説明

静電噴霧装置

【課題】液体搬送力を増加させることなく、ノズルの先端を噴霧対象者を近付ける。
【解決手段】静電噴霧装置(1)は、ケーシング(10)内に収容されたタンク(71)と、基端がタンク(71)内に連通したノズル(72)と、タンク(71)内の液体をノズル(72)の先端に搬送する加圧源ユニット(40)及びタンク(71)内の液体に印加させる所定の電圧を出力する印加源ユニット(50)とを有してケーシング(10)内に収容される噴霧機構部(35)とを備えたものを対象とし、噴霧機構部(35)は、タンク(71)の下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電噴霧装置に関し、特に、ノズルへの液体の搬送力の増加防止対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、容器内に貯留された液体を噴霧させるための液体噴霧装置として、容器の出口となるノズルに送り込まれた液体を、ノズルの先端から電界強度によって噴霧させる静電噴霧装置が知られている。このような静電噴霧装置を特許文献1に示す。この静電噴霧装置は、柔軟な袋状の容器内の液体に高電圧を付与し、且つ定荷重ゼンマイのバネ力によって容器を加圧し、液体をノズルの先端に搬送して電界強度によって液体を噴霧するように構成されている。この静電噴霧装置は、円筒状のハウジング内に液体搬送手段と電源部とを収容しているため、装置の大きさをコンパクトにすることができるものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す従来の静電噴霧装置を使用する噴霧対象者は、該静電噴霧装置を事務所等の卓上に設置して使用することがある。このような場合、従来の静電噴霧装置は、ノズルの位置が低いため、該ノズルの先端と噴霧対象者(主に噴霧対象者の顔面)との距離が離れてしまうという問題があった。
【0004】
このような問題に対しては、縦長のハウジングを用い、さらにノズルを延伸させてノズルの先端を噴霧対象者に近付けるという対策が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−155200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記対策では、ノズルの基端と先端との間の距離が長くなり、両者のヘッド差が大きくなるため、ノズルの先端への液体の供給に要する搬送力が増すことになる。これにより、液体搬送手段の容量(例えば、ポンプ容量)を大きくせざるを得ないため、装置コストが上昇してしまう。つまり、液体搬送手段の容量の増加を抑えつつ、ノズルを噴霧対象者に近付けることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、液体の搬送力の増加を抑えつつ、ノズルを噴霧対象者に近付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、ケーシング(10)と、該ケーシング(10)内に収容され且つ液体が貯留されたタンク(71)と、基端が上記タンク(71)内に連通し且つ先端が上記ケーシング(10)の外部へ露出するノズル(72)と、上記タンク(71)内の液体を上記ノズル(72)の先端に搬送する加圧源機構(40)及び上記タンク(71)内の液体に印加させる所定の電圧を出力する印加源機構(50)とを有して上記ケーシング(10)内に収容される噴霧機構部(35)とを備え、上記所定の電圧を印加された液体が上記ノズル(72)の先端から噴霧される静電噴霧装置であって、上記噴霧機構部(35)は、上記タンク(71)の下方に配置されている。
【0009】
上記第1の発明では、ケーシング(10)は、その内部にタンク(71)と噴霧機構部(35)とを収容している。噴霧機構部(35)は、加圧源機構(40)と印加源機構(50)とで構成している。加圧源機構(40)は、タンク(71)内の液体をノズル(72)の先端に送り込む。そして、印加源機構(50)は、タンク(71)内の液体に所定の電圧を印加して電荷を付与する。こうすることで、ノズル(72)の先端に電界を形成する。この電界強度によって、ノズル(72)の先端の液体が外部へ引っ張られ、微細な液滴となってノズル(72)の先端から噴霧される。
【0010】
ここで、ケーシング(10)の内部では、タンク(71)は噴霧機構部(35)の上方に配置されている。したがって、ノズル(72)の先端とタンク(71)とが近づくため、ノズル(72)の先端と基端との距離が小さくなり、両者のヘッド差が小さくなる。このため、加圧源機構(40)の搬送力を増加させることなく、ノズル(72)の先端に液体を搬送できる。また、噴霧機構部(35)の上方にタンク(71)を設置したため、ノズル(72)と噴霧対象者(顔面)とが近付く。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ケーシング(10)は、該ケーシング(10)の内部を上記タンク(71)が収容される第1噴霧室(28)と該第1噴霧室(28)の下方に設けられ、且つ上記噴霧機構部(35)が収容される第2噴霧室(24)とに区画すると共に、上記第1噴霧室(28)内の液体の第2噴霧室(24)内への侵入を阻止する阻止部材(22)を備えている。
【0012】
