説明

静電容量式タッチパッド入力装置およびこれを搭載した機器

【課題】検出領域における物体の検出感度の平均化を達成できる静電容量式タッチパッド入力装置およびこれを搭載した機器を提供する。
【解決手段】駆動電極(46)と検出電極(44)が並んで敷設され一方の側を検出領域とする検出基板(40)と、検出基板に向けて光を発する発光体(90)を搭載し検出電極の検出領域側の反対側に配置された配線基板(80)と、駆動電極と検出電極の間の静電容量の変化に基づき検出基板への物体の接近を検出する制御手段(98)とを備え、検出基板は、発光体が発する光の光路に対応する位置に切抜孔(48)を有するとともに、駆動電極と検出電極が切抜孔を避けるように敷設された静電容量式タッチパッド入力装置(24)であって、検出基板と配線基板の間に設置され発光体から切抜孔に向かう光路に対応する位置に貫通孔(68)を有する金属板(60)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の触れた位置を検出できる静電容量式タッチパッド入力装置およびこれを搭載した機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のタッチパッド入力装置は、樹脂製のフィルム基板をタッチ面の裏側に備えている。このフィルム基板は並んで敷設された駆動電極や検出電極を有し、これら各電極はプリント基板に電気的に接続されている。
そして、物体(例えば指などの誘電体)がタッチ面に触れると、駆動電極と検出電極との間の静電容量が変化し、静電容量の変化に応じた出力が検出電極から得られる。これにより、プリント基板の制御部はその触れた位置を特定し、この得られた情報を用いて所定の処理を実施する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、当該文献1には開示されていないが、フィルム基板をその背面から照光する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。よって、仮に、これら各文献1,2の技術を組み合わせれば、タッチ面をその裏側から発光体で照光でき、このタッチ面に刻設された文字等を強調表示可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−157107号公報
【特許文献2】特開2009−135059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発光体の光を効率良くフィルム基板に導くためには、このフィルム基板に切抜孔を形成するとともに、駆動電極や検出電極をこの切抜孔を避けるように敷設することが望ましい。
【0006】
しかしながら、この切抜孔に相当する箇所では、駆動電極や検出電極が存在しないため、電極密度が小さくなって物体の検出感度が低くなる。これに対し、その周囲の切抜孔に相当しない箇所では電極密度が高く、物体の検出感度が高くなり、これでは検出領域における物体の検出感度に、高い箇所と低い箇所とのバラツキが生じてしまう、という問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、検出領域における物体の検出感度の平均化を達成できる静電容量式タッチパッド入力装置およびこれを搭載した機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の発明は、駆動電極と検出電極が並んで敷設され一方の側を検出領域とする検出基板と、検出基板に向けて光を発する発光体を搭載し検出電極の検出領域側の反対側に配置された配線基板と、駆動電極と検出電極の間の静電容量の変化に基づき検出基板への物体の接近を検出する制御手段とを備え、検出基板は、発光体が発する光の光路に対応する位置に切抜孔を有するとともに、駆動電極と検出電極が切抜孔を避けるように敷設された静電容量式タッチパッド入力装置である。
【0009】
そして、検出基板と配線基板の間に設置され発光体から切抜孔に向かう光路に対応する位置に貫通孔を有する金属板を備える。
第1の発明によれば、検出基板には、駆動電極と検出電極とが並んで敷設されており、制御手段では、検出領域に接近した物体を、これら駆動電極と検出電極との間の静電容量の変化に基づいて検出可能である。
【0010】
また、配線基板には発光体が搭載され、検出基板は、その光路の対応位置に切抜孔を有し、さらに、この切抜孔を避けるように駆動電極および検出電極を有している。
これにより、発光体の光を検出基板に向けて効率良く導くことができるが、切抜孔に相当する箇所では、電極密度が小さくなって物体の検出感度が低くなるのに対し、その周囲では電極密度が高く、物体の検出感度が高くなる。
【0011】
