静電容量センサによる乗客コンベヤに関連する人の検知
乗客コンベヤに関連する人を検知するシステムは、静電容量センサの第1の電極に発振駆動信号を供給する駆動回路を含み、第1の電極は、発振駆動信号に応じて第2の電極に向かって電界を発生するように設けられている。静電容量センサに検知回路が接続されており、この検知回路は、人が第1の電極と第2の電極との間の電界に入ることなどによる静電容量センサの静電容量の変化を検知して静電容量センサの静電容量の関数として出力を生成する。制御装置が、検知回路によって検知された静電容量の変化に応じて、乗客コンベヤの動作モードを選択的に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、乗客コンベヤに関し、特に、乗客コンベヤに関連する人の位置を検知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベヤは、乗客を第1の位置から第2の位置へ効率的に搬送するために使用される。典型的なエスカレータは、エスカレータの端部にそれぞれ配置された一対のスプロケット上を移動するチェーンに取り付けられた複数の連結された移動する踏段を含み、スプロケットの一方が機械によって駆動される。移動する踏段の両側に欄干が配置され、各々の欄干は、踏段と同時に移動する手摺りを含む。典型的な動く歩道は、エスカレータと同じ構成要素を多くを含むが、歩道は傾斜しておらず平らであり、踏段の代わりにパレットを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乗客検知システムは、安全上の理由、保守上の理由またはエネルギーコストの削減のために乗客コンベヤを停止または始動させるために使用されてきた。このような乗客検知システムは、典型的に、入口ゲートおよび出口ゲートや乗客コンベヤの長さに沿って複数のセンサを使用し、入口ゲートおよび出口ゲートに接近している人や乗客コンベヤに乗っている人を検知する。センサとしては、光センサ、赤外線センサ、圧電センサおよび無線周波数送信機が使用されてきた。乗客コンベヤの長さが長くなればなるほど必要なセンサの数は増えるので、このようなシステムの設置および保守にかかる費用は法外に高くなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、乗客コンベヤに関連する人を検知するシステムである。このシステムは、発振駆動信号を供給する駆動回路と、発振駆動信号に応じて第2の電極に向かって電界を発生するように設けられた第1の電極を有する静電容量センサと、静電容量センサの静電容量の変化を検知するように静電容量センサに接続された検知回路と、制御装置と、を含む。人が第1の電極と第2の電極との間の電界を乱すと、検知回路が静電容量センサの静電容量の変化を検知して静電容量の関数として出力を生成する。検知回路が検知した変化に基づいて、制御装置が乗客コンベヤの動作モードを選択的に設定し、乗客コンベヤの始動、減速、加速、停止、または始動防止などを制御する。
【0005】
本発明は、少なくとも2つの用途を有する。すなわち、乗客コンベヤの欄干の間にいる人の検知および乗客コンベヤの機械室内の人の検知である。乗客コンベヤの欄干の間にいる人を検知するには、第1の欄干の第1の電極に電気信号が供給され、第1の欄干に対向する第2の欄干の第2の電極と第1の電極との間の空間に電界が形成される。乗客コンベヤに乗客が乗っている場合には、第1の電極と第2の電極との間の静電容量の変化が検知される。検知される静電容量の変化の関数として、乗客コンベヤの動作が制御される。乗客コンベヤの機械室内の人を検知するには、電気信号が機械室内に設けられたセンスワイヤに送信され、ワイヤと機械室内の電気的に絶縁された構成要素との間に電界が形成される。機械室内にいる人は、電界を乱してセンサワイヤと構成要素との間の静電容量を変化させる。この静電容量の変化は検知回路によって検知され、乗客コンベヤは検知された静電容量の変化の関数として制御される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】乗客コンベヤの駆動装置の一部を収容する機械室を含む乗客コンベヤの透視図である。
【図2】本発明の実施例に係る乗客コンベヤで使用される検知システムのブロック図である。
【図3A】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3B】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3C】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3D】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3E】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3F】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図4A】乗客コンベヤの欄干上の導体材料の例示的な形態を示す説明図である。
【図4B】乗客コンベヤの欄干上の導体材料の例示的な形態を示す説明図である。
【図4C】乗客コンベヤの欄干上の導体材料の例示的な形態を示す説明図である。
【図5】乗客コンベヤの電極の他の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベヤに関連する人の位置の検知に関する。図1は、第1の乗場12、第2の乗場14、連続する踏段16のループ、手摺り18、乗客乗車領域を間に定める欄干22、駆動装置24、機械室26,28を含むエスカレータ10の透視図である。踏段16は、第1の乗場12から第2の乗場14まで延在する。欄干22は、第1の乗場12から第2の乗場14まで踏段16の側面に沿って延在し、手摺り18は、各々の欄干22に摺動可能に係合している。駆動装置24は、踏段16および手摺り18を一定速度で同期して駆動するように構成される。駆動装置24の第1の部分は機械室26に配置され、駆動装置24の第2の部分は機械室28に配置される。
【0008】
本発明は、エスカレータ10に関連する人の位置の検知に関する。所定の時点において、エスカレータ10に乗車中に欄干22の間の乗客乗車領域に人が位置しているか、エスカレータが停止している保守作業中に機械室26,28内や欄干22の間に人が位置している可能性がある。人の位置に基づいて、効率および安全上の理由から駆動装置24の始動もしくは停止、または駆動装置24の始動の防止が望ましい場合がある。本発明は、電界を使用してエスカレータ10に関連する人の位置を検知し、この情報を検知回路に送信して駆動装置24を始動または停止する必要があるかを判断する。
