説明

非常放送設定装置および非常放送設定のためのプログラム

【課題】 非常放送動作の設定内容の確認を容易にすることのできる非常放送設定装置を提供する。
【解決手段】 非常放送設定装置1は、複数の感知器および複数のスピーカが設けられた非常放送装置の動作を設定するための装置である。非常放送設定装置1は、非常放送装置の動作を規定する設定データを入力する設定データ入力部10と、入力された設定データを記憶する設定データ記憶部14と、設定データ記憶部14から設定データを読み出し、設定データに対応する非常放送装置の動作を表す動作フロー画像を生成する動作フロー画像生成部18と、生成された動作フロー画像を出力する出力手段である表示部16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常放送装置の動作を設定するための非常放送設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非常放送装置の動作を設定するために非常放送設定装置が用いられている。非常放送装置は、装置本体に複数の感知器および複数のスピーカが接続されたシステムであり、感知器の作動に応じてスピーカから非常放送を行う。非常放送装置の動作は設定により変更可能である。例えば、非常放送には、感知器の作動を報せる発報放送と、発報放送の後に火災の発生を報せる火災放送とがあり、発報放送から火災放送への流れが設定により変更できる。
【0003】
非常放送設定装置は、上述した非常放送装置の動作を設定する装置である。非常放送設定装置にて、設定内容を表す設定データが作成される。設定データが非常放送設定装置から非常放送装置に移されて、非常放送装置にて動作が設定される。設定データは通信で転送されてもよい(特許文献1)。
【0004】
非常放送設定装置では多様な設定変更が可能である。作業者は、設定内容が誤りなく設定者の意図した動作を実現するものになっているかどうかを確認する必要がある。そこで、従来は、設定データが非常放送装置に実際に書き込まれ、実動作試験にて実際に非常放送が行われ、これにより設定内容が正しいかどうかが確認されていた。
【特許文献1】特開2000−163668号公報(第3−4ページ、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の非常放送装置においては、上述のように設定内容が正しいか否かを確認するために実動作試験が必要なので、設定内容を容易に確認することができず、設定作業者の負担が大きいという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、非常放送動作の設定内容の確認を容易にできる非常放送設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非常放送設定装置は、複数の感知器および複数のスピーカが設けられ、前記感知器の作動に応じて前記スピーカから非常放送を行う非常放送装置の動作を設定するための装置であり、本装置は、前記非常放送装置の動作を規定する設定データを入力する設定データ入力手段と、入力された前記設定データを記憶する設定データ記憶手段と、前記設定データ記憶手段から前記設定データを読み出し、前記設定データに対応する前記非常放送装置の動作を表す動作フロー画像を生成する動作フロー画像生成手段と、生成された前記動作フロー画像を出力する出力手段とを備えている。
【0008】
この構成により、設定データ記憶手段から設定データが読み出され、設定データに対応する非常放送装置の動作を表す動作フロー画像が生成され、この動作フロー画像が出力されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0009】
また、本発明の非常放送設定装置において、前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、少なくとも、発報放送から火災放送を経る動作を規定するデータを入力し、前記動作フロー画像生成手段は、前記設定データに示される前記発報放送から前記火災放送を経る動作フロー画像を生成する。
【0010】
この構成により、設定データに基づいて発報放送から火災放送を経る動作フロー画像が生成されて提供されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0011】
また、本発明の非常放送設定装置において、前記設定データは、前記発報放送の繰り返し間隔および繰り返し回数のデータと、前記発報放送から前記火災放送への移行時間のデータと、前記火災放送の後の一斉火災放送の有無のデータと、前記火災放送から前記一斉火災放送への移行時間のデータとを含む。
【0012】
この構成により、発報放送から火災放送を経て一斉火災放送に至る好適な動作フロー画像が生成されて提供されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0013】
また、本発明の非常放送設定装置において、前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記感知器の作動に応じて起動される感知器起動放送と、少なくとも発信機および非常電話のいずれか一つからの指示に応じて起動される発信機・非常電話起動放送と、手動起動操作器の操作に応じて起動される手動起動放送とからなる3種類の放送の動作を規定するデータを入力し、前記動作フロー画像生成手段は、前記3種類の放送にそれぞれ対応する3つの個別動作フロー図を別々の領域に描いた動作フロー図を生成する。
【0014】
この構成により、感知器起動放送、発信機・非常電話起動放送、手動起動放送といった3種類の非常放送の動作フロー画像が生成されて提供されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0015】
また、本発明の非常放送設定装置において、前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記発信機・非常電話起動放送および前記手動起動放送における前記発報放送の有無を示すデータを入力し、前記動作フロー画像生成手段は、前記発報放送が有りのデータが入力されたときに限り、前記発信機・非常電話起動放送および前記手動起動放送の前記個別動作フロー図として、前記発報放送の動作を含んだ前記個別動作フロー図を生成する。
【0016】
この構成により、発信機・非常電話起動放送および手動起動放送における発報放送の有無を表す動作フロー画像が生成されて提供されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0017】
