説明

露光方法および露光装置

【課題】EUV露光装置のチャンバ内で発生したコンタミネーションによるマスクや光学系の汚染を抑制する。
【解決手段】EUV露光装置10Aのチャンバ25内に設置されたウエハステージ24の近傍にエネルギー線発生源41を配置し、ウエハ23の表面に塗布されたレジストから発生する放出ガスをエネルギー線42で分解することにより、照明光学系13を構成する照明ミラー14〜16、投影系光学系37を構成する投影ミラー31〜36、マスク21などをコンタミネーションによる汚染から保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSI等のパターン転写に用いられる露光技術に関し、特に、露光光源として極端紫外線(Extreme Ultra-Violet:以下、EUVという)を用いた露光方法および露光装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIは、回路パターンが描かれた原板であるマスク(レチクルともいう)に露光光を照射し、縮小光学系を介して半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面に上記回路パターンを転写するリソグラフィー技術によって製造されている。
【0003】
近年、LSIの高集積化および高速化に伴い、回路パターンの微細化が急速に進んでいる。回路パターンを微細化する手法としては、一般に露光光源の短波長化が用いられる。具体的には、g線(波長=436nm)やi線(波長=365nm)のような紫外線を露光光源とするリソグラフィー技術から、KrFエキシマレーザー(波長=248nm)やArFエキシマレーザー(波長=193nm)を露光光源とするリソグラフィー技術に移行し、最近では、さらなる微細化のために、水の屈折率を利用した液浸ArFリソグラフィーや、露光を2回行うダブルパターニング技術についても量産化への適用が進められている。
【0004】
また、最近では、より短波長な高エネルギー線を用いる技術として、EUV(波長=13.5nm)を露光光源として用いるリソグラフィー技術も研究されている。このEUVを露光光源に用いた場合は、解像可能な回路パターンの寸法がArFの波長の1/10以下となることから、極微細なパターンの形成方法として注目を浴びている。
【0005】
上記EUV光を用いる場合、マスクは反射型となり、照明光学系および投影光学系もすべて反射型、すなわちミラーで構成される。EUV露光装置は、露光光束を発する光源、原版となるマスクを露光光束で照明する照明光学系、前記マスクのパターンを被露光体に投影する投影光学系、前記マスクを載置するステージ、前記被露光体を載置するステージ、および前記投影光学系を収納する空間等によって構成される。被露光体は、表面にレジストと呼ばれる感光性材料が塗布されたウエハである。
【0006】
一般に、EUV光はあらゆる物質によって吸収されるので、空気中を透過することができない。このため、EUV光を用いた露光装置の場合、露光光を十分な照度でウエハ表面に到達させるには、露光光路上の吸光物質を低減もしくは排除し、光路空間を高真空状態に保つ必要がある。また、光路空間を放出ガスが極力少ない物質で構成する必要がある。
【0007】
EUV光を露光光源として用いる上記露光装置においては、EUV光の照射によってレジストから発生する放出ガスや、露光装置内に存在する物質から発生するガスが光路空間に滞在する。ここで、放出ガスとは、露光時にレジスト組成物が分解して発生する炭素化合物を主成分とするガスのことを指す。そして、この放出ガスがEUV光によって励起されると、炭素化合物同士が結合し、いわゆるコンタミネーションと呼ばれる堆積物となってマスクや光学系(ミラー)の表面に付着する。
【0008】
上記のようなコンタミネーションがマスクやミラーの表面に付着すると、ミラーの反射率が低下し、ウエハの表面に到達するEUV光の光量が減少するので、マスクの回路パターンをレジストに転写するのに要する露光時間が増加してしまう。また、EUV光の照度ムラが増大したり、波面収差が増加したりする等、EUV露光装置の光学性能が著しく劣化するため、回路パターンの転写精度も低下してしまう。
【0009】
そこで、下記の特許文献1〜3などに開示されているように、EUV露光装置内で発生したコンタミネーションを除去する技術が種々提案されている。
【0010】
特許文献1(特開2004−356410号公報)には、光学系鏡筒のブラインドに形成されたEUV光透過用開口の周囲にコンタミネーション捕集用の電極や、コンタミネーションをイオン化する装置を設けることによって、ミラー等の表面へのコンタミネーションの付着を抑制する技術が開示されている。
【0011】
特許文献2(特開2006−269942号公報)には、EUV露光装置の光路空間に不活性ガス供給装置を設けると共に、光路空間とウエハステージ空間との間に排気空間を設け、レジストから発生したコンタミネーションを不活性ガスと共に排気空間に排出させる技術が開示されている。
【0012】