上記第2の発明では、阻止部材(22)がケーシング(10)の内部を第1噴霧室(28)と第2噴霧室(24)とに区画している。ケーシング(10)内の上方には第1噴霧室(28)が設けられ、下方には第2噴霧室(24)が設けられている。第1噴霧室(28)はタンク(71)を収容する一方、第2噴霧室(24)は噴霧機構部(35)を収容している。
【0013】
ここで、タンク(71)内の液体が第1噴霧室(28)内に零れた場合、阻止部材(22)は、第1噴霧室(28)内の液体が第2噴霧室(24)へ侵入するのを阻止する。これにより、ケーシング(10)内における噴霧機構部(35)の上方にタンク(71)を配置することができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記阻止部材(22)は、上記ケーシング(10)内で、且つ外部に向かって下方に傾斜して配置される一方、上記ケーシング(10)は、上記阻止部材(22)の液体を該ケーシング(10)の外部に排水する排水口(10d)を備えている。
【0015】
上記第3の発明では、タンク(71)内の液体が第1噴霧室(28)内に零れた場合、液体は阻止部材(22)の傾きに沿ってケーシング(10)の外部に流れる。そして、流れる液体は排水口(10d)を介してケーシング(10)の外部へ排水排水される。
【0016】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記ケーシング(10)は、上記タンク(71)の下方に設けられて噴霧対象者の有無を検知する検知センサ(30)と、該検知センサ(30)の検知範囲の少なくとも一部を覆うマスク部材(33)を備えている。
【0017】
上記第4の発明では、検知センサ(30)が噴霧対象者の有無を検知する。ケーシング(10)はその内部のタンク(71)の下方に検知センサ(30)を収容している。こうすることで、検知センサ(30)は、噴霧対象者よりも上方を検知範囲から外すことができる。これにより、例えば噴霧対象者よりも上方に設置される天井の照明等と噴霧対象者との誤検知を防止することができる。
【0018】
また、マスク部材(33)が、検知センサ(30)の検知範囲の少なくとも一部を覆っている。こうすることで、検知センサ(30)の検知範囲を絞ることができる。これにより、静電噴霧装置(1)の周囲にあるものと噴霧対象者との誤検知を防止することができる。
【0019】
第5の発明は、上記第1〜第4の発明の何れか1つにおいて、上記ケーシング(10)は、円筒状に形成される一方、上記ノズル(72)と所定の距離を有し、且つケーシング(10)の外周に沿って設けられる対向電極(12)を備えている。
【0020】
上記第5の発明では、ケーシング(10)を円筒状に形成している。そして、ケーシング(10)におけるノズル(72)と所定の距離を有した位置に該ケーシング(10)の外周に沿って対向電極(12)を設けている。こうすることで、対向電極(12)に電荷が集中する部分となるエッジが形成されることがない。これにより、噴霧の安定性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
上記第1の発明によれば、タンク(71)を噴霧機構部(35)の上方に配置したため、ノズル(72)の先端をタンク(71)に近付けることができる。このため、ノズル(72)の先端と基端との間のヘッド差が小さくなるため、加圧源機構(40)のノズル(72)先端への液体搬送力の増加を抑制することができる。これにより、加圧源機構(40)の容量の増加を抑制しつつ、ノズル(72)の先端を噴霧対象者に近付けることができる。
【0022】
上記第2の発明によれば、阻止部材(22)を設けたため、タンク(71)内の液体が第1噴霧室(28)に零れても、零れた液体が第2噴霧室(24)内に侵入するのを防止することができる。これにより、第2噴霧室(24)内の噴霧機構部(35)に漏れた液体がかかるのを確実に防止することができる。この結果、タンク(71)を噴霧機構部(35)の上方に配置させることができる。
【0023】
上記第3の発明によれば、阻止部材(22)を外部に向かって下方に傾けて配置したため、タンク(71)から第1噴霧室(28)に零れた液体をケーシング(10)の外部側に集めることができる。また、ケーシング(10)に排水口(10d)を設けたため、阻止部材(22)が集めた液体を外部に排出することができる。これらにより、第2噴霧室(24)内の噴霧機構部(35)に漏れた液体がかかるのを確実に防止することができる。この結果、タンク(71)を噴霧機構部(35)の上方に配置することができる。
【0024】
上記第4の発明によれば、検知センサ(30)をタンク(71)の下方に設けたため、噴霧対象者よりも上方を検知範囲から外すことができる。これにより、噴霧対象者よりも上方に設置される天井の照明等と噴霧対象者とを誤検知するのを防止することができる。また、検知センサ(30)の検知範囲の少なくとも一部を覆うマスク部材(33)を設けたため、検知センサ(30)の検知範囲を絞ることができる。これにより、静電噴霧装置(1)の周囲のものと噴霧対象者とを誤検知するのを防止することができる。
【0025】
