説明

静電霧化装置及びその製造方法

【課題】放電電極に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体のさらなる小型化や省エネルギー化を実現することができる静電霧化装置や、その製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る静電霧化装置は、複数の異なる型の熱電素子2と、静電霧化を生じさせる放電電極1とを備える。前記放電電極1は、前記複数の異なる型の熱電素子2が搭載される搭載部13を有する。前記搭載部13には、前記複数の異なる型の熱電素子2間の通電経路が設けられる。これにより、放電電極1に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体のさらなる小型化や省エネルギー化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置やその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置が開示されている。
【0003】
この従来の静電霧化装置は図48に示すようなもので、多数の熱電素子(熱電素子ハーフ)2を両側から回路板150で挟み込む形で熱交換ブロック160を構成している。回路板150は、絶縁基板151の片面に回路パターン152を形成したものであって、該回路パターン152によって各熱電素子2の端部同士を電気接続させている。そして、前記熱交換ブロック160の吸熱側の回路板150に熱伝導性の冷却板170を接続させ、この冷却板170上に放電電極1を接続させている。また、前記熱交換ブロック160の放熱側の回路板150に、放熱用構造体171を接続させている。
【0004】
前記従来の静電霧化装置においては、吸熱側において、熱電素子2が回路パターン152、絶縁基板151、冷却板170を経て、放電電極1を冷却させる。冷却によって放電電極1の表面には結露水が生成される。放電電極1には高圧リード180を接続させており、該高圧リード180を介して放電電極1表面の結露水に電圧を印加することで、静電霧化現象により帯電微粒子水を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−000826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記従来の静電霧化装置においては、熱電素子2と放電電極1の間には多数の界面(熱電素子2と回路パターン152の界面、回路パターン152と絶縁基板151の界面、絶縁基板151と冷却板170の界面、冷却板170と放電電極1の界面)が存在する。この多数の界面の存在が、放電電極1の冷却効率を低下させる要因となる。
【0007】
そのため、前記従来の静電霧化装置において、結露水生成のための冷却能力を確保するには、熱電素子2を多数配置する必要があり、装置全体の大型化を招くとともに、省エネルギー化にも限界があるという問題があった。
【0008】
本発明は上述の問題点を解決するために為されたものであって、放電電極に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体のさらなる小型化や省エネルギー化を実現することができる静電霧化装置や、その製造方法を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る静電霧化装置は、複数の異なる型の熱電素子と、静電霧化を生じさせる放電電極とを備える。前記放電電極は、前記複数の異なる型の熱電素子が搭載される搭載部を有する。前記搭載部には、前記複数の異なる型の熱電素子間の通電経路が設けられる。これにより、放電電極に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体のさらなる小型化や省エネルギー化を実現することができる。
【0010】
前記熱電素子には、電源部を接続させ、前記電源部により、前記複数の異なる熱電素子に対して前記放電電極を冷却させる方向の通電を行う。
【0011】
前記構成の静電霧化装置において、前記放電電極は一部または全部が導電体であり、この導電体が前記搭載部を形成することが好ましい。
【0012】
また、前記放電電極は、電気絶縁体の表面上に導電層を設けたものであり、前記導電層が前記搭載部を形成することも好ましい。
【0013】
また、前記放電電極は、導電体の表面上に電気絶縁層を設け、前記電気絶縁層上に導電層を設けたものであり、前記導電層が前記搭載部を形成することも好ましい。
【0014】
本発明に係る静電霧化装置では、前記放電電極と対向して位置する対向電極を備えることも好ましい。
【0015】
本発明に係る静電霧化装置では、前記熱電素子の前記放電電極に搭載される側と反対側の端部に接合される放熱部材を備え、前記放熱部材は、少なくとも一部に導電体を有し、前記導電体を介して前記熱電素子への通電を行うことも好ましい。
【0016】
前記放熱部材は、弾性体であり、前記放熱部材の一端部に前記熱電素子を接合させることも好ましい。
【0017】
前記放熱部材は、前記熱電素子を接合させるランド部と、前記ランドを前記放熱部材の他の部分と接続させる支持部とを有し、前記支持部は前記ランド部より幅狭に形成することも好ましい。
【0018】
前記放熱部材は、棒状部材であり、前記放熱部材の一端部に前記熱電素子を接合させることも好ましい。
【0019】
前記放熱部材は、前記熱電素子との接合箇所から離れるほど大径となる形状を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る静電霧化装置では、前記放熱部材を嵌合又は埋設により支持する支持部材を備えることも好ましい。
【0021】
前記支持部材は、前記放電電極を囲む筐体であることも好ましい。
【0022】
前記支持部材は、前記放熱部材と前記熱電素子を加熱により接合させるための入熱用開口部を有することも好ましい。
【0023】
本発明に係る静電霧化装置の製造方法は、少なくとも一部に導電体を有する複数の放熱部材をフレームに接続された状態で形成する工程と、前記複数の放熱部材を前記フレームから切り離す工程と、複数の異なる型の熱電素子を対応する前記放熱部材に接合させる工程と、前記異なる型の熱電素子を放電電極が有する搭載部に通電可能となるように搭載する工程とを備える。これらの工程で効率的に製造した静電霧化装置は、放電電極に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体のさらなる小型化や省エネルギー化を実現できるものとなる。
【0024】
本発明に係る静電霧化装置の製造方法では、前記フレームに接続された状態の前記複数の放熱部材に対して、支持部材を一体成形する工程を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、放電電極に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体のさらなる小型化や省エネルギー化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態2の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態3の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態4の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態5の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態6の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図7】(a)〜(e)は放電電極の変形例の説明図である。
【図8】(a)〜(f)は放熱部材の変形例の説明図である。
【図9】(a)、(b)は放熱部材の変形例の説明図である。
【図10】(a)〜(d)は封止部を設けた場合の変形例の説明図である。
【図11】(a)、(b)は筐体に肉厚部分を設けた変形例の説明図である。
【図12】(a)、(b)は筐体に通風窓を設けた変形例の説明図である。
【図13】筐体内に静電霧化ブロックを二つ配置した変形例の説明図である。
【図14】(a)は筐体内に静電霧化ブロックを二つ配置した変形例の説明図であり、(b)は(a)のX−X線断面図、(c)は(a)のY−Y線断面図である。
【図15】(a)〜(c)は熱電素子を四つ配した変形例の説明図である。
【図16】(a)〜(c)は熱電素子と放熱部材を四つ配した変形例の説明図である。
【図17】(a)、(b)は第二放熱部材を備えた変形例の説明図である。
【図18】放熱部材にフィンを設けた変形例の説明図である。
【図19】放熱部材を板ばね材にした変形例の説明図である。
【図20】放熱部材を板ばね材にした変形例の説明図である。
【図21】同上の変形例の放熱部材を屈曲させたときの説明図である。
【図22】放熱部材を板ばね材にした変形例の説明図である。
【図23】(a)〜(d)は給電部を設けた変形例の説明図である。
【図24】(a)〜(c)は給電部を設けた変形例の説明図である。
【図25】本発明の実施形態7の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図26】(a)〜(c)は熱電素子を二対設けた場合の配置例を示す説明図である。
【図27】(a)は図26(c)のP方向からみた吸熱側の配置パターンの説明図、(b)は図26(c)のQ方向からみた放熱側の配置パターンの説明図である。
【図28】(a)〜(c)は熱電素子を三対設けた場合の配置例の説明図である。
【図29】(a)は図28(c)のP方向からみた吸熱側の配置パターンの説明図、(b)は図28(c)のQ方向からみた放熱側の配置パターンの説明図である。
【図30】放熱部材を長尺に設けた変形例の説明図である。
【図31】熱電素子に放熱部材を接続させた変形例の説明図である。
【図32】(a)〜(c)は二対の熱電素子に放熱部材を接続させた変形例の説明図である。
【図33】(a)は図32(c)のP方向からみた吸熱側の配置パターンの説明図、(b)は図32(c)のQ方向からみた放熱側の配置パターンの説明図である。
【図34】(a)〜(c)は二対の熱電素子に放熱部材を接続させた変形例の説明図である。