しかしながら、本発明では、金属板を検出基板と配線基板との間に設置し、この金属板は、発光体から切抜孔への光路の対応位置に貫通孔を有している。よって、切抜孔に相当する箇所以外の場所では金属板に覆われるので、電極密度が高くても物体の検出感度を低下できる一方、切抜孔に相当する箇所は、貫通孔によってその検出感度が低下せず、維持できる。この結果、検出領域における物体の検出感度の平均化を達成できる。
【0012】
また、金属板が検出基板と配線基板との間に設置されており、この配線基板のEMI対策としても機能可能である。
第2の発明は、第1の発明の構成において、配線基板には、駆動電極を駆動可能な電子部品が搭載されることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、駆動電極を駆動可能な電子部品が放射ノイズを発生しても、検出基板と配線基板との間に設置された金属板が不要電磁波の放射等を遮断できる。
【0013】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、表側を操作面とし裏側に検出基板が配置されるパネル部材と、厚さ方向に弾性を有し検出基板と金属板の間に介在する弾性部材とを備え、金属板および弾性部材をパネル部材に向かう方向に押圧された状態で保持することにより検出基板をパネル部材の裏面に密接させたことを特徴とする。
【0014】
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、パネル部材、検出基板、弾性部材、金属板の順に配置されており、この弾性部材は、パネル部材と検出基板との距離、および、検出基板と金属板との距離を調整している。
詳しくは、パネル部材と検出基板との距離は短く一定にし、これらパネル部材と検出基板との間に空気の層を形成させない。よって、検出基板のパネル部材に対する部分的な浮きに起因する感度のバラツキを生じさせないようにすることができる。
【0015】
また、検出基板と金属板は、弾性部材の厚みを利用して離隔して配置されるため、金属板によって物体の検出感度が急激に低下するのを防止できる。
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、金属板と配線基板の間にこれら金属板と配線基板を保持する保持部材を備え、金属板は辺縁部より内方に折り曲げ形成される張出部を備え、配線基板と保持部材の間に張出部を挟んだ状態で配線基板を保持部材にネジ締め固定して配線基板に設けられたグランドパターンと張出部を接触させたことを特徴とする。
【0016】
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、金属板を配線基板のグランドパターンに接続すれば、種々のノイズをキャンセルでき、金属板はEMI対策として充分な効果を発揮することができる。また、この金属板の張出部を挟んだ状態で配線基板を保持部材にネジ締め固定すれば、金属板とグランドパターンとを容易に接続できるし、金属板や検出基板の姿勢も安定する。
【0017】
第5の発明は、第1から第4の静電容量式タッチパッド入力装置を搭載した機器であることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、検出領域における物体の検出感度の平均化を達成でき、装置の操作者に不快感を与えないことから、機器の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光路の対応位置に貫通孔を有した金属板が検出基板と配線基板との間に設置されており、検出領域における物体の検出感度にバラツキのない静電容量式タッチパッド入力装置およびこれを搭載した機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例のタッチパッド入力装置を車室に備えた図である。
【図2】図1のタッチパッド入力装置の分解斜視図である。
【図3】図2のIII−III線から見た図1のタッチパッド入力装置の断面図である。
【図4】図3のフィルム基板の平面図である。
【図5】図3のICを含むタッチパッド入力装置の構成図である。
【図6】第2実施例のタッチパッド入力装置の分解斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線から見たタッチパッド入力装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1には車両1の車室が示されており、シート4、具体的には運転席および助手席が車幅方向に沿って並設されている。インストルメントパネル2はシート4から見て各座席の前方に配置され、フロントガラス6は同じくシート4から見てパネル2の前方に設けられており、各座席からは車両1の進行方向を見渡すことができる。
【0021】