また、本発明の非常放送設定装置において、前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記感知器起動放送にて前記感知器の作動に連動して前記発報放送を行うか該連動を停止するかの選択を規定するデータを入力し、前記動作フロー画像生成手段は、前記感知器起動放送の前記個別動作フロー図として、前記発報放送を連動で行うか該連動を停止するかの情報が入った前記個別動作フロー図を生成する。
【0018】
この構成により、感知器起動放送にて発報放送を連動で行うか否かを表す動作フロー画像が生成されて提供されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0019】
また、本発明の非常放送設定装置において、前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記手動起動放送に関して、手動起動操作で指定されたスピーカからの個別手動放送と、手動起動操作で指定されたスピーカおよび連動設定されたスピーカからの手動連動放送とのどちらを行うかの選択を規定するデータを入力し、前記動作フロー画像生成手段は、前記手動起動放送の前記個別動作フロー図として、前記個別手動放送と前記手動連動放送のどちらを行うかの情報が入った前記個別動作フロー図を生成する。
【0020】
この構成により、手動起動放送にて個別手動放送と手動連動放送のどちらを行うかを表す動作フロー画像が生成されて提供されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0021】
また、本発明の非常放送設定装置において、前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、感知器の作動に応答して出火階および所定の連動階にて連動放送を行うか、前記連動階に限られない連動一斉放送を行うかの選択を規定するデータを入力し、前記動作フロー画像生成手段は、前記連動放送および前記連動一斉放送のどちらを行うかの情報が入った前記動作フロー図を生成する。
【0022】
この構成により、感知器の作動に応答して連動放送を行うか連動一斉放送を行うかを表す動作フロー画像が生成されて提供されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0023】
また、本発明は、複数の感知器および複数のスピーカが設けられ、前記感知器の作動に応じて前記スピーカから非常放送を行う非常放送装置の動作を設定するためにコンピュータで実行させるプログラムに関し、本プログラムは、前記非常放送装置の動作を規定する設定データを入力するステップと、入力された前記設定データを設定データ記憶手段に記憶するステップと、前記設定データ記憶手段に記憶された前記設定データを読み出し、前記設定データに対応する前記非常放送装置の動作を表す動作フロー画像を生成するステップと、生成された前記動作フロー画像を出力手段から出力するステップとを前記コンピュータに実行させる。この構成により、装置の態様と同様に、プログラムの態様でも、上述したように、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【0024】
また、本発明のプログラムは、前記設定データとして、少なくとも、発報放送から火災放送を経る動作を規定するデータを入力し、前記設定データに示される前記発報放送から前記火災放送を経る動作フロー画像を生成する。この構成により、装置の態様と同様に、プログラムの態様でも、上述したように、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、設定データ記憶手段から設定データを読み出し、設定データに対応する非常放送装置の動作を表す動作フロー画像を生成し、この動作フロー画像を出力する構成を設けることにより、非常放送動作の設定内容の確認を容易にできるという効果を有する非常放送設定装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態の非常放送設定装置について、図面を用いて説明する。
【0027】
本発明の実施の形態の非常放送設定装置を図1に示し、非常放送設定装置により非常放送動作が設定される非常放送装置を図2に示す。以下では、まず図2の非常放送装置について説明し、続いて、図1の非常放送設定装置について説明する。
【0028】
図2において、非常放送装置100は本体装置102を備えており、本体装置102には、操作用の各種のスイッチやランプなどが設けられており、また、放送用のマイクも備えられている。本体装置102は、非常放送装置100が設置される建物の各階に配置されたスピーカ104と接続されている。
【0029】
また、建物の各階には感知器106および発信機108が備えられており、感知器106および発信機108は受信機110と接続され、受信機110が本体装置102と接続されている。感知器106は、火災を感知すると作動し、火災感知を示す信号を受信機110に送る。そして、受信機110から本体装置102へ、火災を感知した感知器106を示す信号が送られる。また、発信機108が管理者等に操作される。発信機108の操作信号も受信機110に受信され、そして、受信機110から本体装置102へ、操作された発信機108を示す信号が送られる。
【0030】
図2では、1階のスピーカ104、感知器106および発信機108が示され、さらに2階のスピーカ104が示されている。しかし、スピーカ104、感知器106および発信機108は、建物の各階に備えられている。
【0031】
また、図2では発信機108が示されているが、非常電話が発信機108と同様に各階に設けられ、受信機110と接続されてもよい。発信機と非常電話の両方が備えられてもよい。
【0032】
次に、非常放送装置100による非常放送動作を説明する。非常放送装置100は、感知器起動放送、発信機・非常電話起動放送、手動起動放送といった3種類の放送を行う。感知器起動放送は、感知器104の作動に応じて起動される。発信機・非常電話起動放送は、少なくとも発信機および非常電話のいずれか一つからの指示に応じて起動される。手動起動放送は、手動起動操作器の操作に応じて起動される。手動起動操作器は本体装置102に備えられた非常起動スイッチである。図3〜図5は、それぞれ、感知器起動放送、発信機・非常電話起動放送、手動起動放送の動作を示している。図3〜図5の説明の前に、非常放送に関する用語を説明しておく。
【0033】
まず、発報放送とは、感知器動作を伝えるメッセージを流す放送であり、火災放送とは、火災発生を伝えるメッセージを流す放送である。一斉火災放送は、火災発生を放送対象の全体に伝える放送である。非火災放送とは、火災が発生していない旨のメッセージを流す放送である。
【0034】
また、連動一斉とは、火災感知器と連動し、火災感知器の動作時に自動的に全館一斉非常放送を行える状態をいう。連動とは、火災感知器と連動し、火災感知器動作時に自動的に出火階と連動階に非常放送を行える状態をいう。出火階とは、出火したエリアが存在する階をいい、連動階とは、出火した階に連動して放送を行うエリアである。出火階の一つ上の階は必ず連動階に設定される。
