説明

静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的に、あらかじめ設定した目標値に制御する装置および方法

【課題】混合すべき2つの成分の割合をあらかじめ設定した目標値に制御する装置を提供して、この装置により、従来技術において発生していた問題が生じ得ないようにすること。
【解決手段】本願発明の装置では、トナー濃縮物用の第1リザーバおよびキャリア液用の第2リザーバが設けられており、第1リザーバは、第1アクチュエータを介して、また第2リザーバは、第2アクチュエータを介して混合ユニットに接続されている。第1制御ユニットにより、第1アクチュエータが制御されて、第1リザーバからトナー濃縮物が供給されることにより、あらかじめ設定したトナー濃度の目標値が混合ユニットにて調整される。第2制御ユニットにより、第2アクチュエータが制御されて、第2リザーバからキャリア液が供給されることにより、あらかじめ設定した充填レベルの目標値が混合ユニットにて調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的に、あらかじめ設定した目標値に制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような制御装置は、例えば、静電記録式印刷装置の現像ステーションに設けられた、少なくともトナーおよびキャリア液を有する混合ユニットにおけるトナー濃度および充填レベルを制御するために有利に使用可能である。このため、上記の制御装置をこのような適用事例から出発して説明するが、この制御装置をこのような適用事例に制限するものではない。
【0003】
例えば、紙または薄いプラスチックシートまたは金属シートなどの極めて異なる材料からなる、例えば枚葉紙または巻取形の記録担体である印刷素材を単色または多色で印刷するために公知であるのは、例えば潜像担体、例えば光導電体に、画像に依存する潜像を形成することである。ここでこの潜像は、着色すべき領域と、着色すべきでない領域とからなる印刷すべき画像に相応する。潜像の着色すべき領域は、現像ステーションにより、トナーが用いられてトナー画像として潜像担体上に可視化される。引き続いて、上記のようにして形成されたトナー画像は、転写ゾーンにおいて印刷素材に転写されてそこで固定される。
【0004】
潜像を着色するために、少なくとも帯電したトナーおよびキャリア液を含む現像液を使用することができる。考えられるキャリア液は、例えば炭化水素、シリコーンオイルである。
【0005】
デジタル印刷システムにおける上記のような電気泳動方式印刷法は、例えば、WO 2005/013013 A2(US 2006/0150836 A1,DE 10 2005 055 156 B3)から公知である。印刷すべき画像の潜像を潜像担体に形成した後、これらの画像は、現像ステーションにより、トナーでトナー画像に着色される。ここでは現像液として、シリコーンオイルを含みかつそこに色素粒子(トナー)が分散されたキャリア液が使用される。潜像担体への現像液の供給は、現像ロールによって行うことができ、この現像ロールにはスクリーンロールによって現像液が供給される。このスクリーンロールにはチャンバ形ドクタが配置されている。引き続いて上記のトナー画像は、転写ユニットによって潜像担体から取り出され、転写ゾーンにおいて印刷素材に転写される。
【0006】
印刷装置に使用される現像液は、現像ステーションにおいて、例えば混合ユニットにおいて、トナーおよびキャリア液を有するトナー濃縮物から、またキャリア液体から混ぜ合わされる。上記のトナー濃縮物およびキャリア液はそれぞれリザーバに含まれることがあり、また印刷動作時に制御されて、例えばポンプによって上記の混合ユニットに搬送することができる。欠陥のない印刷画像に必要であるのは、現像液に十分なトナーが含まれていることであり、このため、現像液におけるトナー濃度が、あらかじめ設定した値を有するようにする。この際に考慮しなければならないのは、印刷動作時に連続して現像液を混合ユニットから取り出し、またその一部を印刷素材に被着することである。印刷に使用しなかったトナー濃度の低い現像液は、混合ユニットに再度供給されるか、または廃棄用容器に棄てられ得る。
【0007】
現像液ないしは殊にトナーを連続して取り出して再供給することにより、混合ユニットにおけるトナー濃度および充填レベルが変化する。しかしながら2つの量(トナー濃度および充填レベル)を、制御により、あらかじめ設定した目標値に一定に維持したい。これは、上で示した成分、すなわち、トナー濃縮物(トナーおよびキャリア液)を供給することおよびキャリア液だけを供給することによって行うことが可能である。この際に発生する問題は、上記の達成すべき目標、すなわち上記の混合ユニットにおけるトナー濃度の目標値および充填レベルの目標値の調整は、互いに結び付いており、また互いに影響し合うことである。例えば、トナー濃縮物を供給することによってトナー濃度を上げることは、充填レベルを高めることにもなる。またはキャリア液を供給することによってトナー濃度を下げると、充填レベルを高めることになるのである。
【0008】
また別の問題に注意しなければならない。すなわち、印刷品質にとって決定的であるのは、殊に混合ユニットにおけるトナー濃度であり、これに対して充填レベルは副次的である。これに相応して混合ユニットにおけるトナー濃度を優先的に調整できるようにする。
【0009】
US 5 003 352からは静電記録式印刷装置が公知であり、この印刷装置は、混合ユニットと、トナー濃縮物、キャリア液および荷電制御剤用のリザーバとを現像ステーションに有する。液体は、ポンプによって上記の混合ユニットに搬送される。上記の充填レベルは、2点制御によって調整される。センサとして種々異なる充填レベルに対する境界値スイッチが使用される。上記のトナー濃度は、光学的な透明度測定によって求められて別個の2点制御器によって制御される。混合ユニットにおける導電性は、電極によって測定され、また別の2点制御器によって制御される。3つの制御はすべて互いに依存せずに動作する。制御目標に優先度はない。
