静電容量式入力装置
【課題】誤検出を抑制するとともに導電体の接近をより正確に検出することができる静電容量式入力装置を提供すること。
【解決手段】透過板4に形成され、方向Yに並列され且つ方向Yと交差する第2方向に延びる複数の電極yと、透過板4に垂直な方向Zの一方から透過板4に対して接近する指Fgについて、指Fgと各電極yの間に生じる静電容量の変化によって方向Yにおける指Fgの接近位置を検出するICチップ8と、透過板4の端部に設けられ、方向Zの一方に向く表面7a、および方向Zの他方に向く裏面7bを有するフレキシブル基板7と、透過板4およびフレキシブル基板7に跨って形成され、ICチップ8と電極yの各々とを接続するための複数の第1配線と、を備え、フレキシブル基板7の表面7aには、導電層73が形成され、フレキシブル基板7の裏面7bには、複数の第1配線の一部を含んで構成される配線層74が形成されている。
【解決手段】透過板4に形成され、方向Yに並列され且つ方向Yと交差する第2方向に延びる複数の電極yと、透過板4に垂直な方向Zの一方から透過板4に対して接近する指Fgについて、指Fgと各電極yの間に生じる静電容量の変化によって方向Yにおける指Fgの接近位置を検出するICチップ8と、透過板4の端部に設けられ、方向Zの一方に向く表面7a、および方向Zの他方に向く裏面7bを有するフレキシブル基板7と、透過板4およびフレキシブル基板7に跨って形成され、ICチップ8と電極yの各々とを接続するための複数の第1配線と、を備え、フレキシブル基板7の表面7aには、導電層73が形成され、フレキシブル基板7の裏面7bには、複数の第1配線の一部を含んで構成される配線層74が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来の入力装置の一例を示した要部断面図である。図15は、図14の上方向から見た入力装置の要部平面図である。これらの図に示された入力装置9Aは、液晶表示パネル9Bと重ね合わせられることにより、いわゆるタッチパネルを構成している。このタッチパネルは、たとえば携帯電話機9Cの表示手段および操作手段として用いられる。携帯電話機9Cは、筐体の一部を構成する透明カバーc1を有している。入力装置9Aは、透明接着剤c2によって透明カバーc1に接合されている。入力装置9Aの図14の下方には、液晶表示パネル9Bが配置されている。このような入力装置9Aに関する記載が、たとえば特許文献1にある。
【0003】
入力装置9Aは、透明基板91,92、複数ずつの検出電極93,94、複数ずつの配線95,96、フレキシブル基板97,98、およびICチップ99を備える。透明基板91,92は互いに平行に配置されている。検出電極93は、透明基板91に形成されている。検出電極93はいずれも、方向Xに沿って延びており、互いに平行に配置されている。検出電極94は、透明基板92に形成されている。検出電極94は、方向Yに沿って延びており、互いに平行に配置されている。フレキシブル基板97,98はそれぞれ、透明基板91,92の端部に設けられている。配線95は、透明基板91およびフレキシブル基板97に跨って形成されており、検出電極93と各別に接続している。配線96は、透明基板92およびフレキシブル基板98に跨って形成されており、検出電極94と各別に接続している。ICチップ99は、配線95,96を介して検出電極93,94に各別に接続している。
【0004】
携帯電話機9Cの使用者が携帯電話機9Cを操作するときには、指Fg(導電体)を透明カバーc1に対して接近させ、あるいは接触させることにより、指Fgと検出電極93,94との間に静電容量が生じる。ICチップ99は、配線95や配線96を介して、検出電極93,94と指Fgとの間の静電容量の変化に対応する値(静電容量変化の検出値、以下、適宜「検出値」という)を計測する。図16は、指Fgを透明カバーc1に接近もしくは接触させたときの、指Fgと検出電極93との静電容量変化の検出値を表すグラフである。検出値が増加した検出電極93を特定することにより、方向Yにおける指Fgの接近位置を検出することができる。方向Yにおける指Fgの接近位置を検出するのと同様のことを検出電極94について行うことにより、方向Xにおける指Fgの接近位置を検出する。このようにして、入力装置9Aは、XY平面における指Fgの接近位置を検出する。なお、透明基板91,92に垂直な方向Z視において検出電極93,94と重なる領域(図15において点線で囲まれた領域)が、指Fgの接近を検出する検出領域r1である。
【0005】
このような入力装置9Aにおいては、指Fgが透明カバーc1に接近していない場合であっても検出電極93,94についての検出値が変化する場合があった。このような検出値の変化の主な原因としては、携帯電話機9Cに搭載された他の部品等による外来ノイズが挙げられる。
【0006】
また、同一の導電体を同一の姿勢で透明カバーc1の検出領域r1に接近もしくは接触させたときの検出値について、検出電極93,94ごとにばらつきが生じ得た。このような検出値のばらつきの主な原因は、検出電極93,94ごとに、検出電極93,94に接続する配線95,96と他の配線・電極等との間に生じうる寄生容量が異なること等がある。
【0007】
上記のような外来ノイズや寄生容量の影響を考慮して、検出電極93,94ごとの検出値について所定の閾値を設定し、たとえば、指Fgが透明カバーc1に接近したか否かの判断は、当該閾値を超えているか否かにより行われる。たとえば、検出電極93,94の検出値が所定の閾値を超えた場合に限り、ICチップ99は、指Fgの接近位置に関する信号を外部に出力する。ここで、閾値を外来ノイズ等による検出値よりも大きな値に設定することにより、外来ノイズ等の影響による誤検出が防止される。その一方、閾値をあまり大きい値に設定すると、指Fgの接近そのものが検出され難くなる。したがって、閾値は、指Fgの接近を適切に検出できる程度の大きさに抑えておく必要がある。
【0008】
しかしながら、上記の検出領域r1以外の領域に対して指Fgが接近したときに、上記検出値に変化が現れる場合がある。特に配線95,96等が密集しがちなフレキシブル基板97,98においては、配線間に生じる寄生容量の影響も相俟って上記検出値の変化が大きくなる傾向にあるので、指Fgの接近により意図しない誤検出を招く虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−33777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、誤検出を抑制するとともに、導電体の接近をより正確に検出することができる静電容量式入力装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によって提供される静電容量式入力装置は、基板と、上記基板に形成され、第1方向に沿って並列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に沿って延びる複数の第1検出電極と、上記基板に垂直な第3方向の一方から上記基板に対して接近する導電体について、この導電体と各第1検出電極の間に生じる静電容量の変化によって上記第1方向における上記導電体の接近位置を検出する制御手段と、上記基板の端部に設けられ、上記第3方向の一方側に向いた第1主面、および上記第3方向の他方側に向いた第2主面を有するフレキシブル基板と、上記基板および上記フレキシブル基板に跨って形成され、上記制御手段と上記複数の第1検出電極の各々とを接続するための複数の第1配線と、を備え、上記フレキシブル基板の上記第1主面には、導電性材料からなる導電層が形成されており、上記フレキシブル基板の上記第2主面には、上記複数の第1配線の一部を含んで構成される配線層が形成されている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2方向に沿って並列され且つ上記第1方向に沿って延びる複数の第2検出電極と、上記制御手段と上記複数の第2検出電極の各々とを接続するための複数の第2配線と、を更に備える。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線層は、上記複数の第2配線の一部を含んで構成される。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板は、上記第3方向の一方側に向いた平面状の第1面を有し、上記第1面に上記複数の第1検出電極および上記複数の第2検出電極のいずれもが形成されている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各第1検出電極は、上記第2方向に沿って配列された複数の第1の電極要素を備え、上記各第2検出電極は、上記第1方向に沿って配列された複数の第2の電極要素を備え、上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のいずれかに導通し、且つ、隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間から上記基板の上記端部まで延びる、上記第1面に形成された複数の第1の連絡配線と、上記フレキシブル基板の上記第2主面に形成され、上記複数の第1の連絡配線の各々に対応する複数の第2の連絡配線と、上記導電層を構成し、且つ、上記複数の第2の連絡配線と交差する交差配線と、を含み、対応する上記第1および第2の連絡配線は、上記フレキシブル基板の上記第2主面が上記基板の上記第1面に重なる状態で接続されており、同一の上記第1配線に含まれる上記第2の連絡配線どうしは、上記フレキシブル基板において上記交差配線およびスルーホールを介して接続されている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のうち上記第2方向に沿って隣接する2つの第1の電極要素どうしを接続し、且つ、これら2つの第1の電極要素に挟まれた隙間に形成された第1の接続配線を備え、上記複数の第1の連絡配線のいずれかは、これら2つの第1の電極要素もしくは上記第1の接続配線に接続する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2配線は、上記複数の第2の電極要素のうち上記第1の接続配線を挟む2つの第2の電極要素どうしを接続する第2の接続配線を備え、上記第2の接続配線は、上記第1の接続配線が接続された複数の第1の電極要素の一端にあるものを囲むように配置されている。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導電層は、グランド接続されたメッシュ状のシールド部を含んで構成される。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板における上記第3方向の他方側の第2面には、導電性材料からなるシールド層が形成されており、上記シールド部は、上記シールド層に接続されている。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フレキシブル基板は、上記基板との接続側端部において、上記配線層の一部を含む配線接続部と、上記シールド部につながるシールド接続部とを有する二股状とされており、上記配線接続部における上記第2主面が上記基板の上記第1面上に重ねられることにより、上記基板と上記フレキシブル基板との間において上記第1配線もしくは上記第2配線が接続しており、上記シールド接続部における上記第1主面が上記基板の上記第2面上に重ねられることにより、上記シールド層と上記シールド部とが接続している。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導電層は、上記第3方向視において上記配線層と重なる領域に形成されている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板に対して上記第3方向の一方側に対向配置された透明カバーを更に備える。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間に形成された光透過層と、上記複数の第1の電極要素、上記複数の第2の電極要素、および、上記光透過層を覆うコーティング層と、を更に備える。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記光透過層を構成する材料の屈折率は、上記コーティング層を構成する材料の屈折率と異なる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記光透過層を構成する材料は、上記第1の電極要素、もしくは上記第2の電極要素を構成する材料と同一の材料よりなる。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記光透過層は、互いに離間する複数のラインエレメントを含む。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の要部断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部平面図である。
【図3】図2に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図4】図2に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図5】図2に示した入力装置の一部の構成を示す要部拡大平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の変形例を示す要部断面図である。
