説明

静電荷像現像用トナー及びその製造方法

【課題】転写率が良好で、帯電ローラの汚染が少なく、カブリが発生せず、少ない消費量で安定して高画質の印字画像を形成することができる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、分級により粗粒子と微粒子を除去してなる静電荷像現像用トナーにおいて、外添剤として、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子が添加されてなることを特徴とする静電荷像現像用トナー、及び、少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、該粉体を加熱処理により球形化したのちに、上記の無機微粒子を添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、転写率が良好で、帯電ローラの汚染が少なく、カブリが発生せず、少ない消費量で安定して高画質の印字画像を形成することができる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成方法においては、感光体を一様に帯電させ、次いで感光体を露光して露光部分の電荷を消散させることにより静電荷的な潜像を形成し、静電荷像にトナーを付着させることにより可視化して現像し、可視化像を紙などの材料に転写し、転写された像を加熱などの手段により定着させる。現像方式には、磁性又は非磁性トナー1種類のみを用いる一成分方式と、トナーとキャリアの2種類の粉体を用いる二成分方式がある。一成分方式の現像法は、装置の小型化、簡略化が可能であり、特に非磁性1成分トナーは、鮮やかなカラートナーが可能であるという特徴を有する。
非磁性1成分現像の画像形成装置においては、長期の印字における現像ローラ上のトナーの帯電量の均一化のために、トナー母粒子に疎水性シリカが添加される場合が多いが、シリカのみの外添ではカブリの発生や環境変動に対して帯電の不安定化をまねきやすく、これらの問題を抑制するために、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、マグネタイトなどが外添される。
例えば、繰り返し使用時や環境変動に対して優れた帯電安定性を有し、用紙への転写性と黒色再現性に優れ、感光体へのフィルミングと加熱定着時のドットのつぶれの問題が改善された負荷電性トナーとして、ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂とし、ホウ素系キレート化合物を荷電制御剤として含有し、疎水性シリカとチタン酸金属塩が重量比5:1〜1:1.2で外添された負荷電性トナーが提案され、疎水性シリカとチタン酸金属塩を用いることにより、高温高湿環境下での帯電量低下を防ぎ、環境変動に対する帯電安定性を向上させることができると説明されている(特許文献1)。しかし、トナー母粒子に疎水性シリカとチタン酸金属塩を外添すると、疎水性シリカとチタン酸金属塩の凝集体が生成しやすく、トナー粒子から離脱し、帯電ローラや現像ローラなどのプリンタ部材を汚染し、白地部汚れやベタカスレなどの画像不良を起こしやすい。
また、高い画像濃度と少ないバックグラウンドのカブリを同時に実現することができる非磁性1成分トナーとして、トナー100重量部に対して、BET比表面積が0.5〜5.0m2/gである液相法により生成されたチタン酸バリウム0.2〜5重量部を含有する非磁性1成分トナーが提案されている(特許文献2)。しかし、BET比表面積0.5〜5m2/gのチタン酸バリウムは、粒径が大きいために長期の繰り返しの印字においてトナー粒子から離脱しやすく、ドット及び細線再現性が低下し、トナー消費量が悪化する。
最近のフルカラーの画像形成装置には、中間転写体を有する機種が多く、トナーの転写性能が重要となっており、従来の混練粉砕トナーのような角ばった形状の粒子より、球形のトナーの方が、感光体や中間転写との接触面積が小さくなり、トナーの付着力が小さいため、転写率向上の点で有利である。
また、球形のトナーは粒子が均一に帯電しやすいことも利点であり、非磁性1成分現像において、球形のトナーは現像ローラ上の薄層形成しやすく、帯電が安定化しやすい。
球形のトナーとしては、懸濁重合法や乳化重合凝集法などの重合法で作られたトナーや、従来の混練粉砕トナーを加熱処理により球形化したトナーが知られている。重合法トナーは、界面活性剤などがトナー表面に残存してトナーの帯電性能に悪影響を及ぼすことや、初期の設備投資に莫大な金額が必要になることが問題となっている。また、懸濁重合法トナーにおいては、粒子形状がほぼ真球のため感光体上の転写残トナーを弾性ブレードでクリーニングする場合に、クリーニング不良が発生しやすいという欠点もある。
加熱処理により球形化したトナーの例として、特許文献3(特開平11−295929)が挙げられるが、トナー粒子の表面が平滑でワックスが表面に多く存在するために、外添剤が離脱しやすく、また、離脱した外添剤は、ワックス成分をバインダーとして現像ローラや帯電ローラを汚染する場合がある。
