説明

非回復性睡眠のためのアルファ−デルタリガンド

【課題】 非回復性睡眠の治療剤の提供。
【解決手段】 この非回復性睡眠の治療においてアルファ−2−デルタリガンドまたはその薬学的に許容しうる塩を使用すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は非回復性睡眠のためのアルファ−デルタリガンドの提供と、非回復性睡眠におけるアルファ−デルタリガンドまたはその薬学的に許容しうる塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠に関する問題は世界的に広がっている。Roth, T.らのSleep Med 6:487〜95(2005年)を参照。睡眠の懸念を説明するとき、患者は通常、入眠困難(DIS)、睡眠維持困難(DMS)、早朝覚醒またはこれらの症状の組合せを訴える。しかしながら、睡眠不足に関する第4の訴えとして非回復性睡眠(NRS)−睡眠エピソードが元気になっていない、または回復していないという感覚、またはDSM−IVで浅い、落ち着きのない、または質の低い睡眠と説明されているものが、この数年話題になっている。米国精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引」(第4版, 編集, 2000年)を参照。
【0003】
NRS患者からの訴えには朝の寝起きの困難さ、昼間の疲労、昼間の眠気、昼間の一般機能障害、覚醒上の問題、気分障害、並びに良くない仕事および学業成績がある。しかしながら、NRS患者の場合、これらの訴えは入眠または睡眠維持の困難により起こるものではないかもしれない。このことは25,000人以上の多国間疫学研究で調査対象集団の約11%がNRSを経験し、また調査対象集団の約3%がDISまたはDMSの典型的な症状を示すことなくNRSを経験したということにより証明された。M.OhayonのArch Intern Med 165, 35〜41(2005年)を参照。
【0004】
アルファ−2−デルタ(α2δ)リガンドはカルシウムチャンネルのα2δサブユニットに結合することが知られている。公開された米国特許出願No. 2005/0059654はα2δリガンドとセロトニン再吸収阻害剤(SSRI)または選択的ノルアドレナリン再吸収阻害剤(SNRI)または両方との様々な組合せを投与することからなる哺乳動物の鬱病、並びに不安症、睡眠障害および心的外傷後ストレス障害を含む鬱病合併症を治療する方法を開示している。
【0005】
公開された米国特許出願No. 2004/0092522は疼痛を治療するのに使用されるα2δリガンドおよびサイクリックグアノシン3',5'−一リン酸ホスホジエステラーゼタイプ5(PDEV)阻害剤の組合せを開示している。
【0006】
公開された米国特許出願 No. 2004/0180959は線維筋痛症または線維筋痛合併症を治療するための環状α2δリガンドの使用、並びに徐波睡眠を増加させるためのヒト成長ホルモンまたはヒト成長ホルモン分泌促進物質と組合せたそれらの使用を開示している。公開された米国特許出願 No. 2004/0186177は線維筋痛症およびホットフラッシュ(hot flashes)を含む様々な疾患を治療するための非環状α2δリガンドの使用を開示している。
【0007】
公開された米国特許出願 No. 2003/0195251および2005/0124668はカルシウムチャンネルのα2δサブユニットに結合し、中枢神経系疾患を治療するのに有用なβ−アミノ酸を開示している。
【0008】
公開された米国特許出願 No. 2003/0212133は不眠症を治療するための環状α2δリガンドの使用を開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は非回復性睡眠(NRS)を治療する方法に関する。本発明において、NRSは元気になっていない、または回復していない覚醒として定義される。これらの症状は入眠困難、睡眠維持困難または早朝覚醒によるものではない。NRSは他の睡眠障害または精神障害の経過中に専ら発生するものではなく、さらに物質または一般身体疾患の直接の生理的作用によるものではない。NRSであると診断される対象患者:(a) 社会的、職業的または昼間機能する他の領域で臨床的に有意な困難または障害を示す;(b) 入眠困難(DIS)または睡眠維持困難(DMS)を訴えない(自覚的に、または睡眠ポリグラフ計により客観的に);そして(c) 少なくとも1ヶ月の間に少なくとも3回/週は(a)の症状を示す。
【0010】
本発明はこのような治療の必要な対象の非回復性睡眠を治療する方法を提供する。本法は治療的に有効な量の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含み、ここで当該化合物(またはその塩)はα2δリガンドである。
【0011】
本発明の一態様は、化合物がγ−アミノ酸またはその薬学的に許容しうる塩である方法を提供する。
本発明の他の態様は、化合物がガバペンチンまたはその薬学的に許容しうる塩である方法を提供する。
本発明の他の態様は、化合物がプレガバリンまたはその薬学的に許容しうる塩である方法を提供する。
【0012】
本発明の他の態様は、α2δリガンドが式1または1A
【化1】

[式中、Rは水素、または1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、
