説明

静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法

【課題】静電粉体塗装で用いる粉粒体塗料を迅速に切替えることが可能な粉粒体塗料切替え方法を提供する。
【解決手段】被覆しようとする粉粒体塗料を帯電させて被塗装物21に塗布する静電粉体塗装の粉粒体塗料の切替え方法において、内部に取出し可能に配置された電極25を備え、通過する被塗装物21に粉粒体塗料を静電吸着させる粉体塗装ブース10を、ハウジング11とハウジング11の内側に取出し及び取付け可能に配置される交換ブース12とによって構成し、粉粒体塗料の切替え時に粉粒体塗料が内在する交換ブース12をハウジング11から取出し、新たな交換ブースをハウジング11に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電粉体塗装において使用する粉粒体塗料を迅速に切替える粉粒体塗料切替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体塗料を帯電させて被塗装物に静電吸着する静電粉体塗装(以下、「静電塗装」ともいう)は、溶剤塗料に比べ環境保全の観点で優れる等の理由から利用が進んでいる。
そして、静電粉体塗装を実現する方法として特許文献1でも記載されているように、電極ピンを有する電極と被塗装物とを内部に配置した粉体塗装ブース内に粉粒体塗料を浮遊させ、この粉粒体塗料を被塗装物に静電吸着させるものがある。
この方法では、電極ピンにコロナ放電を起こすことで発生したイオンが電極ピン近傍に浮遊する粉粒体塗料に付着して粉粒体塗料を帯電させ、帯電した粉粒体塗料がブース内に生じている電界と空気の流れによって循環しながら被塗装物の表面に静電吸着されることで被塗装物への静電塗装が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−80124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の静電粉体塗装では、粉体塗装ブースの内側に被塗装物全体を配置して静電塗装することが前提であるので、塗装が完了した被塗装物を粉体塗装ブースから取出し、次に新たな被塗装物を粉体塗装ブース内に配置した後に静電塗装するとの手順がとられる。
これに対し、粉体塗装ブースの筐体よりも長い被塗装物、例えば金属帯板へ静電塗装するために、上部及び下部にそれぞれ通過口が設けられた粉体塗装ブースを用いて静電塗装する方法がある。
【0005】
この方法では、金属帯板をこの通過口を介して粉体塗装ブースを上下に貫通するように配置して、粉体塗装ブースに配置された部分を静電塗装しながら金属帯板を下から上に移動させて、粉体塗装ブースを通過する部分へ連続的に粉粒体塗料を吸着させる。この方法では、金属帯板の長さが粉体塗装ブースの大きさから制限を受けないとのメリットがあり、更に金属帯板が粉体塗装ブースを通過しながら連続的に静電塗装されることから、効率的な静電塗装が実現可能な点で有効である。
【0006】
ところで、同一の粉体塗装ブースで別の種類の粉粒体塗料による静電塗装をすることがしばしば求められるが、この場合、粉粒体塗料を別の種類のものに切替える工程が必要となる。この粉粒体塗料の切替え工程では、切替え前に使用していた粉粒体塗料が切替え後の新しい粉粒体塗料と混在しないようにするため、切替え前の粉体塗装ブース内に浮遊あるいは付着している粉粒体塗料を取除く工程が必要となる。
【0007】
そして、この粉粒体塗料を取除く工程では、手作業による掃出しや粉体塗装ブースの内壁の清掃等が行われるが、粉体塗装ブース内全体に粉粒体塗料が存在し、また粉体塗装ブースが大きい場合もあり相当程度の時間を要することとなり、粉粒体塗料の切替えに要する時間の中で大きな部分を占める。
したがって、この粉粒体塗料の取除きを迅速に処理することができれば、粉粒体塗料の切替え時間を短縮でき業務(操業)効率を上げることが可能である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、迅速に粉粒体塗料の切替えが可能な静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う本発明に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、被覆しようとする粉粒体塗料を帯電させて被塗装物に塗布する静電粉体塗装の粉粒体塗料の切替え方法において、内部に取出し可能に配置された電極を備え、収納する前記被塗装物に前記粉粒体塗料を静電吸着させる粉体塗装ブースを、ハウジングと該ハウジングの内側に取出し及び取付け可能に配置される交換ブースとによって構成し、前記粉粒体塗料の切替え時に前記交換ブースを交換する。
【0009】
本発明に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースは、膨張及び収縮可能であることが好ましい。
本発明に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースの取付けの際には、内部に空気を注入し前記交換ブースを膨張させて前記ハウジングの内側に密着し、前記交換ブースの取外しの際には、真空圧を利用して前記交換ブースを収縮させることが好ましい。
【0010】
本発明に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースは折り畳み可能にすることもでき、この場合、前記交換ブースは蛇腹構造を有し伸縮可能であるのが好ましい。
本発明に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法において、前記被塗装物及び前記電極を前記粉体塗装ブースから取除いて、前記交換ブースを交換した後、前記電極及び前記被塗装物を該粉体塗装ブースにセットするのが好ましい。
本発明に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースには予め前記粉粒体塗料を内部に閉じ込めておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜7記載の静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、粉体塗装ブースを、ハウジングとハウジングの内側に取出し及び取付け可能に配置される交換ブースとによって構成し、粉粒体塗料の切替え時に交換ブースを交換するので、粉粒体塗料を内部に有する交換ブースを取出すのみでハウジングから粉粒体塗料を取除くことができ、粉体塗装ブース内の清掃をすることなく、しかも、交換ブース内に残った粉粒体塗料が新しい粉粒体塗料に混入するおそれもなく粉粒体塗料の切替えを行うことができる。
特に、請求項2記載の静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、交換ブースが膨張及び収縮可能であるので、交換ブースのハウジングからの取出し、及びハウジング内への配置が容易にできる。
請求項3記載の静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、交換ブースの内部に空気を注入し膨張させてハウジングの内側に密着させ、また、真空圧を利用して交換ブースを収縮させるので、迅速な交換ブースのハウジングからの取出し、及びハウジング内への配置が可能である。
【0012】
請求項4記載の静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、交換ブースは折り畳み可能であるので、交換ブースのハウジングからの取出し、及びハウジング内への配置が容易にできる。
請求項5記載の静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、交換ブースは蛇腹構造を有し伸縮可能であるので、迅速な交換ブースのハウジングからの取出し、及びハウジング内への配置が可能である。
【0013】
請求項6記載の静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、電極を粉体塗装ブースから取除いて、交換ブースを交換した後、電極を粉体塗装ブースにセットするので、ハウジングの外側で電極に付着した粉粒体塗料の清掃ができ、電極の清掃を短時間で確実に行うことが可能である。
請求項7記載の静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法は、交換ブースには予め粉粒体塗料を内部に閉じ込めておくので、交換ブースをハウジングの内側に配置した後、即座に静電粉体塗装を開始可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法が適用される粉体塗装装置の説明図である。
【図2】同粉体塗装装置の一部を省略した側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法が適用される粉体塗装装置の説明図である。
【図5】同粉体塗装装置の一部を省略した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方法に適用される粉体塗装装置30は、電極25と、電極25を内部に取出し可能に配置した粉体塗装ブース10を有し、粉体塗装ブース10に一部が収納される被塗装物の一例である金属帯板21に粉粒体塗料を静電吸着する。粉体塗装ブース10はハウジング11とハウジング11の内壁に密着して配置された変形可能な交換ブース12とによって構成されている。交換ブース12は、膨張及び収縮が可能であり柔軟性を有する樹脂、例えばポリエチレン等を原材料として、膨張した状態でハウジング11の内壁に密着する大きさ、形状となるように加工されている。
【0016】
