説明

霧状水供給装置とそれを備える洗濯機

【課題】安定した霧状の水を発生させることが可能な霧状水供給装置と、それを備える洗濯機を提供する。
【解決手段】超音波ユニット200は、水を流通させるための管路220と、管路220の内周面の接線方向に沿って管路220内に水を供給するためのウェットミスト用水供給路230とドライミスト用水供給路240と、管路220の内部に配置され、超音波によって水を霧状にするためのホーン210とを備える。管路の内周面の接線方向に沿って供給路から管路内に水が供給されることによって、水は、管路内に配置される霧化部に直接、当たりにくくなる。水が霧化部に直接、当たりにくいので、霧化部の表面を覆う水膜が形成されにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には霧状の水を供給するための装置とそれを備える洗濯機に関し、特定的には、超音波によって水を霧状にして供給する霧状水供給装置と、それを備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホーン(圧電素子)を超音波振動させて、水や薬液などの液体を噴霧する装置がある。
【0003】
例えば、国際公開第00/66277号パンフレット(特許文献1)には、薬液がアンプルから噴霧室内に供給されると、ホーン(圧電素子)の超音波振動が開始され、ホーンの上部で薬液が噴霧される液体噴霧装置が記載されている。この液体噴霧装置では、ホーンの上部で薬液が噴霧されると、その勢いでアンプル内から噴霧室に、給液パイプを通って薬液が吸い出される。
【特許文献1】国際公開第00/66277号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、国際公開第00/66277号パンフレット(特許文献1)に記載の液体噴霧装置では、噴霧するための薬液がホーンに直接、当たるように、アンプルから給液パイプを通って噴霧室内に供給されている。このように、薬液がホーンに直接当てられると、薬液がホーンの表面に膜を形成し、安定して噴霧することができない。
【0005】
そこで、この発明の目的は、安定した霧状の水を発生させることが可能な霧状水供給装置と、それを備える洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った霧状水供給装置は、水を流通させるための管路と、管路の内周面の接線方向に沿って管路内に水を供給するための供給路と、管路の内部に配置され、超音波によって水を霧状にするための霧化部とを備える。
【0007】
管路の内周面の接線方向に沿って供給路から管路内に水が供給されることによって、水は、管路内に配置される霧化部に直接、当たりにくくなる。水が霧化部に直接、当たりにくいので、霧化部の表面を覆う水膜が形成されにくくなる。
【0008】
このようにすることにより、安定した霧状の水を発生させることが可能な霧状水供給装置を提供することができる。
【0009】
この発明に従った霧状水供給装置においては、霧化部は、板状に形成されている端部を有し、端部は、長辺側の端面と短辺側の端面とを有し、端部の短辺側の端面が管路内において水が貯まる方向に沿って延びるように霧化部は管路内に配置されていることが好ましい。
【0010】
霧状の水は、板状に形成されている霧化部の端部において発生する。霧化部の端部が、短辺側の端面が管路内において水が貯まる方向に沿って延びるように配置されていることによって、霧化部は、所定の量の水をポンピング効果によって吸い上げて、霧化する。
【0011】
仮に、霧化部の端部の短辺側の端面が水平面に沿って延びるように、霧化部が配置されていると、管路内に貯まる水の量によって、発生する霧の量が大きく変化してしまう。
【0012】
そこで、霧化部は、板状に形成されている端部を有し、端部の短辺側の端面が管路内において水が貯まる方向に沿って延びるように霧化部は管路内に配置されていることにより、管路内の水の量が変化しても、霧状の水を安定して発生させることができる。
【0013】
この発明に従った霧状水供給装置は、管路の内周面から管路の内部に向かって突出する突起を備えることが好ましい。
【0014】
このようにすることにより、管路の内周面の接線方向に沿って管路内に供給されて、管路の内周面に沿って流れる水を突起に衝突させて勢いを弱め、水位が高くなりすぎることを防ぐことができる。また、水流に勢いがある場合に、水が管路の内周面から離れて霧化部に直接、当たることを防ぎ、水位が高くなりすぎて、超音波の発振が正常でなくなり、水を霧状にすることができなくなるのを防ぐことができる。
【0015】
この発明に従った洗濯機は、対象物を収容する収容槽と、上記のいずれかの霧状水供給装置とを備え、霧状水供給装置は、霧状の水を収容槽内に供給することが好ましい。
【0016】
このようにすることにより、洗濯機が設置される環境に左右されずに、安定した霧状の水を発生させることが可能な洗濯機を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、この発明によれば、安定した霧状の水を発生させることが可能な霧状水供給装置と、それを備える洗濯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、この発明のひとつの実施の形態として、洗濯乾燥機の全体の外観を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1に示す洗濯乾燥機をII−II線の方向から見た断面を概略的に示す断面図である。
【0020】
図1と図2に示すように、洗濯乾燥機1は、外装101と、外装101の上面を形成する上面板102と、外装101の内部に取り付けられた水槽130と、対象物の一例として繊維構造体2を収容するための収容槽として、水槽130の内部で回転可能に支持された回転ドラム120と、外装101の下部に配置される循環ポンプ460を備える。外装101と外装101の内部の全体は、ゴム足103によって床面上に支持されている。
【0021】
繊維構造体2は、衣類、布類、ふきん、毛布など、繊維で構成されたものであればよい。また、対象物は、洗濯乾燥機1で洗濯乾燥されるものであれば、繊維構造体2の他、繊維によって構成されていないものであってもよい。
【0022】
外装101の前面には外扉111が取り付けられている。外扉111の内側には、内扉112が取り付けられている。外扉111を開き、内扉112を開くことによって外装101の前面側に設けられた投入口113を通じて繊維構造体2を回転ドラム120に投入、または回転ドラム120から取り出すことができる。内扉112を閉じ、外扉111を閉じることによって投入口113を塞ぐことができる。内扉112は回転ドラム120内が視認可能なように中央部が透明ガラスで作られているとともに、凹んだ器形状、いわゆる洗面器形状を有している。投入口113側の水槽130の周壁にはゴム等の弾性体からなるドアパッキン114がパッキンカバー115に嵌め込まれて固着されている。内扉112を閉じたときにドアパッキン114が内扉112の周縁に密着して水槽130が密閉される。
【0023】
