説明

電飾看板

【課題】複数の表示部に表示された情報を交互に表示することが可能な電飾看板を提供する。
【解決手段】正面側に、第1の表示部3を有する第1の面発光体1及び第1の光源2の組み合わせで構成される第1ユニットを有し、該第1ユニットの裏面側に、第2の表示部3を有する第2の面発光体1’及び第2の光源2’及び反射シート4で構成される第2ユニットを有する内照式電飾看板であり、面発光体1、1’は光散乱剤を含有する光透過性樹脂から形成した基材層及び皮膜層からなる積層構造の面発光体を用いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示や広告などのため、絵や文字などを印刷又は彫刻した面発光体を光源によって発光させて絵や文字を表示する内照式電飾看板に関する。
【背景技術】
【0002】
内照式電飾看板は商品や企業、商店の広告等の目的で広く使用されており、その種類も様々なものが知られている。そのいくつかを以下に例示する。
特許文献1には、情報表示層、表面保護層、再帰反射層及び光散乱層からなる情報表示部と情報表示部の背面に設置された光源及び背面反射層からなる照明装置とから構成することにより広い角度において優れた視認性を有するようにした内照式電飾看板が開示されている。
特許文献2には、電飾看板を、一面側に開口部を有する箱型のハウジングの開口部側に光拡散板と該光拡散板の表面側に設けられた表示パネルとを配置すると共に、ハウジング内に複数本の線状光源と、乱反射面に形成された山形部と鏡面反射面に形成された平坦部とからなる光反射板を配置した構成とすることによって、電飾看板の消費電力の低下と薄型化を可能としたことが開示されている。
【0003】
特許文献3には、内部に光源を収容し、正面開口部に光透過性カバーを備えた箱形の内照式電飾看板において、側壁の一部を開口させると共に、該側壁開口部の一部を、底板側から正面側に向い開口側壁側に傾斜する傾斜面で塞ぐ反射板を設けることによって、カバー表面の照度ムラをなくすことができることが開示されている。
特許文献4には、底板と側壁とからなる正面が開口している箱状体と、該箱状体内に配置の光源と、箱状体開口を覆う光透過性カバーとからなる内照式薄型電飾看板において、光源の光透過性カバーと対向する面に光透過率が30〜70%の遮蔽体を設けると共に箱状体の底板表面に拡散反射率が90%以上の発泡プラスチック製反射体を設けることによって極薄型であっても照度ムラがなく明るさにも優れた電飾看板とすることができることが開示されている。
【0004】
特許文献5には、透明基材の裏面に光拡散層を設けると共に表面にインクジェット記録層を設けてなる透過表示板作製シートを用いることによって均一な面発光によりムラのない電飾表示を可能としたことが開示されている。
しかしながら、上記の従来の電飾看板は、いずれも表示部に形成された一種類の情報しか表示することができず、二種類以上の表示を交互に表示することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/006216号
【特許文献2】特開2005−309093号公報
【特許文献3】特開2000−56715号公報
【特許文献4】特開2000−10509号公報
【特許文献4】特開平11−273433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一つの電飾看板で二種類又は三種類の表示内容のそれぞれを別々に表示することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、光源と面発光体とからなるユニットを複数個用いることによって上記課題が解決できることを見出して本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下に記載する通りである。
【0008】
(1)内照式電飾看板であって、正面側に、第1の表示部(3)を有する第1の面発光体(1)及び第1の光源(2)の組み合わせで構成される第1ユニットを有し、該第1ユニットの裏面側に、第2の表示部(3’)を有する第2の面発光体(1’)及び第2の光源(2’)及び反射シート(4)で構成される第2ユニットを有することを特徴とする内照式電飾看板。
(2)前記第2の表示部(3’)が、前記第2の面発光体(1’)の表面に形成された画像からなることを特徴とする上記(1)に記載の電飾看板。
(3)前記画像が、前記第2の面発光体(1’)の表面に貼付された写真フィルムによって形成されていることを特徴とする上記(2)に記載の電飾看板。
(4)前記画像が、前記第2の面発光体(1’)の表面に印刷又は表面加工によって形成されていることを特徴とする上記(2)に記載の電飾看板。
