説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、画像形成装置、静電荷像現像用トナーの製造装置および静電荷像現像用トナーの製造方法

【課題】トリクル機構を持たない画像形成装置であっても、経時における現像器内のトナーの帯電分布の変化を抑制し、ハーフトーン画像を出力した場合の色抜けといった画像欠陥の発生を抑制する。
【解決手段】静電荷像現像用トナーは、結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを含むトナーであり、前記トナーが無着色の粒子を含み、形状係数SF1が110以下である無着色の粒子の含有量は、前記トナーの全個数に対して1%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、画像形成装置、静電荷像現像用トナーの製造装置および電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法等のように、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されている。前記電子写真法においては、帯電工程、露光工程等を経て電子写真用感光体(静電潜像保持体、以下、「感光体」という場合がある)表面の静電潜像を静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)を含む現像剤により現像し、転写工程、定着工程等を経て前記静電潜像が可視化される。
【0003】
トナーの製造方法には、混練粉砕法や乳化重合凝集法等が知られている。前者の混練粉砕法は得られるトナーの粒度分布が比較的広く、形状が不定形であるため、転写性等の性能維持が必ずしも十分でなかった。
【0004】
これに対して、乳化重合凝集法では、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、その後加熱することによって凝集粒子を融合・合一しトナーとする製造方法であるが、さらに、トナーにおける内部層から表面層への自由な制御を行うことにより、より精密な粒子構造制御を実現することができる。
【0005】
上記乳化重合凝集法として、例えば、特許文献1,2に記載のラテックスポリマーの調整法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−247607号公報
【特許文献2】米国特許第5,853,943号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、トナー中に、トナー粒子と粒径が同じまたは近似する着色剤や離型剤を含有しない無着色の粒子(以下、「無着色結着樹脂粒子」という場合がある)が混入している場合、トナー中に混入している上記無着色結着樹脂粒子は、現像されにくいため、現像器内に残留しやすい。一方、トリクル機構を持たない画像形成装置において、長期間画像出力を行うと、トナー中に混入している上記無着色結着樹脂粒子は、現像されにくいことから、現像器内に残留していき、その結果、現像器内のトナーの帯電分布が変化して、最終的には、上記無着色結着樹脂粒子を通常のトナー組成に比べ多く含んだ形で現像され、例えばハーフトーン画像を出力した場合に色抜けといった画像欠陥の発生が目立つものとなる。
【0008】
本発明は、トナー中における上記無着色結着樹脂粒子の混入量を制限することにより、トリクル機構を持たない画像形成装置であっても、経時における現像器内のトナーの帯電分布の変化を抑制し、ハーフトーン画像を出力した場合の色抜けといった画像欠陥の発生を抑制することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す本発明を完成するに至った。本願発明は、以下の特徴を有する。
【0010】
(1)結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを含むトナーであり、前記トナーが無着色の粒子を含み、形状係数SF1が110以下である無着色の粒子の含有量は、前記トナーの全個数に対して1%未満である静電荷像現像用トナーである。
【0011】
(2)前記無着色の粒子の重量平均分子量は40,000以上200,000以下であり、前記無着色の粒子の体積平均粒径は4μm以上10μm以下である上記(1)に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0012】
(3)上記(1)または(2)に記載のトナーとキャリアからなる静電荷像現像用現像剤である。
【0013】
(4)潜像担体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、前記静電荷現像用現像剤が、上記(3)に記載の静電荷現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
(5)重合開始剤を添加し重合性単量体を重合して結着樹脂粒子を調製する重合槽と、少なくとも重合開始初期に、前記重合性単量体を含む溶液を前記重合槽の気相部から重合槽の壁面に沿って添加する添加手段と、得られた樹脂粒子分散液と、少なくとも着色剤を分散させてなる着色剤粒子分散液と、場合により離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液と混合し、前記樹脂粒子と顔料粒子と離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を形成したのち、加熱して前記凝集粒子を合一融合するための撹拌槽と、を備えた静電荷現像用トナーの製造装置である。
【0015】
(6)前記添加手段が、スプレー式添加装置または樋状添加装置である上記(5)に記載の静電荷現像用トナーの製造装置である。
【0016】
(7)前記重合性単量体を含む溶液が、前記重合性単量体を含む油相と、水相とを乳化させ調製された重合性単量体含有乳化液である上記(5)または(6)に記載の静電荷現像用トナーの製造装置である。
【0017】
(8)結着樹脂を調製するための重合性単量体を含む油相と、水相とを撹拌を行いながら乳化して重合性単量体含有乳化液を調製する工程と、少なくとも重合開始初期に前記重合性単量体含有乳化液を重合槽の気相部から重合槽の壁面に沿って添加し、前記重合性単量体含有乳化液に重合開始剤を添加し重合性単量体重合して結着樹脂粒子を調製する工程と、結着樹脂粒子を分散した結着樹脂粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液と離型剤を分散した離型剤分散液とを混合し、結着樹脂粒子及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子に凝集させる凝集工程と、得られた凝集体を結着樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し融合させトナー粒子を形成する融合工程と、を含む静電荷像現像用トナーの製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本願請求項1に記載の発明によれば、トリクル機構を持たない画像形成装置に用いた時であっても、経時における現像器内のトナーの帯電分布の変化が抑制され、ハーフトーン画像を出力した場合の色抜けといった画像欠陥の発生が抑制される。
