静電場発生シート及び静電場発生コンテナ
【課題】静電場を発生させた静電場雰囲気に貨物を置いた状態で、搬送するための静電場発生シート及び静電場発生コンテナを提供することにある。
【解決手段】搬送用のコンテナの床面に敷かれ、コンテナ内に静電場を発生させるための静電場発生シート1であって、アルミニウムシートSHに、静電場を効果的に発生させるための穴HLと、電源と接続するための端子Tとが設けられ、コンテナの床面とアルミニウムシートSHとの間を電気的に絶縁するために、アルミニウムシートSHの裏面に絶縁塗料が塗布されている。
【解決手段】搬送用のコンテナの床面に敷かれ、コンテナ内に静電場を発生させるための静電場発生シート1であって、アルミニウムシートSHに、静電場を効果的に発生させるための穴HLと、電源と接続するための端子Tとが設けられ、コンテナの床面とアルミニウムシートSHとの間を電気的に絶縁するために、アルミニウムシートSHの裏面に絶縁塗料が塗布されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電場を発生させるための静電場発生シート及び静電場発生コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電圧を印加して静電場を発生させることにより、食品を保存することが知られている。例えば、食品商品供給用保管庫内の静電場雰囲気下で、食品を過冷却状態にすることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、食品保管施設において、静電場雰囲気を作り出す静電場発生パレットを用いて、大量の食料品を長期冷蔵保存することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−156042号公報
【特許文献2】登録実用新案第3125784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の先行技術文献に開示されているものは、いずれも静電場を発生させた静電場雰囲気に貨物を置いた状態で、搬送することは想定されていない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、静電場を発生させた静電場雰囲気に貨物を置いた状態で、搬送するための静電場発生シート及び静電場発生コンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観点に従った静電場発生シートは、搬送用のコンテナ内に静電場を発生させるための静電場発生シートであって、静電場を発生させるための電圧が印加される電線と、前記電線を覆い、前記電線を外部から電気的に絶縁するための絶縁部材とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、静電場を発生させた静電場雰囲気に貨物を置いた状態で、搬送するための静電場発生シート及び静電場発生コンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る静電場発生シートの上面図。
【図2】第1の実施形態に係る静電場発生シートの側面図。
【図3】コンテナの構成を示す構成図。
【図4】コンテナの床レールの構造を示す構造図。
【図5】第1の実施形態に係る静電場発生シートをコンテナに配置した状態の側面を示す配置図。
【図6】第1の実施形態に係る静電場発生シートをコンテナに配置した状態の上面を示す配置図。
【図7】第2の実施形態に係る静電場発生シートの使用方法を説明するための斜視図。
【図8】第3の実施形態に係る静電場発生コンテナの構成を示す構成図。
【図9】第3の実施形態に係る静電場発生コンテナの電極用アルミ板の形状を示す外形図。
【図10】第4の実施形態に係る静電場発生シートの構成を示す構成図。
【図11】第4の実施形態に係る静電場発生シートの使用時における電気回路を示す電気回路図。
【図12】第4の実施形態に係る静電場発生シートをコンテナに実装した構成を示す構成図。
【図13】第4の実施形態の変形形態に係る静電場発生シートの構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る静電場発生シート1の上面図である。図2は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1の側面図である。なお、両図において、同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0011】
静電場発生シート1は、アルミニウムシートSHをベースに構成されている。静電場発生シート1の上面は、約1100mm×約1100mmである。これは、一般的に使われているパレットと同じサイズか又は一回り小さいサイズの表面である。静電場発生シート1の厚さは、約2mmである。静電場発生シート1は、四隅のそれぞれに、配線を接続するための端子Tが設けられている。静電場発生シート1は、アルミニウムシートSHの裏面に、絶縁塗料ISが塗布されている。
【0012】
アルミニウムシートSHは、静電場を発生させるために電圧が印加される電極の役割を果たす。アルミニウムシートSHは、アルミニウム製のパンチングプレートである。即ち、アルミニウムシートSHは、多数の穴HLが空けられている。穴HLを設けることにより、静電場の発生効果が向上する。また、穴HLは、静電場発生シート1の通気性を良くする効果も有する。
【0013】
端子Tは、アルミニウムシートSHに、静電場を発生させるための電圧を印加する配線を接続する箇所である。端子Tは、電圧の供給を受ける電源との配線を接続し易くするために設けられている。また、端子Tは、他の隣接する静電場発生シート1と同電位(短絡)にするために配線を接続する(短絡する)ときにも用いられる。
【0014】
絶縁塗料ISは、床に直置きした場合に、アルミニウムシートSHと床との間を電気的に絶縁する。そのため、絶縁塗料ISは、床との摩擦等の外力に耐えられるように、剥がれ難いような材質又は方法を用いて塗布されている。例えば、絶縁塗料ISは、飽和ポリエステルである。
【0015】
次に、静電場発生シート1を適用するコンテナ2について説明する。
【0016】
図3は、コンテナ2の構成を示す構成図である。図4は、コンテナ2の床レールRLの構造を示す構造図である。
【0017】
コンテナ2は、ISO(国際標準化機構)による国際規格を満たした冷凍機付国際規格コンテナ(ISO668:1995)である。コンテナ2は、直方体形状をしている。コンテナ2は、壁、天井、床レールRL、ドアDRなどが断熱材で被われている。
【0018】
コンテナ2の長手方向側の一方の側面に、ドアDRが設けられている。冷凍機FRは、コンテナ2内のドアDRと対向する側面側に設けられている。蒸発器ファンモーターFNは、冷凍機FRの上部に設けられている。冷凍機FRは、蒸発器ファンモーターFN(エバポレータ回路)により、冷気Fcを作り出している。
【0019】
コンテナ2は、コンテナ2(貨物室)の内部に冷気Fcを循環させるために、アルミ製の床レールRLが配置されている。床レールRLは、図4に示すように、T型の形状である。冷凍機FRは、作り出した冷気Fcを下部から吹き出す。冷凍機FRから吹き出された冷気Fcは、床レールRLを沿うように流れる。冷凍機FRは、コンテナ2内を循環して戻ってきた冷気Fcを上部から取り込む。これにより、冷気Fcは、コンテナ2内を冷却する。
【0020】
冷凍機FRを動作させるための電源と、静電場発生シート1に印加するための電源とは、同一の電源である。従って、冷凍機FRを動作させるために、コンテナ2に電源を接続すると、コンテナ2内部に、静電場を発生させるための電圧も取り込むことができる。
【0021】
コンテナ2は、内部の壁に、図示されていない電気的に絶縁する素材が貼り付けられている。これにより、コンテナ2の運搬中に、静電場発生シート1がコンテナ2内の壁面に接触しても、静電場発生シート1に印加された電圧がコンテナ2に放電されること防止する。
【0022】
次に、静電場発生シート1の使用例について説明する。
【0023】
図5は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1をコンテナ2に配置した状態の側面を示す配置図である。図6は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1をコンテナ2に配置した状態の上面を示す配置図である。
【0024】
コンテナ2には、8枚の静電場発生シート1が敷き詰められている。8枚の静電場発生シート1は、全て同電位するために、自己の端子Tと他の静電場発生シート1の端子Tとを短絡する配線がされている。静電場発生シート1には、それぞれ図示しない生鮮品が載せられている。生鮮品は、野菜、果物、肉、魚、卵、飲料、生花などである。
【0025】
交流電源3は、交流電力を作り出すための機器である。交流電源3は、コンテナ2の外部に設置されている。例えば、交流電源3は、船又はトラックなどに積載されている発電機などである。
【0026】
コンテナ2内部を静電雰囲気にするには、まず交流電源3をコンテナ2に接続する。これにより、交流電源3からコンテナ2に交流電力が供給される。このときに、冷凍機FRに対しても、交流電力が供給される。この交流電力により、静電場発生シート1に接続するための端子に、電圧が印加される。ここで、交流電源3からの一方の端子は、8枚のうちの少なくとも1枚の静電場発生シート1の端子Tと接続されている。交流電源3からのもう一方の端子は、コンテナ2のフレームに接続している。また、コンテナ2のフレームは、接地されている。
【0027】
これにより、交流電源3は、静電場発生シート1とコンテナ2のフレームとの間(静電場発生シート1と対地間)に、電圧を印加する。このときに、印加する電圧は、約7000Vである。但し、環境等に応じて、静電場が発生するように、電圧は、例えば2000V〜7000Vの範囲で可変できるものとする。
【0028】
本実施形態によれば、静電場発生シート1を用いることにより、搬送用の貨物室を容易に静電場雰囲気とすることができる。貨物室を静電場雰囲気とすることにより、微小なオゾンの発生、水分(生鮮品)の微小な振動、空気のイオン化などが起こると考えられる。これにより、貨物室に置かれた生鮮品の鮮度を長く保つことができる。
【0029】
また、静電場発生シート1は、穴HLを設けることにより、静電場の発生効果を向上させ、かつ通気性を良くすることができる。
【0030】
さらに、静電場発生シート1は、厚さが薄いため、例えば、パレットなどと比べて、重心が低い。このため、搬送中の揺れに対しても、静電場発生シート1に積んだ生鮮品は、荷崩れが起き難い。
【0031】
また、静電場発生シート1は、厚さが薄いため、例えば、パレットなどと比べて、コンテナに詰め込める荷の量を多くすることができる。
【0032】
さらに、静電場発生シート1は、厚さが薄いため、取り扱いが容易である。また、静電場発生シート1は、運搬又は保管をする場合において、スペースを占有する容積を少なくできる。
【0033】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る静電場発生シート1の使用方法を説明するための斜視図である。
【0034】
本実施形態に係る静電場発生シート1は、使用方法を変えている点以外は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1と同じである。
【0035】
静電場発生シート1は、パレット4の上面内に収まるように敷かれている。パレット4の上面は、1100mm×1100mmである。パレット4は、一般的に用いられている標準的なサイズである。静電場発生シート1には、図示しない生鮮品が載せられている。生鮮品は、この状態でパレットごと貨物室(コンテナ)に搬入される。
【0036】
静電場発生シート1に電圧を印加する方法は、第1の実施形態と同様である。これにより、静電場発生シート1は、静電場を発生する。
【0037】
本実施形態によれば、静電場発生シート1を用いることにより、搬送用の貨物室を容易に静電場雰囲気とすることができる。貨物室を静電場雰囲気とすることにより、微小なオゾンの発生、水分(生鮮品)の微小な振動、空気のイオン化などが起こると考えられる。これにより、貨物室に置かれた生鮮品の鮮度を長く保つことができる。
【0038】
また、静電場発生シート1をパレット4の上に敷くことで、生鮮品の運搬時におけるパレット4の利便性を得ることができる。また、不要となった場合においても、静電場発生シート1をパレット4から簡単に取り外すことができる。取り外した静電場発生シート1は、厚さが薄いため、保管スペースを少なくできる。従って、限られたスペースしか確保できない貨物室などでも、静電場発生シート1を保管することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る静電場発生コンテナ2Aの構成を示す構成図である。
