説明

静電容量型タッチパネル

【課題】静電容量センサ上に形成された樹脂等の操作パネルの厚みを所定の値よりも厚くせざるを得ない場合でも、人体の指等の操作体の接近もしくは接触を確実に検出する。
【解決手段】操作体の接近または接触を検出するための電極パッド20cが粘着性フィルム23により操作パネル10の裏面に設けられている。この操作パネル10の電極パッド20cが設けられた領域と反対側の表面の領域の一部に他の領域よりも厚みが少ない凹部が設けられ、この凹部内に、操作体が接近または接触していない場合には静電容量の変化が検出閾値を超えないような誘電率および導電率となるように樹脂材料の表面に真空蒸着により金属膜が形成されたタッチ部80cが埋め込まれている。操作体がタッチ部80cに接触することにより、タッチ部80cが操作体と電極パッド20cとの橋渡しとなり、操作パネル10の厚みがd2という厚い場合でも操作体の接触が確実に検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の指先等の操作体の接近または接触を静電容量の変化として検出する静電容量型タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子機器の操作部にタッチパネルが広く用いられるようになっている。特に、タッチパネルを実現する様々な方式の中でも静電容量センサを用いて検出を行う静電容量型タッチパネルが各種の電子機器に広く採用されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
静電容量センサは、一般的に、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等の透明導電膜により形成された電極パッドと、この電極パッドの静電容量の変化を伝達するための配線電極により構成される。このような静電容量センサでは、人体の指先等の操作体が電極パッドに接近すると電極パッドにより構成されるコンデンサの静電容量が変化するため、この静電容量の変化を配線電極を介して制御部に出力することにより、制御部側ではこの電極パッドへの操作が行われたことを検出することが可能となる。
【0004】
このように、静電容量型タッチパネルは、機械的に動作する機構が不要なため耐久性が高く、また操作感等の調整も不要になるという利点を有する。さらに、静電容量型タッチパネルには、厚みを薄くすることができる点や、操作面をフラットにできることによるレイアウトやデザインの自由度が高いという点や、部品点数を削減することができるという利点もある。
【0005】
しかし、静電容量型タッチパネルでは、微妙な静電容量の変化により操作体の接近または接触を検出するため、誤検出することなく操作体の接近または接触を確実に検出するためには様々な用件を満たす必要がある。
【0006】
例えば、上記の特許文献1には、静電容量センサの誤動作を防止するために、正規のスイッチ電極の周囲にダミー電極を形成して、正規のスイッチ電極に対して有効な接触が行われたかどうかを判定するようにした静電容量型タッチパネルが開示されている。
【0007】
このような静電容量型タッチパネルは、一般的に、樹脂材料により構成された操作パネルの裏面に静電容量センサを貼り付けることにより構成される。そのため、人体の指先等の操作体が操作パネルを介して電極パッドに接近または間接的に接触することにより、この操作体と電極パッドとによりコンデンサが形成されることとなる。そして、形成されるコンデンサの静電容量は、操作体と電極パッドとの距離に反比例するため、操作体の接近または接触を確実に検出するためには、この操作パネルの厚みを所定の値よりも薄くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−111996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記で説明したように、静電容量型タッチパネルにおいて操作体の接近または接触を確実に検出するためには、操作パネルの厚みを所定の値よりも薄くする必要がある。
【0010】
しかし、操作パネル自体の強度を確保する必要や、操作パネルを作成する際の射出成型時の樹脂流動性を高めるという必要から操作パネルの厚みをあまり薄くすることはできない。そのため、操作パネルの厚みが厚すぎてしまうと静電容量センサの感度低下や、操作体が静電パッドに最も接近した場合でも操作が行われたことが検出されないというような不具合が発生する恐れがある。
【0011】
なお、電極パッドの面積を広くすることにより操作パネルの厚みが厚い場合でも操作体の検出を可能とすることができる。しかし、スペース的な設計上の制約から電極パッドの面積には当然ながら上限が存在する。
【0012】