上記第5の発明によれば、円筒状のケーシング(10)に沿って設けられる対向電極(12)を設けたため、対向電極(12)に電荷が集中するエッジが形成されるのを確実に防止することができる。つまり、上記対向電極(12)のエッジ部分に電荷を帯びた噴霧が集中するのを確実に防止することができる。これにより、噴霧の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1に係る静電噴霧装置の全体を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る静電噴霧装置を示す縦断面図である。
【図3】実施形態1に係る静電噴霧装置のシステム構成を示す図である。
【図4】実施形態1に係る静電噴霧装置の設置状態を上側から視た図である。
【図5】実施形態1に係る静電噴霧装置の上部を示す斜視図である。
【図6】実施形態1に係る静電噴霧装置のトップカバーの内部構造を示す図である。
【図7】実施形態1に係る対向電極の構造を示す図である。
【図8】実施形態1に係る静電噴霧装置の内部構造を示す斜視図である。
【図9】実施形態1に係る人検知センサの検知範囲を示す図である。
【図10】実施形態1に係る静電噴霧装置を示す正面図である。
【図11】実施形態1に係る搬送ユニットの構成を示す図である。
【図12】実施形態1に係る噴霧カートリッジを示す縦断面図である。
【図13】実施形態1に係る噴霧カートリッジを示す正面図である。
【図14】(A)は、従来例に係るケーシングの内部構造を示す模式図であり、(B)は、実施形態1に係るケーシングの内部構造を示す模式図である。
【図15】実施形態2に係るケーシングの内部構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
〈発明の実施形態1〉
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1〜図3に示すように、本実施形態1の静電噴霧装置(1)は、図4に示すように、事務所等のパソコン等の荷物(6)が置かれた机(5)の上(以下、卓上という。)に設置され、噴霧させる溶液に正極性、又は負極性の電荷を付与し、本発明に係る噴霧対象者であるユーザ(4)に対して噴霧させるものである。尚、この噴霧させる溶液はヒアルロン酸等を含んだ液体であって、本発明に係る液体を構成している。
【0030】
上記静電噴霧装置(1)は、図4に示すように、例示として、概ね60〜80cm程度の高さの卓上において、ユーザ(4)から50cm程度の範囲内(図4のA点)に設置されるものである。尚、本実施形態1に係る静電噴霧装置(1)は、ユーザ(4)から40cm程度離れた位置(図4のB点)に設置されることが好ましい。また、後述する人検知センサ(30)の検知範囲及び噴霧性能の点から静電噴霧装置(1)とユーザ(4)とは20cm以上離して(図4のC点)設置することが好ましい。同じく検知範囲と噴霧性能の点から、静電噴霧装置(1)は、ユーザ(4)の正面から70°の角度をなす位置において後述するノズル(72)とユーザ(4)との角度が30°以下(図4のD点)となるように設置するのが好ましい。この静電噴霧装置(1)は、ケーシング(10)と、該ケーシング(10)に着脱自在に装着される噴霧カートリッジ(70)と、ケーシング(10)内において噴霧カートリッジ(70)よりも下部に収容される噴霧機構部(35)と、電源となるアダプタ(2)と、静電噴霧装置(1)の運転制御を行うコントローラ(60)とを備えている。
【0031】
上記ケーシング(10)は、縦長に形成された有底円筒状の部材である。ケーシング(10)は、デザインカバー(10a)と、底カバー(10b)と、トップカバー(11)とから構成されている。尚、本実施形態1では、溶液の噴霧方向を前面側とし、噴霧方向の背後方向を背面側としている。
【0032】
上記デザインカバー(10a)は、筒状に形成されてケーシング(10)の側方部を形成するカバーである。デザインカバー(10a)は、上下に開口端が形成されている。上記底カバー(10b)は、ケーシング(10)の下部の開口端を塞ぐものである。デザインカバー(10a)の下部の前面側には、後述する人検知センサ(30)のレンズであるレンズ(10c)が設けられている。
【0033】
上記トップカバー(11)は、デザインカバー(10a)の上部の開口端を塞ぐものである。トップカバー(11)は、図5に示すように、その上面が背面側から前面側へ向かって斜め下方向へ傾斜して形成されている。そして、トップカバー(11)の概ね前面側には、噴霧カートリッジ(70)のノズル(72)を露出させるための噴霧開口部(14)が形成されている。噴霧開口部(14)の周縁部には、スライド可能なシャッタ(13)が取り付けられている。このシャッタ(13)は、図6に示すように、前面側にスライドさせると閉じられる一方、背面側にスライドさせると開くように構成されている。
【0034】
また、トップカバー(11)には、噴霧動作のON/OFFを行う動作スイッチ(15)が設けられている。シャッタ(13)が背面側(シャッタ(13)を開く方向)に移動することでシャッタ(13)の側部(13a)が動作スイッチ(15)を下方に押すことで動作スイッチ(15)がONになる。つまり、シャッタ(13)は動作スイッチ(15)のON/OFFを切り換えるためのプッシャを構成している。動作スイッチ(15)がONになると、後述するコントローラ(60)は静電噴霧装置(1)の噴霧動作を開始させる。また、背面側に移動したシャッタ(13)は、下側からバネ(図示なし)によって付勢され、トップカバー(11)に保持されている。
【0035】
