説明

静電容量型タッチスイッチ装置

【課題】入力方式に静電容量方式を採用したタッチスイッチ装置において、指でON、OFFのスイッチ操作をする操作パネルである誘導体パネルを取り外せる構造としても、スイッチ動作が不安定にならないようにする。
【解決手段】CPUを設けた制御基板23と、コネクタ接続端子22を介して接続される操作パネル部とからなる静電容量型タッチスイッチ装置であり、予め決められたスイッチ動作をするスイッチ電極部15と、スイッチ動作を行うために指が触れる誘電体パネル21とからなる操作パネル部において、前記スイッチ電極部15と誘電体パネル21の間に、弾性体の導電性部材19を介在させ、静電容量の変化に影響を与える空気層ができない構造としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力方式に静電容量方式を採用した静電容量型タッチスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示した従来型の静電容量型タッチスイッチ装置は、操作パネル1と制御基板2から構成される。操作パネル1は、スイッチのon、off(例えば調理器具にスイッチを使用したのであれば着火、消火などのon、off)の動作に必要なスイッチ電極3、コネクタ接続端子4に接続するための配線パターン5及びGNDパターン6をpetフィルム等に銀ペーストで印刷した電極シート7を、図2の断面図に示す樹脂又はガラス等のスイッチ動作を行う誘電体8に両面テープ又は接着剤9で貼付けたもので構成され、電極シート7は図1に示す制御基板2に設けたコネクタ接続端子4に接続される。
図2に示すスイッチ動作を行う誘導体8のスイッチ電極3に相当する部分に導電部材である指10が触れると、スイッチ動作を行う誘電体8をスイッチ電極3と導電部材である指10で挟んだ平行板コンデンサが形成され静電容量が増加する。又、逆にスイッチ動作を行う誘電体8から導電部材である指10が離れると、スイッチ動作を行う誘電体8をスイッチ電極3と導電部材である指10で挟んだ平行板コンデンサとして形成された静電容量が減少する。図1に示す制御基板2は、静電容量の増減の変化をC/V(容量を電圧)変換回路11で電圧に変換し、演算処理装置(CPU)12に設けられているアナログデジタルコンバータ(ADC)で、デジタルデータに置き換え、演算処理装置(CPU)12に格納されている演算処理装置の動作を決める制御プログラムにより、演算処理装置(CPU)12に格納されている静電容量の変化の閾値を比較してスイッチのON、OFF状態を判断しているのが、静電容量型タッチスイッチ装置の一般的な動作原理である。
【0003】
図3に示すように、スイッチ動作を行う誘電体8と、電極シート7(PETフィルムにスイッチ電極とGNDパターン、配線パターンが印刷されたもの)を両面テープ又は接着剤で貼り付けを行わずに重ねて設置して、隙間が出来た場合には、空気層13によりスイッチ動作を行う誘導体8を、導電部材である指10で触ったときに静電容量の変化量(増加量)は小さくなる。また、図4に示すようにスイッチ動作を行う誘電体8に歪、反りなどの変形があった場合、スイッチ電極3に密着していない部分があると、空気層13によりスイッチ動作を行う誘導体8を指10で触ったときの静電容量の変化量(増加量)は小さくなり、安定した信号を得ることは出来ない。その為、スイッチ操作を行う誘電体8と電極シート7は、空気層13を発生させない様にして、両面テープ又は接着剤9により貼付けを行なっていた。
【特許文献1】特許第2887336号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図5に示すようなクッキングヒーターのような調理器具の場合、使用頻度によりスイッチ操作を行う誘電体パネルが汚れてしまう。汚れを落とす清掃を行うために、誘電体パネルを取り外す必要があるが、スイッチ操作を行う誘電体パネルと電極シート上のスイッチ電極部は、空気層を発生させない様に、両面テープ又は接着剤により貼付けを行なっている。このため、誘電体パネルを取り外す際に、電極シートを電気的に制御基板へ接続しているコネクタから取り外すためには、クッキングヒーター本体を逆さまにした状態にしないと、取り外すことが出来なく作業性が悪かった。
そこで、パネル(誘電体)と電極シートを取り外せる構造とした場合は、パネル(誘電体)と電極シートを重ねるだけの構造となるので、前記パネル(誘電体)と電極シートの間に空気層が出来てしまう。
パネル(誘電体)と電極シートの間に空気層が出来てしまうと、前記したように静電容量が安定しなくなり、これに伴い安定した信号が得られないので、スイッチ動作が不安定になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
CPUを設けた制御基板と、コネクタ接続端子を介して接続される操作パネル部とからなる静電容量型タッチスイッチ装置であり、予め決められたスイッチ動作をするスイッチ電極部と、スイッチ動作を行うために指が触れる誘電体パネルとからなる操作パネル部において、前記スイッチ電極部と誘電体パネルの間に、弾性体の導電性部材を介在させた静電容量型タッチスイッチ装置を提案するものである。
【発明の効果】
【0006】
電極シート及び導通性のある部材とスイッチ動作を行う誘電体は、両面テープ又は接着剤で貼る必要はなく重ねるだけで設置が可能としたので、操作パネルの着脱が簡単に行えるようになった。また、静電容量も安定し、安定した信号が得ることが出来、スイッチ動作が安定するようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の詳細を図面を参照に説明を行う。図6は静電容量式タッチスイッチ装置の操作パネル部の構成図であり、図7〜9は該静電容量式タッチスイッチ装置の断面図である。電極シート15は、静電容量の変化に影響を与えない様に樹脂等の誘電体の部材16に両面テープ又は接着剤17で貼付けを行う。電極シート15のスイッチ電極18の部分に、導電ゴム等の弾性のある導電性の部材19を両面テープ又接着剤20で貼付けを行う。スイッチ電極18は、スイッチとしてのon、offの動作をする部分である。スイッチ電極18の部分は、それぞれの機種の機能により開始、停止などのon,offのスイッチ動作のため設定されている部分に相当し、スイッチ動作をする誘電体21のスイッチ電極18に相当する部分に、導電部材である指24が触ったときの静電容量の変化の値を、演算処理装置(CPU)に格納されている静電容量の変化の閾値と比較することにより、スイッチとしてのon、offの判断を行う。
【0008】
従来のスイッチ操作を行う誘電体に、電極シートを直接両面テープ又は接着剤で貼り付けを行う方法に比べ、弾性のある導電性の部材19の厚みの分が、スイッチ動作をする誘電体21の導電部材である指24で触る面と、スイッチ電極18との距離が導電性の部材19により増すことで、導電部材である指24で触ったときの静電容量の変化量が小さくなることを防止する。誘電体の部材16及び弾性のある導電性の部材19により構成されたスイッチ電極,gndパターン、配線パターンを印刷した電極シート15は、配線パターンを介して、コネクタ接続端子22を介して制御基板23と接続される。スイッチ動作をする誘電体16は、弾性のある導電性の部材19を押し付けて組付けをすることにより、図8に示すように弾性のある導電性の部材19とスイッチ動作をする誘電体21を空気層の無い状態で設置することが可能である。
この構成により、静電容量の変化に影響を与えることなく安定した信号を得ることが出来る。
【0009】
また、図9に示すようにスイッチ動作をする誘電体21に反り、歪みなどが有った場合にも、弾性のある導電性の部材19が圧縮されスイッチ動作をする誘電体21の反り、歪みに倣い変形して、空気層が出来ないので、静電容量の変化に影響を与えることなく安定した信号を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】静電容量型タッチスイッチ装置の構造図
【図2】操作パネル部断面図
【図3】操作パネル部断面図
【図4】操作パネル部断面図
【図5】クッキングヒーター
【図6】静電容量型タッチスイッチ装置の構造図
【図7】操作パネル部断面図
【図8】操作パネル部断面図
【図9】操作パネル部断面図
【符号の説明】
【0011】
1 操作パネル
2 制御基板
3 スイッチ電極
4 コネクタ接続端子
5 配線パターン
6 GNDパターン
7 電極シート
8 スイッチ動作をする誘電体
9 両面テープ又は接着剤
10 指
11 C/V(容量を電圧)変換回路
12 演算処理装置(CPU)
13 空気層
14 スイッチ動作をする誘電体
15 電極シート
16 誘電体の部材
17 両面テープ又は接着剤
18 スイッチ電極
19 弾性のある導電性の部材
20 両面テープ又は接着剤
21 スイッチ動作をする誘電体
22 コネクタ接続端子
23 制御基板
24 指


【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUを設けた制御基板と、コネクタ接続端子を介して接続される操作パネル部とからなる静電容量型タッチスイッチ装置であり、予め決められたスイッチ動作をするスイッチ電極部と、スイッチ動作を行うために指が触れる誘電体パネルとからなる操作パネル部において、前記スイッチ電極部と誘電体パネルの間に、弾性体の導電性部材を介在させたことを特徴とする静電容量型タッチスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−192336(P2008−192336A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22512(P2007−22512)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】