R1〜R14はそれぞれ独立して水素、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状アルキル、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、アミノ、アミノメチル、トリフルオロメチル、−CO2H、−CO2R15、−CH2CO2H、−CH2CO2R15、または−OR15から選択され、ここでR15は1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状アルキル、フェニルまたはベンジルであり、そしてR1〜R8は同時に水素ではない]
の化合物またはその薬学的に許容しうる塩である方法を提供する。
【0013】
本発明の他の態様は、化合物が(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロプロペニル)−酢酸またはその薬学的に許容しうる塩である方法を提供する。
【0014】
本発明の他の態様は化合物がβ−アミノ酸またはその薬学的に許容しうる塩である方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、治療の必要な対象の非回復性睡眠を治療する方法を提供するものであって、本法は非回復性睡眠を有する対象を診断すること、治療的に有効な量の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含み、ここで当該化合物(またはその塩)はα2δリガンドである。
【0016】
本発明の一態様は、化合物が(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロプロペニル)−酢酸、ガバペンチンおよびプレガバリン、または前記化合物の薬学的に許容しうる塩である方法を提供する。
【0017】
有用な化合物はα2δリガンドであり、公開された米国特許出願No. 2005/0059654、2004/0092522、 2004/0180959、2004/0186177、2003/0195251、2005/0124668および2003/0212133、並びに公開された国際特許出願No. WO04,054,566に記載の化合物を包含する。
【0018】
有用な化合物にはα2δリガンドの(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロプロペニル)−酢酸、(1−アミノメチル−シクロヘキシル)−酢酸(ガバペンチン)、および4−アミノ−3−(2−メチルプロピル)ブタン酸のS−(+) エナンチオマー(プレガバリン)がある。
【0019】
特定の化合物がα2δリガンドであるかどうか(すなわち特定の化合物がカルシウムチャンネルのα2δサブユニットに結合するかどうか)を測定する方法にはN.S.GeeらのJ. Biol. Chem. 271, 5768〜5776(1996年);E. MaraisらのMol. Pharmacol. 59,1243〜1248(2001年);H.C.GongらのJ. Membr. Biol. 184, 35〜43(2001年)およびN.QinらのMol. Pharmacol. 62,485〜496(2002年)に記載の方法がある。有用な化合物は一般に約1μM以下または約0.5μM以下のIC50(50%阻害濃度)を示す。
【0020】
有用な化合物はすべての薬学的に許容しうる複合体、それらの塩、溶媒和物および水和物、並びにすべてのそれらの立体異性体、互変異性体、およびすべての結晶質および非晶質形態を含むそれらの多形形態を包含し、これらは純粋、実質的に純粋または混合物のいずれであってもよい。有用な化合物は睡眠誘導効果を促進する薬剤を含む他の薬剤と組合せることもできる。このような薬剤にはメラトニン、トリプトファン、ワレリアナ(セイヨウカノコソウ:valerian)、トケイソウ、抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン塩酸塩またはコハク酸ドキシラミン、ベンゾジアゼピンおよび非ベンゾジアゼピン睡眠薬がある。
【0021】
特に断りがない限り、本明細書では下記の定義を使用する。幾つかの定義および式は、原子間の結合、または指定されたまたは不特定の原子もしくは原子団との結合点を示すダッシュ(“−”)を含む。
【0022】
“置換された”基は、原子価の要件を満たし、その置換から化学的に安定な化合物が得られるという条件で、1個またはそれ以上の水素原子が1個またはそれ以上の非水素の原子または基に置き換えられたものである。
【0023】
“約”または“およそ”は測定可能な数値変数に関連して使用される場合、変数の表示値および表示値の実験誤差範囲内(例えば平均の95%信頼区間の範囲内)または表示値の±10%範囲内のどちらか大きい方である変数のすべての値を意味する。
【0024】
“アルキル”は1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭化水素基を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−ブチル、t−ブチルおよびペンチルを包含する。
【0025】
“アルコキシ”はアルキル−O−を意味し、ここでアルキルは上記で定義された通りであり、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシおよびペンチルオキシを包含する。
【0026】
“カルボアルコキシ”はアルコキシ−C(O)−を意味し、ここでアルコキシは上記で定義された通りであり、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、2−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルおよびペンチルオキシカルボニルを包含する。
【0027】
“γ−アミノ酸”は、(4−アミノ−ブタン酸)−3−イルおよび(4−アミノ−ブタン酸)−3,3−ジイルから選択されるそれぞれ一価または二価の基を有する化合物を意味する。
【0028】
“β−アミノ酸”は、(3−アミノ−プロパン酸)−2−イルおよび(3−アミノ−プロパン酸)−3−イルから選択される一価の基を有する化合物を意味する。
【0029】
ベンジルおよびフェニル基は未置換であるか、またはヒドロキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ、ハロゲン、−CF3、ニトロ、アルキルおよびアルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。好ましい置換基は、1個またはそれ以上のハロゲンを含有する。
【0030】
“対象”はヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0031】
“薬学的に許容しうる”物質は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく対象の組織と接触して使用するのに適した妥当な医学的判断の範囲内であり、リスク対効果比に見合っており、また使用目的に対して効果がある物質を意味する。
【0032】
“治療する”は、このような用語が適用される障害もしくは疾患を、改善、軽減、その進行を抑制、もしくは予防する、またはこのような障害もしくは疾患の1種もしくはそれ以上の症状を改善、軽減、その進行を抑制、もしくは予防することを意味する。
【0033】
“治療”は上記で定義されたような“治療する”行為を意味する。
【0034】
“薬物”、“薬物物質”、“活性な医薬成分”などは、治療の必要な対象を治療するのに使用され得る化合物(例えば式1および1Aの化合物、並びに上記で特定された化合物)を意味する。
【0035】
薬物の“治療的に有効な量”は、対象を治療するのに使用でき、特に対象の体重および年齢や投与経路に依存し得る薬物の量を意味する。
【0036】
“不活性な”物質は、薬物の生物学的利用性に影響を与え得るが、他の点では薬理学的に活性でない物質を意味する。
【0037】
“賦形剤”または“補助剤”は何れかの不活性物質を意味する。
【0038】
“医薬組成物”は1種またはそれ以上の薬物物質および1種またはそれ以上の賦形剤の組合せを意味する。
【0039】
“製剤”、“医薬の投与形態”、“投与形態”、“最終投与形態”などは治療の必要な対象に投与される医薬組成物を意味し、一般に錠剤、カプセル剤、粉末または顆粒を含有するサシェ剤(sachets)、液剤、懸濁剤、パッチ剤、フィルム剤などの形態である。
【0040】
式1および式1Aの化合物や上記で特定された化合物を含むNRSを治療するのに有用な
化合物の多くは、薬学的に許容しうる複合体、塩、溶媒和物および水和物を形成することができる。これらの塩は酸付加塩(二酸を含む)および塩基塩を包含する。薬学的に許容しうる酸付加塩には塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、沃化水素酸、フッ化水素酸および亜リン酸のような無機酸から誘導される非毒性塩、並びに脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル−置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などのような有機酸から誘導される非毒性塩がある。このような塩には酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩(gluceptate)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、沃化水素酸塩/沃化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカラート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩がある。
【0041】
薬学的に許容しうる塩基塩は金属カチオン、例えばアルカリまたはアルカリ土類金属カチオン、およびアミンを含む塩基から誘導される非毒性塩を包含する。適切な金属カチオンの例はナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、亜鉛(Zn2+)およびアルミニウム(Al3+)である。適切なアミンの例はアルギニン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、 グリシン、 リシン、 N−メチルグルカミン、 オラミン、 2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオールおよびプロカインである。有用な酸付加塩および塩基塩に関する考察については、S. M. Bergeらの“Pharmaceutical Salts,” 66 J. Pharm. Sci. 1〜19(1977年)を参照;さらにStahlおよびWermuthのHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use(2002年)を参照。