一方、シャッタ(13)が前面側(シャッタ(13)を閉じる方向)に移動することで、シャッタ(13)の側部(13a)が動作スイッチ(15)から離間して動作スイッチ(15)がOFFになる。動作スイッチ(15)がOFFになると、コントローラ(60)は静電噴霧装置(1)の噴霧動作を停止させる。すなわち、本実施形態1の静電噴霧装置(1)は、ユーザ(4)がシャッタ(13)をスライドさせることで噴霧動作のON/OFFを制御できるように構成されている。
【0036】
上記トップカバー(11)とデザインカバー(10a)との間には、周方向に亘って帯状の対向電極(12)が設けられている。この対向電極(12)は、ノズル(72)の先端との間で電界を発生させるためのものである。対向電極(12)は、図7に示すように、デザインカバー(10a)の外周縁と概ね同外径の円形状に形成されている。こうすることで、対向電極(12)には、電荷が集中する部分となるエッジが形成されない。本実施形態1の静電噴霧装置(1)は、ノズル(72)の先端の電荷を帯びた溶液と対向電極(12)の間の電位差で発生する電界によってノズル(72)の先端から吐出される溶液を糸状に絞り込んで液糸(リガメント)を形成している。
【0037】
図8に示すように、上記デザインカバー(10a)の背面側には、上部機械室(28)に対応する高さ位置に、噴霧カートリッジ(70)を着脱させるための背面開口部(16)が形成されている。背面開口部(16)は略矩形状に形成され、その周縁部にはデザインカバー(10a)に着脱自在なリアカバー(17)が取り付けられている。
【0038】
上記ケーシング(10)は、その内部に下側ベース(21)と上側ベース(22)と仕切板(23)とを備えている。まず、下側ベース(21)はケーシング(10)内の底部寄りに設けられている。また、上側ベース(22)はケーシング(10)の長手方向の概ね中央に設けられている。各ベース(21,22)は、水平方向に延びてケーシング(10)内を上下に区画している。尚、上記上側ベース(22)は、本発明に係る阻止部材を構成している。上側ベース(22)は、水平方向に延びる扁平な板状の部材であって、本発明に係る阻止部材を構成している。また、上記仕切板(23)は、下側ベース(21)と上側ベース(22)との間に亘って設けられ、ケーシング(10)の内部における、下側ベース(21)と上側ベース(22)との間の空間を前後に区画している。
【0039】
上記下側ベース(21)と上側ベース(22)との間には、中央機械室(24)が区画されている。尚、中央機械室(24)は、本発明に係る第2噴霧室を構成している。そして、中央機械室(24)は、上述した仕切板(23)により、前面側の第1中央機械室(25)と背面側の第2中央機械室(26)とに区画されている。また、下側ベース(21)の下方に下部機械室(27)が区画され、上側ベース(22)の上方に上部機械室(28)が区画されている。尚、上記上部機械室(28)は、本発明に係る第1噴霧室を構成している。
【0040】
上記下部機械室(27)には、温湿度センサ(29)と、人検知センサ(30)と、USB基板(31)とが収容されている。
【0041】
上記温湿度センサ(29)は、静電噴霧装置(1)の設置された部屋の空気の温度と湿度を検知するセンサである。この温湿度センサ(29)は、コントローラ(60)に接続され、検知した温湿度データは随時、コントローラ(60)に送られている。
【0042】
上記人検知センサ(30)は、静電噴霧装置(1)の噴霧対象となるユーザ(4)の有無を検知するためのものであって、本発明に係る検知センサを構成している。人検知センサ(30)は、例えば焦電型赤外線センサに構成されている。人検知センサ(30)は、下部機械室(27)内の前面側に収容されている。
【0043】
そして、図9に示すように、人検知センサ(30)は、そのセンサ面(30a)をデザインカバー(10a)に設けられたレンズ(10c)(図10参照)を介して前面側の斜め上方向を向くように配置されている。また、下部機械室(27)には、人検知センサ(30)のセンサ面(30a)の前側に人検知センサ(30)の検知範囲(図9の網掛け部分)の下部を覆うリブ(33)が設けられている。このリブ(33)は、約2cmの高さの縦長の矩形状に形成された部材であって、本発明に係るマスク部材を構成している。このリブ(33)は、人検知センサ(30)とレンズ(10c)との間に設けられている。これにより、人検知センサ(30)の検知範囲が静電噴霧装置(1)の前面側上方に絞られ、ユーザ(4)の有無の検知精度を向上させることができる。人検知センサ(30)は、コントローラ(60)に接続され、検知データは随時、コントローラ(60)に送られている。尚、図9に示すように、人検知センサ(30)の検知精度を向上させるため人検知センサ(30)の10cmの範囲内には、荷物を置かず空間を確保することが望ましい。
【0044】
上記USB基板(31)は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス、以下同じ)のコネクタ(3)が挿入されるものである。このUSB基板(31)は、下部機械室(27)の底部に配置されている。USB基板(31)には、USBのコネクタ(3)が接続される接続部(32)を備えている。
【0045】
本実施形態1に係る静電噴霧装置(1)は、家庭用の交流電源(いわゆるコンセント)から供給される100Vの交流電圧を、アダプタ(2)で5Vの直流電圧に変換し、これを噴霧機構部(35)の電源として使用している。具体的には、アダプタ(2)と静電噴霧装置(1)とは、USBケーブルを介してUSBのコネクタ(3)が接続部(32)に挿入されることで接続されている。尚、静電噴霧装置(1)の電源としては上記アダプタ(2)に限られず、例えばパソコン等のUSBや自動車中のシガーソケット等を電源としてもよい。
【0046】
上記噴霧機構部(35)は、噴霧カートリッジ(70)の溶液をユーザ(4)に噴霧するためのものである。噴霧機構部(35)は、ケーシング(10)内における中央機械室(24)及び下部機械室(27)に収容されている。すなわち、噴霧機構部(35)は、ケーシング(10)内のタンク(71)の下部に配置されている。噴霧機構部(35)は、タンク(71)内に空気を送ってタンク(71)内を加圧する加圧源ユニット(40)と、溶液に対して電圧を印加する印加源ユニット(50)とを備えている。
【0047】
上記加圧源ユニット(40)は、図3及び図11に示すように、後述する噴霧カートリッジ(70)のタンク(71)内に空気を送り込むためのものであって、本発明に係る加圧源機構を構成している。加圧源ユニット(40)は、エアポンプ(41)と圧力センサ(43)とを
空気管(42)とを備えている。加圧源ユニット(40)は、空気管(42)を介してタンク(71)に空気を送り込むことで、空気圧によってタンク(71)内の溶液を押し出すようにしている。
【0048】
上記エアポンプ(41)は、タンク(71)内に空気を送り込むためポンプである。エアポンプ(41)は、ダイアフラムポンプで構成され、下部機械室(27)内に収容されている。下部機械室(27)内では、エアポンプ(41)は下側ベース(21)の下部にポンプホルダ(図示なし)によって固定されている。
【0049】
上記空気管(42)は、エアポンプ(41)の空気をタンク(71)内に送るためのものである。空気管(42)は、下部機械室(27)から上部機械室(28)まで延びるチューブに構成されている。空気管(42)は、一端がエアポンプ(41)に接続され、他端がタンク(71)の吸入口(79)に接続されている。
【0050】
上記圧力センサ(43)は、エアポンプ(41)から送られる空気の圧力(空気圧)を検出するものである。圧力センサ(43)は、第2中央機械室(26)内に収容された制御基板(61)に設けられ、空気管(42)を流れる空気の圧力を検出するように構成されている。また、圧力センサ(43)はコントローラ(60)に接続されており、検知した圧力データは随時、コントローラ(60)に送られる。
【0051】
上記印加源ユニット(50)は、図3に示すように、電極部材(84)を介してタンク(71)内の溶液に正、又は負極性の高電圧を印加するためのものである。この印加源ユニット(50)は、出力部(51)と接地部(55)とを備えている。
【0052】
上記出力部(51)は、上記アダプタ(2)から供給された電圧(+5V)を高電圧に昇圧して出力させるためのものである。この出力部(51)は、第1中央機械室(25)内に収容された基板(52)上にトランジスタ(図示なし)、トランス(53)、及びダイオード等の電子機器を備えて構成されている。そして、出力部(51)は、アダプタ(2)から供給された電圧(+5V)を+3kVから+5kVの間、又は−4kVから−7kVの間の高電圧に昇圧させる。尚、この昇圧させた高電圧は、本発明に係る所定の電圧を構成している。そして、出力部(51)は、その出力端子に高圧ライン(54)の他端が接続され、高圧ライン(54)及び電極部材(84)を介してタンク(71)内の溶液に高電圧が印加されるよう構成されている。尚、出力部(51)は出力させる電圧の極性を切換可能に構成されている。上記接地部(55)は、接地され、出力部(51)に対するグランドを構成している。接地部(55)は、接地ライン(56)を介して対向電極(12)に接続されている。
【0053】
上記コントローラ(60)は、図3に示すように、静電噴霧装置(1)の噴霧動作を制御するものである。コントローラ(60)は、第2中央機械室(26)に収容された制御基板(61)上に電源制御部(62)と搬送制御部(63)とを備えている。そして、コントローラ(60)には、圧力センサ(43)、人検知センサ(30)、温湿度センサ(29)、及び動作スイッチ(15)が接続されている。
【0054】
上記電源制御部(62)は、印加源ユニット(50)から出力される電圧を制御するためのものである。具体的に、電源制御部(62)には、圧力センサ(43)、温湿度センサ(29)、及び人検知センサ(30)の検知データが入力される。そして、電源制御部(62)は、各検知データに基づいて出力部(51)から出力される高電圧を調節する。
【0055】
上記搬送制御部(63)は、加圧源ユニット(40)の溶液の搬送力を制御するためのものである。具体的に、搬送制御部(63)には、圧力センサ(43)、温湿度センサ(29)、及び人検知センサ(30)の検知データが入力される。そして、搬送制御部(63)は、各検知データに基づいてエアポンプ(41)から送られる空気の圧力を調節する。
【0056】
上記噴霧カートリッジ(70)は、図12及び図13に示すように、貯留した溶液に電荷を付与して噴霧させるためのものである。この噴霧カートリッジ(70)は、タンク(71)と電極部材(84)とノズル(72)とノズルベース(74)と把手部(86)とで構成され、各構成部材は、分離不能(不可分)に一体形成されている。すなわち、タンク(71)内の溶液が少なくなったり、無くなった場合は、全ての構成部材が同時に交換される。噴霧カートリッジ(70)は、カートリッジホルダ(70a)によって上部機械室(28)内に収容されている。こうすることで、ケーシング(10)内では、タンク(71)が噴霧機構部(35)の上部に位置付けられる。
【0057】
上記タンク(71)は、溶液を内部に貯留するための容器であって、本発明に係る貯留部を構成している。具体的に、タンク(71)は、略矩形状の箱体に形成されて噴霧カートリッジ(70)の下部を構成している。このタンク(71)は、その底部が背面側に向かって下方に傾斜する底板(71b)に形成されている。このため、タンク(71)は背面側に最深部が形成される。これにより、ケーシング(10)の転倒した場合にも、タンク(71)内の溶液は再び最深部に集まる。
【0058】
上記ノズルベース(74)は、ノズル(72)を保持するための部材である。ノズルベース(74)は、略円筒状に形成され、タンク(71)の首部材(71a)を介してタンク(71)と一体に形成されている。上記ノズルベース(74)は、内側凹部(75)と外側凹部(82)とが形成されている。
【0059】
上記内側凹部(75)は、ノズルベース(74)の内側端に形成された凹部である。内側凹部(75)は、底部の中央に軸方向の内側に突出した保持部(77)が形成されている。保持部(77)には、ノズル(72)が挿通される貫通孔(78)が形成されている。そして、保持部(77)の周囲には、スペーサ(81)が取り付けられている。このスペーサ(81)は、内側凹部(75)の内壁(76)と保持部(77)との間の隙間(85)の一部を埋めるものであって、本発明に係るスペーサ部材を構成している。上記隙間(85)の一部をスペーサ(81)が埋めることで、タンク(71)内の溶液が隙間(85)に侵入するのを防止している。また、内側凹部(75)の内壁(76)には、空気管(42)の他端が接続される吸入口(79)が形成されている。この吸入口(79)は本発明に係る空気口を構成している。
【0060】
上記外側凹部(82)は、ノズルベース(74)の外側端に形成された凹部である。外側凹部(82)の内壁(83)は、ノズル(72)の露出部(72b)を覆うように形成されている。そして、外側凹部(82)の底部には、貫通孔(78)と連通する開口が形成されている。尚、この内壁(83)は、本発明に係る包囲部材を構成している。
【0061】
上記外側凹部(82)は、その内壁(83)がノズル(72)の先端と一定の距離を保つことで、ノズル(72)の露出部(72b)の周りに空気層を形成している。この空気層は絶縁材として機能し、これによって、ノズル(72)の先端に安定した電界が形成される。そして、ノズル(72)の先端は外側凹部(82)の内壁(83)の先端から突出するように形成されている。
【0062】
上記ノズル(72)は、柔軟な樹脂製の細管状に形成されたノズルである。ノズル(72)は外径が0.3mmから0.4mmの間に形成され、内径が0.1mmから0.2mmの間で形成されている。ノズル(72)は、ノズルベース(74)の貫通孔(78)に挿通されて取り付けられ、先端が外側凹部(82)の内壁(83)の先端より突出して外部に開口する一方、基端側(72a)は、タンク(71)内の最深部の近傍まで延びて溶液に連通している。このノズル(72)の基端側(72a)は、本発明に係るノズル延伸部を構成している。このノズル(72)の基端側(72a)がタンク(71)内の最深部まで延びることでタンク(71)内の溶液を最後まで使用することができる。
【0063】
上記電極部材(84)は、金属製の棒状に形成された部材である。電極部材(84)は、一端がタンク(71)内の底部に挿通されて溶液内に浸漬されている。また、電極部材(84)の他端は、タンク(71)の外部まで延びて配置され、高圧ライン(54)の一端が接続されている。つまり、電極部材(84)は、印加源ユニット(50)の出力部(51)と電気的に接続され、タンク(71)内の溶液に高電圧を印加するように構成されている。
【0064】
以上のように、噴霧カートリッジ(70)は、エアポンプ(41)の空気によってタンク(71)内の溶液をノズル(72)へ搬送する一方、タンク(71)内の溶液に高電圧を印加してノズル(72)の先端に電界を形成することで、ノズル(72)の先端から溶液を連続して霧状に噴射している。この噴霧カートリッジ(70)は、タンク(71)内の溶液が無くなるか、少なくなると交換される。噴霧カートリッジ(70)を取り出す際は、静電噴霧装置(1)を停止し、ケーシング(10)からリアカバー(17)を取り外し、カートリッジホルダ(70a)ごと噴霧カートリッジ(70)を取り出す。噴霧カートリッジ(70)を取り付ける際は、カートリッジホルダ(70a)に噴霧カートリッジ(70)を取り付けた状態で背面開口部(16)から上部機械室(28)内に収容してケーシング(10)に取り付ける。
【0065】
−運転動作−
上記本実施形態1の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、溶液が液糸(リガメント)状態で噴出され、液滴に分裂し、拡散されてユーザ(4)に到達する。この静電噴霧装置(1)は、噴霧カートリッジ(70)がケーシング(10)内に収容された状態で運転可能な状態となる。