【図35】(a)は図34(c)のP方向からみた吸熱側の配置パターンの説明図、(b)は図34(c)のQ方向からみた放熱側の配置パターンの説明図である。
【図36】(a)〜(c)は二対の熱電素子に放熱部材を接続させた変形例の説明図である。
【図37】(a)は図36(c)のP方向からみた吸熱側の配置パターンの説明図、(b)は図36(c)のQ方向からみた放熱側の配置パターンの説明図である。
【図38】(a)〜(c)は三対の熱電素子に放熱部材を接続させた変形例の説明図である。
【図39】(a)は図38(c)のP方向からみた吸熱側の配置パターンの説明図、(b)は図38(c)のQ方向からみた放熱側の配置パターンの説明図である。
【図40】(a)〜(c)は三対の熱電素子に放熱部材を接続させた変形例の説明図である。
【図41】(a)は図40(c)のP方向からみた吸熱側の配置パターンの説明図、(b)は図40(c)のQ方向からみた放熱側の配置パターンの説明図である。
【図42】本発明の実施形態8の静電霧化装置の基本構成を示す説明図である。
【図43】熱電素子に放熱部材を接続させた変形例の説明図である。
【図44】(a)〜(d)は本発明の静電霧化装置を製造する工程の説明図である。
【図45】(a)、(b)は同上の静電霧化装置の筐体に入熱用開口部を貫通形成した変形例の説明図である。
【図46】(a)、(b)は同上の静電霧化装置の放熱部材にランド部を設けた変形例の説明図である。
【図47】(a)〜(d)は本発明の静電霧化装置の変形例を製造する工程の説明図である。
【図48】従来の静電霧化装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の[実施形態1]〜[実施形態8]の静電霧化装置について、添付の図面に従って説明する。
【0028】
後述するように、[実施形態1]〜[実施形態6]は、放電電極1の一部または全部が導電体からなり、この放電電極1をなす導電体によって、複数の型が異なる熱電素子2を搭載する搭載部13を形成した例である(図1〜図6等参照)。
【0029】
また、[実施形態7]では、放電電極1を、電気絶縁体の表面に導電層55を設けたものとし、この導電層55で搭載部13を形成している(図25等参照)。
【0030】
また、[実施形態8]では、放電電極1を、導電体の表面上に電気絶縁層60を設け、この電気絶縁層60上に導電層55を設けたものとしている。そして、この導電層55で搭載部13を形成している(図42等参照)。
【0031】
いずれの実施形態においても、放電電極1が有する搭載部13に、熱電素子2間の通電経路が設けられる。
【0032】
以下、各実施形態や各種変形例について、順に詳述する。
【0033】
図1に示すように、本発明の[実施形態1]の静電霧化装置は、複数の異なる型の熱電素子(熱電素子ハーフ)2と、静電霧化を生じさせる放電電極1とを備えている。熱電素子2としては、BiTe系のペルチェ素子を用い、異なる型としてP型とN型のものを備えている。ここでは、一つのP型の熱電素子2と一つのN型の熱電素子2を配しているが、P型の熱電素子2とN型の熱電素子2の両方または一方を複数備えてあってもよい(図15に基づいて後述する変形例を参照)。
【0034】
放電電極1は、平板状の基台部1aの中央部分から放電部1bを突設した形状であり、真鍮、アルミニウム、銅、タングステン、チタン等の金属からなる。熱電素子2は、放電電極1の基台部1aの底面にその端部を半田接合させてある。熱電素子2のこの半田接合側の端部が吸熱側となり、熱電素子2の逆側の端部が放熱側となる。
【0035】
放電電極1の材質は金属に限定されず、電気伝導性の高い材質であれば、導電性の樹脂、カーボン等の他の材質を用いてもよい。また、熱電素子2との半田接合を良好に行うため、放電電極1の基台部1aの底面にニッケルめっきを施してあってもよいし、耐食性を向上させるために金や白金のめっきを施してあってもよい。
【0036】
P型とN型で対をなす各熱電素子2の放熱側の端部は、絶縁板3の片面側に形成してある端子4に、それぞれ接合させている。この絶縁板3のもう片面側には、フィン状の放熱用構造体5を接合させている。
【0037】
両端子4にはそれぞれリード9の一端側を接合させており、該リード9の他端側同士を、通電路6によって電気接続させている。通電路6には、回路全体に高電圧を印加するための電圧印加部7を接続させている。また、通電路6中には、両熱電素子2間にオフセット電圧を印加するためのオフセット電圧印加部として、直流電源である電源部8を介在させている。リード9は、放熱性の観点から、できるだけ太いものや表面積の大きなものを用いることが好ましい。
【0038】
本実施形態の静電霧化装置において、一対の熱電素子2の吸熱側の端部同士は放電電極1を介して電気接続される。つまり、導電体である放電電極1自体に、一対の熱電素子2の吸熱側の端部同士を電気接続させる通電経路が形成される。放電電極1としては、少なくとも搭載部13が導電体からなり、該導電体で通電経路を形成するものであればよい。一対の熱電素子2の放熱側の端部同士は、端子4、リード9、通電路6を介して電気接続される。
【0039】
帯電微粒子水を発生させるには、電圧印加部7によって回路全体にマイナスの高電圧を印加するとともに、電源部8によって、型の異なる複数(一対)の熱電素子2間に電流を流す。両熱電素子2間においては、N型からP型にむけて電流が流れ、放電電極1と接合される側の吸熱により該放電電極1を冷却して、該放電電極1に結露水を生成する。各熱電素子2の絶縁板3と接合される側の熱は、放熱用構造体5を介して放熱される。そして、電圧印加部7により放電電極1に印加した高電圧が、放電電極1表面の結露水に静電霧化現象を生じさせ、ナノメータサイズの粒径を含む帯電微粒子水を、大量に生成する。
【0040】
本実施形態の静電霧化装置においては、放電電極1を冷却するために備えた一対の熱電素子2の吸熱側同士を、該放電電極1を介して電気接続させてある。つまり、熱電素子2と放電電極1とは、図48に示す回路板150や冷却板170等の部材を介在させることなく、直接的に接合させた構造である。
【0041】
したがって、熱電素子2を一対のみ配置したコンパクト且つ省エネルギーな構造であっても、高い冷却効率で放電電極1を冷却し、結露水を生成することができる。また、放電電極1と熱電素子2との間には絶縁体が介在しないので、結露水等の水分が付着してもマイグレーションが生じることは抑えられる。
【0042】
図2に基づいて、[実施形態2]の静電霧化装置を説明する。なお、[実施形態1]と同様の構成については図中に同一符号を付して詳しい説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0043】
本実施形態の静電霧化装置においては、放熱用構造体5に筒状の筐体10を接合させて備えている。筐体10は、絶縁性材料を用いて形成したものであり、その内部空間に放電電極1を収容するとともに、該放電電極1と対向する位置に対向電極11を支持している。対向電極11は、中央に放出孔12を貫通形成したリング状のものであり、接地させて設けている。
【0044】
筐体10の絶縁性材料としては、PBT、PPS、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ABS等の樹脂が好適に用いられる。装置全体の放熱性を向上させたい場合には、筐体10の樹脂中に熱伝導性フィラーを混入させることも好ましい。なお、筐体10の材質として、SUS、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属を用いてもよい。この場合、筐体10と対向電極11との間には、絶縁材料(図示略)を介在させて備える。
【0045】
対向電極11の材質としては、SUS、銅、白金等の金属や、導電性の樹脂が好適に用いられる。また、導電性材料を用いて樹脂表面に電極をパターニングすることで、対向電極11を形成してもよいし、対向電極11の耐食性を向上させるために、金、白金等の耐食性が高い材料をコーティングさせてもよい。
【0046】
筐体10と対向電極11との接合は、ネジや接着剤を用いることが好適である。筐体10の材質が樹脂である場合には、筐体10と対向電極11との接合をヒートシールにより行ってもよい。
【0047】
前記構成からなる本実施形態の静電霧化装置においては、筐体10を介して、放電電極1に対する一定の位置関係で対向電極11を配置してあることで、外部環境に影響されることなく、放電電極1において静電霧化現象を安定的に生じさせることができる。また、放熱用構造体5側での放熱が筐体10を介しても行われるので、放電電極1の冷却効率も向上する。なお、放電電極1と対向する位置に対向電極11があることで、放電電極1の静電霧化現象を安定させるとともに、生成された帯電微粒子水を引き付けて外部に勢いよく放出させるようにも作用する。
【0048】
また、放電電極1での静電霧化現象を筐体10内で生じさせることができるので、外部環境が及ぼす影響を抑制したうえで、放電電極1にて帯電微粒子水を安定生成することが可能となる。
【0049】
図示の対向電極11は、平板の中央に放出孔12を開口させた形状であるが、静電霧化現象を安定的に発生させることのできる形状であれば、他の形状であってもよい。例えば、放電電極1を囲むドーム型に対向電極11を形成した場合には、放電電極1に対して電界をさらに集中させやすくなる。
【0050】
次に、図3に基づいて[実施形態3]の静電霧化装置を説明する。なお、[実施形態1]や[実施形態2]と同様の構成については図中に同一符号を付して詳しい説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0051】
本実施形態の静電霧化装置においては、筐体10が支持する対向電極11を[実施形態2]のように接地させるのではなく、該対向電極11側に電圧印加部7を接続させ、プラスの高電圧を印加するように設けている。そして、一対の熱電素子2に通電を行う回路側を接地させて設け、この回路中に設けた電源部8によって、N型の熱電素子2からP型の熱電素子2にむけて(つまり、放電電極1を冷却する通電方向で)電流を流すようにしている。
【0052】
