説明

静電荷像現像用結着樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法および画像形成装置

【課題】環境に対する帯電安定性に優れ、またトナー内部における着色剤の分散性を向上させ発色性を上げて、高画像濃度の画質を得る。
【解決手段】静電荷像現像用トナーは、色剤及び離型剤を含有する静電荷像現像用トナーであり、さらに少なくとも以下に示す一般式(1)で表される界面活性剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。


・・・一般式(1)
(式中、式中、R,Rは炭素数11を有するアルキル基、R,Rは炭素数3を有する炭化水素基、Rはエチレン鎖、X,XはHまたはNa、Xはカルボキシル基を表す。また、nは2〜10の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用結着樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法等のように、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されている。前記電子写真法においては、帯電工程、露光工程等を経て電子写真用感光体(静電潜像担持体、以下、「感光体」という場合がある)表面の静電潜像を静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)により現像し、転写工程、定着工程等を経て前記静電潜像が可視化される。
【0003】
トナーの製造方法には、混練粉砕法や乳化重合凝集法等が知られている。前者の混練粉砕法は得られるトナーの粒度分布が比較的広く、形状が不定形であるため、性能維持性が十分でなかった。
【0004】
これに対して、乳化重合凝集法では、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、その後加熱することによって凝集粒子を融合・合一しトナーとする製造方法であるが、さらに、トナーにおける内部層から表面層への自由な制御を行うことにより、より精密な粒子構造制御を実現することができる。
【0005】
乳化重合凝集法では、分散及び/又は乳化のために、一般的に界面活性剤が添加されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、少なくともトナー組成物及び/又はトナー組成物前駆体を含む油相を水系媒体に分散及び/又は乳化して造粒するトナーが開示され、前記水系媒体が少なくとも以下の式(1)で表される界面活性剤を有することが記載されている。
一般式(1):R(OROSO
(式中、Rは炭素数13を有するアルキル基、Rは炭素数2〜6を有するアルキレン基を表す。nは1〜11の整数を表し、Mは1価の金属元素を表す。)
【0007】
また、特許文献2には、少なくとも結着樹脂と、離型剤と、を含有する静電荷現像用トナーであって、2価以上の価数を取りうる金属元素と、スルホン基を有する界面活性剤と、カルボキシル基を有する界面活性剤と、を含有し、前記結着樹脂固形分100gに対する前記スルホン基を有する界面活性剤の量a(mol)と、前記結着樹脂固形分100g前記カルボキシル基を有する界面活性剤の量b(mol)と、の関係が、以下に示す式(1)及び式(2)の条件を満たす静電荷現像用トナーが開示されている。
0.0015≦a≦0.006・・・・・式(1)、
0.018≦1.62×a+b≦0.025・・・・・式(2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−248823号公報
【特許文献2】特開2008−076519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、トナーの製造工程では、少なくとも結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液を混合させる際に、各分散液の分散安定性を維持するため、種々の一鎖一親水基型の界面活性剤が用いられる。しかし、一鎖一親水基型の界面活性剤を用いた場合、トナー内部の着色剤分散性を向上させるために多量の界面活性剤を添加すると、環境に対するトナーの帯電安定性が低下してしまう場合がある。
【0010】
本発明は、トナーに含まれる界面活性剤の混入量を低減し、環境に対する帯電安定性を向上させ、また、トナー内部における着色剤の分散性を向上させて発色性を上げ、高画像濃度の画質を得ることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す本発明を完成するに至った。本願発明は、以下の特徴を有する。
【0012】
(1)少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電荷像現像用トナーであり、さらに少なくとも以下に示す一般式(1)で表される界面活性剤を含有する静電荷像現像用トナーである。
【化1】


・・・一般式(1)
(式中、式中、R,Rは炭素数11を有するアルキル基、R,Rは炭素数3を有する炭化水素基、Rはエチレン鎖、X,XはHまたはNa、Xはカルボキシル基を表す。また、nは2〜10の整数を表す。)
【0013】
(2)上記(1)に記載のトナーとキャリアからなる静電荷像現像用現像剤である。
【0014】
(3)少なくとも粒径が1μm以下の結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液を混合する工程と、凝集剤を添加して前記結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる凝集工程と、凝集させた後に前記結着樹脂粒子の主成分である結着樹脂の融点以上の温度で合一させる合一工程と、を有し、少なくとも結着樹脂粒子の分散液または着色剤粒子の分散液のいずれか一方に、上記一般式(1)で表される界面活性剤が含有される静電荷像現像用トナーの製造方法である。
【0015】
(4)上記(1)に記載の静電荷像現像用トナーを含むトナーカートリッジである。
【0016】
(5)潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、上記(2)に記載の静電荷像現像用現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含むプロセスカートリッジである。