【0066】
まず、ユーザ(4)が手動でシャッタ(13)をケーシング(10)の背面方向にスライドさせて開けると、シャッタ(13)が動作スイッチ(15)を押してON状態となる。動作スイッチ(15)がON状態となると、コントローラ(60)の搬送制御部(63)はエアポンプ(41)を駆動させる。エアポンプ(41)は空気管(42)からタンク(71)内に空気を導入する。タンク(71)内では、空気圧が高くなり、タンク(71)内の溶液が空気に押されてノズル(72)の基端側(72a)から内部に流入する。そして、ノズル(72)の内部に流入した溶液はノズル(72)の先端まで搬送される。
【0067】
一方で、動作スイッチ(15)がON状態になると、コントローラ(60)の電源制御部(62)は、印加源ユニット(50)の出力部(51)から高電圧を出力する。高電圧は、電極部材(84)を介してタンク(71)内の溶液に印加される。
【0068】
そして、ノズル(72)の先端では、電荷を帯びた溶液と対向電極(12)との間に電位差が生じ、電界が発生する。ここで、対向電極(12)は、円形状に形成されているため、電荷が集中する部分であるエッジが形成されない。ノズル(72)の先端の溶液は、電界に引っ張られて液糸(リガメント)状態で噴出され、その後、概ね数十μmから300μm程度の大きさの液滴に分裂する。溶液には電荷が付与されているため、分裂によって互いに斥力が生じて液滴は拡散する。拡散した液滴は、グランドとなるユーザ(4)に向かって飛散し、ユーザ(4)の顔面に付着する。
【0069】
また、コントローラ(60)は、動作スイッチ(15)がON状態であっても、人検知センサ(30)からの検知データに基づいて噴霧動作を制御することもできる。具体的には、人検知センサ(30)がユーザ(4)の無しを検知すると、電源制御部(62)は、高電圧の出力を停止する一方、搬送制御部(63)は、エアポンプ(41)の駆動を停止する。さらに、再び人検知センサ(30)がユーザ(4)の有りを検知すると、電源制御部(62)は、高電圧の出力を開始する一方、搬送制御部(63)は、エアポンプ(41)の駆動を開始することができる。これによって、ユーザ(4)がいない状況での無駄な噴霧を確実に防止することができる。
【0070】
また、コントローラ(60)は、温湿度センサ(29)の検知データに基づいて適切な噴霧動作に制御することもできる。具体的には、部屋の温湿度状態に応じて、噴霧における液糸(リガメント)の形成条件は異なる。ところが、温湿度センサ(29)の検知データに基づいて、電源制御部(62)が高電圧の出力値を調節し、搬送制御部(63)がエアポンプ(41)の空気圧を調節することで適切な液糸(リガメント)を形成することができる。
【0071】
ここで、仮に、タンク(71)から上部機械室(28)内に溶液が零れても、上側ベース(22)によって上部機械室(28)と中央機械室(24)とが仕切られているため、零れた溶液が上部機械室(28)に侵入することはない。
【0072】
−実施形態1の効果−
実施形態1によれば、タンク(71)を噴霧機構部(35)の上方に配置したため、ノズル(72)の先端をタンク(71)とを近付けることができる。ここで、図14(A)に示すように、従来の静電噴霧装置では、タンク(a)が噴霧機構部(b)の下方に配置されていたため、ノズル(c)の先端と基端との間のヘッド差が大きくなっていた。ところが、図14(B)に示すように、本実施形態1によれば、ノズル(72)の先端と基端との間のヘッド差を小さくすることができるため、加圧源ユニット(40)のノズル(72)先端への液体搬送力の増加を抑制することができる。これにより、加圧源ユニット(40)のポンプ容量の増加を抑制しつつ、ノズル(72)の先端を噴霧対象者に近付けることができる。
【0073】
また、上側ベース(22)を設けたため、タンク(71)内の液体が上部機械室(28)に零れても零れた液体が中央機械室(24)内に侵入するのを防止することができる。これにより、中央機械室(24)内の噴霧機構部(35)に漏れた液体がかかるのを確実に防止することができる。この結果、タンク(71)を噴霧機構部(35)の上方に配置させることができる。
【0074】
さらに、人検知センサ(30)をタンク(71)の下方に設けたため、ユーザ(4)よりも上方をセンサ検知範囲から外すことができる。これにより、ユーザ(4)よりも上方に設置される天井の照明等とユーザ(4)とを誤検知するのを防止することができる。また、人検知センサ(30)の検知範囲の下部分を覆うリブ(33)を設けたため、人検知センサ(30)の検知範囲を絞ることができる。これにより、静電噴霧装置(1)の下方にあるもの(例えば暖房器具等)とユーザ(4)とを誤検知するのを防止することができる。続いて、ケーシング(10)内では、人検知センサ(30)のセンサ面(30a)を斜め上方に向けて配置したため、人検知センサ(30)のセンサ感度の高い部分をユーザ(4)に向けることができる。これにより、人検知センサ(30)の検知精度を向上させることができる。
【0075】
最後に、円筒状のデザインカバー(10a)に沿って設けられる対向電極(12)を設けたため、対向電極(12)に電荷が集中するエッジが形成されるのを確実に防止することができる。これにより、上記対向電極(12)のエッジ部分に電荷を帯びた噴霧が集中するのを確実に防止することができる。これにより、噴霧の安定性を向上させることができる。
【0076】
〈発明の実施形態2〉
次に、本実施形態2について説明する。本実施形態2に係る静電噴霧装置(1)は、実施形態1に係る静電噴霧装置(1)とは、ケーシング(10)の構成が異なるものである。
【0077】
具体的には、図15に示すように、本実施形態2に係るケーシング(10)は、上部機械室(28)内にタンク(71)を有する噴霧カートリッジ(70)が収容され、中央機械室(24)内に噴霧機構部(35)が収容されている。そして、ケーシング(10)内は、上側ベース(22)が背面側に向かって下方に傾斜して配置されている。また、ケーシング(10)の背面側には、上側ベース(22)と対応する位置に排水口(10d)が形成されている。この排水口(10d)は、その下端縁部が上側ベース(22)の上面と繋がるように形成されている。このため、タンク(71)の溶液が上部機械室(28)内で零れると、零れた溶液は上側ベース(22)に沿って背面側へ流れ、排水口(10d)からケーシング(10)の外部へ排出され、さらに、デザインカバー(10a)の側方を流れて下部へ落下する。すなわち、上部機械室(28)内で零れた溶液は噴霧機構部(35)が収容された中央機械室(24)内に侵入することがない。
【0078】
−実施形態2の効果−
実施形態2によれば、上側ベース(22)を外部に向かって下方に傾けて配置したため、タンク(71)から上部機械室(28)に零れた溶液をケーシング(10)の外方に集めることができる。また、ケーシング(10)に排水口(10d)を設けたため、上側ベース(22)が集めた溶液を外部に排出することができる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
【0079】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1又は2について、以下のような構成としてもよい。
【0080】
上記実施形態では、噴霧させる溶液としてヒアルロン酸を含んだ溶液を用いたが、本発明は、それに限られず、例えば温泉水やテアニンの水溶液を用いてもよい。その他、カテキンやプロアントシアニジン等の抗酸化剤の水溶液を用いてもよい。
【0081】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明は、静電噴霧装置について有用である。
【符号の説明】
【0083】
10 ケーシング
10d 排水口
12 対向電極
22 上側ベース
24 中央機械室
28 上部機械室
30 人検知センサ
33 リブ
35 噴霧機構部
40 加圧源ユニット
50 印加源ユニット
71 タンク
72 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(10)と、該ケーシング(10)内に収容され且つ液体が貯留されたタンク(71)と、基端が上記タンク(71)内に連通し且つ先端が上記ケーシング(10)の外部へ露出するノズル(72)と、上記タンク(71)内の液体を上記ノズル(72)の先端に搬送する加圧源機構(40)及び上記タンク(71)内の液体に印加させる所定の電圧を出力する印加源機構(50)とを有してケーシング(10)内に収容される噴霧機構部(35)とを備え、上記所定の電圧を印加された液体が上記ノズル(72)の先端から噴霧される静電噴霧装置であって、
上記噴霧機構部(35)は、上記タンク(71)の下方に配置されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記ケーシング(10)は、該ケーシング(10)の内部を上記タンク(71)が収容される第1噴霧室(28)と該第1噴霧室(28)の下方に設けられ、且つ上記噴霧機構部(35)が収容される第2噴霧室(24)とに区画すると共に、上記第1噴霧室(28)内の液体の第2噴霧室(24)内への侵入を阻止する阻止部材(22)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記阻止部材(22)は、上記ケーシング(10)内で、且つ外部に向かって下方に傾斜して配置される一方、上記ケーシング(10)は、上記阻止部材(22)の液体を該ケーシング(10)の外部に排水する排水口(10d)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つにおいて、
上記ケーシング(10)は、上記タンク(71)よりも下部に設けられて噴霧対象者の有無を検知する検知センサ(30)と、該検知センサ(30)の検知範囲の少なくとも一部を覆うマスク部材(33)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1つにおいて、
上記ケーシング(10)は、円筒状に形成される一方、上記ノズル(72)と所定の距離を有し、且つ該ケーシング(10)の外周に沿って設けられる対向電極(12)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−86172(P2012−86172A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235861(P2010−235861)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】