この運転席において、計器類8はパネル2の正面に配置され、車両1の速度、走行距離やシフト位置等を表示することができる。ハンドル10は、パネル2の下方からシート4に向けて延びた軸12の先端に回転可能に取り付けられている。また、シフトレバー14は、この軸12の周壁から助手席に向けて延びており、上下方向に移動可能である。
【0022】
エアーコンディショニング装置の吹き出し口16は、運転席から助手席に亘ってパネル2の正面に配置され、この装置の起動に伴い、空気を車室内に向けて送出する。
モニター18は、運転席と助手席との間であって当該パネル2の正面に設置されている。このモニター18は、ナビゲーション装置(機器)200の起動に伴い、地図や操作メニュー等を表示することができる。
【0023】
センターコンソール20は、モニター18の下方からシート4に向けて突出しており、オーディオ装置のスロット22は、このモニター18の近傍に配置され、CDやMD等を挿入できる。
ここで、本実施例では、タッチパッドユニット(静電容量式タッチパッド入力装置)24がコンソール20のうち、スロット22よりもシート4側の適宜位置に設けられている。
【0024】
当該ユニット24は、タッチ面(操作面)32に触れた物体(指などの誘電体)のタッチ面32における位置を検出できる。そして、この検出によって得られた情報を用いればナビゲーション装置200を操作可能である。なお、この実施例ではナビゲーション装置200を操作するタッチパッドユニット24について説明するが、上述したエアーコンディショニング装置やオーディオ装置等の車載機器の操作も当然に可能である。
【0025】
このタッチパッドユニット24は、図2に示されるように、樹脂製のパネル部材30を備えている。本実施例のパネル部材30は、その表側に1〜4の数字が刻設されたタッチ面32を有する。また、パネル部材30は下方に向けて開口した枡形状をなし、計4つの側面34,36が、略四角形のタッチ面32の周縁から下方に向けてそれぞれ延び、開口端38を形成する。
【0026】
パネル部材30の内側には、図3にも示される如く、フィルム基板(検出基板)40、シールド板(金属板)60、ホルダ(保持部材)70、および、プリント基板(配線基板)80の順に配設される。なお、この図3では、構造の理解を助けるために、フィルム基板40やシールド板60などの厚さを大きく強調して示している。
【0027】
フィルム基板40は絶縁性を有した樹脂製のシートから切り出される。このフィルム基板40は図4に示された配線パターンを備え、静電容量の変化を利用してタッチ面32に触れた位置を検出する。
具体的には、本実施例のフィルム基板40は略四角形状の検出領域42を有し、その内側には、切抜孔48が基板40を貫通して穿設されている。これら切抜孔48は、タッチ面32に刻設された1〜4の数字の位置にそれぞれ対応する。
【0028】
検出領域42には、例えば4本の駆動電極46と例えば1本の検出電極44とが並んで敷設されており、検出領域42がタッチ面32の裏側に配置される。これら電極44,46は銅箔からなる。
まず、駆動電極46は、図4でみて検出領域42の左端から右端に向けてそれぞれ引き出され、その途中の適宜位置で上下方向に向けて枝分かれしており、切抜孔48を避けて敷設される。そして、この図でみるに、4本の駆動電極46は時計回りに延びてから、検出領域42の下端で帯状の配線部47に達する。
【0029】
この配線部47はプリント基板80に接続可能な長さを有しており(図3)、駆動電極46は配線部47を介してプリント基板80にそれぞれ電気的に接続される。
次に、検出電極44は隣り合う駆動電極46の間に配置される。より詳しくは、検出電極44は、図4でみて検出領域42の右端から左端に向けてそれぞれ引き出され、切抜孔48を避けつつ、この切抜孔48の周囲を閉じないように敷設される。
【0030】
さらに、この検出電極44は、駆動電極46と同様にその途中で上下方向に向けて枝分かれするが、隣り合う駆動電極46の間に配置されている。
そして、この図4でみるに、検出電極44は検出領域42の左端で1本にまとめられた後、上記検出領域42の下端に向けて引き出されて配線部47に達し、プリント基板80に電気的に接続される。
【0031】
なお、例えば各電極44,46を有した検出領域42の反対側には、図4でみた検出領域42の上下方向に延びて一定の間隔で配置された縦方向の駆動電極(図示しない)が形成されており、この縦方向の駆動電極も配線部47を経由してプリント基板80に電気的に接続されている。
再び図2,3に戻り、シールド板60はステンレス製の薄板で形成され、フィルム基板40、詳しくは、検出領域42の裏面に接触する略四角形の上面62を有する。
【0032】
このシールド板60は、上面62の反対側にてホルダ70に対峙する下面64を有するとともに(図3)、これら上面62と下面64とを貫通して穿設された貫通孔68を有する。