【0035】
また、発報連動停止とは、火災感知器動作時に発報放送をせず、本体装置のスピーカから火災音信号が鳴る状態をいう。火災音信号は、発報連動停止時に本体装置のモニタースピーカから鳴るブザー音である。
【0036】
また、第一報とは、はじめに火災報知設備から出力された信号をいい、その次の信号を第二報という。階別信号は、火災感知器が火災を感知したことを示すために、火災報知設備より出力される信号である。火災確認信号は、火災が確認された後に、火災報知設備から出力される信号である。
【0037】
また、第1タイマー(火災放送移行タイマー)は、階別信号受信後、火災放送に移行するまでの移行時間の経過を計るタイマーであり、移行時間は予めに設定されている。移行時間は例えば2〜5分である。移行時間が経過して自動的に火災放送に移行することを第1タイマータイムアップという。
【0038】
また、第2タイマー(火災一斉放送移行タイマー)は、出火階および連動階にて火災放送が開始された後、自動的に全館への一斉火災放送へと移行するまでの移行時間の経過を計るタイマーであり、この移行時間も予め設定されている。この移行時間は概ね数分である。移行時間が経過して一斉火災放送に移行することを第2タイマータイムアップという。第2タイマーが0分のときは直ちに一斉火災放送に移行し、第2タイマーがオフのときは一斉火災放送へは移行しない。
【0039】
また、手動連動は、手動非常起動にて本体装置の放送階選択スイッチが押されたときに、放送階に加えて連動階も一緒に自動的に放送を出力することをいう。個別手動は、放送階選択スイッチで選択された放送階にのみ放送を出力することをいう。
【0040】
図3は感知器起動放送の動作を示しており、感知器起動放送は、第一報として感知器から階別信号が入力されたときに行われる。感知器起動放送では、まず、発報放送または火災音信号鳴動が行われる(S200)。火災音信号鳴動では発報放送が行われず、本体装置のモニタースピーカからブザー音が鳴る。発報放送と火災音信号鳴動のどちらを行うかは内部設定による。
【0041】
発報放送または火災音信号鳴動の開始後に、火災放送への移行条件が成立すると(S202)、火災放送が出力される(S204)。移行条件は、図示のように、本体装置の非常起動スイッチが押されたとき、火災放送スイッチが押されたとき、発信機から火災確認信号が送られたとき、非常電話から火災確認信号が送られたとき、第2感知器から階別信号が送られたとき、第2感知器から火災確認信号が送られたとき、または、第1タイマーがタイムアップになったときに成立する。上記のいずれか一つが成立すれば火災放送が開始する。
【0042】
火災放送が開始した後、第2タイマーがタイムアップになると(S206)、一斉火災放送が行われる(S208)。ただし、第2タイマーがオフのときは一斉火災放送は行われない。
【0043】
また、発報放送、火災音信号鳴動、火災放送または一斉火災放送の出力中に本体装置の非火災放送スイッチが押されると(S210)、非火災放送が出力される(S212)。
【0044】
図4の発信機・非常電話起動放送は、発信機または非常電話から第一報の信号が入力されたときに行われる。発信機・非常電話起動放送では、内部設定により、発報放送を行う場合と、行わない場合がある。前者の場合、発報放送が行われ(S220)、火災放送への移行条件が成立すると(S222)、火災放送が出力される(S224)。移行条件は、図示のように、本体装置の非常起動スイッチが押されたとき、火災放送スイッチが押されたとき、感知器から階別信号が送られたとき、または、発報放送が終了したときに成立する。発報放送を行わないときは、火災放送が最初から出力される。
【0045】
火災放送が開始した後は、感知器起動放送と同様に、第2タイマーがタイムアップになると(S226)、一斉火災放送が行われる(S228)。ただし、第2タイマーがオフのときは一斉火災放送は行われない。また、発報放送、火災放送または一斉火災放送の出力中に本体装置の非火災放送スイッチが押されると(S230)、非火災放送が出力される(S232)。
【0046】
図5の手動起動放送は、非常起動スイッチが押されたときに行われる。手動起動放送でも、内部設定により、発報放送を行う場合と、行わない場合がある。前者の場合、非常起動スイッチと放送階選択スイッチが押されると、発報放送が行われ(S240)、火災放送への移行条件が成立すると(S242)、火災放送が出力される(S244)。移行条件は、図示のように、本体装置の非常起動スイッチが押されたとき、火災放送スイッチが押されたとき、発信機から階別信号および火災確認信号が送られたとき、非常電話から階別信号および火災確認信号が送られたとき、感知器から階別信号が送られたとき、または、第1タイマーがタイムアップになったときに成立する。
【0047】
火災放送が開始した後は、感知器起動放送と同様に、第2タイマーがタイムアップになると(S246)、一斉火災放送が行われる(S248)。ただし、第2タイマーがオフのときは一斉火災放送は行われない。また、発報放送、火災放送または一斉火災放送の出力中に本体装置の非火災放送スイッチが押されると(S250)、非火災放送が出力される(S252)。
【0048】
以上に非常放送装置100の適当な例について説明した。次に、上記の非常放送装置100の動作を設定するための非常放送設定装置1について説明する。
【0049】
図1において、非常放送設定装置1は、CPU、メモリ等を有するコンピュータで構成されており、設定データ入力部10、制御処理部12、設定データ記憶部14、表示部16および動作フロー画像生成部18が設けられている。
【0050】
設定データ入力部10は、非常放送装置100の動作を規定する設定データを入力するものである。非常放送設定装置1がパーソナルコンピュータで構成され、設定データ入力部10がキーボードおよびポインティングデバイス等であってもよい。非常放送設定用のアプリケーションソフトウエアをパーソナルコンピュータに組み込むことで非常放送設定装置1が好適に実現される。また、非常放送設定装置1が専用筐体を有する装置であり、設定データ入力部10が筐体前面の操作スイッチ等であってもよい。
【0051】
制御処理部12は、非常放送設定装置1の全体を統括し、制御する。制御処理部12は、設定データ入力部10から入力された設定データを設定データ記憶部14に記憶させ、また、設定データ記憶部14から設定データを読み出す。また、制御処理部10は、表示部16に、設定データの設定内容およびその他の画像を表示させる。
【0052】