このように従来技術では、透明導電膜等により構成された静電容量センサ上に形成された樹脂等の操作パネルの厚みを所定の値よりも厚くせざるを得ない場合、静電容量センサの感度低下により人体の指先等の操作体の接近もしくは接触を確実に検出することができない可能性がある。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、透明導電膜等により構成された静電容量センサ上に形成された樹脂等の操作パネルの厚みを所定の値よりも厚くせざるを得ない場合でも、人体の指先等の操作体の接近もしくは接触を確実に検出することが可能な静電容量型タッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に係る発明は、接近する操作体との間で静電結合を行うことにより該操作体の接近または接触を検出するための電極パッドを有する静電容量センサと、
前記静電容量センサが裏面に設けられた操作パネルを備えた静電容量型タッチパネルにおいて、
前記操作パネルの前記静電容量センサが設けられた領域と反対側の表面の領域の一部に他の領域よりも厚みが少ない凹部が設けられ、該凹部内に、樹脂材料の表面に蒸着により金属膜が形成された接触部が埋め込まれていることを特徴とする。
【0015】
本発明では、樹脂材料の表面に蒸着により金属膜が形成された接触部が、操作パネルに設けられた凹部内に埋め込まれており、この接触部と電極パッドとの距離は、操作パネルの凹部以外の領域の厚みよりも短くなっている。そのため、人体の指先等の操作体が接触部に接触した場合、操作体は接触部を介して電極パッドとの間で操作パネルの厚みよりも短い距離により静電結合をすることになる。この結果、本発明によれば、操作パネルの厚みを所定の値よりも厚くせざるを得ない場合でも、人体の指等の操作体の接近もしくは接触を確実に検出することが可能になる。
【0016】
また、本願の請求項2に係る発明は、前記操作パネルの表面の領域のうち反対側の裏面に前記静電容量センサの電極パッドが設けられていない領域に、他の領域よりも厚みが少ない第2の凹部が設けられ、該第2の凹部内に、樹脂材料の表面に蒸着により金属膜が形成されるとともにグランド電位と電気的に接続された装飾部が埋め込まれている。
【0017】
本発明によれば、操作パネルに静電気放電ノイズが印加された場合でも、この静電気ノイズはグランド電位と電気的に接続された装飾部経由にて放電されるため、静電容量センサの電極パッド等に静電気放電ノイズが飛び込んで制御部等の電子回路を破壊してしまうような事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0018】
また、本願の請求項3に係る発明では、前記接触部は、操作体が接近または接触していない場合には静電容量の変化が検出閾値を超えないような誘電率および導電率となるように、樹脂材料の表面に形成される金属膜の膜厚が設定されている。
【0019】
本発明によれば、操作体が接触部に接近または接触していないのに、電極パッドと接触部との間の静電結合により静電容量の変化が検出閾値を超えてしまい誤作動するような事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0020】
さらに、本願の請求項4に係る発明では、前記接触部は、形成される金属膜に電気的な導通性が生じない不連続蒸着により樹脂材料の表面に金属膜が形成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、透明導電膜等により構成された静電容量センサ上に形成された樹脂等の操作パネルの厚みを所定の値よりも厚くせざるを得ない場合でも、人体の指等の操作体の接近もしくは接触を確実に検出することが可能になるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用する前の一般的な静電容量型タッチパネルを操作面側から見た概観図である
【図2】電極パッド20a〜20dおよび配線電極30a〜30dにより構成されている静電容量センサのみを示す図である。
【図3】図1に示した一般的な静電容量型タッチパネルにおけるA−A'断面図(操作パネル110の厚みがd1の場合)である。
【図4】図1に示した一般的な静電容量型タッチパネルにおけるA−A'断面図(操作パネル110の厚みがd2の場合)である。
【図5】本発明の一実施形態の静電容量型タッチパネルを操作面側から見た概観図である。
【図6】図5に示した本実施形態の静電容量型タッチパネルにおけるB−B'断面図である。
【図7】図6に示したタッチ部80cの構造を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施形態の静電容量型タッチパネルを製造する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本実施形態の静電容量型タッチパネルについて説明を行うが、その前に本発明を適用する前の一般的な静電容量型タッチパネルの構成について説明する。
【0024】
図1はこの一般的な静電容量型タッチパネルを操作面側から見た概観図である。
【0025】
