に表示された所定のボタンを押下する操作)が行われた場合には、対応可能通知が、中継台PC端末40に通知されることになる(S106)。
【0107】
そして、中継台PC端末40−1では、社員用電話端末30−1から対応可能通知が通知されると、IPテレフォニーサーバ10に対して、上述のステップS102で発生した積滞呼(顧客電話端末60からの呼)に応答する旨の通知を行い(S107)、さらに、社員用PC端末20−1に対しても、当該積滞呼に応答する旨の通知を行う(S108)。
【0108】
これにより、中継台PC端末40では、顧客電話端末60との間で通話状態を確立することができる(S109)。
【0109】
また、このとき、社員用PC端末20−1の音声テキスト処理部23と、中継台PC端末40−1のPC端末アプリ通知処理部43との間の連携も開始される(S110)。なお、上述のステップS108の対応可能通知が、所定時間以上中継台PC端末40−1になかった場合、中継台PC端末40−1では、転送先候補抽出処理により社員が1人も抽出されなかった場合と同様の処理(例えば、従来技術と同様の処理)を行うようにしても良い。
【0110】
これにより、社員用電話端末30−1を使用する社員に、中継台PC端末40−1のオペレータと顧客との通話内容(音声データ)を出力することができる。また、社員用電話端末30−1を使用する社員と、中継台PC端末40−1のオペレータとの間のコミュニケーションを確立させることができる。例えば、社員用電話端末30−1を使用する社員から、中継台PC端末40−1のオペレータへ、顧客への対応情報や、転送可否などの情報を伝達することができる。
【0111】
そして、ここでは、社員用PC端末20−1を使用する社員から、中継台PC端末40−1を使用するオペレータへ、自身へ転送可能である旨(例えば、音声やテキストデータとしても良い)が伝えられたものとする(S111)。
【0112】
そして、社員用PC端末20−1を使用する社員から、転送可能である旨を受けた中継台PC端末40−1を使用するオペレータは、当該社員を転送先と決定したものとする。そして、当該オペレータは、現在顧客と通話中の呼を、当該社員が使用する社員用電話端末30−1に転送させるための操作(例えば、GUIによる選択処理等)を、中継台PC端末40に対して行ったものとする。そして、そのオペレータの操作に基づく転送要求の通知が、中継台PC端末40−1からIPテレフォニーサーバ10に通知されたものとする(S112)。
【0113】
そして、中継台PC端末40−1からの転送要求を受付けたIPテレフォニーサーバ10は、顧客電話端末60に対する呼を保留状態として、社員用電話端末30−1へ転送着信の通知を行い(S113)、社員用電話端末30−1から応答通知があると(S114)、社員用電話端末30−1と顧客電話端末60との間の通話状態を確立させる。
【0114】
そして、IPテレフォニーサーバ10が、中継台PC端末40−1に転送完了の通知を行う(S115)。
【0115】
そして、中継台PC端末40−1のPC端末アプリ通知処理部43は、今回の転送処理に係る転送履歴の情報を生成して、アプリケーションサーバ50に通知する。そして、その通知を受けたアプリケーションサーバ50の顧客電話履歴処理部513では、通知された転送履歴の情報を、顧客電話履歴DB523に追加する処理が行われる(S116)。
【0116】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0117】
(A−3−1)この実施形態では、顧客(顧客電話端末60)から発番号通知で電話が着信した時点で、転送履歴(顧客電話履歴DB523)等から、オペレータが応答する前(又は、オペレータが顧客と通話中)に、転送先の候補となる社員に、当該顧客からの電話があったこと等の情報を通知することができる。また、この実施形態では、オペレータ(顧客と通話中)が使用する中継台PC端末40と、顧客からの電話の転送先の候補となる社員が使用する社員用PC端末20とを連携させたアプリケーションを実現している。これにより、顧客からの電話の転送先の候補となる社員に対して、当該顧客と中継台のオペレータとの通話音声を聴取させることができる。また、これにより、顧客からの電話の転送先の候補となる社員と、当該顧客と中継台のオペレータとの間のコミュニケーション手段も提供することができる。