設定データ記憶部14は、設定データ入力部10に入力された設定データを記憶する。具体的には、非常放送設定装置1を実現するコンピュータのメモリおよび外部記憶装置が、設定データ記憶部14に相当している。外部記憶装置はハードディスクである。さらに、非常放送設定装置1は、記録媒体を脱着可能に構成されている。この記録媒体も設定データ記憶部14に相当する。設定データを非常放送設定装置1から非常放送装置100へ移すときは、設定データが記録媒体に書き込まれ、そして、記録媒体が非常放送設定装置1から外され、非常放送装置100へ装着され、そして、非常放送装置100で記録媒体から設定データが読み込まれ、設定データに従って非常放送装置100の動作が設定される。上記の取外し可能な記録媒体は、例えば、固体メモリを内蔵したPCカードである。
【0053】
表示部16は出力手段であり、液晶またはCRT等のディスプレイで構成されている。表示部16は、制御処理12の制御下で非常放送設定装置1の操作に必要な各種の画面を表示する。表示される画面には、設定データの入力画面が含まれる。
【0054】
動作フロー画像生成部18は、制御処理部10に設けられており、設定データ記憶部14から設定データを読み出し、設定データに対応する非常放送装置100の動作を表す動作フロー画像を生成する処理を行う。動作フロー画像も上記の表示部16に表示される。
【0055】
図6は、表示部16に表示される設定データの入力画像を示している。図6の入力画像は制御処理部12により表示部16に表示される。そして、設定データ入力部10が操作されて入力画像の各所にデータが書き込まれ、書き込まれたデータが設定データ入力部10から制御処理部12に送られ、これにより設定データが入力される。
【0056】
図6では、音声警報の入力ページが表示されている。その他にも複数の入力ページが表示される。各入力ページのタブが選択されると、該当ページが表示される。具体的には、機器構成、出火・連動階、スピーカー回線、優先順位、音声入力、外部制御出力、その他機能、各部名称およびユーザ情報の入力ページが切替操作に応じて表示される。これらのうち、図6に表された音声警報の入力ページが、非常放送の動作を規定する設定データを入力するページであり、以下の説明では、同図の音声警報の入力ページを対象とした設定データの入力について説明する。
【0057】
図6において、まず、左側上半部には、発報放送設定、火災放送設定、一斉火災放送設定の入力欄が設けられている。
【0058】
発報放送設定に関しては、繰り返し間隔が入力される。繰り返し間隔は、「無」または適当な時間に設定可能である。繰り返し間隔が「無」であれば、間隔を開けずに発報放送が繰り返される。繰り返し間隔が適当な時間(秒数)に設定されると、設定された間隔を開けて発報放送が繰り返される。また、発報放送に関しては、繰り返し回数が入力される。繰り返し回数は、「無限回」および適当な回数に設定可能である。「無限回」が設定されると、発報放送が繰り返し続けられる。適当な回数が設定されると、設定された回数だけ発報放送が繰り返される。
【0059】
また、火災放送設定に関しては、第1タイマーの移行時間が入力される。第1タイマーの移行時間は、発報放送開始から火災放送に移行するまでの時間である。
【0060】
また、一斉火災放送設定に関しては、放送指定の有無が入力され、さらに、第2タイマーの移行時間が入力される。放送指定の有無は、一斉火災放送を行うかどうかのを示す。放送指定が「有」であれば第2タイマーが有効になり、一斉火災放送が行われる。放送指定が「無」であれば、第2タイマーが無効になり、一斉火災放送は行われない。第2タイマーの移行時間は、火災放送の開始から一斉火災放送に移行するまでの時間である。
【0061】
次に、図6の右側上半部には、言語指定設定の入力欄が設けられ、その下に、発信機・手動起動設定、発報連動設定、感知器連動設定および手動連動設定の入力欄が設けられている。
【0062】
言語指定設定の欄には、英語の有無のデータが入力される。「無」が設定されれば、日本語で放送が出力され、「有」が設定されれば、日本語および英語で放送が出力される。さらに、言語指定設定では、第2外国語の有無のデータが入力される。「無」が設定されれば、上記の英語有無の設定に従い、日本語のみ、または、日本語+英語で放送が出力される。「有」が設定されれば、日本語+英語+第2外国語で放送が出力される。
【0063】
発信機・手動起動設定の欄には、発信機・非常電話起動放送および手動起動放送における発報放送の有無を示すデータ(発報放送をするか火災放送をするか)が入力される。図示のように「発報」が設定されると、発報放送が行われ、その後に火災放送が行われる。「発報」の代わりに「火災」が設定されると、発報放送が行われず、火災放送がまず出力される。
【0064】
発報連動設定の欄には、感知器起動放送にて感知器の作動に連動して発報放送を行うか、連動を停止するかが入力される。発報連動として「連動」が設定されると、感知器起動時に自動的に発報放送が出力される。一方、「停止」が設定されると、発報放送は出力されず、火災音信号鳴動が実行され、すなわち、火災放送装置100の本体装置102のモニタースピーカから火災音信号が出力される。
【0065】
感知器連動設定の欄には、感知器の作動に応答して出火階および連動階で連動放送を行うか、連動対象に限られない連動一斉放送を行うかのデータが入力される。「連動」が設定されると、放送エリアが連動になり、出火階および連動階で放送が出力される。「連動一斉」が設定されると、放送エリアが連動一斉になり、一斉放送が行われる。
【0066】
手動連動設定では、手動起動放送に関して、手動起動操作で指定されたスピーカからの個別手動放送を行うか、手動起動操作で指定されたスピーカおよび連動設定されたスピーカからの手動連動放送を行うかのデータが入力される。「連動」が設定されると、手動起動時に、手動起動操作による指定放送階と、指定放送階に連動するように設定された連動階にて放送が出力される。「個別」が設定されると、連動階では放送されず、指定放送階でのみ放送が出力される。
【0067】
その他、図6の下半部には、階情報設定および階情報管理データの選択の欄が設けられている。これらの設定データは後述の動作フロー図に表されないので、ここでの説明は省略する。
【0068】
図6の上部を参照すると、設定データの入力画像には、さらに、「読込み」「保存」の操作ボタンが表示される。「読込み」ボタンは、以前に作成された設定データを設定データ記憶部14から読み出すときに操作される。「保存」ボタンは、入力された設定データを設定データ記憶部14に保存する場合に操作される。設定データは、設定データファイルとして保存される。
【0069】
設定データの読込みおよび保存は、ハードディスク等の外部記憶装置に対して行われ、また、前述したPCカード等の脱着可能な記録媒体に対して行われる。設定完了後は、設定データが記録媒体に保存される。そして、記録媒体が取り外され、持ち運ばれ、非常放送装置100の本体装置102に装着される。そして、本体装置102で、記録媒体から設定データが読み込まれる。読み出された設置データに従って本体装置102の動作が内部設定される。
【0070】
また、「読込み」「保存」の操作ボタンの隣には、「動作フロー」の操作ボタンが表示されている。「動作フロー」ボタンが操作されると、動作フロー画像生成部18が、入力された設定データに基づいて動作フロー画像を生成する。動作フロー画像は、設定データに対応する非常放送装置の動作を表す。動作フロー画像は制御処理部12により表示部16に表示される。
【0071】
図7は、動作フロー画像の例を示している。図7の動作フロー画像は、図6の入力画像に表された設定データと対応している。
【0072】
図7に示されるように、動作フロー画像は3つの個別動作フロー画像からなる。3つの個別動作フロー画像は、感知器起動放送、発信機・非常電話起動放送および手動起動放送のフローである。これら3つの動作フロー画像は別々の領域に描かれており、より具体的には横方向に並べられている。
【0073】
まず、感知器起動放送の個別動作フロー画像は、感知器起動による発報放送から火災放送および一斉火災放送を経て非火災放送に至るフローの画像である。発報放送、火災放送、一斉火災放送および非火災放送の各々が四角の枠で囲まれ、上から下へ順次配列され、これら四角が線で結ばれている。発報放送と火災放送の間には、火災放送への移行条件が、やはり四角の枠を用いて表示されている。そして、火災放送と一斉火災放送の間にも、一斉火災放送への移行条件である第2タイマーの情報が表示されている。さらに、非火災放送の手前には、非火災放送への移行条件(具体的には、非火災放送スイッチの手動起動)が表示されている。
【0074】
図7の感知器起動放送の個別動作フロー画像には、図6の設定データが下記のように反映されている。
【0075】
まず、図6の発報連動設定が「連動」なので、図7では「発報放送」が最上部に表示されており、さらに、「発報放送」の内容として、発報放送設定の繰り返し間隔および繰り返し回数が表示されている。また、図6の感知器連動設定が「連動」なので、個別動作フロー画像の右上部(詳細には右上隅部)に「発報連動」と表示されている。さらに、図6の感知器連動設定が「連動」なので、上記の「発報連動」の下に「連動」と表示されている。
【0076】
また、図6の火災放送設定の第1タイマー移行時間(5分)が、火災放送へに移行条件に表示されている。さらに、図6の一斉火災放送設定にて放送指定が「有」なので、「火災放送」の後に「一斉火災放送」の枠が配置されている。そして、第2タイマー移行時間(5分)が、一斉火災放送への移行条件として表示されている。
【0077】
次に、発信機・非常電話起動放送の個別動作フロー画像も、感知器起動放送の個別動作フロー画像と概ね同様であり、発報放送から火災放送および一斉火災放送を経て非火災放送に至るフローの画像である。図7の発信機・非常電話起動放送の個別動作フロー画像には、図6の設定データが下記のように反映されている。
【0078】
まず、図6の発信機・手動起動設定が「発報」なので、図7では「発報放送」が最上部に表示されており、そして、「発報放送」の内容として、発報放送設定の繰り返し間隔および繰り返し回数が表示されており、さらに、個別動作フロー画像の右上部に「発報」と表示されている。また、図6の感知器連動が「連動」なので、上記の「発報」の下に「連動」と表示されている。火災放送から最下部の非火災放送までの表示は、感知器起動の個別動作フロー画像と同様である。ここでは一斉火災放送および第2タイマーに関して、一斉火災放送設定のデータが反映されている。
【0079】
なお、発信機・手動起動設定が「火災」であれば、後述するように、上部の「発報放送」に関する表示は消去され、そして、右上隅部には「発報」の代わりに「火災」と表示される。
【0080】
次に、手動起動放送の個別動作フロー画像も、上記の2つの個別動作フロー画像と概ね同様であり、発報放送から火災放送および一斉火災放送を経て非火災放送に至るフローの画像である。図7の手動起動放送の個別動作フロー画像には、図6の設定データが下記のように反映されている。
【0081】
まず、発信機・非常電話起動放送と同様に、図6の発信機・手動起動設定が「発報」なので、図7では「発報放送」が最上部に表示されており、そして、「発報放送」の内容として、発報放送設定の繰り返し間隔および繰り返し回数が表示されており、さらに、個別動作フロー画像の右上部に「発報」と表示されている。さらに、図6の感知器連動が「連動」なので、上記の「発報」の下に「連動」と表示されている。
【0082】
また、図6の手動連動設定が「連動」なので、右上部の「連動」の下に「手動連動」と表示されている。さらに、火災放送への移行条件に、図6の火災放送設定の第1タイマー移行時間が表示されている。火災放送から最下部の非火災放送までの表示は、他の2つの個別動作フロー画像と同様である。
【0083】
また、発信機・非常電話起動と同様に、発信機・手動起動設定が「火災」であれば、後述するように、上部の「発報放送」に関する表示は行われず、また右上隅部には「発報」の代わりに「火災」と表示される。
【0084】
以上に図7の3つの個別動作フロー画像について説明した。図7を参照すると、動作フロー画像では、これら個別動作フロー画像に加えて、上方に言語が表示されている。言語は、図6の言語指定設定の内容を表示している。また、言語の表示の右方には、「画面保存」および「画面印刷」の操作ボタンが表示されている。「画面保存」ボタンが操作されると、動作フロー画像が設定データ記憶部14に保存される。また、「画面印刷」ボタンが操作されると、動作フロー画像がプリンタから印刷される。
【0085】
次に、図8〜図10を参照し、上述した動作フロー画像を生成するための動作フロー画像生成部18の処理を説明する。動作フロー画像の全体的な生成処理としては、図7の各部分の表示位置および各部分に表示すべき文字が予め決められており、これら表示位置および表示文字の情報が非常放送設定装置1の記憶部に記憶されている。そして、これら表示位置および表示文字の情報が動作フロー画像生成部18により読み出され、読み出された情報に従って図7の動作フロー画像が生成される。
【0086】
動作フロー画像中には、設定データに応じて変わるべき部分(ここでは表示変化部分という)がある。表示変化部分としては、表示の有無が変わる部分、表示位置が変わる部分、表示内容、特に表示文字が変わる部分がある。これらの表示変化部分については、設定データ記憶部14から読み出された設定データが参照され、設定データを反映するように画像が生成される。
【0087】
図8〜図10は、感知器起動放送、発信機・非常電話起動放送および手動起動放送の個別動作フロー画像を生成する処理を示しており、各々の図は、上述した表示変化部分に関する処理である。なお、全体的な画像生成は、上述した通り、予め設定された表示位置および表示文字の情報に従って行われるので、図8〜図10には示されていない。
【0088】
図8に示されるように、感知器起動放送の個別動作フロー画像の生成では、発報連動設定が「連動」か「停止」かが判定される(S10)。発報連動設定が「連動」であれば、「発報放送」の表示が配置され、「発報放送」の内容として、発報放送設定の繰り返し間隔および繰り返し回数が描かれ(S12)、さらに、右上部に「発報連動」の表示が配置される(S14)。また、ステップS10にて発報連動設定が「停止」の場合、「発報放送」の代わりに「火災信号鳴動」の表示が配置され(S16)、そして、右上部に「発報停止」の表示が配置される(S18)。
【0089】
ステップS14またはS18の後、火災放送設定が参照されて、第1タイマー移行時間の数値が、火災放送への移行条件部分に描かれる(S20)。
【0090】
また、感知器連動設定が「連動」か「連動一斉」かが判定される(S22)。そして、判定結果に応じて、右上部の該当位置に「連動」の表示が配置され(S24)、あるいは、「連動一斉」の表示が配置される(S26)。
【0091】
また、設定データから一斉火災放送の有無が判定される(S28)。この判定は、一斉火災放送設定の放送指定の有無で表される。一斉火災放送が「有」であれば、第2タイマーの移行時間が描かれ(S30)、「一斉火災放送」の枠も該当個所に配置される(S32)。一斉火災放送が「無」であれば、第2タイマーの移行時間に「off」が描かれ(S34)、「一斉火災放送」の枠は削除され、配置されない(S36)。
【0092】
次に、図9は発信機・非常電話起動放送の個別動作フロー画像の生成であり、図9では、発信機・手動起動設定が「発報」か「火災」かが判定される(S40)。発信機・手動起動設定が「発報」であれば、「発報放送」の表示が配置され、「発報放送」の内容として、発報放送設定の繰り返し間隔および繰り返し回数が描かれ(S42)、さらに、右上部に「発報」の表示が配置される(S44)。また、ステップS40にて発信機・手動起動設定が「火災」の場合、「発報放送」の枠は削除され、配置されない(S46)。この場合、「発報放送」に関する全画像が非表示になり、発報放送から火災放送への移行条件も非表示になる。そして、右上部には「発報」の代わりに「火災」の表示が配置される(S48)。
【0093】
図9では、感知器連動設定に関連して、ステップS50〜S54の処理が行われる。さらに、一斉火災放送設定に関してステップS56〜S64の処理が行われる。ステップS50〜S54は、図8の対応するステップS22〜S26と同様であり、また、ステップS56〜S64は、図8の対応するステップS28〜S36と同様であり、したがって、これらの説明は省略する。
【0094】
次に、図10は手動起動放送の個別動作フロー画像の生成であり、図10では、発信機・手動起動設定が「発報」か「火災」かが判定される(S70)。発信機・手動起動設定が「発報」であれば、「発報放送」の表示が配置され、「発報放送」の内容として、発報放送設定の繰り返し間隔および繰り返し回数が描かれ(S72)、さらに、右上部に「発報」の表示が配置される(S74)。また、火災放送設定が参照されて、第1タイマー移行時間の数値が、火災放送への移行条件部分に描かれる(S76)。ステップS70にて発信機・手動起動設定が「火災」の場合、「発報放送」の枠は削除され、配置されず(S78)、そして、右上部には「発報」の代わりに「火災」の表示が配置される(S80)。
【0095】
また、図10では、感知器連動設定に関連して、ステップS82〜S86の処理が行われる。ステップS82〜S86は、図8の対応するステップS22〜S26と同様であり、したがって、これらの説明は省略する。
【0096】
また、図10では、手動連動設定が「連動」か「個別」かが判定される(S88)。そして、判定結果に応じて、右上部の該当位置に「手動連動」の表示が配置され(S90)、あるいは、「手動個別」の表示が配置される(S92)。
【0097】
また、図10では、一斉火災放送設定に関してステップS94〜S102の処理が行われる。ステップS94〜S102は、図8の対応するステップS28〜S36と同様であり、したがって、これらの説明は省略する。
【0098】
以上に、図8〜図10を参照して、動作フロー図の生成処理を説明した。次に、図6および図7の具体例と図8〜図10の処理の対応関係を説明する。ここでは、図6の設定データに基づいて、図8〜図10の処理により、どのようにして図7の動作フロー画像が生成されるかを説明する。
【0099】
まず、感知器起動放送の個別動作フロー画像については、図6の設定データにて発報連動設定が「連動」なので、図8のステップS10の判定結果が「連動」になり、ステップS12にて「発報放送」の表示が配置され、「発報放送」の繰り返し間隔および繰り返し回数が描かれ、さらに、ステップS14にて右上部に「発報連動」の表示が配置される。また、ステップS20にて第1タイマー移行時間の数値が、火災放送への移行条件部分に描かれる。また、図6の設定データにて、感知器連動設定が「連動」なので、ステップS22の判定結果が「連動」になり、ステップS24で右上部に「連動」の表示が配置される。また、図6の設定データにて、一斉火災放送の放送指定が「有」なので、S28の判定結果が「有」になり、ステップS30にて第2タイマーの移行時間が描かれ、ステップS32にて「一斉火災放送」の枠が該当個所に配置される。以上のようにして、図7の感知器起動放送の個別動作フロー画像が描かれる。
【0100】
次に、発信機・非常電話起動放送の個別動作フロー画像については、図6の設定データにて、発信機・手動起動設定が「発報」なので、図9のステップS40の判定結果が「発報」になり、ステップS42で「発報放送」の表示が配置され、「発報放送」の繰り返し間隔および繰り返し回数が描かれ、ステップS44で右上部に「発報」の表示が配置される。感知器連動設定および一斉火災放送設定に関しては、前述したように感知器起動放送のフロー画像生成と同じ処理が行われ、したがって、この部分に関しては図7でも同様の画像が描かれている。
【0101】
次に、手動起動放送の個別動作フロー画像については、図6の設定データにて、発信機・手動起動設定が「発報」なので、ステップS70の判定結果が「発報」になり、ステップS72で「発報放送」の表示が配置され、「発報放送」の繰り返し間隔および繰り返し回数が描かれ、ステップS74で右上部に「発報」の表示が配置される。さらに、ステップS76で第1タイマーの移行時間が描かれる。また、図6の設定データにて手動連動が「連動」なので、ステップS88の判定結果が「連動」になり、ステップS90で右上部に「手動連動」の表示が配置される。その他、感知器連動設定および一斉火災放送設定に関しては、前述したように感知器起動放送のフロー画像生成と同じ処理が行われ、したがって、これらの部分に関しては図7でも同様の画像が描かれている。
【0102】
図11および図12は、設定データおよび動作フロー画像の別の具体例を示している。前出の図6の設定データと異なり、図11の設定データでは、発信機・手動起動設定が「火災」である。この相違により、図9のステップ40の判定結果が「火災」になり、ステップS46、S48の処理が行われている。また、図10のステップS70の判定結果も「火災」になり、ステップS78、S80の処理が行われている。その結果、図7と異なり、図12では、発信機・非常起動放送および手動起動放送のフロー画像にて、「発報放送」の枠は削除され、配置されていない。「発報放送」に関する全画像が非表示になり、発報放送から火災放送への移行条件も非表示になっている。また、右上部には「発報」の代わりに「火災」の表示が配置されている。
【0103】
また、図11の設定データでは、図6の設定データと異なり、発報連動設定が「停止」である。この相違により、図8のステップS10の判定結果が「停止」になり、ステップS16、S18の処理が行われている。その結果、図7と異なり、図12では、感知器起動放送のフロー画像にて、「火災信号鳴動」の表示が配置され、そして、右上部に「発報停止」の表示が配置されている。
【0104】
図13および図14は、設定データおよび動作フロー画像のさらに別の具体例を示している。図13の設定データでは、図6の設定データと異なり、一斉火災放送設定の放送指定が「無」である。この相違により、図8のステップS28の判定結果が「無」になり、ステップS34、S36の処理が行われている。その結果、図7と異なり、図14では、感知器起動放送のフロー画像にて、第2タイマーの移行時間に「off」が描かれ、「一斉火災放送」の枠も削除され、配置されていない。発信機・非常電話起動放送および手動起動放送のフロー画像も同様に生成されている。
【0105】
また、図13の設定データでは、図6の設定データと異なり、感知器連動設定が「連動一斉」である。この相違により、図8のステップS22の判定結果が「連動一斉」になり、ステップS26の処理が行われている。その結果、図7と異なり、図14では、感知器起動放送のフロー画像にて、右上部の該当位置に「連動一斉」の表示が配置されている。この部分は、発信機・非常電話起動放送および手動起動放送のフロー画像も同様に処理されている。
【0106】
さらに、図13の設定データでは、図6の設定データと異なり、手動連動設定が「個別」である。この相違により、図10のステップS88の判定結果が「個別」になり、ステップS92の処理が行われている。その結果、図7と異なり、図14では、手動起動放送のフロー画像にて、右上部の該当位置に「手動個別」の表示が配置されている。
【0107】
以上に本実施の形態の非常放送設定装置1による動作フロー画像の処理機能について説明した。
【0108】
次に、非常放送設定装置1がとり得る各種の形態について説明する。非常放送設定装置1は前述のようにパーソナルコンピュータでもよいが、その他の形態でもよく、例えば、携帯電話または携帯端末であってもよい。非常放送装置1から非常設定装置100へは、有線または無線通信で設定データが転送されてもよい。
【0109】
また、非常放送設定装置1は、非常放送装置100自体に組み込まれてもよい。非常放送設定装置1は、非常放送装置100の本体装置102に好適に組み込まれる。この場合、本体装置102にはディスプレイが設けられる。そして、本体装置102のスイッチ等が設定データ入力部として機能し、本体装置102のコンピュータが動作フロー画像生成部として機能する。
【0110】
非常放送設定装置1は、動作フロー画像の他に、放送系統表示画像を生成および出力してもよい。放送系統表示画像は、火災信号および手動選択操作によって選択された非常放送の出火階および連動階といった放送先を絵図で表す画像である。
【0111】
非常放送設定装置1は、動作フロー画像の内容を読み上げる音声データを音声合成により生成し、音声データを出力してもよい。動作フロー画像が聴覚的に伝達される。上記の放送系統表示画像の内容も音声合成により読み上げられてよい。
【0112】
非常放送設定装置1は、動作フロー画像が表示されている状態で、階別信号や放送階選択スイッチなどの操作を擬似的に入力する入力部を備え、これら操作が入力されてもよい。入力操作に応答して、実際の非常放送内容、放送の流れ、タイマー動作などが、シミュレーション動作によって、非常放送設定装置1上で仮想的に実行されてよい。これにより、設定内容の確認がさらに容易になる。
【0113】
非常放送設定装置1は、動作フロー画像を直接編集可能に構成されてもよい。この場合、表示部16に動作フロー画像が表示され、設定データ入力部10としてのキーボード等が操作されて、動作フロー画像が作成される。画面上で動作フロー画像が編集されると、編集内容が設定データとして入力される。これにより動作フロー画像を変更することで設定データを容易に変更できる。上述の放送系統表示画像についても同様である。
【0114】
非常放送設定装置1は、動作フロー画像に使用される用語が選択されると、選択された用語についての説明および設定ガイダンスが表示されるように構成されてよい。説明および設定ガイダンスは予め対象用語と関連づけて記憶されており、対象用語の選択が入力されると、読み出されて表示される。上述の放送系統表示画像についても同様である。
【0115】
非常放送設定装置1は、動作フロー画像および放送系統表示画像を印刷可能に構成されてよい。動作フロー画像は、既に説明したように、図7等の画像中の「画面印刷」ボタンの操作に応答して印刷される。
【0116】
非常放送設定装置1は、動作フロー画像の画面イメージをデータファイルとして保存し、保存したデータをコンピュータ上で編集可能に構成されてよい。動作フロー画像は、既に説明したように、図7等の画像中の「画面保存」ボタンの操作に応答して印刷される。上述の放送系統表示画像についても同様である。
【0117】
非常放送設定装置1は、建物固有の情報を入力することで、放送系統表示画像を写実的な画像とし、この写実的な画像を表示するように構成されてよい。
【0118】
非常放送設定装置1は、消防法をはじめ、非常用放送設備に関する法律等に基づいて設定内容の是非を判定し、判定結果を表す情報を表示するように構成されてよい。
【0119】
非常放送設定装置1は、非常放送装置100からネットワークや外部記憶装置を介して設定データを抽出してよい。抽出されたデータを基に、上述の処理により、動作フロー画像が生成され、表示されてよい。放送系統表示画像についても同様である。
【0120】
以上に本発明の実施の形態に係る非常放送設定装置1について説明した。本実施の形態によれば、設定データ記憶手段から設定データが読み出され、設定データに対応する非常放送装置の動作を表す動作フロー画像が生成され、この動作フロー画像が出力されるので、非常放送動作の設定内容の確認が作業者にとって容易になる。作業者は、非常放送装置100を使った実動作試験を行うことなく、設定内容が意図した動作を実現するものになっているかどうかを容易かつ確実に確認することができる。