【図7】(a)は、電極yごとの静電容量変化の検出値を示すグラフであり、(b)は、当該検出値の数値および比を示す表である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図9】図8に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図10】図8に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図11】図8の領域XIの部分拡大図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う要部断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図14】従来の入力装置の要部断面図である。
【図15】図14に示した入力装置の要部平面図である。
【図16】従来の入力装置の検出電極ごとの静電容量変化の検出値を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1〜図5を用いて本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる入力装置の要部断面図である。図2は、図1のII−II線に沿う要部平面図である。これらの図に示された入力装置A10は、複数の電極x、複数の電極y、複数の配線31、複数の配線32、透過板4、シールド層5、透明接着剤61、透明カバー62、フレキシブル基板7、およびICチップ8、を備える。図3は、図2における電極yを主に示す要部平面図である。図4は、図2における電極xを主に示す要部平面図である。図5は、図2におけるフレキシブル基板7を主に示す要部拡大平面図である。
【0031】
入力装置A10は、透過板4に垂直な方向Zの一方(図1において上方)から導電体である指Fgが接近したことを静電容量の変化により検出するためのものである。入力装置A10は、液晶表示パネルBと重ね合わせられることにより、いわゆる静電容量式のタッチパネルを構成している。
【0032】
なお、図2〜図4において、点線で囲まれた領域は検出領域r1である。検出領域r1は、入力装置A10に対して指Fgを接近させ指Fgの接近を検出する領域である。一方、これらの図において、透過板4における、検出領域r1を囲む枠状の領域が非検出領域r2である。検出領域r1と非検出領域r2との境界を、端縁r3,r4、および端縁r5,r6としている。端縁r3,r4は、方向Xに沿っており、それぞれ図2の下方、上方に位置する。端縁r5,r6は、方向Yに沿っており、それぞれ図2の左方、右方に位置する。
【0033】
透過板4は、透明であり、平面板状を呈している。透過板4は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネイト(PC)などの透明樹脂の単層樹脂体、またはこれらに代表される透明樹脂から選ばれた2種類の材料からなる積層樹脂体、あるいは、ガラスなどからなる。
【0034】
複数の電極xおよび複数の電極yは、いずれも透過板4の表面4a(図1において上方側)に形成されている。
【0035】
複数の電極yは、それぞれ方向Xに沿って延びており、互いに方向Yに沿って並列されている。複数の電極yは、方向Yに沿ってたとえば5mmのピッチで配置されている。図2、図3の下側に配置された電極yから順に、電極y1,y2・・・としている。電極yは何本形成されていてもよいが、本実施形態においては、14本形成されている。電極yは、方向Yにおける指Fgの接近位置を検出するためのものであり、本発明における第1検出電極の一例に相当する。電極yは、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる薄膜に対して、パターニングを施したものである。
【0036】
図2、図3に示すように、電極yはそれぞれ、方向Xに沿って配列された複数の電極要素11を備える。電極要素11は、ほぼ菱形状である。電極要素11の形状は、菱形状に限らず、丸型状、多角形状、またはその他の形状でも構わない。
【0037】
複数の電極xは、それぞれ方向Yに沿って延びており、互いに方向Xに沿って並列されている。複数の電極xは、方向Xに沿ってたとえば5mmのピッチで配置されている。図2、図4の左側に配置された電極yから順に、電極x1,x2・・・としている。電極xは何本形成されていてもよいが、本実施形態においては、10本形成されている。電極xは、方向Xにおける指Fgの接近位置を検出するためのものであり、本発明における第2検出電極の一例に相当する。電極xは、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる薄膜に対して、パターニングを施したものである。
【0038】
図2、図4に示すように、電極xはそれぞれ、方向Yに沿って配列された複数の電極要素21を備える。電極要素21は、ほぼ菱形状である。電極要素21の形状は、菱形状に限らず、丸型状、多角形状、またはその他の形状でも構わない。図2に示すように、透過板4の表面4aには、電極要素11と電極要素21とに挟まれた隙間s1が形成されている。
【0039】
シールド層5は、透過板4の裏面4b(図1において下方側)に形成されている。シールド層5は、たとえばITO,IZOなどの透明導電性材料から構成されている。シールド層5は、たとえばリア保護層(図示略)により覆われている。シールド層5は、外来ノイズを遮断する役割を果たす。
【0040】
フレキシブル基板7は、透過板4の方向Yにおける端部4c(図2において下側)に設けられている。フレキシブル基板7は、たとえば、ポリイミドなどの絶縁材料からなり、平面視略T字の平面板状を呈している。フレキシブル基板7の表面7a(図1において上方側)には、導電性材料からなる導電層73が形成されており、フレキシブル基板7の裏面7b(図1において下方側)には、配線層74が形成されている。導電層73および配線層74の詳細については後述する。なお、図2においては、導電層73の記載を省略している。
【0041】
図1、図2、図5に示すように、フレキシブル基板7は、透過板4との接続側端部において、配線接続部71とシールド接続部72とを有する二股状に形成されている。配線接続部71は、後述する配線31どうし、および配線32どうしをそれぞれ接続するための部分である。シールド接続部72は、シールド層5と後述するシールド部731とを接続するための部分である。
【0042】
フレキシブル基板7の適所には、複数のスルーホール75(図1、図5参照)が形成されている。各スルーホール75には、フレキシブル基板7の表面7a側と裏面7b側とを接続するためのCuなどの低抵抗の金属材料が充填されている。
【0043】
図2、図3、または図5に示すように、複数の配線31は、透過板4およびフレキシブル基板7に跨って形成されている。配線31は、電極yと各別に接続している。配線31は、透過板4の表面4aに形成された配線311〜315と、フレキシブル基板7に形成された配線316〜318(図5参照)とを備える。
【0044】
配線311は、図3の最も左側もしくは最も右側に配置された電極要素11に接続している。最も左側に配置された電極要素11に接続している配線311はいずれも、接続している電極要素11から端縁r5に向かって延び、さらに、方向Yに沿って図下方に延びている。一方、最も右側に配置された電極要素11に接続している配線311はいずれも、接続している電極要素11から端縁r6に向かって延び、さらに、方向Yに沿って図下方に延びている。
【0045】
配線312は、図3の最も上側に配置された電極y14に含まれる電極要素11に接続している。各配線312は、方向Xにおいて隣り合う2つの電極要素11から端縁r4に向かって延びており、非検出領域r2に至っている。これにより、電極y14に含まれる電極要素11どうしが導通している。
【0046】
配線313は、電極y1〜y13に含まれる電極要素11のうち、方向Xにおいて隣り合う2つの電極要素11どうしを導通させている。配線313は、これらの2つの電極要素11に挟まれた隙間に形成されている。配線313は、本発明にかかる第1の接続配線の一例に相当する。
【0047】
配線314は、図3の上から2番目に配置された電極y13に含まれる電極要素11に接続している。各配線314は、配線313に接続された2つの電極要素11のうち左側に配置されたものに接続している。各配線314は、電極要素11から、端縁r4に向かって延び、非検出領域r2に至っている。また、配線314は、電極y14に含まれる電極要素11を囲むように配置されており、配線312との交差部分を有さない。配線313,配線314により、電極y13に含まれる電極要素11どうしが導通している。
【0048】
配線315は、電極y1〜y12に含まれる電極要素11に接続している。配線315も、配線313に接続された2つの電極要素11のうち左側に配置されたものに接続している。各配線315は、電極要素11から、電極要素11と電極要素21とに挟まれた隙間s1を縫うように図下方に延びており、端縁r3を横切って透過板4の端部4cに至っている。配線315は、本発明の第1の連絡配線の一例に相当する。上記した配線311〜315は、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる。各配線311〜315の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0049】
配線316,317は、フレキシブル基板7の裏面7bに形成されている。図5においては、配線316,317を点線で表す。配線316は、配線311と各別に接続している。配線317は、配線315と各別に接続している。ここで、配線311および配線316、ならびに配線315および配線317はそれぞれ、フレキシブル基板7の裏面7bが透過板4の表面4aに重なる状態で接続されている。配線317は、本発明の第2の連絡配線の一例に相当する。
【0050】
配線318は、フレキシブル基板7の表面7aに形成されている。配線318は、裏面7bに形成された配線316,317とフレキシブル基板7を間に挟んだ状態で交差している。そして、フレキシブル基板7において、同一の電極yに含まれる電極要素11に導通している配線316,317どうしは、配線318およびスルーホール75を介して接続している。これにより、同一の電極y(電極y1〜y12に限る)に含まれる電極要素11は、それぞれ導通している。配線318は、本発明の交差配線の一例に相当する。また、配線318は、導電層73を構成している。上記した配線316〜318は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる。各配線316〜318の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0051】
図2、図4、または図5に示すように、複数の配線32も、配線31と同様、透過板4およびフレキシブル基板7に跨って形成されている。配線32は、電極xと各別に接続している。配線32は、透過板4の表面4aに形成された配線321〜323と、フレキシブル基板7に形成された配線324とを備える。
【0052】
配線321は、方向Yにおいて隣り合う2つの電極要素21どうしを導通させている。配線321は、これらの2つの電極要素21に挟まれた隙間に形成されている。配線322も、方向Yにおいて隣り合う2つの電極要素21どうしを導通させている。配線322は、配線313と交差することを避けるため、配線313に接続された2つの電極要素11の一方を囲むように配置されている。配線321および配線322に接続されることにより、同一の電極xに含まれる電極要素21どうしが導通している。なお、配線322は、本発明における第2の接続配線の一例に相当する。配線323は、図4に示すように、電極xに含まれる電極要素21のうち最も下側に位置する電極要素21から図下方に延びており、端縁r3を横切って透過板4の端部4cに至っている。上記した配線321〜323は、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる。各配線321〜323の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0053】
配線324は、フレキシブル基板7の裏面7bに形成されている。図5においては、配線324を点線で表す。配線324は、配線323と各別に接続している。配線323および配線324はそれぞれ、フレキシブル基板7の裏面7bが透過板4の表面4aに重なる状態で接続されている。配線324は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる。配線324の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0054】
フレキシブル基板7の裏面7bに形成された配線層74は、上記した配線316,317,324を含んで構成される。配線層74は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる薄膜に対してパターニングを施したものである。
【0055】
フレキシブル基板7の表面7aに形成された導電層73は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる薄膜に対してパターニングを施したものであり、上記した配線318と、シールド部731とを含んで構成される。シールド部731は、メッシュ状とされており、たとえば一定のメッシュ幅、一定の繰返しピッチのパターンとして形成されたものである。入力装置A10が所定の機器に組み込まれるとき、シールド部731はグランドに接続される。シールド部731は、配線318の形成領域以外において、配線層74を覆うように形成されている。これにより、導電層73は、方向Z視において配線層74と重なる領域に形成されている。