【特許文献1】特開平11−133669号公報
【特許文献2】特開2002−107999号公報
【特許文献3】特開平11−295929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、転写率が良好で、帯電ローラの汚染が少なく、カブリが発生せず、少ない消費量で安定して高画質の印字画像を形成することができる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、トナー粒子に真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を外添剤として添加することにより、効果的に帯電ローラの汚染とカブリの発生を抑制することができ、特に加熱処理により球形化したトナー粒子に該無機微粒子を添加し、かつ該無機微粒子のみを添加するか、あるいは、少ない量の疎水性シリカとともに該無機微粒子を添加することが有効であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、分級により粗粒子と微粒子を除去してなる静電荷像現像用トナーにおいて、外添剤として、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子が添加されてなることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
(2)無機微粒子が、チタン酸バリウムである(1)記載の静電荷像現像用トナー、
(3)粉体が、浮遊状態における加熱処理により球形化されてなる(1)又は(2)記載の静電荷像現像用トナー、
(4)非磁性1成分トナーである(1)〜(3)のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー、
(5)少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、該粉体を加熱処理により球形化したのちに、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、及び、
(6)真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子と同時に、疎水性シリカ/該無機微粒子の重量比0.8以下で、疎水性シリカを添加する(5)記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の静電荷像現像用トナーは、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を外添剤として添加しているので、トナー粒子からの外添剤の離脱が少なく、流動性が良好であり、長期の画像形成において、カブリが少なく、ドット及び細線再現性が良好に持続されるためにトナー消費量が悪化せず、帯電ローラなどのプリンタ部材の汚染もほとんど発生しない。本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、加熱処理により球形化したトナー母粒子を用いるため転写率が良好で、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を添加するので、該無機微粒子がトナー粒子から離脱したり、トナー粒子中に埋め込まれることがなく、該無機微粒子と他の外添剤微粒子が凝集体を形成することもなく、高性能のN型静電荷像現像用トナーを効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、分級により粗粒子と微粒子を除去してなる静電荷像現像用トナーにおいて、外添剤として真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子が添加されてなるトナーである。
本発明においては、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子がチタン酸バリウムであることが好ましい。チタン酸バリウムの製造方法としては、炭酸バリウムと酸化チタンの固相反応による固相反応法、塩化バリウムと四塩化チタンとシュウ酸の反応により得られるシュウ酸バリウムチタニルの熱分解によるシュウ酸塩法、クエン酸バリウム水溶液とクエン酸チタン水溶液の反応により得られるクエン酸バリウムチタンの熱分解によるクエン酸塩法、水酸化バリウムとメタチタン酸を高温高圧下で反応させる水熱法、水酸化バリウムのゲルとチタンのゾルを混合し、乾燥、仮焼、粉砕するゾル−ゲル法、チタンのアルコキシドを原料として用いるアルコキシド法が知られている。これらの中で、チタンのアルコキシドを原料として用いるアルコキシド法チタン酸バリウムを特に好適に用いることができる。
アルコキシド法チタン酸バリウムは、粒度分布が非常に狭く、形状が球に近い。本発明に用いるチタン酸バリウムは、一次粒子径の標準偏差/平均値の比が0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。一次粒子径の標準偏差/平均値の比が0.25を超えると、粒度分布が広くなり、トナー粒子への埋め込み、トナー粒子の表面からの離脱又はその両方が発生するおそれがある。本発明に用いるチタン酸バリウムは、真円度が1.00〜1.30で球形に近いので、粒子同士の凝集性が小さく、外添剤としてトナー粒子と混合したときに、一次粒子で均一に分散して付着しやすい。真円度が1.30を超えると、粒子が不定形で粒子間の凝集のため、トナー表面に均一に分散することが難しくなり、トナー表面の二次凝集体は離脱しやすいため、プリンタ部材を汚染するおそれがある。
本発明に用いる無機微粒子は、粒径が細かく、球形状であり、粒度分布が非常に狭いので、画像形成プロセス中にトナー粒子から離脱しにくく、プリンタ部材の汚染が少ない。また、チタン酸バリウムは、体積抵抗率が小さいので、トナー粒子から離脱してプリンタ部材を汚染したとしても画像品質へ影響するおそれが少ない。さらに、低湿環境下におけるトナーの過剰帯電が抑制され、画像濃度の低下やカブリが起こりにくい。
【0007】
本発明に用いるアルコキシド法チタン酸バリウムとしては、水酸化バリウムの水溶液とチタンアルコキシドを混合したのち、還流下で加熱して反応させ、生成した沈殿を結晶化させて製品とする半アルコキシド法によるアルコキシド法チタン酸バリウム、原料としてバリウムアルコキシドとチタンアルコキシドを用いる全アルコキシド法によるアルコキシド法チタン酸バリウムのいずれをも用いることができる。
本発明において、外添剤として用いる無機微粒子は、平均一次粒子径が0.05〜0.45μm、より好ましくは0.1〜0.4μmである。無機微粒子の平均一次粒子径が0.05μm未満であると、トナー間スペーサとしての効果がなくなったり、トナー表面に埋め込まれ、カブリが発生するおそれがある。無機微粒子の平均一次粒子径が0.45μmを超えると、トナー粒子の表面から離脱しやすくなるおそれがある。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子を形成する粉体が、浮遊状態における加熱処理により球形化されてなることが好ましい。トナー粒子を加熱処理によって球形化すると、静電荷像現像用トナーの転写性を向上することができ、トナー粒子が均一に帯電しやすくなる。しかし、その反面トナー粒子が含有する離型剤が粒子の表面に滲み出して、外添剤の微粒子が離脱しやすくなる。一般的に、トナーの外添剤としては、粒子径の大きいものほどトナー表面から離脱しやすく、粒子径が小さいほどトナー粒子の表面に埋め込まれやすい。これまでのトナーの外添剤粒子は粒度分布をもつため、トナー表面からの離脱と埋め込みの両方に優れた性能をもつものがなかった。本発明に用いる無機微粒子は粒度分布が非常に狭いので、加熱処理による球形化トナー粒子であっても、離脱する微粒子は少なく、プリンタ部材の汚染を防ぐことができる。浮遊状態において加熱処理されたトナー粒子は、平均円形度が0.930〜0.980であることが好ましく、0.945〜0.970であることがより好ましい。トナー粒子の平均円形度が0.930未満であると、静電荷像現像用トナーの転写性が低下するおそれがある。トナー粒子の平均円形度が0.980を超えると、感光体に付着したトナー粒子のクリーニングブレードによる掻き取りが不十分となるおそれがある。
本発明の静電荷像現像用トナーは、非磁性1成分トナーとして特に好適に用いることができる。非磁性1成分現像では、現像ローラ上でのトナーの薄層形成が重要と言われているが、球形のトナーは帯電が均一で現像ローラ上に均一な薄層を形成しやすい。また、規制ブレードによる現像ローラへの線圧が大きいため、長期の画像形成においてトナーへの負荷は大きく、外添剤が凝集体を形成している場合はトナー粒子から離脱しやすい。しかし、本発明に用いる無機微粒子は、粒度分布が非常に狭い上に、球状に近いので粒子間の凝集性が少なく、トナー粒子表面にほぼ一次粒子の状態で均一に存在するため、離脱が少ない。したがって、長期の画像形成においても良好な画像品質を持続することができる。
【0008】
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、該粉体を加熱処理により球形化したのちに、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を添加する。本発明方法において、バインダー樹脂とともに溶融混練する成分としては、着色剤の他に、例えば、帯電制御剤、離型剤などを挙げることができる。