【0042】
薬学的に許容しうる塩は様々な方法を使用して製造することができる。例えば、式1の化合物を適切な酸または塩基と反応させて所望の塩を得ることができる。また、式1の化合物の前駆体を酸または塩基と反応させて酸または塩基に不安定な保護基を除去したり、前駆体のラクトンまたはラクタム基を開環したりできる。さらに、式1の化合物の塩を適切な酸または塩基で処理して、あるいはイオン交換樹脂と接触させて他の塩に変換することができる。反応後、塩が溶液から沈殿する場合はろ過により単離し、または蒸発により塩を回収することができる。塩のイオン化度は完全にイオン化されたものから殆んどイオン化されていないものまで幅がある。
【0043】
NRSを治療するのに使用される化合物は非溶媒和および溶媒和形態で存在することもできる。“溶媒和物”なる用語は、化合物および1種またはそれ以上の薬学的に許容しうる溶媒分子(例えばEtOH)を含む分子複合体を意味する。“水和物”は溶媒が水である溶媒和物である。薬学的に許容しうる溶媒和物は溶媒が同位体で置換されたもの(例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSO)を包含する。
【0044】
NRSを治療するのに使用される化合物は化合物(薬物)および少なくとも1種の他の成分が化学量論的量または非化学量論的量で存在する多成分複合体(塩および溶媒和物以外)として存在することもできる。このタイプの複合体は包接化合物(薬物−宿主包接複合体)および共結晶を包含する。後者は典型的に非共有結合性相互作用により互いに結合している中性分子成分の結晶性複合体として定義されるが、塩と中性分子の複合体であってもよい。共結晶は溶融結晶化により、溶媒からの再結晶により、または各成分を一緒に物理的に粉砕することにより製造することができる。例えば、O.AlmarssonおよびM.J.ZaworotkoのChem. Commun., 17:1889〜1896(2004年)を参照。多成分複合体の一般的概説については、J.K.HaleblianのJ. Pharm. Sci., 64(8):1269〜88(1975年)を参照。
【0045】
式1および式1Aの化合物を含む化合物、並びに本明細書で開示され、命名された化合物に対する言及は、一般にそれらのすべての多形体および晶癖、プロドラッグ、代謝物質、立体異性体および互変異性体、並びにすべての同位体標識化合物を包含する。
【0046】
“プロドラッグ”は薬理活性が殆んどまたは全くなく、生体内で代謝されて所望の薬理活性を有する化合物に変換される化合物を意味する。プロドラッグは薬理学的に活性な化合物に存在する適切な官能性を、例えばH.BundgaarのDesign of Prodrugs(1985年)に記載のような“プロモエティ(pro-moiety)”で置換することにより製造することができる。プロドラッグの例は、それぞれカルボン酸またはアミノ官能基を有する式1および式1Aの化合物、並びに本明細書で開示され、命名された化合物のエステルまたはアミド誘導体を含む。プロドラッグの詳しい考察については、例えばT.HiguchiおよびV.Stellaの“新規なデリバリーシステムとしてのプロドラッグ”, ACS Symposium Series 14(1975年)およびE.B.Roche編のBioreversible Carriers in Drug Design(1987年)を参照。
【0047】
“代謝物質”は薬理学的に活性な化合物を投与したときに生体内で生成する化合物を意味する。例として、それぞれメチル、アルコキシ、第3アミノ、第2アミノ、フェニルおよびアミド基を有する式1および式1Aの化合物、並びに本明細書で開示され、命名された化合物のそれぞれヒドロキシメチル、ヒドロキシ、第2アミノ、第1アミノ、フェノールおよびカルボン酸誘導体が挙げられる。
【0048】
本明細書で開示された特定の化合物は立体異性体を有する。これらの化合物の幾つかは単独のエナンチオマー(エナンチオピュアな化合物)またはエナンチオマー混合物(富化されたおよびラセミ体の試料)として存在し、これは試料中における一方のエナンチオマーの他方に対する相対過剰率に応じて光学活性を示す。このような立体異性体は重ね合わせることができない鏡像体であり、立体軸または1個もしくはそれ以上の立体中心(すなわちキラリティー)を有する。他の化合物は、鏡像でない立体異性体であり得る。このような立体異性体はジアステレオマーとして知られており、キラルまたはアキラルであり得る(立体中心を含有しない)。これらはシス/トランス(またはZ/E)立体異性体が可能であるアルケニルまたは環状基を含有する分子、あるいは1個の立体中心の反転が相当するジアステレオマーを生成する2個またはそれ以上の立体中心を含有する分子を包含する。特に記述または他の明確さ(例えば立体結合、立体中心のデスクリプタなどを使用して)がない限り、本発明の範囲および開示には、一般にそれらが純粋である(例えばエナンチオピュアである)か混合物である(エナンチオマー的に富化された、またはラセミ体である)かに関らず、言及化合物およびその立体異性体が包含される。