一対の熱電素子2間に電流が流れることで放電電極1は冷却されて表面に結露水を生成し、この結露水に対して、対向電極11との間で高電圧が印加される。これにより、放電電極1表面の結露水に静電霧化現象が生じ、ナノメータサイズの粒径の含む帯電微粒子水が大量に生成される。つまり、高電圧を印加する対向電極11と放電電極1との間で強力な電界を形成し、この電界によって放電電極1上の結露水に静電霧化用の高電圧を印加させるのである。
【0053】
次に、図4に基づいて[実施形態4]の静電霧化装置を説明する。なお、[実施形態1]と同様の構成については図中に同一符号を付して詳しい説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0054】
本実施形態の静電霧化装置においては、一対の熱電素子2のそれぞれの放熱側の端部に、導電性および熱伝導性の材料(真鍮、アルミニウム、銅等)からなる放熱部材14を、機械的に且つ電気的に接続させている。放熱部材14は、熱電素子2の通電方向(図中の上下方向)を長手方向とした長尺の部材であって、各熱電素子2に対して一対一で接続させている。
【0055】
各放熱部材14は導電体からなり、各熱電素子2の放熱を行うとともに、各熱電素子2への通電も行う。なお、放熱部材14は全てが導電体でなくてもよく、少なくとも一部に導電体を有し、該導電体を介して熱電素子2への通電を行うものであればよい。
【0056】
また、図示例では放熱部材14は棒状部材となっているが、板状、スパイラル状、蛇腹(コルゲート)状等の、他の形状であってもよい。また、放熱部材14を棒状部材とする場合において、その断面形状は多様なものが適用可能であり、丸棒状、角棒状等の形態が好適に用いられる。放熱部材14を棒状に設けることで、放熱部材14、熱電素子2、放電電極1と一連に続く導電体全体が棒状となるので、先端の放電電極1の電界集中が安定しやすくなる。その結果として、帯電微粒子水を安定生成しやすくなる。
【0057】
さらに、棒状の放熱部材14は、熱電素子2との接合箇所から離れるほど、一定の大きさの径になるまでは大径となるように形成してある。図示例では、熱電素子2に接合される側の小径部14aと、リード9に接合される側の大径部14bとの間に、小径部14aから大径部14bにむけて徐々に径を広げるテーパ部14cを設けることで、放熱部材14を形成している。
【0058】
これにより、放熱部材14、熱電素子2、放電電極1と一連に続く導電体全体の外形が、放電電極1の位置する先端側を細くした形となる。そのため、先端の放電電極1における電界集中がさらに安定する。加えて、放熱部材14の大径側において放熱面積を増大させ、放熱効率を向上させることにもなる。
【0059】
隣接する一対の放熱部材14間には、両者の絶縁性を確保する支持部材15を配している。支持部材15は、放熱部材14を挿通させるための貫通孔16を一対有するものであり、絶縁性材料からなる。両貫通孔16は、所定距離を隔てたうえで並行に形成してある。
【0060】
放熱部材14は、その大径部14bを貫通孔16内に嵌合させた状態で、支持部材15に固定される。ここでの固定は、放熱部材14の貫通孔16内への圧入固定でもよいし、放熱部材14を接着剤により貫通孔16内に固定するものでもよい。固定用の接着剤として熱伝導性フィラーを混入させたものを用いた場合には、放熱部材14の放熱性を向上させることができる。つまり、前記接着剤のような熱伝導性の固着体を介して放熱部材14を支持部材15に固定することで、放熱部材14の放熱性、ひいては熱電素子2による放電電極1の冷却性を向上させることができる。
【0061】
また、支持部材15に対して放熱部材14の一部を埋設する構造としてもよい。この場合の埋設は、例えば支持部材15成形時に放熱部材14の一部を埋め込んで一体成形することや、支持部材15を複数のブロックに分割したうえで各ブロック間に放熱部材14を挟み込み、これら複数のブロックを溶接等で連結させることで行う。
【0062】
放熱部材14を支持部材15に対して嵌合又は埋設により支持させることで、支持部材15に対する放熱部材14の正確な位置決めが、より簡単且つ確実にできるようになる。また、放熱部材14を強固に固定できるので、熱電素子2近傍に応力が集中することを抑制できる。これにより、熱電素子2の損壊を防止することができる。
【0063】
支持部材15の絶縁性材料としては、PBT、PPS、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ABS等の樹脂が好適に用いられる。放熱部材14の放熱性をさらに向上させたい場合には、支持部材15の樹脂中に熱伝導性フィラーを混入させることも好ましい。なお、支持部材15の材質として、SUS、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属を用いてもよい。この場合、支持部材15と放熱部材14との間には、絶縁材料を介在させて備える。
【0064】
支持部材15から突出した放熱部材14の端部には、リード9の一端側を接合させており、該リード9の他端側同士を、通電路6によって電気接続させている。この通電路6に電圧印加部7や電源部8を接続させて回路を形成している点は、[実施形態1]と同様である。
【0065】
前記構成からなる本実施形態の静電霧化装置において、一対の熱電素子2の吸熱側同士は放電電極1を介して電気接続される。また、一対の熱電素子2の放熱側同士は、一対の放熱部材14、リード9、通電路6を介して電気接続される。
【0066】
帯電微粒子水を発生させるには、電圧印加部7によって回路全体にマイナスの高電圧を印加するとともに、電源部8によって両熱電素子2間に電流を流す。両熱電素子2の吸熱によって放電電極1は冷却されて結露水を生成する。両熱電素子2の放熱側からは、棒状の放熱部材14を通じて効率的に放熱される。そして、電圧印加部7により印加した高電圧が、放電電極1表面の結露水に静電霧化現象を生じさせ、ナノメータサイズの粒径を含む帯電微粒子水を大量に生成する。
【0067】
本実施形態の静電霧化装置においては、放電電極1を冷却するために備えた一対の熱電素子2の吸熱側同士を、該放電電極1を介して電気接続させてある。加えて、各熱電素子2の放熱側に、導電性材料からなる棒状の放熱部材14を接続させ、該放熱部材14を介して熱電素子2への通電を行うように設けている。したがって、放電電極1と一対の熱電素子2と一対の放熱部材14とを電気的且つ機械的に接合させたコンパクト且つ省エネルギーな構造によって、高い冷却効率で放電電極1を冷却し、結露水を生成することができる。
【0068】
また、本実施形態の静電霧化装置においては、棒状の放熱部材14、熱電素子2、放電電極1と一連に続く導電体が全体に細長い棒状に形成され、その先端部分に放電電極1が位置することとなる。したがって、先端の放電電極1での電界集中が安定しやすくなっている。
【0069】
次に、図5に基づいて[実施形態5]の静電霧化装置を説明する。なお、[実施形態1]や[実施形態4]と同様の構成については図中に同一符号を付して詳しい説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0070】
本実施形態の静電霧化装置においては、一対の放熱部材14に筒状の筐体10を接合させて備えている。有底筒状の筐体10は、その底壁部10aに、放熱部材14を挿通させるための貫通孔17を一対形成したものであり、絶縁性材料からなる。両貫通孔17は、隣接する放熱部材14同士の絶縁性を確保するため、所定距離を隔てて並行に形成してある。つまり、本実施形態では、前記筐体10によって支持部材15を構成している。
【0071】
放熱部材14は、その大径部14bを貫通孔17に嵌合させた状態で、筐体10に固定される。前記固定は、放熱部材14の貫通孔17内への圧入固定であってもよいし、放熱部材14を接着剤により貫通孔17内に固定するものであってもよい。固定用の接着剤として熱伝導性フィラーを混入させたものを用いた場合には、放熱部材14の放熱性を向上させることができる。つまり、前記接着剤のような熱伝導性の固着体を介して放熱部材14を筐体10に固定することで、放熱部材14の放熱性、ひいては熱電素子2による放電電極1の冷却性を向上させることができる。
【0072】
筐体10は、絶縁性材料を用いて形成したものであり、その内部空間に放電電極1を収容するとともに、該放電電極1と対向する位置に対向電極11を支持している。対向電極11は、中央に放出孔12を貫通形成したリング状のものであり、接地させて設けている。
【0073】
筐体10の材質としては、[実施形態2]で示したものと同様のものを用いればよい。また、対向電極11の材質や形状、筐体10と対向電極11との接合手段についても、[実施形態2]と同様のものが好適に用いられる。
【0074】
前記構成からなる本実施形態の静電霧化装置においては、支持部材15である筐体10を介して、放電電極1に対する一定の位置関係で対向電極11が配置される。そのため、放電電極1において、外部環境に影響されることなく安定的に静電霧化現象を発生させることができる。また、棒状の放熱部材14を通じての放熱が筐体10を介しても行われるので、放電電極1の冷却効率も向上する。
【0075】
次に、図6に基づいて[実施形態6]の静電霧化装置を説明する。なお、[実施形態1]や[実施形態4]、[実施形態5]と同様の構成については図中に同一符号を付して詳しい説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0076】
本実施形態の静電霧化装置においては、筐体10が支持する対向電極11を[実施形態5]のように接地させるのではなく、該対向電極11側に電圧印加部7を接続させて設け、プラスの高電圧を印加するようになっている。また、一対の熱電素子2に通電を行う回路側を接地させて設け、この回路中に設けた電源部8によって、N型の熱電素子2からP型の熱電素子2にむけて電流を流すようになっている。
【0077】
一対の熱電素子2間に電流が流れることで放電電極1は冷却されて表面に結露水を生成し、この結露水に対して、対向電極11との間で高電圧が印加される。これにより、放電電極1表面の結露水に静電霧化現象が生じ、ナノメータサイズの粒径を含む帯電微粒子水を大量に生成させることは、[実施形態3]の場合と同様である。
【0078】
以上、[実施形態1]〜[実施形態6]の静電霧化装置の基本構成について述べた。
【0079】
以下においては、[実施形態1]〜[実施形態6]で備える各部材の変形例について、添付図面に基づいて順に詳述する。
【0080】