【0010】
複数の液体を混合する方法は、US 3 608 869から公知である。ここでは液体レベルが、2点制御器によって制御される。混合すべき個々の液体成分の割合は、各供給ポンプのスイッチオン持続時間から得られる。混合比を測定するセンサは存在せず、混合比の制御は行われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 2005/013013 A2
【特許文献2】US 5 003 352
【特許文献3】US 3 608 869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明によって解決すべき課題は、混合すべき2つの成分の割合をあらかじめ設定した目標値に制御する装置を提供して、この装置により、上で説明した問題が生じ得ないようにすることである。殊にこの制御装置が静電記録式印刷装置の動作に適しており、これによって上で示した欠点なしに混合ユニットにおけるトナー濃度および充填レベルが制御できるようにする。さらに、混合ユニットにおける充填レベルまたはトナー濃度の制御が優先付けできるようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、本願発明の請求項1により、静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的に、あらかじめ設定した目標値に制御する装置であって、上記の混合ユニットは、少なくともトナーおよびキャリア液を有しており、少なくともトナーおよびキャリア液を有するトナー濃縮物用の第1リザーバが設けられており、このリザーバは、第1アクチュエータを介して上記の混合ユニットに接続されており、キャリア液用の第2リザーバが設けられており、このリザーバは、第2アクチュエータを介して上記の混合ユニットに接続されており、第1制御器を有する第1制御ユニットが設けられており、この第1制御ユニットにより、第1アクチュエータが制御されて、上記の第1リザーバからトナー濃縮物が供給されることにより、あらかじめ設定したトナー濃度の目標値が混合ユニットにて調整され、上記の第1制御器により、トナー濃度および充填レベルのあらかじめ設定した目標値から求めた濃縮物目標値に依存して、また混合ユニットにて測定したトナー濃度および充填レベルの実際値から求めた濃縮物実際値に依存して第1アクチュエータが制御され、第2制御器を有する第2制御ユニットが設けられており、この第2制御ユニットにより、第2アクチュエータが制御されて、上記の第2リザーバからキャリア液が供給されることにより、あらかじめ設定した充填レベルの目標値が混合ユニットにて調整され、上記の第2制御器により、トナー濃度および充填レベルのあらかじめ設定した目標値から求めたキャリア液目標値に依存して、また混合ユニットにて測定したトナー濃度および充填レベルの実際値から求めたキャリア液実際値に依存して第2アクチュエータが制御されることを特徴とする、静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的に、あらかじめ設定した目標値に制御する装置を構成することによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電気泳動式印刷装置の原理図である。
【図2】本発明による制御装置の1実施形態を示す図である。
【図3】現像液を有する混合ユニットを示す図である。
【図4】充填レベルの制御よりも優先させてトナー濃度の制御に優先権を割り振る本発明の制御装置の1発展形態を示す図である。
【図5】トナー濃度制御に対して充填レベル制御の影響を変化させることのできる制御良度関数を示す図である。
【図6】制御良度関数からどのようにして充填レベル制御に対して適合した目標値を求めるかを示す図である。
【図7】制御装置の動作の仕方を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
静電記録式印刷装置への適用事例において、本発明の制御装置は、少なくともトナーおよびキャリア液体を有するトナー濃縮物用のリザーバを有しており、ここでこのリザーバは、第1アクチュエータを介して、現像液用の混合ユニットに接続されている。ここでは第1制御器を有する第1制御ユニットが設けられており、この第1制御器は、第1アクチュエータを制御して、トナー濃縮物用のリザーバからトナー濃縮物を供給することにより、トナー濃度のあらかじめ設定した目標値が混合ユニットにおいて調整されるようにする。この際に第1制御器は、トナー濃度および充填レベルの実際値および目標値に依存して第1アクチュエータを制御する(トナー濃度制御)。さらに混合ユニットにおける充填レベルを制御するため、第1制御ユニットに相応する第2制御ユニットを設けることができる。この場合に充填レベルの制御はつぎのようにして行われる。すなわち、制御装置に第2制御器が設けられており、この第2制御器によって第2アクチュエータを制御して、混合ユニットにおける充填レベルのあらかじめ設定した目標値に到達するまで、第2アクチュエータにより、キャリア液を有するリザーバからキャリア液を混合ユニットに搬送することによって行われるのである。第2制御器も同様にトナー濃度および充填レベルの実際値および目標値に依存して第2アクチュエータを制御する(充填レベル制御)。
【0016】
1つ制御装置の2つの制御ユニットを組み合わせる場合、上記の混合ユニットにおけるトナー濃度および充填レベルを目標値に制御することができ、その際にトナー濃度制御と充填レベル制御との間に矛盾が生じることはない。すなわち一方の制御が他方の制御を邪魔することはないのである。