【0049】
“互変異性体”は低いエネルギー障壁を介して相互に変換可能である構造異性体を意味する。互変異性は、化合物が例えばイミノ、ケトまたはオキシム基を含有するプロトン互変異性、または化合物が芳香族部分を含有する原子価互変異性の形態をとる。
【0050】
本明細書で開示された化合物はまた、少なくとも1個の原子が同じ原子番号を有するが、通常天然に存在する原子量と異なる原子量を有する原子により置換されるすべての薬学的に許容しうる同位体化合物を包含する。化合物に含まれるのに適した同位体は例えば2Hおよび3Hのような水素の同位体;11C、13Cおよび 14Cのような炭素の同位体;13Nおよび15Nのような窒素の同位体;15O、17Oおよび18Oのような酸素の同位体;35Sのような硫黄の同位体;18Fのようなフッ素の同位体;36Clのような塩素の同位体、並びに123Iおよび125Iのような沃素の同位体である。同位体変化化合物(例えば重水素、2H)の使用はより大き
な代謝安定性、例えば生体内半減期の増加または必要な投与量の減少による特定の治療上の利点をもたらす可能性がある。さらに、開示された化合物の特定の同位体変化化合物は放射性の同位体(例えばトリチウム、3H、または14C)を含有してもよく、薬物および/または基質の組織分布試験において有用であり得る。陽電子を放出する同位体、例えば11C、18F、15Oおよび13Nによる置換は基質受容体の占有率を検査するためのポジトロン断層法(PET)試験において有用である。同位体標識した化合物は、非標識試薬の代りに適当な同位体標識試薬を使用して本明細書の他の場所に記載の方法と同様にして製造することができる。
【0051】
式1、式1Aの化合物および上記で開示され、命名された化合物、並びにそれらの薬学的に許容しうる複合体、塩、溶媒和物および水和物それらの生物薬剤学的特性、例えば全般的なpHの溶解度および溶液安定性、浸透性などについて評価して適当な投与形態および投与経路を選択すべきである。医薬として使用しようする化合物は結晶質または非晶質の生成物として投与することができ、また例えば沈殿、結晶化、凍結乾燥、スプレー乾燥、蒸発乾燥、マイクロ波乾燥または高周波乾燥のような方法により固体プラグ(solid plugs)、粉末またはフィルムとして得ることができる。
【0052】
NRSを治療するために使用される化合物は多種多様の経口および非経口投与形態で製造および投与することができる。したがって、化合物は注射により、すなわち静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内または腹腔内投与することができる。また、本発明の化合物は吸入により、例えば鼻腔内投与することができる。さらに、化合物は経皮投与することができる。投与形態について説明する場合、活性な医薬成分とは式1、式1Aの化合物および本明細書で開示され、命名された化合物、並びにそれらの薬学的に許容しうる複合体、塩、溶媒和物および水和物を意味する。
【0053】
活性な医薬成分(API)の他に、医薬組成物は固体または液体であり得る薬学的に許容しうる担体を含有する。固体の投与形態には散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤がある。固体担体は一般に不活性であり、また例えば希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル化材料として働く1種またはそれ以上の物質(賦形剤)を含み得る。散剤には、担体は微粉化したAPIと混合される微粉化固体である;錠剤の場合、APIは典型的に必要な結合性を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状および大きさに圧縮される。
【0054】
散剤および錠剤は一般に質量に基づいて約5%〜約70%のAPIを含有する。適切な賦形剤には炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、スターチ、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、カカオ脂などがある。“製剤”なる用語は担体としてカプセル化材料を使用するAPIの処方物を包含し、活性成分を場合により他の担体と一緒に担体で囲み、従って一体化するカプセル剤を与える。錠剤、散剤、カプセル剤、カシェ剤およびトローチ剤は経口投与に適した固体投与形態として使用することができる。
【0055】
坐剤を製造する場合、例えば脂肪酸グリセリドまたはカカオ脂の混合物のような低融点ろうを最初に溶融し、その中でAPIを例えば撹拌により均一に分散させる。次に、溶融した均一な混合物を都合のいい大きさの型に注ぎ込み、冷却させ、それにより固化させる。
【0056】
液体の医薬組成物には例えば水またはプロピレングリコール水溶液を含有する液剤、懸濁剤および乳剤がある。注射剤に適した液体製剤はポリエチレングリコール水溶液で製剤化することができる。
【0057】
