説明

静電荷像現像用現像剤、その製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置

【課題】所謂ハイブリッド現像において、耐熱保存性に優れ、長期使用によってもトナー及びキャリアの劣化が小さく、常に安定した帯電性付与が可能であり、ベタ画像均一性に優れた静電荷像現像用現像剤とそれを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーとキャリアを含有する静電荷像現像用現像剤であって、当該現像剤を担持させた現像剤担持体より、トナーをトナー担持体に移行させ、当該トナー担持体から当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させる画像形成方法に用いられ、当該トナーは、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであり、当該シェルとコアが特定条件を満たすものであり、かつ当該キャリアは、芯材部分の表面に樹脂被覆層を有する静電荷像現像用キャリアであること等を特徴とする静電荷像現像用現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成に用いる静電荷像現像用現像剤(以下「現像剤」ともいう。)、その製造方法、当該静電荷像現像用現像剤を用いた画像形成方法及び画像形成装置に関する。詳しくは、トナーとキャリアを含有する静電荷像現像用現像剤であって、トナー像を低温定着させる画像形成方法に適した静電荷像現像用現像剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置において、静電潜像担持体上に形成された静電潜像の現像方式としては、現像剤としてトナーのみを用いる1成分現像方式及びトナーとキャリアを用いる2成分現像方式が知られている。
【0003】
1成分現像方式では一般的にトナーを、トナー担持体とトナー担持体に押圧された規制板とによって形成される規制部を通過させることでトナーを帯電し、所望のトナー薄層を得ることができる。装置の簡略化、小型化、低コスト化の面で有利であるが、規制部の強いストレスによりトナーの劣化が促進され易く、トナーの電荷受容性が低下しやすい。さらに、トナー規制部材やトナー担持体表面がトナーや外添剤により汚染されることでトナーへの電荷付与性も低下して、かぶり等の問題を引き起こすため、結果として現像装置の寿命を短くしてしまう。
【0004】
これに対し、2成分現像方式ではトナーをキャリアとの混合による摩擦帯電で帯電するため、ストレスが小さく、トナーの劣化に対して有利である。さらにトナーへの電荷付与部材であるキャリアも、その表面積が大きいため、トナーや外添剤による汚染に対しても強く、長寿命化に有利である。
【0005】
しかしながら、2成分現像剤を用いた場合においても、トナーや外添剤によってキャリア表面の汚染が生じることには変わりなく、長期に亘る使用によりトナー帯電量の低下を引き起こし、かぶりやトナー飛散などの問題が生じ、その寿命は決して十分とは言えず、より長寿命化が望まれている。
【0006】
そこで、1成分現像と2成分現像を複合させた、いわゆるハイブリッド現像方式と言われる現像方式も開発された。これは、表面にトナーおよびキャリアからなる2成分現像剤層を担持させた現像剤担持体より、トナーをトナー担持体に移行させ、このトナーを担持したトナー担持体を、静電潜像を担持した静電潜像担持体(通常は感光体)面に対向させ、現像を行う方法である。
【0007】
しかしながら、ハイブリッド現像システムでは、現像特性を安定化させる上で現像剤担持体からトナー担持体へ搬送されたトナーが常に均一な状態である必要があり、且つ確実にそのトナーを静電潜像担持体に移行させ、紙に定着させる必要がある。そのためには長期使用によってもトナーおよびキャリアの劣化が小さく、常に安定した帯電性付与が可能な技術が必要である。
【0008】
近年、省エネルギー化が進む中で、電子写真技術においては、消費電力低減や高速印刷のために、定着装置の低エネルギー化(低温定着化)が図られている。しかし、低温定着化に伴いトナーの熱的安定性(保管時および輸送時の耐熱保管性)の低下、トナー樹脂の軟化点低下によるキャリア汚染(トナースペント)、着色剤や離型剤などの成分がトナー表面から露出することによる長期帯電性付与力の改良が十分ではなかった。
【0009】
これらの問題を解決するためにトナー表面を樹脂で被覆した構造を有する、いわゆるコア・シェル構造にてトナー性能向上を図る技術は以前より提案されていた(例えば特許文献1及び2参照)。
【0010】
これらは低軟化点化したコア樹脂が熱により流出しないようコア・シェル構造のシェル層を厚くすることによりコア樹脂が流出しにくくなり耐熱保管性の向上、トナースペントが低減した。しかしながら低温定着性が低下してしまうという問題があった。
【0011】
そこで、低Tgのコアをシェルにより薄膜かつ均一に被覆することにより、低温定着性低下、トナースペントをさせることなく、耐熱保管性に優れたコア・シェル構造トナーが提案されている。
【0012】
しかし、コア・シェル構造を取るトナーでは、表層が樹脂単独となるために、未だ、帯電付与能力が低下する傾向にあり、ベタ画像均一性が悪化するという問題があった。
【特許文献1】特開2004−191618号公報
【特許文献2】特開2004−271638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、所謂ハイブリッド現像において、耐熱保存性に優れ、長期使用によってもトナー及びキャリアの劣化が小さく、常に安定した帯電性付与が可能であり、かつベタ画像均一性に優れた静電荷像現像用現像剤とそれを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0015】
1.トナーとキャリアを含有する静電荷像現像用現像剤(以下「現像剤」ともいう。)であって、当該現像剤を担持させた現像剤担持体より、トナーをトナー担持体に移行させ、当該トナー担持体から当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させる画像形成方法に用いられ、当該トナーは、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであり、当該シェルの8点平均膜厚(Have)が100〜300nmであり、当該シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとしたとき、両者の比:Hmax/Hminが1.00〜1.50であり、当該コアのガラス転移温度をTg1、当該シェルのガラス転移温度をTg2としたとき、30℃≦Tg1≦40℃、45℃≦Tg2≦55℃であり、かつ当該キャリアは、芯材部分の表面に樹脂被覆層を有する静電荷像現像用キャリアであり、当該キャリアの体積平均粒径が20〜40μmであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【0016】
2.前記静電荷像現像用キャリアが、前記樹脂被覆層に含窒素化合物を含有することを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用現像剤。
【0017】
3.前記1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤の製造方法であって、当該静電荷像現像用現像剤に含有される静電荷像現像用トナーを、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加してシェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーとして形成することを特徴とする静電荷像現像用現像剤の製造方法。
【0018】
4.静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤を用いて顕像化したトナー像を記録媒体に転写し、170℃以下の温度で定着させることを特徴とする画像形成方法。
【0019】
5.前記1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤を現像剤担持体の表面に保持させ、保持された当該現像剤とトナー担持体とを接触させて、当該トナー担持体に現像剤に含有されているトナーを静電付着させ、付着した当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させることを特徴とする画像形成方法。
【0020】
6.現像剤担持体、トナー担持体、及び静電潜像担持体とを備え、前記1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤を用いて画像形成することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の上記手段により、所謂ハイブリッド現像において、長期使用によってもトナー及びキャリアの劣化が小さく、常に安定した帯電性付与が可能であり、ベタ画像均一性に優れた静電荷像現像用現像剤とそれを用いた画像形成方法及び画像形成装置現像剤を提供することができる。
【0022】
すなわち、上記のように薄く、かつ厚みムラのない均一なシェル層を形成することにより、低Tgのコア粒子であっても低温定着性を低下させることなく耐熱保管性の確保が可能であり、体積平均粒径が20〜40μmである小粒径キャリアとを含む現像剤とすることにより、キャリア総表面積を多くすることでトナーとの接触確率を上げ、現像剤としての接触帯電能力を向上させることができる。またトナーとキャリアの混合によるストレスが低減されるため、現像剤の劣化も低減され長期にわたり、均一な帯電付与能力を持つことになる。そのため、長期にわたりベタ画像均一性が優れるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の静電荷像現像用現像剤は、トナーとキャリアを含有する静電荷像現像用現像剤(以下「現像剤」ともいう。)であって、当該現像剤を担持させた現像剤担持体より、トナーをトナー担持体に移行させ、当該トナー担持体から当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させる画像形成方法に用いられ、当該トナーは、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであり、当該シェルの8点平均膜厚(Have)が100〜300nmであり、当該シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとしたとき、両者の比:Hmax/Hminが1.00〜1.50であり、当該コアのガラス転移温度をTg1、当該シェルのガラス転移温度をTg2としたとき、30℃≦Tg1≦40℃、45℃≦Tg2≦55℃であり、かつ当該キャリアは、芯材部分の表面に樹脂被覆層を有する静電荷像現像用キャリアであり、当該キャリアの体積平均粒径が20〜40μmであることを特徴とする。この特徴は、請求項1〜5に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0024】
本発明の実施態様としては、前記静電荷像現像用キャリアが、前記樹脂被覆層に含窒素化合物を含有する態様であることが好ましい。
【0025】
本発明の静電荷像現像用現像剤の製造方法としては、当該静電荷像現像用現像剤に含有される静電荷像現像用トナーを、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加してシェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーとして形成する態様の製造方法であることが好ましい。
【0026】