これら貫通孔68は各切抜孔48とそれぞれ同心であり、タッチ面32の数字の位置に対応しているが、貫通孔68の開口面積は切抜孔48よりもやや大きく形成されている。
【0033】
続いて、ホルダ70は樹脂で形成され、シールド板60とプリント基板80との距離を保持する。また、ホルダ70は、略四角形の上面72や、この上面72の反対側でプリント基板80に対峙する下面74を有し(図2)、さらに、連通孔78が上面72と下面74とを貫通して穿設されている。これら連通孔78は、切抜孔48とそれぞれ同心であり、その開口面積も切抜孔48に略等しく大きく形成される。
【0034】
次に、プリント基板80は、ホルダ70に当接する上面82と、図3のコネクタ88を有した下面84とを備えており(図2)、このコネクタ88の近傍には、配線部47を受容可能な凹部86が上面82と下面84とを打ち抜いて形成されている。
そして、この上面82には、1〜4の数字をそれぞれ照光するLED(発光体)90が搭載されている。
【0035】
具体的には、各LED90の中心は切抜孔48と同心で配置されており、上述した切抜孔48、貫通孔68、および、連通孔78はLED90の光路として機能する。
これにより、各LED90は、タッチ面32をその裏側から照らすことができ、その1〜4の数字を強調表示する。
【0036】
一方、検出領域42から延びた配線部47は、シールド板60、ホルダ70、および、プリント基板80の側面をそれぞれ跨ぎ、凹部86を経由してプリント基板80の下面84に達し、コネクタ88に連結している。
また、この下面84にはIC(電子部品)94が搭載され(図3)、LED90や駆動電極46の駆動の他、これら駆動電極46と検出電極44との間の静電容量の変化に基づき、物体の接近を検出することができる。
【0037】
より詳しくは、本実施例のIC94は、図5に示された増幅部96、A/D変換部97や、制御部(制御手段)98を備えている。上述したユニット24の駆動電極46はコネクタ88を介して制御部98に接続されている。検出電極44はコネクタ88を介して増幅部96に接続され、さらに、A/D変換部97に接続されている。
【0038】
駆動電極46に電圧が印加されると、所定電位の電界が生じ、その状態で上記物体がタッチ面32に触れると、駆動電極46と検出電極44との間の静電容量が変化するので、座標データを得ることができる。
【0039】
その状態において、物体が当該駆動電極46に接近した場合には、この物体と当該駆動電極46との間や、この物体と検出電極44との間にも静電容量が形成されるため、当該駆動電極46と検出電極44との間の静電容量が変化する。
続いて、この検出電極44の電位の変化分は、増幅部96で増幅され、A/D変換部97でデジタル信号に変換された後、制御部98に入力される。
【0040】
この制御部98は、検出電極44で得られた情報、および選択した駆動電極46の情報に基づいて座標データを得る。これにより、制御部98は物体の触れた位置を特定し、上述のナビゲーション装置200に向けて操作信号を出力する。
ところで、上記実施例のフィルム基板40はシールド板60に接触しているが、フィルム基板40とシールド板60との間に弾性部材を介在させても良い。
【0041】
詳しくは、図6,7に示されたタッチパッドユニット24Aでは、上記実施例と同一の機能を奏する構造については、同一の符号を付して詳細な説明を省略すると、このユニット24Aでは、フィルム基板40をタッチ面32の裏面に密接させている。
より具体的には、本実施例のタッチ面32は、その表側にA〜Fのアルファベットの文字が刻設され(図6)、上記実施例と同様に、物体は各文字に触れることができる。
【0042】
当該実施例のパネル部材30の内側には、フィルム基板40、スポンジ板(弾性部材)50、シールド板60、ホルダ70、および、プリント基板80の順に配設される。
フィルム基板40は、A〜Fのアルファベットの文字の位置に対応した切抜孔48を有し、検出領域42には、図4にて説明した配線パターンと略同様の配線パターンが備えられ、配線部47を介してプリント基板80に電気的に接続される。
【0043】
ここで、上述したスポンジ板50は、その厚さ方向に弾性を有し、検出領域42の裏面に接触する略四角形の上面52や、この上面52の反対側にてシールド板60に対峙する下面54を有する(図7)。また、スポンジ板50には、これら上面52と下面54とを貫通した連通孔58が穿設されている。
これら連通孔58は、切抜孔48とそれぞれ同心であり、その開口面積も切抜孔48に略等しく大きく形成され、LED90の光路として機能する。
【0044】
そして、ホルダ70の上面72に、シールド板60、スポンジ板50、フィルム基板40の順に下から重ねた後、パネル部材30の内側に配置すると、ホルダ70は、スポンジ板50およびシールド板60をパネル部材30に向かう方向に押圧した状態で保持できる。これにより、スポンジ板50の上面52が検出領域42の裏面をパネル部材30に向けて押し上げるため、検出領域42はパネル部材30の裏面に密接される。
【0045】
また、この実施例のシールド板60は、ホルダ70やプリント基板80に強固に固定されている。
詳しくは、当該シールド板60はL字形状の張出部67を備えている。この張出部67は、図6に示されるように、周縁(辺縁部)65のうち、フィルム基板40の配線部47に対向した位置に形成され、下方に向けて延びてから内方に折り曲げて形成される。
【0046】
このL字形状の張出部67において、その垂直面はホルダ70の側面を跨ぐ長さで形成される一方、その水平面は、下面74に形成された凹部76に受容可能に形成されており(図6)、ホルダ70の下面74とプリント基板80の上面82との間に狭持される。当該水平面の適宜位置には、後述するネジ100の導入孔69が設けられている。
【0047】
プリント基板80には、上記実施例と同様にLED90が搭載され、タッチ面32をその裏側から照らして、そのA〜Fの文字を強調表示するが、この上面82において、張出部67の水平面に対峙する部分には、プリント基板80のグランドパターン92が引き出されている(図6)。当該パターン92は張出部67の水平面に略等しい大きさで形成される。
【0048】
また、このプリント基板80には、上述した導入孔69の対応位置にて、導入孔89が上面82と下面84とを貫通して穿設されている。
そして、張出部67の水平面をホルダ70とグランドパターン92との間に挟んで接触させた状態で、下面84からネジ100を導入孔89,69の順に挿入し、ホルダ70とプリント基板80とを固定すると、シールド板60の位置が強固に固定される。
【0049】
以上のように、各実施例のタッチパッドユニット24(24A)によれば、フィルム基板40には、駆動電極46と検出電極44とが並んで敷設されており、制御部98では、検出領域42に接近した物体を、これら駆動電極46と検出電極44との間の静電容量の変化に基づいて検出可能である。
また、プリント基板80にはLED90が搭載され、フィルム基板40は、その光路の対応位置に切抜孔48を有し、さらに、この切抜孔48を避けるように駆動電極46および検出電極44を有している。
【0050】
これにより、LED90の光をフィルム基板40に向けて効率良く導くことができ、仮にユニット24(24A)の設置場所が暗闇の状態であっても容易に識別可能になるが、切抜孔48に相当する箇所では、電極密度が小さくなって物体の検出感度が低くなる。これに対し、その周囲では電極密度が高く、物体の検出感度が高くなる。
【0051】
しかしながら、本実施例では、シールド板60をフィルム基板40とプリント基板80との間に設置し、このシールド板60は、LED90から切抜孔48への光路の対応位置に同数の貫通孔68を有している。よって、切抜孔48に相当する箇所以外の場所ではシールド板60に覆われるので、電極密度が高くても物体の検出感度を低下して相殺できる一方、切抜孔48に相当する箇所は、貫通孔68によってその検出感度が低下せずに維持できる。この結果、検出領域42における物体の検出感度の平均化を達成できる。
【0052】
また、シールド板60がフィルム基板40とプリント基板80との間に設置されており、このプリント基板80のEMI対策としても機能可能である。
具体的には、駆動電極46を駆動可能なIC94などが放射ノイズを発生しても、フィルム基板40とプリント基板80との間に設置されたシールド板60が不要電磁波の放射等を確実に遮断できる。
【0053】
さらにまた、タッチパッドユニット24Aでは、パネル部材30、フィルム基板40、スポンジ板50、シールド板60、ホルダ70、そして、プリント基板80の順に配置されており、このスポンジ板50は、パネル部材30とフィルム基板40との距離、および、フィルム基板40とシールド板60との距離を調整している。
【0054】
詳しくは、パネル部材30のタッチ面32とフィルム基板40の検出領域42との距離は短く一定にし、これらタッチ面32と検出領域42との間に空気の層を形成させない。よって、検出基板のパネル部材に対する部分的な浮きに起因する感度のバラツキを生じさせないようにすることができる。
また、フィルム基板40とシールド板60との距離は、スポンジ板50の厚みを利用して離隔して配置されるため、シールド板60によって物体の検出感度が急激に低下するのを防止できる。
【0055】