(5)前記第1の面発光体(1)及び前記第2の面発光体(1’)が基材層と皮膜層からなる積層構造を有し、前記基材層中の光散乱剤濃度が0.1〜4.5ppm、前記皮膜層中の光散乱剤濃度が10〜3000ppmであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電飾看板。
(6)前記基材層及び前記皮膜層が光散乱剤と光透過性樹脂とを含む光透過性樹脂組成物からなることを特徴とする上記(5)に記載の電飾看板。
(7)前記光透過性樹脂がメタクリル樹脂であることを特徴とする上記(6)に記載の電飾看板。
(8)前記該第1ユニットと第2ユニットとの間に、表示部(3”)を有する第3の面発光体(1”)及び第3の光源(2”)で構成される第3ユニットを更に有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに内照式電飾看板。
【発明の効果】
【0009】
本発明の内照式電飾看板により、一つの電飾看板で二種類又は三種類の表示内容のそれぞれを別々に表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。
図1は本発明の電飾看板の一例を示す図である。図1では、正面側に第1ユニットが配置され、裏面側に第2ユニットが配置されている。
第1ユニット(U1)は第1の表示部(3)を有する第1の面発光体(1)と第1の光源(2)とから構成されており、第2のユニット(U2)は第2の表示部(3’)を有する第2の面発光体(1’)、第2の光源(2’)及び反射シート(4)から構成されている。この光源(2、2’)としてはLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)を用いることが好ましい。
表示部(3、3’)は、面発光体(1、1’)の表面に文字や図形等の画像(以下、文字、図形等を合わせて「画像」という)を表面加工、印刷又は貼付することによって形成することができる。表面加工としては、切削加工が挙げられる。
図2は、第1の面発光体(1)の第1の表示部(3)として文字を印刷し、第2の面発光体(1’)の第2の表示部(3’)として図形を印刷した例を示した。
また、表示部(3、3’)は面発光体の表面に形成しても良いし、面発光体の裏面又は内部に形成しても良い。
【0011】
第1ユニットの第1の表示部(3)に多くの情報を表示すると第2ユニットの第2の表示部が見えにくくなるため、第1の表示部(3)としては文字や図形を部分的に印刷又は彫刻することが好ましい。また、第2ユニットの第2の面発光体(1’)には全面にフルカラーの画像を印刷したり写真フィルムを貼付したりすることによって鮮やかで効果的な表示を行うことができる。
【0012】
また、第2の表示部(3’)の写真画像又は印刷画像の明暗のコントラストが強い場合には、第1ユニット点灯時に第2の表示部の画像が透けて見えることがあるので、この様な場合には第2の表示部(3’)の画像の前面にスモーク板を設置することによって第2の表示部の画像の視認性を低下させることができる。なお、第2の表示部(3’)の画像が全体的に明るい色調である場合には、この様なスモーク板を設置する必要はない。
【0013】
第1の面発光体(1)の第1の表示部(3)を表示する時には、第1ユニット(U1)の光源2をONにすると共に第2ユニット(U2)の光源(2’)をOFFとし、第2の面発光体(1’)の第2の表示部(3’)を表示する時には、第2ユニット2の第2の光源(2’)をONにすると共に第1ユニット(U1)の第1の光源(1)をOFFとする。
【0014】
また、前記該第1ユニットと第2ユニットとの間に、表示部(3”)を有する第3の面発光体(1”)及び第3の光源(2”)で構成される第3ユニットを更に設けることにより3種類の表示が可能となる。但し、3種類以上のユニットを設けると裏面側のユニットの表示部の視認性が劣る。
【0015】
上記のように、第1ユニットを通して第2ユニットの第2の表示部(3’)を観察できるようにするためには面発光体の光線透過率を高くする必要がある。
このような面発光体としては、光散乱剤を含む皮膜層と光散乱剤を含む基材層とからなる発光輝度に優れた多層状の面発光体を用いることが好ましい。
以下に、この多層状の面発光体(以下単に「面発光体」という)について説明する。
【0016】
面発光体は、第1の光散乱剤を含む皮膜層、及び、第2の光散乱剤を含む基材層からなる。皮膜層は光透過性を有する第1の樹脂(以下、光透過性樹脂と記す)及び第1の光散乱剤から構成されることが好ましく、また、基材層は第2の光透過性樹脂及び第2の光散乱剤から構成されることが好ましい。尚、上記の第1の光散乱剤と第2の光散乱剤は、同一であっても異なってもよく、上記の第1の光透過性樹脂と第2の光透過性樹脂も、同一であっても異なってもよい。
【0017】
面発光体の基材層及び皮膜層は、光散乱剤を分散させた熱可塑性樹脂をシート状に形成することで得ることができる。この熱可塑性樹脂シートとしては、押し出し成形により製造される押し出しシート、キャスト法により製造させるキャストシートの何れも適用可能である。