【0019】
本願請求項2に記載の発明によればハーフトーン画像を出力した場合の色抜けといった画像欠陥の発生がさらに抑制される。
【0020】
本願請求項3に記載の発明によれば、トリクル機構を持たない画像形成装置に用いた時であっても、経時における現像器内のトナーの帯電分布の変化が抑制され、ハーフトーン画像を出力した場合の色抜けといった画像欠陥の発生が抑制される。
【0021】
本願請求項4に記載の発明によれば、トリクル機構を持たない画像形成装置に用いて画像形成を行った時であっても、経時における現像器内のトナーの帯電分布の変化が抑制され、ハーフトーン画像を出力した場合の色抜けといった画像欠陥の発生が抑制される。
【0022】
本願請求項5に記載の発明によれば、重合開始時に重合性単量体が重合槽壁面から重合が開始し、重合物が重合槽の壁面に付着することにより、重合開始時から重合時の重合槽への伝熱効果を抑えられる。その結果、重合開始時の温度上昇を抑制するための冷却によって、重合槽側面付近の開始剤および重合性単量体のラジカルの急速な失活が抑制され、重合物の高分子化が防止される。一方、重合開始時に重合物が重合槽に付着し、従来に比べ冷却が促進されたとしても、重合槽内温度は重合設定温度により管理されるため、開始剤および重合性単量体のラジカルの失活は急速に失活せず、重合性単量体は予め設定された重合度で重合され、重合度の高いトナー粒子大の粗大結着樹脂粒子(すなわち、無着色結着樹脂粒子)の生成が抑制される。
【0023】
本願請求項6に記載の発明によれば、重合開始時に、選択的に重合槽壁面に重合性単量体を含む溶液が供給される。
【0024】
本願請求項7に記載の発明によれば、重合性単量体含有乳化液を用い、粒度分布の狭い結着樹脂粒子が生成される。
【0025】
本願請求項8に記載の発明によれば、重合開始時に重合性単量体が重合槽壁面から重合が開始し、重合物が重合槽の壁面に付着することにより、重合開始時から重合時の重合槽への伝熱効果を抑えられる。その結果、重合開始時の温度上昇を抑制するための冷却によって、重合槽側面付近の開始剤および重合性単量体のラジカルの急速な失活が抑制され、重合物の高分子化が防止される。一方、重合開始時に重合物が重合槽に付着し、従来に比べ冷却が促進されたとしても、重合槽内温度は重合設定温度により管理されるため、開始剤および重合性単量体のラジカルの失活は急速に失活せず、重合性単量体は予め設定された重合度で重合され、重合度の高いトナー粒子大の粗大結着樹脂粒子(すなわち、無着色結着樹脂粒子)の生成が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態における静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、画像形成装置、静電荷像現像用トナーの製造装置および電荷像現像用トナーの製造方法について、以下に説明する。
【0027】
[静電荷現像用トナーおよびその製造方法]
本実施の形態の静電荷現像用トナー(以下「トナー」ともいう)は、結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを含むトナーであり、前記トナーが無着色の粒子を含み、形状係数SF1が110以下である無着色の粒子の含有量は、前記トナーの全個数に対して1%未満である。
【0028】
後述する乳化重合凝集法における樹脂粒子を乳化重合で作製する場合、重合時の発熱を制御し重合槽内の温度を予め設定した温度に保つために、重合槽の外壁に設けられた冷却用のジャケットによって重合槽の壁面から冷却している。その結果、重合槽の内部の溶液温度に比べ重合槽内壁面の温度は低く、重合槽内壁面付近では、開始剤および重合性単量体のラジカルが重合槽内部に比べ失活しやすく、ラジカル数が相対的に少ないことから、重合槽内壁面付近では、重合槽内部に比べ重合体の高分子化が促進され、無着色結着樹脂粒子が形成されやすくなる。したがって、重合槽の内壁面が露出した状態で、長時間重合を行う場合、継続的に、重合槽内壁面付近で重合体の高分子化が促進され、無着色結着樹脂粒子が形成される。この無着色結着樹脂粒子は樹脂粒子分散液からの除去が困難なだけでなく、乳化重合凝集法によるトナー作製時においても、そのまま残るため、結果としてトナーに混在してしまう。この無着色結着樹脂粒子の比率がトナーに対して多くなることで、ハーフトーンのようにトナー1個の定着の影響が現れやすい画像において、色抜けの様な問題を生じやすくさせる。
【0029】
そこで、本実施の形態では、従来の重合性単量体の重合槽への添加方法を改良し、重合性単量体が重合槽壁面から重合が開始し、重合物が重合槽の壁面に付着することにより、重合開始時から重合時の重合槽への伝熱効果を抑え、重合開始時の温度上昇を抑制するための冷却によって、重合槽側面付近の開始剤および重合性単量体のラジカルの急速な失活を抑制し、重合物の高分子化を防止する。一方、重合開始時に重合物が重合槽に付着し、従来に比べ冷却が促進されたとしても、重合槽内温度は重合設定温度により管理されるため、開始剤および重合性単量体のラジカルの失活は急速に失活せず、重合性単量体は予め設定された重合度で重合され、重合度の高いトナー粒子大の粗大結着樹脂粒子(すなわち、無着色結着樹脂粒子)の生成が抑制される。また、重合開始時に重合物が従来に比べ薄く万遍なく付着した後、重合物の高分子化が抑制されるため、重合槽内壁面の重合物付着量が減少し、従来に比べ重合槽内の高圧水洗浄の頻度が減り、その結果、結着樹脂粒子分散液およびトナーの生産性が向上し、作業負荷と安全性も向上する。
【0030】
したがって、トナー中に、現像されにくい上記無着色結着樹脂粒子の混入率が、従来のトナーに比べ低くなり、トリクル機構を持たない画像形成装置において、長期間画像出力を行っても、現像器内に残留する上記無着色結着樹脂粒子の量が減り、その結果、現像器内のトナーの帯電分布の変化が抑制される。これにより、長期間画像出力を行った後の上記無着色結着樹脂粒子を含むトナーを現像しても、ハーフトーン画像を出力した場合に、色抜け等の画像欠陥の発生が抑制される。
【0031】
上述した無着色結着樹脂粒子の数は、トナーの全個数に対して1%未満であり、これにより、トナー中に、現像されにくい上記無着色結着樹脂粒子の混入率を従来のトナーに比べ低くして、トリクル機構を持たない画像形成装置であっても、現像器内のトナーの帯電分布の変化を抑制し、ハーフトーン画像を出力した場合の色抜け等の画像欠陥の発生を抑制する。より好ましくは、重量平均分子量が40,000以上200,000以下であり、粒径が4μm以上10μm以下であり、形状係数SF1が110以下である無着色結着樹脂粒子(「無着色の粒子」ともいう)の含有量が、トナーの全個数に対して1%未満である。そして、トナー中に存在する上記無着色結着樹脂粒子の数は、少なければ少ないほど好ましく、もっとも好ましいものは0個であるが、冷却用のジャケットを用いて重合槽内の温度を制御する場合、重合槽内壁面付近と重合槽の内部との温度が等しくなることは稀であることから、0個というのはあまり現実的でない。
【0032】