本発明の静電荷像現像用現像剤は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を当該現像剤を用いて顕像化したトナー像を記録媒体に転写し170℃以下の温度で定着させる画像形成方法に適している。更に、本発明の静電荷像現像用現像剤は、現像剤を現像剤担持体の表面に保持させ、保持された当該現像剤とトナー担持体とを接触させて、当該トナー担持体に現像剤に含有されているトナーを静電付着させ、付着した当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させることを特徴と画像形成方法に好適に用いることができる。従って、本発明に係る画像形成装置としては、現像剤担持体、トナー担持体、及び静電潜像担持体とを備え、本発明の静電荷像現像用現像剤を用いて画像形成する態様の像形成装置であることが好ましい。
【0027】
以下、本発明とその構成要素、及び発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
【0028】
(本発明の静電荷像現像用現像剤の構成の概要)
本発明の静電荷像現像用現像剤(単に「現像剤」ともいう。)は、上述のように、少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーと樹脂被覆キャリアからなる静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る静電荷像現像用トナー(単に「トナー」ともいう。)は、種々の成分を含有する構成及び構造を採り得る。好ましい態様としては、結着樹脂、着色剤、ワックス、等を含有する構成態様である。なお、コア・シェル構造としては、コアとシェルは上記条件を満たすことを特徴とする。
【0030】
本発明に係る静電荷像現像用キャリア(単に「キャリア」ともいう。)は、当該キャリアの芯材部分の表面に樹脂被覆層を有する構成となっていることを特徴とする。
【0031】
以下、本発明の静電荷像現像用現像剤の各種構成要素等について詳細な説明をする。
【0032】
《静電荷像現像用トナー》
(コア・シェル構造)
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、コア・シェル構造のシェルを薄く、かつ、均一に形成することにより、低温定着性と耐熱保管性を両立することを要する。
【0033】
このため、本発明のコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーは、当該シェルの8点平均膜厚(Have)が100〜300nmであり、かつ当該シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとしたときに、両者の比:Hmax/Hminが1.50未満であり、かつ当該コアのガラス転移温度をTg1、当該シェルのガラス転移温度をTg2としたとき、30℃≦Tg1≦40℃、45℃≦Tg2≦55℃であるように調整する必要がある。
【0034】
本発明の実施態様としては、前記コアを構成する樹脂の溶解度パラメーターをSP1、前記シェルを構成する樹脂の溶解度パラメーターをSP2としたときに、SP1とSP2の差が0.2〜1.0である態様とすることが好ましい。
【0035】
更に、前記コアを構成する樹脂のガラス転移温度をTg1、前記シェルを構成する樹脂のガラス転移温度をTg2としたときに、Tg2−Tg1≧10℃であるように調製することが好ましい。
【0036】
なお、後述するように、コア粒子の円形度を0.900以上になるように調製することが好ましい。
【0037】
以下、シェルの形成方法について詳細な説明をする。
【0038】
〔均一なシェルの形成方法〕
均一なシェルを形成する具体的な方法、すなわち、シェルの形成を制御する因子としては、以下のものが挙げられる。これらの因子については後で詳細に説明する。すなわち、
(1)コア及びシェルを構成する樹脂のガラス転移温度と溶解度パラメーター
(2)コア粒子の円形度
このうち、コア及びシェルを構成する樹脂のガラス転移温度と溶解度パラメーターについては、本発明のトナーでは、コアとシェルがお互いに相溶しにくい構造を形成することが好ましい。すなわち、コア領域を形成する樹脂とシェル領域を形成する樹脂を選択することにより、コア領域とシェル領域とが相分離した構造を有するトナーが得られ、シェルの膜厚が薄くてもコア領域がトナー表面に露出することのない耐熱保管性に優れたトナーの作製が可能になる。
【0039】
また、コア粒子の円形度については、例えば、コア粒子が高円形度を有するものであれば、比表面積が小さく、かつ、表面性が均一になるので、シェルを構成する樹脂微粒子をコア表面に均一に付着させ易くなり、均一な厚みを有するトナーを作製し易くなる。
【0040】
シェルの平均膜厚は、低ガラス転移温度(Tg)という特性を持ったコア粒子の耐熱依存性と低温定着性の両面の観点より、100〜300nmとすることを要する。また、平均膜厚(Have)100〜300nmという薄膜なシェルを有するトナーにおいて、シェルの最大膜厚Hmaxと最小膜厚Hminの比(Hmax/Hmin)を、1.50未満にすることが、シェルの厚さによって生じる離型剤の溶出性の違いによる定着温度の安定性の観点から必要である。
【0041】
〔シェルの8点平均膜厚の測定方法〕
コア・シェル構造のトナーにおけるシェルの膜厚は、トナーの断面層を透過型電子顕微鏡により撮影した写真より計測されるものである。透過型電子顕微鏡としては、通常当業者の間でよく知られた機種で十分観察され、例えば、LEM−2000型(トプコン社製)、JEM−2000FX(日本電子社製)等が用いられる。
【0042】
具体的には、まずトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形する。必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。
【0043】
次に、上記写真において、着色剤やワックス等の存在領域を目視観察により確認しつつ、コア粒子とシェルとの界面となる境界線を明らかにする。
【0044】
次に、図1に示す如く、トナー粒子の重心Cから45°間隔で表面に向かって直線を引き、各直線がコア粒子表面と交わる点をA、シェル表面と交わる点をBとし、AB間の距離(即ち、シェルの厚さ)を8点測定し、その8点の平均値をトナー粒子1個のシェルの膜厚とする。
【0045】
また、トナー粒子1個中の最大シェル膜厚(Hmax)と、最小シェル膜厚(Hmin)を抽出し、Hmax/Hminを算出する。
【0046】
なお、本願において、「Hmax/Hmin」とは、トナー粒子100個におけるHmax/Hminの平均値である。「8点平均膜厚」とは、トナー粒子100個について8点平均膜厚の平均値として示されるものである。
【0047】
なお、シェルの最小厚さが限りなく0に近い場合には、その膜厚を10nmとして測定することにする。
【0048】
また、トナー粒子100個において80個数%以上のトナー粒子の(Hmax/Hmin)が1.50未満であることを要する。好ましくは、1.05〜1.50であり、より好ましくは1.05〜1.40である。
【0049】
〔均一な膜厚のシェルを形成する方法〕
前記した如く、低Tgコアに対し均一なシェルを形成するためには以下の手段が挙げられる。以下、コアを構成する樹脂を単にコアという如く「を構成する樹脂」を略す。
【0050】
(1)コアとシェルのTg差およびSP値差を広げる。
【0051】
コアのガラス転移温度をTg1、シェルのガラス転移温度をTg2とするとき、Tg2−Tg1≧10℃の範囲とすることが好ましい、さらに好ましくは、Tg2−Tg1≧20℃であるのがよい。
【0052】
また、コアの溶解性パラメーターの値をSP1、シェルの溶解性パラメーターの値をSP2とするとき、SP1とSP2との差(ΔSP)が0.2〜1.0が好ましい、さらに好ましくは0.25〜0.95がよい。
【0053】
(2)コア粒子の円形性を高めた後シェル化する。
【0054】
コア粒子の円形度を0.900以上に高めた後シェル化を開始する。
【0055】
以下、上記(1)及び(2)についてより詳しく説明する。
【0056】
〔ガラス転移温度Tg〕
本発明のトナーにおいて、コアを形成する樹脂のガラス転移温度をTg1、シェルを形成する樹脂のガラス転移温度をTg2としたとき、30℃≦Tg1≦40℃、45℃≦Tg2≦55℃であることを要する。より好ましくは、32℃≦Tg1≦37℃、47℃≦Tg2≦52℃である。
【0057】
また、Tg2−Tg1≧10℃であることが好ましい。より好ましくは、25℃≧Tg2−Tg1≧10℃である。
【0058】
コアを形成する樹脂及びシェルを形成する樹脂のガラス転移温度は、共重合体を形成する重合性単量体の種類、量及び分子量を適宜選択することにより、コントロールすることが可能である。ガラス転移温度を調整する方法は、例えばシェルを構成する樹脂とコアを構成する樹脂の重合単量体の種類を後述する化合物から選定し、両者のガラス転移温度を上記の範囲になるように比率と分子量を調整することで可能となる。
【0059】
ガラス転移温度の算出方法として、本発明では以下のような理論ガラス転移温度を算出してもよい。ここで理論ガラス転移温度とは、共重合体樹脂を構成するそれぞれの成分が、ホモポリマーを形成した場合のガラス転移温度にそれぞれの組成質量分率を乗じ、即ち加重平均して算出したものである。即ち、理論ガラス転移温度Tg(絶対温度Tg’とする)は共重合体樹脂を構成する成分のホモポリマーのガラス転移温度を用いて下記式(1)から算出される。
【0060】
式(1):1/Tg’=W1/T1+W2/T2+・・・+Wn/Tn
(式中、W1、W2、・・・Wnは共重合体樹脂を構成する全重合性単量体に対する各重合性単量体の質量分率、T1、T2、・・・Tnは各重合性単量体を用いて形成されるホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)を示す。)
ガラス転移温度は、DSC−7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)を用いて測定することが出来る。
【0061】
測定手順として、トナー4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。
【0062】
リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
【0063】
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
【0064】
〔溶解性パラメーター値〕
本発明では、トナー中のシェルを形成する樹脂は、コアの樹脂と相溶せず、しかも、シェルを形成する樹脂はコアと十分な接着性を有していることが好ましい。
【0065】
シェルを形成する樹脂がコアとの間で非相溶性を発現させるには、シェルを形成する樹脂の溶解性パラメーター値(以下、「SP値」という。)とコアを形成する樹脂の溶解度パラメーターの値の差を適切な範囲にすることで実現される。
【0066】
溶解度パラメーター値(SP値)は物質の凝集エネルギーの大きさを表す数値で、Ferorsによって提案された方法「Polym.Eng.Sci.,Vol14,P147(1974)」にしたがって、原子または原子団の蒸発エネルギー及びモル体積をそれぞれΔer、Δviとすると、結着樹脂の溶解度パラメーターσは、下記式(2)により算出される。
【0067】
式(2):σ=(ΣΔer/ΣΔvi)1/2
また、各ビニル系共重合体の溶解度パラメーター値は、各成分の溶解度パラメーター値とモル比の積により算出されるものである。例えば、共重合体樹脂をX,Yの2種類の単量体より構成されるものと仮定したとき、各単量体の質量組成比をx,y(質量%)、分子量をMx、My、溶解度パラメーター値をSPx、SPyとすると、各単量体比はX/Mx(モル%)、y/My(モル%)となる。ここで、共重合体樹脂のモル比をCとすると、C=x/Mx+y/Myと表され、この共重合体樹脂の溶解度パラメーター値SPは下記式(3)のようになる。
【0068】
式(3):SP=〔(x×SPx/Mx)+(y×Spy/My)〕×1/C
尚、溶解度パラメーター値は、ビニル系共重合体を構成する単量体の組成比を変えることにより制御することが可能であり、例えばスチレンとメタクリル酸メチルを用いて形成された共重合体樹脂では、スチレンの組成比を減少させ、メタクリル酸メチルの組成比を増大させることにより溶解度パラメーターの値が低下する傾向を有していることが確認されている。