【0018】
基材層及び皮膜層を構成する光透過性樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂が適用可能であるが、好ましくはメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、非晶性ポリエステル樹脂等の光学材料であり、更に好ましくはメタクリル樹脂である。
以下、発光体の基材層及び皮膜層を構成する樹脂として適用可能な樹脂について、より詳細に記す。
【0019】
メタクリル樹脂とは、メタクリル酸メチル或いはメタクリル酸エチルを70重量%以上と、これ等と共重合性を有する単量体とを共重合することにより得ることが出来るものである。メタクリル酸メチル或いはメタクリル酸エチルと共重合性を有する単量体としては、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和酸類等が適用可能である。
【0020】
尚、発光体の基材層及び皮膜層としては、耐熱性メタクリル樹脂、低吸湿性メタクリル樹脂、耐衝撃性メタクリル樹脂等も適用可能である。耐衝撃性メタクリル樹脂とは、例えばメタクリル樹脂にゴム弾性体をブレンドしたものである。そのゴム弾性体の一例としては、アクリル系重合体芯材料の周りに弾性層及び非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造される多段重合体が挙げられる。このゴム弾性体をメタクリル樹脂にブレンドすることで、上記の耐衝撃性メタクリル樹脂が得られる。
【0021】
また、発光体の基材層及び皮膜層を構成する樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合には、ポリカーボネート樹脂としてビスフェノールAに代表される二価フェノール系化合物から誘導される重合体が用いられる。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法、エステル交換法或いは固相重合法等の周知の慣用の方法を適用することが出来る。
【0022】
環状オレフィン系樹脂とは、ノルボルネンやシクロヘキサジエン等のポリマー鎖中に環状オレフィン骨格を含む重合体若しくはこれ等を含む共重合体であり、非晶性熱可塑性樹脂に属する。その製造方法については特に限定されるものではない。例えば、ノルボルネンを主とした環状オレフィン樹脂の一例としては、エチレン・ノルボルネン共重合体であるTicona株式会社製の「Topas」(商品名)が適用可能であり、シクロペンタジエン開環重合体の一例としては日本ゼオン株式会社製の「Zeonex」(商品名)等が適用可能である。
【0023】
スチレン系樹脂とは、スチレンを必須成分とするホモポリマー、コポリマーまたはこれ等のポリマーと他の樹脂とから得られるポリマーブレンド等である。本発明においては、特に、ポリスチレン、アクリロニトリルとスチレンの共重合体樹脂であるAB樹脂、メタクリル酸エステルとスチレンの共重合体樹脂であるMS樹脂を用いることが好ましい。
更に、スチレン系樹脂相中にゴムが分布した透明強化ポリスチレンも好ましく使用出来る。スチレン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、周知慣用の方法で製造することが出来る。
【0024】
非晶性ポリエステルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジヒドロキシ化合物、或いはこれ等の2種類以上から選ばれたジヒドロキシ化合物単位と、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、或いはこれ等の2種類以上から選ばれたジカルボン酸単位とから形成されるポリエステルの中で非晶性の樹脂を適用可能である。
【0025】
非晶性ポリエステルの製造方法は、特に限定されるものではなく、周知慣用の方法で製造することが出来る。非晶性ポリエステルとして容易に入手し得る市販銘柄としては、イーストマン・コダック社の製品であるKODAR PTEC或いはPCTA等が挙げられる。
【0026】
また、上記の面発光体の基材層及び皮膜層を構成する樹脂には、必要に応じて軟質重合体を添加しても良い。例えば、軟質重合体としては、α−オレフィンからなるオレフィン系軟質重合体、イソブチレンからなるイソブチレン系軟質重合体、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンからなるジエン系軟質重合体、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状オレフィンからなる環状オレフィン系軟質重合体、有機ポリシロキサン系軟質重合体、α,β−不飽和酸とその誘導体からなる軟質重合体、不飽和アルコール及びアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールからなる軟質重合体、エポキシ化合物の重合体、フッ素系ゴム等を適用出来る。