【0056】
シールド部731はまた、フレキシブル基板7の二股状の一方であるシールド接続部72の端部に至るまで形成されている。図1、図5から分かるように、シールド接続部72における表面7aが透過板4の裏面4bに重ねられている。これにより、透過板4の裏面4bに形成されたシールド層5と、フレキシブル基板7の表面7aに形成されたシールド部731とは、接続している。なお、導電層73および配線層74は、配線31,32等の接続部分を除いて、たとえばポリイミドなどの絶縁材料からなるコーティング層(図示略)により覆われている。
【0057】
ICチップ8は、たとえばフレキシブル基板7の裏面7bに搭載されている。ICチップ8は、配線31(配線311〜318)を介して、電極yと接続している。ICチップ8はまた、配線32(配線321〜324)を介して、電極xと接続している。ICチップ8は、各電極yについての検出値を、独立に、且つ、常に計測可能である。ICチップ8はまた、各電極xについての検出値を、独立に、且つ、常に計測可能である。
【0058】
透明カバー62は、透過板4に対して方向Zの一方側(図1における上方側)に対向配置されている。透明カバー62は、たとえば透明接着剤61を介して透過板4に接合されている。透明接着剤61としては、光を良好に透過するとともに、電極yと電極xとを互いに絶縁可能なもの(たとえば光学用粘着剤)を用いればよい。
【0059】
液晶表示パネルBは、たとえば互いに対向する透明基板およびTFT基板と、これらに挟まれた液晶層とを備えており、たとえば携帯電話機の操作に供する操作メニュー画面や、画像などを表示する機能を有する。液晶表示パネルBに表示された画像は、入力装置A10をとおして視認可能である。液晶表示パネルBの表示面は、方向Z視において電極x,yと重なるように配置されている。
【0060】
入力装置A10および液晶表示パネルBは、携帯電話機などに組み込まれて、たとえば以下のようにして使用される。
【0061】
液晶表示パネルBには、たとえば携帯電話機の諸機能を発揮させるボタンを模したアイコンを含む操作メニュー画面を表示させる。使用者がなんら操作をしない状態においては、各電極x,yと指Fgとの間には静電容量がほとんど生じていない。次いで、使用者は、選択したい機能に対応するアイコンを触るようにして、指Fgを方向Zの一方から透明カバー62の表面62aに接近させる。すると、電極x,yと指Fgとの距離が小さくなる。これにより、指Fgと各電極x,yとの間の静電容量が変化する。複数の電極x,yのうち指Fgとの距離が小さいものほど静電容量が大きい。ICチップ8は、この静電容量の変化を電極x,yごとの検出値として計測する。そして、ICチップ8は、検出値が増加した電極yを特定することにより、方向Yにおける指Fgの接近位置を検出し、検出値が増加した電極xを特定することにより、方向Xにおける指Fgの接近位置を検出する。以上の手順を経ることにより、指FgのXY平面における接近位置を検出でき、使用者が触れようとしたアイコンが検出できる。そして、携帯電話機は、このアイコンに対応する機能を発揮する。
【0062】
次に、入力装置A10の作用について説明する。
【0063】
入力装置A10によれば、フレキシブル基板7において、裏面7bには、配線316,317,324を含んで構成された配線層74が形成される一方、表面7aには導電層73が形成されている。このため、指Fgが方向Zの一方から検出領域r1以外のたとえばフレキシブル基板7に接近するとき、配線層74と指Fgとの間に導電層73が介在することになる。そして、この導電層73が配線層74(配線316,317,324)に対するシールドとして機能し、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。したがって、配線層74を有する上記構成によれば、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出することができる。
【0064】
導電層73は、配線318とメッシュ状のシールド部731とを有し、このシールド部731は、配線318の形成領域以外において、配線層74を覆うように形成されている。シールド部731は、配線層74との間で寄生容量を生ずるので、たとえば本実施形態とは異なる膜状のシールドを形成する場合には、配線層74との間の寄生容量が大きくなり、好ましくない。これに対し、本実施形態では、シールド部731を、適度なメッシュ密度を有するメッシュ状とすることにより、シールド性能を確保しつつ、シールド部731および配線層74の間の寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。なお、シールド部731のメッシュ密度の一例を挙げると、メッシュ幅が0.05〜0.2mm程度、繰返しピッチが0.8〜1.5mm程度とされる。
【0065】
そして、導電層73(配線318およびシールド部731)は、方向Z視において配線層74と重なる領域に形成されている。このため、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、検出値に不当な変化が現れるのをより適切に抑制することができる。
【0066】
入力装置A10において、電極yのうち電極y1〜y12のそれぞれとICチップ8とを接続するための各配線31については、電極要素11に導通する複数の配線316,317がフレキシブル基板7の裏面7bに形成されている。同一の配線31に含まれる配線316,317どうしは、フレキシブル基板7の表面7aに形成された配線318、およびスルーホール75を介して接続している。すなわち、配線31を構成する複数の配線316,317,318の交差部分はフレキシブル基板7上に集約しており、配線316,317と配線318とは、フレキシブル基板7を間に挟んで交差している。したがって、フレキシブル基板7の厚み(層間ギャップ)を適度に確保することにより、配線316,317,318の交差部間による寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。
【0067】
入力装置A10においてはまた、方向Xにおいて隣り合う2つの電極要素11どうしが配線313により接続されている。そのため、非検出領域r2に至る配線315をこれらの2つの電極要素11の一方に接続するだけで、同一の電極y(電極y1〜y12に限る)に含まれる電極要素11どうしを導通させることができる。これにより、電極要素11および電極要素21の隙間s1から非検出領域r2に至る配線315の数を少なくできる。非検出領域r2に至る配線315の数が少なくなることにより、フレキシブル基板7における配線316,317,318の交差部分の数を減少させることができる。これにより、配線316,317,318の間における寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。
【0068】
本実施形態では、透過板4の裏面4bに形成されたシールド層5は、フレキシブル基板7上のシールド部731に接続しており、シールド部731はグランドに接続している。かかる構成によれば、シールド層5により外来ノイズを適切に遮断することができる。
【0069】
なお、図1に表れている入力装置A10は、フレキシブル基板7がまっすぐに延びた状態で機器に組み込まれた例を示したが、たとえば図6に示すように、フレキシブル基板7が折れ曲った状態で機器に組み込まれてもよい。図6に示す場合においても、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近(たとえば図6において上側ないし左側からの指Fgの接近)により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。
【0070】
図7は、入力装置A10におけるシールド部731のシールド効果を検証するために行った比較試験について示す。
【0071】
実施例としてフレキシブル基板7の表面7aにシールド部731を有する本実施形態の入力装置A10を準備し、比較例としてフレキシブル基板7の表面7aにシールド部731を有さない入力装置を準備した。フレキシブル基板7の厚み(層間ギャップ)を25μm、シールド部731のメッシュ幅を0.06mm、繰返しピッチを1.41mmとした。これら入力装置において、フレキシブル基板7の表面7a側を、導電体としてのプローブで押えたときの電極yについての検出値を計測した。図7(a)は、シールド部731が有る場合と無い場合における電極yについての検出値D1,D2を示すグラフである。図7(b)は、シールド部731が有る場合と無い場合における各電極yについての検出値D1,D2の数値、および検出値の比(D1/D2)を示す。
【0072】
図7に示すように、シールド部731を有する場合には、シールド部731が無い場合に比べて、電極yについての検出値が平均約48%減少しており、導電体をフレキシブル基板7の表面7aに接近させたときの上記検出値D1が大幅に減少することがわかる。したがって、導電体がフレキシブル基板7に接近した場合において、誤検出を抑制することができる。たとえば検出値が80のところに閾値を設けたとき、シールド部731が無い場合には誤検出してしまうが、シールド部731が有る場合には誤検出しなくなる。
【0073】
次に、図8〜図12を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。図9は、図8の電極yを主に示す要部平面図である。図10は、図8の電極xを主に示す要部平面図である。図11は、図8の領域XIの部分拡大図である。図12は、図11のXII−XII線に沿う要部断面図である。なお、図8〜図12において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0074】
本実施形態の入力装置A20は、複数の電極x、複数の電極y、複数の配線31,32、透過板4、光透過層53(図8、図11、図12参照、図9、図10では省略)、コーティング層55(図12参照、図8〜図11では省略)、フレキシブル基板7、およびICチップ(図2参照、本実施形態では図示略)を備える。
【0075】
入力装置A20は、入力装置A10と比較して、電極x,yの数が少なくなっている。入力装置A20にて電極xの数は8であり、電極yの数は12である。フレキシブル基板7において、表面7aにはメッシュ状のシールド部を含む導電層が形成されており、裏面7bには配線層が形成されている(図1、図5参照、本実施形態では図示略)。電極x、電極y、配線31,32、透過板4、フレキシブル基板7の具体的構成は、入力装置A10と同様であるから、説明を省略する。
【0076】
図11、図12によく表れているように、光透過層53は、透過板4の表面4aに形成されている。光透過層53は、電極要素11と電極要素21とに挟まれた隙間s1に形成されている。光透過層53は、視認性を向上させるために設けられている。透過板4から光透過層53に入射した光は、光透過層53を通り、コーティング層55に向かって進む。光透過層53を構成する材料の屈折率は、コーティング層55を構成する材料の屈折率と異なる。光透過層53を構成する材料の屈折率は、電極要素11,21を構成する材料の屈折率と同程度であることが好ましい。本実施形態においては、光透過層53は、電極要素11や電極要素21を構成する材料(たとえばITO,IZO)と同一の材料よりなる。そのため、光透過層53および電極要素11,21の屈折率は、同一である。この場合、光透過層53は、透過板4の表面4a上に、電極要素11,21を形成するのと同時に形成される。光透過層53が電極要素11や電極要素21を構成する材料と同一の材料を用いている場合、光透過層53は、導電性の材料よりなるといえる。光透過層53が導電性の材料よりなるこのような場合、光透過層53と、この光透過層53に隣接する電極要素11,21とが電気的に絶縁されている必要がある。そのため、光透過層53と、この光透過層53に隣接する電極要素11,21とは、隙間を介して配置されている。
【0077】
図11、図12によく表れているように、本実施形態において光透過層53は、複数のラインエレメント53a,53bを含む。各ラインエレメント53a,53bは、電極要素11や電極要素21の縁に沿う方向に延びる形状である。複数のラインエレメント53a,53bは、隙間を介して互いに並列している。ラインエレメント53aは、電極要素11と隙間を介して配置されている。ラインエレメント53bは、電極要素21と隙間を介して配置されている。
【0078】
図11、図12によく表れているように、コーティング層55は、電極x,y、および光透過層53を覆っている。コーティング層55は、外来光が反射することにより視認性が悪化することを抑制したり、図示しない透明カバーを接着したりする機能を果たす。コーティング層55は、光を透過させる透明な絶縁材料よりなり、このような材料としては、たとえば、紫外線硬化樹脂が挙げられる。コーティング層55の屈折率は、たとえば、1.5程度である。なお、電極x,y(電極要素11,21)を構成する材料の屈折率は、たとえば2.0程度である。また、透過板4を構成する材料の屈折率は、たとえば1.5程度である。
【0079】
次に、入力装置A20の作用について説明する。
【0080】
入力装置A20においても、上述の入力装置A10と同様にフレキシブル基板7の表面7aにシールド部を含む導電層が形成されているため、この導電層が配線層に対するシールドとして機能し、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。したがって、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出することができる。