【0017】
(6)感光体を帯電する帯電工程と、帯電した感光体に露光して感光体上に潜像を作成する露光工程と、潜像を現像し現像像を作成する現像工程と、現像像を被転写体上に転写する転写工程と、定着基材上のトナーを加熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であり、前記トナーが上記(1)に記載の静電荷像現像用トナーである画像形成方法である。
【0018】
(7)潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、前記静電荷像現像用現像剤が、上記(2)に記載の静電荷像現像用現像剤である画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
本願請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナーに含まれる界面活性剤の混入量が低減され、環境に対する帯電安定性が向上し、且つ、トナー内部における着色剤の分散性が向上する。
【0020】
本願請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナーに含まれる界面活性剤の混入量が低減され、環境に対する帯電安定性が向上し、且つ、トナー内部における着色剤の分散性が向上する。
【0021】
本願請求項3に記載の発明によれば、上記一般式(1)で表される界面活性剤以外の界面活性剤を用いた場合に比べ、少なくとも結着樹脂粒子の分散液、着色剤粒子の分散液の分散性を従前通りに維持するために必要な界面活性剤の添加量が低減される。
【0022】
本願請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナーに含まれる界面活性剤の混入量が低減され、環境に対する帯電安定性が向上し、且つ、トナー内部における着色剤の分散性が向上して高画像濃度の画質が得られる。
【0023】
本願請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナーに含まれる界面活性剤の混入量が低減され、環境に対する帯電安定性が向上し、且つ、トナー内部における着色剤の分散性が向上して高画像濃度の画質が得られる。
【0024】
本願請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナーに含まれる界面活性剤の混入量が低減され、環境に対する帯電安定性が向上し、且つ、トナー内部における着色剤の分散性が向上して高画像濃度の画質が得られる。
【0025】
本願請求項7に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナーに含まれる界面活性剤の混入量が低減され、環境に対する帯電安定性が向上し、且つ、トナー内部における着色剤の分散性が向上して高画像濃度の画質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態における静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用トナーの製造方法、画像形成方法および画像形成装置について、以下に説明する。
【0028】
[静電荷像現像用トナーおよびその製造方法]
本実施の形態の静電荷像現像用トナー(以下「トナー」ともいう)は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電荷像現像用トナーであり、さらに少なくとも以下に示す一般式(1)で表される界面活性剤を含有する静電荷像現像用トナーである。
【化2】


・・・一般式(1)
(式中、式中、R,Rは炭素数11を有するアルキル基、R,Rは炭素数3を有する炭化水素基、Rはエチレン鎖、X,XはHまたはNa、Xはカルボキシル基を表す。また、nは2〜10の整数を表す。)
【0029】
一般式(1)で表される界面活性剤として、例えば、N−ラウロイル−Lグルタミン酸とリジンとの縮合物のナトリウム塩水溶液(別名:ジラウロイルグルタミン酸リジンNa(29%)、例えば旭化成ケミカルズ株式会社製の「ペリセアL−30」)が用いられる。
【0030】
一般式(1)で表される界面活性剤を用いることで、従来の種々の一鎖一親水基型の界面活性剤に比べ、少量の界面活性剤の添加量で同様の分散性が得られる。したがって、トナーの内部の各成分の分散性が向上し、その結果、環境に対するトナーの帯電安定性の向上と、着色剤成分の分散性向上による高画像濃度の両立が図れる。
【0031】
本実施の形態のトナーには、離型剤を含有し、含有される離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
本実施の形態のトナーに用いる好ましい離型剤は、結着樹脂に対して相溶性が低い離型剤、例えば、ポリエチレン、ポリオレフィン等の極性の低い離型剤がハーフトーン画像の剥離性を良好にする点で好ましく、またこの重量平均分子量は500から5000、溶融温度は60℃から100℃がトナーの用紙からの剥離性の良さ、また光沢ムラの現れにくさの観点から好ましい。離型剤は、トナー内から短時間で定着部材と画像の間に入る必要があることから、離型剤は、上記例示した離型剤の種類の離型剤が好ましい。
【0033】
更に、本実施の形態のトナーを構成する各種材料について、詳細に説明する。
【0034】
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等をあげることができる。
【0035】
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
【0036】
その他、必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。また、凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性などの特性において好ましい。
【0037】
本実施の形態におけるトナーの体積平均粒子径は、3μmから10μmであり、3μmから9μmが好ましく、3μmから8μmがより好ましい。また、本実施の形態のトナーの数平均粒子径は、3μmから10μmが好ましく、2μmから8μmがより好ましい。粒子径が小さすぎると製造性が不安定になるばかりでなく、帯電性が不十分になり、現像性が低下することがあり、大きすぎると画像の解像性が低下する。
【0038】