【0027】
面発光体の基材層及び皮膜層に含まれる光散乱剤として適用可能な材料としては、炭酸カルシウム、アルミナ、二酸化チタン、二酸化珪素、ガラスビーズ等の無機微粒子、スチレン架橋ビーズ、MS架橋ビーズ、シロキサン系架橋ビーズ等の有機微粒子等を挙げられる。また、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、MS樹脂、環状オレフィン樹脂等の透明性の高い樹脂材料からなる中空架橋微粒子及びガラスからなる中空微粒子等も、光散乱剤として適用可能である。尚、光散乱剤は、基材層及び皮膜層を構成する樹脂中に分散されていることが好ましい。
また、発光体の基材層及び皮膜層に分散される光散乱剤の形状は特に限定されるものではなく、例えば、真球状、球状、平面扇形状、キュービック状、平面菱形状、六方晶状、不定形状等の光散乱剤が適用可能である。
【0028】
面発光体は、光散乱剤濃度の低い基材層と、光散乱剤濃度の高い皮膜層とを、特定の厚さ比で有することが好ましい。
尚、本発明において、光散乱剤濃度とは、光透過性樹脂中に含まれる光散乱剤の重量分率をppmで定義した値である。
以下では、基材層の厚さに対する皮膜層の厚さの比を“皮膜層/基材層の厚さ比”と記し、基材層の光散乱剤濃度に対する皮膜層の光散乱剤濃度の比を“皮膜層/基材層の光散乱剤濃度比”と記す。
【0029】
具体的には、基材層の厚さに対する皮膜層の厚さの比が1/300〜1/7であり、かつ、基材層中の光散乱剤濃度は0.1〜4.5ppm、皮膜層中の光散乱剤濃度は10〜3000ppmであり、基材層の光散乱剤濃度に対する皮膜層の光散乱剤濃度の比が100/1〜2000/1であることが好ましい。
また、本発明においては、皮膜層/基材層の厚さ比が1/200〜1/15で、且つ、皮膜層/基材層の光散乱剤濃度比が200/1〜1500/1の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、皮膜層/基材層の厚さ比が1/100〜1/25で、且つ、皮膜層/基材層の光散乱剤濃度比が300/1〜1000/1以下の範囲である。
【0030】
次に、面発光体の製造方法について述べる。
面発光体の基材層及び皮膜層は、光透過性樹脂中に光散乱剤を分散させ、得られた光透過性樹脂組成物を押出法又はキャスト法でシート状に形成することで得ることができる。この光透過性樹脂組成物の製造方法は、光散乱剤の微粒子を光透過性樹中に均一に分散させるものであれば特に限定されないが、好ましい方法については後述する。
【0031】
面発光体の基材層及び皮膜層となる光透過性樹脂及び光散乱剤の微粒子を含む光透過性樹脂組成物を製造する場合、光散乱剤の微粒子を光透過性樹脂中に均一分散させる方法として、例えば、以下の(1)あるいは(2)の方法を適用することが出来る。
【0032】
(1)押出機で、基材層及び皮膜層となる透明熱可塑性樹脂と光散乱剤の微粒子とを溶融混練する方法:
この場合には、光散乱剤の微粒子を有機液体中に、好ましくは超音波発生装置を用いて分散させ、光散乱剤分散液を作成する。作成した光散乱剤分散液と光透過性樹脂とを混合し、その混合物を押出機で溶融混練する。その際、使用する有機液体は、上述の通り、光散乱剤の微粒子が溶解、膨潤等を起こすことなく、且つ均一に分散するものであれば何ら限定されるものではない。また分散状態により数種類の有機液体を任意の割合で混合して使用することが出来る。
【0033】
尚、ここでいう有機液体としては、一般有機液体の他、光透過性樹脂を構成する重合性単量体等も含まれ、光散乱剤の微粒子が溶解、膨潤等を起こし難く、また均一に分散するものであれば特に限定されるものではない。また、光散乱剤の微粒子の分散状態により数種類の有機液体を任意の割合で混合して使用しても良い。
【0034】
一般有機液体としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、キシレン、トルエン等の芳香族類、メタノール、エタノール等のアルコール類を適用することが出来る。また、重合性単量体としては、例えば光透過性樹脂がメタクリル樹脂の場合、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和酸類等が適用出来る。
【0035】
光散乱剤の微粒子と有機液体との混合比は、光散乱剤の微粒子の分散性を考慮して任意に決定することが出来るが、有機液体100重量部に対して光散乱剤の微粒子を0.001〜80重量部の範囲で混合することが好ましい。