また、上記無着色結着樹脂粒子の重量平均分子量が40,000以上200,000以下であり、その粒径が4μm以上10μm以下であることを規定しているのは、該トナーの重量平均分子量が40,000未満で、その粒径が4μm未満あるものは、それ以上の大きさを有する無着色結着樹脂粒子に比べ、現像されやすく、したがって、トリクル機構を持たない画像形成装置であっても、経時における現像器内におけるトナーに対する無着色結着樹脂粒子の割合に変化が少なく、色抜けの問題が生じにくい。一方、該トナーの重量平均分子量が200,000を超え、その粒径が10μmを超えるものは、結着樹脂粒子の製造後に炉別されるため、現像用トナーへの含有が抑制される。
【0033】
また、該無着色結着樹脂粒子の形状係数SF1は110以下が好ましい。ハーフトーンの様な画像は現像時のトナーの感光体上の現像、また感光体から被転写体への転写時において、均一性が要求される。無着色結着樹脂粒子は粒子の帯電特性がトナー粒子とは異なるため、現像、転写の各工程で他のトナーに対して電気的反発から画像を乱しやすく、SF1が110を越える該無着色結着樹脂粒子は、さらに該帯電特性にばらつきを生じやすく、その結果画像をさらに悪化させる傾向があるためと考えられる。
【0034】
本実施の形態のトナーには、離型剤を添加しても良い。用いる離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
本実施の形態のトナーに用いる好ましい離型剤は、結着樹脂に対して相溶性が低い離型剤、例えば、ポリエチレン、ポリオレフィン等の極性の低い離型剤が該無着色結着樹脂粒子を含むハーフトーン画像の剥離性が良好になる点で好ましく、またこの重量平均分子量は500から5000、溶融温度は60℃から100℃がトナーの用紙からの剥離性の良さ、また光沢ムラの現れにくさの観点から好ましい。前述のように、離型剤は、トナー内から短時間で定着部材と画像の間に入る必要があることから、離型剤は、上記例示した離型剤の種類の離型剤が好ましい。
【0036】
更に、本実施の形態のトナーを構成する各種材料について、詳細に説明する。
【0037】
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等をあげることができる。
【0038】
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
【0039】
その他、必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。また、凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性などの特性において好ましい。
【0040】
本実施の形態におけるトナーの体積平均粒子径は、3〜10μmであり、3〜9μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。また、本実施の形態のトナーの数平均粒子径は、3〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。粒子径が小さすぎると製造性が不安定になるばかりでなく、帯電性が不十分になり、現像性が低下することがあり、大きすぎると画像の解像性が低下する。
【0041】
本実施の形態におけるトナーの製造方法は、結着樹脂を調製するための重合性単量体を含む油相と、水相とを撹拌を行いながら乳化して重合性単量体含有乳化液を調製する工程と、少なくとも重合開始初期に前記重合性単量体含有乳化液を重合槽の気相部から重合槽の壁面に沿って添加し、前記重合性単量体含有乳化液に重合開始剤を添加し重合性単量体重合して結着樹脂粒子を調製する工程と、結着樹脂粒子を分散した結着樹脂粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液と離型剤を分散した離型剤分散液とを混合し、結着樹脂粒子及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子に凝集させる凝集工程と、得られた凝集体を結着樹脂粒子のガラス転移点以上(例えばTgの1.6倍以上)の温度に加熱し融合させトナー粒子を形成する融合工程と、を含むことが好ましい。
【0042】
図1には、本実施の形態におけるトナーの製造方法に用いるトナーの製造装置の構成の一例が示されている。図1に示すように、本実施の形態のトナーの製造装置は、一種以上の重合体単量体と水と必要に応じて界面活性剤とを乳化する乳化槽100と、乳化槽100にて調製された重合体単量体含有乳化液に開始剤を添加して乳化重合を行い、結着樹脂粒子を調製する重合槽120と、得られた樹脂粒子分散液と、少なくとも着色剤を分散させてなる着色剤粒子分散液と、場合により離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液と混合し、前記樹脂粒子と顔料粒子と離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を形成したのち、加熱して前記凝集粒子を合一融合するための撹拌槽140と、を備える。
【0043】
乳化槽100は、撹拌羽根が設けられた撹拌手段12を駆動させるモータなどの駆動源11と、乳化槽100内の重合性単量体含有乳化液10の温度を計測する温度センサ13と、結着樹脂を調製するための重合性単量体を含む油相を供給するための油相供給ライン14と、必要に応じて界面活性剤を含有する水相を供給するための水相供給ライン15とを有する。さらに、油相供給ライン14には自動開閉弁16が設けられ、水相供給ライン15には自動開閉弁18が設けられている。
【0044】
また、重合槽120は、重合槽120の外壁に設けられたジャケット30と、撹拌羽根が設けられた撹拌手段22を駆動させるモータなどの駆動源21と、重合槽120内の重合溶液20の温度を計測する温度センサ23と、重合開始剤が貯留された重合開始剤貯留槽40とが設けられ、さらに、乳化槽100から重合性単量体含有乳化液10を供給する重合性単量体含有乳化液供給ライン25と、重合開始剤貯留槽40から開始剤を供給する開始剤供給ライン42とが設けられている。そして、重合性単量体含有乳化液供給ライン25には、重合性単量体含有乳化液10を重合槽120の気相部から重合槽の壁面に沿って添加するための添加手段24が設けられ、さらに、重合性単量体含有乳化液供給ライン25には自動開閉弁26が設けられ、開始剤供給ライン42には自動開閉弁28が設けられている。ジャケット30には、冷却用として、自動開閉弁36が設けられた冷却水供給ライン34と、自動開閉弁38が設けられた冷却水排出ライン35とが接続されている。
【0045】
また、撹拌槽140は、撹拌槽140の外壁に設けられたジャケット60と、撹拌羽根が設けられた撹拌手段を駆動させるモータなどの駆動源51とが設けられ、さらに、重合槽120から結着樹脂粒子分散液を供給する結着樹脂粒子分散液供給ライン55と、着色剤を分散した着色剤分散液を供給する着色剤分散液供給ライン54と、離型剤を分散した離型剤分散液を供給する離形剤分散液供給ライン57とが設けられている。また、結着樹脂粒子分散液供給ライン55には自動開閉弁56が設けられ、着色剤分散液供給ライン54には自動開閉弁52が設けられ、離形剤分散液供給ライン57には自動開閉弁58が設けられている。さらに、ジャケット60には、加熱または冷却用として、自動開閉弁66が設けられたスチームまたは冷却水供給ライン64と、自動開閉弁68が設けられたスチームまたは冷却水排出ライン65とが接続されている。
【0046】
したがって、駆動源11を駆動させて撹拌手段22を駆動させ、自動開閉弁16,18を開けて、予め定められた供給量で、乳化槽100に油相供給ライン14から重合性単量体を含む油相が、水相供給ライン15から必要に応じて界面活性剤を含む水相が、それぞれ供給され、重合性単量体含有乳化液10を調製する。
【0047】
次いで、駆動源22を駆動させ撹拌手段22を駆動させて、自動開閉弁26,28を開け、開始剤貯留槽40から開始剤供給ライン42を介して開始剤または開始剤溶液を重合槽120に供給すると同時に、重合性単量体含有乳化液供給ライン25から供給された重合性単量体含有乳化液10を、添加手段24を用いて、重合槽120の内壁面に沿って添加する。一方、ジャケット30には、自動開閉弁36が開けられ冷却水供給ライン34を介して冷却水が供給され、自動開閉弁38を開け冷却水排出ライン35を介して冷却後の水が排出される。なお、温度センサ23の出力に応じて冷却水の供給量および排出量が制御される。
【0048】
次に、駆動源51を駆動させて撹拌手段を駆動させ、さらに自動開閉弁56を開け、得られた結着樹脂粒子分散液が結着樹脂粒子分散液供給ライン55を介して撹拌槽140に供給される、一方、自動開閉弁52,58を開け、着色剤分散液供給ライン54を介して着色剤分散液を撹拌槽140に供給し、離形剤分散液供給ライン57を介して離型剤分散液を撹拌槽140に供給する。ジャケット60には、自動開閉弁66,68を開け、凝集工程、融合工程に応じて、スチームまたは冷却水供給ライン64とスチームまたは冷却水排出ライン65に、それぞれスチームまたは冷却水を供給する。なお、温度センサ53の出力に応じてスチームまたは冷却水の供給量および排出量が制御される。
【0049】
さらに、上述したように、本実施の形態のトナー製造装置における重合槽120には、重合性単量体含有乳化液10を重合槽120の気相部から重合槽120の壁面に沿って添加するための添加手段24が設けられている。この添加手段24の構成について、図2から図5を用いて以下に説明する。
【0050】
まず、従来の重合槽の重合性単量体含有乳化液の添加方式の一例について、図5を用いて説明する。図5に示すように、従来の重合槽120dの添加手段は、ノズル式添加装置24dであり、重合性単量体含有乳化液10を、重合槽120dの1個所から添加していた。かかる場合、重合時の発熱を制御し重合槽120d内の温度を予め設定した温度に保つために、重合槽120dの外壁に設けられた冷却用のジャケットによって重合槽120dの壁面から冷却している。その結果、重合槽120dの内部の溶液温度に比べ重合槽120dの内壁面の温度は低く、重合槽120dの内壁面付近では、開始剤および重合性単量体のラジカルが重合槽内部に比べ失活しやすく、ラジカル数が相対的に少ないことから、重合槽120dの内壁面付近では、重合槽120dの内部に比べ重合体の高分子化が促進され、無着色結着樹脂粒子が形成されやすくなる。さらに、重合槽120dの内壁面が露出した状態で、長時間重合を行う場合、継続的に、重合槽内壁面付近で重合体の高分子化が促進され、重合度の高いトナー粒子大の粗大結着樹脂粒子(すなわち、無着色結着樹脂粒子)が形成される。
【0051】
一方、 図2に示す本実施の形態の一例の重合槽120aの添加手段は、スプレー式添加装置24であり、スプレー式添加装置24では、重合性単量体含有乳化液10の添加口が1個所形成されている。但し、これに限るものではなく、複数個の添加口が形成されていても良い。また、スプレー式添加装置24の添加口から重合性単量体含有乳化液10が異なる方向に添加可能なように、スプレー式添加装置24は回転可能な構成になっている。さらに、スプレー式添加装置24の添加口からの重合性単量体含有乳化液10の添加速度は、相対的に近い重合槽壁面に重合性単量体含有乳化液10を添加した際に、相対的に大きな跳ね返りがない程度に制御される。
【0052】
図3には、本実施の形態の他の例の重合槽120bが示され、重合槽120bの添加手段は、2台のスプレー式添加装置24a,24bからなり、図3に示すスプレー式添加装置24a,24bでは、重合性単量体含有乳化液10の添加口がそれぞれ1個所形成されているが、これに限るものではなく、複数個の添加口が形成されていても良い。また、スプレー式添加装置24a,24bの添加口から重合性単量体含有乳化液10が異なる方向に添加可能なように、スプレー式添加装置24a,24bはそれぞれ回転可能な構成になっている。また、スプレー式添加装置24a,24bの添加口からの重合性単量体含有乳化液10の添加速度は、相対的に近い重合槽壁面に重合性単量体含有乳化液10を添加した際に、相対的に大きな跳ね返りがない程度に制御されている。図3に示す2台のスプレー式添加装置24a,24bを備えることにより、図2に示すスプレー式添加装置24に比べ、重合開始時から短時間で重合性単量体含有乳化液10を重合槽120bの内壁面に向けて添加される。その結果、重合槽120bの内壁面に、より均一な重合物が早期に付着し、相対的に薄い重合物膜が形成され、ジャケット30からの伝熱が抑制され、重合槽120bの内壁面付近と内部との温度差が従来に比べ小さくなり、重合度の高いトナー粒子大の粗大結着樹脂粒子(すなわち、無着色結着樹脂粒子)の生成が抑制される。なお、図3には、2台のスプレー式添加装置24a,24bを示したが、これに限るものではなく、重合槽120bの気相部の空間が許す範囲で複数設けても良い。
【0053】
図4には、本実施の形態の他の例の重合槽120cが示され、重合槽120cの添加手段は、撹拌手段に固定され重合性単量体含有乳化液10を受ける皿状部と皿状部から延伸した樋状部とからなるガイド式添加装置24cである。したがって、重合性単量体含有乳化液10は、図4に示すガイド式添加装置24cの皿状部から樋状部を介して、重合槽120cの内壁面に沿って(図4の波線矢印方向)添加される。ここで、ガイド式添加装置24cの樋状部は、少なくとも2本以上設けられ、互いに均等な角度を保って、皿状部に延伸して設けられている。図4に示すガイド式添加装置24cは、図5に示す従来のノズル式添加装置24dに比べ、重合開始時から短時間で重合性単量体含有乳化液10を重合槽120cの内壁面に向けて添加される。その結果、重合槽120cの内壁面に、より均一な重合物が早期に付着し、相対的に薄い重合物膜が形成され、ジャケット30からの伝熱が抑制され、重合槽120cの内壁面付近と内部との温度差が従来に比べ小さくなり、重合度の高いトナー粒子大の粗大結着樹脂粒子(すなわち、無着色結着樹脂粒子)の生成が抑制される。
【0054】
[静電荷現像用現像剤]
以上説明した本発明の静電荷現像トナーの製造方法により得られるトナーは、静電荷現像剤として使用される。この現像剤は、この静電荷現像トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷現像剤として調製される。
【0055】
キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。
【0056】
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。即ち、該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その平均粒径は30〜200μm程度である。前記核体粒子の被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のポリオレフィン類、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、フッ化ビニリデン。テトラフルオロエチレンヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマーの共重合体、ビスフェノール、グリコール等を含むポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、などが挙げられ、特に好ましいのは芳香環を有する重合性単量体を重合して得られた樹脂である。その理由としては、該芳香環を有する重合性単量体を重合して得られた樹脂はトナーとの帯電時に、芳香環部分に静電気を保持しやすく、そのため該無着色結着樹脂粒子の比率が現像剤内で増加した場合でも、無着色結着樹脂粒子の過剰な帯電量の発生を制御できると考えられるためである。より好ましくは芳香環部分がトナーと直接接触しやすいスチレンを重合性単量体として含む重合性単量体を重合して得られた樹脂である。その理由としては、該芳香環を有する重合性単量体を重合して得られた樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。該被覆樹脂の量としては、キャリアに対して0.1〜10部程度であり、0.5〜3.0質量部が好ましい。前記キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
【0057】
なお、静電荷現像剤における、静電荷現像トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0058】
[画像形成装置]
次に、本実施の形態の画像形成装置について説明する。
【0059】
図6は、本実施の形態の画像形成方法により画像を形成するための、画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置200は、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。電子写真感光体401a〜401dは、例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成することが可能である。
【0060】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
【0061】
さらに、ハウジング400内の所定の位置には露光装置403が配置されており、露光装置403から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0062】
ここで、帯電ロール402a〜402dは、電子写真感光体401a〜401dの表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである(帯電工程)。なお本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン若しくはスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
【0063】
露光装置403としては、電子写真感光体401a〜401dの表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体401a〜401dの導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
【0064】
現像装置404a〜404dには、上述の二成分静電荷像現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる(現像工程)。そのような現像装置としては、二成分静電荷像現像用現像剤を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを選択することができる。一次転写工程では、1次転写ロール410a〜410dに、像担持体に担持されたトナーと逆極性の1次転写バイアスが印加されることで、像担持体から中間転写ベルト409へ各色のトナーが順次1次転写される。
【0065】
クリーニングブレード415a〜415dは、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0066】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。
【0067】
2次転写ロール413に、中間転写体上のトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルトから記録媒体へトナーが2次転写される。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416或いは、除電器(不図示)により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0068】
<画像形成方法>
本実施の形態における画像形成方法は、少なくとも、像保持体を帯電させる工程と、像保持体上に潜像を形成する工程と、潜像担持体上の潜像を上述した電子写真用現像剤を用いて現像する工程と、現像されたトナー像を中間転写体上に転写する1次転写工程と、前記中間転写体に転写されたトナー像を、記録媒体に転写する2次転写工程と、前記トナー画像を熱と圧力によって定着する工程とを有する。前記現像剤は、少なくとも、本発明の静電荷像現像用トナーを含有する現像剤である。前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。
【0069】
上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。
【0070】
潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体及び誘電記録体等が使用できる。電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー画像を形成する(現像工程)。形成されたトナー画像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、必要に応じて、被転写体表面に転写されたトナー画像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー画像が形成される。
【0071】
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常の定着機における定着部材には、離型剤が供給されるが、本実施の形態における画像形成装置の定着機には、離型剤は供給する必要がなく、オイルレスで定着がなされる。
【0072】
熱定着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、離型剤を供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、前記離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。尚、シャワー方式により前記定着部材の全体に均一に前記離型剤を供給するには、別途ブレード等を用いる必要がある。
【0073】
トナー画像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらにより本発明は限定されるものではない。
【0075】
まず、本実施例において、各測定は次のように行った。
【0076】
−粒度及び粒度分布測定方法−
粒径(「粒度」ともいう。)及び粒径分布測定(「粒度分布測定」ともいう。)について述べる。
【0077】
測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
【0078】
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100ml中に添加した。
【0079】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50,000であった。
【0080】
また、トナーの粒度分布は以下の方法により求めた。測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから体積累積分布を描き、累積16%となる累積体積粒径をD16vと定義し、累積50%となる累積体積粒径をD50vと定義する。更に累積84%となる累積体積粒径をD84vと定義する。
【0081】
本発明における体積平均粒径は該D50vであり、体積平均粒度指標GSDvは以下の式によって算出した。
式:GSDv={(D84v)/(D16v)}0.5
【0082】
また、測定する粒子直径が2μm未満の場合、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
【0083】
なお、外添剤などの粉体を測定する場合は、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、前述の分散液と同様の方法で、測定した。
【0084】
−トナーの形状係数SF1測定方法−
トナーの形状係数SF1は、トナー粒子表面の凹凸の度合いを示す形状係数SFであり、以下の式により算出した。
式:SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
式中、MLはトナー粒子の最大長を示し、Aは粒子の投影面積を示す。形状係数SF1の測定は、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについてSFを計算し、平均値を求めた。
【0085】
−トナー、樹脂粒子の分子量、分子量分布測定方法−
分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0086】
−無着色結着樹脂粒子の個数−
光学顕微鏡(ニレコ社製「LUZEX」)を用い、トナー全体の観察画像を撮影し、任意に5000個程度抽出したトナーについて、画像解析することで求める。そして、800倍にて観察し、該粒子が白色であること、前記トナーの形状係数SF1が110以下であること、の条件を満たす粒子を求めた。
【0087】
また、該粒子の形状係数SF1もこの方法により求めることが出来た。
【0088】
以下に本発明におけるより具体的比較例および実施例について説明を行うが、以下の実施例は本発明の内容について何ら限定するものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
【0089】
[トナーの製造例および現像剤の評価]
<トナー1a〜1dの製造>
−樹脂粒子分散液(1)の作製−
重合槽にイオン交換水370質量部と界面活性剤0.3質量部を投入し、撹拌混合しながら75℃まで昇温した。一方、乳化槽には下記成分を投入し、撹拌混合して乳化液を作製した。
【0090】
イオン交換水 170質量部
非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 2質量部
及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製) 3質量部
スチレン 300質量部
n−ブチルアクリレート 90質量部
β−カルボキシエチルアクリレート(以下「β−CEA」ともいう) 11質量部
ドデカンチオール 6質量部
1,10−デカンジオールジアクリレート 1.5質量部
図4の重合槽120cの温度が安定した時点で、作製した乳化液重量の2%を重合槽120cへ10分間かけてスプレー式添加装置24a,24bより背圧150kPaにて添加し、その際、スプレー式添加装置24a,24bは60rpmで回転させながら乳化液を添加させた。乳化液の添加と同時に、過硫酸アンモニウム5質量部をイオン交換水で5倍に希釈して、撹拌速度を160rpmで、10分間かけて重合槽120cへ添加し、20分間保持した。次いで、撹拌速度を160rpmのまま、残りの乳化液を背圧150kPaかけてスプレー式添加装置24a,24bを用いて3時間かけて重合槽120cへ添加し、添加終了後、更に3時間保持して反応を完了させた。得られた樹脂の重量平均分子量は48,000、体積平均粒子径は210nmであった。
【0091】
−離型剤分散液(1)の作製−
POLYWAX655(ベーカーペトロライト社製) 30重量部
カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製) 2重量部
イオン交換水 70重量部
上記成分を120℃に加熱して、高圧型ホモジナイザーで50MPaで処理し、速やかに冷却して離型剤分散液を得た。分散したワックスの体積平均粒径は250nmであった。なお、上記POLYWAX655(ベーカーペトロライト社製)は、ポリエチレンワックスであり、数平均分子量が655で、融点が99℃のものである。
【0092】
(顔料分散液の作製)
−シアン着色剤分散液(1)の調製−
C.I.PigmentBlue15:3:大日精化製) 30重量部
イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 3重量部
イオン交換水 70重量部
上記成分を混合し、超音波分散機を10パス通過させて、顔料分散液を得た。分散した顔料の数平均粒径は130nmであった。
【0093】
−ブラック着色剤分散液(2)の調製−
カーボンブラック(キャボット社製、REGAL330;1次粒子径25nm、BET比表面積94m2/g):90重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC):重量質量部
イオン交換水:240重量部
以上を混合し、シアン着色剤分散液と同様の条件にてブラック着色剤粒子分散液を調製した。ブラック着色剤分散液における着色剤の数平均粒径は150nmであった。
【0094】
−イエロー着色剤分散液(3)の調製−
C.I.Pigment Yellow74:大日精化製) 50質量部
イオン性界面活性剤ネオゲンRK (第一工業製薬) 5質量部
イオン交換水 195質量部
以上を混合し)アルティマイザ(スギノマシン社製)により10分間分散し、数平均粒径168nmの着色剤分散液を得た。
【0095】
−マゼンタ着色剤分散液(4)の調製−
C.I.PigmentRed 122:(クラリアント製) 50質量部
イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 6質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合し)アルティマイザ(スギノマシン社製)により10分間分散し、数平均粒径185nm、固形分量23.5重量部のマゼンタ着色剤分散液を得た。
【0096】
反応槽内に下記成分を投入し、十分に攪拌混合した。
イオン交換水: 300質量部
樹脂粒子分散液(1): 135質量部
着色剤分散液(1): 20質量部
離型剤分散液(1): 30質量部
その後、ウルトラタラックスでせん断を加えながら、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム1%水溶液18質量部を徐々に添加した。凝集剤の添加に連れてスラリーの粘度が上昇したため、ウルトラタラックスの回転数を最大7000rpmまで上昇させて、添加終了後さらに5分間の分散処理を行った。
【0097】
このスラリーを、十分な攪拌下で徐々に昇温し、48℃で2時間保持したところ、凝集粒子の平均粒径が5.4μmとなった。ここで、新たに樹脂分散液(1)70質量部を10分間かけて緩やかに添加し、1時間保持したところ、凝集粒子の平均粒径は5.0μmであった。次いで、反応槽内のpHを7.0に調整した後、95℃まで緩やかに昇温して4時間保持し、凝集粒子の合一を行った後、40℃まで冷却した後、トナー100重量部に対してコロイダルシリカ(日本アエロジル社製:R972)2重量部を加え、ヘンシェルミキサーにて5分、22m/sで攪拌混合して体積平均粒径トナー5.6μmのシアントナー1aを得た。トナー1aにおけるトナー50000個中の無着色結着樹脂粒子の比率は、0.2%であり、無着色結着樹脂粒子の形状係数の平均は、105であった。
【0098】
同様にして、シアン着色剤分散液(1)に代わりに、ブラック着色剤分散液(2)、イエロー着色剤分散液(3)、マゼンタ着色剤分散液(4)をそれぞれ用いた以外は、上述の同様の手順で、それぞれ黒色トナー1b,イエロートナー1c,マゼンタトナー1dを得た。これらトナーの体積平均粒径は、上記シアントナー1aと同様に、5.6μmであり、トナー1b,1c,1dにおけるトナー50000個中の無着色結着樹脂粒子の比率は黒色トナー1bが0.4%、イエロートナー1cが0.1%、マゼンタトナー1dが 0.2%であり、無着色結着樹脂粒子の形状係数の平均は、黒色トナー1bが104、イエロートナー1cが103、マゼンタトナー1dが106であった。
【0099】
<トナー2の製造>
−樹脂粒子分散液(2)の作製−
ドデカンチオールの添加量を3質量部に代え、過硫酸アンモニウム5質量部をイオン交換水で5倍に希釈して、撹拌速度を添加すると同時に、乳化液重量の2%を重合槽120cへ添加する際に、スプレー式添加装置24a,24bより背圧150kPaにて添加し、その際、スプレー式添加装置24a,24bは60rpmで回転させながら乳化液を添加させた以外は、実施例1に準じて作製した。得られた樹脂の重量平均分子量は94,000、体積平均粒子径は270nmであった。
【0100】
その後、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(2)を用いた以外は、実施例1のトナー1aに準じて、トナー2を作製した。得られたトナーの粒径は5.4μm、トナー50000個中の無着色結着樹脂粒子の比率は、0.5%であり、無着色結着樹脂粒子の形状係数の平均は、101であった。
【0101】
<トナー3の製造>
−樹脂粒子分散液(3)の作製−
ドデカンチオールの添加量を添加せず、過硫酸アンモニウム5質量部をイオン交換水で5倍に希釈して、撹拌速度を添加すると同時に、乳化液重量の2%を重合槽120cへ添加する際に、スプレー式添加装置24a,24bより背圧150kPaにて添加し、その際、スプレー式添加装置24a,24bは60rpmで回転させながら乳化液を添加させた以外は、実施例1に準じて作製した。得られた樹脂の重量平均分子量は197,000、体積平均粒子径は305nmであった。
【0102】
その後、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(3)を用いた以外は、実施例1のトナー1aに準じて、トナー3を作製した。得られたトナーの粒径は5.8μm、トナー50000個中の無着色結着樹脂粒子の比率は0.8%であり、無着色結着樹脂粒子の形状係数の平均は、103であった。
【0103】
<トナー4の製造>
−樹脂粒子分散液(4)の作製−
実施例1と同一組成であって、重合槽120dを用い、過硫酸アンモニウム5質量部をイオン交換水で5倍に希釈して、撹拌速度を添加すると同時に、乳化液重量の2%を重合槽120cへ添加する際に、ノズル式添加装置120dを用いて、背圧150kPaにて添加した以外は、実施例1に準じて作製した。得られた樹脂の重量平均分子量は53,000、体積平均粒子径は220nmであった。
【0104】
その後、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(4)を用いた以外は、実施例1のトナー1aに準じて、トナー4を作製した。得られたトナーの粒径は5.8μm、トナー50000個中の無着色結着樹脂粒子の比率は、1.0%であり、無着色結着樹脂粒子の形状係数の平均は、104であった。
【0105】
<トナー5の製造>
−樹脂粒子分散液(5)の作製−
ドデカンチオールの添加量を3質量部に代え、重合槽120dを用い、過硫酸アンモニウム5質量部をイオン交換水で5倍に希釈して、撹拌速度を添加すると同時に、乳化液重量の2%を重合槽120cへ添加する際に、ノズル式添加装置120dを用いて、背圧150kPaにて添加した以外は、実施例1に準じて作製した。得られた樹脂の重量平均分子量は102,000、体積平均粒子径は260nmであった。
【0106】
その後、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(5)を用いた以外は、実施例1のトナー1aに準じて、トナー5を作製した。得られたトナーの粒径は5.6μm、トナー50000個中の無着色結着樹脂粒子の比率は、10.0%であり、無着色結着樹脂粒子の形状係数の平均は、103であった。
【0107】
<トナー6の製造>
−樹脂粒子分散液(6)の作製−
ドデカンチオールの添加量を添加せず、重合槽120dを用い、過硫酸アンモニウム5質量部をイオン交換水で5倍に希釈して、撹拌速度を添加すると同時に、乳化液重量の2%を重合槽120cへ添加する際に、ノズル式添加装置120dを用いて、背圧150kPaにて添加した以外は、実施例1に準じて作製した。得られた樹脂の重量平均分子量は201,000、体積平均粒子径は310nmであった。
【0108】
その後、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(6)を用いた以外は、実施例1のトナー1aに準じて、トナー6を作製した。得られたトナーの粒径は5.6μm、トナー50000個中の無着色結着樹脂粒子の比率は、22.0%であり、無着色結着樹脂粒子の形状係数の平均は、102であった。
【0109】
−現像剤1a〜6の調製−
上記トナー1aからトナー7を用いて、このトナー7質量部を、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(三菱レイヨン社製:共重合比90:10、Mw:86000)を1質量%コートした体積平均粒子径50μmのフェライトキャリア93質量部と十分に攪拌混合し、静電荷像現像用現像剤1aから静電荷像現像用現像剤7を得た。
【0110】
[評価方法]
−実機評価−
静電荷像現像用現像剤1aから静電荷像現像用現像剤8を現像装置に、また、トナー1a〜8をカートリッジに充填し、図6に示す富士ゼロックス(株)製のDocuCentre Color 400改造機(トリクル機構を有しないように改造)にて画出しを行った。高温高湿(28℃85%RH環境)にて、ベタ画像(3g/m2)を100枚出力し、その後原稿(日本画像学会No.4 1986)を1,000枚連続出力し、10枚ごとに出力された画像の最も画像の濃度が低い部分の色抜けの発生の有無を目視にて確認した。
【0111】
評価基準は500枚を許容できる枚数とし、発生するまでの枚数が多いほど良いとした。より好ましくは700枚以上であった。なお1000枚で発生が認められないものは>1000枚とし、1000枚以上の出力は行わなかった。
【0112】
−重合槽内壁付着物量−
重合槽により結着樹脂粒子分散液の製造を20バッチ後の重合槽の内壁面を目視観察した。
【0113】
これらの結果を表1に示す。
【0114】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用がある。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態におけるトナーの製造装置の一例の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるトナーの製造装置の重合槽の一例の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるトナーの製造装置の重合槽の他の例の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるトナーの製造装置の重合槽の他の例の構成を示す模式図である。
【図5】トナーの製造装置の従来の重合槽の一例の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0117】
10 重合性単量体含有乳化液、11,21,51 駆動源、12,22,52 撹拌手段、13,23 温度センサ、14 油相供給ライン、15 水相供給ライン、16,18,26,28,56,58 自動開閉弁、20 重合溶液、24 添加手段、24a,24b スプレー式添加装置、24c ガイド式添加装置、24d ノズル式添加装置、25 重合性単量体含有乳化液供給ライン、30 ジャケット、40 重合開始剤貯留槽、42 開始剤供給ライン、54 着色剤分散液供給ライン、55 結着樹脂粒子分散液供給ライン、60 ジャケット、100 乳化槽、120,120a,120b,120c,120d 重合槽、140 撹拌槽、200 画像形成装置、400 ハウジング、401,401a〜401d 電子写真感光体、402,402a〜402d 帯電ロール、403 露光装置、404,404a〜404d 現像装置、405a〜405d トナーカートリッジ、406 駆動ロール、407 テンションロール、408 バックアップロール、409 中間転写ベルト、410,410a〜410d 1次転写ロール、411 トレイ(被転写媒体トレイ)、412 移送ロール、413 2次転写ロール、414 定着ロール、415a〜415d、416 クリーニングブレード、500 被転写媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを含むトナーであり、
前記トナーが無着色の粒子を含み、
形状係数SF1が110以下である無着色の粒子の含有量は、前記トナーの全個数に対して1%未満であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記無着色の粒子の重量平均分子量は40,000以上200,000以下であり、前記無着色の粒子の体積平均粒径は4μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のトナーとキャリアからなることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項4】
潜像担体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、
前記静電荷現像用現像剤が、請求項3に記載の静電荷現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
重合開始剤を添加し重合性単量体を重合して結着樹脂粒子を調製する重合槽と、
少なくとも重合開始初期に、前記重合性単量体を含む溶液を前記重合槽の気相部から重合槽の壁面に沿って添加する添加手段と、
得られた樹脂粒子分散液と、少なくとも着色剤を分散させてなる着色剤粒子分散液と、場合により離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液と混合し、前記樹脂粒子と顔料粒子と離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を形成したのち、加熱して前記凝集粒子を合一融合するための撹拌槽と、を備えたことを特徴とする静電荷現像用トナーの製造装置。
【請求項6】
前記添加手段が、スプレー式添加装置または樋状添加装置であることを特徴とする請求項5に記載の静電荷現像用トナーの製造装置。
【請求項7】
前記重合性単量体を含む溶液が、前記重合性単量体を含む油相と、水相とを乳化させ調製された重合性単量体含有乳化液であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の静電荷現像用トナーの製造装置。
【請求項8】
結着樹脂を調製するための重合性単量体を含む油相と、水相とを撹拌を行いながら乳化して重合性単量体含有乳化液を調製する工程と、
少なくとも重合開始初期に前記重合性単量体含有乳化液を重合槽の気相部から重合槽の壁面に沿って添加し、前記重合性単量体含有乳化液に重合開始剤を添加し重合性単量体重合して結着樹脂粒子を調製する工程と、
結着樹脂粒子を分散した結着樹脂粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液と離型剤を分散した離型剤分散液とを混合し、結着樹脂粒子及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子に凝集させる凝集工程と、
得られた凝集体を結着樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し融合させトナー粒子を形成する融合工程と、を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−152043(P2010−152043A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329314(P2008−329314)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】