本発明方法に用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン−ノルボルネン共重合体などの環状オレフィン共重合体、ジエン系樹脂、シリコーン系樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリビニルブチラールなどを挙げることができる。これらの中で、ポリエステル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を好適に用いることができる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルなどを挙げることができる。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル共重合体などを挙げることができる。本発明方法に用いるバインダー樹脂は、ガラス転移温度が50〜75℃であることが好ましく、55〜70℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が50℃未満であると、静電荷像現像用トナーの保存性が低下するおそれがある。ガラス転移温度が75℃を超えると、静電荷像現像用トナーの低温定着性が不十分となるおそれがある。
【0009】
本発明方法に用いる着色剤に特に制限はなく、無機又は有機の各種の顔料、染料などを用いることができる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラックなどを挙げることができる。黄色顔料としては、例えば、パーマネントイエロー、クロムイエロー、キノリンイエロー、ベンジジンイエロー、黄色酸化鉄、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162などを挙げることができる。赤色顔料としては、例えば、ベンガラ、レーキレッド、ローダミン6B、キナクリドン、カーミン6B、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184などを挙げることができる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などを挙げることができる。本発明方法において、静電荷像現像用トナー中の着色剤の含有量は1〜20重量%であることが好ましく、2〜8重量%であることがより好ましい。着色剤の含有量が1重量%未満であると、必要な画像濃度が得られないおそれがある。着色剤の含有量が20重量%を超えると、トナーの定着性が低下するおそれがある
【0010】
本発明方法においては、バインダー樹脂に電荷制御剤を配合して溶融混練することができる。電荷制御剤を配合することにより、静電荷像現像用トナーの帯電特性を安定させ、カブリの発生を防止することができる。トナーを負帯電性に制御する電荷制御剤としては、例えば、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ヒドロキシカルボン酸、含金属サリチル酸系化合物、ホウ素錯体化合物、カリックスアレーンなどを挙げることができる。トナーを正帯電性に制御する電荷制御剤としては、例えば、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、ニグロシン、グアニジン化合物、トリフェニルメタン染料、第四級アンモニウム塩などを挙げることができる。
本発明方法においては、バインダー樹脂に離型剤を配合して溶融混練することができる。離型剤を配合することにより、トナー粒子の定着ローラへの付着を防止することができる。本発明方法に用いる離型剤としては、例えば、カルナウバワックス、ライスワックスなどの植物ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、モンタンワックス、キャンデリアワックスなどの鉱物ワックス、カーボワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、塩素化ナフタレンワックスなどの合成ワックス、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの高級アルコール、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどのアミド系ワックス、脂肪酸エステル、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレートなどの多価アルコールエステル、シリコーンワニスなどを挙げることができる。
【0011】
本発明方法において、バインダー樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤などを溶融混練する方法に特に制限はなく、例えば、これらの材料をリボン型混合機、二重円錐型混合機、高速混合機、円錐型スクリュー混合機などを用いてあらかじめ混合したのち、バンバリーミキサー、二軸混練押出機、3本ロールなどを用いて溶融混練することができる。冷却後の溶融混練物を粉砕して粉体化する方法に特に制限はなく、例えば、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャーなどの衝撃式粉砕機を用いて粗粉砕したのち、ロッドミル、ボールミルなどの打撃式粉砕機や、カウンタージェットミルなどの圧縮空気源を利用したジェット式粉砕機などを用いて微粉砕することができる。
本発明方法においては、溶融混練物の粉砕により得られた粉体、又は、分級操作によって粗粉と微粉を取り除いて粒度分布を狭くした粉体を、浮遊状態で加熱処理することにより球形化する。トナー粒子の形状が球形に近いと、トナーの電荷分布が均一になり、カブリが少なく、細線再現性の良好な画像が得られる。また、転写率が向上し、転写不良による文字の中抜けが防止されたり、感光体が長寿命化するなど総合的な品質が向上する。粉体の加熱処理に際しては、あらかじめシリカ等の微粒子を流動化剤として外添することにより、球形化工程の生産性を向上することができる。外添シリカは、表面をシランカップリング剤などで疎水化処理した疎水性シリカであることが好ましい。外添シリカの添加量は、粉体100重量部に対して、0.1〜6重量部であることが好ましく、0.3〜4重量部であることがより好ましい。球形化前に外添されたシリカは、球形化時にバインダー樹脂内に埋め込まれ、流動性や帯電性の向上などの通常の外添剤の機能として十分ではないので、球形化の後工程で必要に応じて外添剤を添加することが好ましい。
本発明方法において、粉体を加熱処理する手段としては、例えば、流動床槽や、熱気流中に粉体を分散させて表面を溶融させて球形化する熱風球形化装置などを用いることができる。加熱処理により、トナー母粒子の平均円形度を転写性に優れる0.930〜0.980とすることが好ましく、0.945〜0.970とすることがより好ましい。平均円形度が0.930未満であると、トナー粒子と現像ローラや感光体との付着力が増加するために、転写率が低下したり、得られる画像の画質が低下するおそれがある。平均円形度が0.980を超えると、感光体上の転写残トナーをブレードでクリーニングするときに、ブレードをすり抜けて完全に除去されないおそれがある。
【0012】
本発明方法においては、バインダー樹脂、着色剤などの溶融混練物を粉砕した粉体を加熱処理により球形化したのちに真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を添加する。加熱処理による球形化トナーは、従来の混練粉砕トナーに比べても粒子表面にワックス成分が存在しやすく、そのために外添剤が離脱するという問題があったが、粒度分布がシャープな無機微粒子を使用することで、離脱しやすいという問題を改善することができる。また、極微粒子も少ないからトナー粒子中に埋め込まれることもない。真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を添加することにより、カブリの発生を抑制し、トナー消費量を低減することができる。
本発明方法においては、無機微粒子がアルコキシド法チタン酸バリウムであることが好ましい。アルコキシド法チタン酸バリウムは、粒径分布が非常に狭いので、長期の画像形成においてもトナー粒子からの離脱が少ないので、長期にわたりカブリがなく、ドット及び細線再現性が良好でトナー消費量が優れた高画質を持続することができる。また、アルコキシド法チタン酸バリウムは形状が球に近いので、粒子同士の凝集性が小さく、外添剤としてトナー粒子と混合したときに、一次粒子で均一に分散して付着しやすい。トナー表面上で一次粒子として存在しやすいことも、トナー粒子からの離脱抑制に寄与していると考えられる。もう一つのアルコキシド法チタン酸バリウムの特徴として、疎水性シリカより体積抵抗率が小さいので、トナー粒子から離脱してプリンタ部材を汚染しても画像不良を起こしにくい。さらに、低湿環境下でのトナー帯電の上がりすぎを防止して良好な画像品質が得られる。本発明方法においては、アルコキシド法チタン酸バリウムが、シランカップリング剤などにより表面処理を施したものであることが好ましい。
本発明方法においては、疎水性シリカ、酸化チタン、アルミナなどを他の外添剤として併用することができる。他の外添剤を併用することにより、静電荷像現像用トナーの流動性を向上することができる。ただし、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子をトナー母粒子に外添するときは、他の外添剤を同時に添加しないことが好ましい。疎水性シリカなどの他の外添剤を真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子と同時に添加する場合は、他の外添剤/該無機微粒子の重量比が0.8以下であることが好ましい。同時に添加する他の外添剤と該無機微粒子との重量比が0.8を超えると、他の外添剤と該無機微粒子が凝集体を形成して、トナー粒子から離脱しやすくなり、プリンタ部材の汚染を引き起こすおそれがある。
本発明方法において、トナー粒子と外添剤を混合する方法に特に制限はないが、撹拌時のせん断力の大きい混合機は、外添剤粒子を解砕しやすいので好適に用いることができる。このような混合機としては、例えば、高速撹拌型混合機[三井鉱山(株)、ヘンシェルミキサー(登録商標)、Q型ミキサー]や、機械的衝撃力を付与できる混合装置[ホソカワミクロン(株)、ノビルタ(登録商標)]などを挙げることができる。
【実施例】
【0013】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
(1)無機微粒子の平均一次粒子径と標準偏差
走査型電子顕微鏡(SEM)[日本電子データム(株)、JSM−5200]で、倍率2万倍で外添剤粒子の写真を撮影し、画像解析ソフトを使用して100個の粒子の粒子径を求め、平均値と標準偏差を算出する。
(2)無機微粒子の真円度
走査型電子顕微鏡(SEM)[日本電子データム(株)、JSM−5200]で、倍率2万倍で外添剤粒子の写真を撮影し、画像解析ソフトを使用して100個の粒子の周囲長と面積を求め、下記式より真円度を算出する。
真円度=(周囲長)2/{4π×(面積)}
(3)バインダー樹脂の軟化温度
JIS K 7199に規定するキャピラリーレオメータ[(株)島津製作所、CFT−500C]を用い、シリンダ内径11.329mm、キャピラリーダイ内径1mm、長さ1mmとし、シリンダ内に樹脂1.0gを充填し、ピストンに荷重98Nをかけ、50℃から5℃/分で昇温し、充填された樹脂の2分の1が流出したときの温度をフローテスタT1/2とする。
(4)粒子の平均円形度
フロー式粒子像分析装置[シスメックス(株)、FPIA−2100]を用いて、円相当径3μm以上の粒子の平均円形度を求める。
円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長)/(粒子投影図の輪郭長さ)
(5)カブリ
JIS P 8152にしたがって、色彩色差計[ミノルタ(株)]を用いて未使用紙の反射率と画像白地部の反射率を測定し、その差を求める。
○:1.0%未満(良好)
△:1.0%以上2.0%未満(実用上問題ない)
×:2.0%以上(不良)
(6)トナー消費量
A4版用紙6,000枚に印字率5%で印字し、印字試験前と印字試験後のカートリッジ現像器ユニットの重量差から使用されたトナーを算出し、印字枚数で除する。
○:20mg/枚未満(良好)
△:20mg/枚以上25mg/枚未満(実用上問題ない)
×:25mg/枚以上(不良)
(7)帯電ローラの汚染
◎:汚染が全く認められない。
○:ごく僅かな汚染が認められる。
△:若干の汚染が発生しているが、実用上問題はない。
×:汚染があり、帯電不良により画像上にゴーストが発生する。
【0014】
合成例1(全アルコキシド法チタン酸バリウムの調製)
窒素雰囲気中で、バリウムイソプロポキシド[和光純薬工業(株)]75.3g(0.297モル)とチタンテトライソプロポキシド[和光純薬工業(株)]92.7g(0.326モル)をイソプロピルアルコール350mLに溶解し、2時間加熱還流した。次に、この溶液の加熱還流を続けながら、蒸留水65mLを1時間かけて滴下して、イソプロポキシドを加水分解した。いったん室温まで冷却したのち、水を加えてスラリー濃度をBaTiO3に換算して0.5モル/Lに調整した。このスラリーを1時間かけて沸騰温度まで昇温し、3時間加熱還流した。次いで、室温まで冷却し、デカンテーションを繰り返して水洗したのち、ブフナー漏斗を用いてろ過、水洗し、105℃で乾燥し、解砕してチタン酸バリウム微粉体63.7gを得た。収率92%。得られたチタン酸バリウムは、立方晶球状チタン酸バリウムであり、電子顕微鏡観察による平均一次粒子径は0.15μm、標準偏差は0.027μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.18であり、真円度は1.27であり、窒素を用いて測定したBET比表面積は11.7m2/gであった。このチタン酸バリウムを、アルコキシド法チタン酸バリウムAとする。
合成例2(半アルコキシド法チタン酸バリウムの調製)
水酸化バリウム八水和物15.8g(0.05モル)を蒸留水117mLに添加し、80℃に加熱して溶解した。この溶液に、窒素雰囲気中で、チタンテトラn−ブトキシド16.8g(0.0495モル)をトルエン37.7mLに溶解した溶液を加えて、1時間加熱還流し、さらに昇温してトルエンとn−ブチルアルコールを留去した。得られたスラリーに蒸留水を加えて、スラリーの水量を100mLに調整したのち、アセトン100mLを加え、10℃に冷却して2時間撹拌した。次いで、ブフナー漏斗を用いてろ過し、得られた固形分を60℃で12時間乾燥したのち、850℃で1時間仮焼し、チタン酸バリウム微粉体10.4gを得た。収率90%。得られたチタン酸バリウムは、立方晶球状チタン酸バリウムであり、電子顕微鏡観察による平均一次粒子径は0.32μm、標準偏差0.049μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.15であり、真円度1.17であり、窒素を用いて測定したBET比表面積は4.5m2/gであった。このチタン酸バリウムを、アルコキシド法チタン酸バリウムBとする。
【0015】
実施例1
ポリエステル樹脂[数平均分子量3,400、重量平均分子量133,800、酸価5.0mgKOH/g、ガラス転移温度61℃、フローテスタT1/2130℃]92.0重量部、カーボンブラック[キャボット社、Black Pearls L]5.0重量部、電荷制御剤[オリエント化学工業(株)、E−304]1.0重量部及びワックス[三洋化成工業(株)、ユーメックス110TS]2.0重量部を、高速撹拌混合機[三井鉱山(株)、ヘンシェルミキサー(登録商標)]を用いて予備混合し、二軸押出機[(株)池貝、PCM−30]を用いて溶融混練し、ジェット式粉砕機[ホソカワミクロン(株)、カウンタージェットミル]を用いて体積平均粒径7.5μmに粉砕した。
得られた粉体100重量部に、疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.3重量部及び疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合したのち、熱風球形化装置[日本ニューマチック工業(株)、SFS−3]を用いて、熱風温度280℃で加熱処理し、平均円形度0.958、体積平均粒径7.9μmの球形化粒子を得た。
この球形化粒子100重量部に、疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.5重量部と、合成例1で調製したアルコキシド法チタン酸バリウムA0.75重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて周速40m/sで混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩[ダルトン(株)]を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
非磁性1成分現像方式のレーザープリンタのブラックトナーカートリッジにこの静電荷像現像用トナーを充填し、A4版用紙に印字率5%の画像パターンで6,000枚印字した。未使用紙の反射率は87.40%、6,000枚目の画像白地部の反射率は86.87%であり、カブリは良好であった。トナー消費量は、16.1mg/枚であった。帯電ローラには、ごく僅かな汚染が認められた。
【0016】
実施例2
実施例1の球形化粒子100重量部に、合成例1で調製したアルコキシド法チタン酸バリウムA0.75重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを調製し、評価を行った。
未使用紙の反射率は88.05%、6,000枚目の画像白地部の反射率は87.45%であり、カブリは良好であった。トナー消費量は、15.6mg/枚であった。帯電ローラに、汚染は全く認められなかった。
実施例3
実施例1の球形化粒子100重量部に、合成例2で調製したアルコキシド法チタン酸バリウムB0.75重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを調製し、評価を行った。
未使用紙の反射率は87.93%、6,000枚目の画像白地部の反射率は87.14%であり、カブリは良好であった。トナー消費量は、17.2mg/枚であった。帯電ローラに、若干の汚染が発生していたが、実用上問題はなかった。
実施例4
実施例1の球形化粒子100重量部に、疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.5重量部、疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]0.5重量部及び合成例1で調製したアルコキシド法チタン酸バリウムA0.75重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを調製し、評価を行った。
未使用紙の反射率は87.88%、6,000枚目の画像白地部の反射率は86.80%であり、カブリは良好であった。トナー消費量は、18.5mg/枚であった。帯電ローラに、若干の汚染が発生していたが、実用上問題はなかった。
【0017】
比較例1
実施例1の球形化粒子100重量部に、疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.5重量部と酸化チタン[平均一次粒子径0.24μm、標準偏差0.065μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.27、真円度1.24、BET比表面積6.9m2/g]0.75重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを調製し、評価を行った。
未使用紙の反射率は87.75%、6,000枚目の画像白地部の反射率は86.99%であり、カブリは良好であった。トナー消費量は、20.6mg/枚であった。帯電ローラに、汚染があり、帯電不良により画像上にゴーストが発生した。
比較例2
実施例1の球形化粒子100重量部に、疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.5重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを調製し、評価を行った。
未使用紙の反射率は87.69%、6,000枚目の画像白地部の反射率は85.28%であり、カブリは不良であった。トナー消費量は、28.5mg/枚であった。帯電ローラには、ごく僅かな汚染が認められた。
実施例1〜4及び比較例1〜2の結果を、第1表に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
第2表に見られるように、分級後に平均一次粒子径が0.15μmのアルコキシド法チタン酸バリウムを添加した実施例1と実施例2の静電荷像現像用トナーは、カブリとトナー消費量が少なく、帯電ローラの汚染も全く発生しないか、ごく僅かである。平均一次粒子径が0.32μmのアルコキシド法チタン酸バリウムを添加した実施例3の静電荷像現像用トナーは、トナー消費量が僅かに増加し、帯電ローラの汚染も、実用上問題のない水準ではあるが若干発生している。分級後に平均一次粒子径が0.15μmのアルコキシド法チタン酸バリウムを添加しているが、同時にチタン酸バリウムの2重量倍の疎水性シリカを添加した実施例4の静電荷像現像用トナーは、トナー消費量が増加し、帯電ローラの汚染も、実用上問題のない水準ではあるが若干発生している。疎水性シリカと酸化チタンを添加した比較例1の静電荷像現像用トナーは、トナー消費量がやや多く、帯電ローラも著しく汚染している。分級後に疎水性シリカのみを添加した比較例2の静電荷像現像用トナーは、強いカブリが発生し、トナー消費量が著しく増大している。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の静電荷像現像用トナーは、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を外添剤として添加しているので、長期の画像形成においてもトナー粒子からの外添剤の離脱が少なく、流動性が良好であり、カブリの発生が少なく、少ないトナー消費量で高画質の印字画像を形成することができ、帯電ローラなどのプリンタ部材の汚染もほとんど発生しない。本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、加熱処理により球形化したトナー母粒子に、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を添加するので、加熱処理による球形化トナーの欠点となっていた外添剤の離脱を防止でき、該無機微粒子がトナー粒子中に埋め込まれることがなく、該無機微粒子と他の外添剤微粒子が凝集体を形成することもなく、高性能のN型静電荷像現像用トナーを効率的に製造することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、分級により粗粒子と微粒子を除去してなる静電荷像現像用トナーにおいて、外添剤として、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子が添加されてなることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
無機微粒子が、チタン酸バリウムである請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
粉体が、浮遊状態における加熱処理により球形化されてなる請求項1又は請求項2記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
非磁性1成分トナーである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、該粉体を加熱処理により球形化したのちに、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子を添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項6】
真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子と同時に、疎水性シリカ/該無機微粒子の重量比0.8以下で、疎水性シリカを添加する請求項5記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。