また、タッチパッドユニット24Aのように、シールド板60をプリント基板80のグランドパターン92に接続すれば、種々のノイズをキャンセルでき、シールド板60はEMI対策として充分な効果を発揮することができる。また、このシールド板60の張出部67を挟んだ状態でプリント基板80をホルダ70にネジ締め固定すれば、シールド板60とグランドパターン92とを容易に接続できるし、シールド板60やフィルム基板40の姿勢も安定する。
【0056】
さらに、上述したタッチパッドユニット24(24A)では、検出領域42における物体の検出感度の平均化を達成でき、ユニット24(24A)の操作者に対し、タッチ面32にしっかり触れているにも拘わらず、反応しないとの不快感を与えないことから、ナビゲーション装置200の信頼性向上に寄与する。
【0057】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記各実施例の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
また、上記各実施例では、ナビゲーション装置などの操作に具現化した例を示しているが、本発明の静電容量式タッチパッド入力装置は、必ずしも車載機器に限定されるものではなく、パーソナルコンピュータ、自動販売機、現金自動預払機(ATM)、携帯用機器、テレビジョン受像機を遠隔操作可能なリモートコントローラ等の機器に搭載されていても良く、この場合にも上記と同様に、検出領域における物体の検出感度の平均化を達成することができる。
【符号の説明】
【0058】
24,24A タッチパッドユニット(静電容量式タッチパッド入力装置)
30 パネル部材
32 タッチ面(操作面)
40 フィルム基板(検出基板)
44 検出電極
46 駆動電極
48 切抜孔
50 スポンジ板(弾性部材)
60 シールド板(金属板)
65 周縁(辺縁部)
67 張出部
68 貫通孔
70 ホルダ(保持部材)
80 プリント基板(配線基板)
90 LED(発光体)
92 グランドパターン
94 IC(電子部品)
98 制御部(制御手段)
100 ネジ
200 ナビゲーション装置(機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電極と検出電極が並んで敷設され一方の側を検出領域とする検出基板と、
前記検出基板に向けて光を発する発光体を搭載し前記検出電極の検出領域側の反対側に配置された配線基板と、
前記駆動電極と前記検出電極の間の静電容量の変化に基づき前記検出基板への物体の接近を検出する制御手段とを備え、
前記検出基板は、前記発光体が発する光の光路に対応する位置に切抜孔を有するとともに、前記駆動電極と前記検出電極が前記切抜孔を避けるように敷設された静電容量式タッチパッド入力装置であって、
前記検出基板と前記配線基板の間に設置され前記発光体から前記切抜孔に向かう光路に対応する位置に貫通孔を有する金属板を備えたことを特徴とする静電容量式タッチパッド入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の静電容量式タッチパッド入力装置であって、
前記配線基板には、前記駆動電極を駆動可能な電子部品が搭載されることを特徴とする静電容量式タッチパッド入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電容量式タッチパッド入力装置であって、
表側を操作面とし裏側に前記検出基板が配置されるパネル部材と、
厚さ方向に弾性を有し前記検出基板と前記金属板の間に介在する弾性部材とを備え、
前記金属板および前記弾性部材を前記パネル部材に向かう方向に押圧された状態で保持することにより前記検出基板を前記パネル部材の裏面に密接させたことを特徴とする静電容量式タッチパッド入力装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の静電容量式タッチパッド入力装置であって、
前記金属板と前記配線基板の間に前記金属板と前記配線基板を保持する保持部材を備え、
前記金属板は辺縁部より内方に折り曲げ形成される張出部を備え、
前記配線基板と前記保持部材の間に前記張出部を挟んだ状態で前記配線基板を前記保持部材にネジ締め固定して前記配線基板に設けられたグランドパターンと前記張出部を接触させたことを特徴とする静電容量式タッチパッド入力装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の静電容量式タッチパッド入力装置を搭載したことを特徴とする機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−60170(P2011−60170A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211474(P2009−211474)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】