【0118】
従来技術であれば、上述の通り、オペレータは顧客からの電話を転送先の社員に転送する際には、一旦顧客との通話を保留し、転送先の社員を呼び出した後に、その社員に顧客の情報や受付内容を引き継ぐ必要があった。しかし、この実施形態では、オペレータが顧客と通話している間に、転送先の候補となる社員により顧客の用件が把握されており、さらに、オペレータと当該社員との意思疎通(コミュニケーション)も図られているため、オペレータと顧客との通話が終了後、すぐに転送先の社員が顧客との対応をすることができる。
【0119】
これにより、この実施形態では、中継台におけるオペレータの業務を効率的に行うことを支援することができる。また、この実施形態では、顧客との通話を保留する時間を短くすることや、取り次ぎの際の不手際をすくなくすることもできるため、顧客(発信者)の満足度を向上させることができる。
【0120】
具体的には、例えば、電話をかけてきた顧客が、オペレータに対して、「先ほど取り次いだ担当者に再度取り次いでほしい。」や「いつも対応してくれる担当者に取り次いでほしい。」と要求された場合などは、転送先候補抽出処理により抽出された、転送先の候補となる社員のリストや、取次ぎ履歴(顧客電話履歴DB523)の内容等を、オペレータに提示することにより、オペレータは容易に、顧客の要望する社員に取り次ぐことが可能になる。
【0121】
また、この実施形態により、転送先となる社員は、顧客からの着信があった時点で、社員用電話端末30を用いて、当該顧客からの電話着信を確認できることや、顧客とオペレータとの通話内容を始めから聞くことができるため、電話対応の事前準備が可能になり、電話対応業務が効率化できる。
【0122】
(A−3−2)この実施形態では、すべての中継台PC端末40による転送履歴は、アプリケーションサーバ50(顧客電話履歴DB523)に格納され、全ての中継台PC端末40で参照することができる。これにより、どのオペレータ(中継台PC端末40)に、積滞呼が着信した場合でも、転送先候補抽出処理により同様の転送先の候補を抽出して、オペレータに提示すること等ができる。これにより、オペレータ間の対応の差異を無くし、各オペレータは均一な対応をすることができる。
【0123】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0124】
(B−1)上記の実施形態における中継台PC端末40、社員用電話端末30、及びアプリケーションサーバ50が行う情報処理(ユーザに対する入出力処理は除く)において、どの処理をどの装置が行うかは、上記の実施形態の例に限定されないものである。例えば、中継台PC端末40及び社員用電話端末30が行う上述の情報処理について、全てアプリケーションサーバ50側で行う構成としても良い。また、オペレータ及び社員のいる事業所には、クライアントPC端末のみを配置し、その他の処理(上述の情報処理やIPテレフォニーサーバ10が行う処理を含む)を一括してASP(Application Service Provider)形式で上述のクライアントPCに提供するシステムとして構築するようにしても良い。
【0125】
(B−2)上記の実施形態では、顧客からの電話は、音声電話のみであるものとして説明したが、テレビ電話としても良い。その場合、社員用PC端末20と中継台PC端末40とを連携させる際に、顧客とオペレータのテレビ電話を用いた通話における映像画面についても、社員用PC端末20側に表示させるようにしても良い。
【0126】
テレビ電話でも良い
【符号の説明】
【0127】
1…電話通信システム、10…IPテレフォニーサーバ、11…IPテレフォニー処理部、111…呼処理部、112…積滞呼処理部、113…通信処理部、12…データ記憶部、20、20−1〜20−3…社員用PC端末、21…ログイン処理部、22…顧客情報通知処理部、23…音声テキスト処理部、24…通信処理部、30、30−1〜30−3…社員用電話端末、40、40−1、40−2…中継台PC端末、41…積滞呼処理部、42…呼処理部、43…PC端末アプリ通知処理部、44…通信処理部、50…アプリケーションサーバ、51…アプリケーション処理部、511…顧客情報処理部、512…連携端末処理部、513…顧客電話履歴処理