この一般的な静電容量型タッチパネルは、図1に示されるように、例えば乗用車等の自動車のフロントパネルの一部として構成され、操作パネル110と、この操作パネル110の裏面に設けられた静電容量センサにより構成されている。操作パネル110は、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂材料等により構成され、比誘電率が3程度の誘電層として形成されている。そして、静電容量センサは、図示しない粘着性フィルム上に形成されていて、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等の透明導電膜により形成された電極パッド20a〜20dと、この電極パッド20a〜20dの静電容量の変化をそれぞれ伝達するための配線電極30a〜30dにより構成される。
【0026】
電極パッド20a〜20dは、操作パネル110上に印刷された文字に対してそれぞれ対応して配置されていて、人体の指先等の操作体がこの印刷文字に接近した場合、接近する操作体との間で静電結合を行うことによって、この操作体の接近または接触を検出するために設けられている。
【0027】
そして、4本の配線電極30a〜30dは、コネクタ40に接続されており、FFC(Flexible Flat Cable)等のケーブル50により制御基板上のコネクタ60に接続されている。
【0028】
そのため、制御基板上に設けられている制御部70では、電極パッド20a〜20dの静電容量の値を監視することができ、この静電容量の値の変化量が、予め設定されている検出閾値を超えた場合に、その電極パッドに操作体が接近または接触したものと判定するようになっている。
【0029】
電極パッド20a〜20dおよび配線電極30a〜30dにより構成されている静電容量センサは、例えば粘着性フィルムにより操作パネル10の裏面に貼り付けられている。この電極パッド20a〜20dおよび配線電極30a〜30dにより構成されている静電容量センサのみを図2に示す。
【0030】
4つの電極パッド20a〜20dは、それぞれ、上述したように操作パネル110の印刷文字に対応した位置に配置されている。そして、配線電極30a〜30dは、それぞれ、4つの電極パッド20a〜20dとコネクタ40間を電気的に接続している。
【0031】
次に、図1に示した一般的な静電容量型タッチパネルにおけるA−A'断面図を図3および図4に示す。
【0032】
図3は、操作パネル110の厚みを例えば2〜2.5mm程度(d1)に薄くした場合の断面図であり、図4は、操作パネル110の厚みを例えば、3〜4mm程度(d2)に厚くした場合の断面図である。
【0033】
図3、図4に示されるように、電極パッド20c、配線電極30a、30bは粘着性フィルム23により操作パネル110の裏面に貼り付けられている。そして、電極パッド20cは、操作パネル110の表面に印刷されている印刷文字21に対応した位置に配置されている。人体の指先等の操作体が操作パネル110上の印刷文字21付近に接近または接触すると、その操作体と電極パッド20cとの間の静電結合によりコンデンサが形成され電極パッド20cの静電容量が変化する。この静電容量の変化を制御部70が検出することにより操作体により操作が行われたことが判定される。
【0034】
ここで図3と図4を比較すると、図4の操作パネル110の厚みはd2となっており、図3の操作パネル110の厚みd1よりも大幅に厚くなっている。そのため、図3に示すような構成では、操作体の接近または接触を検出することができた場合でも、図4に示すような構成では静電容量センサの感度が低下して、操作体の接近または接触を検出することができない可能性がある。
【0035】
[実施形態]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の一実施形態の静電容量型タッチパネルを操作面側から見た概観図を図5に示す。
【0036】
本実施形態の静電容量型タッチパネルは、図1に示した本発明を適用する前の一般的な静電容量型タッチパネルに対して、操作パネル10を操作パネル110に置き換えた構成となっている。本実施形態の静電容量型タッチパネルにおける操作パネル10は、図1に示した一般的な静電容量型タッチパネルにおける操作パネル110に対して、4つの印刷文字に近接してタッチ部(接触部)80a〜80dがそれぞれ設けられているとともに、この4つのタッチ部80a〜80dの横に近接してアクセント部81が設けられている点が異なっている。その他の構成については図1に示した一般的な静電容量型タッチパネルにおける構成と同じものであるため、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
次に、図5に示した本実施形態の静電容量型タッチパネルにおけるB−B'断面図を図6に示す。
【0038】
本実施形態における操作パネル10の厚みは、強度の確保や射出成型時の樹脂流動性の確保等の理由により、図4に示した従来の操作パネル110の厚みと同程度の厚み、つまりd2という厚さになっている。
【0039】
そして、本実施形態における操作パネル10では、図6に示されるように、静電容量センサが設けられた領域と反対側の表面の領域の一部に他の領域よりも厚みが少ない凹部が設けられ、この凹部内に、タッチ部(接触部)80cが埋め込まれている。
【0040】
この凹部では、操作パネル110の厚みは他の領域における厚みd2よりも薄いd1という厚みになっている。そのため、タッチ部80c下面と電極パッド20cとの間の距離もd1という距離になっている。
【0041】
また、本実施形態では、操作パネル10の表面の領域のうち反対側の裏面に静電容量センサの電極パッドが設けられていない領域に、他の領域よりも厚みが少ない凹部(第2の凹部)が設けられ、この凹部内にアクセント部(装飾部)81が埋め込まれている。このアクセント部81は、自動車のボディシャーシ100等と電線により接続されることにより、グランド電位と電気的に接続されている。
【0042】
また、タッチ部80a〜80d、アクセント部81は、例えば厚みが3mm程度であり、ともに樹脂材料の表面に真空蒸着により金属膜が形成されることにより形成されている。
【0043】
このタッチ部80cの構造を図7を参照して説明する。ここでは、タッチ部80cの構造のみを説明するが、他のタッチ部80a、80b、80dおよびアクセント部81の構造も、このタッチ部80cの構造と同様である。
【0044】
タッチ部80cは、図7に示されるように、例えばポリカーボネイト、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂等の樹脂材料91の表面に、真空蒸着によってアルミニウム、インジウム等の金属材料が表面金属膜92として形成された構造となっている。この表面金属膜92の膜厚は1μm以下であり、Å単位の薄い膜厚となっている。
【0045】
より具体的には、タッチ部80cは、形成される金属膜に電気的な導通性が生じない不連続蒸着により樹脂材料91の表面に表面金属膜92が形成されている。
【0046】
ここで、不連続蒸着(無通電蒸着)とは、真空蒸着の一種であり、樹脂等の表面に金属分子どうしが導通しない程度の膜厚で金属材料を蒸着させる方法である。この不連続蒸着により形成された金属膜には電気的な導通性が無いため、電気的に導通させたくないような製品や部品に金属材料を蒸着させるために使用されている。
【0047】
なお、タッチ部80a〜80d、アクセント部81の表面に、スパッタリング等の他の方法により表面金属膜を形成することも可能である。
【0048】
本実施形態の静電容量型タッチパネルでは、タッチ部80a〜80dやアクセント部81の表面に形成する表面金属膜92を不連続蒸着により形成するようにしている理由は、この表面金属膜92が完全な導通性を有してしまうと電極パッド20a〜20dとの間の静電結合により誤動作を起こしてしまうからである。つまり、実際には操作体が存在しないにもかかわらず、タッチ部80a〜80dの存在を操作体の接近として誤検出してしまう場合があるからである。
【0049】
そのため、本実施形態では、タッチ部80a〜80dやアクセント部81の表面に形成する表面金属膜92が電気的に導通性を有しないようにして、誤動作の発生を防ぐようにしている。
【0050】
そして、本実施形態の静電容量型タッチパネルを製造する際には、操作パネル10とタッチ部80a〜80d、アクセント部81はそれぞれ異なる工程により作成され、図8に示すように、操作パネル10に設けられた凹部24、25内にタッチ部80cやアクセント部81を埋め込むことにより静電容量型タッチパネルの製造が行われる。
【0051】
本実施形態の静電容量型タッチパネルでは、図6に示すように、操作パネル10に設けられた凹部24内に埋め込まれたタッチ部80cと、電極パッド20cとの間の距離は、例えば、2〜2.5mm程度のd1となっている。そして、タッチ部80cに人体の指先等の操作体が接近または接触した場合、操作体はタッチ部80cを介して電極パッド20cとの間で静電結合を行うことになる。
【0052】
つまり、本実施形態では、操作パネル10全体の厚みは3〜4mm程度のd2と厚くなっているにもかかわらず、操作体はタッチ部80cを介して電極パッド20cとの間で操作パネルの厚みd2よりも短い距離d1により静電結合をすることになる。より具体的には、タッチ部80cは、操作体の接触を電極パッド20cに伝達するための橋渡しを行うような機能を担っている。この結果、本実施形態の静電容量型タッチパネルでは、操作パネルの厚みを所定の値よりも厚くせざるを得ない場合でも、人体の指先等の操作体の接近もしくは接触を確実に検出することが可能になる。
【0053】
なお、本実施形態の静電容量型タッチパネルでは、タッチ部80a〜80dは、人体の指先等の操作体が接近または接触していない場合には静電容量の変化が制御部70における検出閾値を超えないような誘電率および導電率となるように、樹脂材料91の表面に形成される表面金属膜92の膜厚が設定されている。
【0054】
何故ならば、表面金属膜92の膜厚を厚くし過ぎてタッチ部80a〜80dの導電率を大きくしてしまうと、操作体が接近していないにもかかわらず、操作が行われたものと誤動作してしまい、表面金属膜92の膜厚を薄くし過ぎて単なる樹脂材料としてしまうと、操作パネル10を構成している樹脂材料の一部となってしまい単に操作パネル10の厚みを厚くしてしまうことになってしまうからである。
【0055】
本願の発明者は、表面金属膜92の膜厚を調整することにより、操作体が存在しない場合には静電容量の変化が検出閾値を超えることなく、操作体が接近した場合には、これを確実に検出することが可能な最適な膜厚とすることに成功した。
【0056】
そのため、本実施形態の静電容量型タッチパネルでは、タッチ部80a〜80dおよびアクセント部81の膜厚をこのような最適な厚さに設定することにより、誤動作が発生せず、操作体の接近または接触を確実に検出することが可能となる。
【0057】
さらに、本実施形態の静電容量型タッチパネルによれば、操作パネル10にESD(Electro Static Discharge:静電気放電)ノイズ等が印加された場合でも、このESDノイズはグランド電位と電気的に接続されたアクセント部81経由して放電される。例えば、タッチ部80cに印加されたESDノイズは、アクセント部81、ボディシャーシ100を経由して放電される。そのため、本実施形態の静電容量型タッチパネルによれば、アクセント部81が避雷針のような役割を担うことにより、静電容量センサの電極パッド20a〜20dや配線電極30a〜30d等にESDノイズが飛び込んで制御部70等の電子回路を破壊してしまうような事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0058】
[変形例]
上記実施形態では、乗用車等の自動車のフロントパネルの一部として設けられる静電容量型タッチパネルに対して本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、静電容量センサを用いて操作体の検出を行うような全ての電子機器に対しても同様に適用することができるものである。
【0059】
また、上記施形態においては、操作パネル10に4つのスイッチが構成される場合を用いて説明するが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、スイッチの数はこれより多い場合でも少ない場合でも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 操作パネル
20a〜20d 電極パッド
21 印刷文字
23 粘着性フィルム
24、25 凹部
30a〜30d 配線電極
40 コネクタ
50 ケーブル
60 コネクタ
70 制御部
80a〜80d タッチ部
81 アクセント部
91 樹脂材料
92 表面金属膜
100 ボディシャーシ
110 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接近する操作体との間で静電結合を行うことにより該操作体の接近または接触を検出するための電極パッドを有する静電容量センサと、
前記静電容量センサが裏面に設けられた操作パネルを備えた静電容量型タッチパネルにおいて、
前記操作パネルの前記静電容量センサが設けられた領域と反対側の表面の領域の一部に他の領域よりも厚みが少ない凹部が設けられ、該凹部内に、樹脂材料の表面に蒸着により金属膜が形成された接触部が埋め込まれていることを特徴とする静電容量型タッチパネル。
【請求項2】
前記操作パネルの表面の領域のうち反対側の裏面に前記静電容量センサの電極パッドが設けられていない領域に、他の領域よりも厚みが少ない第2の凹部が設けられ、該第2の凹部内に、樹脂材料の表面に蒸着により金属膜が形成されるとともにグランド電位と電気的に接続された装飾部が埋め込まれている請求項1記載の静電容量型タッチパネル。
【請求項3】
前記接触部は、操作体が接近または接触していない場合には静電容量の変化が検出閾値を超えないような誘電率および導電率となるように、樹脂材料の表面に形成される金属膜の膜厚が設定されている請求項1または2記載の静電容量型タッチパネル。
【請求項4】
前記接触部は、形成される金属膜に電気的な導通性が生じない不連続蒸着により樹脂材料の表面に金属膜が形成されている請求項3記載の静電容量型タッチパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−106308(P2013−106308A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250770(P2011−250770)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(391043815)サンヨー・オートメディア・センディリアン・バハド (36)
【住所又は居所原語表記】Plot 10,Phase 4,Prai Industrial Estate,13600 Prai,Penag.Malasya
【Fターム(参考)】