回転ドラム120は、水槽130の内部で軸部141を中心に回転するように支持されている。このようにしてドラム式の洗濯乾燥機1は、水槽130と回転ドラム120とから構成された二重構造を有する。
【0024】
回転ドラム120は、回転軸線方向の中央に内周壁面を形成するドラム胴と、一方端に開口部を形成するドラム蓋と、他方端に内底壁面を形成するドラム底とから構成され、一般的にステンレス鋼板から作られている。ドラム底には、軸部141等の構造部品を取り付けかつ所望の荷重を支持するためにリブ等の凹凸面がプレス加工によって形成され、底壁面の強度の向上が図られている。回転ドラム120の周壁と底部には給水、排水および通気のための多数の小孔121が設けられている。ドラム蓋の外周縁部には回転時の振動防止のために流体バランサ123が固着されている。ドラム胴の内周壁面上には、バッフル122が配置されている。
【0025】
軸部141は、回転ドラム120を回転させるためのドラム回転駆動モータ140のシャフトを備えている。ドラム回転駆動モータ140は、洗濯乾燥機1内の下部に配置されているメイン回路107のインバータ回路により回転が制御される。
【0026】
水槽130は上部から支持バネ104で、下部から支持ダンパー105で弾性的に支持されている。水槽130の底部には排水弁432が設けられ、排水弁432の開閉によって洗剤を含む水等が水槽130から内部排水ホース430と外部排水ホース431を通って排水される。
【0027】
水槽130の背面側には、冷却ダクト330が接続されている。水槽130内に水が収容されておらず、回転ドラム120内で繊維構造体2の乾燥を行うときには、回転ドラム120と水槽130内の空気は、冷却ダクト330を通って水槽130から排出され、後述するように、冷却(除湿)、加熱されて、水槽130内に戻される。
【0028】
水槽130の上方には、操作回路106が配置されている。水槽130の下方には、メイン回路107が配置されている。操作回路106は、使用者が洗濯乾燥機1の操作をするために、外装101の外周面上に配置される操作部(図示しない)を操作すると、操作部から信号を受信して、水槽130の下方に配置されているメイン回路107に制御信号を送信する。メイン回路107は、ドラム回転駆動モータ140、循環ポンプ460、排水弁432、給水弁、送風モータ等、洗濯乾燥機1の各部材に制御信号を送信して、各部材の動作を制御する。
【0029】
図3は、図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を上方向から見たときの状態を示す図であり、図4は、図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を右方向から見たときの状態を示す図であり、図5は、図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を左方向から見たときの状態を示す図である。
【0030】
図3から図5を用いて、洗濯乾燥機1内の水と空気の流れを説明する。図中の一点鎖線の矢印Pは、水道から供給される水の流れを示し、実線の矢印Qは、洗濯乾燥機1内を循環する水の流れを示し、二点鎖線の矢印Rは、空気の流れを示す。
【0031】
まず、図3と図4を用いて、洗濯乾燥機1内の空気の流れを説明する。
【0032】
図3と図4に示すように、水槽130の背面側には、冷却ダクト330が上下方向に延びるように配置されている。冷却ダクト330の上端には、排気ダクト320が接続されている。排気ダクト320内には、空気を送出するための送風ファン312と、送風ファン312を回転させるための送風モータ313と、送風糸屑フィルタ314とが配置されている。排気ダクト320は、給気ダクト310に接続されている。給気ダクト310内には、給気ダクト310内の空気を加熱するためのPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ315と、給気ダクト310内の空気に正イオンとしてH(HO)(mは任意の自然数)と負イオンO(HO)(nは任意の自然数)とを供給するためのイオン供給装置としてPCI(プラズマクラスターイオン)ユニット316とが配置されている。給気ダクト310には、温風を吹き出す温風吹出口311が開口されている。温風吹出口311は、水槽130の内部に向けられている。
【0033】
水槽130内の空気は、送風モータ313が駆動されて送風ファン312が回転すると、水槽130の背面下部から、冷却ダクト330内に流入する。冷却ダクト330内には冷却給水ホース412から水が供給されて、水槽130内から冷却ダクト330内に流入した空気が冷却される。水槽130内の空気が湿っている場合には、湿った空気が冷却ダクト330内で冷却されて、除湿される。冷却ダクト330内の空気は、冷却ダクト330内を上方向に向かって流れて、排気ダクト320内に流入する。
【0034】
排気ダクト320内では、空気は、送風糸屑フィルタ314を通って、糸屑などのごみが取り除かれる。送風糸屑フィルタ314を通過した空気は、給気ダクト310内に流入する。
【0035】
給気ダクト310内では、空気には、PCIユニット316から正イオンと負イオンとが供給される。なお、洗濯乾燥機1は、空気にイオンを供給するためのPCIユニット316などのイオン供給装置を備えていなくてもよいし、PCIユニット316を備えている場合にも、必要に応じて、PCIユニット316の駆動をすればよく、給気ダクト310内の空気にはイオンが供給されなくてもよい。
【0036】
給気ダクト310内では、空気はPTCヒータ315を通過して、加熱される。加熱された空気は、温風吹出口311から水槽130と回転ドラム120(図2)内に供給される。
【0037】
回転ドラム120内では、加熱された空気が繊維構造体2(図2)に接触して、繊維構造体2から水分を蒸発させて乾燥させる。繊維構造体2から蒸発した水分を含む空気は、回転ドラム120の小孔121(図2)を通って水槽130内に流れ出て、再び、水槽130の下部から冷却ダクト330内に流入する。
【0038】
このように、洗濯乾燥機1の内部においては、空気は、回転ドラム120と水槽130、冷却ダクト330、排気ダクト320、給気ダクト310を循環する。回転ドラム120と水槽130、冷却ダクト330、排気ダクト320、給気ダクト310は、空気流通路の一例である。
【0039】
次に、図3と図5を用いて、洗濯乾燥機1内の水の流れを説明する。
【0040】
図3と図5に示すように、水槽130の上方には、水道から洗濯乾燥機1内への給水と給水停止とを切り替えるための給水弁401と、給水ユニット410と、洗剤ケース470と、分流ノズル450と、霧状水供給装置として超音波ユニット200とが配置されている。給水ユニット410は、給水ユニット410から流出する水の量を調整する。
【0041】
水槽130の下方には、循環ポンプ460が配置されている。水槽130の下部には、内部排水ホース430が接続されている。内部排水ホース430は、循環ポンプ460を介して、循環ホース440と外部排水ホース431に接続されている。循環ホース440は、分流ノズル450に接続されている。
【0042】