【0121】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上のように、本発明にかかる非常放送設定装置は、非常放送動作の設定内容の確認を容易にできるという効果を有し、非常放送設定装置等のための非常放送設定装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の実施の形態における非常放送設定装置のブロック図
【図2】非常放送装置の構成を示す図
【図3】非常放送装置による感知器起動放送の動作を示す図
【図4】非常放送装置による発信機・非常電話起動放送の動作を示す図
【図5】非常放送装置による手動起動放送の動作を示す図
【図6】設定データの入力画像の例を示す図
【図7】設定データから生成された動作フロー画像の例を示す図
【図8】動作フロー画像の生成処理を示すフローチャート
【図9】動作フロー画像の生成処理を示すフローチャート
【図10】動作フロー画像の生成処理を示すフローチャート
【図11】設定データの入力画像についての別の例を示す図
【図12】設定データから生成された動作フロー画像の別の例を示す図
【図13】設定データの入力画像についてのさらに別の例を示す図
【図14】設定データから生成された動作フロー画像のさらに別の例を示す図
【符号の説明】
【0124】
1 非常放送設定装置
10 設定データ入力部
12 制御処理部
14 設定データ記憶部
16 表示部
18 動作フロー画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感知器および複数のスピーカが設けられ、前記感知器の作動に応じて前記スピーカから非常放送を行う非常放送装置の動作を設定するための非常放送設定装置であって、
前記非常放送装置の動作を規定する設定データを入力する設定データ入力手段と、
入力された前記設定データを記憶する設定データ記憶手段と、
前記設定データ記憶手段から前記設定データを読み出し、前記設定データに対応する前記非常放送装置の動作を表す動作フロー画像を生成する動作フロー画像生成手段と、
生成された前記動作フロー画像を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする非常放送設定装置。
【請求項2】
前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、少なくとも、発報放送から火災放送を経る動作を規定するデータを入力し、
前記動作フロー画像生成手段は、前記設定データに示される前記発報放送から前記火災放送を経る動作フロー画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の非常放送設定装置。
【請求項3】
前記設定データは、前記発報放送の繰り返し間隔および繰り返し回数のデータと、前記発報放送から前記火災放送への移行時間のデータと、前記火災放送の後の一斉火災放送の有無のデータと、前記火災放送から前記一斉火災放送への移行時間のデータとを含むことを特徴とする請求項2に記載の非常放送設定装置。
【請求項4】
前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記感知器の作動に応じて起動される感知器起動放送と、少なくとも発信機および非常電話のいずれか一つからの指示に応じて起動される発信機非常電話起動放送と、手動起動操作器の操作に応じて起動される手動起動放送とからなる3種類の放送の動作を規定するデータを入力し、
前記動作フロー画像生成手段は、前記3種類の放送にそれぞれ対応する3つの個別動作フロー図を別々の領域に描いた動作フロー図を生成することを特徴とする請求項2または3に記載の非常放送設定装置。
【請求項5】
前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記発信機非常電話起動放送および前記手動起動放送における前記発報放送の有無を示すデータを入力し、
前記動作フロー画像生成手段は、前記発報放送が有りのデータが入力されたときに限り、前記発信機非常電話起動放送および前記手動起動放送の前記個別動作フロー図として、前記発報放送の動作を含んだ前記個別動作フロー図を生成することを特徴とする請求項4に記載の非常放送設定装置。
【請求項6】
前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記感知器起動放送にて前記感知器の作動に連動して前記発報放送を行うか該連動を停止するかの選択を規定するデータを入力し、
前記動作フロー画像生成手段は、前記感知器起動放送の前記個別動作フロー図として、前記発報放送を連動で行うか該連動を停止するかの情報が入った前記個別動作フロー図を生成することを特徴とする請求項4または5に記載の非常放送設定装置。
【請求項7】
前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、前記手動起動放送に関して、手動起動操作で指定されたスピーカからの個別手動放送と、手動起動操作で指定されたスピーカおよび連動設定されたスピーカからの手動連動放送とのどちらを行うかの選択を規定するデータを入力し、
前記動作フロー画像生成手段は、前記手動起動放送の前記個別動作フロー図として、前記個別手動放送と前記手動連動放送のどちらを行うかの情報が入った前記個別動作フロー図を生成することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか記載の非常放送設定装置。
【請求項8】
前記設定データ入力手段は、前記設定データとして、感知器の作動に応答して出火階および所定の連動階にて連動放送を行うか、前記連動階に限られない連動一斉放送を行うかの選択を規定するデータを入力し、
前記動作フロー画像生成手段は、前記連動放送および前記連動一斉放送のどちらを行うかの情報が入った前記動作フロー図を生成することを特徴とする請求項2ないし7のいずれか記載の非常放送設定装置。
【請求項9】
複数の感知器および複数のスピーカが設けられ、前記感知器の作動に応じて前記スピーカから非常放送を行う非常放送装置の動作を設定するためにコンピュータで実行させるプログラムであって、
前記非常放送装置の動作を規定する設定データを入力するステップと、
入力された前記設定データを設定データ記憶手段に記憶するステップと、
前記設定データ記憶手段に記憶された前記設定データを読み出し、前記設定データに対応する前記非常放送装置の動作を表す動作フロー画像を生成するステップと、
生成された前記動作フロー画像を出力手段から出力するステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記設定データとして、少なくとも、発報放送から火災放送を経る動作を規定するデータを入力し、前記設定データに示される前記発報放送から前記火災放送を経る動作フロー画像を生成することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate