説明

静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法及び画像形成装置

【課題】高湿下における長期使用においても画質低下を抑制することができる静電荷像現像トナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、外添剤とを含み、前記外添剤が亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子を含み、前記亜鉛化合物粒子の個数平均粒径が2.0〜10.0μmであり、前記シリカ粒子の個数平均粒径が60〜250nmであり、全トナー粒子中の遊離亜鉛化合物粒子の個数が0.2〜1.0個数%であり、前記遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度が0.6以下であることを特徴とする静電荷像現像トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を利用した複写機、プリンタなどの画像形成装置で広く用いられている機構として、図1に示すような現像装置が挙げられる。静電荷を形成する帯電工程、光源により潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を、静電荷像現像トナー(以下、「トナー」ともいう。)を含む現像剤を現像スリーブにより搬送し静電潜像現像を行う機構を備えた現像器を介してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を用紙や中間転写体等の被転写体表面に転写する転写工程があり、転写されたトナー像は最終的に定着工程により出力媒体に定着され画像が形成される。そして前記潜像保持体は、転写工程後に表面を弾性ブレードにより残留物を回収するクリーニング工程を経て再び帯電工程へ戻る機構を有している。
図1中に示すクリーニング部材は弾性ブレードを接触させることで、接触部(以下、「「ブレードニップ」ともいう。)で残留物を掻き取り回収容器側へ移す機能を有している。
クリーニング性能として求められる機能として、基本機能としては潜像保持体表面に残留したトナー等の被クリーニング物質を除去することであり、さらに長寿命化の観点からは、潜像保持体表面を傷つけないこと、汚染による画像欠陥発生の観点から等接部の摺擦によりトナー用結着樹脂、離型剤等の樹脂成分をフィルミング(付着)させいないことが挙げられる。
【0003】
これらクリーニング性能を改善するために、特許文献1にトナーにアルミナ等無機粒子を添加することで、フィルミング防止させる方法が開示されている。
脂肪酸金属塩等の潤滑を与える成分(以下、「滑剤」ともいう。)をトナーに添加する方法も特許文献2〜4等が開示されており、この方法はブレードニップの接触面を安定化させ、除去能力に優れ、潜像保持体表面の磨耗も抑制できるため優れている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−250251号公報
【特許文献2】特開昭60−198556号公報
【特許文献3】特開昭61−231562号公報
【特許文献4】特開昭61−231563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高湿下における長期使用においても画質低下を抑制することができる静電荷像現像トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、以下の<1>〜<4>に記載の手段により解決された。
<1>結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、外添剤とを含み、前記外添剤が亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子を含み、前記亜鉛化合物粒子の個数平均粒径が2.0〜10.0μmであり、前記シリカ粒子の個数平均粒径が60〜250nmであり、全トナー粒子中の遊離亜鉛化合物粒子の個数が0.2〜1.0個数%であり、前記遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度が0.6以下であることを特徴とする静電荷像現像トナー、
<2>上記<1>に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
<3>潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、及び、前記転写工程後にクリーニングブレードにより潜像保持体表面の残留物を回収するクリーニング工程、を含み、前記静電荷像現像剤として、上記<1>に記載の静電荷像現像トナー又は上記<2>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法、
<4>潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、静電荷像現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、前記クリーニングブレードを含むクリーニング手段と、を有し、前記静電荷像現像剤として、上記<1>に記載の静電荷像現像トナー又は上記<2>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
上記<1>に記載の発明によれば、高湿下における長期使用においても画質低下を抑制することができる静電荷像現像トナーを提供することができる。
上記<2>に記載の発明によれば、高湿下における長期使用においても画質低下を抑制することができる静電荷像現像剤を提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、高湿下における長期使用においても画質低下を抑制することができる画像形成方法を提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、高湿下における長期使用においても画質低下を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の静電荷像現像トナーは、結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、外添剤とを含み、前記外添剤が亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子を含み、前記亜鉛化合物粒子の個数平均粒径が2.0〜10.0μmであり、前記シリカ粒子の個数平均粒径が60〜250nmであり、全トナー粒子中の遊離亜鉛化合物粒子の個数が0.2〜1.0個数%であり、前記遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度が0.6以下であることを特徴とする。
【0009】
なお、本発明において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
【0010】
従来のトナーとして、特許文献1に記載された発明のように、トナーへのアルミナ等無機粒子を単純に添加しただけでは、フィルミング防止には効果が高いが、潜像保持体表面を徐々に磨耗させるため、長期使用において帯電、潜像形成機能に悪影響を与えるため、画質欠陥等の課題が残る。
従来のトナーとして、特許文献2〜4に記載された発明のように、滑剤をトナーに単純に添加しただけでは、長期使用や、高湿下での使用において、これら滑剤粒子とトナー粒子との現像性差により、常に一定量の滑剤をブレードニップ位置へ供給することが難しい。また、滑剤添加量を多くすることでクリーニング性を維持することも可能であるが、弊害として出力画像の白紙部へのトナーかぶり、滑剤自体の潜像保持体表面へのフィルミングによる画質欠陥等の課題が残る。また、安定した滑剤供給性という面では、現像剤とは別に画像形成装置内部に潜像保持体表面への滑剤塗布装置を設けることでこの問題を解決することができるが、省スペース、コストの面で課題が残る。
【0011】
本発明の静電荷像現像トナーは、亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子を外添剤として含み、ある一定の粒径範囲にそれらを制御することで、現像剤から遊離する亜鉛化合物粒子を一定範囲に制御している。この亜鉛化合物粒子をトナーからブレードニップ部に供給し続けることで長期にわたるクリーニング性能を維持させることができる。
遊離した亜鉛化合物粒子の効果を発生させるためには、前記亜鉛化合物粒子の形状が平均円形度で0.6以下であることが必要である。
また、前記シリカ粒子としてゾルゲル法による球状シリカを用いた場合は亜鉛化合物粒子の遊離量の変動が少なく、より本発明の効果を向上させることができるため、好ましい。
さらに、亜鉛化合物に脂肪酸亜鉛塩を用いた場合、クリーニングブレードの摺擦挙動を安定化させ、よりクリーニング性能に優れたものとなるため、好ましい。
また、画像形成装置の仕様に応じて、使用するトナー中に含まれる亜鉛量及び炭素量と、クリーニング部で回収された回収物中に含まれる亜鉛量及び炭素量を、蛍光X線分析法により測定した場合、亜鉛Znと炭素CとのNet強度比(Zn/C)が、トナーのZn/C比をR1、前記クリーニング部で回収される回収物のZn/C比をR2としたとき、
10≦R2/R1≦30
の範囲になるようにトナー組成を本発明の範囲で調整することで、高湿下でも長期にわたりクリーニング性に優れた画像形成装置を得ることができるため、特に好ましい。
【0012】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0013】
<静電荷像現像トナー>
本発明の静電荷像現像トナーは、結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、外添剤とを含み、必要に応じて、トナー母粒子に着色剤等を含む。
通常、静電荷像現像トナーは、流動性、帯電性制御のために、一般に外添剤と呼ばれる粒子をトナー母粒子と粉体混合して使用される。
【0014】
<結着樹脂>
本発明の静電荷像現像トナーは、結着樹脂を含むトナー母粒子を有する。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体又は共重合体を挙げることができる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン・アクリル酸アルキル共重合体、スチレン・メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン、パラフィンワックス類等を挙げることができる。
前記結着樹脂としては、ポリエステル樹脂を含むことが好ましく、ポリエステル樹脂を結着樹脂の全量の50重量%以上含むことがより好ましい。
【0015】
<離型剤>
本発明の静電荷像現像トナーは、離型剤を含むトナー母粒子を有する。
離型剤の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系ワックス;石油系ワックス;及びそれらの変性物等が挙げられる。
【0016】
その他トナーに添加される材料として、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、それらの合金、酸化物、又は、それら金属を含む化合物などの磁性体やシリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の金属酸化物を使用することができる。
帯電制御剤としては、第四級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。
【0017】
<着色剤>
本発明の静電荷像現像トナーは、着色剤を含んでいてもよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の種々の顔料、または、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料を挙げることができる。
着色剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0018】
<外添剤>
本発明の静電荷像現像トナーは、外添剤として、亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子を含む。
【0019】
〔亜鉛化合物粒子〕
本発明に用いることができる亜鉛化合物粒子の亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛といった無機化合物や、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リノール酸亜鉛等の脂肪酸塩、メタクリル酸亜鉛、安息香酸亜鉛や、亜鉛アセチルアセトネート等の錯体が挙げられる。中でも、本発明には脂肪酸亜鉛塩が好ましい。
脂肪酸亜鉛塩とは、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸や、オレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸と亜鉛とからなる塩である。
本発明に用いることができる脂肪酸亜鉛塩は、流動性、定着性等の観点から、融点が40℃以上200℃であるものが好ましい。中でも、ステアリン酸亜鉛が本発明には特に好適である。
脂肪酸亜鉛塩の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、ステアリン酸ナトリウムのような脂肪酸アルカリ金属塩をカチオン置換する方法や、直接脂肪酸と水酸化亜鉛を反応させる方法によって合成することができる。
前記亜鉛化合物は、公知の方法、例えばジェットミルのような気相下で衝撃粉砕する方法、液中に分散させガウリンホモジナイザー、ボールミル、サンドミル等の液相粉砕装置により粒子化することができる。粒子径は、篩、風力分級装置等の装置によって調整することができる。
前記亜鉛化合物粒子の個数平均粒径は、2.0〜10.0μmであり、2.2〜10.0μmであることが好ましく、2.5〜4.5μmであることがより好ましい。また、3.0μmを越える個数平均粒径であることも好ましい。個数平均粒径が2.0μm未満であると、粒子凝集性が高いためか所望の効果を得ることが困難であり、また、10.0μmを超えると、現像剤からの供給が過剰となり長期的に枯渇するため、経時にわたる均一な供給が困難となりクリーニング性能の維持が困難となる。
また、本発明の静電荷像現像トナーにおける亜鉛化合物粒子の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.05〜3重量部であることが好ましく、0.1〜1.0重量部であることより好ましく、0.1〜0.5重量部であることが更に好ましく、0.1〜0.3重量部であることが特に好ましい。
【0020】
〔シリカ粒子〕
本発明における、シリカは二酸化ケイ素を主成分とする化合物を指し、晶形、水和構造等は特に限定されない。
本発明に用いることができるシリカ粒子としては、特に制限はなく、例えば、燃焼法によるヒュームドシリカや、湿式法としてアルコキシシランを水−アルコール中でアンモニアを加えて造粒するゾルゲル法シリカが挙げられるが、ゾルゲル法によって造粒された球状シリカ粒子が好ましい。
前記シリカ粒子の個数平均粒径は、レーザー回折・散乱方式粒度測定装置LA−920((株)堀場製作所製)を用い、水−アルコール媒体下シリカの相対屈折率1.1の条件で測定することが好ましい。
シリカ粒子の個数平均粒径は、60nm以上250nm以下であることが必要であり、100nm以上200nm以下であることが好ましい。静電特性の影響と考えられるが、本発明のトナーにおけるシリカ粒子は亜鉛化合物粒子の遊離量に影響し、60nmより小さい場合はシリカ粒子とトナー間の付着力が強く亜鉛化合物粒子の遊離が多くなりすぎてしまい、長期的にクリーニング特性を維持することが難しく、250nmを超えると、シリカ粒子と亜鉛化合物粒子との凝集体が発生しやすく同様に前記遊離量を制御することが難しくなる。
また、本発明の静電荷像現像トナーにおけるシリカ粒子の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.05〜3重量部であることが好ましく、0.1〜1.0重量部であることより好ましく、0.1〜0.5重量部であることが更に好ましい。
【0021】
本発明におけるシリカ粒子は、球状であることが好ましい。
球状の定義は、下記式により求められるWadellの球形化度
球形化度=(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)/(実際の粒子の表面積)
として求められる値を指標とした。上記式において、分子(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)は、前述の粒度計測結果から計算で求めた。また、分母(実際の粒子の表面積)は、島津粉体比表面積測定装置SS−100型を用い、BET比表面積より代用させた。
球形化度が0.6以上であることを本発明における球状の定義とする。
【0022】
〔その他の外添剤〕
本発明の静電荷像現像トナーは、亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子以外の外添剤を含んでいてもよい。
亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子以外の外添剤の例としては、無機粒子や有機粒子等の公知の外添剤を用いることができるが、その中でも、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウム及びリン酸カルシウム等の無機粒子、フッ素含有樹脂粒子、シリコーン粒子及び窒素含有樹脂粒子等の有機樹脂粒子が好ましい。また、疎水化などのため、アルキルシランカップリング剤等を用いて外添剤表面に表面処理を施してもよい。
亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子以外の外添剤としては、チタニア粒子であることが好ましく、アルキルシランカップリングにより表面処理を施したチタニア粒子であることがより好ましく、デシルシランカップリング剤により表面処理を施したチタニア粒子であることがさらに好ましい。
また、亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子以外の外添剤の個数平均粒径は、各種それぞれにおいて、5nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm未満であることがより好ましい。
【0023】
<遊離亜鉛化合物粒子>
本発明の静電荷像現像トナーに含まれる遊離亜鉛化合物粒子は、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(Sysmex社製)を用いて測定することが好ましい。
具体的には、例えば、5重量%塩化ナトリウム水溶液50mLに、30重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を0.5mL添加した溶液中にトナーを40mL入れ、撹拌子を入れマグネティックスターラにて5分混合させ、トナーを均一に分散させる。得たトナー分散液をFPIA−3000にてトータルカウント18,000個に設定しサンプルを測定する。全撮影粒子を全トナー粒子とみなし、そのうち全撮影粒子中の不定形透明粒子を遊離亜鉛化合物粒子としてカウントし、トータルカウント中の遊離亜鉛化合物粒子の個数%を算出することが特に好ましい。
トナー中の遊離亜鉛化合物粒子量(個数%)=(不定形透明粒子数/トータルカウント18,000)×100
【0024】
本発明の静電荷像現像トナーにおける全トナー粒子中の遊離亜鉛化合物粒子の量は、0.2〜1.0個数%であることが必要である。0.2個数%未満では、クリーニングブレードニップ位置まで到達する亜鉛化合物粒子量が少なく本発明の効果が得られず、1.0個数%を超えると、初期的にはクリーニング適性に優れるが、供給過剰となり亜鉛化合物が逆に高湿度下の長期使用では結果的に不足してしまい潜像保持体表面でトナーの像流れを発生させやすくなる。
【0025】
本発明の静電荷像現像トナーにおける遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度は、0.6以下、すなわちある程度の異形度を有することが必要である。平均円形度が0.6を超えると、亜鉛化合物粒子がブレードニップ位置に深く入りすぎ、結果色筋等の画質欠陥が現れやすい。
また、遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度は、0.4〜0.6であることが好ましい。
遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度は、前記FPIA−3000で測定した不定形透明粒子のみを選別して個数平均円形度の値を求め、遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度とすることが好ましい。
【0026】
本発明のトナーの体積平均粒径D50としては、4μm〜13μmの範囲が好ましく、5μm〜10μmの範囲がより好ましい。また、本発明のトナーの個数平均粒径としては、3μm〜9μmの範囲が好ましく、4μm〜6μmの範囲がより好ましい。
トナーの体積平均粒径及び亜鉛化合物粒子などの個数平均粒径の測定は、マルチサイザー3型(ベックマン−コールター社製)を用いて測定することが好ましい。
具体的には、例えば、100μmのアパチャーチューブを使用し、測定対象の粉体粒子をビーカーに入れ、電解質水溶液(アイソトン水溶液)を加えた後超音波洗浄器に入れ分散処理を行う。分散しながら10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を滴下していき、測定粒子を均一に分散させた後、測定を行うことが特に好ましい。
【0027】
また、トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.28以下が好ましい。GSDvが1.28以下であると、画像の鮮明度及び解像度が良好である。一方、個数平均粒度分布指標GSDpは1.30以下であることが好ましい。GSDpが1.30以下であると、小粒径トナーの比率が低く、初期性能及び信頼性が良好である。
体積平均粒度分布指標GSDv及び個数平均粒度分布指標GSDpが上記範囲であると、小径成分を少なくすることができ、潜像保持体へのフィルミング、現像機内でのトナー割れ、現像機からのふきだし、及び、帯電不良による画質低下などを抑制することができる。
なお、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25以下であることがより好ましく、個数平均粒度分布指標GSDpは1.25以下であることがより好ましい。
【0028】
このようにして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒子径を累積体積平均粒子径D16v、累積数平均粒子径D16p、累積50%となる粒子径を累積体積平均粒子径50v、累積数平均粒子径D50p、累積84%となる粒子径を累積体積平均粒子径D84v、累積数平均粒子径D84pと定義する。
ここで、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p1/2として規定される。
【0029】
<その他の添加剤>
本発明のトナーには、前記したような成分以外にも、さらに必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は、主にトナーの粘弾性調整を目的としてトナー母粒子に添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
【0030】
トナーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、前述のトナー構成材料を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、離型剤、必要に応じて着色剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー母粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と離型剤、必要に応じて着色剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂、離型剤、必要に応じて着色剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。また、上記方法で得られた着色粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
外添剤の混合はV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等の公知の混合機によって行うことができる。
【0031】
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」ともいう。)は、本発明の静電荷像現像トナーを含むものであり、目的に応じて他の成分を配合することができる。
具体的には、本発明の静電荷像現像トナーを単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。二成分系の静電荷像現像剤とする場合、トナー濃度は1重量%以上10重量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0032】
<キャリア>
キャリアは、少なくとも磁性芯材粒子と樹脂成分とからなることが好ましい。また、キャリアは、従来公知の静電荷像現像キャリアと同一又は類似してもよく、特に限定されない。
キャリアに含まれる樹脂成分として用いられる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル系共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂又はその変性品;フッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート、アミノ樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂;エポキシ樹脂等を用いることができる。これらは単独で使用してもよいし、複数の樹脂を混合して使用してもよく、抵抗制御、帯電性制御の目的で無機粒子やカーボンブラック等の粉体を添加してもよい。
磁性芯材粒子とキャリア用樹脂の混合は、磁性芯材粒子表面に噴霧するスプレー法、磁性芯材粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で樹脂被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で磁性芯材粒子と樹脂被覆層形成用溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダーコーター法、乾式コート法としては、樹脂微粒子と磁性芯材粒子とを加熱または高速混合して被覆するパウダーコート法等が挙げられ、用途に応じて方式を組み合わせて使用することができる。
【0033】
樹脂被覆キャリアの芯材としては、鉄粉、フェライト、マグネタイトなどの造型物が挙げられ、その平均径は30μm以上200μm以下であることが好ましい。
被覆層を形成する被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー等の単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。
【0034】
被覆樹脂量は、芯材100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下の範囲が好ましく、0.5重量部以上3.0重量部以下の範囲がより好ましい。キャリアの製造には、例えば加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。静電荷像現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比には特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。
【0035】
(画像形成方法、画像形成装置)
次に、本発明の静電荷像現像トナーを用いた画像形成方法について説明する。
本発明のトナーを用いた画像形成方法としては、公知の電子写真法が利用できるが、潜像保持体(「感光体」ともいう。)表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、及び、前記転写工程後にクリーニングブレードにより潜像保持体表面の残留物を回収するクリーニング工程、を含み、前記静電荷像現像剤として本発明の静電荷像現像トナー又は本発明の静電荷像現像剤を用いることが好ましい。
なお、これらの工程以外にも電子写真法による画像形成方法に利用される公知の工程を組み合わせることができ、例えば、転写工程を終えた後の潜像保持体表面に残留するトナーを回収しながらクリーニングするクリーニング工程や、クリーニング工程で回収されたトナーを現像剤用のトナーとして再利用(リサイクル)するトナー再利用工程(トナーリサイクル工程)を含むものであってもよい。
【0036】
また、本発明のトナーを用いた画像形成装置としては、公知の画像形成装置が利用できるが、具体的には、潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、静電荷像現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、前記クリーニングブレードを含むクリーニング手段と、を有し、前記静電荷像現像剤として本発明の静電荷像現像トナー又は本発明の静電荷像現像剤を用いることが好ましい。
【0037】
<潜像形成工程>
ここで、潜像形成工程とは、潜像保持体の表面を、帯電手段により帯電した後、レーザー光学系やLEDアレイなどで潜像保持体に露光し、静電潜像を形成する工程である。前記帯電手段としては、例えば、コロトロン、スコロトロンなどの非接触方式の帯電器、及び、潜像保持体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより、潜像保持体表面を帯電させる接触方式の帯電器が挙げられ、いかなる方式の帯電器でもよい。しかし、オゾンの発生量が少なく、環境に優しく、かつ耐刷性に優れるという効果を発揮するという観点から、接触帯電方式の帯電器が好ましい。前記接触帯電方式の帯電器においては、導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、ローラー状等の何れでもよく制限を受けるものではない。なお、潜像形成工程は上述した態様のみに限定されるものではない。
【0038】
<現像工程>
前記現像工程とは、潜像保持体表面に、少なくともトナーを含む現像剤層を表面に形成させた現像剤保持体を接触若しくは近接させて、前記潜像保持体表面の静電潜像にトナーの粒子を付着させ、潜像保持体表面にトナー像を形成する工程である。現像方式は、既知の方式を用いて行うことができるが、現像剤が二成分現像剤である場合の現像方式としては、例えばカスケード方式、磁気ブラシ方式などがある。なお、現像方式は上述した態様のみに限定されるものではない。
【0039】
<転写工程>
前記転写工程とは、潜像保持体表面に形成されたトナー像を、記録媒体に転写する工程である。なお、転写工程は、紙等の記録媒体にトナー像を直接転写する方式の他に、ドラム状やベルト状の中間転写体に転写後、紙等の記録媒体に転写する方式でもよい。なお、転写方式は上述した態様のみに限定されるものではない。
【0040】
潜像保持体からのトナー像を紙等に転写する転写装置としては、例えばコロトロンが利用できる。コロトロンは用紙を帯電する手段としては有効であるが、記録媒体である用紙に所定の電荷を与えるために、数kVという高圧を印加しなければならず、高圧電源を必要とする。また、コロナ放電によってオゾンが発生するため、ゴム部品や潜像保持体の劣化を引き起こすので、弾性材料を有する導電性の転写ロールを潜像保持体に圧接して、用紙にトナー像を転写する接触転写方式が好ましい。なお、転写装置は上述した態様のみに限定されるものではない。
【0041】
<クリーニング工程>
前記クリーニング工程とは、クリーニングブレードを潜像保持体表面に直接接触させ、潜像保持体表面に付着しているトナー、紙粉、ゴミなどを除去する工程である。
前記クリーニングブレードとしては、ポリウレタン等のゴム製のような弾性体ブレードであることが好ましい。
【0042】
<定着工程>
前記定着工程とは、記録媒体表面に転写されたトナー像を定着装置にて定着する工程である。定着装置としては、ヒートロールを用いる加熱定着装置が好ましく用いられる。加熱定着装置は、円筒状芯金の内部に加熱用のヒータランプを備え、その外周面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層により、いわゆる離型層を形成した定着ローラと、この定着ローラに対し圧接して配置され、円筒状芯金の外周面あるいはベルト状基材表面に耐熱性の弾性材料を含む層を形成した加圧ローラあるいは加圧ベルトと、で構成される。トナー像の定着プロセスは、定着ローラと加圧ローラあるいは加圧ベルトとにより形成される接触部にトナー像が形成された記録媒体を通過させて、トナー中の結着樹脂、添加剤等の熱溶融による定着を行う。但し、定着方式については上述した態様のみに限定されるものではない。
【0043】
なお、フルカラー画像を作製する場合には、複数の像保持体がそれぞれ各色の現像剤保持体を有しており、その複数の像保持体及び現像剤保持体それぞれによる潜像形成工程、現像工程、転写工程及びクリーニング工程からなる一連の工程により、同一の記録媒体表面に前記工程ごとの各色トナー像が順次積層形成され、その積層されたフルカラーのトナー像を、定着工程で熱定着する画像形成方法が好ましく用いられる。
そして、本発明の静電荷像現像トナー又は本発明の静電荷像現像剤を、上記画像形成方法に用いることにより、例えば、小型、カラー高速化に適したタンデム方式においても、安定した現像、転写、定着性能を得ることができる。
【0044】
トナー再利用工程を実施するためのトナー再利用手段の構成としては特に限定されるものではないが、例えば、クリーニング部で回収されたトナーを搬送コンベアあるいは搬送スクリューによって補給用トナーホッパー、現像器あるいは補給用トナーと中間室によって混合して、現像剤を収容する現像器へ供給する方法等を挙げることができる。好適には現像器へ直接戻す方式あるいは中間室にて補給用トナーとリサイクルトナーを混合して供給する方式を挙げることができる。
【0045】
また、トナー像を転写した後の前記潜像保持体表面に残留するトナーを回収しながらクリーニングするクリーニング手段と、前記クリーニング手段により回収されたトナーを前記静電荷像現像剤に使用するトナーとして再利用するトナー再利用手段とをさらに含むことが好適である。
【0046】
また、上述した構成を有する画像形成装置においては、画像形成装置に対して脱着可能であり、トナー像形成手段に供給するための静電荷像現像トナーを収納したトナーカートリッジを用いてもよい。さらに、画像形成装置に対して脱着可能であり、潜像保持体と、静電荷像現像剤を収容すると共に前記潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記静電荷像現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段とを少なくとも備えたプロセスカートリッジを用いてもよい。
なお、プロセスカートリッジは、上述したように潜像保持体とトナー像形成手段とを少なくとも含む装置本体に着脱自在の単一ユニットであるが、この他に、帯電手段や露光手段、クリーニング手段なども含まれていてもよい。
【0047】
トナー像を転写する被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を使用することができる。
【0048】
また、本発明の画像形成方法は、蛍光X線分析法による亜鉛Znと炭素CとのNet強度比(Zn/C)が、トナーのZn/C比をR1、前記クリーニング工程により回収される回収物のZn/C比をR2としたとき、
10≦R2/R1≦45
の関係を満たすことが好ましく、
10≦R2/R1≦30
の関係を満たすことがより好ましく、
18≦R2/R1≦25
の関係を満たすことが更に好ましい。
前記R2/R1の値が上記範囲であると、クリーニングブレードニップ部への亜鉛化合物粒子供給量が適度であるため、クリーニング性に優れ、潜像保持体におけるフィルミングの発生を抑制することができる。
【0049】
トナー及び回収物の測定は、画像形成装置において、クリーニング回収容器を清掃し、トナー100g程度の消費となるような出力テストを実施した場合、使用したトナーそのものと、回収容器から回収した回収物の2サンプルの前記蛍光X線測定を行い、求めることができる。
前記回収物は、図2に示す現像装置において、現像スリーブの開口部3の上下ハウジング表面に吹き出し付着したトナーが回収物となる。
また、前記回収物は、A4用紙縦方向の上端部から4cm、14cm、23cmの位置に1.2cm×17.0cm幅のベタ画像(出力方向が長辺)をテストチャートとして、20,000枚出力した後の回収物であることが好ましく、40,000枚出力した後の回収物であることがより好ましく、60,000枚出力した後の回収物であることがさらに好ましい。
また、前記回収物は、DocuCentre Color f450複合機(富士ゼロックス(株)製)を改造し、内蔵現像剤をすべて除去し、トナーと現像剤をシアン用トナーカートリッジ及び現像器に充填した装置で出力を行い、回収した回収物であることが好ましい。
【0050】
図2は、現像装置の一例の断面模式図である。
従来、電子写真技術を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられる現像装置1は、一般に、感光体等の静電潜像保持体2に対向して現像用開口部3が開設された現像ハウジング5を有し、前記現像用開口部3に面して現像ロール4等の現像剤保持体を配設すると共に、前記現像ハウジング5内に収容された現像剤を撹拌装置6で撹拌しながら、前記現像ロール4に保持させ、現像用開口部3に面した現像領域まで現像剤を搬送し、静電潜像保持体2上の静電潜像を可視像化するものである。
このような現像装置1においては、現像動作時に、現像ハウジング5の現像用開口部3と現像ロール4との隙間から静電荷像現像剤の遊離トナー(クラウドトナー)7が外部へ流出してしまう。
前記遊離トナーを回収物として回収し測定した前記R2/R1の値を特定の範囲に制御することにより、画像形成時において、クリーニング性に優れ、潜像保持体におけるフィルミングの発生を抑制することができる。
【0051】
蛍光X線による測定方法について詳説する。蛍光X線分析法による亜鉛Znと炭素CとのNet強度比の測定は、以下の方法で行うことが好ましい。
試料前処理は、サンプル150mgを精秤し、加圧成型器で5t/cm2、1分間の加圧成型を実施し10mm径、ディスク状の測定サンプルを作製する。
成型されたサンプルは、波長分散型蛍光X線分析装置XRF−1500((株)島津製作所製)にて、Rhターゲット、管電圧40KV、管電流70mA、測定時間30分の測定条件にて各元素由来の発生X線量であるNet強度(kcps)値を測定する。
測定結果から、(亜鉛ZnのNet強度値)÷(炭素CのNet強度値)の値を計算し、Net強度比(Zn/C)と定義した。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において「部」は、「重量部」を意味する。
【0053】
<亜鉛化合物粒子の作製>
エタノール5,000部にステアリン酸1,145部を加え、75℃で混合したものに、水酸化亜鉛200部を少しずつ加えていき、投入終了後から1時間混合した。混合後20℃まで冷却し、生成物をろ別してエタノール及び反応残渣を除き、取り出した生成固形物を、加熱型真空乾燥器を用いて150℃で3時間乾燥させた。乾燥機から取り出し放冷後、ステアリン酸亜鉛の固形物を得た。
ステアリン酸亜鉛の固形物をジェットミルで粉砕した後、エルボージェット分級機(マツボー製)を用い、分級カットポイント3.5μm及び5.1μmで分級し、個数平均粒径4.2μmの粉体状のステアリン酸亜鉛1を得た。
【0054】
前記ステアリン酸亜鉛1の製造方法において、分級カットポイントの変更(8μm及び10.5μm)により、個数平均粒径9.5μmのステアリン酸亜鉛3、分級カットポイント(10μm及び13μm)により個数平均粒径10.5μmのステアリン酸亜鉛5を得た。
また、前記ステアリン酸亜鉛1の製造方法において、ジェットミルの粉砕を繰り返して微粉量を増やし、分級カットポイント(1.8μm及び3μm)により個数平均粒径2.3μmのステアリン酸亜鉛2、分級カットポイント(1μm及び2μm)により個数平均粒径1.8μmのステアリン酸亜鉛4を得た。
【0055】
前記ステアリン酸亜鉛1をドデシルベンゼンスルホン酸水溶液と混合し、ゴーリンホモジナイザー15MR−8TA(同栄商事(株))を用いて微粉砕し、分散液を取り出しろ別洗浄、凍結真空乾燥器にて乾燥させ、個数平均粒径3.8μmのステアリン酸亜鉛6を得た。光学顕微鏡にて形態を観察したところ、ステアリン酸亜鉛6の粒子は形状が滑らかな形態の粒子の比率が多く見られた。
【0056】
<シリカ粒子の作製>
撹拌機、滴下ロート、温度計をガラス製反応器にセットし、メタノール640部、イオン交換水360部、25%アンモニア水145部を加え、20℃に調整し撹拌した。それら混合液に対し、テトラメトキシシラン760部を1時間かけて滴下した。滴下後系内の液温を35℃に調整し、撹拌操作(1)を4時間続け、シリカゾルを生成させた。その後イオン交換水1,000部を加え混合した後遠心分離を行い、上澄みを除去し、再度イオン交換水1,000部を加えた後混合しながら90℃で加熱しメタノールを除去し、シリカゾル懸濁液(A)を得た。
メタノール除去後のシリカゾル懸濁液(A)にメチルイソブチルケトンを2,000部加え105℃で加熱濃縮し、水分を除去し、メチルイソブチルケトン主体のシリカゾル懸濁液(B)を得た。
引き続きシリカゾル懸濁液(B)にヘキサメチルジシラザン88部を加え110℃下で3時間疎水化処理を行った後、ロータリーエパポレーターに移し80℃で減圧乾燥を行い、取り出した固形分をサンプルミルで解砕し、音波篩分器を用いて200メッシュのステンレス篩による解砕、粗粉除去を行い、ゾルゲルシリカ1を得た。
ゾルゲルシリカ1の個数平均粒径は150nm、球形化度は0.7であった。
【0057】
前記ゾルゲルシリカ1の製造工程において、撹拌操作(1)の時間を1時間とし、個数平均粒径は65nm、球形化度は0.7のゾルゲルシリカ2を得た。
【0058】
前記ゾルゲルシリカ1の製造工程において、撹拌操作(1)の時間を6時間とし、個数平均粒径は240nm、球形化度は0.6のゾルゲルシリカ3を得た。
【0059】
<比較例用シリカ粒子の作製>
前記ゾルゲルシリカ1の製造工程において、撹拌操作(1)の時間を25分間とし、個数平均粒径は40nm、球形化度は0.6のゾルゲルシリカ4を得た。
【0060】
前記ゾルゲルシリカ1の製造工程において、撹拌操作(1)の時間を9時間とし、個数平均粒径は300nm、球形化度は0.6のゾルゲルシリカ5を得た。
【0061】
<トナー母粒子1>
C.I.ピグメントブルー15:3 20重量部、酢酸エチル75重量部、溶媒除去したディスパロンDA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩、楠本化成(株)製)4重量部、ソルスパース5000(顔料誘導体、ゼネカ社製)1重量部を、サンドミルを用いて溶解/分散し、顔料分散液を作製した。
離型剤としてパラフィンワックス(融点89℃)30重量部と酢酸エチル270重量部とを、DCPミル(ビューラー社製:ドライススーパーフロー)を用い10℃に冷却した状態で、湿式粉砕し、ワックス分散液を作製した。
ポリエステル樹脂(モノマー原料として、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物及びエチレンオキサイド付加物、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、アジピン酸からなる。Mw:31,000、Tg:60℃、軟化点:115℃)136重量部、顔料分散液を34重量部、酢酸エチル56重量部を撹拌後、ワックス分散液75重量部を加え、均一になるまでよく撹拌した(この液をA液とした。)。
個数平均粒径0.2μmの炭酸カルシウム微粒子40重量部、水60重量部に分散した炭酸カルシウム分散液124重量部とセロゲンBS−H(第一工業製薬(株))の2%水溶液99重量部と水157重量部をホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて5分間撹拌した(この液をB液とした。)。
さらにホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて前記B液345重量部を10,000rpmで撹拌している中に前記A液250重量部を加え、1分間攪拌し混合液を懸濁し、室温常圧でプロペラ型撹拌機を用いて攪拌し溶媒を除去した。次に塩酸を加えて、炭酸カルシウムを除去した後、イオン交換水添加混合とろ別による水洗をろ液の電気伝導度が2μS/cmとなるまで繰り返した後、真空乾燥器で乾燥した。エルボジェット分級機を用いて微粉及び粗粉を除き、平均粒径7.2μmのシアントナー母粒子1を得た。
【0062】
<キャリア1の製造>
Mn−Mgフェライト粒子(体積平均粒径=40μm) 1,000重量部
スチレン(St)/メチルメタクリレート(MMA)樹脂(共重合比25:75:Mw80,000) 23重量部
カーボンブラック 2重量部
トルエン 400重量部
以上組成物を減圧加熱型ニーダーに投入し、混合、70℃に加熱しながら減圧乾燥した。得られたものを粒度メッシュ200のSUS篩にて篩分し、キャリア1を得た。
【0063】
<実施例及び比較例用トナーの作製>
トナー母粒子及び各材料を以下の比率にてヘンシェルミキサーにて3,000rpmで3分間混合し、各トナーを得た。
【0064】
(実施例1用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
デシルシランカップリング剤(信越化学工業(株)製:AX43-045)により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛1・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
実施例1用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.45個数%、平均円形度は0.45であった。
【0065】
(実施例2用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛1・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ2・・・0.5重量部
実施例2用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.8個数%、平均円形度は0.48であった。
【0066】
(実施例3用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛1・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ3・・・0.5重量部
実施例3用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.35個数%、平均円形度は0.42であった。
【0067】
(実施例4用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛2・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
実施例4用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.21個数%、平均円形度は0.52であった。
【0068】
(実施例5用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛3・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
実施例5用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.95個数%、平均円形度は0.41であった。
【0069】
(比較例1用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛1・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ4・・・0.5重量部
比較例1用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は1.40個数%、平均円形度は0.47であった。
【0070】
(比較例2用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛1・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ5・・・0.5重量部
比較例2用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.18個数%、平均円形度は0.55であった。
【0071】
(比較例3用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛4・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
比較例3用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.13個数%、平均円形度は0.52であった。
【0072】
(比較例4用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛5・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
比較例4用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は1.30個数%、平均円形度は0.35であった。
【0073】
(比較例5用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛6・・・0.2重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
比較例5用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.82個数%、平均円形度は0.68であった。
【0074】
(実施例6用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛1・・・0.5重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
実施例6用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.95個数%、平均円形度は0.43であった。
【0075】
(実施例7用トナー)
トナー母粒子1・・・100重量部
実施例1に用いたデシルシランカップリング剤により疎水化処理した個数平均粒径20nmのチタニア粒子・・・1.0重量部
ステアリン酸亜鉛1・・・0.35重量部
ゾルゲルシリカ1・・・0.5重量部
実施例7用トナーの遊離亜鉛化合物粒子の量は0.77個数%、平均円形度は0.44であった。
【0076】
後述する表1に各トナーの一覧を示す。
【0077】
<評価用現像剤の調製>
前記実施例及び比較例各トナーを、キャリア1を100重量部に対し、トナーを7重量部の比率でV型ブレンダーにて25℃室温下40rpmで20分間混合し、150メッシュ(目開き:106mm)のSUS篩で篩分し、各評価用現像剤を得た。
【0078】
<評価>
画像出力には、DocuCentre Color f450複合機(富士ゼロックス(株)製)を改造し、内蔵現像剤をすべて除去し、実施例及び比較例用トナーと現像剤をシアン用トナーカートリッジ及び現像器に充填し、評価テスト装置(以下、「評価用複合機」ともいう。)とした。
用紙はA4紙(C2紙、富士ゼロックス(株)製)、出力はA4横送りモードでプリントテストを実施した。
評価プリント画像はA4用紙縦方向の上端部から4cm、14cm、23cmの位置に1.2cm×17.0cm幅のベタ画像(出力方向が長辺)をテストチャートとして出力した。
画像濃度はX−Rite938(日本平版機材(株)製)を用いて測定し、対象領域での5回測定の平均値を画像濃度とした。
画像濃度調整は1,000枚プリント毎にプリント画像の濃度測定結果から画像濃度ID=1.25から1.55となるように調整した。
評価は、テスト用トナー及び現像剤をセットした評価用複合機を温度28℃湿度85%の環境室にて8時間放置後、以下の手順にて出力テストを実施した。
(1)温度28℃湿度85%の環境室内で1万枚プリント出力する。
(2)評価用複合機を温度25℃湿度60%の環境室内へ移動させ、さらに1万枚プリント出力する。
(3)温度28℃湿度85%の環境室内に移動させ、8時間放置させる。
上記(1)から(3)の2万枚のプリントテストを1サイクルとして、3サイクル合計6万枚の出力テストを実施した。
各サイクルの終了時、クリーニング部を取り外し、回収物を蛍光X線分析に供し、清掃後再度セットして用いた。
【0079】
<評価指標>
(色筋汚れ)
各サイクルの初期10枚目の出力画像を画像評価用サンプルとし、色筋汚れの有無を以下の指標で判断した。
◎:色筋汚れが未発生である。
○:色筋汚れが目視では確認できないが、ルーペでわずかに確認できる。
△:軽微な色筋汚れが目視で確認できる。
×:明確な色筋汚れが目視で確認できる。
【0080】
(像流れ)
各サイクルの初期10枚目の出力画像を画像評価用サンプルとし、目視にて、像流れ有無を以下の指標で判断した。
◎:像流れが未発生である。
○:像流れが目視では確認できないが、ルーペでわずかに確認できる。
△:軽微な像流れが目視で確認できる。
×:明確な像流れが目視で確認できる。
評価が「×」となった場合はその時点でテストを終了した。
【0081】
<蛍光X線測定>
試料前処理は、サンプル150mgを精秤し、加圧成型器で5t/cm2、1分間の加圧成型を実施し10mm径、ディスク状の測定サンプルを作製した。
成型されたサンプルは、波長分散型蛍光X線分析装置XRF−1500((株)島津製作所製)にて、Rhターゲット、管電圧40KV、管電流70mA、測定時間30分の測定条件にて各元素由来の発生X線量であるNet強度(kcps)値を測定した。
測定結果から、(亜鉛ZnのNet強度値)÷(炭素CのNet強度値)の値を計算し、Net強度比(Zn/C)と定義した。
【0082】
後述する表2に各テストの結果を示す。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】画像形成装置の一例の横方向からの断面模式図である。
【図2】現像装置の一例の断面模式図である。
【符号の説明】
【0086】
1:現像装置
2:静電潜像保持体
3:現像用開口部
4:現像ロール
5:現像ハウジング
6:撹拌装置
7:遊離トナー
11:帯電装置
21:潜像保持体
31:潜像形成装置
41:現像装置
51:被転写体
61:転写装置
71:クリーニング回収装置
72:クリーニングブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、外添剤とを含み、
前記外添剤が亜鉛化合物粒子及びシリカ粒子を含み、
前記亜鉛化合物粒子の個数平均粒径が2.0〜10.0μmであり、
前記シリカ粒子の個数平均粒径が60〜250nmであり、
全トナー粒子中の遊離亜鉛化合物粒子の個数が0.2〜1.0個数%であり、
前記遊離亜鉛化合物粒子の平均円形度が0.6以下であることを特徴とする
静電荷像現像トナー。
【請求項2】
請求項1に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
【請求項3】
潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、及び、
前記転写工程後にクリーニングブレードにより潜像保持体表面の残留物を回収するクリーニング工程、を含み、
前記静電荷像現像剤として、請求項1に記載の静電荷像現像トナー又は請求項2に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成方法。
【請求項4】
潜像保持体と、
前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
静電荷像現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
前記クリーニングブレードを含むクリーニング手段と、を有し、
前記静電荷像現像剤として、請求項1に記載の静電荷像現像トナー又は請求項2に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−186000(P2010−186000A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29391(P2009−29391)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】