給水ユニット410には、ドライミスト給水ホース411と、冷却給水ホース412と、給水ダクト420と、分流ノズル450とが接続されている。なお、ドライミスト給水ホース411はドライミスト用給水弁413を介して給水ユニット410に接続されている。分流ノズル450には、ウェットミスト給水ホース451と泡消し給水ホース452が接続されている。ドライミスト給水ホース411とウェットミスト給水ホース451は、超音波ユニット200に接続されている。
【0043】
水道から洗濯乾燥機1内に供給される水は、給水弁401を通って、給水ユニット410に供給される。このとき、水は、洗濯乾燥機1の洗濯乾燥の行程によって、洗剤ケース470を通って給水ユニット410に供給されるか、洗剤ケース470を通らずに給水ユニット410に供給されるかを制御される。洗剤ケース470を通過した水には洗剤が含まれる。
【0044】
洗剤ケース470を通過せず、洗剤を含まない水は、給水ユニット410から、ドライミスト給水ホース411と、冷却給水ホース412に供給される。ドライミスト給水ホース411に供給された水は、超音波ユニット200が駆動しているときには、超音波ユニット200で霧状にされて回転ドラム120(図2)内に供給され、回転ドラム120の小孔121(図2)を通って水槽130内に流入する。冷却給水ホース412に供給された水は、冷却ダクト330に流入する。給水ダクト420に供給された水は、水槽130内に供給される。
【0045】
洗剤ケース470を通過して洗剤を含む水は、給水ユニット410から、給水ダクト420、または、分流ノズル450に接続されるウェットミスト給水ホース451と泡消し給水ホース452を通って、回転ドラム120内に供給される。ウェットミスト給水ホース451に供給された水は、超音波ユニット200が駆動しているときには、超音波ユニット200で霧状にされて回転ドラム120内に供給され、回転ドラム120の小孔121を通って水槽130内に流入する。泡消し給水ホース452に供給された水は、冷却ダクト330を通って、冷却ダクト330に流入し、冷却ダクト330内において洗剤成分の撹拌によって発生する泡を消滅させる。分流ノズル450からパッキンカバー115(図2)のシャワー出口穴を通って直接、回転ドラム120内に供給された水は、回転ドラム120の小孔121を通って水槽130内に流入する。
【0046】
水槽130内の水は、循環ポンプ460が駆動されているときには、内部排水ホース430から循環ホース440を通って、分流ノズル450に戻される。また、水槽130内の水は、排水弁432(図2)が開かれると内部排水ホース430から外部排水ホース431を通って洗濯乾燥機1の外部に排水される。
【0047】
循環ホース440を通して分流ノズル450に戻された水は、ウェットミスト給水ホース451と、泡消し給水ホース452と、回転ドラム120内に供給される。ウェットミスト給水ホース451に供給された水は、超音波ユニット200が駆動しているときには、超音波ユニット200で霧状にされて回転ドラム120内に供給され、回転ドラム120の小孔121を通って水槽130内に流入する。泡消し給水ホース452に供給された水は、冷却ダクト330内に流入し、冷却ダクト330内において洗剤成分の撹拌によって発生する泡を消滅させ、冷却ダクト330の下部において水槽130内に流入する。分流ノズル450からパッキンカバー115のシャワー出口穴を通って直接、回転ドラム120内に供給された水は、回転ドラム120の小孔121を通って水槽130内に流入する。
【0048】
このように、洗濯乾燥機1内の水は、回転ドラム120と水槽130、内部排水ホース430、循環ホース440、分流ノズル450を通って洗濯乾燥機1内を循環する。このように洗濯乾燥機1の内部を循環する水を循環水とする。回転ドラム120と水槽130、内部排水ホース430、循環ホース440、分流ノズル450は、循環水路の一例である。超音波ユニット200は、分流ノズル450から供給される水を霧状にして回転ドラム120内に供給する。また、給水ユニット410から超音波ユニット200を通って回転ドラム120と水槽130内に給水する経路と、分流ノズル450を通って回転ドラム120と水槽130内に給水する経路は給水経路の一例である。超音波ユニット200は、給水ユニット410から供給される水と分流ノズル450から供給される水を霧状にして回転ドラム120内に供給する。
【0049】
上述のように、ドライミスト給水ホース411を通って超音波ユニット200に供給される水は、洗濯乾燥機1の内部を循環する循環水ではなく、水道から供給される水道水のみである。一方、ウェットミスト給水ホース451を通って超音波ユニット200に供給される水は、給水ユニット410から分流ノズル450を通ってウェットミスト給水ホース451に供給される水道水である場合と、循環ホース440から分流ノズル450を通ってウェットミスト給水ホース451に供給される循環水である場合がある。ウェットミスト給水ホース451を通して、超音波ユニット200に循環水を供給し、水道水を供給するか、循環水を供給するかについては、洗濯乾燥機1の洗濯または乾燥の行程において、必要に応じて選択される。
【0050】
図6は、図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を正面から見たときの状態を示す正面図である。
【0051】
図6に示すように、水槽130の上部において回転ドラム120の上方には、超音波ユニット200と、給気ダクト310の温風吹出口311とが配置されている。超音波ユニット200の噴霧口250の下方において、パッキンカバー115(図2)の枠には、誘導部材として案内羽根116が配置されている。案内羽根116は、回転ドラム120の開口部の外側であって、水槽130の内周面の内側に位置する。なお、案内羽根116は、パッキンカバー115の形状の一部として形成されてもよい。
【0052】
給気ダクト310の温風吹出口311からは、二点鎖線の矢印R1で示すように、回転ドラム120内に温風が供給される。超音波ユニット200の噴霧口250からは、破線Mで示すように、回転ドラム120内に霧状の水が供給される。また、超音波ユニット200の噴霧口250からは、霧状にされていない非霧状の水が矢印Wで示すように、下に落ちる。非霧状の水は、案内羽根116を伝って、回転ドラム120の外周面と水槽130の内周面との間に落ちて水槽130内に流入する。
【0053】
回転ドラム120内には、洗濯乾燥機1の正面側から、給気ダクト310内の空気が温風吹出口311を通って吹き出す。温風吹出口311は、洗濯乾燥機1の正面側から見て、回転ドラム120の右上に配置されている。一方、超音波ユニット200は、洗濯乾燥機1の正面側から見て、回転ドラム120の左上に配置されている。このように、温風吹出口311と超音波ユニット200は、間隔をあけて、離隔して配置されている。
【0054】
図7は、洗濯乾燥機が備える超音波ユニットの全体の外観を示す斜視図(A)と、図7の(A)に示す超音波ユニットの内部を透視して示す斜視図(B)である。図8の(A)と(B)は、超音波ユニットを、それぞれ、図7の(A)と(B)に示すVIII−VIII線の方向から見た図である。
【0055】
図7の(A)と図8の(A)に示すように、超音波ユニット200は、ノズル201とケース202を備える。ノズル201は、管路220と、ウェットミスト用水供給路230と、ドライミスト用水供給路240とから構成されている。ウェットミスト用水供給路230は、ウェットミスト給水ホース451(図6)と接続され、ドライミスト用水供給路240はドライミスト給水ホース411(図6)と接続されている。管路220の内部と、ウェットミスト用水供給路230の内部とドライミスト用水供給路240の内部は連通している。管路220には、排出口として噴霧口250が開口されている。超音波ユニット200は、噴霧口250が水平面から下方向に傾くように、洗濯乾燥機1(図6)に配置されている。噴霧口250は、洗濯乾燥機1の回転ドラム120内に向けられている。
【0056】
図7の(B)と図8の(B)に示すように、超音波ユニット200の内部には、霧化部としてホーン210と、ホーン210の一方の端部に接着されてホーン210を超音波振動させるための振動子213が配置されている。ホーン210においては、振動子213が接着されている側と反対側の端部211が板状に形成されている。ホーン210は、ホーン210の端部211がノズル201の噴霧口250に位置するように、ノズル201内に配置されている。ホーン210の端部211は、短辺側の端面212と長辺側の端面216とから構成されている。振動子213には、電極215と裏打板214が接続されている。
【0057】
2つの電極215を通して振動子213に電圧が印加されると、振動子213が超音波振動する。振動子213が超音波振動すると、振動子213に接着されているホーン210に振動が伝わって、ホーン210の端部211は、振動子213が振動する超音波の周波数で振動する。
【0058】
図9は、超音波ユニットを、図7に矢印IXで示す方向から見たときの図である。
【0059】
図9に示すように、超音波ユニット200の噴霧口250には、ホーン210(図7、図8)の端部211(図7、図8)の短辺側の端面(先端面)212が配置されている。端面212は、ほぼ鉛直方向に延びており、上下方向において、管路220の内周壁面から所定の間隔(この実施の形態においては、約1mm程度)が開けられている。管路220の内部には、管路220の内周壁面から、端面212が延びる方向と垂直な方向、すなわち、ほぼ水平な方向に向かって、リブ222が突出している。
【0060】
図10は、超音波ユニットを、図8に示すX−X線の方向から見たときの断面図である。
【0061】
図10に示すように、ウェットミスト用水供給路230は、ウェットミスト用水供給路230の上方からウェットミスト用水供給路230に流入する水が管路220内に流入するとき、管路220の内周面221に沿って、内周面221の接線方向に流入するように、ノズル201に形成されている。ドライミスト用水供給路240もウェットミスト用水供給路230と同様に、ドライミスト用水供給路240の上方からドライミスト用水供給路240に流入する水が管路220内に流入するとき、管路220の内周面221に沿って、内周面221の接線方向に流入するように、ノズル201に形成されている。
【0062】
図7から図10を用いて、超音波ユニット200が、超音波によって水を霧状にして噴霧口250から噴霧する過程を説明する。
【0063】
ウェットミスト用水供給路230内に上方から流入した水は、ウェットミスト用水供給路230から管路220内に、管路220の内周面221の接線方向に、下向きに流入する。管路220内に流入した水は、管路220内の内周面221に沿って、噴霧口250の方向から見て反時計回りに、管路220の最下部に向かって流れる。管路220内に流入した水の勢いが強ければ、水は、管路220の最下部を通り過ぎて内周面221に沿って上向きに流れるが、リブ222の位置まで流れるとリブ222に当たって勢いが弱まり、噴霧口250から見て時計回りに、下向きに落ちる。
【0064】
一方、ドライミスト用水供給路240内に上方から流入した水は、ドライミスト用水供給路240から管路220内に、管路220の内周面221の接線方向に、下向きに流入する。ドライミスト用水供給路240から管路220内に流入した水は、管路220の内周面221とリブ222に沿って、噴霧口250の方向から見て時計回りに、管路220の最下部に向かって流れる。管路220内に流入する水は循環水ではなく、水道から供給される水道水であり、勢いが強くなり過ぎないように、ドライミスト用給水弁(図3)を制御することにより、水量を調節されている。
【0065】
このように、ウェットミスト用水供給路230とドライミスト用水供給路240とから管路220内に流入する水は、管路220の内周面221に沿って流れるので、管路220内に配置されているホーン210の側面には当たりにくい。
【0066】
管路220の最下部では、管路220内を流通する水の水面とホーン210の端部211の下端が接する。ホーン210が超音波振動すると、ポンピング効果によって、管路220内の水の一部がホーン210に吸い上げられる。ホーン210に吸い上げられた水は、ホーン210の超音波振動によって、霧状にされる。
【0067】
霧状にされた水は、図8の(A)に破線Mで示すように、噴霧口250から超音波ユニット200の外部に噴霧される。噴霧口250は洗濯乾燥機1の回転ドラム120の内部に対向するように配置されているので、霧状にされた水は、回転ドラム120の内部に供給される。
【0068】
管路220の最下部では、霧状にされていない非霧状の水が、図8の(A)に矢印Wで示すように、噴霧口250から超音波ユニット200の外部に流れ出る。非霧状の水は重力によって噴霧口250から下に落ちる。
【0069】
図6に示すように、噴霧口250から下に落ちる水は、噴霧口250の下方において洗濯乾燥機1の内扉112の枠に配置されている案内羽根116に当たり、案内羽根116に沿って、回転ドラム120の外周面と水槽130の内周面との間に落ちる。
【0070】
以上のように構成された洗濯乾燥機1を用いて行なわれる洗い行程、すすぎ行程、脱水行程および乾燥行程について、以下、行程順に説明する。
【0071】
まず、使用者は、外扉111および内扉112を開き、投入口113から繊維構造体2を投入した後、内扉112および外扉111を閉じる。使用者は、洗剤ケース470に洗剤、および、必要であれば、仕上剤ケース(図示しない)に仕上剤を入れる。仕上剤は、洗い行程またはすすぎ行程の途中で入れてもよい。
【0072】
次に、使用者は、操作パネルを操作して、洗濯と乾燥の条件を選ぶ。使用者が操作パネルを操作すると、操作回路106がメイン回路107に制御信号を送信して、メイン回路107が洗濯乾燥機1の各部材を制御する。メイン回路107によって、使用者が選んだ洗濯と乾燥の条件に従って、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程、乾燥行程が行われる。使用者が選んだ洗濯と乾燥の条件によっては、各行程の一部が行なわれないことがある。ここでは、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程、乾燥行程のすべての行程を行なう場合について説明する。