【0081】
入力装置A20においては、光透過層53とコーティング層55の境界にて、透過板4の側からコーティング層55の側に向かう光の一部が反射する。そのため、液晶表示パネルBに表示される画像等のうち、電極要素11,21を通らず隙間s1を通過した光によって視認される領域の明るさを、液晶表示パネルBに表示される画像等のうち、電極要素11,21を通った光によって視認される領域の明るさに近づけることができる。これにより、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等に明るい領域と暗い領域とが生じにくくなる。すなわち、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等の明るさがより均一になる。このように、入力装置A20は、液晶表示パネルBに表示される画像等の見栄え(視認性)を向上させるのに適する。
【0082】
入力装置A20においては、光透過層53は、電極要素11,21を構成する材料と同一の材料よりなる。この結果、光透過層53を構成する材料の屈折率と電極要素11,21を構成する材料の屈折率が同一となる。そのため、入力装置A20によると、透過板4の側からコーティング層55の側に向かう光の透過率を、光が光透過層53を通る場合と、光が電極要素11,21を通る場合とで、ほぼ同一にすることができる。これにより、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等に明るい領域と暗い領域とがさらに生じにくくなる。すなわち、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等の明るさがさらに均一になる。このように、入力装置A20は、液晶表示パネルBに表示される画像等の見栄え(視認性)をさらに向上させるのに適する。
【0083】
入力装置A20においては、光透過層53は、互いに隙間を介して配置された複数のラインエレメント53a,53bを含む。このような入力装置A40は、互いに隣接する電極要素11と電極要素21との間の寄生容量を低減するのに適する。その理由の一つとして以下のことが考えられる。
【0084】
ラインエレメント53aは、導電性の材料よりなり、且つ、電極要素11と隙間を介して配置されている。そのため、入力装置A20においては、電極要素11とラインエレメント53aとを電極対とするコンデンサC1(図12参照)が形成されているといえる。同様に、ラインエレメント53bは、導電性の材料よりなり、且つ、電極要素21と隙間を介して配置されている。そのため、入力装置A20においては、電極要素21とラインエレメント53bとを電極対とするコンデンサC2(図12参照)が形成されているといえる。本実施形態においてはさらに、ラインエレメント53a,53bは、互いに隙間を介して配置されている。そのため、入力装置A20においては、ラインエレメント53aとラインエレメント53bとを電極対とするコンデンサC3(図12参照)が形成されているといえる。
【0085】
図12に示すように、互いに隣接する電極要素11と電極要素21との間の寄生容量は、直列に接続されたコンデンサC1,C2,C3の合成容量である。本実施形態では、直列に接続されたコンデンサC1,C2の間に、さらにコンデンサC3が直列に接続されているといえる。一方、本実施形態と異なり、光透過層53が互いに隙間を介して配置されたラインエレメント53a,53bを含まない場合、すなわち、光透過層53が一つの膜状の部材である場合、互いに隣接する電極要素11と電極要素21との間の寄生容量は、直列に接続されたコンデンサC1,C2のみの合成容量である。そのため、本実施形態では、光透過層53が互いに隙間を介して配置されたラインエレメント53a,53bを含まない場合と比べ、コンデンサC3を直列に接続した分だけ、電極要素11と電極要素21との間の寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。
【0086】
次に、図13を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、本実施形態にかかる入力装置A30の要部平面図である。入力装置A30は、複数の電極x、複数の電極y、複数の配線31,32、透過板4、透明接着剤(図1参照、本実施形態では図示略)、透明カバー(図1参照、本実施形態では図示略)、フレキシブル基板7、およびICチップ8を備える。
【0087】
入力装置A30は、上記した第1実施形態の入力装置A10と比較して、電極x,yの数が少なくなっている。入力装置A30にて電極xの数は5であり、電極yの数は7である。フレキシブル基板7において、表面7aにはメッシュ状のシールド部を含む導電層が形成されており、裏面7bには配線層が形成されている(図1、図5参照、本実施形態では図示略)。
【0088】
図13に示された入力装置A30は、配線31が配線312〜314を含まない点、および、配線32が配線322を含まない点において、上述の入力装置A10と相違する。入力装置A30において、配線311は、各電極yの左右両端に配置された電極要素11に接続している。配線315は、各電極yについて、左右両端の電極要素11を除いた残りの各電極要素11に接続している。上記の入力装置A10と同様に、フレキシブル基板7には配線316〜318,324が形成されており、同一の電極yに含まれる電極要素11に導通している配線(配線316,317)どうしは、配線318およびスルーホール75を介して接続している。なお、図13においては、各配線を模式的に示しており、配線どうしの接続箇所(スルーホール75)を黒丸で示している。
【0089】
入力装置A30においても、上述の入力装置A10と同様にフレキシブル基板7の表面7aにシールド部を含む導電層が形成されているため、この導電層が配線層に対するシールドとして機能し、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。したがって、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出することができる。
【0090】
本発明に係る入力装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明にかかる入力装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0091】
上記実施形態において、入力装置が液晶表示パネルBとともに用いられる場合について説明したが、本発明にかかる入力装置は必ずしも液晶表示パネルとともに用いる必要はない。電極x,yは、必ずしも透明である必要はない。これら電極は、Cuなどの不透明な金属により構成されていてもよい。
【0092】
本発明にかかる入力装置は、携帯電話機に用いられるものに限定されない。たとえば、デジタルカメラ、パーソナルナビゲーションデバイス、自動預入支払機、等その他のタッチパネルを用いる機器において用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
A10,A20,A30 入力装置
B 液晶表示パネル
y,y1〜y14 電極(第1検出電極)
x,x1〜x10 電極(第2検出電極)
11 (第1の)電極要素
21 (第2の)電極要素
22 配線部
31 配線(第1配線)
311,312,314,316 配線
313 配線(第1の接続配線)
315 配線(第1の連絡配線)
317 配線(第2の連絡配線)
318 配線(交差配線)
32 配線(第2配線)
321,323,324 配線
322 配線(第2の接続配線)
4 透過板(基板)
4a 表面(第1面)
4b 裏面(第2面)
4c 端部
5 シールド層
53 光透過層
53a,53b ラインエレメント
55 コーティング層
61 透明接着剤
62 透明カバー
62a 表面
7 フレキシブル基板
7a 表面(第1主面)
7b 裏面(第2主面)
71 配線接続部
72 シールド接続部
73 導電層
731 シールド部
74 配線層
75 スルーホール
8 ICチップ(制御手段)
s1 隙間
r1 検出領域
r2 非検出領域
r3,r4,r5,r6 端縁
Y 方向(第1方向)
X 方向(第2方向)
Z 方向(第3方向)
Fg 指(導電体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来の入力装置の一例を示した要部断面図である。図15は、図14の上方向から見た入力装置の要部平面図である。これらの図に示された入力装置9Aは、液晶表示パネル9Bと重ね合わせられることにより、いわゆるタッチパネルを構成している。このタッチパネルは、たとえば携帯電話機9Cの表示手段および操作手段として用いられる。携帯電話機9Cは、筐体の一部を構成する透明カバーc1を有している。入力装置9Aは、透明接着剤c2によって透明カバーc1に接合されている。入力装置9Aの図14の下方には、液晶表示パネル9Bが配置されている。このような入力装置9Aに関する記載が、たとえば特許文献1にある。
【0003】
入力装置9Aは、透明基板91,92、複数ずつの検出電極93,94、複数ずつの配線95,96、フレキシブル基板97,98、およびICチップ99を備える。透明基板91,92は互いに平行に配置されている。検出電極93は、透明基板91に形成されている。検出電極93はいずれも、方向Xに沿って延びており、互いに平行に配置されている。検出電極94は、透明基板92に形成されている。検出電極94は、方向Yに沿って延びており、互いに平行に配置されている。フレキシブル基板97,98はそれぞれ、透明基板91,92の端部に設けられている。配線95は、透明基板91およびフレキシブル基板97に跨って形成されており、検出電極93と各別に接続している。配線96は、透明基板92およびフレキシブル基板98に跨って形成されており、検出電極94と各別に接続している。ICチップ99は、配線95,96を介して検出電極93,94に各別に接続している。
【0004】
携帯電話機9Cの使用者が携帯電話機9Cを操作するときには、指Fg(導電体)を透明カバーc1に対して接近させ、あるいは接触させることにより、指Fgと検出電極93,94との間に静電容量が生じる。ICチップ99は、配線95や配線96を介して、検出電極93,94と指Fgとの間の静電容量の変化に対応する値(静電容量変化の検出値、以下、適宜「検出値」という)を計測する。図16は、指Fgを透明カバーc1に接近もしくは接触させたときの、指Fgと検出電極93との静電容量変化の検出値を表すグラフである。検出値が増加した検出電極93を特定することにより、方向Yにおける指Fgの接近位置を検出することができる。方向Yにおける指Fgの接近位置を検出するのと同様のことを検出電極94について行うことにより、方向Xにおける指Fgの接近位置を検出する。このようにして、入力装置9Aは、XY平面における指Fgの接近位置を検出する。なお、透明基板91,92に垂直な方向Z視において検出電極93,94と重なる領域(図15において点線で囲まれた領域)が、指Fgの接近を検出する検出領域r1である。
【0005】
このような入力装置9Aにおいては、指Fgが透明カバーc1に接近していない場合であっても検出電極93,94についての検出値が変化する場合があった。このような検出値の変化の主な原因としては、携帯電話機9Cに搭載された他の部品等による外来ノイズが挙げられる。
【0006】
また、同一の導電体を同一の姿勢で透明カバーc1の検出領域r1に接近もしくは接触させたときの検出値について、検出電極93,94ごとにばらつきが生じ得た。このような検出値のばらつきの主な原因は、検出電極93,94ごとに、検出電極93,94に接続する配線95,96と他の配線・電極等との間に生じうる寄生容量が異なること等がある。
【0007】
上記のような外来ノイズや寄生容量の影響を考慮して、検出電極93,94ごとの検出値について所定の閾値を設定し、たとえば、指Fgが透明カバーc1に接近したか否かの判断は、当該閾値を超えているか否かにより行われる。たとえば、検出電極93,94の検出値が所定の閾値を超えた場合に限り、ICチップ99は、指Fgの接近位置に関する信号を外部に出力する。ここで、閾値を外来ノイズ等による検出値よりも大きな値に設定することにより、外来ノイズ等の影響による誤検出が防止される。その一方、閾値をあまり大きい値に設定すると、指Fgの接近そのものが検出され難くなる。したがって、閾値は、指Fgの接近を適切に検出できる程度の大きさに抑えておく必要がある。
【0008】