【0040】
静電場発生コンテナ2Aは、第1の実施形態に係るコンテナ2である冷凍機付国際規格コンテナ(ISO668:1995)の天井に、電極用アルミ板1Aを取り付けたものである。従って、静電場発生コンテナ2Aの基本的な部分については、コンテナ2と同様である。即ち、静電場発生コンテナ2Aは、上述の国際規格を満たしたコンテナである。
【0041】
電極用アルミ板1Aは、絶縁支持部材21を用いて、静電場発生コンテナ2Aの天井部を覆うように取り付けられている。電極用アルミ板1Aは、図9に示すように、多数の穴HLが空けられている。この穴HLは、第1の実施形態に係る静電場発生シート1の穴HLと同様に、通気性及び静電場発生効率の観点により設けられている。
【0042】
絶縁支持部材21は、電極用アルミ板1Aに電圧が印加されたときに、静電場発生コンテナ2Aの天井部分に放電しないように絶縁距離を保つことができる長さである。
【0043】
交流電源3からの一方の端子は、電極用アルミ板1Aに接続されている。交流電源3からのもう一方の端子は、コンテナ静電場発生2Aのフレームに接続されている。静電場発生コンテナ2Aのフレームは、接地されている。従って、交流電源3から出力された電圧は、電極用アルミ板1Aと静電場発生コンテナ2Aとの間(電極用アルミ板1Aと対地間)に印加される。
【0044】
生鮮品は、電極用アルミ板1Aと接触しなければ、静電場発生コンテナ2A内の任意の場所に置くことができる。よって、生鮮品は、静電場発生コンテナ2A内の側面に接するように置いてもよい。
【0045】
本実施形態によれば、静電場発生コンテナ2Aを用いることにより、搬送用の貨物室を容易に静電場雰囲気とすることができる。貨物室を静電場雰囲気とすることにより、微小なオゾンの発生、水分(生鮮品)の微小な振動、空気のイオン化などが起こると考えられる。これにより、貨物室に置かれた生鮮品の鮮度を長く保つことができる。
【0046】
また、静電場発生コンテナ2Aに設けられた電極用アルミ板1Aは、穴HLを設けることにより、通気性を良くし、静電場の発生効果を向上させることができる。
【0047】
さらに、静電場発生コンテナ2Aは、静電場を発生させるための電極用アルミ板1Aを上面に設けているため、通常のコンテナと同様の使い方をすることができる。
【0048】
また、静電場発生コンテナ2Aは、電極用アルミ板1Aを上面のみに取り付けているため、生鮮品の搬送に適している。例えば、静電場発生コンテナ2Aの搬送中に、積まれている生鮮品が移動して、内部の側面に当たっても、静電場雰囲気に影響しない。このため、コンテナ2Aは、内側側面を絶縁する必要がない。
【0049】
さらに、静電場発生コンテナ2Aは、電極用アルミ板1Aに電圧を印加するための配線などは既にされているため、簡単に(例えば、スイッチを入れるだけで)コンテナ2A内に静電場を発生させることができる。
【0050】
また、静電場発生コンテナ2Aは、ISOによる冷凍機付コンテナの国際規格を満たしているため、世界中に搬送することに適したコンテナである。
【0051】
なお、第1の実施形態では、アルミニウム製のプレートを用いたが、導電性の材質であれば他でもよい。
【0052】
第1の実施形態では、端子Tを4つ設けたが、いくつ設けてもよい。また、端子Tは、必ずしも設けられていなくともよい。さらに、端子Tは、アルミニウムシートSHと一体形成されていてもよい。
【0053】
各実施形態において、静電場を発生させるための電圧として、交流を用いたが、直流でもよい。交流を用いた場合、直流を用いた場合と比較して、静電場発生シート1に流れる電流が大きい。よって、交流を用いた場合の方が、静電場を発生させる効果が高いと考えられる。
【0054】
各実施形態において、静電場を発生させるための電源は、コンテナ2,2Aに直接設けてもよい。また、冷凍機FRに供給する電源と、静電場を発生させるための電源を別々に設けてもよい。
【0055】
第3の実施形態では、電極としてアルミニウム製板状としたが、これに限らない。電極は、棒状又は帯状であってもよい。
【0056】
第3の実施形態において、電極用アルミ板1Aの上面側(静電場発生コンテナ2Aの天井側)に、絶縁塗料を塗布してもよい。これにより、絶縁を確保するための距離を短くすることができ、絶縁支持部材21を短くすることができる。
【0057】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る静電場発生シート1Bの構成を示す構成図である。
【0058】
静電場発生シート1Bは、電線LIと、電線LIを覆う絶縁外装ISBと、電線LIと電気的に接続され、絶縁外装ISBから引き出された電線LI1と、電線LI1の先端に設けられた端子Tとを備えている。静電場発生シート1Bは、大きさを任意に設計することができる。ここでは、静電場発生シート1Bの大きさは、縦450mm×横300mm×厚さ3mmを想定している。
【0059】
電線LIは、静電場を発生させるために、電圧が印加される電極の役割を果たす。電線LIは、格子状に回路を形成している。電線LIは、ポリエステル繊維にカーボンを塗布したものである。電線LIは、過度の発熱により、ある温度に達したときに、ポリエステル繊維が溶け、溶断する。電線LIは、発熱に対するヒューズの役目を果す。即ち、電線LIは、過度の発熱で溶断するように、ポリエステル繊維を材質として選択している。ポリエステル繊維は、電気的に絶縁する材質である。このため、導電性のあるカーボンを塗布している。
【0060】
電線LI1は、電源部30と接続するために、絶縁外装ISBから引き出された電線である。電線LI1は、外部への放電を防止するために、絶縁のための被覆がされている。電線LI1は、電源部30から配線された電線と端子Tに接続する。端子Tは、電源部30との配線を接続するために設けられている。また、端子Tは、他の隣接する静電場発生シート1Bと同電位にするための配線を接続する(短絡する)ときにも使用される。
【0061】
絶縁外装ISBは、電線LIが構成する回路を全体的に覆っている。従って、静電場発生シート1Bは、電極の全体が絶縁された絶縁電極板として機能する。絶縁外装ISBで全体が覆われていることにより、静電場発生シート1Bは、天井や壁などに直接貼り付けることができる。絶縁外装ISBは、塩化ビニールとポリエチレンとの複層による構成である。
【0062】
図11は、第4の実施形態に係る静電場発生シート1Bの使用時における電気回路を示す電気回路図である。
【0063】
電源部30は、可変抵抗器31と、昇圧トランス32とを備えている。
【0064】
可変抵抗器31は、交流100V(商用電源)の電圧を、50V〜100Vの範囲で電圧出力を調整するための機器である。可変抵抗器31は、例えば、スライダック(登録商標)である。可変抵抗器31は、調整した電圧を昇圧トランス32に供給する。
【0065】
昇圧トランス32は、可変抵抗器31から供給された電圧を、2000V〜7000Vの範囲の電圧に昇圧する。昇圧トランス32から出力される電圧のうち1つの端子は、接地されている。もう1つの端子には、対地で2000V〜7000Vの電位が印加されている。この電位が印加された方の端子を、静電場発生シート1Bに接続する。
【0066】
図12は、第4の実施形態に係る静電場発生シート1Bをコンテナ2Bに実装した構成を示す構成図である。図12は、コンテナ2Bを側面から見た断面図である。
【0067】
コンテナ2Bは、図8に示す第3の実施形態に係るコンテナ2において、絶縁支持部材21及び電極用アルミ板1Aを取り除き、電源部30を設けている。その他の点は、コンテナ2と同様である。
【0068】
静電場発生シート1Bは、粘着テープ等によりコンテナ2Bの天井に貼り付けられている。静電場発生シート1Bは、電源部30から電圧が供給されるように配線されている。
【0069】
このような構成において、電源部30から静電場発生シート1Bに電圧を印加することで、コンテナ2B内を静電雰囲気とする。
【0070】
具体的な例として、菊を保管する場合におけるコンテナ2B内の環境の設定方法について説明する。
【0071】
コンテナ2Bは、5℃に保たれているとする。
【0072】
静電場発生シート1Bに、電圧を2000V印加する。このとき、静電場発生シート1Bには、1mAの電流が流れているものとする。
【0073】
このような環境で、菊をコンテナ2B内に、11日間保管する。
【0074】
このように保管した後、菊をコンテナ2Bから取り出して、外気に触れる環境(コンテナ2B内よりも気温が高い環境)に置いた場合、上述の環境のコンテナ2Bに保管しない菊と比較して、その後の花の咲く程度を抑制することができる。
【0075】
ここでは、菊を例として説明したが、他の品種においても、静電場発生シート1Bに印加する電圧を適宜変更して、その品種に対応した環境に設定する。
【0076】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0077】
静電場発生シート1Bは、電線LIを電極として用いることで、第1の実施形態に係る静電場発生シート1よりも更に軽量化することができる。よって、静電場発生シート1Bは、粘着テープ等により、コンテナ2Bの天井や壁などに簡単に貼り付けることができる。従って、静電場発生シート1Bは、コンテナ2Bに、簡単に取り付け及び取り外しをすることができる。また、静電場発生シート1Bは、コンテナ2B内の任意の場所に貼り付けることができる。
【0078】
また、静電場発生シート1Bは、絶縁外装ISBにより覆われているため、高い絶縁をすることができる。これにより、静電場発生シート1Bをコンテナ2Bに直接貼り付けても、コンテナ間との放電を防止することができる。また、静電場発生シート1Bに人が触れても、絶縁外装ISBの高い絶縁力により、感電することが無いため、安全に取り扱うことができる。
【0079】
さらに、電線LIは、過度の発熱により溶ける材質を用いているため、温度ヒューズの役割を果すことができる。また、電線LIは、格子状に回路を形成しているため、一部分で断線しても、別の回り込み回路により、残りの電線LIにも電圧が供給される。従って、電線LIが過度の発熱により断線しても、静電場を発生させ続けることができる。
【0080】
また、コンテナ2Bは、電圧を調整するための電源部30を設けているため、様々な生鮮品に対応した静電場環境を作り出すことができる。例えば、生花では、コンテナ2Bによる搬送後、搬出した後の外気による温度の上昇での急激な開花を抑制することができる。
【0081】
なお、第4の実施形態では、電源部30に対して、2枚の静電場発生シート1Bを並列に接続したが、直列に接続してもよい。静電場発生シート1Bを直列に接続する場合においては、図13に示す静電場発生シート1BAのように、電圧を印加するために接続する箇所(電線LI1又は端子Tなど)を2箇所以上設けた構成としてもよい。
【0082】
また、第4の実施形態において、静電場発生シート1Bの電線LIは、格子状としたが、網目状であってもよいし、他の形状に構成されていてもよい。また、電線LIは、蛇腹状に設けられていても、同様に、静電場を発生させることができる。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,1B…静電場発生シート、1A…電極用アルミ板、2,2B…コンテナ、2A…静電場発生コンテナ、3…交流電源、4…パレット、30…電源部、31…可変抵抗器、32…昇圧トランス、HL…穴、SH…アルミニウムシート、IS…絶縁塗料、ISB…絶縁外装。
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電場を発生させるための静電場発生シート及び静電場発生コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電圧を印加して静電場を発生させることにより、食品を保存することが知られている。例えば、食品商品供給用保管庫内の静電場雰囲気下で、食品を過冷却状態にすることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、食品保管施設において、静電場雰囲気を作り出す静電場発生パレットを用いて、大量の食料品を長期冷蔵保存することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−156042号公報
【特許文献2】登録実用新案第3125784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の先行技術文献に開示されているものは、いずれも静電場を発生させた静電場雰囲気に貨物を置いた状態で、搬送することは想定されていない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、静電場を発生させた静電場雰囲気に貨物を置いた状態で、搬送するための静電場発生シート及び静電場発生コンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観点に従った静電場発生シートは、搬送用のコンテナ内に静電場を発生させるための静電場発生シートであって、静電場を発生させるための電圧が印加される電線と、前記電線を覆い、前記電線を外部から電気的に絶縁するための絶縁部材とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、静電場を発生させた静電場雰囲気に貨物を置いた状態で、搬送するための静電場発生シート及び静電場発生コンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る静電場発生シートの上面図。
【図2】第1の実施形態に係る静電場発生シートの側面図。
【図3】コンテナの構成を示す構成図。
【図4】コンテナの床レールの構造を示す構造図。
【図5】第1の実施形態に係る静電場発生シートをコンテナに配置した状態の側面を示す配置図。
【図6】第1の実施形態に係る静電場発生シートをコンテナに配置した状態の上面を示す配置図。
【図7】第2の実施形態に係る静電場発生シートの使用方法を説明するための斜視図。
【図8】第3の実施形態に係る静電場発生コンテナの構成を示す構成図。
【図9】第3の実施形態に係る静電場発生コンテナの電極用アルミ板の形状を示す外形図。
【図10】第4の実施形態に係る静電場発生シートの構成を示す構成図。
【図11】第4の実施形態に係る静電場発生シートの使用時における電気回路を示す電気回路図。
【図12】第4の実施形態に係る静電場発生シートをコンテナに実装した構成を示す構成図。
【図13】第4の実施形態の変形形態に係る静電場発生シートの構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る静電場発生シート1の上面図である。図2は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1の側面図である。なお、両図において、同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0011】
静電場発生シート1は、アルミニウムシートSHをベースに構成されている。静電場発生シート1の上面は、約1100mm×約1100mmである。これは、一般的に使われているパレットと同じサイズか又は一回り小さいサイズの表面である。静電場発生シート1の厚さは、約2mmである。静電場発生シート1は、四隅のそれぞれに、配線を接続するための端子Tが設けられている。静電場発生シート1は、アルミニウムシートSHの裏面に、絶縁塗料ISが塗布されている。
【0012】
アルミニウムシートSHは、静電場を発生させるために電圧が印加される電極の役割を果たす。アルミニウムシートSHは、アルミニウム製のパンチングプレートである。即ち、アルミニウムシートSHは、多数の穴HLが空けられている。穴HLを設けることにより、静電場の発生効果が向上する。また、穴HLは、静電場発生シート1の通気性を良くする効果も有する。
【0013】
端子Tは、アルミニウムシートSHに、静電場を発生させるための電圧を印加する配線を接続する箇所である。端子Tは、電圧の供給を受ける電源との配線を接続し易くするために設けられている。また、端子Tは、他の隣接する静電場発生シート1と同電位(短絡)にするために配線を接続する(短絡する)ときにも用いられる。
【0014】
絶縁塗料ISは、床に直置きした場合に、アルミニウムシートSHと床との間を電気的に絶縁する。そのため、絶縁塗料ISは、床との摩擦等の外力に耐えられるように、剥がれ難いような材質又は方法を用いて塗布されている。例えば、絶縁塗料ISは、飽和ポリエステルである。
【0015】
次に、静電場発生シート1を適用するコンテナ2について説明する。
【0016】
図3は、コンテナ2の構成を示す構成図である。図4は、コンテナ2の床レールRLの構造を示す構造図である。
【0017】
コンテナ2は、ISO(国際標準化機構)による国際規格を満たした冷凍機付国際規格コンテナ(ISO668:1995)である。コンテナ2は、直方体形状をしている。コンテナ2は、壁、天井、床レールRL、ドアDRなどが断熱材で被われている。
【0018】
コンテナ2の長手方向側の一方の側面に、ドアDRが設けられている。冷凍機FRは、コンテナ2内のドアDRと対向する側面側に設けられている。蒸発器ファンモーターFNは、冷凍機FRの上部に設けられている。冷凍機FRは、蒸発器ファンモーターFN(エバポレータ回路)により、冷気Fcを作り出している。
【0019】
コンテナ2は、コンテナ2(貨物室)の内部に冷気Fcを循環させるために、アルミ製の床レールRLが配置されている。床レールRLは、図4に示すように、T型の形状である。冷凍機FRは、作り出した冷気Fcを下部から吹き出す。冷凍機FRから吹き出された冷気Fcは、床レールRLを沿うように流れる。冷凍機FRは、コンテナ2内を循環して戻ってきた冷気Fcを上部から取り込む。これにより、冷気Fcは、コンテナ2内を冷却する。
【0020】
冷凍機FRを動作させるための電源と、静電場発生シート1に印加するための電源とは、同一の電源である。従って、冷凍機FRを動作させるために、コンテナ2に電源を接続すると、コンテナ2内部に、静電場を発生させるための電圧も取り込むことができる。
【0021】
コンテナ2は、内部の壁に、図示されていない電気的に絶縁する素材が貼り付けられている。これにより、コンテナ2の運搬中に、静電場発生シート1がコンテナ2内の壁面に接触しても、静電場発生シート1に印加された電圧がコンテナ2に放電されること防止する。
【0022】
次に、静電場発生シート1の使用例について説明する。
【0023】
図5は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1をコンテナ2に配置した状態の側面を示す配置図である。図6は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1をコンテナ2に配置した状態の上面を示す配置図である。
【0024】
コンテナ2には、8枚の静電場発生シート1が敷き詰められている。8枚の静電場発生シート1は、全て同電位するために、自己の端子Tと他の静電場発生シート1の端子Tとを短絡する配線がされている。静電場発生シート1には、それぞれ図示しない生鮮品が載せられている。生鮮品は、野菜、果物、肉、魚、卵、飲料、生花などである。
【0025】
交流電源3は、交流電力を作り出すための機器である。交流電源3は、コンテナ2の外部に設置されている。例えば、交流電源3は、船又はトラックなどに積載されている発電機などである。
【0026】
コンテナ2内部を静電雰囲気にするには、まず交流電源3をコンテナ2に接続する。これにより、交流電源3からコンテナ2に交流電力が供給される。このときに、冷凍機FRに対しても、交流電力が供給される。この交流電力により、静電場発生シート1に接続するための端子に、電圧が印加される。ここで、交流電源3からの一方の端子は、8枚のうちの少なくとも1枚の静電場発生シート1の端子Tと接続されている。交流電源3からのもう一方の端子は、コンテナ2のフレームに接続している。また、コンテナ2のフレームは、接地されている。
【0027】
これにより、交流電源3は、静電場発生シート1とコンテナ2のフレームとの間(静電場発生シート1と対地間)に、電圧を印加する。このときに、印加する電圧は、約7000Vである。但し、環境等に応じて、静電場が発生するように、電圧は、例えば2000V〜7000Vの範囲で可変できるものとする。
【0028】
本実施形態によれば、静電場発生シート1を用いることにより、搬送用の貨物室を容易に静電場雰囲気とすることができる。貨物室を静電場雰囲気とすることにより、微小なオゾンの発生、水分(生鮮品)の微小な振動、空気のイオン化などが起こると考えられる。これにより、貨物室に置かれた生鮮品の鮮度を長く保つことができる。
【0029】
また、静電場発生シート1は、穴HLを設けることにより、静電場の発生効果を向上させ、かつ通気性を良くすることができる。
【0030】
さらに、静電場発生シート1は、厚さが薄いため、例えば、パレットなどと比べて、重心が低い。このため、搬送中の揺れに対しても、静電場発生シート1に積んだ生鮮品は、荷崩れが起き難い。
【0031】
また、静電場発生シート1は、厚さが薄いため、例えば、パレットなどと比べて、コンテナに詰め込める荷の量を多くすることができる。
【0032】
さらに、静電場発生シート1は、厚さが薄いため、取り扱いが容易である。また、静電場発生シート1は、運搬又は保管をする場合において、スペースを占有する容積を少なくできる。
【0033】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る静電場発生シート1の使用方法を説明するための斜視図である。
【0034】
本実施形態に係る静電場発生シート1は、使用方法を変えている点以外は、第1の実施形態に係る静電場発生シート1と同じである。
【0035】
静電場発生シート1は、パレット4の上面内に収まるように敷かれている。パレット4の上面は、1100mm×1100mmである。パレット4は、一般的に用いられている標準的なサイズである。静電場発生シート1には、図示しない生鮮品が載せられている。生鮮品は、この状態でパレットごと貨物室(コンテナ)に搬入される。
【0036】
静電場発生シート1に電圧を印加する方法は、第1の実施形態と同様である。これにより、静電場発生シート1は、静電場を発生する。
【0037】
本実施形態によれば、静電場発生シート1を用いることにより、搬送用の貨物室を容易に静電場雰囲気とすることができる。貨物室を静電場雰囲気とすることにより、微小なオゾンの発生、水分(生鮮品)の微小な振動、空気のイオン化などが起こると考えられる。これにより、貨物室に置かれた生鮮品の鮮度を長く保つことができる。
【0038】
また、静電場発生シート1をパレット4の上に敷くことで、生鮮品の運搬時におけるパレット4の利便性を得ることができる。また、不要となった場合においても、静電場発生シート1をパレット4から簡単に取り外すことができる。取り外した静電場発生シート1は、厚さが薄いため、保管スペースを少なくできる。従って、限られたスペースしか確保できない貨物室などでも、静電場発生シート1を保管することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る静電場発生コンテナ2Aの構成を示す構成図である。
【0040】
静電場発生コンテナ2Aは、第1の実施形態に係るコンテナ2である冷凍機付国際規格コンテナ(ISO668:1995)の天井に、電極用アルミ板1Aを取り付けたものである。従って、静電場発生コンテナ2Aの基本的な部分については、コンテナ2と同様である。即ち、静電場発生コンテナ2Aは、上述の国際規格を満たしたコンテナである。
【0041】
電極用アルミ板1Aは、絶縁支持部材21を用いて、静電場発生コンテナ2Aの天井部を覆うように取り付けられている。電極用アルミ板1Aは、図9に示すように、多数の穴HLが空けられている。この穴HLは、第1の実施形態に係る静電場発生シート1の穴HLと同様に、通気性及び静電場発生効率の観点により設けられている。
【0042】
絶縁支持部材21は、電極用アルミ板1Aに電圧が印加されたときに、静電場発生コンテナ2Aの天井部分に放電しないように絶縁距離を保つことができる長さである。
【0043】
交流電源3からの一方の端子は、電極用アルミ板1Aに接続されている。交流電源3からのもう一方の端子は、コンテナ静電場発生2Aのフレームに接続されている。静電場発生コンテナ2Aのフレームは、接地されている。従って、交流電源3から出力された電圧は、電極用アルミ板1Aと静電場発生コンテナ2Aとの間(電極用アルミ板1Aと対地間)に印加される。
【0044】
生鮮品は、電極用アルミ板1Aと接触しなければ、静電場発生コンテナ2A内の任意の場所に置くことができる。よって、生鮮品は、静電場発生コンテナ2A内の側面に接するように置いてもよい。
【0045】
本実施形態によれば、静電場発生コンテナ2Aを用いることにより、搬送用の貨物室を容易に静電場雰囲気とすることができる。貨物室を静電場雰囲気とすることにより、微小なオゾンの発生、水分(生鮮品)の微小な振動、空気のイオン化などが起こると考えられる。これにより、貨物室に置かれた生鮮品の鮮度を長く保つことができる。
【0046】
また、静電場発生コンテナ2Aに設けられた電極用アルミ板1Aは、穴HLを設けることにより、通気性を良くし、静電場の発生効果を向上させることができる。
【0047】
さらに、静電場発生コンテナ2Aは、静電場を発生させるための電極用アルミ板1Aを上面に設けているため、通常のコンテナと同様の使い方をすることができる。
【0048】
また、静電場発生コンテナ2Aは、電極用アルミ板1Aを上面のみに取り付けているため、生鮮品の搬送に適している。例えば、静電場発生コンテナ2Aの搬送中に、積まれている生鮮品が移動して、内部の側面に当たっても、静電場雰囲気に影響しない。このため、コンテナ2Aは、内側側面を絶縁する必要がない。
【0049】
さらに、静電場発生コンテナ2Aは、電極用アルミ板1Aに電圧を印加するための配線などは既にされているため、簡単に(例えば、スイッチを入れるだけで)コンテナ2A内に静電場を発生させることができる。
【0050】
また、静電場発生コンテナ2Aは、ISOによる冷凍機付コンテナの国際規格を満たしているため、世界中に搬送することに適したコンテナである。
【0051】
なお、第1の実施形態では、アルミニウム製のプレートを用いたが、導電性の材質であれば他でもよい。
【0052】
第1の実施形態では、端子Tを4つ設けたが、いくつ設けてもよい。また、端子Tは、必ずしも設けられていなくともよい。さらに、端子Tは、アルミニウムシートSHと一体形成されていてもよい。
【0053】
各実施形態において、静電場を発生させるための電圧として、交流を用いたが、直流でもよい。交流を用いた場合、直流を用いた場合と比較して、静電場発生シート1に流れる電流が大きい。よって、交流を用いた場合の方が、静電場を発生させる効果が高いと考えられる。
【0054】
各実施形態において、静電場を発生させるための電源は、コンテナ2,2Aに直接設けてもよい。また、冷凍機FRに供給する電源と、静電場を発生させるための電源を別々に設けてもよい。
【0055】
第3の実施形態では、電極としてアルミニウム製板状としたが、これに限らない。電極は、棒状又は帯状であってもよい。
【0056】
第3の実施形態において、電極用アルミ板1Aの上面側(静電場発生コンテナ2Aの天井側)に、絶縁塗料を塗布してもよい。これにより、絶縁を確保するための距離を短くすることができ、絶縁支持部材21を短くすることができる。
【0057】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る静電場発生シート1Bの構成を示す構成図である。
【0058】
静電場発生シート1Bは、電線LIと、電線LIを覆う絶縁外装ISBと、電線LIと電気的に接続され、絶縁外装ISBから引き出された電線LI1と、電線LI1の先端に設けられた端子Tとを備えている。静電場発生シート1Bは、大きさを任意に設計することができる。ここでは、静電場発生シート1Bの大きさは、縦450mm×横300mm×厚さ3mmを想定している。
【0059】
電線LIは、静電場を発生させるために、電圧が印加される電極の役割を果たす。電線LIは、格子状に回路を形成している。電線LIは、ポリエステル繊維にカーボンを塗布したものである。電線LIは、過度の発熱により、ある温度に達したときに、ポリエステル繊維が溶け、溶断する。電線LIは、発熱に対するヒューズの役目を果す。即ち、電線LIは、過度の発熱で溶断するように、ポリエステル繊維を材質として選択している。ポリエステル繊維は、電気的に絶縁する材質である。このため、導電性のあるカーボンを塗布している。
【0060】
電線LI1は、電源部30と接続するために、絶縁外装ISBから引き出された電線である。電線LI1は、外部への放電を防止するために、絶縁のための被覆がされている。電線LI1は、電源部30から配線された電線と端子Tに接続する。端子Tは、電源部30との配線を接続するために設けられている。また、端子Tは、他の隣接する静電場発生シート1Bと同電位にするための配線を接続する(短絡する)ときにも使用される。
【0061】
絶縁外装ISBは、電線LIが構成する回路を全体的に覆っている。従って、静電場発生シート1Bは、電極の全体が絶縁された絶縁電極板として機能する。絶縁外装ISBで全体が覆われていることにより、静電場発生シート1Bは、天井や壁などに直接貼り付けることができる。絶縁外装ISBは、塩化ビニールとポリエチレンとの複層による構成である。
【0062】
図11は、第4の実施形態に係る静電場発生シート1Bの使用時における電気回路を示す電気回路図である。
【0063】
電源部30は、可変抵抗器31と、昇圧トランス32とを備えている。
【0064】
可変抵抗器31は、交流100V(商用電源)の電圧を、50V〜100Vの範囲で電圧出力を調整するための機器である。可変抵抗器31は、例えば、スライダック(登録商標)である。可変抵抗器31は、調整した電圧を昇圧トランス32に供給する。
【0065】
昇圧トランス32は、可変抵抗器31から供給された電圧を、2000V〜7000Vの範囲の電圧に昇圧する。昇圧トランス32から出力される電圧のうち1つの端子は、接地されている。もう1つの端子には、対地で2000V〜7000Vの電位が印加されている。この電位が印加された方の端子を、静電場発生シート1Bに接続する。
【0066】
図12は、第4の実施形態に係る静電場発生シート1Bをコンテナ2Bに実装した構成を示す構成図である。図12は、コンテナ2Bを側面から見た断面図である。
【0067】
コンテナ2Bは、図8に示す第3の実施形態に係るコンテナ2において、絶縁支持部材21及び電極用アルミ板1Aを取り除き、電源部30を設けている。その他の点は、コンテナ2と同様である。
【0068】
静電場発生シート1Bは、粘着テープ等によりコンテナ2Bの天井に貼り付けられている。静電場発生シート1Bは、電源部30から電圧が供給されるように配線されている。
【0069】
このような構成において、電源部30から静電場発生シート1Bに電圧を印加することで、コンテナ2B内を静電雰囲気とする。
【0070】
具体的な例として、菊を保管する場合におけるコンテナ2B内の環境の設定方法について説明する。
【0071】
コンテナ2Bは、5℃に保たれているとする。
【0072】
静電場発生シート1Bに、電圧を2000V印加する。このとき、静電場発生シート1Bには、1mAの電流が流れているものとする。
【0073】
このような環境で、菊をコンテナ2B内に、11日間保管する。
【0074】
このように保管した後、菊をコンテナ2Bから取り出して、外気に触れる環境(コンテナ2B内よりも気温が高い環境)に置いた場合、上述の環境のコンテナ2Bに保管しない菊と比較して、その後の花の咲く程度を抑制することができる。
【0075】
ここでは、菊を例として説明したが、他の品種においても、静電場発生シート1Bに印加する電圧を適宜変更して、その品種に対応した環境に設定する。
【0076】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0077】
静電場発生シート1Bは、電線LIを電極として用いることで、第1の実施形態に係る静電場発生シート1よりも更に軽量化することができる。よって、静電場発生シート1Bは、粘着テープ等により、コンテナ2Bの天井や壁などに簡単に貼り付けることができる。従って、静電場発生シート1Bは、コンテナ2Bに、簡単に取り付け及び取り外しをすることができる。また、静電場発生シート1Bは、コンテナ2B内の任意の場所に貼り付けることができる。
【0078】
また、静電場発生シート1Bは、絶縁外装ISBにより覆われているため、高い絶縁をすることができる。これにより、静電場発生シート1Bをコンテナ2Bに直接貼り付けても、コンテナ間との放電を防止することができる。また、静電場発生シート1Bに人が触れても、絶縁外装ISBの高い絶縁力により、感電することが無いため、安全に取り扱うことができる。
【0079】
さらに、電線LIは、過度の発熱により溶ける材質を用いているため、温度ヒューズの役割を果すことができる。また、電線LIは、格子状に回路を形成しているため、一部分で断線しても、別の回り込み回路により、残りの電線LIにも電圧が供給される。従って、電線LIが過度の発熱により断線しても、静電場を発生させ続けることができる。
【0080】
また、コンテナ2Bは、電圧を調整するための電源部30を設けているため、様々な生鮮品に対応した静電場環境を作り出すことができる。例えば、生花では、コンテナ2Bによる搬送後、搬出した後の外気による温度の上昇での急激な開花を抑制することができる。
【0081】
なお、第4の実施形態では、電源部30に対して、2枚の静電場発生シート1Bを並列に接続したが、直列に接続してもよい。静電場発生シート1Bを直列に接続する場合においては、図13に示す静電場発生シート1BAのように、電圧を印加するために接続する箇所(電線LI1又は端子Tなど)を2箇所以上設けた構成としてもよい。
【0082】
また、第4の実施形態において、静電場発生シート1Bの電線LIは、格子状としたが、網目状であってもよいし、他の形状に構成されていてもよい。また、電線LIは、蛇腹状に設けられていても、同様に、静電場を発生させることができる。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,1B…静電場発生シート、1A…電極用アルミ板、2,2B…コンテナ、2A…静電場発生コンテナ、3…交流電源、4…パレット、30…電源部、31…可変抵抗器、32…昇圧トランス、HL…穴、SH…アルミニウムシート、IS…絶縁塗料、ISB…絶縁外装。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用のコンテナ内に静電場を発生させるための静電場発生シートであって、
静電場を発生させるための電圧が印加される電線と、
前記電線を覆い、前記電線を外部から電気的に絶縁するための絶縁部材と
を備えたことを特徴とする静電場発生シート。
【請求項2】
前記電線は、過度の発熱となる温度に達したときに、断線する材質を用いたこと
を特徴とする請求項1に記載の静電場発生シート。
【請求項3】
前記電線は、ポリエステル繊維にカーボンを塗布したものであること
を特徴とする請求項2に記載の静電場発生シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電場発生シートを用いて、静電場を発生させるための静電場発生コンテナであって、
前記静電場発生シートに印加する電圧を調整するための可変抵抗器と、
前記可変抵抗器からの出力電圧を、静電場を発生させるための電圧に昇圧する昇圧トランスと
を備えたことを特徴とする静電場発生コンテナ。
【請求項1】
搬送用のコンテナ内に静電場を発生させるための静電場発生シートであって、
静電場を発生させるための電圧が印加される電線と、
前記電線を覆い、前記電線を外部から電気的に絶縁するための絶縁部材と
を備えたことを特徴とする静電場発生シート。
【請求項2】
前記電線は、過度の発熱となる温度に達したときに、断線する材質を用いたこと
を特徴とする請求項1に記載の静電場発生シート。
【請求項3】
前記電線は、ポリエステル繊維にカーボンを塗布したものであること
を特徴とする請求項2に記載の静電場発生シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電場発生シートを用いて、静電場を発生させるための静電場発生コンテナであって、
前記静電場発生シートに印加する電圧を調整するための可変抵抗器と、
前記可変抵抗器からの出力電圧を、静電場を発生させるための電圧に昇圧する昇圧トランスと
を備えたことを特徴とする静電場発生コンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−247179(P2012−247179A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172924(P2012−172924)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2007−250043(P2007−250043)の分割
【原出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000205535)株式会社 商船三井 (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2007−250043(P2007−250043)の分割
【原出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000205535)株式会社 商船三井 (21)
【Fターム(参考)】
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