特許文献3(特開2005−101537号公報)には、EUV露光装置の光路空間に設けたクライオパネル等のコールドトラップでコンタミネーションを吸着する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−356410号公報
【特許文献2】特開2006−269942号公報
【特許文献3】特開2005−101537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者は、EUV露光装置内で発生したコンタミネーションを除去すべく、レジストから発生する放出ガス成分の分析を行った結果、コンタミネーションによるマスクやミラーの汚染は、レジストから発生する放出ガス成分のうち、主として分子量が100〜300程度の炭素化合物に起因するという知見を得た。そして、EUV露光装置の光路空間における上記炭素化合物の分圧を低減することができれば、コンタミネーションによるマスクやミラーの汚染を著しく抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明の目的は、EUV露光装置の照明系・投影系を構成するミラーやマスクをコンタミネーションによる汚染から保護し、デバイスの製造歩留まり・信頼性といった生産性の向上を図ることができる露光技術を提供することにある。
【0016】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一態様を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
この一態様は、EUVを発する露光光源と、所定のパターンが形成されたマスクを載置するマスクステージと、前記EUVで前記マスクを照明する照明光学系と、表面にレジストが塗布された被露光体を載置する被露光体ステージと、前記マスクに形成された前記パターンを前記被露光体に投影する投影光学系とが収納されたチャンバを備えた露光装置であって、前記露光装置の前記チャンバ内には、前記レジストからの放出ガスを分解するためのエネルギー線を発生するエネルギー線発生源と、前記チャンバ内のガスを排出するための排気系とが設けられているものである。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
レジストからの放出ガスをエネルギー線で分解することにより、放出ガスに起因するコンタミネーションの発生を抑制することができるので、EUV露光装置の照明系・投影系を構成するミラーやマスクをコンタミネーションによる汚染から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1であるEUV露光装置の概略構成図である。
【図2】図1の一部(被露光体の露光領域近傍)を示す拡大図である。
【図3】図1の一部(被露光体の露光領域近傍)を示す拡大平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1であるEUV露光装置の別例を示す拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1であるEUV露光装置の別例を示す拡大平面図である。
【図6】EUV光源から発するEUV露光光束がウエハに到達するタイミングと、エネルギー線を照射するタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【図7】EUV光源から発するEUV露光光束がウエハに到達するタイミングと、エネルギー線を照射するタイミングの別例を示すタイミングチャートである。
【図8】EUV光源から発するEUV露光光束がウエハに到達するタイミングと、エネルギー線を照射するタイミングの別例を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2であるEUV露光装置の概略構成図である。
【図10】図9の一部(被露光体の露光領域近傍)を示す拡大図である。
【図11】図9の一部(被露光体の露光領域近傍)を示す拡大平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2であるEUV露光装置の別例を示す拡大図である。
【図13】本発明の実施の形態2であるEUV露光装置の別例を示す拡大平面図である。
【図14】本発明の実施の形態3であるEUV露光装置の概略構成図である。
【図15】図14の一部(被露光体の露光領域近傍)を示す拡大図である。
【図16】本発明の実施の形態4であるEUV露光装置の概略構成図である。
【図17】(a)、(b)は、図16の一部(被露光体の露光領域近傍)を示す拡大図である。
【図18】EUV光源から発するEUV露光光束がウエハに到達するタイミングと、エネルギー線を照射するタイミングと、シャッターを開閉するタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。さらに、実施の形態を説明する図面においては、構成を分かり易くするために、平面図であってもハッチングを付す場合や、断面図であってもハッチングを省略する場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の走査型EUV露光装置を示す概略構成図である。EUV露光装置10Aは、EUV露光光束12を発生するEUV光源11、照明ミラー14、15、16からなる照明光学系13、投影ミラー31、32、33、34、35、36からなる投影光学系37、折り返しミラー17、反射型のマスク21を装着するマスクステージ22、被露光体であるウエハ23を搭載するウエハステージ24、これらを収納する空間であるチャンバ25、チャンバ25内を排気する複数のポンプ26A、26B、26C、26Dなどで構成されている。
【0024】
上記折り返しミラー17、マスク21および投影ミラー31〜36の各表面には、EUV露光光束12を正反射させるための多層膜(図示せず)が形成されている。図示はしないが、ウエハ23の表面にはEUV用のレジストが塗布されている。マスクステージ22とウエハステージ24は、縮小倍率に比例した速度比で同期して走査する機構を有している。以下では、マスク21またはウエハ23の面内での走査方向をY軸方向、それに垂直な方向をX軸方向、マスク21またはウエハ23の面に垂直な方向をZ軸方向とする。
【0025】
一般に、走査型露光装置では、マスクとウエハを同期させて走査し、1ショットの露光を行う(スキャン露光と呼ばれる)。すなわち、光源から発する露光光束がマスクと被露光体(ウエハ)を同時に走査しながらウエハを露光し、1ショット分の露光が行われた後、露光光束が停止、もしくはシャッターなどでウエハ面に到達しなくなると、1ショット(1スキャンとも呼ばれる)が終了する。次に、ステップと呼ばれる次露光ショットの初期位置にウエハが移動する。その後、再度マスクとウエハの走査による露光(2回目のスキャン)が行われる。このように、走査型露光装置では、スキャンとステップとを交互に繰り返しながらウエハのほぼ全面を露光する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態のEUV露光装置10Aには、放出ガス分解用のエネルギー線42を発するエネルギー線発生源41が具備されている。ここで、エネルギー線42としては、可視赤外線、紫外線、深紫外線、極短紫外線、真空紫外線、軟X線などの光線、電子やイオンなどの荷電粒子、中性分子ビームなどが挙げられる。また、エネルギー線発生源41としては、水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、レーザ励起プラズマ光源、放電励起プラズマ光源、電子ビーム源、イオンビーム源、プロトンビームなどが挙げられる。
【0027】
なお、上記エネルギー線42の指向性を向上させるため、必要に応じて可視赤外線、紫外線、深紫外線、極短紫外線、真空紫外線、軟X線などの光線を発するエネルギー線発生源41には、集光光学系を設けることが好ましい。また、電子やイオンなどの荷電粒子を発するエネルギー線発生源41には、電磁光学系を設けることが好ましい。
【0028】
上記エネルギー線発生源41から発するエネルギー線42は、ウエハ23の表面に塗布されたレジストから発生し、チャンバ25内に存在する放出ガスを分解する。その際、分子量の大きな分子ほど分解され易いので、放出ガス成分のうち、コンタミネーションの主因となる分子量100〜300程度の炭素化合物の分圧が顕著に低減されることになる。
【0029】
上記エネルギー線発生源41は、チャンバ25内の任意の場所に設置することができるが、放出ガスの発生源であるウエハ23が搭載されたウエハステージ24の近傍に配置することが望ましく、これにより、レジストから発生した放出ガスを迅速に分解することができる。
【0030】
また、エネルギー線発生源41は、チャンバ25内の一箇所だけでなく、複数箇所に設置することができる。その際、同一種類のエネルギー線発生源41を複数箇所に設置するだけでなく、異なる種類のエネルギー線発生源41を組み合わせて設置してもよい。
【0031】
図2は、上記EUV露光装置10Aにおける被露光体(ウエハ23)の露光領域近傍を示す拡大図であり、図3は、上記EUV露光装置10Aにおける被露光体の露光領域近傍を示す拡大平面図である。
【0032】
EUV露光光束12は、例えば円弧上の平面パターンを有しており、Z軸方向からX−Y面方向に照射される。一方、エネルギー線42は、Y軸方向に照射される。図4および図5に示すように、EUV露光光束12がZ軸方向からX−Y面方向に照射され、エネルギー線42がX軸方向に照射されるようにしてもよい。
【0033】
エネルギー線発生源41には、必要に応じてX−Y面方向の照射面積を拡大するための手段を設けることが望ましい。このような手段としては、例えばエネルギー線42が可視赤外線、紫外線、深紫外線、極短紫外線、真空紫外線、軟X線などの光線である場合には、エネルギー線42に対する入射角を可動とする光学系を挙げることができる。また、エネルギー線42が電子やイオンなどの荷電粒子である場合には、静電偏向や電磁偏向が可能な電磁光学系を挙げることができる。
【0034】
EUV露光装置10Aにおいて、1枚のウエハ23を露光する際にエネルギー線42を照射するタイミングは、放出ガスの量や成分を考慮して様々なケースがあり得る。
【0035】