【0073】
使用者が操作パネルのスタートボタンを押すと、メイン回路107によって、外扉111および内扉112がロックされるように制御されるとともに、給水弁401が開かれるように制御されて、水道水が給水ユニット410と洗剤ケース470を経て給水ダクト420から水槽130内に供給される。水槽130には、洗剤ケース470に収容されていた洗剤が混じった水が供給される。このようにして洗い行程が開始される。
【0074】
水位センサ(図示しない)によって水槽130内の水位が所定値になったことが検知されると、給水弁401が閉じられる。続いて、循環ポンプ460が駆動されるように制御される。また、超音波ユニット200の電極215に電圧を印加するように制御される。
【0075】
なお、メイン回路107は、水槽130内の水位が所定値になるまでの間、循環水ではなく水道水を用いて霧状の水を発生させるように、分流ノズル450を通して水道水を超音波ユニット200に供給するように給水ユニット410を制御してもよい。
【0076】
水槽130内に供給された水は、循環ポンプ460によって、内部排水ホース430と循環ホース440を通って、分流ノズル450に供給される。分流ノズル450に供給された水の一部は、分流ノズル450から直接、回転ドラム120内に供給される。分流ノズル450に供給された水の残りの一部は、分流ノズル450からウェットミスト給水ホース451を通って、超音波ユニット200に供給される。
【0077】
超音波ユニット200では、洗剤を含む水が霧状にされて回転ドラム120内に供給される。洗剤を含む水が超音波によって霧状にされることによって、洗剤が水によく溶かされ、洗剤を含む水が繊維構造体2によく浸透する。
【0078】
回転ドラム120内に供給された水は、小孔121を通って水槽130内に流出し、再び循環ポンプ460によって循環させられる。
【0079】
循環ポンプ460は、所定の時間、駆動される。このようにして、水槽130内に所定の水位まで水道水が供給された後にも、回転ドラム120内から小孔121を通って水槽130内に流出し、水槽130から内部排水ホース430と分流ノズル450を通って再び超音波ユニット200に供給される循環水を用いて、回転ドラム120内に霧状の水が供給される。所定の時間が経過すると、メイン回路107は、循環ポンプ460と超音波ユニット200の駆動を停止し、排水弁432を閉じるように制御する。
【0080】
次に、回転ドラム120がドラム回転駆動モータ140にて洗い行程用の回転チャートに従って回転される。
【0081】
なお、回転ドラム120の回転チャートに関しては、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程、乾燥行程の行程別に、あるいは、繊維構造体2の種類や洗濯乾燥のコースに応じて、回転速度、回転周期、反転周期等が異なる複数の回転チャートが予め設定されている。回転チャートは、使用者によって選択され、または自動的に選択されるようにプログラムされている。
【0082】
ドラム回転駆動モータ140が正逆回転すると、回転ドラム120も同様に正逆回転する。回転ドラム120が回転すると、回転ドラム120の内周壁面に固定して設けられたバッフル122が繊維構造体2を持ち上げ、下方に落下させる動作が繰り返される。このようにして、洗い行程は、いわゆるたたき洗い効果を利用して行なわれる。また、洗い行程で循環ポンプ460を駆動させてもよい。循環ポンプ460を駆動しているときに超音波ユニット200を駆動させ、霧状の水を回転ドラム120内に供給してもよい。回転ドラム120の動きに合わせて超音波ユニット200を駆動させると、洗剤の溶け残りの減少と繊維構造体2への洗剤の浸透向上により、より効果的な洗浄をすることができる。
【0083】
洗い行程では、途中、水位を検知して、水位が設定水位よりも低くなれば、補給水を行なってもよい。また、補給水を行なったときに、循環ポンプ460を駆動させて、超音波ユニット200から霧状の水を回転ドラム120内に供給してもよい。洗い行程においては、霧状の水は、例えば、合計で5分間、回転ドラム120内に供給される。
【0084】
洗い行程が終了すると、排水弁432が開放されて、外装101の外に外部排水ホース431より水が排出される。排水が終了すると、回転ドラム120は中間脱水行程用の回転チャートで高速回転される中間脱水行程が行なわれる。中間脱水行程では回転ドラム120の高速回転による遠心力によって、繊維構造体2に含まれた水が回転ドラム120の周壁に設けられた小孔121を通じて水槽130の内壁面へ吐出される。水は水槽130の内壁面を伝って下方に流下し、排水弁432を介して外装101の外に外部排水ホース431より排出される。
【0085】
中間脱水行程が終了すると、プログラムはすすぎ行程に移行する。排水弁432が閉じられた後、給水弁401が開放されて、水道水が給水ユニット410を経て水槽130に供給される。図示しない水位センサによって水槽130内の水位が所定の値になったことが検知されると、給水弁401が閉じられる。
【0086】
給水弁401が閉じられた後、循環ポンプ460を所定時間駆動させるように、メイン回路107が制御する。このとき超音波ユニット200も所定時間、駆動してもよい。
【0087】
循環ポンプ460と超音波ユニット200が駆動されると、水槽130内の水が循環水路を循環し、分流ノズル450からウェットミスト給水ホース451を通って超音波ユニット200に供給される。超音波ユニット200では、循環水が霧状にされて、回転ドラム120内に供給される。
【0088】
すすぎ行程においては、洗い行程の後に一度脱水された後、新たに水道水が給水されているので、循環水にふくまれる洗剤や汚れ成分が比較的少ない。この循環水を超音波ユニット200に供給して霧状の水を発生させることによって、洗い行程で超音波ユニット200のウェットミスト用水供給路230や管路220、ホーン210に洗剤や汚れ成分が付着していても、洗い落とすことができる。このように、ホーン210に付着した汚れ成分や洗剤を洗い流す行程は、複数回のすすぎ行程がある場合には、毎回のすすぎ行程において実施されてもよいが、すすぎの水がきれいな最後のすすぎ行程において実施されることがより効果的である。
【0089】
すすぎ行程においては、循環水を霧状にするのではなく、水道水を給水ユニット410から分流ノズル450を通して超音波ユニット200に供給して霧状の水を発生させてもよい。
【0090】
循環ポンプ460と超音波ユニット200を駆動開始してから所定時間が経過後、または同時に、メイン回路107がドラム回転駆動モータ140を制御して、回転ドラム120がドラム回転駆動モータ140によってすすぎ行程用の回転チャートに従って回転される。中間脱水行程およびすすぎ行程は複数回繰り返された後、最終のすすぎ行程へと移行する。最終のすすぎ行程では給水弁401が開放されて、洗剤ケース470に入れられた柔軟仕上剤が、給水ダクト420から柔軟仕上剤を含んだ水として水槽130に供給される。
【0091】