部、514…在席処理部、515…通信処理部、52…データ記憶部、521…顧客DB、522…連携端末DB、523…顧客電話履歴DB、N1…公衆電話網、N2…社内網、60…顧客電話端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信者が使用する発信者電話端末からの着信呼を受付ける着信受付手段と、着信呼を1又は複数のオペレータ電話端末のいずれかに着信させるオペレータ端末着信手段と、オペレータ電話端末に着信した着信呼を、当該オペレータ電話端末を使用するオペレータの操作に応じて、さらに転送先電話端末に転送させる転送手段とを備える電話通信システムにおいて、
それぞれの着信呼について、上記転送手段による転送先の候補を抽出する転送先候補抽出手段と、
上記オペレータ端末着信手段により着信呼が着信された着信先のオペレータ端末と、発信者電話端末との間の通話音声を、上記転送先候補抽出手段により抽出された転送先の候補に係るユーザに出力する通話音声出力手段と
を有することを特徴とする電話通信システム。
【請求項2】
上記転送手段により転送された内容に係る転送履歴情報を蓄積する履歴蓄積手段をさらに有し、
上記転送先候補抽出手段は、上記履歴蓄積手段に蓄積された転送履歴情報を利用して、それぞれの着信呼について、上記転送手段による転送先の候補を抽出することを特徴とする請求項1に記載の電話通信システム。
【請求項3】
上記履歴蓄積手段が蓄積する転送履歴情報には、少なくとも上記転送手段により転送された着信呼に係る発信者電話端末の発信者識別情報と、着信呼が転送された転送先を識別する転送先識別情報を含み、
上記転送先候補抽出手段は、上記履歴蓄積手段に蓄積された転送履歴情報のうち、今回上記着信受付手段により受付けた着信呼の発信者識別情報と一致する転送履歴情報を抽出し、抽出した転送履歴情報に含まれる転送先識別情報に係る転送先を、今回上記着信受付手段により受付けた着信呼の転送先の候補として抽出する
ことを特徴とする請求項2に記載の電話通信システム。
【請求項4】
上記転送手段による転送先となり得るユーザのそれぞれについてプレゼンス情報を取得するプレゼンス情報取得手段をさらに有し、
上記転送先候補抽出手段は、上記履歴蓄積手段に蓄積された転送履歴情報を利用して抽出した転送先の候補を、上記プレゼンス情報取得手段が取得した情報を利用してさらに絞り込む
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電話通信システム。
【請求項5】
上記オペレータ端末着信手段により上記着信呼が着信された着信先のオペレータ端末と、発信者電話端末とで通話状態が確立されている間、上記転送先候補抽出手段により抽出された転送先の候補に係るユーザが入力装置を用いて入力した伝達情報を、上記着信先のオペレータ端末を使用するオペレータに出力するコミュニケーション手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電話通信システム。
【請求項6】
発信者が使用する発信者電話端末からの着信呼を受付ける着信受付手段と、着信呼を1又は複数のオペレータ電話端末のいずれかに着信させるオペレータ端末着信手段と、オペレータ電話端末に着信した着信呼を、当該オペレータ電話端末を使用するオペレータの操作に応じて、さらに転送先電話端末に転送させる転送手段とを備える電話通信システムにおける電話通信方法において、
転送先候補抽出手段、通話音声出力手段を有し、
上記転送先候補抽出手段は、それぞれの着信呼について、上記転送手段による転送先の候補を抽出し、
上記通話音声出力手段は、上記オペレータ端末着信手段により着信呼が着信された着信先のオペレータ端末と、発信者電話端末との間の通話音声を、上記転送先候補抽出手段により抽出された転送先の候補に係るユーザに出力する
ことを特徴とする電話通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195856(P2012−195856A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59684(P2011−59684)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】