【0069】
又、高分子材料の溶解度パラメーターの概要については、独立行政法人「物質・材料研究機構」提供のデーターベースPolyInfo(http://polymer.nims.go.jp)に記載の溶解度パラメーターの項目(http://polymer.nims.go.jp/guide/guide/p5110.html)を参照するとよい。
【0070】
本発明では、コアと前記シェルに含有される樹脂の溶解度パラメーター値は、シェルとコアとの差が、0.1以上であるときに安定した非相溶性が発現され、好ましくは、0.2〜0.8の範囲にすることがより良い。
【0071】
〔トナー用コア粒子の円形度の測定方法〕
円形度は、「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定した値である。具体的には、コア粒子を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散を1分行い分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式にて定義された値である。
【0072】
円形度=(粒子投影像と同じ面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
又、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、全粒子数でわり算して算出した値である。
【0073】
コア粒子形成後の円形度は、高いほど好ましく、0.900以上がよい。円形度を0.900以上にするとそれ未満のものより、シェル膜厚の均一性が高いものを造り易くなる。しかし、円形度を極めて高くすると工業生産性等は低下するので、他の条件を勘案すれば、コア粒子形成後の円形度が0.900〜0.930の範囲がより好ましい。
【0074】
本発明は、シェルの厚さによって生じる離型剤の溶出性の違いをなくすというものであるが、円形度を0.900〜0.930の範囲とすることにより、従来よりも低い温度で定着を行ったときでも耐オフセット性がよく、巻き付きの発生を回避することが可能である。さらに、コア中の離型剤をムラなく溶出させることができるので、安定した定着処理を実現させている。
【0075】
〔軟化点Tsp〕
本発明のトナーの軟化点の測定方法について説明する。
【0076】
温度:20±1℃、相対湿度:50±5%RH環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れて平らにならし、12時間以上放置した後、成型器SSP−A(島津製作所製)にて3.75×10Pa(3820kg/cm)の力で30秒間加圧し、直径1cmの円中型の成型サンプルを作製する。
【0077】
温度:24±5℃、相対湿度:50±20%RH環境下において、フローテスタCFT−500D(島津製作所製)により、上記成型サンプルを荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの孔に(1mm×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、トナーの軟化点とした。
【0078】
(結着樹脂)
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、コアを形成する樹脂及びシェルを形成する樹脂は、スチレン−アクリル系共重合樹脂が好ましい。
【0079】
コアを形成する樹脂を作製する単量体には、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き下げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
【0080】
シェルを形成する樹脂を作製する単量体には、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリル酸等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き上げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
【0081】
本発明の静電荷像現像用トナーのコアやシェルの構成に各々用いられる樹脂としては、下記のような重合性単量体を重合して得られた重合体を用いることができる。
【0082】
本発明に係る樹脂は少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られた重合体を構成成分として含むものであるが、前記重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0083】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0084】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0085】
本発明の静電荷像現像用トナーでは、側鎖に少なくとも2つ以上のカルボン酸成分(カルボキシル基)を含有する重合性単量体である、多価カルボン酸成分を有するラジカル重合性単量体を重合して形成されるビニル系重合体等の重合体をコアを形成する樹脂の一部として含有させることも好ましい。
【0086】
なお、コアを形成する重合性単量体組成物における多価カルボン酸成分を有するラジカル重合性単量体の含有割合は、3〜20質量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜10質量%である。
【0087】
(着色剤)
本発明の静電荷像現像用トナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いることができる。
【0088】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0089】
着色剤の添加方法としては、樹脂微粒子を凝集剤の添加にて凝集させる段階で添加し重合体を着色する。なお、着色剤は表面をカップリング剤等で処理して使用することができる。
【0090】
(ワックス(離型剤))
本発の静電荷像現像用トナーに使用可能なワックスとしては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0091】
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保管性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
【0092】
(荷電制御剤)
本発明の静電荷像現像用トナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
【0093】
(外添剤)
本発明の静電荷像現像用トナーには、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤(「外部添加剤」ともいう。)を添加してもよい。
【0094】
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
【0096】
また、外添剤として、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することもできる。このような有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
【0097】
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0098】
上記トナーの製造方法で使用可能な重合開始剤、連鎖移動剤、分散安定剤、界面活性剤、及び凝集剤について説明する。
【0099】
(ラジカル重合開始剤)
本発明の静電荷像現像用トナーを構成するコアやシェルを構成する樹脂は、前述の重合性単量体を重合して生成されるが、本発明に使用可能なラジカル重合開始剤には以下のものがある。具体的には、油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げられる。
【0100】
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0101】
(連鎖移動剤)
複合樹脂粒子を構成する樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
【0102】
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
【0103】
(分散安定剤)
本発明においては、反応系中に重合性単量体等を適度に分散させておくために分散安定剤を使用することも可能である。分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0104】
(界面活性剤)
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0105】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0106】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0107】
(凝集剤)
凝集・融着工程においては凝集剤が使用され、この凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
【0108】
〔静電荷像現像用トナーの製造方法〕
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法としては、種々の態様の製造方法を採ることができるが、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて、円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加して、シェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを製造する態様の方法が好ましい。
【0109】
次に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。
【0110】
本発明の静電荷像現像用トナーは、たとえば、以下のような工程を経て作製されるものである。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)樹脂微粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を凝集、融着させてコア粒子(会合粒子)を得る凝集・融着工程
(4)会合粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する第1の熟成工程
(5)コア粒子分散液中に、シェル用の樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル用粒子を凝集、融着させてコア・シェル構造の着色粒子を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の着色粒子を熱エネルギーにより熟成して、コア・シェル構造の着色粒子の形状を調整する第2の熟成工程
(7)冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、当該着色粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程、
また、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する工程
を有する場合もある。上記工程については、後で詳述する。
【0111】
本発明のトナーを製造する場合、先ず、樹脂粒子と着色剤粒子とを会合融着させてコアとなる粒子(以下「コア粒子」という。)を作製する。次に、コア粒子分散液中に樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にこの樹脂粒子を凝集、融着させることによりコア粒子表面を被覆してコア・シェル構造を有する着色粒子を作製する。このように、本発明のトナーは、各種製法で作製されたコア粒子の分散液中に、樹脂粒子を添加してコア粒子に融着させてコア・シェル構造のトナーを作製するものである。
【0112】
本発明のトナーは前述してきたようにシェルの厚さが極めて薄くかつ膜厚が一定していることが好ましく、シェル形成後は粒径の一定した小粒径で形状の揃ったトナーが好ましい。このような構造と形状を有するトナーを作製するためには、コア粒子は極めて粒径の揃った、均一な形状にしておき、そこにシェル用の樹脂粒子を添加してシェル化を行うことになる。そして、シェル化を行う時に最終的にトナーの形状制御を行って適切な形状を付与させるものであるが、それには粒径が揃った均一な形状を有するコア粒子を作製するのが最も重要である。この様なコア粒子であれば、その表面にシェルを形成する樹脂微粒子が均一に付着し、結果として極めて均一な膜厚を有するトナー粒子を作製することができる。
【0113】
本発明に係る静電荷像現像用トナーを構成するコア粒子は、樹脂微粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させる製法により作製される。コア粒子の形状は、たとえば、凝集・融着工程の加熱温度、第1の熟成工程の加熱温度と時間を制御することにより制御される。
【0114】
この中で、第1の熟成工程における時間制御が最も効果的である。熟成工程は、会合粒子の円形度を調整することを目的としていることから、この時間を制御することにより、目的の円形度に到達する。
【0115】
本発明のトナーを構成するコアは、例えば、樹脂を形成する重合性単量体に離型剤成分を溶解或いは分散させた後、水系媒体中に機械的に微粒分散させ、ミニエマルジョン重合法により重合性単量体を重合させる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを後述する塩析/融着させる方法が好ましく用いられる。重合性単量体中に離型剤成分を溶かすときは、離型剤成分を溶解させて溶かしても溶融して溶かしてもよい。
【0116】
以下、本発明に係わるトナーの各製造工程について説明する。
【0117】
(1)溶解/分散工程
この工程では、ラジカル重合性単量体に離型剤化合物を溶解或いは分散させて、離型剤化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
【0118】
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスを溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。このような重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
【0119】
この重合工程により、ワックスと結着樹脂とを含有する樹脂微粒子が得られる。かかる樹脂微粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂微粒子を使用する場合には、後述する凝集・融着工程において、樹脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることで着色粒子とすることができる。
【0120】
(3)凝集・融着工程
前記融着工程における凝集、融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂微粒子(着色又は非着色の樹脂微粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、樹脂微粒子や着色剤微粒子とともに、離型剤微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
【0121】
なお、ここでいう「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
【0122】
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0123】
着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
【0124】
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
【0125】
凝集、融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
【0126】
また、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
【0127】
(4)第1の熟成工程
そして、本発明では、凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間の制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成したコア粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものになるように制御する。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
【0128】
(5)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集、融着させ、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
【0129】
具体的には、コア粒子分散液は上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程での温度を維持した状態でシェル用樹脂粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させて着色粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1時間〜7時間が好ましく、3時間〜5時間が特に好ましい。
【0130】
(6)第2の熟成工程
シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが100〜300nmのシェルを形成する。このようにして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃った着色粒子が形成される。
【0131】
本発明では、第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定することで着色粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
【0132】
(7)冷却工程・固液分離・洗浄工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
【0133】
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0134】
(8)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0135】
(9)外添処理工程
この工程は、乾燥された着色粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
【0136】
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0137】
複合樹脂粒子の質量平均粒径(分散粒子径)は、10〜1000nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは30〜300nmの範囲とされる。
【0138】
この質量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定された値である。
【0139】
《静電荷像現像用キャリア》
本発明に係る静電荷像現像用キャリア(以下単に「キャリア」ともいう。)は、当該キャリアの芯材部分の表面に樹脂被覆層を有する構成となっていることを特徴とする。
【0140】
当該キャリアを用いると、本発明に係るコア・シェル構造を採るトナーを用いても、長期にわたってキャリアの荷電能力が保持されるために、高品位なプリント画質が得られる。
【0141】
本発明に係る静電荷像現像用キャリア実施態様としては、当該キャリアの樹脂被覆層に含窒素化合物を含有する態様であることが好ましい。
【0142】
キャリアの樹脂被覆層に含窒素化合物を含有することで、キャリアの荷電能力が向上し、本発明のトナーを用いても充分な荷電能力を持つことができるため、ベタ画像の均一性に効果がある。
【0143】
樹脂被覆層に含窒素化合物を含有する場合、その最表面に含窒素化合物が露出することで化合物自身の帯電性によりトナーを帯電させる機能を発揮するため、現像剤としての荷電能力が向上する。
【0144】
樹脂被覆層は現像機内での攪拌力などにより、わずかに削れていくことが好ましく、削れることで絶えず新しい表面が露出し続けることが好ましい。
【0145】
新しい表面が露出し続けることで、新たな表面が荷電点となり、荷電能力が継続できる。含窒素化合物を含む樹脂被覆層を設けている場合、樹脂被覆層自身の新たな表面を形成すると同時に、樹脂膜内に存在していた含窒素化合物が露出し、化合物自身の帯電性によりトナーを帯電させる機能を発揮できるため、より効果的である。
【0146】
また、樹脂被覆層が磨耗する結果として、外添剤、ワックスフィルミング等によるキャリア表面の汚染に耐性を有することができる。
【0147】
よって、当該樹脂被覆層に含窒素化合物を含有することで、キャリアの荷電能力が向上し、本発明のトナーを用いても充分な荷電能力を持つことができ、ベタ画像の均一性を達成できる。
【0148】
以下、本発明に係る静電荷像現像用キャリアの構成要素等について詳細な説明をする。
【0149】
<芯材の材料>
本発明に係る芯材は、フェライトからなるものが望ましく、一般式(MO)x(Fe)y(ここでyは30〜95mol%)で示されるものがさらに好ましい。ここでMはFe、Mn、Mg、Sr、Ca、Ti、Cu、Zn、Ni、Li、Al、Si、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が好ましく用いられる。
【0150】
ここで、MをFeとした場合は、鉄フェライト、すなわちマグネタイトを意味している。マグネタイトに比べて、フェライトは高次の酸化物であり、ストレスによって特性が変化しにくい。また、低比重化が図りやすい。Feが30mol%未満であると、所望の磁化を得ることが困難であり、キャリア付着が生じやすい。特に特定の金属酸化物を原料としたフェライトは、粒子間の組成ばらつきが少なく、所望の特性を得やすい。また、上述の元素を用いた場合、他の元素に比べて、理由は明確ではないが、樹脂を注入被覆しやすい。
【0151】
また、近年の廃棄物規制を始めとする環境負荷低減の流れを考慮すると、Cu、Zn、Niの重金属を実質的に含まないことが好ましい。
【0152】
上述の理由から、MはMn、Mg、Sr、Ca、Ti、Li、Al、Si、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Mn、Mg、Sr、Ca、Li、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
【0153】
当該芯材は、キャリア付着の防止、高画質化等の観点から、体積平均粒径が20〜40μmであることが好ましい。さらに好ましくは、23〜35μmである。体積平均粒径が20μm未満では、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。また、体積平均粒径が40μmを超えると、画質が劣化しやすく好ましくない。
【0154】
なお、その焼結一次粒子径が0.2〜10μmであることが好ましい。
【0155】
当該芯材は、残留磁化が15emu/g(A・m/kg)以下であることが好ましい。
【0156】
本発明に係るキャリアは、その体積平均粒径が20〜40μmであることを要する。さらに好ましくは25〜38μm、最も好ましくは30〜36μmである。
【0157】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0158】
本発明に係るキャリアは、キャリア付着の防止、高画質化等の観点から、磁化が20〜90emu/g(A・m/kg)であることが好ましいましい。さらに好ましくは、25〜75emu/g(A・m/kg)、最も好ましくは、30〜70emu/g(A・m/kg)である。
【0159】
また、本発明に係るキャリアは、画像欠陥の防止、画像濃度等の観点から、その電気抵抗が、105〜1015Ωであることが好ましい。さらに好ましくは108〜1014Ω、最も好ましくは108〜1013Ωである。
【0160】
〈樹脂被覆〉
本発明に係るキャリアは、その表面が樹脂で被覆されていることを特徴とする。被覆する樹脂としては、後述する各種の樹脂を用いることができる。
【0161】
また、本発明においては、当該樹脂被覆キャリアが、当該樹脂被覆層に含窒素化合物を含有することが好ましい。
【0162】
本発明に係るキャリアの被覆に用いられる樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。樹脂は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、等があるいは挙げられる。及びアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げられる。
【0163】
被覆樹脂の表面被覆厚さは、画像欠陥発生防止、高画質化等の観点から。好ましくは0.01〜7μm、さらに好ましくは0.05〜5μm、最も好ましくは0.1〜3.5μmである。
【0164】
この樹脂の被覆量は、均一な被覆層形成、キャリア同士の凝集防止等の観点から、樹脂注入後被覆後のキャリアに対して0.01〜10.0質量%が好ましく、0.3〜7.0質量%がさらに好ましい。最も好ましくは0.5〜5.0質量%である。
【0165】
本発明においては、当該樹脂被覆キャリアが、当該キャリアの心材部分又は樹脂被覆層の少なくとも一方に含窒素化合物を含有することが好ましい。
【0166】
含窒素化合物としては、尿素、チオ尿素、メラミン、グアニジン、グアナミン、ジシアンジアミド及びシアヌル酸、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、例えば、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ポリフェニレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類、イミダゾール類、4級アンモニウム塩、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0167】
なお、含窒素化合物は、窒素含有樹脂として含有することが好ましい。このような窒素含有樹脂としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル等を含むアクリル系樹脂;ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂;アミド樹脂;ウレタン樹脂;等が挙げられる。また、これらの共重合体樹脂であってもよい。
【0168】
キャリアの樹脂被覆層を構成する樹脂としては、上記窒素含有樹脂の中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、前記窒素含有樹脂と窒素を含有しない樹脂とを組み合わせて使用してもよい。さらに、前記窒素含有樹脂を微粒子状にし、窒素を含有しない樹脂中に分散して使用してもよい。
【0169】
また、上記樹脂中には、キャリアの抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。その他、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは、樹脂注入によって電気抵抗が比較的高くなった場合、帯電能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
【0170】
添加量としては、注入樹脂の固形分に対し0.25〜20.0質量%であり、好ましくは0.5〜15.0質量%、特に好ましくは1.0〜10.0質量%である。
【0171】
<芯材及びキャリアの製造方法>
本発明の芯材を製造する場合、原材料を適量秤量した後、ボールミルまたは振動ミル等で0.5時間以上、好ましくは1〜20時間粉砕混合する。このようにして得られた粉砕物を加圧成型機等を用いてペレット化した後700〜1200℃の温度で仮焼成する。
【0172】
加圧成型機を使用せずに、粉砕した後、水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状化しても良い。仮焼成後さらにボールミルまたは振動ミル等で粉砕した後、水及び必要に応じ分散剤、バインダー等を添加し、粘度調整後、造粒し、酸素濃度を制御し、1000〜1500℃の温度で1〜24時間保持し、本焼成を行う。仮焼後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕しても良い。
【0173】
上記のボールミルや振動ミル等の粉砕機は特に限定されないが、原料を効果的かつ均一に分散させるためには、使用するメディアに1mm以下の粒径を持つ微粒なビーズを使用することが好ましい。また使用するビーズの径、組成、粉砕時間を調整することによって、粉砕度合いをコントロールすることができる。
【0174】
このようにして得られた焼成物を、粉砕し、分級する。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。
【0175】
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300〜700℃で熱処理を行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎたりするため、所望の特性を得にくくなり好ましくない。また、必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行っても良い。
【0176】
〈樹脂被覆キャリアの製造方法〉
上記のようにして得られた芯材に樹脂を被覆したキャリア、すなわち樹脂被覆キャリアを製造する方法としては、様々な方法が使用できる。
【0177】
その被覆方法としては、例えば乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機等による液浸乾燥法等が挙げられる。これらの被覆方法は、使用する芯材、樹脂によって適当な方法が選択される。
【0178】
樹脂を被覆させた後、必要に応じて各種の方式によって加熱し、被覆した樹脂を芯材に密着させる。加熱方式としては、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。温度は、注入被覆する樹脂によって異なるが、融点又はガラス転移温度以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げることにより、衝撃に対して強いキャリアを得ることができる。また、樹脂の被覆と加熱を同時に行っても良い。
【0179】
また、芯材に樹脂を被覆した後に、上述したような樹脂をさらに被覆して作製した2層構成のキャリアも用いることができる。樹脂をさらに被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
【0180】
被覆を行った後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移温度以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
【0181】
(画像形成方法、画像形成装置)
本発明に係る画像形成方法は、本発明の静電荷像現像用現像剤を現像剤担持体の表面に保持させ、保持された当該現像剤とトナー担持体とを接触させて、当該トナー担持体に現像剤に含有されているトナーを静電付着させ、付着した当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させることを特徴とする。
【0182】
この方法を具体的に説明するために、本発明に係る画像形成方法を用いる画像形成装置の代表的な構成例の主要部を図2に示す。
【0183】
この画像形成装置は、電子写真方式により静電潜像担持体(感光体)1に形成されたトナー像を用紙等の転写媒体Pに転写して画像形成を行うプリンタである。この画像形成装置は画像を担持するための静電潜像担持体1を有しており、静電潜像担持体1の周辺には、静電潜像担持体1を帯電するための帯電手段としての帯電部材3、静電潜像担持体1上の静電潜像を現像する現像装置2b、静電潜像担持体1上のトナー像を転写するための転写ローラ4、及び静電潜像担持体1上の残留トナー除去用のクリーニングブレード5が、静電潜像担持体1の回転方向Aに沿って順に配置されている。
【0184】
トナー担持体25は、現像剤担持体11と静電潜像担持体1との間に設けられ、トナー分離手段であるバイアス電圧が印加されることにより、現像剤中のトナーを電気的にトナー担持体表面に分離・担持させるようになっている。トナー担持体25によって分離・担持されたトナーは、当該トナー担持体25によって搬送され、現像領域6において静電潜像担持体1上の静電潜像を現像する。
【0185】
トナー担持体25は電源(不図示)に接続され、所定のトナー分離のためのバイアス電圧が印加され、これによって、現像剤中のトナーが電気的にトナー担持体25表面に分離・担持される。
【0186】
尚、静電潜像担持体1は、帯電部材3で帯電された後に、図中のE点の位置でレーザ発光器などを備えた露光装置30により露光されて、その表面上に静電潜像が形成される。
【0187】
この静電潜像をトナー担持体上のトナーが現像する。
【0188】
転写ローラ4は、この静電潜像担持体1上のトナー像を転写媒体Pに転写した後、図中の矢印C方向に排出する。クリーニングブレード5は、転写後の静電潜像担持体1上の残留トナーを、その機械的な力で除去する。画像形成装置に用いられる静電潜像担持体1、帯電部材3、露光装置30、転写ローラ4、クリーニングブレード5等は、周知の電子写真方式の技術を任意に使用してよい。
【0189】
例えば、帯電手段として図中、帯電ローラが示されているが、静電潜像担持体1と非接触の帯電装置であってもよい。また例えば、クリーニングブレードはなくてもよい。
【0190】
トナー担持体25に印加されるトナー分離バイアスはトナーの帯電極性によって異なる。トナーが負に帯電されるときは、現像剤担持体に印加される電圧の平均値よりも高い平均値となる電圧であり、トナーが正に帯電されるときは、現像剤担持体に印加される電圧の平均値よりも低い平均値となる電圧である。トナーが正または負のいずれの極性に帯電されるときであっても、トナー担持体に印加される平均電圧と現像剤担持体に印加される平均電圧との差は20〜500V、特に50〜300Vであることが好ましい。電位差が小さすぎると、トナー担持体上のトナー量が少なく十分な画像濃度が得られない。一方、電位差が大きすぎると、トナー供給過多となり、無駄なトナー消費が増加する恐れがある。
【0191】
現像装置2bにおいては、さらに、トナー担持体と現像剤担持体との間に交流電界が形成されることが好ましい。交流電界が形成されることで、トナーが往復振動するため、トナーと逆極性粒子を有効に分離することができる。その際、2.5×10V/m以上の電界が形成されることが好ましい。2.5×10V/m以上の電界が形成されることで、電界によってもトナーから逆極性粒子を分離することが可能となり、より一層、トナーの分離性を向上させることが可能となる。
【0192】
本願においては、トナー担持体と現像剤担持体との間で形成される電界を「トナー分離電界」という。そのようなトナー分離電界は通常、トナー担持体または現像剤担持体の一方、または両方に交流電圧を印加することで得られる。特に静電潜像をトナーで現像するためにトナー担持体に交流電圧が印加される場合、トナー担持体に印加される交流電圧を利用して、トナー分離電界を形成することが望ましい。このときトナー分離電界は絶対値の最大値が上記範囲内であればよい。
【0193】
例えば、トナーの帯電極性が正であり、現像剤担持体には直流電圧と交流電圧が印加され、トナー担持体には直流電圧のみが印加されるとき、トナー担持体には現像剤担持体に印加される電圧(直流+交流)の平均値よりも低い直流電圧のみが印加される。また例えば、トナーの帯電極性が負であり、現像剤担持体には直流電圧と交流電圧が印加され、トナー担持体には直流電圧のみが印加されるとき、トナー担持体には現像剤担持体に印加される電圧(直流+交流)の平均値よりも高い直流電圧のみが印加される。これらのとき、トナー分離電界の絶対値の最大値は、現像剤担持体に印加される電圧(直流+交流)とトナー担持体に印加される電圧(直流)との電位差の最大値を、トナー担持体と現像剤担持体との最近接部ギャップで除した値であり、当該値が上記範囲にあることが望ましい。
【0194】
また、例えば、トナーの帯電極性が正であり、現像剤担持体には直流電圧のみが印加され、トナー担持体には交流電圧と直流電圧が印加されるとき、トナー担持体には現像剤担持体に印加される直流電圧よりも低い平均電圧となるよう交流電圧を重畳した直流電圧が印加される。また例えば、トナーの帯電極性が負であり、現像剤担持体には直流電圧のみが印加され、トナー担持体には交流電圧と直流電圧が印加されるとき、トナー担持体には現像剤担持体に印加される直流電圧よりも高い平均電圧となるよう交流電圧を重畳した直流電圧が印加される。これらのとき、トナー分離電界の絶対値の最大値は、現像剤担持体に印加される電圧(直流)とトナー担持体に印加される電圧(直流+交流)との電位差の最大値を、トナー担持体と現像剤担持体との最近接部ギャップで除した値であり、当該値が上記範囲にあることが望ましい。
【0195】
また、例えば、トナーの帯電極性が正であり、現像剤担持体およびトナー担持体の双方に交流電圧が重畳された直流電圧を印加するとき、トナー担持体には現像剤担持体に印加される電圧(直流+交流)の平均値より平均電圧が小さい電圧(直流+交流)が印加される。また例えば、トナーの帯電極性が負であり、現像剤担持体およびトナー担持体の双方に交流電圧が重畳された直流電圧を印加するとき、トナー担持体には現像剤担持体に印加される電圧(直流+交流)の平均値より平均電圧が大きい電圧(直流+交流)が印加される。これらのとき、それぞれに印加される交流電圧成分の振幅や位相、周波数、デューティー比等の相違によって生じる、現像剤担持体に印加される電圧(直流+交流)とトナー担持体に印加される電圧(直流+交流)との電位差の最大値を、トナー担持体と現像剤担持体との最近接部ギャップで除した値が、トナー分離電界の絶対値の最大値となり、当該値が上記範囲とすることが望ましい。
【0196】
トナー担持体25によってトナーが分離された現像剤担持体11上の残りの現像剤、すなわちキャリアおよび逆極性粒子は、そのまま当該現像剤担持体11によって搬送され現像剤槽16に回収される。この実施形態において、トナーの分離後、逆極性粒子はそのまま現像剤担持体11によって現像剤槽内へ回収されるため、逆極性粒子回収部材で捕集した逆極性粒子を非画像形成時に現像剤槽に戻す工程を省略することが可能となる。
【0197】
トナー担持体25は上記電圧を印加可能な限りいかなる材料からなっていてよく、例えば、表面処理を施したアルミローラが挙げられる。そのほかアルミ等の導電性基体上に、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂コートやシリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムコーティングを施したものを用いてもよい。コーティング材料としては、これに限定されるものではない。さらに上記コーティングのバルクもしくは表面に導電剤が添加されていてもよい。導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤として、ケッチンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックや、金属粉、金属酸化物の微粒子等が挙げられるが、これに制約されない。イオン導電剤として、四級アンモニウム塩等のカチオン性化合物や、両性化合物、その他イオン性高分子材料が挙げられるが、これにこだわらない。さらに、アルミ等の金属材料からなる導電性ローラであっても構わない。
【0198】
図2に示す現像装置2bにおいて詳しくは、現像剤槽16内の現像剤24は、バケットローラ17の回転により混合撹拌され、摩擦帯電した後、バケットローラ17によって汲み上げられて現像剤担持体11表面のスリーブローラ12へと供給される。この現像剤24は、現像剤担持体(現像ローラ)11内部の磁石ローラ13の磁力によってスリーブローラ12の表面側に保持され、スリーブローラ12と共に回転移動して、現像ローラ11に対向して設けられた規制部材15で通過量を規制される。その後、トナー担持体25との対向部において、前記のように、現像剤に含まれるトナーのみがトナー担持体25に分離・担持される。分離されたトナーは静電潜像担持体1と対向する現像領域6へと搬送される。現像領域6では、静電潜像担持体1上の静電潜像と現像バイアスの印加されたトナー担持体25との間に形成された電界がトナーに与える力により、トナー担持体25上のトナーが静電潜像担持体1上の静電潜像側へと移動して、静電潜像が顕像へと現像される。現像方式は反転現像方式であってもよいし、または正規現像方式であってもよい。現像領域6を通過したトナー担持体上のトナー層は、トナー担持体と現像剤担持体との対向部における磁気ブラシによるトナー供給・回収を経て、現像領域に搬送される。一方、トナーが分離されて現像剤担持体11上に残った現像剤は、そのまま現像剤槽16に向けて搬送され、バケットローラ17に対向して設けられた磁石ローラ同極部N3,N2の反発磁界によって現像剤担持体11上から剥離され、現像剤槽16内へと回収される。補給部7に設けられた不図示の補給制御部は、現像剤24中のトナー濃度が画像濃度確保のための最低トナー濃度以下になったことを検出すると、トナー補給ローラ19の駆動手段に駆動開始信号を送り、補給トナー23が現像剤槽16内へ供給される。
【実施例】
【0199】
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。なお、以下の「部」とは「質量部」を表す。
《コア用樹脂粒子の調製》
(コア用樹脂粒子1の調製)
下記のように、第1段重合、第2段重合、次いで、第3段重合を行い、多層構造を有する「コア用樹脂粒子1」を調製した。
【0200】
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に下記で示されるアニオン系界面活性剤(構造式1)4部をイオン交換水3040部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
【0201】
(構造式1) C1021(OCHCHSONa
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10部をイオン交換水400部に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン532部、n−ブチルアクリレート200部、メタクリル酸68部、n−オクチルメルカプタン16.4部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行い樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子A1」とする。第1段重合で調製した「樹脂粒子A1」の重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
【0202】
(2)第2段重合(中間層の形成)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン106.2部、n−ブチルアクリレート57.2部、メタクリル酸12.3部、n−オクチルメルカプタン1.6部からなる単量体混合液に、離型剤として、パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製)94.0部を添加し、90℃に加温して溶解させて単量体溶液を調製した。
【0203】
一方、アニオン系界面活性剤(構造式1)3部をイオン交換水1560部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、樹脂粒子A1の分散液である「樹脂粒子A1」を固形分換算で32.8部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記ワックスの単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径340nmを有する乳化粒子を含む分散液を調製した。
【0204】
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6部をイオン交換水200部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い樹脂粒子を得た。この樹脂粒子を「樹脂粒子A2」とする。第2段重合で調製した「樹脂粒子A2」の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
【0205】
(3)第3段重合(外層の形成)
上記のようにして得られた「樹脂粒子A2」に、過硫酸カリウム5.45部をイオン交換水220部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン313.5部、n−ブチルアクリレート134.4部、n−オクチルメルカプタン8部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「樹脂粒子A3」を得た。第3段重合で調製した「コア用樹脂粒子1」の重量平均分子量(Mw)は27,800であった。
【0206】
「コア用樹脂粒子1」を構成する複合樹脂粒子(樹脂粒子)の質量平均粒径は120nmであった。又、この樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は35.1℃、溶解性パラメーターの値(SP値)は10.12であった。
【0207】
(コア用樹脂粒子2の調製)
「コア用樹脂粒子1」の調製において、第2段重合(外層形成)に用いた、スチレンを111部、n−ブチルアクリレートを52.3部に変更し、第3段重合(外層形成)に用いた、スチレンを326.1部、n−ブチルアクリレート121.8部に変更した以外は同様にして、「コア用樹脂粒子2」を調製した。
【0208】
(コア用樹脂粒子3の調製)
「コア用樹脂粒子1」の調製において、第2段重合(外層形成)に用いた、スチレンを96.6部、n−ブチルアクリレートを66.7部に変更し、第3段重合(外層形成)に用いた、スチレンを288.9部、n−ブチルアクリレート159部に変更した以外は同様にして、「コア用樹脂粒子3」を調製した。
【0209】
(コア用樹脂粒子4の調製)
「コア用樹脂粒子1」の調製において、第2段重合(外層形成)に用いた、スチレンを116部、n−ブチルアクリレートを47.4部に変更し、第3段重合(外層形成)に用いた、スチレンを338.2部、n−ブチルアクリレート109.7部に変更した以外は同様にして、「コア用樹脂粒子4」を調製した。
《シェル用樹脂粒子の調製》
(シェル用樹脂粒子1の調製)
上記の「コア用樹脂粒子1」の第1段重合において、スチレンを552部、n−ブチルアクリレートアクリレートを192部、メタクリル酸を56部、n−オクチルメルカプタンを16.0部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、「シェル用樹脂粒子1」を調製した。
【0210】
(シェル用樹脂粒子2の調製)
「シェル用樹脂粒子1」の調製において、スチレンを476部、2−エチヘキシルアクリレートを180部、メタクリル酸を144部、n−オクチルメルカプタンを17.0部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、「シェル用樹脂粒子2」を調製した。
【0211】
(シェル用樹脂粒子3の調製)
「シェル用樹脂粒子1」の調製において、スチレンを492部、2−エチルヘキシルアクリレートを164部、メタクリル酸を144部、n−オクチルメルカプタンを16.5部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、「シェル用樹脂粒子3」を調製した。
【0212】
(シェル用樹脂粒子4の調製)
「シェル用樹脂粒子1」の調製において、スチレンを520部、n−ブチルアクリレートアクリレートを256部、メタクリル酸を24部、n−オクチルメルカプタンを16.5部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、「シェル用樹脂粒子4」を調製した。
【0213】
(シェル用樹脂粒子5の調製)
「シェル用樹脂粒子1」の調製において、スチレンを456部、2−エチルヘキシルアクリレートを144部、イタコン酸を200部、n−オクチルメルカプタンを16.5部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、「シェル用樹脂粒子5」を調製した。
【0214】
上記で得たコア用樹脂粒子1〜4、シェル用樹脂粒子1〜5についてそれぞれTg及びSP値を測定し、結果を表1に示した。
《トナーの作製》
〈トナー1の作製〉
(着色剤粒子の分散液1の調製)
上記のアニオン系界面活性剤(1)90部をイオン交換水1600部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)400部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理を行い、「着色剤粒子分散液1」を調製した。
【0215】
この「着色剤粒子分散液1」における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱計(ELS−800:大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
【0216】
(塩析/融着(会合・融着)工程:コアの形成)
420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子1」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン径(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア1−1」を形成した。
【0217】
「コア1−1」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.901であった。
【0218】
(シェルの形成(シェリング操作))
次いで、65℃において「シェル用樹脂粒子1」を96部添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、「コア1−1」の表面に、「シェル用樹脂粒子1」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有する「着色粒子ー1」を得た。
【0219】
上記で得られた「着色粒子ー1」に疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1質量%および疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して「トナー1」を調製した。
【0220】
ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計「DSC−200」(セイコー電子社製)を用い、測定する試料10mgを精密に秤量して、これをアルミニウムパンに入れ、リファレンスとしてアルミナをアルミニウムパンに入れたものを用い、昇温速度30℃/minで常温から200℃まで昇温させた後、これを冷却し、昇温速度10℃/minで10〜120℃の間で測定を行い、この昇温過程で20〜90℃の範囲におけるメイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移点とした。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー「807−1T型」(日本分光工業社製)を用いて測定した。カラム温度を40℃に保ちながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを1kg/cmで流し、測定する試料30mgをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、この溶液0.5mgを上記のキャリア溶媒とともに装置内に導入して、ポリスチレン換算により求めた。
【0221】
〈トナー2〜16の作製〉
〈トナー2の作製〉
トナー1の製造法より、以下を変更してトナーを得た。
【0222】
コアの形成において 420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子1」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1.5時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア1−2」を形成した。
【0223】
「コア1−2」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.940であった。
【0224】
次工程以降はトナー1の製造方法と同様にしてトナー2を得た。
【0225】
〈トナー3の作製〉
トナー1の製造法より、以下を変更してトナーを得た。
【0226】
トナー1製造工程のシェルの形成(シェリング操作)において、「次いで、65℃において「シェル用樹脂粒子2」を144部添加し、」と変更したほかはトナー1の製造方法と同様にしてトナー3を得た。
【0227】
〈トナー4の作製〉
トナー3のシェル添加量を192部にした他はトナー3の製造方法と同様にしてトナー4を得た。
【0228】
〈トナー5の作製〉
トナー3のシェル量を288部にした他はトナー3の製造方法と同様にしてトナー5を得た。
【0229】
〈トナー6の作製〉
トナー3のシェル量を240部にした他はトナー3の製造方法と同様にしてトナー6を得た。
【0230】
〈トナー7の作製〉
トナー1の製造法より、以下のように変更してトナーを得た。
【0231】
コアの形成工程を420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子3」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア3−1」を形成した。
【0232】
「コア3−1」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.901であった。
【0233】
(シェルの形成(シェリング操作))
次いで、65℃において「コア用樹脂粒子1」を86部添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、「コア3−1」の表面に、「シェル用樹脂粒子1」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有する「トナー7」を得た。
【0234】
〈トナー8の作製〉
トナー7のシェル量を305部にした他はトナー7の製造方法と同様にしてトナー8を得た。
【0235】
〈トナー9の作製〉
トナー8のシェル量を95部にした他はトナー7の製造方法と同様にしてトナー9を得た。
【0236】
〈トナー10の作製〉
トナー1の製造法より、以下を変更してトナーを得た。
【0237】
コアの形成において420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子1」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて50分にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア1−3」を形成した。
【0238】
「コア1−3」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.895であった。
【0239】
次工程以降はトナー1の製造方法と同様にしてトナー10を得た。
【0240】
〈トナー11の作製〉
トナー1の製造法より、以下を変更してトナーを得た。
【0241】
トナー1コアの形成工程を420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子3」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア3−1」を形成した。
【0242】
「コア3−1」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.901であった。
【0243】
(シェルの形成(シェリング操作))
次いで、65℃において「シェル用樹脂粒子1」を86部添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、「コア3−1」の表面に、「シェル用樹脂粒子1」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有する「トナー11」を得た。
【0244】
〈トナー12の作製〉
トナー1の製造方法のうち以下のように工程を変更してトナーを得た。
【0245】
シェルの形成工程において、次いで、65℃において「シェル用樹脂粒子1」を112部添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、30分にわたり撹拌を継続し、「コア1−1」の表面に、「シェル用樹脂粒子1」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有する「トナー12」を得た。
【0246】
〈トナー13の作製〉
トナー1の製造方法のうち以下のように工程を変更してトナーを得た。
【0247】
コアの形成工程において、420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子2」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア2−1」を形成した。
【0248】
「コア2−1」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.901であった。
【0249】
次工程以降はトナー1と同様にしてトナーを得た。
【0250】
〈トナー14の作製〉
トナー1の製造方法のうち以下の工程を変更してトナーを得た。
【0251】
コアの形成工程において、420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子4」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア4−1」を形成した。
【0252】
「コア4−1」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.901であった。
【0253】
次工程以降はトナー1と同様にしてトナーを得た。
【0254】
〈トナー15の作製〉
トナー1の製造方法のうち以下の工程を変更してトナーを得た。
【0255】
トナー1のシェルの形成において、次いで、65℃において「シェル用樹脂粒子3」を96部添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、「コア1−1」の表面に、「シェル用樹脂粒子1」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有する「トナー15」を得た。
【0256】
〈トナー16の作製〉
トナー1の製造方法のうち以下の工程を変更してトナーを得た。
【0257】
コアの形成工程において、420.7部(固形分換算)の「コア用樹脂粒子3」と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子のメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア3−1」を形成した。
【0258】
「コア3−1」の円形度を「FPIA2100」にて測定したところ0.901であった。
【0259】
(シェルの形成(シェリング操作))
次いで、65℃において「シェル用樹脂粒子4」を96部添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、「コア3−1」の表面に、「シェル用樹脂粒子1」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有する「トナー16」を得た。
【0260】
上記で得られた「トナー1〜16」の断面図をTEMにより観察し、1個のトナーを8つに均等割りし、各点におけるシェルの厚さを計測し平均化した値Haveを求め、かつ8点の中で最大膜厚Hmaxと最小膜厚Hminの点を抽出し、その比を計算した。以上の作業を100個のトナーにて実施する。
《芯材作製》
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
【0261】
得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。
【0262】
空隙率ならびに連続空隙度を調整するために、MnO原料としては炭酸マンガンを、MgO原料としては水酸化マグネシウムを用いた。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、仮焼成を行った。次いで、1/8インチ(2.5cm)径のステンレスビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕したのち、さらに1/16インチ径のステンレスビーズを用いて4時間粉砕した。このスラリーに分散剤を適量添加し、また造粒される粒子の強度を確保し、空隙率ならびに連続空隙度を調整する目的で、バインダーとしてPVAを固形分に対して1質量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1100℃、酸素濃度0体積%で4時間保持し、本焼成を行った。
【0263】
その後、解砕し、さらに分級して粒度調整して体積平均粒径を21μmとし、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、芯材を得た。
《キャリアの製造》
熱可塑性アクリル樹脂(BR−52、三菱レイヨン社製)を固形分換算で5.5質量部をトルエン1000質量部に溶解させ注入被覆樹脂溶液を得た。上記で作製した「芯材」100質量部を、一軸式間接加熱型の乾燥機に入れ、75℃に保持し撹拌ながら、上述の樹脂溶液を滴下した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、撹拌を続けながら150℃まで昇温し、2時間保持した。その後、乾燥機から取り出し、凝集した粒子を解し、粒度調整を行い、体積平均粒径を35μmとした。その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、「キャリア1」を作製した。
【0264】
粒度調整することを除いては、上記と同様にして体積平均粒径が、21μmの「キャリア2」、26μmの「キャリア3」、37μmの「キャリア4」、39μmの「キャリア5」、18μmの「キャリア6」、43μmの「キャリア7」を得た。
【0265】
実施例8に使用するキャリアに関しては、上記「キャリア1」の製造例を、以下の通り変更してキャリアを得た。熱可塑性アクリル樹脂(BR−52、三菱レイヨン社製)を固形分換算で5.5質量部、アミノシランカップリング剤(KBE−903:信越化学工業)0.05質量部をトルエン1000質量部に溶解させ注入被覆樹脂溶液を得た。上記で作製した「芯材」100質量部を、一軸式間接加熱型の乾燥機に入れ、75℃に保持し撹拌ながら、上述の樹脂溶液を滴下した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、撹拌を続けながら150℃まで昇温し、2時間保持した。その後、乾燥機から取り出し、凝集した粒子を解し、粒度調整を行った。その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、体積平均粒径が35μmの「キャリア8」を作製した。
《評価》
上記で作製した各種静電荷像現像用現像剤について下記の評価を行った。なお、評価基準の◎◎、◎と○を合格、×と××を不合格とする。
【0266】
〈プリント画像の作製〉
プリント画像は、下記の評価装置を用い、実施例5以外については、定着温度を150℃とし、プリント画像を作製した。実施例5においては、前記定着温度を130℃とした。プリント画像を下記項目について評価を行った。
【0267】
尚、前記20万枚のプリントは印字率5%の原稿をプリントした。
【0268】
〔耐熱保管性〕
耐熱保管性は、上記で作製した各トナー100gを、55℃、90%RHの条件下に24時間放置した後、目開き45μmのフルイで篩い、フルイ上に残った凝集物の量(割合)で評価した。
【0269】
評価基準:
◎:フルイ上の量が、5%未満で凝集量が非常に少なく耐熱保管性優良(断熱梱包材が全くなし。
○:フルイ上の量が、5〜30%で凝集量が少なく耐熱保管性良好(ダンボール梱包のみで夏場に輸送を行っても凝集物の発生なし。)
×:フルイ上の量が、30〜50%で凝集量が多く実用上問題(保冷輸送を行う必要がある)。
××:50%以上で完全に凝集している。
【0270】
〔ベタ画像均一性〕
ベタ画像均一性は耐久前後の画像濃度により測定した。
【0271】
(評価装置)
評価機として複写機bizhub C350(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の現像器を図2に示した構造を有する現像器の改良した画像形成装置を使用した。
【0272】
上記の画像形成装置に上記で作製したトナーを装填し、常温常湿(20℃、50%RH)の環境で、A4のプリント用紙(坪量64g/m)に20万枚プリントを行った。
【0273】
(評価方法)
実写試験前後に、シアンベタ画像を出力し、画像濃度を測定した。白紙に対する出力画像の相対反射濃度を5箇所について測定し、その平均値を求めた。濃度測定には反射濃度計RD−917(マクベス社製)を使用した。なお、20万枚のプリントは印字率5%の原稿をプリントした。
【0274】
評価基準:
◎◎:平均値が1.4以上、かつA4紙上の5点バラつきが0.1以下。
◎:平均値が1.3以上1.4未満で、かつA4紙上の5点バラつきが0.2以下。
○:平均値が1.2以上1.3未満で、かつA4紙上の5点バラつきが0.3以下。
×:平均値が1.1以上1.2未満で、かつA4紙上の5点バラつきが0.4以下。
××:上記以外。
【0275】
上記各種トナーの内容と評価結果を表1〜表4に示す。
【0276】
【表1】

【0277】
【表2】

【0278】
【表3】

【0279】
【表4】

【0280】
表4に示した結果から明らかなように、本発明に係る実施例は、比較例に対して、耐熱保管性、ベタ画像均一性、及びトナー帯電量変動耐性が優れていることが分かる。すなわち、本発明の手段により、所謂ハイブリッド現像において、長期使用によってもトナー及びキャリアの劣化が小さく、常に安定した帯電性付与が可能であり、ベタ画像均一性に優れた静電荷像現像用現像剤とそれを用いた画像形成方法及び画像形成装置現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】本発明のシェル膜厚測定方法を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態による画像形成装置の主要部を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0282】
1 静電潜像担持体
2b 現像装置
3 帯電部材
4 転写ローラ
5 クリーニングブレード
6 現像領域
7 補給部
11 現像剤担持体
12 スリーブローラ
13 磁石ローラ
15 規制部材
16 現像剤槽
17 バケットローラ
18 ケーシング
19 トナー補給ローラ
21 ホッパ
23 補給トナー
24 現像剤
25 トナー担持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含有する静電荷像現像用現像剤(以下「現像剤」ともいう。)であって、当該現像剤を担持させた現像剤担持体より、トナーをトナー担持体に移行させ、当該トナー担持体から当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させる画像形成方法に用いられ、当該トナーは、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであり、当該シェルの8点平均膜厚(Have)が100〜300nmであり、当該シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとしたとき、両者の比:Hmax/Hminが1.00〜1.50であり、当該コアのガラス転移温度をTg1、当該シェルのガラス転移温度をTg2としたとき、30℃≦Tg1≦40℃、45℃≦Tg2≦55℃であり、かつ当該キャリアは、芯材部分の表面に樹脂被覆層を有する静電荷像現像用キャリアであり、当該キャリアの体積平均粒径が20〜40μmであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項2】
前記静電荷像現像用キャリアが、前記樹脂被覆層に含窒素化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤の製造方法であって、当該静電荷像現像用現像剤に含有される静電荷像現像用トナーを、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加してシェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーとして形成することを特徴とする静電荷像現像用現像剤の製造方法。
【請求項4】
静電潜像担持体上に形成された静電潜像を請求項1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤を用いて顕像化したトナー像を記録媒体に転写し、170℃以下の温度で定着させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤を現像剤担持体の表面に保持させ、保持された当該現像剤とトナー担持体とを接触させて、当該トナー担持体に現像剤に含有されているトナーを静電付着させ、付着した当該トナーを静電潜像担持体に移行させることにより静電潜像をトナー像として顕像化させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
現像剤担持体、トナー担持体、及び静電潜像担持体とを備え、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用現像剤を用いて画像形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−26049(P2010−26049A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184703(P2008−184703)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】