最終のすすぎ行程が終了すると、排水弁432が開放されてすすぎ液が外装101の外に外部排水ホース431より排出される。排水が終了すると、回転ドラム120が最終脱水行程用の回転チャートに従って高速回転されて最終脱水行程が行なわれる。最終脱水行程では、中間脱水行程と同様に、回転ドラム120の高速回転による遠心力によって繊維構造体2に含まれたすすぎ液が回転ドラム120の周壁に設けられた小孔121を通じて水槽130の内壁面に吐出される。
【0092】
最終脱水行程が終了すると、乾燥行程に移行する。乾燥行程においては、回転ドラム120を回転させるとともに、PTCヒータ315と送風モータ313とを駆動させる。なお、洗濯、乾燥行程を連続して実施する場合、最終脱水行程よりPTCヒータ315を駆動してもよい。このようにすることにより、回転ドラム120内の温度が上がり、よりよく脱水され、乾燥を効率よく実施することが可能となる。
【0093】
PTCヒータ315と送風モータ313とを駆動させることによって、PTCヒータ315で加熱された空気は、図3と図4に二点鎖線の矢印で示すように流れて、温風吹出口311から水槽130と回転ドラム120内に吹き込む。温風は、回転ドラム120内の繊維構造体2に接触した後、小孔121を通って、回転ドラム120の外部に流出し、水槽130の下部に形成されている排気口を通って冷却ダクト330に排気される。冷却ダクト330に排気された気体は、回転ドラム120内の繊維構造体2に含まれていた水分によって、湿度が高くなっている。湿気を含んだ空気は、冷却ダクト330で冷却されて、除湿される。気体から取り除かれた水分は、冷却ダクト330の下方から水槽130内に戻り、内部排水ホース430と排水弁432と外部排水ホース431を通って外装101から排出される。
【0094】
冷却ダクト330で除湿された空気は、排気ダクト320を通って、給気ダクト310に戻る。給気ダクト310では、PTCヒータ315で加熱される。このサイクルを繰り返すことによって乾燥行程が行なわれる。
【0095】
乾燥行程においては、PTCヒータ315を駆動開始してから所定の時間が経過したときに、給水弁401を開いて、超音波ユニット200を駆動させるように制御する。この時、超音波ユニット200が高温で駆動して、温度特性の変化により動作が不安定になるのを避けるため、メイン回路107はPTCヒータ315の駆動を停止することが好ましい。
【0096】
給水弁401が開かれると、水道水が給水ユニット410からドライミスト給水ホース411を通って、超音波ユニット200に供給される。超音波ユニット200では、水道水が霧状にされて、回転ドラム120内に供給される。
【0097】
このとき、給水ユニット410は、比較的少量の水を超音波ユニット200に供給するように、ドライミスト用給水弁413によって水量を調節する。また、超音波ユニット200への水の供給と、超音波ユニット200のホーン210の超音波振動は、間欠的に行なわれるように、メイン回路107が給水ユニット410とドライミスト用給水弁413と超音波ユニット200を制御する。このようにして、乾燥行程においては、少量の霧状の水が、間欠的に回転ドラム120内に供給される。乾燥行程における霧状の水は、例えば、10分間、回転ドラム120内に供給される。
【0098】
水槽130内には湿度検知手段が備えられて、湿度が調整されるように、超音波ユニット200の駆動が制御されてもよい。例えば、湿度検知手段によって検知される水槽130内の湿度が所定の湿度以下である場合に超音波ユニット200が駆動されてもよい。
【0099】
超音波ユニット200は、水を小さな穴に通すのではなく、ホーン210の超音波振動によって水を霧状にしているので、供給される水量が少なく水圧が低くても、霧状の水を発生させて、回転ドラム120内に供給することができる。すなわち、水槽130内の湿度を調整するために、水量を増減させても、安定して霧状の水を発生させることができる。
【0100】
超音波ユニット200のホーン210で超音波振動によって発生する霧状の水は、直進性が高くないので、回転ドラム120内において、特定の部分だけを濡らすことがない。
【0101】
また、超音波ユニット200において霧状にされなかった非霧状の水は、超音波ユニット200の噴霧口250から重力によって下に落ちる。噴霧口250から下に落ちる非霧状の水は、案内羽根116に当たって、案内羽根116に誘導されて、回転ドラム120の内部には入らずに、回転ドラム120の外周面と水槽130の内周面との間に落ちる。そのため、非霧状の水が回転ドラム120内の繊維構造体2を濡らしてしまうことがない。
【0102】
このように、乾燥行程において、少量の霧状の水を間欠的に回転ドラム120内に供給することによって、回転ドラム120内の湿度を適度に調整し、過乾燥により繊維構造体2にしわが付くことを防ぐことができる。
【0103】
超音波ユニット200を所定時間、駆動させた後、メイン回路107は、超音波ユニット200の駆動を停止し、PTCヒータ315を駆動するように制御する。さらに所定時間経過すれば、メイン回路107は、PTCヒータ315の駆動を停止し、送風ファン312による送風のみを所定時間行ない、繊維構造体2の冷却を行い、乾燥行程終了後に繊維構造体2を取り出せるようにする。
【0104】
なお、乾燥行程においては、複数回、霧状の水を回転ドラム120内に供給してもよい。
【0105】
送風ファン312による送風が所定時間行なわれると、メイン回路107は送風モータ313の駆動を停止する。このようにして、乾燥行程が終了する。乾燥行程が終了すると、すべての洗濯乾燥行程が終了する。
【0106】
以上のように、洗濯乾燥機1は、繊維構造体2を収容するための回転ドラム120と、超音波によって水を霧状にして回転ドラム120内に供給するための超音波ユニット200とを備える。
【0107】
超音波によって水を霧状にする場合には、超音波の周波数を調整することによって、霧状の水の量、霧状の水の粒径、霧状の水を発生させるタイミングを調整することができる。水を霧状にするために一定以上の水圧が必要ないので、洗濯乾燥機1が設置される環境によらず、水を霧状にすることができる。水圧を高める必要がないので、小型のポンプ等で循環されるため水圧を高めることが難しい循環水を用いても霧状の水を発生させることができる。
【0108】
また、水を霧状にするために、水を小さな穴に通す必要がないので、洗濯水に繊維やごみ、洗剤のような固形物や固着物が含まれていても穴が塞がれて霧状の水を発生させることができなくなる心配がなく、安定して霧状の水を発生させることができる。そのため、例えば、回転ドラム120内の水を循環させる洗濯乾燥機1では、循環水を用いても、安定して霧状の水を発生させることができる。また、風呂の残り水のような垢や髪の毛等のごみを含んだ水を用いても安定して霧状の水を発生させることができる。
【0109】
また、超音波によって霧状にされた水は、直進性が低いので、繊維構造体2が収容されている回転ドラム120内に供給されるときに、繊維構造体2の特定の部分だけを濡らすことなく、繊維構造体2全体を濡らすことができる。
【0110】
このようにすることにより、洗濯乾燥機1が設置される環境に左右されずに、安定した霧状の水を発生させることが可能な洗濯乾燥機1を提供することができる。
【0111】