また、光散乱剤の微粒子と有機液体とからなる光散乱剤分散液と、発光体の基材となる光透過性樹脂との混合比も、混合押し出し工程でのハンドリング性を考慮して任意に決定することが出来るが、発光体の基材となる光透過性樹脂100重量部に対して分散液を0.001〜10重量部の範囲で混合することが好ましい。
光散乱剤分散液の光透過性樹脂への混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ヘンシェルミキサーによる混合、スーパーフローターによる混合、タンブラーによる混合といった周知慣用の混合方法で混合することが出来る。
【0036】
また、上記混合物の溶融混練に用いられる押出機についても必ずしも特異なものを用いる必要はなく、通常の単軸または二軸の押出機等であれば良い。但し、分散に使用した有機液体の揮発成分除去の観点から、ベント口で好ましくは300Torr以下の減圧脱揮が可能な押出機が好ましい。更に、ダイスとしては、皮膜厚さを制御可能な多層ダイスを用いる。
また、光散乱剤の微粒子の二次凝集防止の観点から、二軸押出機を使用することが製造上好ましい。押出機の温度は、使用する光透過性樹脂の種類によって任意に設定することが出来る。例えば、光透過性樹脂としてメタクリル樹脂を用いる場合には、180℃〜260℃前後である。
【0037】
(2)キャスト法により重合し、発光体を得る方法:
この場合には、光散乱剤の微粒子を、基材となる光透過性樹脂の原料単量体、またはこの単量体と共重合可能な単量体中に、好ましくは超音波発生装置を用いて分散させる方法が適用出来る。この場合、光散乱剤の微粒子を原材料モノマーの一部に予め分散させ、その後、部分重合したポリマー溶液等に混合して使用することが好ましい。光散乱剤の微粒子とそれを分散する原料モノマーとの量比は、分散性、仕込み時の粘度、ハンドリング性等から任意に決定出来る。
また、キャスト法における重合温度、重合時間、重合開始剤量等の重合条件や発光体となるシート(キャスト板)の形成方法についても特に限定されるものではない。シートの形成方法としては、例えば、ガラスセルキャスト法、連続キャスト法等が適用出来る。
【0038】
尚、粒子の分散に使用される超音波発生装置は、特に限定されるものではなく、市販の超音波洗浄機や超音波スターラー等を使用することが出来る。例えば、超音波周波数が28kHz〜100kHzの超音波洗浄機が一般的に使用される。超音波発生装置による照射時間は、光散乱剤の微粒子の分散状態により任意に設定出来るが、一般的には1分〜60分程度照射することが好ましい。
【0039】
前記の面発光体と光源とを組み合わせることにより本発明におけるユニット1、ユニット2を形成することができる。
光源としてはLED光源を用いることが好ましく、プリント基板及び該プリント基板に搭載された一列に繰り返し並んだ複数対からなる赤色のLEDチップ、緑色のLEDチップ、青色のLEDチップからなるLEDチップ列を有する光源、あるいは、前記三原色のチップを一つにまとめた3in1タイプの光源を使用することが出来る。
この様な光源を用いることにより意匠性に優れた表示が可能となる。
光源は第1の面発光体(1)については、面発光体の端面に取付けるサイドライト型であり、その取付位置は1端面、2端面(上下又は左右)、4端面の何れでも良い。また、第2の面発光体(1’)については、面発光体1と同様に端面に取付けるサイドライト型としても良いし、直下型としてもよい。
【実施例】
【0040】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
【0041】
デルペットLP−1(メタクリル樹脂:旭化成ケミカルズ株式会社製)に光散乱剤として平均粒径0.5μmのアルミナを2.5ppmブレンドし、基材層用樹脂を用意した。更に、デルペットLP−1に前記のアルミナを1000ppmブレンドし皮膜層用樹脂を用意した。基材用樹脂をスクリュウ径120mmφ、L/D(押し出し長さ/押し出し直径)=32の押出し機に装填し、更に皮膜用樹脂をスクリュウ径40mmφ、L/D=32の押出し機に装填し、これらの押出し機を用いて、厚さ8mm、巾1000mmの積層シートを押し出し成形し、発光体を得た。皮膜の厚さは200μmであった。
尚、ここで光散乱剤の平均粒径の測定法としては、光散乱剤の微粒子を有機液体中に超音波により分散させ、得られた分散液をマイクロトラック法を用いて測定し、50%累積粒径を平均粒径とした。
【0042】
その積層シートから長さ1800mm、巾900mmのサイズに2枚切り出して、面発光体1、及び面発光体2を得、切断面を研磨した。
又、第1の面発光体(1)の裏面に「Asahi Asahi」のロゴの彫刻、及び印刷を施した。