図7(a)〜(e)には、放電電極1の各種変形例を示している。[実施形態1]〜[実施形態6]の静電霧化装置においては、放電部1bの先端を球状に膨らませているが、図7(a)のように膨らむことのない球状に放電部1bの先端を設けてあってもよい。また、図7(b)のように、放電部1bの先端を先鋭形状に設けてあってもよい。平板状の基台部1aの角部分は、電界集中を避けるために凸曲面状に形成してあることが好ましい。
【0081】
また、[実施形態1]〜[実施形態6]の静電霧化装置においては、基台部1aと放電部1bを一体に成形していたが、図7(c)〜(e)のように基台部1aと放電部1bを別体で構成してもよい。基台部1aと放電部1bとで材質を相違させる場合には、例えば基台部1a側により導電性の高い材質を用い、放電部1b側にはより熱伝導性の高い材質を用いる。基台部1aの材質としては、金属等の導電体や、導電体を被覆した絶縁体を用いることができる。基台部1aに熱電素子2を半田接合させる場合には、半田接合可能なニッケル、銅、金等の導電体で基台部1aを形成するか、或いは、他の材質の表面にこれら導電体を被覆して基台部1aを形成することが好ましい。放電部1bの材質としては、金属やカーボン等の導電性材料を用いてもよいし、セラミック等の絶縁材料を用いてもよい。いずれの場合においても、放電電極1の全部又は一部をなす導電体によって、熱電素子2の通電経路を形成するように設ける。
【0082】
図7(c)は、基台部1aと放電部1bを接着剤又は半田で接合させたものである。前記接着剤としてはエポキシ、ウレタン、アクリル系等のものが用いられるが、熱伝導性フィラーを混入させて熱伝導性を向上させたものであることや、導電性フィラーを混入させて導電性を向上させたものであることも好ましい。
【0083】
図7(d)は、基台部1aと放電部1bを溶接で接合させたものである。溶接を行う場合には、基台部1aと放電部1bを共に溶接可能な金属とする。品質的に安定した接合を行うには、基台部1aと放電部1bを同一材料で形成することが好ましい。図7(e)は、基台部1aの中央部に凹所18を設けておき、放電部1bの基端面に設けた凸体19を該凹所18に圧入させることで、基台部1aと放電部1bを接合させたものである。
【0084】
図8(a)〜(f)と図9(a)、(b)には、棒状をなす放熱部材14の各種変形例を示している。[実施形態4]〜[実施形態6]の静電霧化装置においては、放熱部材14の断面形状を特に限定していないが、放熱部材14の長手方向と直交する面での断面形状については、図8(a)、(b)や図8(e)、(f)に示す例のような円形状であってもよいし、矩形状等の他の形状であってもよい。図8(c)、(d)に示す例では、一対の放熱部材14の断面形状を共に半円形状とし、一対の放熱部材14を並設したときに全体として、円柱を長手方向に沿って半割りにした形状となるように設けている。
【0085】
また、図8(a)〜(d)に示す例では放熱部材14の小径部14aと大径部14bとの間をテーパ状に連続させているが、階段状に連続させてもよいし、図8(e)、(f)に示す例のように径を一定に設けてもよい。
【0086】
また、放熱部材14を複数部材の組み合わせにより構成してもよい。図9(a)に示す変形例では、熱伝導性の絶縁部材20と導電体21とを組み合わせて棒状の放熱部材14を形成している。絶縁部材20としては、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックからなる部材が用いられる。図9(b)に示す変形例では、導電体からなる放熱部材14内に、強度保持のための剛性部材22を埋設している。剛性部材22としては、カーボンやセラミックからなる部材が用いられる。
【0087】
図10(a)〜(d)には、[実施形態4]〜[実施形態6]の静電霧化装置において、熱電素子2の周囲に防水用の封止部25を設けた場合の変形例を示している。前記封止部25は、少なくとも、各熱電素子2が放電電極1に対して接合する接合箇所と、各熱電素子2が放熱部材14に接合する接合箇所とを封止するものであればよい。
【0088】
図10(a)、(b)に示す例では、封止部25として、エポキシ、ウレタン、アクリル系等の接着剤26を用いている。接着剤26としては、1液熱硬化タイプ、2液性タイプ、UV硬化タイプ、嫌気性タイプ等の適宜のものが利用可能である。また、熱電素子2やその接合箇所に過度の応力が働かないように、ガラス転移温度が低い接着剤26を利用することが好ましい。
【0089】
図10(a)の例では、耐水性および絶縁性を有する接着剤26によって一対の熱電素子2の周囲を全て埋めてある。つまり、接着剤26によって、各熱電素子2の放電電極1との接合箇所と、各熱電素子2の外周面と、両熱電素子2間の隙間と、各熱電素子2の放熱部材14との接合箇所とを、全て一体に封止してある。前記接着剤26によって、接合部分の腐食を抑制して長寿命化を図るとともに、比較的強度の弱い熱電素子2を保護することができる。
【0090】
図10(b)の例では、耐水性および絶縁性を有する接着剤26によって、各熱電素子2の放電電極1との接合箇所と、各熱電素子2の放熱部材14との接合箇所だけを、別々に封止してある。つまり、各熱電素子2の放電電極1との接合箇所を封止する封止部25と、各熱電素子2の放熱部材14との接合箇所を封止する封止部25とを、分離して別々に形成している。この場合には、封止部25を介しての熱移動を抑制し、冷却能力をさらに確保することができる。
【0091】
図10(c)に示す例では、封止部25として、放電電極1の基台部1aから熱電素子2を介して放熱部材14の先端部に至るまでの範囲を、耐水性および絶縁性を有する樹脂製の枠体27により囲んで封止してある。枠体27の樹脂としては、PBT、PPS、ポリカーボネート、液晶ポリマー等が利用可能であり、耐加水分解性のものであることが好ましい。
【0092】
図10(d)に示す例では、封止部25として、耐水性および絶縁性を有するコーティング層28を設けている。前記コーティング層28は、放電電極1の基台部1a側から熱電素子2を挟んで放熱部材14の先端部に至るまでの範囲を、全て被覆するように形成したものである。前記コーティング層28によって、接合部分の腐食を抑制して長寿命化を図るとともに、比較的強度の弱い熱電素子2を保護することができる。
【0093】
コーティング層28は、10〜100μm程度の厚みとなるように薄く形成できる。そのため、熱移動を極力抑制して冷却能力を確保することができる。コーティング層28の材質としては、フッ素、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリオレフィン、アクリル、ウレタン、ポリビニル系のものが利用可能である。
【0094】
図11(a)、(b)には、[実施形態5]、[実施形態6]の静電霧化装置の筐体10において、放熱部材14を嵌合させるための貫通孔17を、周囲よりも厚みを大きくした肉厚部分30に設けた変形例を示している。図11(a)に示す例では、有底筒状をなす筐体10の底壁部10aに、段差構造を介して肉厚部分30を形成している。図11(b)に示す例では、有底筒状をなす筐体10の底壁部10aに、厚みを漸次増大させるテーパ構造を介して肉厚部分30を形成している。
【0095】
両貫通孔17を、筐体10において他よりも厚みを大きくした肉厚部分30に設けることで、放熱部材14の姿勢の安定性を向上させることができる。また、接触面積の増加によって放熱部材14から筐体10への熱伝達を向上させ、ひいては放電電極1の冷却効率を向上させることができる。
【0096】
図12(a)、(b)には、[実施形態5]や[実施形態6]の静電霧化装置の筐体10に、外気導入用の通風窓31を形成した変形例を示している。通風窓31は、有底筒状をなす筐体10の周壁部10bに複数開口させたものであり、通風窓31を通じて筐体10内に外気が流入するようになっている。
【0097】
図12(a)に示す例では、筐体10の通風窓31を、放熱部材14をその径方向外側から囲む部分に形成している。高電圧印加によって放電電極1で帯電微粒子水を生成し、外部にむけて放出させる際には、放電電極1から離れる方向(対向電極11に向かう方向)へと筐体10内でイオン風が発生する。このイオン風により生じる空気の流れによって、通風窓31を通じて筐体10内に外気が導入され、放熱部材14の表面近傍を通過して該放熱部材14の放熱効率を向上させる(図中矢印参照)。
【0098】
図12(b)に示す例では、筐体10内に、該筐体10の内部空間を二分割する仕切り壁32を設けている。仕切り壁32は、筐体10の周壁部10bから内側に延設されるものであり、該仕切り壁32を介して、筐体10の内部空間は静電霧化空間33と放熱空間34とに仕切られる。これにより、放熱空間34で暖められた空気が静電霧化空間33側に流入することが抑制される。
【0099】
静電霧化空間33は、放電電極1とこれを冷却するための一対の熱電素子2が収容される側の空間である。放熱空間34は、一対の放熱部材14が収容される側の空間である。外気導入用の通風窓31は、静電霧化空間33側に開口する通風窓31aと、放熱空間34側に開口する通風窓31bとで、別々に備えている。
【0100】
したがって、高電圧印加によって放電電極1で帯電微粒子水を生成し、外部にむけて放出させる際には、放電電極1から離れる方向に向けて静電霧化空間33内でイオン風が発生し、このイオン風により生じる空気の流れによって、通風窓31aを通じて静電霧化空間33内に外気が導入される。つまり、通風窓31aを通じて外気を導入しながらイオン風を勢いよく発生させ、該イオン風に乗せて帯電微粒子水を外部に放出することができる。
【0101】
また、放熱空間34内においては、自然風や強制風によって通風窓31bを通じて外気が導入され、放熱部材14の表面近傍を通過して該放熱部材14の放熱効率を向上させる。図12(b)の例では、筐体10外にファン等の送風装置35を配置し、送風装置35からの強制風によって外気を放熱空間34内に送り込んでいる。送り込まれた外気は、反対側の通風窓31bを通じて外部に吐出される。
【0102】
図13、図14(a)〜(c)には、[実施形態5]や[実施形態6]の静電霧化装置において、単一の筐体10内に、放電電極1を複数配置した変形例を示している。各放電電極1は、これを冷却するための一対の熱電素子2と、各熱電素子2に連結される一対の放熱部材14とを組み合わせて一つの静電霧化ブロック36を構成している。つまり、図13、図14に示す変形例は、筐体10内に複数の静電霧化ブロック36を配置した変形例である。なお、図14(b)は図14(a)のX−X線断面図、図14(c)は図14(a)のY−Y線断面図である。
【0103】
図13に示す例では、筐体10内に、2つの静電霧化ブロック36を並設してある。筐体10の底壁部10aには貫通孔17を二対形成しており、各対の貫通孔17に、各静電霧化ブロック36の一対の放熱部材14をそれぞれ1対1で嵌合させ、固定している。図13の例では、隣接する静電霧化ブロック36の放熱部材14同士を直列接続させているが、並列接続させてもよい。また、複数の放電電極1用の対向電極11として単一のものを配置しているが、放電電極1ごとに別の対向電極11を配置してあってもよい。図13の例によれば、帯電微粒子水の発生量をさらに増大させることができる。
【0104】
図14(a)〜(c)に示す例では、隣接する一対の放電電極1を、一つの放電電極1を半割りにしたような形状に設けたうえで、互いに近接配置している。図14(a)〜(c)に示す例の他の構成については、図13に示す例と同様である。この変形例によれば、対をなす放電電極1が一つの放電電極1のように働き、短時間で結露水を生成して静電霧化を開始することができる。
【0105】
図15(a)〜(c)、図16(a)〜(c)は、型が異なる熱電素子2を三以上(ここでは四つ)配置した変形例である。つまり、P型の熱電素子2を二つ配し、N型の熱電素子2を二つ配している。
【0106】
図15(a)〜(c)に示す例は、[実施形態1]〜[実施形態3]の静電霧化装置において、P型とN型の熱電素子2を二つずつ配した例である。二つのP型の熱電素子2の放熱側は、負極側の端子4に接合させる。また、二つのN型の熱電素子2の放熱側は、正極側の端子4に接合させる。両端子4にはそれぞれリード9の一端側を接合させ、該リード9の他端側同士を電気接続させて回路を形成する。
【0107】
この例では、N型からP型に電流を流すことによって、N型である二つの熱電素子2の放電電極1に接合される側と、P型である二つの熱電素子2の放電電極1に接合される側とが、共に吸熱によって放電電極1を冷却する。そのため、熱電素子2を一対だけ配する場合に比べて、冷却効率が向上したものとなる。
【0108】
図16(a)〜(c)に示す例は、[実施形態4]〜[実施形態6]の静電霧化装置において、P型とN型の熱電素子2を二つずつ配した例である。P型およびN型の各熱電素子2の放熱側は、棒状の放熱部材14に接続させている。
【0109】
P型とN型の熱電素子2に接続される各放熱部材14の端部には、ともにリード9の一端側を接合させ、該リード9の他端側同士を電気接続させて回路を形成する。リード9を介してN型からP型に電流を流すことによって、図15(a)〜(c)の例と同様に、N型の二つの熱電素子2とP型の二つの熱電素子2が共に放電電極1を冷却する。
【0110】
図17(a)、(b)に示す例は、[実施形態5]や[実施形態6]の静電霧化装置において、各放熱部材14の熱電素子2に接合される側とは逆側の端部から、第二放熱部材40を延設した例である。第二放熱部材40の材質としては、放熱部材14と同様の材質を用いることが好適である。放熱部材14と第二放熱部材40とは、一体に成形してもよいし、溶接、半田付け、導電性接着材等を用いて接合させてもよい。
【0111】
それぞれの第二放熱部材40には、リード9の一端側を接合させる。リード9は、放熱性の観点から、できるだけ太いものを用いることが好ましい。
【0112】
第二放熱部材40は、放熱部材14の貫通孔17を通じて筐体10外に突出した部分から、側方にむけて延設してある。図17(b)に示すように、一対の第二放熱部材40はそれぞれ半円板状を成しており、全体として円板状の外形となるように近接配置している。
【0113】
図示例では、第二放熱部材40を筐体10の底壁部10aに当接させているが、筐体10から離間させてあってもよい。また、第二放熱部材40の筐体10に当接する側とは逆側の面に多数のフィン41を設けているが、フィン41を備えない形状であってもよい。
【0114】
この例の静電霧化装置において、一対の熱電素子2の放熱側同士は、放熱部材14、第二放熱部材40、リード9を介して電気接続される。そして、各熱電素子2の放熱は、放熱部材14と第二放熱部材40、さらには筐体10やリード9を介して、効率的に行われる。
【0115】
放熱についてさらに述べると、図中の黒塗り矢印に示すように、放熱部材14の表面からは、筐体10内において効率的に放熱が行われる。第二放熱部材40の表面からは、筐体10外において効率的に放熱が行われる。第二放熱部材40のフィン41にむけて冷却風を送り込むように送風手段42を設ければ、さらに放熱性は向上する。
【0116】
また、放熱部材14と第二放熱部材40は共に筐体10に当接しているので、該筐体10を通じても効果的に放熱が行われる。
【0117】
図18に示す例は、[実施形態5]や[実施形態6]の静電霧化装置において、各放熱部材14の筐体10内に位置する部分から、放熱用のフィン43を突設した例である。フィン43は、放熱部材14の軸方向と直交する方向に向けて突設されており、該放熱部材14の軸方向に等間隔を隔てて複数並設してある。フィン43の形状は棒状であってもよいし、半円板状であってもよい。
【0118】
この例の静電霧化装置においては、筐体10内において、放熱部材14の表面からさらに効率的な放熱が行われる。
【0119】
図19に示す例は、[実施形態4]〜[実施形態6]の放熱部材14として、弾性体である板ばね材44を用いた例である。板ばね材44としては、ばね用ベリリウム銅、ばね用りん青銅などの銅合金、SUS301やSUS304などのばね性を有するステンレス等が好適に用いられる。また、板ばね材44の肉厚としては、0.3〜1mm程度の厚みで構成することが好ましい。
【0120】
この放熱部材14をなす板ばね材44は、熱電素子2が取り付けられる横片部45と、横片部45の熱電素子2が取り付けられた側とは反対側の端部から該横片部45と同方向に延設される電気入力部46と、で構成される。この横片部45と電気入力部46とは一直線状に設けられ、曲げ加工等の塑性加工の施されない平坦な一枚の板となっている。
【0121】
電気入力部46は、正の入力側と負の入力側とで、形状を相違させている。具体的には、正の入力側と負入力側とで電気入力部46の幅寸法を異ならせている。さらに、これら電気入力部46は、横片部45よりも幅広に形成している。各電気入力部46に対しては、電気接続用の被接続部(図示略)を着脱自在に接続する。被接続部としては、例えば、電気入力部46に差し込んで着脱可能なファストン端子などを好適に用いる。
【0122】
板状をなす一対の放熱部材14は、横片部45同士が互いに向き合い、且つ、該放熱部材14の幅方向にずれるように配設される。このとき電気入力部46は、筐体10からなる支持部材15を挟んで互いに反対側に位置し、筐体10から異なる方向に突出するように構成される。図19に示すように、横片部45の一部は筐体10に埋設される。横片部45の先端の表面に、熱電素子2が電気的且つ機械的に接合される。これにより、放熱部材14は、熱電素子2の通電方向がその厚み方向となるように取り付けられる。
【0123】
支持部材15としての筐体10は、その中央に表裏面に貫設する収容部47を形成したものであり、平面視ドーナツ状となっている。なお、収容部47は必ずしも貫通してなくともよく、例えば表面側から凹設した凹み部であってもよい。
【0124】
このような筐体10に放熱部材14が略水平状態で埋設されて支持され、筐体10中央側の一端が収容部47内に臨んでいる。一対の放熱部材14に熱電素子2を介して取り付けられた放電電極1は、筐体10の収容部47に収容される。なお、放電電極1と熱電素子2の全てが収容部47の厚み内に収まる構成でもよいし、その一部だけが収容部47の厚み内に位置する構成でもよい。
【0125】
この例の静電霧化装置によれば、放電電極1と熱電素子2の全てまたは一部が、筐体10の収容部47の厚み内に収まるため、静電霧化装置全体の低背化(図19中上下方向の寸法の短縮)を実現することができる。また、放熱部材14を成形するに当たり、曲げ加工を伴わずに成形することができる。そのため、製作誤差を減らすことができて寸法安定性が向上し、さらに製造時間の短縮や工程の簡略化を図ることができる。
【0126】
また、放熱部材14の電気入力部46側の先端は反対方向に向いており、電気入力部46が支持部材15を挟んで略反対側に位置しているため、電気入力部46やこれに接続するリードが、正入力側と負入力側で接触することを抑制できる。また、この例の電気入力部46は、正入力側と負入力側とで電気入力部46の形状を相違させているので、電気入力部46への被接続部の誤接続も抑制することができる。
【0127】
図20に示す例は、図19に示す例の板ばね材44を、さらにクランク状に屈曲させた例である。放熱部材14をなす板ばね材44は、熱電素子2が取り付けられる横片部45と、この横片部45の一方の端部から該横片部45に対して略直角方向に連設された縦片部48と、縦片部48の横片部45が連設された側とは反対側の端部から該横片部45とは反対方向に連設された入力側横片部49と、を備えている。この入力側横片部49の突出先端部から、該入力側横片部49と一直線状に電気入力部46を延出させている。
【0128】
電気入力部46は、正入力側と負入力側とで形状(幅寸法)を相違させている。これら電気入力部46は、入力側横片部49よりも幅広に形成している。
【0129】
この一対の放熱部材14の一部が支持部材15に埋設され、支持されている。図20に示すように、一対の放熱部材14は、横片部45の先端が互いに向き合うように点対称に配置されている。そして、この一対の放熱部材14は、横片部45が側面視において一部重なり、且つ、平面視において所定距離だけずれて接触しないように配置される。これにより、一対の熱電素子2間には距離dが確保される。
【0130】
この状態を保持しつながら、一対の放熱部材14は支持部材15に一体成形される。このとき、放熱部材14の入力側横片部49が支持部材15内に埋め込まれると共に、電気入力部46が支持部材15から露出するように形成される。また、放熱部材14が支持部材15に一体成形された状態にて、放熱部材14の熱電素子2接続側の支持部材15からの突出基部間の距離(縦片部48間の距離c)が、一対の熱電素子2間の距離dよりも大きくなるように設けている。これにより、支持部材15にマイグレーションが生じることを抑制し、また、電極間の短絡を抑制することができる。
【0131】
ここでの突出基部間の距離cは、放熱部材14の縦片部48対向面間の距離であり、1mm以上を確保することが好ましい。一対の熱電素子2間の距離dは、熱電素子2の対向面間の距離である。
【0132】
さらに、放熱部材14として、弾性体である板ばね材44を用いたので、支持部材15が外気の温度変化などにより収縮しあるいは膨張した場合であっても、放熱部材14自体が撓むことにより、支持部材15の収縮や膨張の変形を吸収することができる。これにより、熱電素子2近傍に発生する応力を緩和することができる。
【0133】
また、この板ばね材44では、電気入力部46側の支持部材15からの突出基部となる入力側横片部49を、該電気入力部46よりも幅狭に形成している。板ばね材44はこの幅狭の入力側横片部49で屈曲しやすくなっており、図21に示すように入力側横片部49を屈曲させたうえで、電気入力部46での接続作業を行なうことができる。これにより、電気配線時の作業性が向上する。
【0134】
なお、図22に示すように、縦片部48を支持部材15に対して貫通するように長く設け(すなわち、入力側横片部49を設けず)、電気入力部46を支持部材15の裏面側(熱電素子2が位置する側とは反対側)に露出させてもよい。
【0135】
図23(a)〜(d)に示す例では、図20等で示した筐体10(支持部材15)に、対向電極11を支持する支柱部66を設けている。また、この筐体10には、放熱部材14のそれぞれの電気入力部46に電気的に接続される導電性部材50を設けている。図23(a)の例では、この導電性部材50は筐体10の裏側(熱電素子2を設けた側とは反対側)に位置している。
【0136】
導電性部材50としては、各放熱部材14に対応する一対のものを距離をあけて設けており、それぞれが電気入力可能な給電部52を有している。筐体10の導電性部材50間に位置する電気絶縁部51により電気入力部46間の絶縁性を確保したうえで、給電部52を介して熱電素子2および放電電極1に電圧を印加する。
【0137】
これによれば、電気入力部46に対する給電を導電性部材50を介して間接的に行なうことができるので、放熱部材14にリードを直接接続する必要がなくなる。そのため、放熱部材14にリードを接続する際に不意に外力が負荷されて破損等を生じることがなくなる。
【0138】
図23(a)や図23(b)の例では、導電性部材50の材料として例えば導電性の樹脂などを用い、二色成形等の公知の樹脂成形方法によって筐体10と一体に成形している。放熱部材14の導電性部材50に接続される側の端部は、埋設された状態で筐体10中に位置しているが、該放熱部材14の端部が裏面側にまで貫通してもよい。
【0139】
図23(c)の例では、両側の導電性部材50を筐体10の底壁部10aからさらに側方に突出させており、この突出部分を給電部52としている。
【0140】
図23(d)の例では、両側の導電性部材50を筐体10の底壁部10aからさらに裏側に突出させており、この突出部分を給電部52としている。図23(c)や図23(d)の例のように、給電部52を筐体10から突出させて設けることで電気接続が容易な構造となる。
【0141】
図24(a)〜(c)に示す例は、図23(a)に示した例において、導電性部材50を筐体10の底壁部10aの裏側でなく、表側(熱電素子2を設けた側)に設けたものである。
【0142】
有底筒状の筐体10は、その底壁部10aに、放熱部材14を挿通させるための貫通孔53を一対形成したものであり、底壁部10aの中央に絶縁性材料からなる電気絶縁部51を備えている。両貫通孔53は、隣接する放熱部材14同士の絶縁性を確保するため、所定距離を隔てて並行に形成してある。
【0143】
この貫通孔53に放熱部材14の端部を挿入し、この挿入した端部を、筐体10裏側から突出させることなく貫通孔53内に位置させる。そして、放熱部材14の電気入力部46の一部を導電性部材50に接触させ、電気入力部46の導電性部材50に接触させた部分とは別部分を、貫通孔53を通じて外部に露出させる。
【0144】
これにより、熱電素子2に対する給電を、図24(b)のように導電性部材50を介して行うか、あるいは、図24(c)のように電気入力部46に直接接続して行うかを、適宜選択することができる。これにより、静電霧化装置の設計上の自由度が増す。図中の符号Eは、給電を行う電気供給部を示している。
【0145】
なお、図示例では放熱部材14の端部が貫通孔53内に位置しているが、放熱部材14が筐体10裏側にまで貫通したものであってもよい。その場合においても、放熱部材14の電気入力部46の一部を導電性部材50に接触させ、電気入力部46の導電性部材50に接触させた部分とは別部分を外部に露出させる。
【0146】
次に、図25に基づいて[実施形態7]の静電霧化装置を説明する。なお、[実施形態3]と同様の構成については図中に同一符号を付して詳しい説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0147】
本実施形態の静電霧化装置においては、絶縁性材料から成る放電電極1の基台部1aの底面に、印刷、フォトレジスト、DBC等の方法によって、銅やニッケル等の導電性材料からなる導電層55を設けている。そして、この導電層55に対して、各熱電素子2の吸熱側の端部を半田や導電性接着剤で接合させている。つまり、この導電層55が、複数の異なる型の熱電素子2が搭載される搭載部13をなす。この搭載部13には、熱電素子2間の通電経路が形成される。導電層55に厚み寸法は、通電時の発熱抑制のため0.1mm以上を確保したうえで極力薄く設けることが好ましい。
【0148】
換言すると、本実施形態の静電霧化装置は、放電電極1の基台部1aの底面に回路パターンとなる導電層55を直接形成し、該導電層55に対して、熱電素子2の吸熱側の端部を機械的および電気的に接続させた構造である。熱電素子2の材質が半田接合に不向きな金属等の材質である場合には、該熱電素子2の放電電極1の基台部1aの底面と対向する面にニッケルめっきを施してもよい。
【0149】
また、本実施形態の静電霧化装置では、図48に示す従来例のように支持部材15をなす筐体10自体が熱電素子2や導電層55を封止する構造でなく、筐体10内に封止材56を充填させることによって、熱電素子2や導電層55を封止する構造としている。封止材56としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等の樹脂材が好適に用いられるが、該封止材56を充填させない構成であってもよい。筐体10には対向電極11を支持させている。
【0150】
本実施形態の静電霧化装置において、外部電源によってリード9を介して一対の熱電素子2に通電を行うと、各熱電素子2は図中上側端部において吸熱を行い、図中下側端部において放熱を行う。放電電極1は、自身に設けてある吸熱側の導電層55を介して、各熱電素子2の吸熱作用により直接的に冷却され、その表面全体に結露水を生成する。ここで、高圧リード57を介して放電電極1の表面に高電圧を印加すると、放電電極1表面の結露水に高電圧が印加されることによって静電霧化現象を生じ、帯電微粒子水を大量に生成させる。
【0151】
静電霧化現象をより安定化させたい場合には、放電電極1の導電層55が形成してある部分を除く他の表面(つまり、基台部1aの底面を除く部分)に、導電膜を形成しあってもよい。このような導電膜を放電電極1に被覆しておくことで、より放電が安定化する。
【0152】
本実施形態の静電霧化装置によれば、熱電素子2の吸熱側の端部と放電電極1との間には、薄膜状の導電層55が介在するのみである。したがって、熱電素子2を一対配置したコンパクトな構造であっても、放電電極1を効果的に冷却することができる。つまり、放電電極1に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体の小型化や省エネルギー化が可能となる。
【0153】
本実施形態の放電電極1としては、少なくとも導電層55で覆われる部分が電気絶縁体からなり、この導電層55で通電経路を形成するものであればよい。
【0154】
なお、[実施形態1]〜[実施形態6]において詳述した各構成(放熱部材14等)やそれらの各変形例の構成が、本実施形態においても適用可能となることは勿論である。
【0155】
図26(a)〜(c)、図27(a)、(b)には、本実施形態において熱電素子2を二対備えた場合の配置例を示している。図27(a)は、吸熱側の導電層(回路パターン)55を図26(c)の矢印P側からみた場合であり、図27(b)は、放熱側の導電層(回路パターン)55を図26(c)の矢印Q側からみた場合である。
【0156】
図28(a)〜(c)、図29(a)、(b)には、本実施形態において熱電素子2を三対備えた場合の配置例を示している。図29(a)は、吸熱側の導電層55を図28(c)の矢印P側からみた場合であり、図29(b)は、放熱側の導電層55を図28(c)の矢印Q側からみた場合である。
【0157】
熱電素子2が二対の場合、三対の場合のいずれにおいても、熱電素子2の配置は、放電電極1の中心軸Aの軸方向からみて、該中心軸Aを中心とした略点対称の配置となっている(図27(a)、(b)や図29(a)、(b)参照)。前記配置は厳密な点対称に限定されず、略点対称なものであればよい。前記配置によって、放電電極1を支持する各熱電素子2に偏った荷重がかかることが抑制される。特に熱電素子2の接合部分は衝撃に弱い部分となるが、前記配置によって荷重をより均等に分配することで、装置の信頼性が向上する。なお、熱電素子2が一対、複数対のいずれの場合であっても、前記のような略点対称の配置にすることで信頼性が向上することは勿論である。
【0158】
図30には、本実施形態において放熱用構造体5を長尺形状に設けた場合の例を示している。放熱用構造体5は、熱電素子2の通電方向(図中上下方向)を長手方向とした長尺部材であって、有底筒状を成す筐体10の底壁部10a中央に貫通固定させてある。
【0159】
放電電極1は、長尺の放熱用構造体5によって、筐体10の底壁部10aから距離を隔てた高い位置で支持される。放電電極1を底壁部10aから離すことで、該放電電極1での放電を安定させることができる。なお、図示例では放熱用構造体5をフィン形状に設けているが、他の形状であってもよい。