図6は、EUV光源11から発するEUV露光光束12がウエハ23に到達するタイミングと、エネルギー線42を照射するタイミングの一例を示すタイミングチャートである。この例では、EUV露光光束12がウエハ23に到達してスキャン露光が開始されると同時にエネルギー線42が照射される。その後、スキャン露光とウエハステージ24の移動(ステップ)が交互に繰り返される間もエネルギー線42の照射が継続して行われる。
【0036】
図7に示すタイミング例では、スキャン露光が開始されると同時にエネルギー線42が照射され、1ショットの露光が終了するとエネルギー線42の照射も停止する。次に、ウエハステージ24の移動(ステップ)の後、次のスキャン露光が開始されると再度エネルギー線42が照射される。以後、同様にしてスキャン露光が行われている間のみ、エネルギー線42が照射される。
【0037】
図8に示す例では、スキャン露光のタイミングとエネルギー線42の照射のタイミングが図7に示した例と逆になっている。すなわち、スキャン露光中はエネルギー線42の照射が停止し、ウエハステージ24の移動(ステップ)が行われている間のみ、エネルギー線42が照射される。
【0038】
このように、レジストからの放出ガスをエネルギー線42で分解することにより、放出ガスに起因するコンタミネーションの発生を抑制することができる。これにより、EUV露光装置10Aの照明光学系13を構成する照明ミラー14〜16、投影系光学系37を構成する投影ミラー31〜36、マスク21などをコンタミネーションによる汚染から保護することができるので、デバイスの製造歩留まり・信頼性といった生産性の向上を図ることができる。
【0039】
(実施の形態2)
図9は、本実施の形態の走査型EUV露光装置10Bを示す概略構成図である。本実施の形態のEUV露光装置10Bの特徴は、投影光学系37を収納する空間とウエハステージ24との間に、EUV露光光束12を通過させる開口44を備えたアパーチャー43を配置すると共に、EUV光源11とエネルギー線発生源41との間に、両者の動作を連動させるシステム45を設けたことにある。
【0040】
また、EUV光源11とマスク21との間の光路空間に、エネルギー線発生源41の動作と連動するシャッター(図示せず)を配置し、マスク21へのEUV露光光束12の照射、非照射をこのシャッターの開閉によって制御してもよい。なお、EUV露光装置10Bの他の構成は、前記実施の形態1のEUV露光装置10Aと同じである。
【0041】
EUV露光装置10Bに上記のようなシステム45を設けることにより、スキャン露光のタイミングとエネルギー線42の照射のタイミングを高精度に制御することが可能となる。また、EUV露光装置10Bに上記のようなアパーチャー43を設けることにより、レジストからの放出ガスが照明光学系13、投影光学系37、マスク21などに拡散し難くなるので、放出ガスに起因する照明光学系13、投影光学系37、マスク21などの汚染を効果的に抑制することができる。
【0042】
図10〜図13に示すように、アパーチャー43は、エネルギー線発生源41の上方または下方のいずれに配置することも可能である。また、エネルギー線42の照射方向は、Y軸方向またはX軸方向のいずれも可能である。
【0043】
(実施の形態3)
図14は、本実施の形態の走査型EUV露光装置10Cを示す概略構成図、図15は、EUV露光装置10Cにおける被露光体(ウエハ23)の露光領域近傍を示す拡大図である。
【0044】
本実施の形態のEUV露光装置10Cの特徴は、前記実施の形態2で説明したアパーチャー43をエネルギー線発生源41の上方および下方にそれぞれ一箇所づつ配置すると共に、上記一対のアパーチャー43、43で囲まれた空間内のガスを排気するポンプ26Eを具備したことにある。なお、その他の構成は、前記実施の形態2のEUV露光装置10Bと同じである。
【0045】
EUV露光装置10Cに上記のような一対のアパーチャー43、43およびポンプ26Eを設けることにより、レジストからの放出ガスや、エネルギー線42の照射によって発生した低分子量の分解ガスをEUV露光装置10Cの外部に効率的に排出することが可能となる。従って、照明光学系13、投影光学系37、マスク21などの汚染をより効果的に抑制することができる。
【0046】
(実施の形態4)
図16は、本実施の形態の走査型EUV露光装置10Dを示す概略構成図、図17(a)、(b)は、EUV露光装置10Dにおける被露光体(ウエハ23)の露光領域近傍を示す拡大図である。
【0047】
本実施の形態のEUV露光装置10Dの特徴は、ウエハステージ24の近傍の光路空間にシャッター46を配置すると共に、このシャッター46をシステム45に接続し、EUV光源11、エネルギー線発生源41およびシャッター46の動作を連動させたことにある。なお、その他の構成は、前記実施の形態2のEUV露光装置10Bと同じである。
【0048】
図18は、EUV光源11から発するEUV露光光束12がウエハ23に到達するタイミング、エネルギー線42が照射されるタイミングおよびシャッター46が開閉するタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【0049】
スキャン露光中はシャッター46が開いてウエハ23の露光領域近傍から退避し、かつエネルギー線42の照射が停止する(図17(a)参照)。また、ウエハステージ24の移動(ステップ)中はシャッター46が閉じた状態でエネルギー線42が照射される(図17(b)参照)。このようにすると、エネルギー線42がウエハ23の表面に達することがないので、特にエネルギー線42が短波長の光線である場合には、エネルギー線42によるレジストの過剰な露光が防止される。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、EUVを露光光源に用いた露光技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10A、10B、10C、10D EUV露光装置
11 EUV光源
12 EUV露光光束
13 照明光学系
14、15、16 照明ミラー
17 折り返しミラー
21 マスク
22 マスクステージ
23 ウエハ
24 ウエハステージ
25 チャンバ
26A、26B、26C、26D、26E ポンプ
31、32、33、34、35、36 投影ミラー
37 投影光学系
41 エネルギー線発生源
42 エネルギー線
43 アパーチャー
44 開口
45 システム
46 シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUVを露光光源とし、表面にレジストが塗布された被露光体および所定のパターンが形成されたマスクの走査と前記被露光体の移動とを交互に繰り返す走査型露光方式によって、前記マスクに形成された前記パターンを前記被露光体に投影する露光方法であって、前記露光光源、前記被露光体および前記マスクを含む光路空間にエネルギー線を照射することによって、前記レジストからの放出ガスを分解する工程を有することを特徴とする露光方法。
【請求項2】
前記エネルギー線は、赤外線、可視光、紫外線、深紫外線、極短紫外線、真空紫外線、軟X線、電子またイオンからなる荷電粒子、中性分子からなるビームのうち、少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1記載の露光方法。
【請求項3】
前記エネルギー線は、前記放出ガス成分のうち、主として分子量が100〜300の炭素化合物を分解することを特徴とする請求項1記載の露光方法。
【請求項4】
前記エネルギー線を前記被露光体の近傍に照射することを特徴とする請求項1記載の露光方法。
【請求項5】
EUVを発する露光光源と、所定のパターンが形成されたマスクを載置するマスクステージと、前記EUVで前記マスクを照明する照明光学系と、表面にレジストが塗布された被露光体を載置する被露光体ステージと、前記マスクに形成された前記パターンを前記被露光体に投影する投影光学系とが収納されたチャンバを備え、
前記チャンバ内には、前記レジストからの放出ガスを分解するためのエネルギー線を発生するエネルギー線発生源と、前記チャンバ内のガスを排出するための排気系とが設けられていることを特徴とする露光装置。
【請求項6】
前記エネルギー線は、赤外線、可視光、紫外線、深紫外線、極短紫外線、真空紫外線、軟X線、電子またイオンからなる荷電粒子、中性分子からなるビームのうち、少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項7】
前記エネルギー線は、前記放出ガス成分のうち、主として分子量が100〜300の炭素化合物を分解することを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項8】
前記エネルギー線発生源は、水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、レーザ励起プラズマ光源、放電励起プラズマ光源、電子ビーム源、イオンビーム源、プロトンビームのうち、少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項9】
前記エネルギー線発生源は、前記被露光体ステージの近傍に配置されることを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項10】
前記露光光源の動作と前記エネルギー線発生源の動作とを連動させるシステムをさらに備え、前記EUVを前記被露光体に照射するタイミングと、前記エネルギー線を照射するタイミングを前記システムによって制御可能としたことを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項11】
前記EUVを通過させる開口を備えた少なくとも一つのアパーチャーを前記被露光体ステージの近傍に配置し、前記チャンバ内への前記放出ガスの拡散を抑制可能としたことを特徴とする請求項5記載の露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−114140(P2012−114140A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259894(P2010−259894)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】