経口使用に適した水性液剤はAPIを水に溶解し、必要に応じて適切な着色剤、矯味矯臭剤、安定剤および増粘剤を加えることにより製造することができる。水性懸濁剤は微粉化APIを粘性物質、例えば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび他の懸濁化剤と一緒に水中で分散させることにより製造することができる。
【0058】
有用な医薬組成物には使用直前に経口投与に適した液体の医薬組成物に変換する予定の固体製剤も含まれる。このような液体投与形態には液剤、懸濁剤および乳剤がある。これらの製剤はAPIの他に着色剤、着香剤、安定剤、緩衝剤、人工および天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有する。
【0059】
医薬組成物は好ましくは単位投与形態である。このような場合、医薬組成物は適切な量のAPIを含有する単位投与量に細分される。単位投与形態はパッケージ製剤、個別量の製剤を含有するパッケージ、例えばパック入りの(packeted)錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤であってよい。また、単位投与形態はカプセル剤、錠剤、カシェ剤またはロゼンジ剤そのものであってよく、またはこれらの何れかを適切な数入れたパッケージ形態であってよい。
【0060】
単位投与製剤中の活性成分の量は特定の用途および活性成分の効力に応じて0.1mg〜1mgの範囲であり、調整することができる。NRSを治療するために、薬物は典型的に1日1回就寝前に、例えば1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、200mg、300mg、400mgまたは500mgのAPIを含有するカプセル剤または錠剤として投与される。本組成物は必要に応じて他の適合する治療剤を含有することもできる。
【0061】
治療的に使用する場合、開示された方法で使用される化合物は1日に約0.01mg/kg〜約100mg/kgの初期量で投与される。1日の投与量範囲は典型的に約0.02mg/kg〜約10mg/kgである。しかしながら、投与量は患者の必要量、治療する状態の重症度および使用する化合物に応じて変動する。特定の状況についての適切な投与量の決定は当業者の技量の範囲内である。症例によっては、治療は化合物の最適量より少ない投与量で開始される。その後、投与量はその状況下で最適な効果が得られるまで少しずつ増やされる。
【実施例】
【0062】
次の実施例は説明のためのものであり、これらに限定されず、本発明の特定の態様を示す。“化合物A”はα2δリガンド(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロプロペニル)−酢酸を意味する。
【0063】
方法
治験デザイン:NRS集団における化合物Aの効果を評価するために無作為化二重盲検、プラセボ−および活性成分−比較、多施設、4群クロスオーバー試験を行なった。最初にスクリーニング条件を満たしたNRS患者を無作為に試験対象として選択し、4つの処置(化合物A 25mg、化合物A 50mg、ゾルピデム10mgまたはプラセボ)のうち1つを2週間毎日受けさせ、その後1週間のウォッシュアウト期間を設けた。続いて、患者に残りの処置を交互に3回それぞれ2週間受けさせ、その後1週間のウォッシュアウト期間を設けた。各患者に就寝1時間前に化合物Aもしくはプラセボ、または就寝30分前にゾルピデムもしくはプラセボを経口投与(ブラインド化カプセル)した。それぞれの処置を食後少なくとも2時間してから受けさせた。
【0064】
診断および主な試験対象患者基準:試験対象として選択された患者は少なくとも3ヶ月前から定期的(3回以上/週)に回復せずにまたは元気でなく目覚め、これが社会的、職業的または昼間機能する他の重要な領域で有意な困難または障害を引き起こす人を含む年齢が18〜64歳の、男性および/または妊娠していなく授乳中ではない女性である。
【0065】
有効性および安全性の評価:この試験の主要評価項目は、それぞれの2週間の処置期間の終了時における睡眠による回復についてのアンケート−週1回の合計スコア(Restorative Sleep Questionnaire−Weekly(RSQ−W) Total Score)である。下記のRSQ−Wは合計スコアの値が大きいと回復度がより高いことを示す患者が報告したここ1週間の朝の回復度の成果判定である。残りの有効性/成果の評価項目はすべて二次的なものとみなした。有害事象情報、臨床検査値、身体診察、バイタルサインおよび心電図(ECG)を含む安全性データは試験中に集めた。
【0066】
統計的方法:すべての有効性/成果の評価項目を分析するのにフル・アナリシス・セット(Full Analysis Set)を使用した。フル・アナリシス・セットは、治験薬を与え、少なくとも1個の有効性/成果の変数において少なくとも1回ポスト・ベースラインを測定したベースラインを持つすべての無作為化された被験者で構成された。適切ならば、特定の有効性/成果の評価項目の感度分析についてパープロトコル・アナリシス・セット(Per−Protocol Analysis set)を使用した。パープロトコル・アナリシス・セットはプロトコルの逸脱が大きくないフル・アナリシス・セットからの全被験者を含む。プロトコルの逸脱は無作為化前に評価された主要な試験対象/試験除外基準および無作為化後に評価された主要なプロトコルの逸脱または違反を含んだ。(無作為化後に評価されたプロトコルの逸脱として)不適当な処置を受けた被験者に対する部分データはパープロトコル・アナリシス・セットに含まれている。安全性データを分析するのにセーフティ・アナリシス・セット(Safety Analysis Set)を使用し、それは何れかの治験薬を与えたすべての無作為化された被験者で構成された。