【0160】
図31は、図30の例において、各熱電素子2の放熱側に、[実施形態4]〜[実施形態6]と同様の放熱部材14を接続させた例である。放熱部材14やこれを嵌合させる筐体10の詳しい構成について説明を省略する。
【0161】
この例の静電霧化装置においては、各熱電素子2の放熱側に棒状の放熱部材14を接続させ、該放熱部材14によって通電と放熱をともに行うようになっているので、装置全体のさらなるコンパクト化や省エネルギー化が実現される。また、長尺の放熱部材14によって放電電極1を高い位置に支持し、底壁部10aから放電電極1を離して設けることで、該放電電極1での放電を安定させることができる。
【0162】
図32(a)〜(c)、図33(a)、(b)には、放熱部材14を備えた図31の例において、熱電素子2を二対備えた場合の配置例を示している。図33(a)は、吸熱側の導電層55を図32(c)の矢印P側からみた場合であり、図33(b)は、放熱側の導電層55を図32(c)の矢印Q側からみた場合である。前記配置例では、対をなす熱電素子2のうち一方にのみ放熱部材14を接合させ、該放熱部材14に対してリード9を接合させている。また、放熱部材14を接合させていない側の熱電素子2の放熱側同士を導電層55で接続させている。
【0163】
図34(a)〜(c)、図35(a)、(b)には、放熱部材14を備えた図31の例において、熱電素子2を二対備えた他の場合の配置例を示している。図35(a)は、吸熱側の導電層55を図34(c)の矢印P側からみた場合であり、図35(b)は、放熱側の導電層55を図34(c)の矢印Q側からみた場合である。前記配置例では、対をなす熱電素子2の両方に放熱部材14を接合させている。リード9は、各対の放熱部材14の一方に接合させている。また、リード9を接合させていない側の放熱部材14同士を導電層55で接続させている。
【0164】
図35(a)、(b)に示すように、熱電素子2と放熱部材14の配置は、放電電極1の中心軸Aの軸方向からみて、該中心軸Aを中心とした点対称の配置となっている。前記配置は厳密な点対称に限定されず、略点対称なものであればよい。前記配置によって、放電電極1を支持する各熱電素子2と各放熱部材14のそれぞれに偏った荷重がかかることが抑制される。熱電素子2や放熱部材14の接合部分は衝撃に弱い部分となるが、前記配置によって荷重をより均等に分配することで、装置の信頼性が向上する。なお、熱電素子2や放熱部材14が一対、複数対のいずれの場合であっても、前記のような配置にすることで信頼性が向上する。
【0165】
図36(a)〜(c)、図37(a)、(b)には、放熱部材14を備えた図31の例において、熱電素子2を二対備えたさらに他の場合の配置例を示している。図37(a)は、吸熱側の導電層55を図36(c)の矢印P側からみた場合であり、図37(b)は、放熱側の導電層55を図36(c)の矢印Q側からみた場合である。前記配置例では、対をなす熱電素子2のうち一方に放熱部材14を1対1で接合させ、対をなす熱電素子2の他方同士は、幅広に形成した同一の放熱部材14に接合させている。
【0166】
つまり、幅広に形成した放熱部材14は、隣接する熱電素子2の放熱側の端部同士を電気接続させるものである。リード9は、熱電素子2に1対1で接合させた側の放熱部材14に接合させている。
【0167】
図38(a)〜(c)、図39(a)、(b)には、放熱部材14を備えた図31の例において、熱電素子2を三対備えた場合の配置例を示している。図39(a)は、吸熱側の導電層55を図38(c)の矢印P側からみた場合であり、図39(b)は、放熱側の導電層55を図38(c)の矢印Q側からみた場合である。前記配置例では、並設される三対の熱電素子2のうち、両端側の二対の熱電素子2にのみ、放熱部材14を1対1で接合させている。リード9は、両端にある放熱部材14のそれぞれの対の一方に接合させている。また、両端で対をなす放熱部材14の他方は、導電層55を介して、中央で対をなす放熱部材14の一つにそれぞれ電気接続させてある。
【0168】
前記配置においても、熱電素子2と放熱部材14の配置はともに、放電電極1の中心軸Aの軸方向からみて、該中心軸Aを中心とした点対称の配置となっている。前記配置においても厳密な点対称に限定されず、略点対称なものであればよい。
【0169】
図40(a)〜(c)、図41(a)、(b)には、放熱部材14を備えた図31の例において、熱電素子2を三対備えた他の場合の配置例を示している。図41(a)は、吸熱側の導電層55を図40(c)の矢印P側からみた場合であり、図41(b)は、放熱側の導電層55を図40(c)の矢印Q側からみた場合である。前記配置例では、両端で対をなす熱電素子2のうち一方に放熱部材14を1対1で接合させている。また、両端で対をなす熱電素子2の他方と、中央で対をなす熱電素子2の一つとは、幅広に形成した放熱部材14によって電気接続させている。リード9は、熱電素子2に1対1で接合する両端の放熱部材14に接合させている。
【0170】
前記配置においても、熱電素子2と放熱部材14の配置はともに、放電電極1の中心軸Aの軸方向からみて、該中心軸Aを中心とした点対称の配置となっている。前記配置においても厳密な点対称に限定されず、略点対称なものであればよい。
【0171】
次に、図42に基づいて[実施形態8]の静電霧化装置を説明する。なお、[実施形態7]と同様の構成については図中に同一符号を付して詳しい説明を省略し、本実施形態特有の構成について以下に詳述する。
【0172】
本実施形態の静電霧化装置においては、放電電極1はその一部または全部が導電体であり、該導電体の表面上(基台部1aの底面上)に薄膜状の電気絶縁層60を配し、この電気絶縁層60上に、印刷、フォトレジスト、DBC等の方法によって、吸熱側の導電層55を形成している。この薄膜状の導電層55が、複数の異なる型の熱電素子2が搭載される搭載部13をなす。この搭載部13には、熱電素子2間の通電経路が形成される。電気絶縁層60の厚み寸法は、絶縁性確保のため0.3mm以上を確保したうえで、極力薄く設けることが好ましい。また、導電層55に厚み寸法は、通電時の発熱抑制のため0.1mm以上を確保したうえで極力薄く設けることが好ましい。 換言すると、本実施形態の静電霧化装置は、放電電極1表面に電気絶縁層60を介して導電層55を形成し、この回路パターンとなる導電層55に対して、熱電素子2の吸熱側の端部を機械的および電気的に接続させた構造である。
【0173】
放電電極1は、[実施形態1]〜[実施形態6]の場合と同様、材質として真鍮、アルミニウム、銅、タングステン、チタン等の金属が好適に用いられるが、電気伝導性の高い材質であれば、導電性の樹脂、カーボン等の他の材質を用いてもよい。また、耐食性を向上させるために金や白金のめっきを施してあってもよい。
【0174】
電気絶縁層60の材質は、エポキシやポリイミド等の樹脂が好適に用いられるが、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックや、金属酸化物等の他の材質を用いてもよい。また、電気絶縁層60を形成する樹脂中に熱伝導性フィラーを含有させてもよい。
【0175】
本実施形態の静電霧化装置によれば、熱電素子2の吸熱側の端部と放電電極1との間には、薄膜状の導電層55と、同じく薄膜状の電気絶縁層60が介在するのみである。したがって、熱電素子2を一対配置したコンパクトな構造であっても、放電電極1を効果的に冷却することができる。つまり、放電電極1に結露水を生成するための冷却能力を保持したうえで、装置全体の小型化や省エネルギー化が可能となる。
【0176】
本実施形態の放電電極1としては、少なくとも電気絶縁層60で覆われる部分が導電体からなり、電気絶縁層60上の導電層55で通電経路を形成するものであればよい。
【0177】
図43は、本実施形態の静電霧化装置において、各熱電素子2の放熱側に、[実施形態4]〜[実施形態6]と同様の放熱部材14を接続させた例である。放熱部材14やこれを嵌合させる筐体10の詳しい構成については説明を省略する。
【0178】
この例の静電霧化装置においては、各熱電素子2の放熱側に棒状の放熱部材14を接続させ、該放熱部材14によって通電と放熱をともに行うので、装置全体のさらなるコンパクト化や省エネルギー化が実現される。また、長尺の放熱部材14によって放電電極1を高い位置に支持し、底壁部10aから放電電極1を離して設けることで、該放電電極1での放電を安定させることができる。
【0179】
なお、[実施形態1]〜[実施形態7]において詳述した各構成やそれらの各変形例の構成が、本実施形態においても適用可能となることは勿論である。
【0180】
次に、本発明の静電霧化装置の製造方法について、添付図面に基づいて説明する。
【0181】
図44(a)〜(d)には、図20に示す例の静電霧化装置を製造する工程を、順に示している。この製造工程は、リードフレーム71に接続された状態の放熱部材14を形成するリードフレーム形成工程と、このリードフレーム71に接続された状態の放熱部材14に支持部材15を一体成形する支持部材成形工程と、支持部材15が一体成形された放熱部材14に熱電素子2及び放電電極1を接合する部品接合工程と、支持部材15が一体成形された放熱部材14をリードフレーム71から切り離す切り離し工程と、を有する。前記各工程によれば、静電霧化装置を効率よく大量生産することが可能となり、生産性が大幅に向上する。
【0182】
リードフレーム形成工程は、図44(a)に示すように、放熱部材構成体62を得るための工程である。この放熱部材構成体62は、リードフレーム71と、このリードフレーム71に継手部74を介して連結される複数の放熱部材14と、を有する。前記リードフレーム71は、平行となるように並設された直線状のフレーム部72と、一対のフレーム部72間に所定間隔で架設される架設部73と、を有する。放熱部材14は、リードフレーム71の架設部73と平行に設けている。
【0183】
対向する一対のフレーム部72のうち一方に対して、正の電気入力部46を有する放熱部材14が一体に連結される。また、対向する一対のフレーム部72のうち他方に対して、負の電気入力部46を有する放熱部材14が一体に連結される。そして、正の電気入力部46を有する放熱部材14の横片部45と、負の電気入力部46を有する放熱部材14の横片部45とが、略対向する状態で隣接するように形成している。この隣接する一対の放熱部材14は、フレーム部72に沿う方向に所定距離だけずれた状態で形成される。
【0184】
この放熱部材構成体62は、例えば、帯状の板材をプレス加工で打ち抜き、曲げ加工を施す等の方法によって形成される。また、その他の方法として、エッチング加工やプレスでの曲げ加工を用いてもよい。
【0185】
支持部材成形工程は、図44(b)に示すように、リードフレーム成形工程で得られた放熱部材構成体62に対して、樹脂などで構成された筐体10(支持部材15)を一体的に成形する工程である。例えば筐体10が樹脂製の場合、本工程での筐体10の成形は、前記リードフレーム成形工程で得られた放熱部材構成体62を、型閉めした型内に位置させたうえで、射出成形などの公知の樹脂成形方法により行われる。
【0186】
このとき、図45(a)、(b)に示すように、筐体10の底壁部10aの中央に入熱用開口部63を貫通形成することが好ましい。筐体10に入熱用開口部63を設けることで、後述の部品接合工程において、放熱部材14の裏側から半田接合のための入熱をすることができる。これにより、放熱部材14に熱電素子2を半田接合するにあたって、作業性を向上させることができる。
【0187】
部品接合工程は、図44(c)に示すように、支持部材成形工程によって得られた筐体10上の放熱部材14に熱電素子2及び放電電極1を実装する工程である。本工程による熱電素子2及び放電電極1を実装する方法は特に限定されないが、例えば、半田による接合を行なう場合には、熱プレス、ホットエアー、レーザーソルダリング、パルス通電加熱などの方法が採用可能である。
【0188】
ここで、半田接合を行なう場合、図46(a)、(b)に示すように、放熱部材14の横片部45の熱電素子2が取り付けられる部位に、熱電素子2取付部としてのランド部64を設けておくことが好ましい。このランド部64の形状は熱電素子2の接合面(図中の斜線部分参照)よりも大きなものであればよく、特に限定はされないが、図46(a)のような四角形、図46(b)のような円形、その他多角形とすることが好ましい。
【0189】
なお、ランド部64の形状を熱電素子2の接合面の形状に合わせ、該接合面の外形に沿って僅かに大きな形状にした場合には、ランド部64に熱電素子2を半田接合する際に、正確な位置で熱電素子2を接合しやすくなる。これは、半田が及ぼすセルフアライメント効果により、ランド部64の略中央に熱電素子2が引き付けられるためである。
【0190】
また、図46(a)、(b)に示すように、ランド部64は、このランド部64や横片部45よりも幅狭の支持部65を介して、横片部45に連設されることが好ましい。支持部65は、放熱部材14の他の部分よりも断面積の小さい部分である。ランド部64に熱電素子2を半田接合するにあたり、この支持部65が半田接合時の熱伝導を効果的に妨げるため、半田接合時の入熱が漏れることを抑制できる。これにより、筐体10が半田接合時の高熱で変形することも抑制できる。
【0191】
切り離し工程は、前記のように構成された熱交換ユニットをリードフレーム71から切り離す工程である。具体的には、フレーム部72に連設された継手部74を切断する。
【0192】
ここでの熱交換ユニットは、筐体10である支持部材15と、正入力側と負入力側とで対をなす板状の放熱部材14と、各放熱部材14に接合される複数の熱電素子2と、これら複数の熱電素子2が搭載される放電電極1とを有するユニットである。放熱部材14を通じての通電により、放電電極1が冷却される。
【0193】
前記熱交換ユニットには、切り離し工程後にさらに対向電極11を接合してもよいし、図44(d)に示すように切り離し工程前の筐体10に対向電極11を接合する工程をさらに備え、この対向電極11が取り付けられた状態で熱交換ユニットを切り離すようにしてもよい。
【0194】
なお、この例の筐体10には、対向電極11を接合させるための支柱部66が設けてある。支柱部66と対向電極11との接合は、既述の通り、ネジや接着剤を用いた手段や、ヒートシール、スナップフィット等の手段で行うことができる。
【0195】
また、この例の製造方法では、リードフレーム形成工程、支持部材成形工程、部品接合工程、切り離し工程をこの順で行うものとしたが、部品接合工程を行なう前に切り離し工程に移り、この切り離し工程後に部品接合工程を行なうものであってもよい。
【0196】
ところで、上述した熱交換ユニット及びこれを用いた静電霧化装置の製造方法は、上述した他の実施形態や各種変形例においても、当然に適用可能である。
【0197】
例えば図47には、図19に示す例において同様の製造方法を用いた場合を示している。この場合の製造方法は、図44で示した製造方法と基本的と大部分が同一であるが、リードフレーム形成工程において、プレスでの曲げ加工を行なわない点で相違している。
【0198】
リードフレーム71に一体に設けた放熱部材14は、平坦な板状の部材で構成されている。このため、放熱部材構成体62を成形するにあたっては、帯状の板材をプレス加工で打ち抜くだけでよく、曲げ加工が不要である。そのため、製造時間の短縮化が可能となり、製造工程を簡略化することもできる。
【0199】
なお、筐体10に設けた収容部47が表裏に貫通するものである場合には、該収容部47を利用して放熱部材14と熱電素子2との半田接合作業をすることができる。つまり、収容部47が前記入熱用開口部63を兼ねたものとなる。
【0200】
以上、静電霧化装置の各実施形態や各種の変形例について、また、これらを製造するための工程について、図面に基づいて詳述した。上述した各構成は、各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば適宜の設計変更が可能である。また、各構成を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0201】
1 放電電極
2 熱電素子
8 電源部
10 筐体
11 対向電極
13 搭載部
14 放熱部材
15 支持部材
21 導電体
55 導電層
60 電気絶縁層
63 入熱用開口部
64 ランド部
72 フレーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる型の熱電素子と、静電霧化を生じさせる放電電極とを備え、前記放電電極は、前記複数の異なる型の熱電素子が搭載される搭載部を有し、前記搭載部には、前記複数の異なる型の熱電素子間の通電経路が設けられることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記熱電素子には、電源部を接続させ、前記電源部により、前記複数の異なる熱電素子に対して前記放電電極を冷却させる方向の通電を行うことを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項3】
前記放電電極は、一部または全部が導電体であり、この導電体が前記搭載部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電霧化装置。
【請求項4】
前記放電電極は、電気絶縁体の表面上に導電層を設けたものであり、前記導電層が前記搭載部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電霧化装置。
【請求項5】
前記放電電極は、導電体の表面上に電気絶縁層を設け、前記電気絶縁層上に導電層を設けたものであり、前記導電層が前記搭載部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電霧化装置。
【請求項6】
前記放電電極と対向して位置する対向電極を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項7】
前記熱電素子の前記放電電極に搭載される側と反対側の端部に接合される放熱部材を備え、前記放熱部材は、少なくとも一部に導電体を有し、前記導電体を介して前記熱電素子への通電を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項8】
前記放熱部材は、弾性体であり、前記放熱部材の一端部に前記熱電素子を接合させることを特徴とする請求項7に記載の静電霧化装置。
【請求項9】
前記放熱部材は、前記熱電素子を接合させるランド部と、前記ランドを前記放熱部材の他の部分と接続させる支持部とを有し、前記支持部は前記ランド部より幅狭に形成することを特徴とする請求項7又は8に記載の静電霧化装置。
【請求項10】
前記放熱部材は、棒状部材であり、前記放熱部材の一端部に前記熱電素子を接合させることを特徴とする請求項7に記載の静電霧化装置。
【請求項11】
前記放熱部材は、前記熱電素子との接合箇所から離れるほど大径となる形状を有することを特徴とする請求項10に記載の静電霧化装置。
【請求項12】
前記放熱部材を嵌合又は埋設により支持する支持部材を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項13】
前記支持部材は、前記放電電極を囲む筐体であることを特徴とする請求項12に記載の静電霧化装置。
【請求項14】
前記支持部材は、前記放熱部材と前記熱電素子を加熱により接合させるための入熱用開口部を有することを特徴とする請求項12又は13に記載の静電霧化装置。
【請求項15】
少なくとも一部に導電体を有する複数の放熱部材を、フレームに接続された状態で形成する工程と、前記複数の放熱部材を前記フレームから切り離す工程と、複数の異なる型の熱電素子を、対応する前記放熱部材に接合させる工程と、前記異なる型の熱電素子を、放電電極が有する搭載部に通電可能となるように搭載する工程とを備えること特徴とする静電霧化装置の製造方法。
【請求項16】
前記フレームに接続された状態の前記複数の放熱部材に対して、支持部材を一体成形する工程を更に備えることを特徴とする請求項15に記載の静電霧化装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2011−25225(P2011−25225A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73590(P2010−73590)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】