しかしながら、上記の検出領域r1以外の領域に対して指Fgが接近したときに、上記検出値に変化が現れる場合がある。特に配線95,96等が密集しがちなフレキシブル基板97,98においては、配線間に生じる寄生容量の影響も相俟って上記検出値の変化が大きくなる傾向にあるので、指Fgの接近により意図しない誤検出を招く虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−33777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、誤検出を抑制するとともに、導電体の接近をより正確に検出することができる静電容量式入力装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によって提供される静電容量式入力装置は、基板と、上記基板に形成され、第1方向に沿って並列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に沿って延びる複数の第1検出電極と、上記基板に垂直な第3方向の一方から上記基板に対して接近する導電体について、この導電体と各第1検出電極の間に生じる静電容量の変化によって上記第1方向における上記導電体の接近位置を検出する制御手段と、上記基板の端部に設けられ、上記第3方向の一方側に向いた第1主面、および上記第3方向の他方側に向いた第2主面を有するフレキシブル基板と、上記基板および上記フレキシブル基板に跨って形成され、上記制御手段と上記複数の第1検出電極の各々とを接続するための複数の第1配線と、を備え、上記フレキシブル基板の上記第1主面には、導電性材料からなる導電層が形成されており、上記フレキシブル基板の上記第2主面には、上記複数の第1配線の一部を含んで構成される配線層が形成されている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2方向に沿って並列され且つ上記第1方向に沿って延びる複数の第2検出電極と、上記制御手段と上記複数の第2検出電極の各々とを接続するための複数の第2配線と、を更に備える。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線層は、上記複数の第2配線の一部を含んで構成される。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板は、上記第3方向の一方側に向いた平面状の第1面を有し、上記第1面に上記複数の第1検出電極および上記複数の第2検出電極のいずれもが形成されている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各第1検出電極は、上記第2方向に沿って配列された複数の第1の電極要素を備え、上記各第2検出電極は、上記第1方向に沿って配列された複数の第2の電極要素を備え、上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のいずれかに導通し、且つ、隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間から上記基板の上記端部まで延びる、上記第1面に形成された複数の第1の連絡配線と、上記フレキシブル基板の上記第2主面に形成され、上記複数の第1の連絡配線の各々に対応する複数の第2の連絡配線と、上記導電層を構成し、且つ、上記複数の第2の連絡配線と交差する交差配線と、を含み、対応する上記第1および第2の連絡配線は、上記フレキシブル基板の上記第2主面が上記基板の上記第1面に重なる状態で接続されており、同一の上記第1配線に含まれる上記第2の連絡配線どうしは、上記フレキシブル基板において上記交差配線およびスルーホールを介して接続されている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のうち上記第2方向に沿って隣接する2つの第1の電極要素どうしを接続し、且つ、これら2つの第1の電極要素に挟まれた隙間に形成された第1の接続配線を備え、上記複数の第1の連絡配線のいずれかは、これら2つの第1の電極要素もしくは上記第1の接続配線に接続する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2配線は、上記複数の第2の電極要素のうち上記第1の接続配線を挟む2つの第2の電極要素どうしを接続する第2の接続配線を備え、上記第2の接続配線は、上記第1の接続配線が接続された複数の第1の電極要素の一端にあるものを囲むように配置されている。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導電層は、グランド接続されたメッシュ状のシールド部を含んで構成される。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板における上記第3方向の他方側の第2面には、導電性材料からなるシールド層が形成されており、上記シールド部は、上記シールド層に接続されている。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フレキシブル基板は、上記基板との接続側端部において、上記配線層の一部を含む配線接続部と、上記シールド部につながるシールド接続部とを有する二股状とされており、上記配線接続部における上記第2主面が上記基板の上記第1面上に重ねられることにより、上記基板と上記フレキシブル基板との間において上記第1配線もしくは上記第2配線が接続しており、上記シールド接続部における上記第1主面が上記基板の上記第2面上に重ねられることにより、上記シールド層と上記シールド部とが接続している。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導電層は、上記第3方向視において上記配線層と重なる領域に形成されている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板に対して上記第3方向の一方側に対向配置された透明カバーを更に備える。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間に形成された光透過層と、上記複数の第1の電極要素、上記複数の第2の電極要素、および、上記光透過層を覆うコーティング層と、を更に備える。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記光透過層を構成する材料の屈折率は、上記コーティング層を構成する材料の屈折率と異なる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記光透過層を構成する材料は、上記第1の電極要素、もしくは上記第2の電極要素を構成する材料と同一の材料よりなる。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記光透過層は、互いに離間する複数のラインエレメントを含む。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の要部断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部平面図である。
【図3】図2に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図4】図2に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図5】図2に示した入力装置の一部の構成を示す要部拡大平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の変形例を示す要部断面図である。
【図7】(a)は、電極yごとの静電容量変化の検出値を示すグラフであり、(b)は、当該検出値の数値および比を示す表である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図9】図8に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図10】図8に示した入力装置の一部の構成を示す要部平面図である。
【図11】図8の領域XIの部分拡大図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う要部断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図14】従来の入力装置の要部断面図である。
【図15】図14に示した入力装置の要部平面図である。
【図16】従来の入力装置の検出電極ごとの静電容量変化の検出値を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1〜図5を用いて本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる入力装置の要部断面図である。図2は、図1のII−II線に沿う要部平面図である。これらの図に示された入力装置A10は、複数の電極x、複数の電極y、複数の配線31、複数の配線32、透過板4、シールド層5、透明接着剤61、透明カバー62、フレキシブル基板7、およびICチップ8、を備える。図3は、図2における電極yを主に示す要部平面図である。図4は、図2における電極xを主に示す要部平面図である。図5は、図2におけるフレキシブル基板7を主に示す要部拡大平面図である。
【0031】
入力装置A10は、透過板4に垂直な方向Zの一方(図1において上方)から導電体である指Fgが接近したことを静電容量の変化により検出するためのものである。入力装置A10は、液晶表示パネルBと重ね合わせられることにより、いわゆる静電容量式のタッチパネルを構成している。
【0032】
なお、図2〜図4において、点線で囲まれた領域は検出領域r1である。検出領域r1は、入力装置A10に対して指Fgを接近させ指Fgの接近を検出する領域である。一方、これらの図において、透過板4における、検出領域r1を囲む枠状の領域が非検出領域r2である。検出領域r1と非検出領域r2との境界を、端縁r3,r4、および端縁r5,r6としている。端縁r3,r4は、方向Xに沿っており、それぞれ図2の下方、上方に位置する。端縁r5,r6は、方向Yに沿っており、それぞれ図2の左方、右方に位置する。
【0033】
透過板4は、透明であり、平面板状を呈している。透過板4は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネイト(PC)などの透明樹脂の単層樹脂体、またはこれらに代表される透明樹脂から選ばれた2種類の材料からなる積層樹脂体、あるいは、ガラスなどからなる。
【0034】
複数の電極xおよび複数の電極yは、いずれも透過板4の表面4a(図1において上方側)に形成されている。
【0035】
複数の電極yは、それぞれ方向Xに沿って延びており、互いに方向Yに沿って並列されている。複数の電極yは、方向Yに沿ってたとえば5mmのピッチで配置されている。図2、図3の下側に配置された電極yから順に、電極y1,y2・・・としている。電極yは何本形成されていてもよいが、本実施形態においては、14本形成されている。電極yは、方向Yにおける指Fgの接近位置を検出するためのものであり、本発明における第1検出電極の一例に相当する。電極yは、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる薄膜に対して、パターニングを施したものである。
【0036】
図2、図3に示すように、電極yはそれぞれ、方向Xに沿って配列された複数の電極要素11を備える。電極要素11は、ほぼ菱形状である。電極要素11の形状は、菱形状に限らず、丸型状、多角形状、またはその他の形状でも構わない。
【0037】
複数の電極xは、それぞれ方向Yに沿って延びており、互いに方向Xに沿って並列されている。複数の電極xは、方向Xに沿ってたとえば5mmのピッチで配置されている。図2、図4の左側に配置された電極yから順に、電極x1,x2・・・としている。電極xは何本形成されていてもよいが、本実施形態においては、10本形成されている。電極xは、方向Xにおける指Fgの接近位置を検出するためのものであり、本発明における第2検出電極の一例に相当する。電極xは、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる薄膜に対して、パターニングを施したものである。
【0038】
図2、図4に示すように、電極xはそれぞれ、方向Yに沿って配列された複数の電極要素21を備える。電極要素21は、ほぼ菱形状である。電極要素21の形状は、菱形状に限らず、丸型状、多角形状、またはその他の形状でも構わない。図2に示すように、透過板4の表面4aには、電極要素11と電極要素21とに挟まれた隙間s1が形成されている。
【0039】
シールド層5は、透過板4の裏面4b(図1において下方側)に形成されている。シールド層5は、たとえばITO,IZOなどの透明導電性材料から構成されている。シールド層5は、たとえばリア保護層(図示略)により覆われている。シールド層5は、外来ノイズを遮断する役割を果たす。
【0040】
フレキシブル基板7は、透過板4の方向Yにおける端部4c(図2において下側)に設けられている。フレキシブル基板7は、たとえば、ポリイミドなどの絶縁材料からなり、平面視略T字の平面板状を呈している。フレキシブル基板7の表面7a(図1において上方側)には、導電性材料からなる導電層73が形成されており、フレキシブル基板7の裏面7b(図1において下方側)には、配線層74が形成されている。導電層73および配線層74の詳細については後述する。なお、図2においては、導電層73の記載を省略している。
【0041】
図1、図2、図5に示すように、フレキシブル基板7は、透過板4との接続側端部において、配線接続部71とシールド接続部72とを有する二股状に形成されている。配線接続部71は、後述する配線31どうし、および配線32どうしをそれぞれ接続するための部分である。シールド接続部72は、シールド層5と後述するシールド部731とを接続するための部分である。
【0042】
フレキシブル基板7の適所には、複数のスルーホール75(図1、図5参照)が形成されている。各スルーホール75には、フレキシブル基板7の表面7a側と裏面7b側とを接続するためのCuなどの低抵抗の金属材料が充填されている。
【0043】
図2、図3、または図5に示すように、複数の配線31は、透過板4およびフレキシブル基板7に跨って形成されている。配線31は、電極yと各別に接続している。配線31は、透過板4の表面4aに形成された配線311〜315と、フレキシブル基板7に形成された配線316〜318(図5参照)とを備える。
【0044】
配線311は、図3の最も左側もしくは最も右側に配置された電極要素11に接続している。最も左側に配置された電極要素11に接続している配線311はいずれも、接続している電極要素11から端縁r5に向かって延び、さらに、方向Yに沿って図下方に延びている。一方、最も右側に配置された電極要素11に接続している配線311はいずれも、接続している電極要素11から端縁r6に向かって延び、さらに、方向Yに沿って図下方に延びている。
【0045】
配線312は、図3の最も上側に配置された電極y14に含まれる電極要素11に接続している。各配線312は、方向Xにおいて隣り合う2つの電極要素11から端縁r4に向かって延びており、非検出領域r2に至っている。これにより、電極y14に含まれる電極要素11どうしが導通している。
【0046】
配線313は、電極y1〜y13に含まれる電極要素11のうち、方向Xにおいて隣り合う2つの電極要素11どうしを導通させている。配線313は、これらの2つの電極要素11に挟まれた隙間に形成されている。配線313は、本発明にかかる第1の接続配線の一例に相当する。
【0047】
配線314は、図3の上から2番目に配置された電極y13に含まれる電極要素11に接続している。各配線314は、配線313に接続された2つの電極要素11のうち左側に配置されたものに接続している。各配線314は、電極要素11から、端縁r4に向かって延び、非検出領域r2に至っている。また、配線314は、電極y14に含まれる電極要素11を囲むように配置されており、配線312との交差部分を有さない。配線313,配線314により、電極y13に含まれる電極要素11どうしが導通している。
【0048】
配線315は、電極y1〜y12に含まれる電極要素11に接続している。配線315も、配線313に接続された2つの電極要素11のうち左側に配置されたものに接続している。各配線315は、電極要素11から、電極要素11と電極要素21とに挟まれた隙間s1を縫うように図下方に延びており、端縁r3を横切って透過板4の端部4cに至っている。配線315は、本発明の第1の連絡配線の一例に相当する。上記した配線311〜315は、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる。各配線311〜315の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0049】
配線316,317は、フレキシブル基板7の裏面7bに形成されている。図5においては、配線316,317を点線で表す。配線316は、配線311と各別に接続している。配線317は、配線315と各別に接続している。ここで、配線311および配線316、ならびに配線315および配線317はそれぞれ、フレキシブル基板7の裏面7bが透過板4の表面4aに重なる状態で接続されている。配線317は、本発明の第2の連絡配線の一例に相当する。
【0050】
配線318は、フレキシブル基板7の表面7aに形成されている。配線318は、裏面7bに形成された配線316,317とフレキシブル基板7を間に挟んだ状態で交差している。そして、フレキシブル基板7において、同一の電極yに含まれる電極要素11に導通している配線316,317どうしは、配線318およびスルーホール75を介して接続している。これにより、同一の電極y(電極y1〜y12に限る)に含まれる電極要素11は、それぞれ導通している。配線318は、本発明の交差配線の一例に相当する。また、配線318は、導電層73を構成している。上記した配線316〜318は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる。各配線316〜318の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0051】
図2、図4、または図5に示すように、複数の配線32も、配線31と同様、透過板4およびフレキシブル基板7に跨って形成されている。配線32は、電極xと各別に接続している。配線32は、透過板4の表面4aに形成された配線321〜323と、フレキシブル基板7に形成された配線324とを備える。
【0052】
配線321は、方向Yにおいて隣り合う2つの電極要素21どうしを導通させている。配線321は、これらの2つの電極要素21に挟まれた隙間に形成されている。配線322も、方向Yにおいて隣り合う2つの電極要素21どうしを導通させている。配線322は、配線313と交差することを避けるため、配線313に接続された2つの電極要素11の一方を囲むように配置されている。配線321および配線322に接続されることにより、同一の電極xに含まれる電極要素21どうしが導通している。なお、配線322は、本発明における第2の接続配線の一例に相当する。配線323は、図4に示すように、電極xに含まれる電極要素21のうち最も下側に位置する電極要素21から図下方に延びており、端縁r3を横切って透過板4の端部4cに至っている。上記した配線321〜323は、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる。各配線321〜323の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0053】
配線324は、フレキシブル基板7の裏面7bに形成されている。図5においては、配線324を点線で表す。配線324は、配線323と各別に接続している。配線323および配線324はそれぞれ、フレキシブル基板7の裏面7bが透過板4の表面4aに重なる状態で接続されている。配線324は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる。配線324の幅は、たとえば30〜100μmである。
【0054】
フレキシブル基板7の裏面7bに形成された配線層74は、上記した配線316,317,324を含んで構成される。配線層74は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる薄膜に対してパターニングを施したものである。
【0055】
フレキシブル基板7の表面7aに形成された導電層73は、たとえばCuなどの低抵抗の金属材料からなる薄膜に対してパターニングを施したものであり、上記した配線318と、シールド部731とを含んで構成される。シールド部731は、メッシュ状とされており、たとえば一定のメッシュ幅、一定の繰返しピッチのパターンとして形成されたものである。入力装置A10が所定の機器に組み込まれるとき、シールド部731はグランドに接続される。シールド部731は、配線318の形成領域以外において、配線層74を覆うように形成されている。これにより、導電層73は、方向Z視において配線層74と重なる領域に形成されている。
【0056】
シールド部731はまた、フレキシブル基板7の二股状の一方であるシールド接続部72の端部に至るまで形成されている。図1、図5から分かるように、シールド接続部72における表面7aが透過板4の裏面4bに重ねられている。これにより、透過板4の裏面4bに形成されたシールド層5と、フレキシブル基板7の表面7aに形成されたシールド部731とは、接続している。なお、導電層73および配線層74は、配線31,32等の接続部分を除いて、たとえばポリイミドなどの絶縁材料からなるコーティング層(図示略)により覆われている。
【0057】
ICチップ8は、たとえばフレキシブル基板7の裏面7bに搭載されている。ICチップ8は、配線31(配線311〜318)を介して、電極yと接続している。ICチップ8はまた、配線32(配線321〜324)を介して、電極xと接続している。ICチップ8は、各電極yについての検出値を、独立に、且つ、常に計測可能である。ICチップ8はまた、各電極xについての検出値を、独立に、且つ、常に計測可能である。
【0058】
透明カバー62は、透過板4に対して方向Zの一方側(図1における上方側)に対向配置されている。透明カバー62は、たとえば透明接着剤61を介して透過板4に接合されている。透明接着剤61としては、光を良好に透過するとともに、電極yと電極xとを互いに絶縁可能なもの(たとえば光学用粘着剤)を用いればよい。
【0059】
液晶表示パネルBは、たとえば互いに対向する透明基板およびTFT基板と、これらに挟まれた液晶層とを備えており、たとえば携帯電話機の操作に供する操作メニュー画面や、画像などを表示する機能を有する。液晶表示パネルBに表示された画像は、入力装置A10をとおして視認可能である。液晶表示パネルBの表示面は、方向Z視において電極x,yと重なるように配置されている。
【0060】
入力装置A10および液晶表示パネルBは、携帯電話機などに組み込まれて、たとえば以下のようにして使用される。
【0061】
液晶表示パネルBには、たとえば携帯電話機の諸機能を発揮させるボタンを模したアイコンを含む操作メニュー画面を表示させる。使用者がなんら操作をしない状態においては、各電極x,yと指Fgとの間には静電容量がほとんど生じていない。次いで、使用者は、選択したい機能に対応するアイコンを触るようにして、指Fgを方向Zの一方から透明カバー62の表面62aに接近させる。すると、電極x,yと指Fgとの距離が小さくなる。これにより、指Fgと各電極x,yとの間の静電容量が変化する。複数の電極x,yのうち指Fgとの距離が小さいものほど静電容量が大きい。ICチップ8は、この静電容量の変化を電極x,yごとの検出値として計測する。そして、ICチップ8は、検出値が増加した電極yを特定することにより、方向Yにおける指Fgの接近位置を検出し、検出値が増加した電極xを特定することにより、方向Xにおける指Fgの接近位置を検出する。以上の手順を経ることにより、指FgのXY平面における接近位置を検出でき、使用者が触れようとしたアイコンが検出できる。そして、携帯電話機は、このアイコンに対応する機能を発揮する。
【0062】
次に、入力装置A10の作用について説明する。
【0063】
入力装置A10によれば、フレキシブル基板7において、裏面7bには、配線316,317,324を含んで構成された配線層74が形成される一方、表面7aには導電層73が形成されている。このため、指Fgが方向Zの一方から検出領域r1以外のたとえばフレキシブル基板7に接近するとき、配線層74と指Fgとの間に導電層73が介在することになる。そして、この導電層73が配線層74(配線316,317,324)に対するシールドとして機能し、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。したがって、配線層74を有する上記構成によれば、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出することができる。
【0064】
導電層73は、配線318とメッシュ状のシールド部731とを有し、このシールド部731は、配線318の形成領域以外において、配線層74を覆うように形成されている。シールド部731は、配線層74との間で寄生容量を生ずるので、たとえば本実施形態とは異なる膜状のシールドを形成する場合には、配線層74との間の寄生容量が大きくなり、好ましくない。これに対し、本実施形態では、シールド部731を、適度なメッシュ密度を有するメッシュ状とすることにより、シールド性能を確保しつつ、シールド部731および配線層74の間の寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。なお、シールド部731のメッシュ密度の一例を挙げると、メッシュ幅が0.05〜0.2mm程度、繰返しピッチが0.8〜1.5mm程度とされる。
【0065】
そして、導電層73(配線318およびシールド部731)は、方向Z視において配線層74と重なる領域に形成されている。このため、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、検出値に不当な変化が現れるのをより適切に抑制することができる。
【0066】
入力装置A10において、電極yのうち電極y1〜y12のそれぞれとICチップ8とを接続するための各配線31については、電極要素11に導通する複数の配線316,317がフレキシブル基板7の裏面7bに形成されている。同一の配線31に含まれる配線316,317どうしは、フレキシブル基板7の表面7aに形成された配線318、およびスルーホール75を介して接続している。すなわち、配線31を構成する複数の配線316,317,318の交差部分はフレキシブル基板7上に集約しており、配線316,317と配線318とは、フレキシブル基板7を間に挟んで交差している。したがって、フレキシブル基板7の厚み(層間ギャップ)を適度に確保することにより、配線316,317,318の交差部間による寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。
【0067】
入力装置A10においてはまた、方向Xにおいて隣り合う2つの電極要素11どうしが配線313により接続されている。そのため、非検出領域r2に至る配線315をこれらの2つの電極要素11の一方に接続するだけで、同一の電極y(電極y1〜y12に限る)に含まれる電極要素11どうしを導通させることができる。これにより、電極要素11および電極要素21の隙間s1から非検出領域r2に至る配線315の数を少なくできる。非検出領域r2に至る配線315の数が少なくなることにより、フレキシブル基板7における配線316,317,318の交差部分の数を減少させることができる。これにより、配線316,317,318の間における寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。
【0068】
本実施形態では、透過板4の裏面4bに形成されたシールド層5は、フレキシブル基板7上のシールド部731に接続しており、シールド部731はグランドに接続している。かかる構成によれば、シールド層5により外来ノイズを適切に遮断することができる。
【0069】
なお、図1に表れている入力装置A10は、フレキシブル基板7がまっすぐに延びた状態で機器に組み込まれた例を示したが、たとえば図6に示すように、フレキシブル基板7が折れ曲った状態で機器に組み込まれてもよい。図6に示す場合においても、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近(たとえば図6において上側ないし左側からの指Fgの接近)により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。
【0070】
図7は、入力装置A10におけるシールド部731のシールド効果を検証するために行った比較試験について示す。
【0071】
実施例としてフレキシブル基板7の表面7aにシールド部731を有する本実施形態の入力装置A10を準備し、比較例としてフレキシブル基板7の表面7aにシールド部731を有さない入力装置を準備した。フレキシブル基板7の厚み(層間ギャップ)を25μm、シールド部731のメッシュ幅を0.06mm、繰返しピッチを1.41mmとした。これら入力装置において、フレキシブル基板7の表面7a側を、導電体としてのプローブで押えたときの電極yについての検出値を計測した。図7(a)は、シールド部731が有る場合と無い場合における電極yについての検出値D1,D2を示すグラフである。図7(b)は、シールド部731が有る場合と無い場合における各電極yについての検出値D1,D2の数値、および検出値の比(D1/D2)を示す。
【0072】
図7に示すように、シールド部731を有する場合には、シールド部731が無い場合に比べて、電極yについての検出値が平均約48%減少しており、導電体をフレキシブル基板7の表面7aに接近させたときの上記検出値D1が大幅に減少することがわかる。したがって、導電体がフレキシブル基板7に接近した場合において、誤検出を抑制することができる。たとえば検出値が80のところに閾値を設けたとき、シールド部731が無い場合には誤検出してしまうが、シールド部731が有る場合には誤検出しなくなる。
【0073】
次に、図8〜図12を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。図9は、図8の電極yを主に示す要部平面図である。図10は、図8の電極xを主に示す要部平面図である。図11は、図8の領域XIの部分拡大図である。図12は、図11のXII−XII線に沿う要部断面図である。なお、図8〜図12において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0074】
本実施形態の入力装置A20は、複数の電極x、複数の電極y、複数の配線31,32、透過板4、光透過層53(図8、図11、図12参照、図9、図10では省略)、コーティング層55(図12参照、図8〜図11では省略)、フレキシブル基板7、およびICチップ(図2参照、本実施形態では図示略)を備える。
【0075】
入力装置A20は、入力装置A10と比較して、電極x,yの数が少なくなっている。入力装置A20にて電極xの数は8であり、電極yの数は12である。フレキシブル基板7において、表面7aにはメッシュ状のシールド部を含む導電層が形成されており、裏面7bには配線層が形成されている(図1、図5参照、本実施形態では図示略)。電極x、電極y、配線31,32、透過板4、フレキシブル基板7の具体的構成は、入力装置A10と同様であるから、説明を省略する。
【0076】
図11、図12によく表れているように、光透過層53は、透過板4の表面4aに形成されている。光透過層53は、電極要素11と電極要素21とに挟まれた隙間s1に形成されている。光透過層53は、視認性を向上させるために設けられている。透過板4から光透過層53に入射した光は、光透過層53を通り、コーティング層55に向かって進む。光透過層53を構成する材料の屈折率は、コーティング層55を構成する材料の屈折率と異なる。光透過層53を構成する材料の屈折率は、電極要素11,21を構成する材料の屈折率と同程度であることが好ましい。本実施形態においては、光透過層53は、電極要素11や電極要素21を構成する材料(たとえばITO,IZO)と同一の材料よりなる。そのため、光透過層53および電極要素11,21の屈折率は、同一である。この場合、光透過層53は、透過板4の表面4a上に、電極要素11,21を形成するのと同時に形成される。光透過層53が電極要素11や電極要素21を構成する材料と同一の材料を用いている場合、光透過層53は、導電性の材料よりなるといえる。光透過層53が導電性の材料よりなるこのような場合、光透過層53と、この光透過層53に隣接する電極要素11,21とが電気的に絶縁されている必要がある。そのため、光透過層53と、この光透過層53に隣接する電極要素11,21とは、隙間を介して配置されている。
【0077】
図11、図12によく表れているように、本実施形態において光透過層53は、複数のラインエレメント53a,53bを含む。各ラインエレメント53a,53bは、電極要素11や電極要素21の縁に沿う方向に延びる形状である。複数のラインエレメント53a,53bは、隙間を介して互いに並列している。ラインエレメント53aは、電極要素11と隙間を介して配置されている。ラインエレメント53bは、電極要素21と隙間を介して配置されている。
【0078】
図11、図12によく表れているように、コーティング層55は、電極x,y、および光透過層53を覆っている。コーティング層55は、外来光が反射することにより視認性が悪化することを抑制したり、図示しない透明カバーを接着したりする機能を果たす。コーティング層55は、光を透過させる透明な絶縁材料よりなり、このような材料としては、たとえば、紫外線硬化樹脂が挙げられる。コーティング層55の屈折率は、たとえば、1.5程度である。なお、電極x,y(電極要素11,21)を構成する材料の屈折率は、たとえば2.0程度である。また、透過板4を構成する材料の屈折率は、たとえば1.5程度である。
【0079】
次に、入力装置A20の作用について説明する。
【0080】
入力装置A20においても、上述の入力装置A10と同様にフレキシブル基板7の表面7aにシールド部を含む導電層が形成されているため、この導電層が配線層に対するシールドとして機能し、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。したがって、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出することができる。
【0081】
入力装置A20においては、光透過層53とコーティング層55の境界にて、透過板4の側からコーティング層55の側に向かう光の一部が反射する。そのため、液晶表示パネルBに表示される画像等のうち、電極要素11,21を通らず隙間s1を通過した光によって視認される領域の明るさを、液晶表示パネルBに表示される画像等のうち、電極要素11,21を通った光によって視認される領域の明るさに近づけることができる。これにより、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等に明るい領域と暗い領域とが生じにくくなる。すなわち、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等の明るさがより均一になる。このように、入力装置A20は、液晶表示パネルBに表示される画像等の見栄え(視認性)を向上させるのに適する。
【0082】
入力装置A20においては、光透過層53は、電極要素11,21を構成する材料と同一の材料よりなる。この結果、光透過層53を構成する材料の屈折率と電極要素11,21を構成する材料の屈折率が同一となる。そのため、入力装置A20によると、透過板4の側からコーティング層55の側に向かう光の透過率を、光が光透過層53を通る場合と、光が電極要素11,21を通る場合とで、ほぼ同一にすることができる。これにより、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等に明るい領域と暗い領域とがさらに生じにくくなる。すなわち、液晶表示パネルBに表示される画像等を見た場合、画像等の明るさがさらに均一になる。このように、入力装置A20は、液晶表示パネルBに表示される画像等の見栄え(視認性)をさらに向上させるのに適する。
【0083】
入力装置A20においては、光透過層53は、互いに隙間を介して配置された複数のラインエレメント53a,53bを含む。このような入力装置A40は、互いに隣接する電極要素11と電極要素21との間の寄生容量を低減するのに適する。その理由の一つとして以下のことが考えられる。
【0084】
ラインエレメント53aは、導電性の材料よりなり、且つ、電極要素11と隙間を介して配置されている。そのため、入力装置A20においては、電極要素11とラインエレメント53aとを電極対とするコンデンサC1(図12参照)が形成されているといえる。同様に、ラインエレメント53bは、導電性の材料よりなり、且つ、電極要素21と隙間を介して配置されている。そのため、入力装置A20においては、電極要素21とラインエレメント53bとを電極対とするコンデンサC2(図12参照)が形成されているといえる。本実施形態においてはさらに、ラインエレメント53a,53bは、互いに隙間を介して配置されている。そのため、入力装置A20においては、ラインエレメント53aとラインエレメント53bとを電極対とするコンデンサC3(図12参照)が形成されているといえる。
【0085】
図12に示すように、互いに隣接する電極要素11と電極要素21との間の寄生容量は、直列に接続されたコンデンサC1,C2,C3の合成容量である。本実施形態では、直列に接続されたコンデンサC1,C2の間に、さらにコンデンサC3が直列に接続されているといえる。一方、本実施形態と異なり、光透過層53が互いに隙間を介して配置されたラインエレメント53a,53bを含まない場合、すなわち、光透過層53が一つの膜状の部材である場合、互いに隣接する電極要素11と電極要素21との間の寄生容量は、直列に接続されたコンデンサC1,C2のみの合成容量である。そのため、本実施形態では、光透過層53が互いに隙間を介して配置されたラインエレメント53a,53bを含まない場合と比べ、コンデンサC3を直列に接続した分だけ、電極要素11と電極要素21との間の寄生容量を小さくすることができる。このことは、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出するのに適している。
【0086】
次に、図13を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、本実施形態にかかる入力装置A30の要部平面図である。入力装置A30は、複数の電極x、複数の電極y、複数の配線31,32、透過板4、透明接着剤(図1参照、本実施形態では図示略)、透明カバー(図1参照、本実施形態では図示略)、フレキシブル基板7、およびICチップ8を備える。
【0087】
入力装置A30は、上記した第1実施形態の入力装置A10と比較して、電極x,yの数が少なくなっている。入力装置A30にて電極xの数は5であり、電極yの数は7である。フレキシブル基板7において、表面7aにはメッシュ状のシールド部を含む導電層が形成されており、裏面7bには配線層が形成されている(図1、図5参照、本実施形態では図示略)。
【0088】
図13に示された入力装置A30は、配線31が配線312〜314を含まない点、および、配線32が配線322を含まない点において、上述の入力装置A10と相違する。入力装置A30において、配線311は、各電極yの左右両端に配置された電極要素11に接続している。配線315は、各電極yについて、左右両端の電極要素11を除いた残りの各電極要素11に接続している。上記の入力装置A10と同様に、フレキシブル基板7には配線316〜318,324が形成されており、同一の電極yに含まれる電極要素11に導通している配線(配線316,317)どうしは、配線318およびスルーホール75を介して接続している。なお、図13においては、各配線を模式的に示しており、配線どうしの接続箇所(スルーホール75)を黒丸で示している。
【0089】
入力装置A30においても、上述の入力装置A10と同様にフレキシブル基板7の表面7aにシールド部を含む導電層が形成されているため、この導電層が配線層に対するシールドとして機能し、フレキシブル基板7に対する指Fgの接近により、電極x,yごとの検出値に大きな変化が現れるのを抑制することができる。したがって、検出領域r1における指Fgの接近をより正確に検出することができる。
【0090】
本発明に係る入力装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明にかかる入力装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0091】
上記実施形態において、入力装置が液晶表示パネルBとともに用いられる場合について説明したが、本発明にかかる入力装置は必ずしも液晶表示パネルとともに用いる必要はない。電極x,yは、必ずしも透明である必要はない。これら電極は、Cuなどの不透明な金属により構成されていてもよい。
【0092】
本発明にかかる入力装置は、携帯電話機に用いられるものに限定されない。たとえば、デジタルカメラ、パーソナルナビゲーションデバイス、自動預入支払機、等その他のタッチパネルを用いる機器において用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
A10,A20,A30 入力装置
B 液晶表示パネル
y,y1〜y14 電極(第1検出電極)
x,x1〜x10 電極(第2検出電極)
11 (第1の)電極要素
21 (第2の)電極要素
22 配線部
31 配線(第1配線)
311,312,314,316 配線
313 配線(第1の接続配線)
315 配線(第1の連絡配線)
317 配線(第2の連絡配線)
318 配線(交差配線)
32 配線(第2配線)
321,323,324 配線
322 配線(第2の接続配線)
4 透過板(基板)
4a 表面(第1面)
4b 裏面(第2面)
4c 端部
5 シールド層
53 光透過層
53a,53b ラインエレメント
55 コーティング層
61 透明接着剤
62 透明カバー
62a 表面
7 フレキシブル基板
7a 表面(第1主面)
7b 裏面(第2主面)
71 配線接続部
72 シールド接続部
73 導電層
731 シールド部
74 配線層
75 スルーホール
8 ICチップ(制御手段)
s1 隙間
r1 検出領域
r2 非検出領域
r3,r4,r5,r6 端縁
Y 方向(第1方向)
X 方向(第2方向)
Z 方向(第3方向)
Fg 指(導電体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
上記基板に形成され、第1方向に沿って並列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に沿って延びる複数の第1検出電極と、
上記基板に垂直な第3方向の一方から上記基板に対して接近する導電体について、この導電体と各第1検出電極の間に生じる静電容量の変化によって上記第1方向における上記導電体の接近位置を検出する制御手段と、
上記基板の端部に設けられ、上記第3方向の一方側に向いた第1主面、および上記第3方向の他方側に向いた第2主面を有するフレキシブル基板と、
上記基板および上記フレキシブル基板に跨って形成され、上記制御手段と上記複数の第1検出電極の各々とを接続するための複数の第1配線と、を備え、
上記フレキシブル基板の上記第1主面には、導電性材料からなる導電層が形成されており、
上記フレキシブル基板の上記第2主面には、上記複数の第1配線の一部を含んで構成される配線層が形成されている、静電容量式入力装置。
【請求項2】
上記第2方向に沿って並列され且つ上記第1方向に沿って延びる複数の第2検出電極と、
上記制御手段と上記複数の第2検出電極の各々とを接続するための複数の第2配線と、を更に備える、請求項1に記載の静電容量式入力装置。
【請求項3】
上記配線層は、上記複数の第2配線の一部を含んで構成される、請求項2に記載の静電容量式入力装置。
【請求項4】
上記基板は、上記第3方向の一方側に向いた平面状の第1面を有し、上記第1面に上記複数の第1検出電極および上記複数の第2検出電極のいずれもが形成されている、請求項3に記載の静電容量式入力装置。
【請求項5】
上記各第1検出電極は、上記第2方向に沿って配列された複数の第1の電極要素を備え、
上記各第2検出電極は、上記第1方向に沿って配列された複数の第2の電極要素を備え、
上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のいずれかに導通し、且つ、隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間から上記基板の上記端部まで延びる、上記第1面に形成された複数の第1の連絡配線と、上記フレキシブル基板の上記第2主面に形成され、上記複数の第1の連絡配線の各々に対応する複数の第2の連絡配線と、上記導電層を構成し、且つ、上記複数の第2の連絡配線と交差する交差配線と、を含み、
対応する上記第1および第2の連絡配線は、上記フレキシブル基板の上記第2主面が上記基板の上記第1面に重なる状態で接続されており、
同一の上記第1配線に含まれる上記第2の連絡配線どうしは、上記フレキシブル基板において上記交差配線およびスルーホールを介して接続されている、請求項4に記載の静電容量式入力装置。
【請求項6】
上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のうち上記第2方向に沿って隣接する2つの第1の電極要素どうしを接続し、且つ、これら2つの第1の電極要素に挟まれた隙間に形成された第1の接続配線を備え、
上記複数の第1の連絡配線のいずれかは、これら2つの第1の電極要素もしくは上記第1の接続配線に接続する、請求項5に記載の静電容量式入力装置。
【請求項7】
上記第2配線は、上記複数の第2の電極要素のうち上記第1の接続配線を挟む2つの第2の電極要素どうしを接続する第2の接続配線を備え、
上記第2の接続配線は、上記第1の接続配線が接続された複数の第1の電極要素の一端にあるものを囲むように配置されている、請求項6に記載の静電容量式入力装置。
【請求項8】
上記導電層は、グランド接続されたメッシュ状のシールド部を含んで構成される、請求項1ないし7のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項9】
上記基板における上記第3方向の他方側の第2面には、導電性材料からなるシールド層が形成されており、
上記シールド部は、上記シールド層に接続されている、請求項8に記載の静電容量式入力装置。
【請求項10】
上記フレキシブル基板は、上記基板との接続側端部において、上記配線層の一部を含む配線接続部と、上記シールド部につながるシールド接続部とを有する二股状とされており、
上記配線接続部における上記第2主面が上記基板の上記第1面上に重ねられることにより、上記基板と上記フレキシブル基板との間において上記第1配線もしくは上記第2配線が接続しており、
上記シールド接続部における上記第1主面が上記基板の上記第2面上に重ねられることにより、上記シールド層と上記シールド部とが接続している、請求項9に記載の静電容量式入力装置。
【請求項11】
上記導電層は、上記第3方向視において上記配線層と重なる領域に形成されている、請求項1ないし10のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項12】
上記基板に対して上記第3方向の一方側に対向配置された透明カバーを更に備える、請求項1ないし11のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項13】
隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間に形成された光透過層と、
上記複数の第1の電極要素、上記複数の第2の電極要素、および、上記光透過層を覆うコーティング層と、を更に備える、請求項5に記載の静電容量式入力装置。
【請求項14】
上記光透過層を構成する材料の屈折率は、上記コーティング層を構成する材料の屈折率と異なる、請求項13に記載の静電容量式入力装置。
【請求項15】
上記光透過層を構成する材料は、上記第1の電極要素、もしくは上記第2の電極要素を構成する材料と同一の材料よりなる、請求項13または14に記載の静電容量式入力装置。
【請求項16】
上記光透過層は、互いに離間する複数のラインエレメントを含む、請求項15に記載の静電容量式入力装置。
【請求項1】
基板と、
上記基板に形成され、第1方向に沿って並列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に沿って延びる複数の第1検出電極と、
上記基板に垂直な第3方向の一方から上記基板に対して接近する導電体について、この導電体と各第1検出電極の間に生じる静電容量の変化によって上記第1方向における上記導電体の接近位置を検出する制御手段と、
上記基板の端部に設けられ、上記第3方向の一方側に向いた第1主面、および上記第3方向の他方側に向いた第2主面を有するフレキシブル基板と、
上記基板および上記フレキシブル基板に跨って形成され、上記制御手段と上記複数の第1検出電極の各々とを接続するための複数の第1配線と、を備え、
上記フレキシブル基板の上記第1主面には、導電性材料からなる導電層が形成されており、
上記フレキシブル基板の上記第2主面には、上記複数の第1配線の一部を含んで構成される配線層が形成されている、静電容量式入力装置。
【請求項2】
上記第2方向に沿って並列され且つ上記第1方向に沿って延びる複数の第2検出電極と、
上記制御手段と上記複数の第2検出電極の各々とを接続するための複数の第2配線と、を更に備える、請求項1に記載の静電容量式入力装置。
【請求項3】
上記配線層は、上記複数の第2配線の一部を含んで構成される、請求項2に記載の静電容量式入力装置。
【請求項4】
上記基板は、上記第3方向の一方側に向いた平面状の第1面を有し、上記第1面に上記複数の第1検出電極および上記複数の第2検出電極のいずれもが形成されている、請求項3に記載の静電容量式入力装置。
【請求項5】
上記各第1検出電極は、上記第2方向に沿って配列された複数の第1の電極要素を備え、
上記各第2検出電極は、上記第1方向に沿って配列された複数の第2の電極要素を備え、
上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のいずれかに導通し、且つ、隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間から上記基板の上記端部まで延びる、上記第1面に形成された複数の第1の連絡配線と、上記フレキシブル基板の上記第2主面に形成され、上記複数の第1の連絡配線の各々に対応する複数の第2の連絡配線と、上記導電層を構成し、且つ、上記複数の第2の連絡配線と交差する交差配線と、を含み、
対応する上記第1および第2の連絡配線は、上記フレキシブル基板の上記第2主面が上記基板の上記第1面に重なる状態で接続されており、
同一の上記第1配線に含まれる上記第2の連絡配線どうしは、上記フレキシブル基板において上記交差配線およびスルーホールを介して接続されている、請求項4に記載の静電容量式入力装置。
【請求項6】
上記第1配線は、上記複数の第1の電極要素のうち上記第2方向に沿って隣接する2つの第1の電極要素どうしを接続し、且つ、これら2つの第1の電極要素に挟まれた隙間に形成された第1の接続配線を備え、
上記複数の第1の連絡配線のいずれかは、これら2つの第1の電極要素もしくは上記第1の接続配線に接続する、請求項5に記載の静電容量式入力装置。
【請求項7】
上記第2配線は、上記複数の第2の電極要素のうち上記第1の接続配線を挟む2つの第2の電極要素どうしを接続する第2の接続配線を備え、
上記第2の接続配線は、上記第1の接続配線が接続された複数の第1の電極要素の一端にあるものを囲むように配置されている、請求項6に記載の静電容量式入力装置。
【請求項8】
上記導電層は、グランド接続されたメッシュ状のシールド部を含んで構成される、請求項1ないし7のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項9】
上記基板における上記第3方向の他方側の第2面には、導電性材料からなるシールド層が形成されており、
上記シールド部は、上記シールド層に接続されている、請求項8に記載の静電容量式入力装置。
【請求項10】
上記フレキシブル基板は、上記基板との接続側端部において、上記配線層の一部を含む配線接続部と、上記シールド部につながるシールド接続部とを有する二股状とされており、
上記配線接続部における上記第2主面が上記基板の上記第1面上に重ねられることにより、上記基板と上記フレキシブル基板との間において上記第1配線もしくは上記第2配線が接続しており、
上記シールド接続部における上記第1主面が上記基板の上記第2面上に重ねられることにより、上記シールド層と上記シールド部とが接続している、請求項9に記載の静電容量式入力装置。
【請求項11】
上記導電層は、上記第3方向視において上記配線層と重なる領域に形成されている、請求項1ないし10のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項12】
上記基板に対して上記第3方向の一方側に対向配置された透明カバーを更に備える、請求項1ないし11のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項13】
隣接する上記第1および第2の電極要素に挟まれた隙間に形成された光透過層と、
上記複数の第1の電極要素、上記複数の第2の電極要素、および、上記光透過層を覆うコーティング層と、を更に備える、請求項5に記載の静電容量式入力装置。
【請求項14】
上記光透過層を構成する材料の屈折率は、上記コーティング層を構成する材料の屈折率と異なる、請求項13に記載の静電容量式入力装置。
【請求項15】
上記光透過層を構成する材料は、上記第1の電極要素、もしくは上記第2の電極要素を構成する材料と同一の材料よりなる、請求項13または14に記載の静電容量式入力装置。
【請求項16】
上記光透過層は、互いに離間する複数のラインエレメントを含む、請求項15に記載の静電容量式入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−22427(P2012−22427A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158512(P2010−158512)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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