【0017】
上記の制御装置は、充填レベル制御よりもトナー濃度制御に優先権が付与される場合にさらに改善される。このために付加装置を設けることが可能であり、この付加装置より、トナー濃度の実際値と目標値との間のトナー濃度差分から制御良度を導きだし、この制御良度と、充填レベル目標値とを結合して、導出される充填レベル目標値_2にし、この目標値を、上記の充填目標値の代わりに制御ユニットに供給する。ここでこの結合は、トナー濃度差分が大きい場合に充填レベル制御の影響の度合いは小さく維持され、またトナー濃度差分が小さい場合に充填レベル制御の影響の度合いが、影響を受けていないままの状態になるように行われる。トナー濃度差分の値がこれらの2つの極値の間にある場合、充填レベル制御の影響は相応に適合化される。
【0018】
本発明の発展形態は、従属請求項に記載されている。
【実施例】
【0019】
図面に示した実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
図1には、静電記録式印刷装置DSのコンポーネントが示されている。印刷装置DSの構造および機能は公知であり、例えば、WO 2005/013013 A2またはDE 10 2005 055 156 B3(US 2006/0150836 A1)から得ることができる。これらの内容を本願発明の開示内容に含めるものとする。図1では光導体ドラムである回転潜像担体に沿って、再構成照射部と、帯電ステーションと、照射ヘッドと、現像ステーションと、現像した潜像を印刷素材に転写する転送ユニットと、光導体ドラムをクリーニングするためのエレメントとが配置されている。図1ではこれらのコンポーネントのうち、光導体ドラム1、現像ステーション2、転写ユニット3および印刷素材4だけが示されている。残りのコンポーネントについては、DE 10 2005 055 156 B3(US 2006/0150836 A1)から情報を得ることができる。
【0021】
現像ステーション2は、例として、現像ロール22と、オプションのクリーニング装置23とを有する。現像ロール22は、潜像担体1に接触させて配置することができる。現像ロール22により、潜像担体1に配置された潜像がトナー画像に現像される。このため、少なくともキャリア液および帯電したトナーからなる現像液を使用する。例えば現像液を現像ロール22に塗布する着色ロール21により、この現像液を現像ロール22に供給することができる。着色ロール21は、混合ユニット24から現像液を受け取る。この混合ユニットは、トナー濃縮物およびキャリア液を供給するためにリザーバ25,25に接続されている。クリーニング装置23は、クリーニングロールとすることができ、これは、現像ロール22からクリーニング除去した現像液を混合ユニット24に供給する。転写ユニット3は、公知のように転写ロール31と、対向加圧ロール32とを有する。
【0022】
品質の高い印刷を行うため、印刷動作時に混合ユニット24における充填レベルおよびトナー濃度をあらかじめ設定した目標値に維持する。このため、図2によれば、混合ユニット24における充填レベルおよびトナー濃度を測定し、2つの制御ユニットRE1,RE2を有する制御装置RAにおいてこの測定値を使用して、混合ユニット24における充填レベルおよびトナー濃度の目標値を維持することができる。このために制御装置RAは連続して作動され、またトナー濃度および充填レベルがアナログのセンサによって周期的に測定され、つぎに2つの制御ユニットRE1,RE2によって、すなわち、1つはトナー濃度用である制御ユニットによって、別の1つは充填レベル用である制御ユニットによって制御される。制御ユニットRE1,RE2の役割は、複数のアクチュエータ用、例えば複数のポンプ用の調整信号を形成し、これらの調整信号により、上記の混合ユニットへの例えばトナー濃縮物およびキャリア液の供給を制御してつぎのような危険性が発生しないようにすることである。すなわち、このために使用されるトナー濃度および充填レベル用の2つの制御ユニットRE1,RE2が同時に逆の調整信号、例えば混合ユニット24におけるトナー濃度を上げる調整信号と、混合ユニット24における充填レベルを下げるという逆の調整信号を計算してしまうという危険性が発生しないようにすることである。例えば、トナー濃度用の一方の制御ユニットRE1が、トナー濃縮物を供給することによってトナー濃度を上げようとし、同時に充填レベルはすでに目標値を上回っているため、第2制御ユニットRE2が、トナー濃縮物の供給を阻止しようとするという事態が発生し得るのである。
【0023】
リザーバ25から混合ユニット24へのトナー濃縮物の供給を制御しかつリザーバ26から混合ユニット24へのキャリア液の供給を制御する制御装置RAは、図2に示されている。制御装置RAは、制御ユニットRE1および制御ユニットRE2を有しており、制御ユニットRE1には、計算ユニット5と、制御器6と、アクチュエータ7と、計算ユニット8が設けられており、また制御ユニットRE2には、計算ユニット9と、制御器10と、アクチュエータ11と、計算ユニット12とが設けられている。制御ユニットRE1により、混合ユニット24におけるトナー濃度TCが制御され(TC制御と称する)、これに対して制御ユニットRE2により、混合ユニット24における充填レベルFLが制御される(FL制御と称する)。
【0024】
図2において混合ユニット24およびリザーバ25,26に対して図1の参照符号を使用する。あらかじめ設定したトナー濃度目標値TCsollおよびあらかじめ設定した充填レベル目標値FLsollを混合ユニット24において印刷動作時に調整して維持する。このために制御装置RAは、トナー濃縮物用の第1制御ユニットRE1およびキャリア液用の第2制御ユニットRE2を有する。第1制御ユニットRE1は、第1制御器6を有しており、この制御器は、リザーバ25から混合ユニット24にトナー濃縮物を供給する第1アクチュエータ7を制御する。これに相応して第2制御ユニットRE2は、第2制御器10を有しており、この制御器は、リザーバ26から混合ユニット24にキャリア液を供給する第2アクチュエータ11を制御する。アクチュエータ7,11はポンプまたはバルブとすることが可能である。
【0025】
制御器6および10にはトナー濃度の目標値TCsollおよび充填レベルの目標値FLsollが直接供給されるのはなく、これらは、第1変換関数g(TC,FL)(式(1))により、第1制御器6に供給されるトナー濃縮物に対する目標値Ksollに変換され、また第2変換関数h(TC,FL)(式(2))により、第2制御器10に供給されるキャリア液に対する目標値TFsollに変換される。同様に混合ユニット24におけるトナー濃度に対する実際値TCistおよび充填レベルに対する実際値FListは、この変換関数g(TC,FL)を介し、第1制御器6に供給されるトナー濃縮物に対する実際値Kistに変換され、また第2変換関数h(TC,FL)により、第2制御器10に供給されるキャリア液に対する実際値TFistに変換される。
【0026】
トナー濃縮物目標値Ksollを計算するため、第1計算ユニット5は制御器6に前置接続されており、この計算ユニットは、変換関数g(TC,FL)を用いて、トナー濃度に対する目標値TCsollおよび充填レベルに対する目標値FLsollから、トナー濃縮物に対する目標値Ksollを計算し、これを第1制御器6に加える。キャリア液目標値TFsollを計算するため、第2計算ユニット9が設けられており、この計算ユニットは、トナー濃度に対する目標値TCsollおよび充填レベルに対する目標値FLsollから、関数h(TC,FL)にしたがい、キャリア液に対する目標値TFsollを計算して、これを第2制御器10に供給する。
【0027】
混合ユニット24におけるトナー濃度の実際値TCistは、第1センサ13によって測定され、また混合ユニット24における充填レベルの実際値FListは、第2センサ14によって測定される。センサ13,14は、アナログ動作の公知のセンサとすることができ、これらのセンサによって上記の測定値が周期的に求められる。
【0028】
トナー濃度実際値TCistおよび充填レベル実際値FListから、第3計算ユニット8により、変換関数g(TC,FL)を介してトナー濃縮物に対する実際値Kistが計算され、つぎにこの値が第1制御器6の入力側に供給される。これに相応して充填レベル実際値FListおよびトナー濃度実際値TCistは、変換関数h(TC,FL)を介し、第4計算ユニット12により、キャリア液実際値TFistに変換され、つぎにこの値が第2制御器10に供給される。
【0029】
したがってトナー濃度TCおよび充填レベルFLは直接制御に使用されるのではなく、変換関数g(TC,FL)およびh(TC,FL)によって2つの補助量が計算され、これらが制御器6および10に供給されるのである。ここで補助量として、混合容器24におけるトナー濃縮物およびキャリア液の割合が使用される。上記の変換計算は、トナー濃度および充填レベルの目標値に対しても実際値に対して共に行われる。これらの補助量により、2つの制御器6,10が駆動制御され、これらの制御器は、互いに無関係にそのアクチュエータ7,11を操作する。2つの補助量は、上記の変換によってデカップリングされ、もはや妨害し合うことはない。すなわち、変換関数g(TC,FL)およびh(TC,FL)により、トナー濃度および充填レベルが互いに結合されて、第1制御器6により、混合ユニット24におけるトナー濃度が制御され、その際に混合ユニット24における充填レベルがその目標値を上回ることはない。また同様に第2制御器10により、混合ユニット24における充填レベルが制御されて、トナー濃度はその目標値を維持するのである。
【0030】
上記の変換関数g(TC,FL)およびh(TC,FL)はつぎ式から得られる。すなわち、
g(TC,FL)=FL*TC/TCC (1)
h(TC,FL)=FL−g(TC,FL)=FL*(1−TC/TCC) (2)
である。
【0031】
TCおよびTCCは図3によって定義することができる。図3には例として、一部分が現像液EFLによって満たされている混合ユニット24が示されている。現像液EFLは、トナー濃縮物の割合Kと、キャリア液の割合TF2とを有しており、ここでこのトナー濃縮物KにはトナーTと、例えばキャリア液TF1とが含まれている。混合ユニット24における充填レベルにはFLが付されている。
【0032】
これによれば、TCおよびTCCはつぎのようになる。
TC=T/(T+TF1+TF2) (3)
したがって式(3)によって混合ユニット24におけるトナー濃度が得られる。
【0033】
TCC=T/(T+TF1) (4)。
【0034】
式(4)によってトナー濃縮物Kにおけるトナー濃度が得られる。
【0035】
上記の変換関数(1)および(2)により、オペレータによってあらかじめ設定された混合ユニット24におけるトナー濃度の目標値TCsollおよび充填レベルの目標値FLsollが変換され、またセンサ13,14によって測定した混合ユニット24におけるトナー濃度の実際値TCistおよび充填レベルの実際値FListが変換される。
【0036】
したがってトナー濃度目標値TCsollおよび充填レベル目標値FLsollが供給される第1計算ユニット5において、変換関数g(TC,FL)を介してトナー濃度目標値Ksoll
soll=FLsoll*TCsoll/TCC
と求められるのである。
【0037】
第2計算ユニット9により、変換関数h(TC,FL)を介してキャリア液目標値TFsoll
TFsoll=FLsoll*(1−TCsoll/TCC)
と計算される。
【0038】
第3計算ユニット8により、変換関数g(TC,FL)を介してトナー濃縮物実際値Kist
ist=FList*TCist/TCC
と求められ、このトナー濃縮物Kistが、第1制御器6に供給される。
【0039】
トナー濃度実際値TCistおよび充填レベル実際値FListから、第4計算ユニット12により、変換関数h(TC,FL)にしたがってキャリア液実際値TFist
TFist=FList*(1−TCist/TCC)
と計算されて、これが第2制御器10に供給される。
【0040】
つぎに第1制御器6により、トナー濃縮物実際値Kistと、トナー濃縮物目標値Ksollとの間の差分Kdiffが計算され、この差分Kdiffに依存してアクチュエータ7が駆動制御されて、差分Kdiffが生じている限り、トナー濃縮物がリザーバ25から混合ユニット24に供給される。これに相応して第2制御器10により、キャリア液実際値TFistと、キャリア液目標値TFsollとの間の差分TFdiffが計算され、この差分TFdiffに依存してアクチュエータ11が駆動制御されて、差分TFdiffが生じている限り、キャリア液がリザーバ26から混合ユニット24に供給される。制御器6,10は、公知の構造のPI制御器として実現可能である。
【0041】
制御装置RAによる制御を行えば、(図2においてPRで示した)印刷動作によって生じたトナーおよびキャリア液の消費が考慮されるだけでなく、混合ユニット24における現像液への影響も考慮される。この影響は、潜像を現像ロール22に現像した後に残っている残余の現像液が、例えばクリーニングロール23(図1)によるクリーニングにより、混合ユニット24に供給されることによって発生するものである。
【0042】
2つの制御量、すなわちトナー濃度TCおよび充填レベルFLは、図2の制御装置RAにおいては同じに扱われる。すなわち、2つの制御量(TC,FL)における実際値と目標値との偏差が、制御装置RAに与える影響の大きさは同じである。偏差が小さい場合にはこの手法を受け入れることができる。比較的偏差が大きい場合に有利であり得るのは、トナー濃度TCの制御を、充填レベルFLの制御よりも優先させることである。このためにトナー濃度TCの制御の優先付けを行うことができる。
【0043】
制御装置RAにおいてこのために必要な拡張は、図4に記載されている。まずトナー濃度TCistとTCsollとを比較することにより、トナー濃度制御の結果を評価する。トナー濃度TCistとTCsollとの間の差分TCdiffから、制御良度Qを計算する。制御良度Qの値は、制御偏差が大きい場合に「0」になり、制御偏差が小さい場合に「1」になるようにする。表1によれば
【表1】

【0044】
制御良度Qは、導出した可変の充填レベル目標値_2 FLsoll2を計算するのに使用され、この値より、制御良度Qに応じて、混合ユニット24における充填レベルFLの制御の効果の度合いが変化することになる。例えばトナー濃度差分TCdiffが極めて小さい場合、制御良度はQ=1に近くなり、充填レベルの目標値FLsollは、充填レベル目標値_2 FLsoll2として、充填レベルFLの制御に使用される。これに対してトナー濃度差分TCdiffが大きい場合、上記の制御良度はQ=0に近くなり、充填レベル目標値_2 FLsoll2は、充填レベルの実際値FListを追従する。
【0045】
図4には付加装置ZAが示されており、この装置によって図2の制御装置RAを補足して、トナー濃度制御の所望の優先付けを行うことができる。付加装置ZAは、計算ユニット15および計算ユニット16を有する。計算ユニット15には、トナー濃度実際値TCistおよびトナー濃度目標値TCsollが供給される。TCistとTCsollとの間の差分TCdiffから計算ユニット15は、例えば表1に相応して制御良度Qを求め、これを計算ユニット16に供給する。計算ユニット16は、制御良度Qに依存して充填レベル目標値FLsollを、FL制御に対する充填レベル目標値_2すなわちFLsoll2に変換計算する。この充填レベル目標値_2は、つぎに目標値FLsoll2として計算器5,9に供給される。
【0046】
制御良度Qを求める例は、つぎの式(5)、すなわち、
Q=1.0/(1+((TCsoll−TCist)/B)2) (5)
から得られる。
【0047】
この制御良度関数(5)にしたがって計算したいくつかの曲線BFが図5に示されており、これらの曲線によって制御良度Qが得られる。これらの曲線は、0軸に対して対称に配置されている。したがって正および負のトナー濃度差分TCdiff=TCsoll−TCistは同じに扱われる。制御良度Qは、制御偏差TCdiffが正または負の方向に大きくなるのにしたがって値0に近づく。パラメタBを選択することにより、制御良度関数BFの帯域幅を調整することができる。制御良度Qは、トナー濃度偏差TCdiffの絶対値が帯域幅Bに等しい場合、値0.5を有する(半値幅)。帯域幅Bを極めて大きく選択する場合、計算した制御良度Qは、トナー濃度偏差TCdiffの広い範囲においてほぼ1である。これにより、TC制御の優先付けはわずかな作用しか及ぼさないことになる。すなわち、上記の制御の特性(TC制御優先またはTC制御とFL制御とが同等)は、パラメタBによって広い範囲において調整可能なのである。
【0048】
上記の制御良度関数(5)は、制御良度Qの計算の1例である。別の関数も可能であり、必要なのは、これらの関数が表1の値を模倣できることだけである。
【0049】
制御良度Qに基づき、充填レベル目標値_2 FLsoll2を計算することができ、
FLsoll2=Q*FLsoll+(1−Q)*FList (6)
となる。
【0050】
制御良度Qに応じて充填レベル目標値_2 FLsoll2が求められ、この値は充填レベル実際値FListと充填レベル目標値FLsollとの間にある。トナー濃度偏差TCdiffの値が小さい場合(すなわち、制御良度Qが1に近い場合)充填レベル目標値FLsollがFL制御に使用される。トナー濃度TCが制御されていない場合(制御良度Qが0に近い場合)、充填レベル目標値_2 FLsoll_2は、実際の充填レベル実際値FListの近くになる。これにより、つぎの表2が得られる。
【表2】

【0051】
充填レベル目標値_2 FLsoll2の追従の作用は、基本的に図6の線図に示されている。制御良度Qは、帯域幅B=0.2を有する制御良度関数(5)によって計算される(左側の線図、Q=0.5)。充填レベル目標値_2 FLsoll2がトラッキングする大きさを決める際、例えば、0.3の一定の充填レベル目標値(FLsoll)および0.1の実際の充填レベル実際(FList)を仮定する(右側の線図、この線図にはFLsoll=0.3に対し、種々異なるFList値についての曲線が示されている)。2つの値は図6にプロットされている。
【0052】
図6におけるFLsollとFListとの間の接続線には、充填レベル目標値_2 FLsoll2のトラッキングの範囲が含まれている。この例は、+0.2のTCDifferenzを出発点とする(上記の線図の左側)。したがって制御良度Qは0.5になり、トラッキングされる充填レベル目標値_2(FLsoll2)は、0.2になる(上記の線図の右側)。
【0053】
図7には、図6のパラメタによってシミュレーションした制御装置RAの時間経過が示されている。ここで
− 曲線K1は、混合ユニット24へのトナー濃縮物の供給を示しており、
− 曲線K2は、混合ユニット24へのキャリア液の供給を示しており、
− 曲線K3は、充填レベル実際値FListを示しており、
− 曲線K4は、充填レベル目標値_2 FLsoll2を示しており、
− 曲線K5は、トナー濃度実際値TCistを示しており、
− 曲線K6は、トナー濃度目標値TCsollを示している。
【0054】
トナーおよびキャリア液の消費は、印刷動作において例えば100秒の時間後にはじまる。ここからわかるのは、混合ユニット24においてトナー濃度TCの変化が、優先付けにより、充填レベルFLの変化よりも速く整定されることである。充填レベルの目標値FLsoll2は、トナー濃度TCまだ制御されていないフェーズ中にトラッキングされる。トナー濃度TCが制御されると直ちに、充填レベルの実際値FLは再び目標値FLsoll、例えば、混合ユニット24の含有量の20%であるあらかじめ設定した一定値に達する。
【0055】
混合ユニット24におけるトナー濃度TCを優先する代わりに、混合ユニット24における充填レベルFLをトナー濃度TCの制御よりも優先させることも可能である。このためには、図4に示した装置を相応に変更するだけでよい。ここではFLsollとFListとの間の差分に依存して制御良度を形成し、式(5)を使用してこの制御良度を求め、式(6)によってTC目標値_2を計算し、これを計算ユニット5,9に供給すればよい(図2)。図2の残りのコンポーネントに変更はない。
【0056】
したがって本発明による制御装置はつぎのような利点を有する。
− 上記の連続的な制御は、定常状態において、従来の2点制御よりも制御誤差が少ない。
− 本発明による多変数制御により、2つの量が同時に制御される。個別の制御の場合には必要になり得る特殊な状態を動作中に考慮する必要がない。
− デカップリングを基礎にする上記のモデルは、精確に計算される。このモデルは、値域全体において有効である。
− 上記の変換によって計算される制御量は互いに依存しない。各制御器は、つぎのような量そのものを制御する。すなわち、この量に対し、1つのアクチュエータが設けられているような量を制御するのである。
− 充填レベルよりもトナー濃度を優先させる手段によって可能になるのは、まずトナー濃度を制御し、その後、トナー濃度が確定した帯域内になった場合に直ちに充填レベルも制御することである。この優先度付けは、制御量を連続して計算する間に自動的に行われ、その際に制御器を停止させる必要はないかないしは制御器の構成を変更する必要はない。
− つぎのような帯域幅、すなわちこの帯域幅以外ではトナー濃度が優先的に制御される帯域幅は、1つのパラメタによって設定可能である。このパラメタを選択することにより、広い範囲において制御特性を所望の優先度に適合させることができる。
− 上記の2つの制御量を交換することにより、トナー濃度の制御よりも充填レベル制御を優先させることも可能である。
【0057】
ここまでは静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合リザーバにおける充填レベルおよびトナー濃度の制御に関連して本発明を説明した。しかしながら本発明は、この実施例に限定されない。本発明は、2つの成分を一緒にして1つの混合生成物に混合し、また動作時には連続してこの混合生成物を混合ユニットから取り出して消費するケースには一般に使用可能である。混合ユニットから混合生成物を連続的に取り出して複数のコンポーネントのうちの一部を再度この混合ユニットに供給することにより、混合ユニットにおけるこれらのコンポーネントの割合が変化する。しかしながら2つの成分は、制御によってあらかじめ設定した目標値に一定に維持すべきである。これは、上記の複数のコンポーネントを供給することによって行われる。ここでは、供給される割合が、互いに影響することがある。本発明による制御装置RAを使用するにより、上記の混合ユニットにおける複数のコンポーネントの目標値を互いに結び付けることなく制御することができる。
【符号の説明】
【0058】
DS 印刷装置、 RA 制御装置、 RE 制御ユニット、 TF キャリア液、 ZA 付加装置、 FL 充填レベル、 TC トナー濃度、 T トナー、 EFL 現像液、 B 帯域幅、 Q 制御良度、 BF 制御良度関数、 PR 印刷動作時における現像液の消費量、 K トナー濃縮物、 1 静電担体、 2 現像ステーション、 3 搬送ユニット、 4 印刷素材、 21 着色ロール、 22 現像ロール、 23 クリーニング装置、 24 混合ユニット、 25 トナー濃縮物用リザーバ、 26 キャリア液用リザーバ、 31 転写ロール、 32 対向加圧ロール、 5 計算ユニット、 6 制御器、 7 アクチュエータ、 8 計算ユニット、 9 計算ユニット、 10 制御器、 11 アクチュエータ、 12 計算ユニット、 13 TCセンサ、 14 FLセンサ、 15 計算ユニット、 16 計算ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的に、あらかじめ設定した目標値に制御する装置であって、
前記の混合ユニットは、少なくともトナーおよびキャリア液を有しており、
少なくともトナーおよびキャリア液を有するトナー濃縮物(K)用の第1リザーバ(25)が設けられており、
該リザーバは、第1アクチュエータ(7)を介して前記の混合ユニット(24)に接続されており、
キャリア液(TF)用の第2リザーバ(26)が設けられており、
該リザーバは、第2アクチュエータ(11)を介して前記の混合ユニット(24)に接続されており、
第1制御器(6)を有する第1制御ユニット(RE1)が設けられており、
当該の第1制御ユニットにより、第1アクチュエータ(7)が制御されて、前記の第1リザーバ(25)からトナー濃縮物が供給されることにより、あらかじめ設定したトナー濃度の目標値(TCsoll)が混合ユニット(24)にて調整され、
前記の第1制御器(6)により、トナー濃度(TC)および充填レベル(FL)のあらかじめ設定した目標値から求めた濃縮物目標値(Ksoll)に依存して、また混合ユニット(24)にて測定したトナー濃度(TC)および充填レベル(FL)の実際値から求めた濃縮物実際値(Kist)に依存して第1アクチュエータ(7)が制御され、
第2制御器(10)を有する第2制御ユニット(RE2)が設けられており、
当該の第2制御ユニットにより、第2アクチュエータ(11)が制御されて、前記の第2リザーバ(26)からキャリア液(TF)が供給されることにより、あらかじめ設定した充填レベルの目標値(FLsoll)が混合ユニット(24)にて調整され、
前記の第2制御器(6)により、トナー濃度(TC)および充填レベル(FL)のあらかじめ設定した目標値から求めたキャリア液目標値(TFsoll)に依存して、また混合ユニット(24)にて測定したトナー濃度(TC)および充填レベル(FL)の実際値から求めたキャリア液実際値(TFist)に依存して第2アクチュエータ(7)が制御される(FL制御)ことを特徴とする、
静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的に、あらかじめ設定した目標値に制御する装置。
【請求項2】
前記の第1制御ユニット(RE1)は、第1制御器(6)の他に第1計算ユニット(5)および第2計算ユニット(8)を有しており、
前記の第1制御器(6)は、第1入力側が第1計算ユニット(5)の出力側に接続されており、
当該の第1計算ユニットにはトナー濃度目標値(TCsoll)および充填レベル目標値(FLsoll)が加わっており、また当該の第1計算ユニットより、第1変換関数(g(TC,FL))にしたがって前記のトナー濃縮物目標値(Ksoll)が計算され、
前記の第1制御器(6)は、第2入力側が第2計算ユニット(8)の出力側に接続されており、
当該の第2計算ユニットには、トナー濃度実際値(TCist)および充填レベル実際値(FList)が加わっており、また当該の第2計算ユニットより、第1変換関数(g(TC,FL))にしたがって前記のトナー濃縮物実際値(Kist)が計算され、
前記の第1制御器(6)は、トナー濃縮物実際値(Kist)とトナー濃縮物目標値(Ksoll)との間の差分(Kdiff)から、第1リザーバ(25)から混合ユニット(24)にトナー濃縮物を供給する第1アクチュエータ(7)に対する調整信号を形成する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記の第2制御ユニット(RE2)は、第2制御器(10)の他に第3計算ユニット(9)と第4計算ユニット(12)とを有しており、
前記の第2制御器(10)は、第1入力側が第3計算ユニット(9)の出力側に接続されており、当該の第2制御器にはトナー濃度目標値(TCsoll)と、充填レベル目標値(FLsoll)とが加わっており、当該の第2制御器により、第2変換関数(h(TC,FL))にしたがってキャリア液体目標値(TFsoll)が計算され、
前記の第2制御器(10)は、第2入力側が第4計算ユニット(12)の出力側に接続されており、当該の第4計算ユニットにはトナー濃度実際値(TCist)と、充填レベル実際値(FList)が加わっており、第4計算ユニットにより、第2変換関数(h(TC,FL))にしたがってキャリア液体実際値(TFist)が計算され、
前記の第2制御器(10)は、キャリア液体実際値(TFist)とキャリア液体目標値(TFsoll)との間の差分(TFdiff)から、第2リザーバ(26)から混合ユニット(24)にキャリア液体を供給するための第2アクチュエータ(11)に対する調整信号を形成する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記の第1変換関数g(TC,FL)は、
g(TC,FL)=FL*TC/TCC,
であり、ただし前記の混合ユニット(24)に関連して、
TC=T/(T+TF1+TF2)およびTCC=T/(T+TF1)
が成り立ち、ここで
Tは、前記のトナー濃縮物におけるトナー割合、
TF1は、トナー濃縮物におけるキャリ液体の割合、
TF2は、トナー濃縮物以外におけるキャリア液体の割合
である、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記の第2変換関数h(TC,FL)は、
h(TC,FL)=FL*(1−TC/TCC)
であり、ただし、前記の混合ユニット(24)に関連して
TC=T/(T+TF1+TF2)およびTCC=T/(T+TF1)
が成り立ち、ここで
Tは、前記のトナー濃縮物におけるトナー割合、
TF1は、トナー濃縮物におけるキャリ液体の割合、
TF2は、トナー濃縮物以外におけるキャリア液体の割合
である、
請求項3に記載の装置。
【請求項6】
第5計算ユニット(15)と第6計算ユニット(16)とを有しかつトナー濃度制御(TC制御)の優先度付けを行う付加装置(ZA)が設けられており、
前記の第5計算ユニット(15)は、トナー濃度目標値(TCsoll)と、トナー濃度実際値(TCist)との間の差分(TCdiff)から制御良度(Q)に対する値を計算し、
当該の値は、
TC差分(TCdiff=TCsoll−TCist)が0の場合、1の制御良度(Q)を有しており、
TC差分(TCdiff)が∞の場合、0の制御良度(Q)を有しており、また
TC差分(TCdiff)が0と∞との間の場合、0と1との間の制御良度(Q)を有しており、
前記の第6計算ユニット(16)は、充填レベル目標値(FLsoll)を用い、制御良度(Q)に依存して出力側に充填レベル目標値_2(FLsoll2)を出力し、
当該の目標値は、
制御良度(Q)が0の場合に充填レベル実際値(FList)に相応し、
制御良度(Q)が1の場合に充填レベル目標値(FLsoll)に相応し、
制御良度(Q)の値が0と1との間の場合に、充填レベル実際値(FList)と充填レベル目標値(FLsoll)との間に値に相応し、
前記の第6計算ユニット(16)は出力側が、前記の第1計算ユニット(5)および第3計算ユニット(9)の充填レベル目標値(FLsoll)に対する各入力側に接続されている、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記の充填レベル制御(FL制御)を優先付ける付加装置(ZA)が設けられている、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第5計算ユニット(15)により、制御良度(Q)が関数
Q=1.0/(1+(TCsoll−TCist)/B)2
にしたがって計算され、
ただしBは、0<B<1との間の、自由に選択可能な値である、
請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記の第6計算ユニット(16)により、充填レベル目標値_2(FLsoll2)が関数
FLsoll2=4*FLsoll+(1−Q)*FList
にしたがって計算される、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的にあらかじめ設定した目標値に制御する方法であって、
前記の混合ユニットは、少なくともトナーおよびキャリア液を有しており、
第1制御ユニット(RE1)を用い、第1リザーバ(25)からトナー濃縮物を供給することにより、前記の混合ユニット(24)におけるトナー濃度のあらかじめ設定した目標値(TCsoll)を調整し、
前記のトナー濃度(TC)および充填レベル(FL)のあらかじめ設定した目標値から濃縮物目標値(Ksoll)を求め、
前記の混合ユニット(24)にて測定したトナー濃度(TC)および充填レベル(FL)の実際値から濃縮物実際値(Kist)を求め、
前記の第1制御ユニット(RE1)により、トナー濃縮物実際値(Kist)とトナー濃縮物(Ksoll)との間の差分(Kdiff)に依存して混合容器(24)へのトナー濃縮物の供給を制御(TC制御)し、
第2制御ユニット(RE2)を用い、第2リザーバ(26)からキャリア液体(TF)を供給することにより、前記の混合ユニット(24)における充填レベルのあらかじめ設定した目標値(FLsoll)を調整し、
前記のトナー濃度(TC)および充填レベル(FL)のあらかじめ設定した目標値からキャリア液目標値(TFsoll)を求め、
前記の混合ユニット(24)にて測定したトナー濃度(TC)および充填レベル(FL)の実際値からキャリア液実際値(TFist)を求め、
前記の第2制御ユニット(RE1)により、キャリア液実際値(TFist)とキャリア液目標値(TFsoll)との間の差分(TFdiff)に依存して、混合容器(24)へのキャリア液の供給を制御(FL制御)することを特徴とする、
静電記録式印刷装置の現像ステーションの混合ユニットにてトナー濃度および充填レベルを連続的にあらかじめ設定した目標値に制御する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−242777(P2011−242777A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110431(P2011−110431)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(397018925)オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (68)
【氏名又は名称原語表記】Oce Printing Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensallee 2, D−85586 Poing, Germany
【Fターム(参考)】