【0067】
主要な有効性評価項目について各活性成分をプラセボと比較した。各活性成分による処置に関して、検定された帰無仮説は、この評価項目について活性成分による処置とプラセボの間で真の平均値に差がないということである。それに対応する対立仮説は、この評価項目についてプラセボと比較して活性成分による処置の方が有利に真の平均値に差があるということである。それぞれの比較は少なくとも1回第1種の過誤が起こるという確率は0.05以上0.15以下であることを認識して名義的なアルファ=0.05の水準(片側検定)で行なった。
【0068】
モデルに基づいた要約:この試験の主要評価項目はそれぞれの2週間の処置期間の終了時におけるRSQ−Wの合計スコアである。この評価項目は固定因子としてシーケンス、期間および処置、並びに偶然因子としてシーケンス内被験者および被験者内誤差を含む線形モデルを使用して分析した。一次キャリーオーバー効果を調査し、10%の名義的有意水準で試験した。ペアワイズ比較を最終の線形モデルに基づいて行なった。プラセボ処置効果についての点推定値および90%信頼区間(Cis)は最小二乗(LS)平均および適切な標準誤差を使用して求めた。
【0069】
記述的要約:各項目およびRSQ−Wの合計スコアに関して、記述統計は処置およびビジットにより行なった。
【0070】
二次的/探求的目的のために、特定の二次的有効性評価項目をモデルに基づいた統計学的手法により分析した。これらの評価項目のそれぞれについて、帰無仮説は活性成分による処置とプラセボの間で真の平均値に差がないということである。それに対応する対立仮説は片側対立仮説の傾向は試験される評価項目の傾向に依存する(すなわち片側対立仮説の傾向は評価項目に特異的である)という了解の下でプラセボと比較して活性成分による処置の方が有利に真の平均値に差があるということである。すべての比較は二次的/探求的なものとみなし、それぞれ名義的なアルファ=0.05の水準(片側検定)で行なった。多重比較の調整は行なわなかった。
【0071】
すべての二次的有効性評価項目を記述的に要約した。二次的/探求的目的のために、主要な評価項目と同様の適切なモデルに基づいた統計学的手法を使用して次のスケールおよびサブスケールを分析した:
・ 睡眠による回復についてのアンケート−毎日(下記のRSQ−D):合計スコアの週平均;
・ 睡眠の昼間の結果のアンケート(DCSQ):合計スコア;
・ 疲労の多次元的評価(MAF):全般疲労指標、影響サブスケール;
・ 自覚的な睡眠についてのアンケート(SSQ):睡眠の質;
・ シーハン障害スケール(SDS):合計スコア;
・ SF−36v2:精神的健康度(MCS)、身体的健康度(PCS)、活力サブスケール;
・ 臨床全般印象スケール(CGIC):状態スコア;および
・患者全般印象スケール(PGIC):状態スコア。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
結果
被験者の内訳および人数:全部で149人の被験者をスクリーニングし、58人の被験者に処置を受けさせた。これらのうち、化合物A 50mgおよびゾルピデム処置をそれぞれ51人の被験者に受けさせ、また化合物A 25mgおよびプラセボ処置をそれぞれ50人の被験者に受けさせた。全部で9人の被験者が試験を中止した。
【0075】
有効性の結果:主要な有効性パラメーターに関して、化合物A 25mg投与グループのRSQ−Wの合計スコアの推定平均(LS平均)値(63.6)はプラセボ(58.8)およびゾルピデム(57.7)と比べて統計的に有意な差があり、また化合物A 50mg投与グループのLS平均(62.5)はゾルピデムと比べて統計的に有意な差があった。ゾルピデムはプラセボと比べて統計的に有意な差がなく、また化合物A 50mgは25mg投与と比べて統計的に有意な差がなかった。
【0076】
二次的有効性評価項目に関して、第2週におけるRSQ−Dの合計スコアは化合物 A投与についてプラセボと比べて統計的に有意な差を示さなかった。化合物A 25mg投与(61.5)はゾルピデム(57.7)と比べて統計的に有意な差があった。DCSQのスコア(0〜100のスケールで85.7〜87.6の範囲である)はすべての処置グループについて昼間の機能が良好であることを示した;どの処置もプラセボと比べて統計的に有意な差がなかった。第2週におけるMAF指標に関して、影響サブスケールのスコアは低く(疲労の影響が少ないことを示している)、すべての処置グループについて同等であった;化合物A投与はプラセボと比べて統計的に有意な差がなかった。全般疲労指標のスコアはすべての処置グループで低く、最低のLS平均は化合物A 25mgおよび50mgグループ(それぞれ11.3および12.4)で観察されたが、プラセボ(13.4)と比べて統計的に有意な差がなかった。SSQのスコアはプラセボ (LS平均73.3)と比べて化合物A 25mg投与(LS平均76.8)の方が統計的に有意に高く、また第2週におけるSDSの合計スコアはプラセボ(4.5)と比べて化合物A 25mgグループ(3.4)の方が統計的に有意に低い(障害が少ないことを示している)。SF−36v2の精神的および身体的健康度に関してプラセボと比べて統計的に有意な差は観察されなかったが、活力の測定では化合物A 25mg投与グループ(66.0)はプラセボ(60.2)と比べて有意な差が観察された。第2週におけるCGICに関して、化合物A 25mgおよび50mg投与(それぞれ3.0および3.1)とプラセボ(3.3)の間に統計的に有意な差は観察されなかった。PGICのスコアに基づいて、すべての処置グループは有意な差がなく最小の改善を報告した。夜間の機能スケールに関して、化合物A投与グループの被験者は一般にプラセボを服用した時よりも良い機能を、またゾルピデムを服用した時と同じ程度の機能を報告した。
【0077】
結論
α2δリガンドの(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロプロペニル)−酢酸は主要評価項目のRSQ−Wにおいて非回復性睡眠の被験者についてプラセボと比べて陽性の治療効果を示した。ゾルピデムはプラセボと差がなかった。主要評価項目の調査結果は二次的有効性評価基準に関する同様の結果により支持される。すべての治療は耐容性が良好であった;重篤な有害事象は報告されず、また臨床検査値、バイタルサイン測定値またはECG結果についてスクリーニング時と臨床的に有意な変化は観察されなかった。
【0078】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「a」、「an」および「the」のような単数の冠詞は、他に文脈上明確な指示がない限り単数の物または複数の物を意味し得る。したがって、例えば“化合物”を含有する組成物への言及は単独の化合物、あるいは2種またはそれ以上の化合物を含む。1種またはそれ以上の評価項目を有する本明細書で開示されたすべての数値域は評価項目と評価項目間のすべての数値を含む。上記の説明は単なる例示を意図したものであり、本発明を制限するものではない。上記の説明を読めば多くの態様が当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲に関連して決定されるべきであり、このような特許請求の対象である等価物の全範囲を包含する。特許、特許出願および刊行物を含むすべての論文および文献の開示は全体として参照により本明細書に加入される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効な量の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含み、該化合物はアルファ−2−デルタリガンドである非回復性睡眠に罹患している対象を治療する方法。
【請求項2】
化合物はγ−アミノ酸またはその薬学的に許容しうる塩である請求項1記載の方法。
【請求項3】
化合物はガバペンチンまたはその薬学的に許容しうる塩である請求項1記載の方法。
【請求項4】
化合物はプレガバリンまたはその薬学的に許容しうる塩である請求項1記載の方法。
【請求項5】
化合物は式1または1A
【化1】

[式中、Rは水素、または1〜4個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、
R1〜R14はそれぞれ独立して水素、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状アルキル、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、アミノ、アミノメチル、トリフルオロメチル、−CO2H、−CO2R15、−CH2CO2H、−CH2CO2R15、または−OR15から選択され、ここでR15は1〜6個の炭素原子の直鎖状または分枝状アルキル、フェニルまたはベンジルであり、そして
R1〜R8は同時に水素ではない]
により表される化合物またはその薬学的に許容しうる塩である請求項1記載の方法。
【請求項6】
化合物は(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロプロペニル)−酢酸またはその薬学的に許容しうる塩である請求項1記載の方法。
【請求項7】
化合物はβ−アミノ酸またはその薬学的に許容しうる塩である請求項1記載の方法。
【請求項8】
さらに非回復性睡眠の対象を診断することを含む請求項1〜8の何れかの項記載の方法。
【請求項9】
非回復性睡眠の治療のための請求項1〜7の何れかの項記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項10】
非回復性睡眠を治療するための医薬の製造における請求項1〜7の何れかの項記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の使用。

【公開番号】特開2007−238613(P2007−238613A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−53721(P2007−53721)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】