また、洗濯乾燥機1においては、超音波ユニット200は、少なくとも繊維構造体2を水と洗剤とで洗浄する洗い行程において水を霧状にして回転ドラム120内に供給する。
【0112】
このようにすることにより、繊維構造体2全体を水や洗剤となじみやすくして、洗浄力を高めることができる。また、洗剤を含む水を超音波によって霧状にすることによって、乳化作用で水に洗剤をよく溶かすことができる。また、霧状の水では水の粒子が小さいので繊維構造体2への浸透性がよく、洗剤がよく溶けた水を回転ドラム120内に供給することによって、洗濯に用いられる水の洗浄力を高めることができる。また、洗剤の溶け残りが少ないことにより、良好なすすぎ性能を安定して確保できるし、回転ドラム120内にカビや細菌による汚れを発生させにくく、回転ドラム120内も清潔に確保できる。
【0113】
また、洗濯乾燥機1においては、超音波ユニット200は、洗い行程において洗浄された繊維構造体2を水ですすぐすすぎ行程において水を霧状にして回転ドラム120内に供給する。
【0114】
すすぎ行程においては、超音波ユニット200は、洗剤を含まない、または、洗剤をあまり含まない水を霧状にする。このようにすることにより、超音波ユニット200自体を洗浄することができる。
【0115】
また、すすぎ行程において霧状の水を回転ドラム120内に供給することによって、水の粒子を小さくして浸透性をよくし、繊維構造体2や回転ドラム120に付着している洗剤をよく落とすことができる。
【0116】
また、以上のように、洗濯乾燥機1は、繊維構造体2を収容するための回転ドラム120と、回転ドラム120から排出された水を流通させて回転ドラム120に戻すための循環水路と、循環水路を流通する水を霧状にして回転ドラム120内に供給するための超音波ユニット200とを備える。
【0117】
繊維構造体2を収容する回転ドラム120内から排出される水を回転ドラム120に戻す循環水路を備え、超音波ユニット200は循環水路を流通する水を霧状にすることによって、回転ドラム120内に設定水位まで水が貯められた後においても、水を循環させて、回転ドラム120内に霧状の水を供給することができる。循環水路を流通する水を霧状にして回転ドラム120内に供給することによって、水を設定水位よりも多く増やすことなく、任意の時間、霧状の水を回転ドラム120内に供給することができる。
【0118】
このように、設定水位や給水時間によらずに、霧状の水を回転ドラム120内に供給することができるので、設定水位まで水が貯められたときに水に浮いている繊維構造体2も、霧状の水で濡らすことができる。
【0119】
このようにすることにより、繊維構造体2に十分に吸水させて洗浄力を高めることが可能な洗濯乾燥機1を提供することができる。
【0120】
また、洗濯乾燥機1においては、超音波ユニット200は、霧状の水を排出する噴霧口250を有し、噴霧口250は、回転ドラム120内に向けて開口されている。
【0121】
噴霧口250が直接、回転ドラム120内に向けて開口されているので、超音波ユニット200が発生させた霧状の水どうしが結合して巨大化したり、水路の壁面等に付着することによる無駄を抑えたりして、適切な粒径の霧を余すことなく繊維構造体2に供給することができる。
【0122】
また、洗濯乾燥機1においては、超音波ユニット200は、少なくとも繊維構造体2を水と洗剤とで洗浄する洗い行程において水を霧状にして回転ドラム120内に供給する。
【0123】
このようにすることにより、繊維構造体2全体を水や洗剤となじみやすくして、洗浄力を高めることができる。また、洗剤を含む水を超音波によって霧状にすることによって、乳化作用で水に洗剤をよく溶かすことができる。また、霧状の水では水の粒子が小さいので繊維構造体2への浸透性がよく、洗剤がよく溶けた水を回転ドラム120内に供給することによって、洗濯に用いられる水の洗浄力を高めることができる。
【0124】
また、洗濯乾燥機1においては、超音波ユニット200は、洗い行程において洗浄された繊維構造体2を水ですすぐすすぎ行程において水を霧状にして回転ドラム120内に供給する。
【0125】
すすぎ行程においては、超音波ユニット200は、洗剤を含まない、または、洗剤をあまり含まない水を霧状にする。このようにすることにより、超音波ユニット200自体を洗浄することができる。
【0126】
また、すすぎ行程において霧状の水を回転ドラム120内に供給することによって、水の粒子を小さくして浸透性をよくし、繊維構造体2や回転ドラム120に付着している洗剤をよく落とすことができる。
【0127】
また、以上のように、超音波ユニット200は、水を流通させるための管路220と、管路220の内周面221の接線方向に沿って管路220内に水を供給するためのウェットミスト用水供給路230とドライミスト用水供給路240と、管路220の内部に配置され、超音波によって水を霧状にするためのホーン210とを備える。
【0128】
管路220の内周面221の接線方向に沿ってウェットミスト用水供給路230とドライミスト用水供給路240から管路220内に水が供給されることによって、水は、管路220内に配置されるホーン210に直接、当たりにくくなる。水がホーン210に直接、当たりにくいので、ホーン210の表面を覆う水膜が形成されにくくなる。
【0129】
このようにすることにより、安定した霧状の水を発生させることが可能な超音波ユニット200を提供することができる。
【0130】
また、超音波ユニット200においては、ホーン210は、板状に形成されている端部211を有し、端部211は、長辺側の端面216と短辺側の端面212とを有し、端部211の短辺側の端面212が管路220内において水が貯まる方向に沿って延びるようにホーン210は管路220内に配置されている。
【0131】
霧状の水は、板状に形成されているホーン210の端部211において発生する。ホーン210の端部211が、短辺側の端面212が管路220内において水が貯まる方向に沿って延びるように配置されていることによって、ホーン210は、所定の量の水をポンピング効果によって吸い上げて、霧化する。
【0132】
仮に、ホーン210の端部211の短辺側の端面212が、水平面に沿って延びるように、ホーン210が配置されていると、管路220内に貯まる水の量によって、発生する霧の量が大きく変化してしまう。
【0133】
そこで、ホーン210は、板状に形成されている端部211を有し、端部211の短辺側の端面212が管路220内において水が貯まる方向に沿って延びるようにホーン210は管路220内に配置されていることにより、管路220内の水の量が変化しても、霧状の水を安定して発生させることができる。
【0134】
また、超音波ユニット200は、管路220の内周面221から管路220の内部に向かって突出するリブ222を備える。
【0135】
このようにすることにより、管路220の内周面221の接線方向に沿って管路220内に供給されて、管路220の内周面221に沿って流れる水をリブ222に衝突させて勢いを弱め、水位が高くなりすぎることを防ぎ、水位が高くなりすぎて、超音波の発振が正常でなくなり、水を霧状にすることができなくなるのを防ぐことができる。また、水流に勢いがある場合に、水が管路220の内周面221から離れてホーン210に直接、当たることを防ぐことができる。