本実施の形態におけるトナーの製造方法は、少なくとも粒径が1μm以下の結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液を混合する工程と、凝集剤を添加して前記結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる凝集工程と、凝集させた後に前記結着樹脂粒子の主成分である結着樹脂の融点以上の温度で合一させる合一工程と、を有し、少なくとも結着樹脂粒子の分散液または着色剤粒子の分散液のいずれか一方に、上記一般式(1)で表される界面活性剤が含有されるトナーの製造方法である。
【0039】
本実施の形態では、結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液を混合する工程において、上記一般式(1)で表される界面活性剤を用いることで、従来の種々の一鎖一親水基型の界面活性剤に比べ、少量の界面活性剤の添加量で同様の分散性が得られ、トナーの内部の各成分の分散性が向上し、その結果、環境に対する帯電安定性が向上し、且つ、着色剤成分の分散性向上による高画像濃度が得られる。
【0040】
また、本実施の形態のトナーの製造方法において、必要に応じて、離型剤粒子の分散液を、結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液とともに混合する場合、離型剤粒子の分散液にも、上記一般式(1)で表される界面活性剤を添加してもよい。これにより、さらにトナー内部の界面活性剤量が低減される。
【0041】
また、上記一般式(1)で表される界面活性剤は、天然由来の脂肪酸とアミノ酸の一種の縮合物であり、環境に優しい界面活性剤である。したがって、本実施の形態のトナーの製造方法において、結着樹脂粒子の分散液、着色剤粒子の分散液及び離型剤粒子の分散液に用いる界面活性剤を、すべて上記一般式(1)で表される界面活性剤にすることで、従来の種々の一鎖一親水基型の界面活性剤を用いた場合に比べ、トナー内部に含有される総界面活性剤量を大幅に低減させるだけでなく、トナーの製造のみならずトナー自体も環境に優しい。
【0042】
また、乳化重合凝集法を用いるトナーの製造方法において、着色剤粒子の分散液は、他の成分である結着樹脂粒子の分散液や必要に応じて添加される離型剤粒子の分散液に比べ、粒子の分散性が劣る。したがって、着色剤粒子の分散液に用いる界面活性剤として、上記一般式(1)で表される界面活性剤を用いることで、従来と同等以上の着色剤粒子の分散性を得るための界面活性剤量が低減される。その結果、本実施の形態における製造方法により得られるトナーは、従来のトナーに比べ、例えば湿度等の変化による帯電性の環境依存性が改善され、且つ、従来と同量の着色剤が含有されるトナーであっても、従来のトナーに比べ、発色性が高く、高画像濃度が得られる。
【0043】
[静電荷像現像用現像剤]
以上説明した本発明の静電潜像現像トナーの製造方法により得られるトナーは、静電潜像現像剤として使用される。この現像剤は、この静電潜像現像トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電潜像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電潜像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電潜像現像剤として調製される。
【0044】
キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。
【0045】
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。即ち、該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その平均粒径は30〜200μm程度である。前記核体粒子の被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のポリオレフィン類、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマーの共重合体、ビスフェノール、グリコール等を含むポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、などが挙げられ、特に好ましいのは芳香環を有する重合性単量体を重合して得られた樹脂である。その理由としては、該芳香環を有する重合性単量体を重合して得られた樹脂はトナーとの帯電時に、芳香環部分に静電気を保持しやすく、そのため該無着色離型剤粒子の比率が現像剤内で増加した場合でも、無着色離型剤粒子の過剰な帯電量の発生を制御できると考えられるためである。より好ましくは芳香環部分がトナーと直接接触しやすいスチレンを重合性単量体として含む重合性単量体を重合して得られた樹脂である。その理由としては、該芳香環を有する重合性単量体を重合して得られた樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。該被覆樹脂の量としては、キャリアに対して0.1〜10質量部程度であり、0.5〜3.0質量部が好ましい。前記キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
【0046】
なお、静電潜像現像剤における、静電潜像現像トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0047】
[画像形成装置]
次に、本実施の形態の画像形成装置について説明する。
【0048】
図1は、本実施の形態の画像形成方法により画像を形成するための、画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置200は、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。電子写真感光体401a〜401dは、例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成することが可能である。
【0049】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
【0050】
さらに、ハウジング400内の所定の位置には露光装置403が配置されており、露光装置403から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0051】
ここで、帯電ロール402a〜402dは、電子写真感光体401a〜401dの表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである(帯電工程)。なお本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン若しくはスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
【0052】
露光装置403としては、電子写真感光体401a〜401dの表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体401a〜401dの導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
【0053】
現像装置404a〜404dには、上述の二成分静電潜像現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる(現像工程)。そのような現像装置としては、二成分静電荷像現像用現像剤を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを選択することができる。一次転写工程では、1次転写ロール410a〜410dに、像担持体に担持されたトナーと逆極性の1次転写バイアスが印加されることで、像担持体から中間転写ベルト409へ各色のトナーが順次1次転写される。
【0054】
クリーニングブレード415a〜415dは、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0055】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。
【0056】
2次転写ロール413に、中間転写体上のトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルトから記録媒体へトナーが2次転写される。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416或いは、除電器(不図示)により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0057】
[画像形成方法]
本実施の形態における画像形成方法は、少なくとも、像保持体を帯電させる工程と、像保持体上に潜像を形成する工程と、潜像担持体上の潜像を上述した電子写真用現像剤を用いて現像する工程と、現像されたトナー像を中間転写体上に転写する1次転写工程と、前記中間転写体に転写されたトナー像を、記録媒体に転写する2次転写工程と、前記トナー画像を熱と圧力によって定着する工程とを有する。前記現像剤は、少なくとも、本発明の静電荷像現像用トナーを含有する現像剤である。前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。
【0058】
上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。
【0059】
潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体及び誘電記録体等が使用できる。電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー画像を形成する(現像工程)。形成されたトナー画像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、必要に応じて、被転写体表面に転写されたトナー画像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー画像が形成される。
【0060】
なお、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常の定着機における定着部材には、離型剤が供給されるが、本実施の形態における画像形成装置の定着機には、離型剤は供給する必要がなく、オイルレスで定着がなされる。
【0061】
熱定着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、離型剤を供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、中でも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、前記離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。なお、シャワー方式により前記定着部材の全体に均一に前記離型剤を供給するには、別途ブレード等を用いる必要がある。
【0062】
トナー画像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
【0063】
[付記]
本実施の形態の好ましい態様として、静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも粒径が1μm以下の結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液を混合する工程と、凝集剤を添加して前記結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる凝集工程と、凝集させた後に前記結着樹脂粒子の主成分である結着樹脂の融点以上の温度で合一させる合一工程と、を有し、着色剤粒子の分散液に、上記一般式(1)で表される界面活性剤が含有される静電荷像現像用トナーの製造方法である。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらにより本発明は限定されるものではない。
【0065】
まず、本実施例において、各測定は次のように行った。
【0066】
−粒度及び粒度分布測定方法−
粒径(「粒度」ともいう。)及び粒径分布測定(「粒度分布測定」ともいう。)について述べる。
【0067】
測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
【0068】
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100ml中に添加した。
【0069】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50,000であった。
【0070】
また、トナーの粒度分布は以下の方法により求めた。測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さい方から体積累積分布を描き、累積16%となる累積体積粒径をD16vと定義し、累積50%となる累積体積粒径をD50vと定義する。更に累積84%となる累積体積粒径をD84vと定義する。
【0071】
本発明における体積平均粒径は該D50vであり、体積平均粒度指標GSDvは以下の式によって算出した。
式:GSDv={(D84v)/(D16v)}0.5
【0072】
また、測定する粒子直径が2μm未満の場合、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分間待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
【0073】
なお、外添剤などの粉体を測定する場合は、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、前述の分散液と同様の方法で、測定した。
【0074】
−ガラス転移温度の測定方法−
トナーのガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)測定法により決定し、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
【0075】
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0076】
−トナー、樹脂粒子の分子量、分子量分布測定方法−
分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0077】
以下に本発明におけるより具体的比較例および実施例について説明を行うが、以下の実施例は本発明の内容について何ら限定するものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
【0078】
[トナーの製造例および現像剤の評価]
−結着樹脂粒子分散液(A)の作製−
スチレン(和光純薬社製) 325質量部
n−ブチルアクリレート 75質量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華社製) 9質量部
1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学社製) 1.5質量部
ドデカンチオール(和光純薬社製) 2.7質量部
上記成分を予め混合し、溶解して溶液を調製しておき、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックスA211)4質量部をイオン交換水550質量部に溶解した界面活性剤溶液をフラスコに収容し、上記の溶液413.2質量部を投入して分散し乳化して10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを攪拌しながらオイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して結着樹脂粒子分散液(A)を得た。結着樹脂粒子分散液から樹脂微粒子を分離して物性を調べたところ、中心径は200nm、分散液中の固形分量は41質量%、ガラス転移温度は51.7℃、重量平均分子量Mwは33000であった。
【0079】
−結着樹脂粒子分散液(B)の作製−
結着樹脂粒子分散液(A)の作製において、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックスA211)4質量部を、イオン性界面活性剤ペリセアL−30 (旭化成ケミカルズ社製)3質量部に替えた以外は、結着樹脂粒子分散液(A)の作製に準拠して、結着樹脂粒子分散液(B)を得た。中心径は165nm、分散液中の固形分量は41質量%、ガラス転移温度は51.7℃、重量平均分子量Mwは20000であった。
【0080】
−着色剤粒子分散液(A)作製−
カーボンブラック(キャボット社製:R330) 45質量部
イオン性界面活性剤ペリセアL−30(旭化成ケミカルズ社製) 7.2質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28kHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径125nmの着色剤粒子分散液(A)を得た。
【0081】
−着色剤粒子分散液(B)作製−
カーボンブラック(キャボット社製:R330) 45質量部
イオン性界面活性剤ネオゲンSC (第一工業製薬) 7.2質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28kHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径130nmの着色剤粒子分散液を得た。
【0082】
−着色剤粒子分散液(C)作製−
カーボンブラック(キャボット社製:R330) 45質量部
イオン性界面活性剤ネオゲンSC (第一工業製薬) 24質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28kHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径130nmの着色剤粒子分散液(C)を得た。
【0083】
−着色剤粒子分散液(D)作製−
キナクリドン顔料(大日精化工業(株)社製、赤色顔料) 45質量部
イオン性界面活性剤ペリセアL−30(旭化成ケミカルズ社製) 9質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28kHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径115nmの着色剤粒子分散液(D)を得た。
【0084】
−着色剤粒子分散液(E)作製−
キナクリドン顔料(大日精化工業(株)社製、赤色顔料) 45質量部
イオン性界面活性剤ネオゲンSC (第一工業製薬) 24質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28kHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径120nmの着色剤粒子分散液(E)を得た。
【0085】
−着色剤粒子分散液(F)作製−
ブリリアントカーミン6B(R−57:1、大日精化工業(株)社製) 45質量部
イオン性界面活性剤ペリセアL−30(旭化成ケミカルズ社製) 6質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28kHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径120nmの着色剤粒子分散液(F)を得た。
【0086】
−着色剤粒子分散液(H)作製−
ブリリアントカーミン6B(R−57:1、大日精化工業(株)社製) 45質量部
イオン性界面活性剤ネオゲンSC (第一工業製薬) 24質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28kHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径120nmの着色剤粒子分散液(H)を得た。
【0087】
−離型剤粒子分散液(A)の作製−
ポリエチレンワックス 45質量部
(ベーカーペトロライト社製、POLYWAX725:融点103℃)
イオン性界面活性剤ネオゲンSC (第一工業製薬) 5質量部
イオン交換水 200質量部
上記成分を120℃に加熱し、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理して、固形分20%、中心粒径226nmの離型剤分散液(A)を得た。
【0088】
−離型剤粒子分散液(B)の作製−
ポリエチレンワックス 45質量部
(ベーカーペトロライト社製、POLYWAX725:融点103℃)
イオン性界面活性剤ペリセアL−30(旭化成ケミカルズ社製) 3質量部
イオン交換水 200質量部
上記成分を120℃に加熱し、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理して、固形分20%、中心粒径220nmの離型剤分散液(A)を得た。
【0089】
(キャリアの作製)
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部とポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95000、10000以下の成分比率は5%)1.5部を、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温してトルエンを留去し、その後冷却し、105μmの篩を用いて分級して樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0090】
(実施例1)
結着樹脂粒子分散液(A) 273質量部
着色剤粒子分散液(A) 50質量部
離型剤分散液(A) 90質量部
ポリ塩化アルミニウム10%溶液 3.0質量部
イオン交換水 660質量部
上記成分1076質量部を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持して凝集粒子分散液を調製した。この凝集粒子分散液に上記の結着樹脂粒子分散液(A)を緩やかに146質量部追加した。
【0091】
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して系内のpHを6.5に調整した後、攪拌を継続しながら96℃まで加熱して5時間保持した。冷却後濾過した後、3リットルのイオン交換水に再分散してヌッチェ式吸引ろ過により固液分離することを6回繰り返してウェットケーキを得た。次いで真空乾燥を12時間行って平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子を得た。
【0092】
次にトナー母粒子50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット製、TS720)を1.5質量部添加し、サンプルミルでブレンドして外添トナーを得た。次に外添トナーと樹脂被覆フェライトキャリアとを混合し、トナー濃度が7重量%の現像剤を作製した。
【0093】
(実施例2)
凝集粒子分散液を52℃で調整した以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径5.8μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0094】
(実施例3)
凝集粒子分散液を30℃で調整した以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径2.0μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0095】
(比較例1)
着色剤粒子分散液(A)の代わりに着色剤粒子分散液(B)を用いた以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0096】
(比較例2)
着色剤粒子分散液(A)の代わりに着色剤粒子分散液(C)を用いた以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0097】
(実施例4)
凝集粒子分散液を28℃で調整した以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径1.8μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0098】
(実施例5)
着色剤粒子分散液(A)の代わりに、カーボンブラックに比べ親油性の高い顔料を含む着色剤粒子分散液(D)を用いた以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0099】
(比較例3)
着色剤粒子分散液(A)の代わりに、カーボンブラックに比べ親油性の高い顔料を含む着色剤粒子分散液(E)を用いた以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0100】
(実施例6)
着色剤粒子分散液(A)の代わりに、カーボンブラックに比べ親水性の高い顔料を含む着色剤粒子分散液(F)を用いた以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0101】
(比較例4)
着色剤粒子分散液(A)の代わりに、カーボンブラックに比べ親水性の高い顔料を含む着色剤粒子分散液(H)を用いた以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0102】
(実施例7)
着色剤粒子分散液(A)を用い、結着樹脂粒子分散液(A)の代わりに結着樹脂粒子分散液(B)を用い、離型剤粒子分散液(A)の代わりに離型剤粒子分散液(B)を用いた以外は実施例1と同様にして、平均体積粒径3.5μmのトナー母粒子、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0103】
[評価方法]
(着色剤粒子分散の評価)
トナー粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、評価した。評価基準は以下の通りである。
○:トナー粒子に対して一様に着色剤の粒子が分散している状態。
△:着色剤の凝集がトナーの粒子中に観察されるが、実用上使用可能ではある状態。
×:大きな着色剤の凝集がトナーの粒子中で観察され、実用上使用不可な状態。
【0104】
(画像評価方法)
室温32℃、湿度75%の環境室にて、得られた各現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre Color 400改造機の現像器にセットし、連続50000枚のプリントアウトを行い、得られた画像の背景部カブリおよび文字画像のシャープ度を評価した。なお、用紙としては、富士ゼロックスオフィイスサプライ社製、C2紙を用い、4ポイントおよび6ポイントの漢字等を含む和文文字を含む画像を形成した。
【0105】
―カブリ―
連続50000枚のプリントアウト後、カブリの評価は目視にて行い、限度見本との比較により以下のG1〜G4の4段階評価を行った。通常G2以下であれば画質上の問題はないと判断できる。
G1:かぶりが全く見られない。
G2:ルーペによりカブリが観察されるが、実使用上問題ない。
G3:目視により確認できる。
G4:目視により容易に観察される。
なお、許容できるのはG3までである。
【0106】
−画像濃度−
連続50000枚のプリントアウト後、上記文字画像の画像濃度を、X−rite404濃度測定器により測定した。なお、画像濃度は、1.30以上であれば、実質上問題のないレベルである。
【0107】
−トナー帯電性の評価−
連続50000枚のプリントアウト後の現像剤を取り出し、現像剤全量に対するトナーの量を4%に調整し、さらに1分間、室温32℃、湿度75%の環境室内で攪拌したときの帯電量をブローオフ法(TB−200、東芝ケミカル社製)にて、確認した。なおこのときの気体は空気を用いた。
【0108】
−トナー帯電性の評価基準−
◎:帯電量が絶対値で30μC/g以上である場合。
○:帯電量が絶対値で15μC/g以上、30μC/g未満である場合。
△:帯電量が絶対値で15μC/g未満である場合。
なお、許容できるのは○までである。
【0109】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用がある。
【符号の説明】
【0111】
200 画像形成装置、400 ハウジング、401a〜401d 電子写真感光体、402a〜402d 帯電ロール、403 露光装置、404a〜404d 現像装置、405a〜405d トナーカートリッジ、406 駆動ロール、407 テンションロール、408 バックアップロール、409 中間転写ベルト、410a〜410d 1次転写ロール、411 トレイ(被転写媒体トレイ)、412 移送ロール、413 2次転写ロール、414 定着ロール、415a〜415d,416 クリーニングブレード、500 被転写媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電荷像現像用トナーであり、さらに少なくとも以下に示す一般式(1)で表される界面活性剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【化1】


・・・一般式(1)
(式中、式中、R,Rは炭素数11を有するアルキル基、R,Rは炭素数3を有する炭化水素基、Rはエチレン鎖、X,XはHまたはNa、Xはカルボキシル基を表す。また、nは2〜10の整数を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載のトナーとキャリアからなることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項3】
少なくとも粒径が1μm以下の結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液を混合する工程と、
凝集剤を添加して前記結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる凝集工程と、
凝集させた後に前記結着樹脂粒子の主成分である結着樹脂の融点以上の温度で合一させる合一工程と、を有し、
少なくとも結着樹脂粒子の分散液または着色剤粒子の分散液のいずれか一方に、上記一般式(1)で表される界面活性剤が含有されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項5】
潜像保持体と、
前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
請求項2に記載の静電荷像現像用現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
感光体を帯電する帯電工程と、帯電した感光体に露光して感光体上に潜像を作成する露光工程と、潜像を現像し現像像を作成する現像工程と、現像像を被転写体上に転写する転写工程と、定着基材上のトナーを加熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であり、
前記トナーが請求項1に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、
前記静電荷像現像用現像剤が、請求項2に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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