【0009】
図2は、本発明の一実施例による検知システム30のブロック図である。検知システム30は、(発振器34、増幅器36、モード選択器37、インピーダンス整合回路網38を含む)駆動回路32、静電容量センサ40および検知回路42を含む。検知回路42は、比較器44と制御装置45を含み、エスカレータ10の論理回路46と通信している。
【0010】
制御装置45は、発振器34に電流を供給し、発振器34は、電気信号50を生成する。制御装置45からの制御信号は、モード選択器37にも送信され、吸収モード、透過モード、または装荷モードの3つのモードの1つで静電容量センサ40を駆動するようにモード選択器37に指令する。
【0011】
発振器34は、典型的に水晶ベースの(圧電)発振器または制御装置45の出力によって直接駆動されるものである。発振器34は、100kHz〜1MHzの範囲で動作可能であるが、好ましくは100〜150kHzで動作する。発振器34が発する電気信号は、出力が500mWに制限された低電力発振駆動信号である。電気信号50は、増幅器36によって増幅され、モード選択器37および例示的な実施例では1つまたは複数のバラクタにより実現可能なインピーダンス整合回路網38を介して静電容量センサ40に送信される。インピーダンス整合回路網38は、制御装置45の出力によって制御され、センサ40の静電容量とは無関係に、電気信号50が確実に静電容量センサ40に効率的に送られるようにする。電気信号50は、静電容量センサ40の第1の電極54と第2の電極56との間に静電界52を発生させるために静電容量センサ40に与えられる。
【0012】
人57が第1の電極54と第2の電極56との間に位置すると、準静電界52に摂動が生じる。この摂動は、検知回路42によって検知可能である。検知回路42は、比較器44と論理システム46と通信する制御装置45とを含む。静電容量センサ40から受信した出力に基づいて、比較器44は第1の電極54と第2の電極56との間の電圧の差を制御装置45に出力する。制御装置45は、比較器44の出力を処理するために使用されるアルゴリズムを実行するマイクロプロセッサである。これらのアルゴリズムは、(図3A〜図3Fを参照して以下に詳細に説明するように)実施例によっては種々の検知モードを使用して、比較器44の出力を処理してある期間にわたる静電容量のパターンや違いを検出し、1人もしくは複数の人や他の条件の存在を検知する。制御装置45は、論理システム46と通信する。静電容量センサ40の検知された静電容量の変化に基づいて、制御装置45および論理システム46は、(乗客コンベヤを始動、停止または減速させるため、あるいは乗客コンベヤの始動を防止するために)乗客コンベヤの動作モードの変更が必要かどうかを判断する。
【0013】
このシステムは、人の誘電定数が空気の誘電定数よりも著しく高いことを前提としている。静電容量の方程式は以下の通りである。
[式1]
C=εrε0A/d
ここで、Cはファラドで示した静電容量、εrは第1の電極54と第2の電極56との間の物体の誘電定数(または比誘電率)、ε0は真空における誘電率(8.854x10-12F/m)、Aは第1の電極54と第2の電極56の重なる面積を平方メートルで表した値、dは第1の電極54と第2の電極56との間の距離をメートルで表した値である。
【0014】
空気の誘電定数は、約1.00である。人の誘電定数は、種々の要因によりおおよそ60〜90の間である。よって、第1の電極54と第2の電極56との間に人がいる場合には、静電容量センサ40の静電容量は著しく変化する。この静電容量の変化は、検知回路42によって検知される。紙(εr=3.5)やゴム(εr=7)など、空気の誘電定数に比較的近い材料では、静電容量がそれほど著しく変化しないので(学術書によっては、0.05x10-18Fほど小さい静電容量の変化も検知可能であることが実験により分かったと記載されているが)検知することができない可能性がある。
【0015】
上述したように、静電容量センサ40と検知回路42は、3つの検知モードのいずれかで動作可能である。これらのモードは、吸収(または分流)モード、透過モードおよび装荷モードである。図3A〜図3Fは、これらの3つの検知モードを詳細に示している。
【0016】
図3A,図3Bは、吸収モードの静電容量センサ40を示している。第1の電極54は、第2の電極56に向かって電界52(例えば、準静電界)を発生させる。第1の電極54と第2の電極56との間に何もない場合には、第2の電極56は電界52を定常的な強さで受ける(電界52の一部は地面に分流される)。図3Bに示すように、(人や他の物などの)物体57が第1の電極54と第2の電極56との間にある場合には、電界52に摂動が生じて、電界52の一部が物体57を通して地面に分流されて第2の電極に到達しないため、第2の電極56が受け取る電界52は比較的弱くなる。
【0017】
図3C,図3Dは、透過モードの静電容量センサ40を示している。第1の電極54は、第2の電極56に向かって電界52(例えば、準静電界)を発生させる(電界52の一部は地面に分流される)。第1の電極54と第2の電極56との間に何もない場合には、第1の電極54と第2の電極56との間の静電容量は一定値を有する。図3Dに示すように、(人や他の物などの)物体57が第1の電極54と第2の電極56との間にある場合には、電界発生源は静電結合した第1の電極54と物体57との組合せとなり、この電界発生源と第2の電極56との間の静電容量は物体57の特性および位置に応じて変化する。
【0018】
図3E,図3Fは、装荷モードの静電容量センサ40を示している。第1の電極54は、電界52(例えば、準静電界)を発生させ、電界52の少なくとも一部は地面に分流される(このモードでは第2の電極56は静電容量センサとして機能しない)。図3Fに示すように、(人や他の物などの)物体57が第1の電極54に隣接している(すなわち、第1の電極54と第2の電極56との間にある)とき、電界52に摂動が生じて物体57を通して地面に分流され、物体57の特性および位置に基づいて、第1の電極54と物体57との間の静電容量とともに変化する検知可能な装荷効果が生じる。このモードでは、第2の電極56は、第1の電極54の代わりにまたは第1の電極54に加えて、電界を発生しうる。
【0019】
乗客コンベヤにおいて上述の技術を使用する用途は少なくとも2つある。すなわち、エスカレータ10上(特に欄干22の間)の人の検知および機械室26,28内の人の検知である。上記で説明した図2に示す回路は、静電容量センサ40の実現を僅かに変更することで両方の用途に適用可能である。検知される人がエスカレータ10上の乗客である場合、欄干22が静電容量センサ40の第1および第2の電極54,56を構成あるいは支持する。検知される人が機械室26,28内の保守作業員である場合、センスワイヤが第1の電極54として機能し、接地された機械が第2の電極56として機能して静電容量センサ40を構成する。これらの用途の詳細は、以下により具体的に説明する。
【0020】
静電容量センサ40を構成する欄干22によって乗客コンベヤの欄干22の間の人を検知するためには、静電容量センサ40を形成するために各々の欄干22に導体材料が設けられる。これは、特にガラス面などの不導体面を有する欄干22に適用可能である。導体材料は、欄干22の不導体面を囲む金属部分から充分に離して配置することが重要である。なぜなら、このような金属部分は本質的に接地として機能するからである。導体材料が金属部分に近すぎる場合には、電気信号が接地された金属部分に分流され、検知システムの範囲および感度が減少するおそれがある。しかし、必要な回路接続のために、検知システムの限定された数の小さな部分を欄干の導電部分の近くに配置してもよい。
【0021】
図4A〜図4Cは、静電容量センサ40を形成するために欄干22の不導体面62に導体材料60を設ける例示的な方法をいくつか示している。図4Aは、欄干22の不導体面62に網状または透明な導体フィルム60aが貼られた実施例を示している。この網状または透明な導体フィルム60aは、不導体面62の製造時、または既存の乗客コンベヤの改装時に不導体面62に後から設けることができる。図4Bは、ガラス自体がガラスの製造プロセス中に形成される導体要素60bを含む実施例を示している。図4Cは、導体デカール60cが不導体面62に接着された実施例を示している。欄干22の不導体面62に導体材料60を設けるために他の方法も使用可能であるが、導体材料60が不導体面62を囲む金属部分に近すぎない箇所に設けることが重要である。なぜなら、このような金属部分は本質的に接地として機能するからである。導体材料60がこのような接地領域に近すぎると、信号が接地領域に分流され、感度および範囲の減少につながるおそれがある。欄干22が金属製の用途では、対向する欄干22から電気的に絶縁する必要がある。
【0022】
上述したように、欄干22の領域(特に欄干22に設けられた導体材料60の表面積)は、人が欄干22の近くまたは間に来たときの静電容量の変化(よって検知感度)に直接的に影響する。比較的長いエスカレータでは、導電性の面の長さは幾らか同調してアンテナのように機能しうる。このような例では、欄干22に伝搬する磁界が存在し、周囲の電子装置と干渉することがある。このような用途では、任意の分割線63によって示すように、導体面60を欄干22の各々の内側面上で2つまたはそれ以上の部分に分割することができる。検知回路42にマルチプレクサを追加することで複数の部分が検知回路42の他の構成要素と通信可能となる。あるいは、複数の比較器44を使用してこれらの部分と制御装置46との通信を可能にすることもできる。
【0023】
動作時には、静電容量センサ40によってエスカレータ10上の人の存在による静電容量の変化が検知されると、検知回路42がエスカレータ10の動作を変更すべきかを判断する。例えば、人がエスカレータ10に接近して欄干22の間の空間に入ると、エスカレータ10は低電力または省エネモードから“起動”し、直ちにまたは比較的遅い速度から徐々に通常の搬送モードに入る。人がエスカレータ10上にいるときに緊急事態が起こった場合、エスカレータ10は急停止を避けるために緩やかな停止モードに入ることができる。また、人が停止したエスカレータ10上にいる場合には、人の検知はエスカレータ10の始動を防止するために利用することができる。
【0024】
検知装置30は、機械室26,28内の人の検知にも使用可能である。機械室26,28は、(図1に示すように)踏段16および欄干22に近接して配置されている。機械室26,28内の人を検知するには、各々の機械室26,28内の駆動装置24および/または他の導電性構成要素が接地される。センスワイヤ(図示省略)を(好ましくは中位の高さで)機械室26,28内に設置し、第1の電極54を構成するように接地から浮かせる。接地された構成要素が第2の電極56を構成する。図2を参照して説明した同じ回路が、機械室用途の電界52を発生させるためにも使用される。
【0025】
機械室26に誰もいない場合は、センスワイヤと駆動装置24などの接地された構成要素との間の静電容量は一定となる。人または他の物体が機械室26に入ると、センスワイヤと駆動装置24などの接地された構成要素との間の静電容量は、人と空気との誘電定数もしくは誘電率の差のために変化する。このような静電容量の変化は、図2に関して説明したのと同じまたは同様の方法で検知回路42によって検知される。機械室26内で人が検知された場合には、エスカレータ10が動作不能に(すなわち、動く部品が確実にないようにモータへの全ての電源が切断)される。
【0026】
これらの2つの(すなわち、欄干の間または機械室に静電容量センサを形成する)用途は、図2に示すように構成された独立した回路を使用するか、または回路を共有することができる。(温度や湿度などの)特定の条件によって変化する静電容量検知装置への悪影響を回避するために、当該技術で周知の追加の回路やセンサを含んでもよい。
【0027】
図5は、本発明の検知装置を実現するために乗客コンベヤに設けられる電極の別の形態を示している。第1の電極54と第2の電極56(図2参照)は、(位置70a,70bで示すように)欄干22、(位置72a,72bで示すように)乗客コンベヤの内側デッキ、(位置74a,74bで示すように)乗客コンベヤの内側スカートまたはこれらの1つまたは複数を組み合わせた位置に設けることができる。いずれの形態でも、検知システムの静電容量検知機能を達成するためには電極の適切な電気的絶縁が必要である。例示的な実施例では、踏段16または踏段16に付随する踏段チェーンが、(地面などの)定電位との電気的に絶縁された接続部を提供するために使用され、上述した検知の装荷モードを実行するために電極が接続される。
【0028】
例示的な実施例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば分かるように、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が可能であるとともに、同等物を本発明の要素の代わりに用いることができる。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に特定の状況または材料を適応させるために多くの改良が可能である。よって、本発明は、開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲内の全ての実施例を含むものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、乗客コンベヤに関し、特に、乗客コンベヤに関連する人の位置を検知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベヤは、乗客を第1の位置から第2の位置へ効率的に搬送するために使用される。典型的なエスカレータは、エスカレータの端部にそれぞれ配置された一対のスプロケット上を移動するチェーンに取り付けられた複数の連結された移動する踏段を含み、スプロケットの一方が機械によって駆動される。移動する踏段の両側に欄干が配置され、各々の欄干は、踏段と同時に移動する手摺りを含む。典型的な動く歩道は、エスカレータと同じ構成要素を多くを含むが、歩道は傾斜しておらず平らであり、踏段の代わりにパレットを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乗客検知システムは、安全上の理由、保守上の理由またはエネルギーコストの削減のために乗客コンベヤを停止または始動させるために使用されてきた。このような乗客検知システムは、典型的に、入口ゲートおよび出口ゲートや乗客コンベヤの長さに沿って複数のセンサを使用し、入口ゲートおよび出口ゲートに接近している人や乗客コンベヤに乗っている人を検知する。センサとしては、光センサ、赤外線センサ、圧電センサおよび無線周波数送信機が使用されてきた。乗客コンベヤの長さが長くなればなるほど必要なセンサの数は増えるので、このようなシステムの設置および保守にかかる費用は法外に高くなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、乗客コンベヤに関連する人を検知するシステムである。このシステムは、発振駆動信号を供給する駆動回路と、発振駆動信号に応じて第2の電極に向かって電界を発生するように設けられた第1の電極を有する静電容量センサと、静電容量センサの静電容量の変化を検知するように静電容量センサに接続された検知回路と、制御装置と、を含む。人が第1の電極と第2の電極との間の電界を乱すと、検知回路が静電容量センサの静電容量の変化を検知して静電容量の関数として出力を生成する。検知回路が検知した変化に基づいて、制御装置が乗客コンベヤの動作モードを選択的に設定し、乗客コンベヤの始動、減速、加速、停止、または始動防止などを制御する。
【0005】
本発明は、少なくとも2つの用途を有する。すなわち、乗客コンベヤの欄干の間にいる人の検知および乗客コンベヤの機械室内の人の検知である。乗客コンベヤの欄干の間にいる人を検知するには、第1の欄干の第1の電極に電気信号が供給され、第1の欄干に対向する第2の欄干の第2の電極と第1の電極との間の空間に電界が形成される。乗客コンベヤに乗客が乗っている場合には、第1の電極と第2の電極との間の静電容量の変化が検知される。検知される静電容量の変化の関数として、乗客コンベヤの動作が制御される。乗客コンベヤの機械室内の人を検知するには、電気信号が機械室内に設けられたセンスワイヤに送信され、ワイヤと機械室内の電気的に絶縁された構成要素との間に電界が形成される。機械室内にいる人は、電界を乱してセンサワイヤと構成要素との間の静電容量を変化させる。この静電容量の変化は検知回路によって検知され、乗客コンベヤは検知された静電容量の変化の関数として制御される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】乗客コンベヤの駆動装置の一部を収容する機械室を含む乗客コンベヤの透視図である。
【図2】本発明の実施例に係る乗客コンベヤで使用される検知システムのブロック図である。
【図3A】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3B】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3C】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3D】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3E】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図3F】本発明の検知システムの例示的な動作モードの説明図である。
【図4A】乗客コンベヤの欄干上の導体材料の例示的な形態を示す説明図である。
【図4B】乗客コンベヤの欄干上の導体材料の例示的な形態を示す説明図である。
【図4C】乗客コンベヤの欄干上の導体材料の例示的な形態を示す説明図である。
【図5】乗客コンベヤの電極の他の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベヤに関連する人の位置の検知に関する。図1は、第1の乗場12、第2の乗場14、連続する踏段16のループ、手摺り18、乗客乗車領域を間に定める欄干22、駆動装置24、機械室26,28を含むエスカレータ10の透視図である。踏段16は、第1の乗場12から第2の乗場14まで延在する。欄干22は、第1の乗場12から第2の乗場14まで踏段16の側面に沿って延在し、手摺り18は、各々の欄干22に摺動可能に係合している。駆動装置24は、踏段16および手摺り18を一定速度で同期して駆動するように構成される。駆動装置24の第1の部分は機械室26に配置され、駆動装置24の第2の部分は機械室28に配置される。
【0008】
本発明は、エスカレータ10に関連する人の位置の検知に関する。所定の時点において、エスカレータ10に乗車中に欄干22の間の乗客乗車領域に人が位置しているか、エスカレータが停止している保守作業中に機械室26,28内や欄干22の間に人が位置している可能性がある。人の位置に基づいて、効率および安全上の理由から駆動装置24の始動もしくは停止、または駆動装置24の始動の防止が望ましい場合がある。本発明は、電界を使用してエスカレータ10に関連する人の位置を検知し、この情報を検知回路に送信して駆動装置24を始動または停止する必要があるかを判断する。
【0009】
図2は、本発明の一実施例による検知システム30のブロック図である。検知システム30は、(発振器34、増幅器36、モード選択器37、インピーダンス整合回路網38を含む)駆動回路32、静電容量センサ40および検知回路42を含む。検知回路42は、比較器44と制御装置45を含み、エスカレータ10の論理回路46と通信している。
【0010】
制御装置45は、発振器34に電流を供給し、発振器34は、電気信号50を生成する。制御装置45からの制御信号は、モード選択器37にも送信され、吸収モード、透過モード、または装荷モードの3つのモードの1つで静電容量センサ40を駆動するようにモード選択器37に指令する。
【0011】
発振器34は、典型的に水晶ベースの(圧電)発振器または制御装置45の出力によって直接駆動されるものである。発振器34は、100kHz〜1MHzの範囲で動作可能であるが、好ましくは100〜150kHzで動作する。発振器34が発する電気信号は、出力が500mWに制限された低電力発振駆動信号である。電気信号50は、増幅器36によって増幅され、モード選択器37および例示的な実施例では1つまたは複数のバラクタにより実現可能なインピーダンス整合回路網38を介して静電容量センサ40に送信される。インピーダンス整合回路網38は、制御装置45の出力によって制御され、センサ40の静電容量とは無関係に、電気信号50が確実に静電容量センサ40に効率的に送られるようにする。電気信号50は、静電容量センサ40の第1の電極54と第2の電極56との間に静電界52を発生させるために静電容量センサ40に与えられる。
【0012】
人57が第1の電極54と第2の電極56との間に位置すると、準静電界52に摂動が生じる。この摂動は、検知回路42によって検知可能である。検知回路42は、比較器44と論理システム46と通信する制御装置45とを含む。静電容量センサ40から受信した出力に基づいて、比較器44は第1の電極54と第2の電極56との間の電圧の差を制御装置45に出力する。制御装置45は、比較器44の出力を処理するために使用されるアルゴリズムを実行するマイクロプロセッサである。これらのアルゴリズムは、(図3A〜図3Fを参照して以下に詳細に説明するように)実施例によっては種々の検知モードを使用して、比較器44の出力を処理してある期間にわたる静電容量のパターンや違いを検出し、1人もしくは複数の人や他の条件の存在を検知する。制御装置45は、論理システム46と通信する。静電容量センサ40の検知された静電容量の変化に基づいて、制御装置45および論理システム46は、(乗客コンベヤを始動、停止または減速させるため、あるいは乗客コンベヤの始動を防止するために)乗客コンベヤの動作モードの変更が必要かどうかを判断する。
【0013】
このシステムは、人の誘電定数が空気の誘電定数よりも著しく高いことを前提としている。静電容量の方程式は以下の通りである。
[式1]
C=εrε0A/d
ここで、Cはファラドで示した静電容量、εrは第1の電極54と第2の電極56との間の物体の誘電定数(または比誘電率)、ε0は真空における誘電率(8.854x10-12F/m)、Aは第1の電極54と第2の電極56の重なる面積を平方メートルで表した値、dは第1の電極54と第2の電極56との間の距離をメートルで表した値である。
【0014】
空気の誘電定数は、約1.00である。人の誘電定数は、種々の要因によりおおよそ60〜90の間である。よって、第1の電極54と第2の電極56との間に人がいる場合には、静電容量センサ40の静電容量は著しく変化する。この静電容量の変化は、検知回路42によって検知される。紙(εr=3.5)やゴム(εr=7)など、空気の誘電定数に比較的近い材料では、静電容量がそれほど著しく変化しないので(学術書によっては、0.05x10-18Fほど小さい静電容量の変化も検知可能であることが実験により分かったと記載されているが)検知することができない可能性がある。
【0015】
上述したように、静電容量センサ40と検知回路42は、3つの検知モードのいずれかで動作可能である。これらのモードは、吸収(または分流)モード、透過モードおよび装荷モードである。図3A〜図3Fは、これらの3つの検知モードを詳細に示している。
【0016】
図3A,図3Bは、吸収モードの静電容量センサ40を示している。第1の電極54は、第2の電極56に向かって電界52(例えば、準静電界)を発生させる。第1の電極54と第2の電極56との間に何もない場合には、第2の電極56は電界52を定常的な強さで受ける(電界52の一部は地面に分流される)。図3Bに示すように、(人や他の物などの)物体57が第1の電極54と第2の電極56との間にある場合には、電界52に摂動が生じて、電界52の一部が物体57を通して地面に分流されて第2の電極に到達しないため、第2の電極56が受け取る電界52は比較的弱くなる。
【0017】
図3C,図3Dは、透過モードの静電容量センサ40を示している。第1の電極54は、第2の電極56に向かって電界52(例えば、準静電界)を発生させる(電界52の一部は地面に分流される)。第1の電極54と第2の電極56との間に何もない場合には、第1の電極54と第2の電極56との間の静電容量は一定値を有する。図3Dに示すように、(人や他の物などの)物体57が第1の電極54と第2の電極56との間にある場合には、電界発生源は静電結合した第1の電極54と物体57との組合せとなり、この電界発生源と第2の電極56との間の静電容量は物体57の特性および位置に応じて変化する。
【0018】
図3E,図3Fは、装荷モードの静電容量センサ40を示している。第1の電極54は、電界52(例えば、準静電界)を発生させ、電界52の少なくとも一部は地面に分流される(このモードでは第2の電極56は静電容量センサとして機能しない)。図3Fに示すように、(人や他の物などの)物体57が第1の電極54に隣接している(すなわち、第1の電極54と第2の電極56との間にある)とき、電界52に摂動が生じて物体57を通して地面に分流され、物体57の特性および位置に基づいて、第1の電極54と物体57との間の静電容量とともに変化する検知可能な装荷効果が生じる。このモードでは、第2の電極56は、第1の電極54の代わりにまたは第1の電極54に加えて、電界を発生しうる。
【0019】
乗客コンベヤにおいて上述の技術を使用する用途は少なくとも2つある。すなわち、エスカレータ10上(特に欄干22の間)の人の検知および機械室26,28内の人の検知である。上記で説明した図2に示す回路は、静電容量センサ40の実現を僅かに変更することで両方の用途に適用可能である。検知される人がエスカレータ10上の乗客である場合、欄干22が静電容量センサ40の第1および第2の電極54,56を構成あるいは支持する。検知される人が機械室26,28内の保守作業員である場合、センスワイヤが第1の電極54として機能し、接地された機械が第2の電極56として機能して静電容量センサ40を構成する。これらの用途の詳細は、以下により具体的に説明する。
【0020】
静電容量センサ40を構成する欄干22によって乗客コンベヤの欄干22の間の人を検知するためには、静電容量センサ40を形成するために各々の欄干22に導体材料が設けられる。これは、特にガラス面などの不導体面を有する欄干22に適用可能である。導体材料は、欄干22の不導体面を囲む金属部分から充分に離して配置することが重要である。なぜなら、このような金属部分は本質的に接地として機能するからである。導体材料が金属部分に近すぎる場合には、電気信号が接地された金属部分に分流され、検知システムの範囲および感度が減少するおそれがある。しかし、必要な回路接続のために、検知システムの限定された数の小さな部分を欄干の導電部分の近くに配置してもよい。
【0021】
図4A〜図4Cは、静電容量センサ40を形成するために欄干22の不導体面62に導体材料60を設ける例示的な方法をいくつか示している。図4Aは、欄干22の不導体面62に網状または透明な導体フィルム60aが貼られた実施例を示している。この網状または透明な導体フィルム60aは、不導体面62の製造時、または既存の乗客コンベヤの改装時に不導体面62に後から設けることができる。図4Bは、ガラス自体がガラスの製造プロセス中に形成される導体要素60bを含む実施例を示している。図4Cは、導体デカール60cが不導体面62に接着された実施例を示している。欄干22の不導体面62に導体材料60を設けるために他の方法も使用可能であるが、導体材料60が不導体面62を囲む金属部分に近すぎない箇所に設けることが重要である。なぜなら、このような金属部分は本質的に接地として機能するからである。導体材料60がこのような接地領域に近すぎると、信号が接地領域に分流され、感度および範囲の減少につながるおそれがある。欄干22が金属製の用途では、対向する欄干22から電気的に絶縁する必要がある。
【0022】
上述したように、欄干22の領域(特に欄干22に設けられた導体材料60の表面積)は、人が欄干22の近くまたは間に来たときの静電容量の変化(よって検知感度)に直接的に影響する。比較的長いエスカレータでは、導電性の面の長さは幾らか同調してアンテナのように機能しうる。このような例では、欄干22に伝搬する磁界が存在し、周囲の電子装置と干渉することがある。このような用途では、任意の分割線63によって示すように、導体面60を欄干22の各々の内側面上で2つまたはそれ以上の部分に分割することができる。検知回路42にマルチプレクサを追加することで複数の部分が検知回路42の他の構成要素と通信可能となる。あるいは、複数の比較器44を使用してこれらの部分と制御装置46との通信を可能にすることもできる。
【0023】
動作時には、静電容量センサ40によってエスカレータ10上の人の存在による静電容量の変化が検知されると、検知回路42がエスカレータ10の動作を変更すべきかを判断する。例えば、人がエスカレータ10に接近して欄干22の間の空間に入ると、エスカレータ10は低電力または省エネモードから“起動”し、直ちにまたは比較的遅い速度から徐々に通常の搬送モードに入る。人がエスカレータ10上にいるときに緊急事態が起こった場合、エスカレータ10は急停止を避けるために緩やかな停止モードに入ることができる。また、人が停止したエスカレータ10上にいる場合には、人の検知はエスカレータ10の始動を防止するために利用することができる。
【0024】
検知装置30は、機械室26,28内の人の検知にも使用可能である。機械室26,28は、(図1に示すように)踏段16および欄干22に近接して配置されている。機械室26,28内の人を検知するには、各々の機械室26,28内の駆動装置24および/または他の導電性構成要素が接地される。センスワイヤ(図示省略)を(好ましくは中位の高さで)機械室26,28内に設置し、第1の電極54を構成するように接地から浮かせる。接地された構成要素が第2の電極56を構成する。図2を参照して説明した同じ回路が、機械室用途の電界52を発生させるためにも使用される。
【0025】
機械室26に誰もいない場合は、センスワイヤと駆動装置24などの接地された構成要素との間の静電容量は一定となる。人または他の物体が機械室26に入ると、センスワイヤと駆動装置24などの接地された構成要素との間の静電容量は、人と空気との誘電定数もしくは誘電率の差のために変化する。このような静電容量の変化は、図2に関して説明したのと同じまたは同様の方法で検知回路42によって検知される。機械室26内で人が検知された場合には、エスカレータ10が動作不能に(すなわち、動く部品が確実にないようにモータへの全ての電源が切断)される。
【0026】
これらの2つの(すなわち、欄干の間または機械室に静電容量センサを形成する)用途は、図2に示すように構成された独立した回路を使用するか、または回路を共有することができる。(温度や湿度などの)特定の条件によって変化する静電容量検知装置への悪影響を回避するために、当該技術で周知の追加の回路やセンサを含んでもよい。
【0027】
図5は、本発明の検知装置を実現するために乗客コンベヤに設けられる電極の別の形態を示している。第1の電極54と第2の電極56(図2参照)は、(位置70a,70bで示すように)欄干22、(位置72a,72bで示すように)乗客コンベヤの内側デッキ、(位置74a,74bで示すように)乗客コンベヤの内側スカートまたはこれらの1つまたは複数を組み合わせた位置に設けることができる。いずれの形態でも、検知システムの静電容量検知機能を達成するためには電極の適切な電気的絶縁が必要である。例示的な実施例では、踏段16または踏段16に付随する踏段チェーンが、(地面などの)定電位との電気的に絶縁された接続部を提供するために使用され、上述した検知の装荷モードを実行するために電極が接続される。
【0028】
例示的な実施例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば分かるように、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が可能であるとともに、同等物を本発明の要素の代わりに用いることができる。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に特定の状況または材料を適応させるために多くの改良が可能である。よって、本発明は、開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲内の全ての実施例を含むものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造的構成要素と乗客乗車領域とを有する乗客コンベヤに関連する人を検知する検知システムであって、
発振駆動信号を供給する駆動回路と、
発振駆動信号に応じて第2の電極に向かって電界を発生させるように設けられた第1の電極を有する静電容量センサと、
静電容量センサと接続され、該静電容量センサの静電容量の変化を検知して静電容量の関数として出力を生成する検知回路と、
検知回路の出力に応じて乗客コンベヤの動作モードを選択的に設定する制御装置と、を備えることを特徴とする検知システム。
【請求項2】
第1の電極と第2の電極とは、乗客乗車領域の両側で乗客コンベヤの構造的構成要素の部分に配置されており、第1の電極と第2の電極との間の電界にいる人の存在によって静電容量の変化が生じることを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項3】
第1の電極は、乗客乗車領域の第1の側で乗客コンベヤの構造的構成要素に配置された導体材料を含み、第2の電極は、乗客乗車領域の第1の側に対向する第2の側で乗客コンベヤの構造的構成要素に配置された導体材料を含むことを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項4】
乗客コンベヤの構造的構成要素は、欄干であり、第1の電極は、乗客乗車領域の一方の側に設けられた欄干の導体面を含み、第2の電極は、乗客乗車領域の対向する側に設けられた欄干の導体面を含むことを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項5】
欄干は不導体材料で形成されており、乗客乗車領域の両側における欄干の面に導体材料が配置されていることを特徴とする請求項4記載の検知システム。
【請求項6】
前記不導体材料は、ガラスであることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項7】
前記導体材料は、不導体の欄干の表面に接着されていることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項8】
前記導体材料は、不導体の欄干と一体に形成されていることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項9】
前記導体材料は、複数の部分に分割されていることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項10】
静電容量センサの出力を検知回路に送信するために、マルチプレクサが前記の部分を接続していることを特徴とする請求項9記載の検知システム。
【請求項11】
第1の電極は、乗客コンベヤの機械室に位置するセンスワイヤを含み、第2の電極は、機械室内の接地された構成要素を含むことを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項12】
駆動回路は、
発振駆動信号を発生する発振器と、
発振駆動信号を増幅するように発振器に接続された増幅器と、
増幅器と静電容量センサとの間に接続されたインピーダンス整合回路網と、
静電容量センサを選択されたモードで駆動するように動作可能なモード選択器と、を備えることを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項13】
発振器は、100kHz〜1MHzの周波数を有することを特徴とする請求項12記載の検知システム。
【請求項14】
発振器は、100kHz〜150kHzの周波数を有することを特徴とする請求項12記載の検知システム。
【請求項15】
検知回路は、
静電容量センサの静電容量の変化を検知し、該静電容量センサの静電容量の関数として出力を生成するように設けられた比較器を備えることを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項16】
乗客コンベヤの第1の欄干と第2の欄干との間で乗客を検知する検知方法であって、
第1の欄干に設けられた第1の電極に電気信号を供給して、第1の電極と、第1の欄干に対向する第2の欄干に設けられた第2の電極と、の間に電界を発生させ、
第1の電極と第2の電極との間における静電容量の変化を検知し、
検知された静電容量の変化の関数として乗客コンベヤの動作を制御することを含むことを特徴とする検知方法。
【請求項17】
静電容量の変化は、第1の電極と第2の電極との間の電界に人が存在することによって生じることを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項18】
第1の電極は、第1の欄干の表面に配置された導体材料を含み、第2の電極は、第2の欄干の表面に配置された導体材料を含むことを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項19】
前記電気信号は、低電力発振駆動信号であることを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項20】
前記電気信号は、100kHz〜1MHzの周波数を有することを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項21】
乗客コンベヤの機械室内の人を検知する検知方法であって、
機械室に位置するセンスワイヤに電気信号を送信して、センスワイヤと、該センスワイヤから電気的に絶縁された機械室内の導電性構成要素との間に電界を発生させ、
センスワイヤから電気的に絶縁された導電性構成要素との間の静電容量の変化を検知し、
検知された静電容量の変化の関数として、乗客コンベヤの動作を制御することを含むことを特徴とする検知方法。
【請求項22】
静電容量の変化は、センスワイヤと導電性構成要素との間の電界に人が存在することによって生じることを特徴とする請求項21記載の検知方法。
【請求項23】
前記電気信号は、低電力発振駆動信号であることを特徴とする請求項21記載の検知方法。
【請求項24】
前記電気信号は、100kHz〜1MHzの周波数を有することを特徴とする請求項21記載の検知方法。
【請求項1】
構造的構成要素と乗客乗車領域とを有する乗客コンベヤに関連する人を検知する検知システムであって、
発振駆動信号を供給する駆動回路と、
発振駆動信号に応じて第2の電極に向かって電界を発生させるように設けられた第1の電極を有する静電容量センサと、
静電容量センサと接続され、該静電容量センサの静電容量の変化を検知して静電容量の関数として出力を生成する検知回路と、
検知回路の出力に応じて乗客コンベヤの動作モードを選択的に設定する制御装置と、を備えることを特徴とする検知システム。
【請求項2】
第1の電極と第2の電極とは、乗客乗車領域の両側で乗客コンベヤの構造的構成要素の部分に配置されており、第1の電極と第2の電極との間の電界にいる人の存在によって静電容量の変化が生じることを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項3】
第1の電極は、乗客乗車領域の第1の側で乗客コンベヤの構造的構成要素に配置された導体材料を含み、第2の電極は、乗客乗車領域の第1の側に対向する第2の側で乗客コンベヤの構造的構成要素に配置された導体材料を含むことを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項4】
乗客コンベヤの構造的構成要素は、欄干であり、第1の電極は、乗客乗車領域の一方の側に設けられた欄干の導体面を含み、第2の電極は、乗客乗車領域の対向する側に設けられた欄干の導体面を含むことを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項5】
欄干は不導体材料で形成されており、乗客乗車領域の両側における欄干の面に導体材料が配置されていることを特徴とする請求項4記載の検知システム。
【請求項6】
前記不導体材料は、ガラスであることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項7】
前記導体材料は、不導体の欄干の表面に接着されていることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項8】
前記導体材料は、不導体の欄干と一体に形成されていることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項9】
前記導体材料は、複数の部分に分割されていることを特徴とする請求項5記載の検知システム。
【請求項10】
静電容量センサの出力を検知回路に送信するために、マルチプレクサが前記の部分を接続していることを特徴とする請求項9記載の検知システム。
【請求項11】
第1の電極は、乗客コンベヤの機械室に位置するセンスワイヤを含み、第2の電極は、機械室内の接地された構成要素を含むことを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項12】
駆動回路は、
発振駆動信号を発生する発振器と、
発振駆動信号を増幅するように発振器に接続された増幅器と、
増幅器と静電容量センサとの間に接続されたインピーダンス整合回路網と、
静電容量センサを選択されたモードで駆動するように動作可能なモード選択器と、を備えることを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項13】
発振器は、100kHz〜1MHzの周波数を有することを特徴とする請求項12記載の検知システム。
【請求項14】
発振器は、100kHz〜150kHzの周波数を有することを特徴とする請求項12記載の検知システム。
【請求項15】
検知回路は、
静電容量センサの静電容量の変化を検知し、該静電容量センサの静電容量の関数として出力を生成するように設けられた比較器を備えることを特徴とする請求項1記載の検知システム。
【請求項16】
乗客コンベヤの第1の欄干と第2の欄干との間で乗客を検知する検知方法であって、
第1の欄干に設けられた第1の電極に電気信号を供給して、第1の電極と、第1の欄干に対向する第2の欄干に設けられた第2の電極と、の間に電界を発生させ、
第1の電極と第2の電極との間における静電容量の変化を検知し、
検知された静電容量の変化の関数として乗客コンベヤの動作を制御することを含むことを特徴とする検知方法。
【請求項17】
静電容量の変化は、第1の電極と第2の電極との間の電界に人が存在することによって生じることを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項18】
第1の電極は、第1の欄干の表面に配置された導体材料を含み、第2の電極は、第2の欄干の表面に配置された導体材料を含むことを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項19】
前記電気信号は、低電力発振駆動信号であることを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項20】
前記電気信号は、100kHz〜1MHzの周波数を有することを特徴とする請求項16記載の検知方法。
【請求項21】
乗客コンベヤの機械室内の人を検知する検知方法であって、
機械室に位置するセンスワイヤに電気信号を送信して、センスワイヤと、該センスワイヤから電気的に絶縁された機械室内の導電性構成要素との間に電界を発生させ、
センスワイヤから電気的に絶縁された導電性構成要素との間の静電容量の変化を検知し、
検知された静電容量の変化の関数として、乗客コンベヤの動作を制御することを含むことを特徴とする検知方法。
【請求項22】
静電容量の変化は、センスワイヤと導電性構成要素との間の電界に人が存在することによって生じることを特徴とする請求項21記載の検知方法。
【請求項23】
前記電気信号は、低電力発振駆動信号であることを特徴とする請求項21記載の検知方法。
【請求項24】
前記電気信号は、100kHz〜1MHzの周波数を有することを特徴とする請求項21記載の検知方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【公表番号】特表2013−514244(P2013−514244A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544465(P2012−544465)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068805
【国際公開番号】WO2011/075146
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068805
【国際公開番号】WO2011/075146
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】
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