【0136】
また、洗濯乾燥機1は、繊維構造体2を収容する回転ドラム120と、上記のいずれかの超音波ユニット200とを備え、超音波ユニット200は、霧状の水を回転ドラム120内に供給する。
【0137】
このようにすることにより、洗濯乾燥機1が設置される環境に左右されずに、安定した霧状の水を発生させることが可能な洗濯乾燥機1を提供することができる。
【0138】
また、以上のように、洗濯乾燥機1は、繊維構造体2を収容するための回転ドラム120と、回転ドラム120内に水を供給するための水を流通させる給水流路と、給水流路内の水を超音波によって霧状にして回転ドラム120内に供給するための超音波ユニット200とを備える。
【0139】
超音波によって水を霧状にする場合には、給水や、超音波の周波数を調整することによって、霧状の水の量、霧状の水の粒径、霧状の水を発生させるタイミングを調整することができる。水を霧状にするために一定以上の水圧が必要ないので、洗濯乾燥機1が設置される環境によらず、水を霧状にすることができる。
【0140】
また、超音波によって霧状にされた水は、直進性が低いので、繊維構造体2が収容されている回転ドラム120内に供給されるときに、繊維構造体2の特定の部分だけを濡らすことなく、回転ドラム120内の湿度を高めることができる。
【0141】
また、給水流路内の流水を霧状にすることによって、細菌などが含まれない水を霧状にして回転ドラム120内に供給することができる。
【0142】
このようにすることにより、洗濯乾燥機1が設置される環境に左右されずに、安定した霧状の水を発生させることが可能であって、繊維構造体2に適当な湿気を与えることが可能な洗濯乾燥機1を提供することができる。
【0143】
また、洗濯乾燥機1においては、超音波ユニット200は、霧状の水と非霧状の水とを排出する噴霧口250を有し、非霧状の水が噴霧口250から回転ドラム120の外部に排出されるように、非霧状の水を誘導するための案内羽根116を備える。
【0144】
このようにすることにより、非霧状の水は案内羽根116に誘導されて、回転ドラム120の内部に流入せず、霧状の水だけが回転ドラム120内に供給されるので、乾燥させる繊維構造体2を濡らさずに、回転ドラム120内の湿度を高めることができる。
【0145】
また、洗濯乾燥機1は、回転ドラム120内に温風を吹き出すための温風吹出口311を備え、超音波ユニット200は、温風吹出口311から離れた位置に配置されている。
【0146】
超音波によって水を霧状にする超音波ユニット200は、高温ではホーン210の温度特性が変化して、安定した動作を行うことができない場合がある。
【0147】
そこで、超音波ユニット200は、温風を吹き出す温風吹出口311から離れた位置に配置されていることにより、超音波ユニット200の温度を上がりにくくすることができる。
【0148】
また、以上のように、洗濯乾燥機1は、水槽130と、水槽130内で、水平方向に延びる回転軸線、または、水平方向に対して傾斜した回転軸線の周りに回転して、内部で繊維構造体2の洗い、すすぎおよび脱水を行なう回転ドラム120と、水を霧状にして回転ドラム120内に供給するための超音波ユニット200とを備える。
【0149】
回転ドラム120が、水槽130内で、水平方向に延びる回転軸線、または、水平方向に対して傾斜した回転軸線の周りに回転することによって、繊維構造体2どうしが重なり合っていても、超音波ユニット200から回転ドラム120内に供給される霧状の水が、繊維構造体2の全体を濡らしやすくなる。また、回転ドラム120内に洗剤が供給されている場合には、洗剤と水が、速く、均一に繊維構造体2に浸透する。
【0150】
このようにすることにより、洗浄力を高めることが可能な洗濯乾燥機1を提供することができる。
【0151】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】この発明のひとつの実施の形態として、洗濯乾燥機の全体の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す洗濯乾燥機をII−II線の方向から見た断面を概略的に示す断面図である。
【図3】図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を上方向から見たときの状態を示す図である。
【図4】図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を右方向から見たときの状態を示す図である。
【図5】図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を左方向から見たときの状態を示す図である。
【図6】図1に示す洗濯乾燥機の外装の内部を正面から見たときの状態を示す正面図である。
【図7】洗濯乾燥機が備える超音波ユニットの全体の外観を示す斜視図(A)と、図7の(A)に示す超音波ユニットの内部を透視して示す斜視図(B)である。
【図8】超音波ユニットを、図7に示すVIII−VIII線の方向から見た図である。
【図9】超音波ユニットを、図7に矢印IXで示す方向から見たときの図である。
【図10】超音波ユニットを、図8に示すX−X線の方向から見たときの断面図である。
【符号の説明】
【0153】
1:洗濯乾燥機、120:回転ドラム、2:繊維構造体、200:超音波ユニット、210:ホーン、211:端部、212:短辺側の端面、216:長辺側の端面、220:管路、221:内周面、222:リブ、230:ウェットミスト用水供給路、240:ドライミスト用水供給路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を流通させるための管路と、
前記管路の内周面の接線方向に沿って前記管路内に水を供給するための供給路と、
前記管路の内部に配置され、超音波によって水を霧状にするための霧化部とを備える、霧状水供給装置。
【請求項2】
前記霧化部は、板状に形成されている端部を有し、
前記端部は、長辺側の端面と短辺側の端面とを有し、
前記端部の短辺側の端面が前記管路内において水が貯まる方向に沿って延びるように前記霧化部は前記管路内に配置されている、請求項1に記載の霧状水供給装置。
【請求項3】
前記管路の内周面から前記管路の内部に向かって突出する突起を備える、請求項1または請求項2に記載の霧状水供給装置。
【請求項4】
対象物を収容する収容槽と、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の霧状水供給装置とを備え、
前記霧状水供給装置は、霧状の水を前記収容槽内に供給する、洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−51663(P2010−51663A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221296(P2008−221296)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】