更に、第1の光源(2)としてフルカラーLED光源(カラーコントロール機構付き)を、第2の光源(2’)として白色LED光源を用いた。花の写真を第2の面発光体(1’)の全面に配置すると共に、第1の光源(2)点灯時の写真映り込み防止のための光線透過率30%のスモーク板(デラグラスA950:旭化成ケミカルズ株式会社製)を写真の前面に配置し、更に第2の面発光体(1’)の裏側へ反射シート(4)を配置して、図1に示す様にセットした。
【0043】
第2の光源(2’)消灯時に第1の光源(2)を点灯すると、第1の面発光体(1)の全面が光源色で発光し、且つ彫刻文字、及び印刷が浮かび上がり、写真の絵柄は殆ど認められなかった。
次に第1の光源(2)消灯時に第2の光源(2’)を点灯すると花の写真の絵柄が浮かび上がり、第1の面発光体(1)の彫刻文字、或いは印刷は殆ど気にならない程であった。
このように本実施例の電飾看板は1セットの電飾看板ではあるが、2種類の見せ方が可能な意匠性に優れた電飾看板であった。
[実施例2]
【0044】
本実施例では、基材層の光散乱剤の量を0.5ppmとした以外は前記実施例1と同様にして、多層シートを押し出し、それ以外は実施例1と同様にして電飾看板を製作した。
更に第1の光源(2)、及び第2の光源(2’)を実施例1と同様に点灯、及び消灯を行ったところ、第1の光源(2)点灯時は彫刻文字、及び印刷だけが認められ、第2の光源(2’)点灯時は写真の絵柄だけが認められ、実施例1と同様に意匠性に優れた電飾看板であった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の内照式電飾看板は、複数の表示部に表示された情報を交互に表示することができ、また、意匠性にも優れるので、表示効果及び宣伝効果が高く広告宣伝手段として極めて利用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の内照式電飾看板の構造を説明する図である。
【図2】本発明における第1,第2ユニットの面発光体に表示部を形成させた例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
U1 第1ユニット
U2 第2ユニット
1 第1の面発光体
1’ 第2の面発光体
2 第1の光源
2’ 第2の光源
3 第1の表示部
3’ 第2の表示部
4 反射シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内照式電飾看板であって、正面側に、第1の表示部(3)を有する第1の面発光体(1)及び第1の光源(2)の組み合わせで構成される第1ユニットを有し、該第1ユニットの裏面側に、第2の表示部(3’)を有する第2の面発光体(1’)及び第2の光源(2’)及び反射シート(4)で構成される第2ユニットを有することを特徴とする内照式電飾看板。
【請求項2】
前記第2の表示部(3’)が、前記第2の面発光体(1’)の表面に形成された画像からなることを特徴とする請求項1に記載の電飾看板。
【請求項3】
前記画像が、前記第2の面発光体(1’)の表面に貼付された写真フィルムによって形成されていることを特徴とする請求項2記載の電飾看板。
【請求項4】
前記画像が、前記第2の面発光体(1’)の表面に印刷又は表面加工によって形成されていることを特徴とする請求項2記載の電飾看板。
【請求項5】
前記第1の面発光体(1)及び前記第2の面発光体(1’)が基材層と皮膜層からなる積層構造を有し、前記基材層中の光散乱剤濃度が0.1〜4.5ppm、前記皮膜層中の光散乱剤濃度が10〜3000ppmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電飾看板。
【請求項6】
前記基材層及び前記皮膜層が光散乱剤と光透過性樹脂とを含む光透過性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項5に記載の電飾看板。
【請求項7】
前記光透過性樹脂がメタクリル樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の電飾看板。
【請求項8】
前記該第1ユニットと第2ユニットとの間に、表示部(3”)を有する第3の面発光体(1”)及び第3の光源(2”)で構成される第3ユニットを更に有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに内照式電飾看板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−170745(P2008−170745A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4050(P2007−4050)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【出願人】(591235522)旭化成テクノプラス株式会社 (5)
【出願人】(507012881)トランローグ有限会社 (1)
【Fターム(参考)】