また、交換ブース12はハウジング11の内側に取出し及び取付け可能で、その外面が接着性を有するように加工されているので、収縮した状態でハウジング11内に配置した後に膨張させることでハウジング11の内壁に接着した状態で密着する。ここで、交換ブース12の接着性を有する加工とは、例えば粘着塗料によるコーティング、あるいは面状ファスナーや、固定ホック等の取付けである。なお、面状ファスナー、又は固定ホックが取付けられる場合は、ハウジング11の内壁にそれぞれに対応する面状ファスナー、又は固定ホックが取付けられる。
ハウジング11は内部に空間を有する直方体であり、その上面(天井部)及び下面(底部)にはそれぞれ上通過孔13及び下通過孔14が設けられ、交換ブース12の上部及び下部にそれぞれ設けられた上部孔15及び下部孔16がその縁部をそれぞれ上通過孔13及び下通過孔14の縁部(正確には、ハウジング11の外側に位置する部分)に接着され、平面視して上通過孔13、下通過孔14、上部孔15、並びに下部孔16は、それぞれ同一の位置に配置された状態となっている。
【0017】
粉体塗装ブース10は、上通過孔13及び上部孔15によって形成される吐出孔17と、下通過孔14及び下部孔16によって形成される挿入孔18とをそれぞれ上面、下面に有する。
粉体塗装ブース10の下方には粉体塗装ブース10を下から支持し、上端部から下端部に渡って貫通する図示しない貫通孔を有する支持台20が設けられている。この貫通孔は、平面視して挿入孔18と同じ位置に配置されている。
【0018】
金属帯板21は、支持台20の貫通孔、並びに粉体塗装ブース10の挿入孔18及び吐出孔17の内側を通過して粉体塗装装置30を下から上に挿通することにより粉体塗装ブース10内で粉粒体塗装がされる。
通過する金属帯板21の幅方向の一方側に位置するハウジング11の側面(側壁部)には回動可能な扉22が左右に取付けられ扉22の回動によって開閉される開閉孔23が設けられている。交換ブース12は、ハウジング11に密着した状態で開閉孔23が位置する部分に側部孔24を有している。
【0019】
交換ブース12の内部には、粉体塗装ブース10から取出し可能な一対の電極25が下部をハウジング11の底部に交換ブース12の底部を介して支持され、しかも相互に対向しその間に金属帯板21が存するように配置されている。電極25には、複数の電極ピン26を有する水平方向に配置された水平軸27が複数備えられ、その電極ピン26は、正極性の高電圧を印加できるように電圧発生源に接続されている。
【0020】
粉体塗装ブース10の外部で容器内に閉じ込められた粉粒体塗料は、図示しない噴出管を介して交換ブース12の内部に噴出され交換ブース12内に浮遊した状態となる。噴出管は一部が交換ブース12の内部に取出し可能に配置されている。
なお、扉22の一部には、開閉孔23を閉じた状態にして電極ピン26を電圧発生源に接続する接続線と粉粒体塗料を噴出する噴出管とがそれぞれ開閉孔23を介して粉体塗装ブース10の内側から外側に渡って配置可能な隙間、例えば貫通孔が設けられている。
【0021】
また、粉体塗装装置30による静電粉体塗装は、高電圧に印加しコロナ放電を起こした電極ピン26近傍に発生したイオンが粉体塗装ブース10内、すなわち交換ブース12内を浮遊している粉粒体塗料に付着し、粉粒体塗料を帯電させ、帯電した粉粒体塗料が交換ブース12内の電界と空気の流れに沿って交換ブース12を循環しながら金属帯板21に静電吸着されることによって行われる。金属帯板21は、粉体塗装ブース10内に配置されている部分が粉粒体塗料を静電吸着しながら下から上に移動しており、粉体塗装ブース10内を通過して吐出孔17から上に位置する部分が静電塗装された状態となる。
【0022】
なお、上部孔15と上通過孔13、下部孔16と下通過孔14は、交換ブース12内で浮遊する粉粒体塗料がハウジング11の内壁と交換ブース12との間に浸入しないようにそれぞれ接着部が連続するように接着されているので、ハウジング11の内壁に粉粒体塗料が付着することなく静電粉体塗装することが可能である。
交換ブース12は、ハウジング11内に配置する前、収縮した状態であり、またハウジング11内に配置されハウジング11の内側面に密着した際に上部孔15及び下部孔16が設けられる箇所にそれぞれ裂き易い構造、例えばミシン目が設けられている。なお、側部孔24は、最初から開口された状態となっている。
【0023】
交換ブース12をハウジング11の内側面に密着させる工程では、まず扉22を回動して開閉孔23を開き、収縮した状態の交換ブース12を側部孔24が開閉孔23に位置するようにハウジング11内に配置した後に、側部孔24から交換ブース12の内部に空気を注入して交換ブース12の外側全体がハウジング11の内側面全体に密着するまで膨張させることが行われる。この空気注入は、交換ブース12の上部孔15と下部孔16用に設けられているミシン目がそれぞれ上通過孔13と下通過孔14の位置に配置されるように交換ブース12の位置及び向きを調整しながら行われる。
【0024】
そして、交換ブース12がハウジング11の内側面全体に密着した後に、上通過孔13と下通過孔14にそれぞれ配置されたミシン目を切り裂いて上部孔15と下部孔16を形成させ、上部孔15と下部孔16の縁部をそれぞれ上通過孔13と下通過孔14の縁部に接着させる。
次に、一対の電極25を交換ブース12内の下部孔16を間に挟むように配置すると共に、噴出管を交換ブース12内に一部が位置するように配置し、その後、側部孔24を介して電極ピン26に接続されている接続線と噴出管を交換ブース12の内側から外側に通した状態にして接着液等で側部孔24を閉じる。
そして、扉22に設けられた隙間、例えば貫通孔にこの接続線と噴出管が配置されるようにして開閉孔23を閉じた後、粉体塗装ブース10の下から金属帯板21を貫通させて配置する。その後、噴出管を介して粉粒体塗料を交換ブース12の内部に噴出して粉粒体塗料が交換ブース12内に浮遊した状態とする。
【0025】
粉粒体塗料を別の種類に切替える工程は、粉体塗装ブース10の上方又は下方に位置する箇所で金属帯板21を切断して粉体塗装ブース10から取除き、開閉孔23を開いて閉じられた状態の側部孔24を開いた後に、前述した接続線及び噴出管と一対の電極25とを粉体塗装ブース10から取出す。そして、取出した接続線、噴出管、及び電極25に付着している静電塗装は取払う。
【0026】
次に、上部孔15と上通過孔13、下部孔16と下通過孔14それぞれの接着部分を取外し、上部孔15及び下部孔16から交換ブース12内部に存在する粉粒体塗料が外部に流出しないように上部孔15及び下部孔16を縛って、あるいはビニールシート等を貼り付けて密封する。
そして、側部孔24に真空圧を利用して交換ブース12内の空気を吸引する管を配置して、交換ブース12内の空気を取除きながら交換ブース12を収縮させる。交換ブース12の収縮がなされた後、交換ブース12をハウジング11から取出し、新たな交換ブースを前述した手順でハウジング11内に配置する。
【0027】
この粉粒体塗料の切替え方法では、ハウジング11に粉粒体塗料が付着しないので、ハウジング11の内面等を清掃することなく粉粒体塗料の切替えが可能である。
交換ブース12には、内部に予め粉粒体塗料を閉じ込めさせておくこともでき、この場合、交換ブース12をハウジング11内に配置した後に外部から粉粒体塗料を送り込む吸出手段を用いる必要がなく有効である。
なお、内部に予め粉粒体塗料を閉じ込めた交換ブース12の内部に空気を注入する際には、粉粒体塗料が側部孔24を介して交換ブース12から外に出ないように、空気を注入する管を側部孔24に通し、側部孔24のその管が配置されている箇所以外の部分は密封する。
【0028】
次に、交換ブース12を使用する代わりに、蛇腹構造を有する交換ブース51を用いる本発明の第2の実施の形態に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方向について説明する。なお、前述した本発明の第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の番号を付して詳しい説明を省略する。
図4、図5に示すように、本実施の形態に係る静電粉体塗装の粉粒体塗料切替え方向に適用される粉体塗装装置60は、粉体塗装ブース50がハウジング11とハウジング11の内壁に配置された折り畳み可能な交換ブース51とによって構成されている。
【0029】
交換ブース51は、一方向に伸縮可能な蛇腹構造であり、金属帯板21の移動方向(上下方向)に伸縮し、しかも、交換ブース51の上部及び下部にそれぞれ形成される上部孔52、下部孔53がその縁部をそれぞれ上通過孔13、下通過孔14の縁部(正確には、ハウジング11の外側に位置する部分)に接着された状態でハウジング11内に配置される。平面視して上通過孔13、下通過孔14、上部孔52、並びに下部孔53は、それぞれ同一の位置に配置された状態となっている。
また、交換ブース51の外面は、ハウジング11の天井部及び底部に接する部分が接着性を有するように、例えば粘着塗料でコーティングされ、あるいは面状ファスナー、又は固定ホック等が取付けられており、交換ブース51は、ハウジング11の天井部及び底部に接着して支持される。なお、面状ファスナー、固定ホックが取付けられる場合は、ハウジング11の天井部及び底部にそれぞれに対応する面状ファスナー、又は固定ホックが取付けられる。
【0030】
交換ブース51は、ハウジング11内に配置する前、収縮しており、上部孔52及び下部孔53は予め開口された状態であり、交換ブース51をハウジング11の内側に配置した状態で、開閉孔23の位置に配置される箇所に設けられた側部孔54も、予め開口されている。
交換ブース51をハウジング11の内側に配置させる工程では、まず扉22を回動して開閉孔23を開き、収縮した状態の交換ブース51を下部孔53が下通過孔14に位置するように配置した後、下部孔53の縁部を下通過孔14に接着部に隙間を有さないように接着すると共に、ハウジング11の底部に交換ブース51の接着性を有する部分を接着する。
【0031】
その後、上部孔52を上通過孔13に近づけるように上方に向かって交換ブース51を伸ばし、次に上部孔52の縁部を上通過孔13に接着部に隙間を有さないように接着すると共に、ハウジング11の天井部に交換ブース51の接着性を有する部分を接着する。
交換ブース51は、上部孔52の縁部を上通過孔13に接着した状態で、蛇腹構造のうち下部に位置する部分が伸びていない状態となっていてもよい。
【0032】
交換ブース51をハウジング11から取除く工程では、交換ブース51から前述した接続線及び噴出管と一対の電極25とを取除いた後で、上部孔52と上通過孔13、下部孔53と下通過孔14それぞれの接着部分を取外し、次に、交換ブース51のハウジング11の天井部及び底部への接着部を引き剥がす。その後上部孔52及び下部孔53から交換ブース51内部に存在する粉粒体塗装が外部に流出しないように上部孔52及び下部孔53を縛って、あるいはビニールシート等を貼り付けて密封する。
【0033】
次に、交換ブース51を上下方向に収縮させた後に、交換ブース51を例えば横向きにして開閉孔23を介してハウジング11から外に取出す。
交換ブース51には、内部に予め粉粒体塗料を閉じ込めさせておくこともでき、この場合には、下部孔53は予め閉じた状態にしておき、ハウジング11内に配置した後に下部孔53を開口し、その開口した縁部を下通過孔14に接着する。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、交換ブースは蛇腹構造以外の折り畳み可能な構造でもよく、また、被塗装物は金属帯板でなくてもよい。更に、全体が粉体塗装ブース(交換ブース)の内部に収納可能な被塗装物でもよく、この場合、粉体塗装ブースを2重構造とするハウジング及び交換ブースは、それぞれ上部及び下部を共に閉じたものを採用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10:粉体塗装ブース、11:ハウジング、12:交換ブース、13:上通過孔、14:下通過孔、15:上部孔、16:下部孔、17:吐出孔、18:挿入孔、20:支持台、21:金属帯板、22:扉、23:開閉孔、24:側部孔、25:電極、26:電極ピン、27:水平軸、30:粉体塗装装置、50:粉体塗装ブース、51:交換ブース、52:上部孔、53:下部孔、54:側部孔、60:粉体塗装装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆しようとする粉粒体塗料を帯電させて被塗装物に塗布する静電粉体塗装の粉粒体塗料の切替え方法において、
内部に取出し可能に配置された電極を備え、収納する前記被塗装物に前記粉粒体塗料を静電吸着させる粉体塗装ブースを、ハウジングと該ハウジングの内側に取出し及び取付け可能に配置される交換ブースとによって構成し、前記粉粒体塗料の切替え時に前記交換ブースを交換することを特徴とする粉粒体塗料切替え方法。
【請求項2】
請求項1記載の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースは、膨張及び収縮可能であることを特徴とする粉粒体塗料切替え方法。
【請求項3】
請求項2記載の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースの取付けの際には、内部に空気を注入し前記交換ブースを膨張させて前記ハウジングの内側に密着し、前記交換ブースの取外しの際には、真空圧を利用して前記交換ブースを収縮させることを特徴とする粉粒体塗料切替え方法。
【請求項4】
請求項1記載の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースは折り畳み可能であることを特徴とする粉粒体塗料切替え方法。
【請求項5】
請求項4記載の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースは蛇腹構造を有し伸縮可能であることを特徴とする粉粒体塗料切替え方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉粒体塗料切替え方法において、前記被塗装物及び前記電極を前記粉体塗装ブースから取除いて、前記交換ブースを交換した後、前記電極及び前記被塗装物を該粉体塗装ブースにセットすることを特徴とする粉粒体塗料切替え方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉粒体塗料切替え方法において、前記交換ブースには予め前記粉粒体塗料を内部に閉じ込めておくことを特徴とする粉粒体塗料切替え方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate