非常時対策医療情報システム
【課題】災害やシステム障害等の非常事態においても、蓄積された医療情報へ簡易にアクセスが可能な非常時対策医療情報システムを提供する。
【解決手段】患者に関する情報を格納した患者情報データベースの少なくとも一部の情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして受け取って記憶する画像データベースと、前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えた、非常時対策医療情報システム。
【解決手段】患者に関する情報を格納した患者情報データベースの少なくとも一部の情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして受け取って記憶する画像データベースと、前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えた、非常時対策医療情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療情報システムに関し、特に、災害やシステム障害等の非常事態においても、蓄積された医療情報へ簡易にアクセス可能な非常時対策医療情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の分野においても、いわゆる電子カルテシステムなどの情報処理システムの導入が進んでいる。電子カルテシステムは、患者の病気や診療内容および検査内容などのあらゆる医療情報をテキストデータまたは画像データとして蓄積するものであり、診療行為の効率化に貢献している。このような電子カルテシステムは、例えば特開2000−148895号公報等に開示されている。
【0003】
電子カルテシステムの導入が進むことにより、病院内のデータのほとんどを電子化することができ、ペーパレス・フィルムレスの運用が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−148895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子カルテシステムは、火災や地震等の災害や、停電またはシステム障害等の非常時に、電源系統やネットワークが寸断されてしまうと、蓄積されたデータにアクセス不可能となるという弱点がある。このような非常事態に備えるためには、データのハードコピー(印刷出力)を保持したり、電源やネットワークを冗長構成にする、といった対策がとられていることもあるが、手間やコストがかかる上に、システム全体としての十分な対策とはなり難い。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑み、災害やシステム障害等の非常事態においても、蓄積された医療情報へ簡易にアクセス可能な、非常時対策医療情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、ここに開示する非常時対策医療情報システムは、患者に関する情報を格納した患者情報データベースの少なくとも一部の情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして受け取って記憶する画像データベースと、前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えている。
【0008】
この構成によれば、レプリカ作成部が、患者情報データベースから抽出された情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして可搬型記録媒体に記録する。これにより、災害やシステム障害等の非常事態においては、使用可能なコンピュータにこの可搬型記録媒体を接続すれば、これに蓄積された医療情報へ簡易にアクセスすることが可能となる。
【0009】
また、ここに開示する医療情報システムは、患者に関する情報を格納した患者情報データベースと、前記患者情報データベースに格納されている情報の少なくとも一部の情報を抽出し、患者毎に検索可能な画像データファイルを生成するデータ抽出部と、前記データ抽出部から、前記画像データファイルを受け取って記憶する画像データベースと、前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えている。
【0010】
前記のシステムにおいて、前記画像データファイルは、例えば、TIFFまたはDICOMにしたがったフォーマットであることが好ましい。これらのフォーマットは、汎用性が高いからである。
【0011】
また、前記のシステムにおいて、レプリカ作成部が、前記画像データファイルをマルチTIFFファイルとして前記可搬型記録媒体へ記録することが好ましい。
【0012】
前記のシステムにおいて、前記可搬型記録媒体は、コンピュータにUSBで接続される外部記憶装置であることが好ましい。USBは、コンピュータへ外部装置を接続するためのインタフェースとして広く普及している規格であって、汎用性が高いからである。
【0013】
前記のシステムにおいて、画像データファイルが、患者に関する情報の修正前のデータと修正後のデータとの両方を含むことが好ましい。必要に応じて修正前および修正後のデータを参照することが可能となるからである。
【0014】
前記のシステムは、前記患者情報データベースに格納されている情報のうち、医用データ規格にしたがった情報を抽出して記憶する医用情報データベースをさらに備え、前記レプリカ作成部が、前記医用情報データベースに記憶された情報の少なくとも一部も、前記可搬型記録媒体に記録する構成であることが望ましい。なお、前記医用データ規格としては、例えば、HL7またはMedXML等を利用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、災害やシステム障害等の非常事態においても、蓄積された医療情報へ簡易にアクセス可能な、非常時対策医療情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる医療情報システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、非常時に可搬型記録媒体から読み出されて表示される画面の全体構成を示す画面遷移図である。
【図3】図3は、非常時に起動されるバックアップシステムのポータル画面の一例である。
【図4】図4は、病名・処方・検査歴データ検索画面の一例である。
【図5】図5は、病名・処方・検査歴データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図6】図6は、病名・処方・検査歴データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図7】図7は、病名・処方・検査歴データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図8】図8は、所見データ検索画面の一例である。
【図9】図9は、所見データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図10】図10は、所見データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図11】図11は、検査画像/レポートリストの一例である。
【図12】図12は、検査画像リストの一例である。
【図13】図13は、検査画像参照画面の表示例である。
【図14】図14は、レポート参照画面の表示例である。
【図15】図15は、電子カルテシステムの診療端末に表示されるプログレスノート画面の一例を示す図である。
【図16】図16は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図17】図17は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図18】図18は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図19】図19は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図20】図20の(a)〜(e)は、図16〜図19に示したプログレスノート画面から取得されたバックアップデータの例を示す図である。
【図21】図21は、非常時に起動されるバックアップシステムのポータル画面の一例を示す図である。
【図22】図22は、医師がプログレスノート画面でデータを削除した状態の一例を示す図である。
【図23】図23の(a)および(b)は、図22に示したプログレスノート画面から取得されたバックアップデータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる非常時対策用医療情報システム(以下、単に「医療情報システム」と称する。)の具体例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態にかかる医療情報システムは、電子カルテシステム10と、バックアップシステム20とを含んでいる。電子カルテシステム10は、医師等が操作する診療端末1a〜1cと、電子カルテサーバ2とが、病院内のネットワークで接続されたコンピュータシステムとして実現される。バックアップシステム20は、ファイルサーバ(画像データベース)3と、レプリカディスク作成端末(レプリカ作成部)4a,4bとを有している。電子カルテシステム10と、バックアップシステム20とは、ネットワークまたはケーブルを介して接続可能に構成されている。
【0019】
なお、図1は、本実施形態の医療情報システムを構成する主要なハードウェアのみを図示したものである。したがって、ルータやハブ等の各種ネットワーク機器や、その他のハードウェアは図示が省略されているが、実際の医療情報システムの構築に際しては、図1に示された以外の種々のコンピュータ機器や医療機器が付加されても良い。
【0020】
また、図1の例では、診療端末は1a〜1cの3台しか図示されていないが、実際には、診療端末の台数は任意である。また、レプリカディスク作成端末も4a,4bの2台しか図示されていないが、レプリカディスク作成端末の台数も任意である。
【0021】
診療端末1a〜1cは、電子カルテシステム10の入出力端末として用いられる。電子カルテサーバ2は、電子カルテシステム10の中枢として機能する。このため、電子カルテサーバ2は、電子カルテ情報を蓄積する電子カルテデータベースを内部または外部のストレージ(図示せず)に構築し、例えば、患者情報管理機能、診療情報管理機能、看護支援機能、記事入力機能、オーダ管理機能等を提供する。なお、電子カルテシステム10の機能は、ここに挙げた例に限定されず、その他の様々な機能が含まれ得る。医師やその他の医療従事者は、診療端末1a〜1cから電子カルテサーバ2へアクセスすることにより、上述したような電子カルテシステムの各種機能を利用できる。
【0022】
例えば、患者情報管理機能によれば、患者情報の登録、更新、または閲覧等が可能である。診療情報管理機能によれば、各患者についての診療情報を電子カルテシステム10へ登録したり、過去の診療情報を参照したりすることができる。この診療情報には、これらにのみ限定されないが、例えば、診察記事、検査・処方・注射等の実施情報、および、CT・MRI・レントゲン等の検査画像等が含まれる。看護支援機能によれば、各患者について、必要な看護の診断、看護計画の立案、看護記録作成、および看護結果評価作成等の看護支援が受けられる。記事入力機能によれば、医師等が診療記事を入力したり、入力済みの診療記事を検索または閲覧したりできる。オーダ管理機能とは、検査オーダや処方オーダを医師等が簡便に入力できるようにする機能である。
【0023】
なお、本実施形態では、1台の電子カルテサーバ2が電子カルテシステム10の全体を統制するものとしているが、電子カルテシステム10のシステム構成は任意である。すなわち、電子カルテシステム10の各種機能が複数のサーバによって適宜に分担された構成を採用しても良いし、あるいは、電子カルテ情報をその内容に応じて分割して保持する複数のファイルサーバを備えた構成としても良い。
【0024】
なお、この実施形態においては、バックアップ対象のシステムの例として電子カルテシステムを例示しているが、バックアップ対象システムは電子カルテシステムのみに限定されない。例えば、診療記事を持たない病院情報システム(いわゆるオーダシステム)をバックアップ対象としても良い。その場合、例えば、検査、処方、注射、投薬、および検査画像等の情報が、バックアップの対象とされる。
【0025】
ファイルサーバ3は、所定のタイミング(例えば、1日1回、夜間)において電子カルテサーバ2へ接続され、電子カルテサーバ2から電子カルテ情報のバックアップを取得する。なお、電子カルテサーバ2に格納されている情報のうち、診療記事(所見データ)および検査画像は画像データとしてバックアップされる。一方、診療記事と検査画像以外のデータであって、HL7(Health Level 7)形式で電子カルテサーバ2に保存されているデータ(例えば、患者情報、処方、検査歴等)は、HL7形式のままでバックアップされる。なお、この実施形態においては、医用データ形式としてHL7を用いたシステムを例示しているが、HL7以外の規格(例えばMedXML等)にしたがったシステムであっても良い。
【0026】
電子カルテサーバ2は、前回のバックアップ取得時以降に更新された情報を電子カルテデータベースから抽出する。診療記事および検査画像については、抽出されたデータは、内容および更新時期にしたがった適宜の単位で、例えばTIFF(Tagged Image File Format)、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の標準的なフォーマットにしたがった画像データに変換される。電子カルテサーバ2はさらに、それらの画像データを、所定の単位で画像ファイルにまとめる。画像ファイルの形式は、これに限定されないが、例えばマルチTIFF(Tagged Image File Format)等が好適である。この画像ファイルが、電子カルテ情報のバックアップファイルとして、電子カルテサーバ2からファイルサーバ3へ送信される。
【0027】
また、電子カルテサーバ2は、HL7形式のデータについても、前回のバックアップ取得時以降に更新された情報を電子カルテデータベースから抽出し、HL7形式のままでファイルサーバ3へ送信する。
【0028】
ファイルサーバ3は、バックアップの画像ファイルを格納する画像データベースと、HL7形式のデータを格納する医用情報データベースとを、サーバの内部または外部のストレージ(図示せず)に構築している。ファイルサーバ3は、電子カルテサーバ2から受け取った画像ファイルおよびHL7データを、画像データベースおよび医用情報データベースに蓄積する。
【0029】
なお、ファイルサーバ3は、バックアップの取得時にのみ電子カルテサーバ2へ接続されれば良い。したがって、ファイルサーバ3と電子カルテサーバ2とを接続するハブ(図示せず)の電源を、通常はオフ状態にしておき、バックアップ時にのみオン状態とすることが好ましい。
【0030】
ファイルサーバ3のデータベースには、電子カルテ情報のうち、最新の情報からさかのぼって所定の期間内(例えば過去3ヶ月分)のバックアップのみを保持することが好ましい。バックアップ期間を過ぎたデータは、ファイルサーバ3が、バッチ処理等によってデータベースから適宜削除する。
【0031】
ファイルサーバ3には、レプリカディスク作成端末4a,4bが接続されている。レプリカディスク作成端末4a,4bとしては、例えばパーソナルコンピュータを用いることができる。レプリカディスク作成端末4a,4bは、電子カルテサーバ2からファイルサーバ3へのバックアップが完了した後に、ファイルサーバ3のデータベースからバックアップファイルを読み出して、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4にそれぞれ記録する。可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4としては、大容量でかつ転送速度が高速であるものが好ましく、これに限定されないが、例えばUSB接続の可搬型ハードディスクやSSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0032】
図1に示した例では、レプリカディスク作成端末4aは、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースから読み出した画像ファイルおよびHL7データのファイルを、4台の可搬型記録媒体5a1〜5a4へ分割して記録する。また、レプリカディスク作成端末4bは、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースから読み出した画像ファイルおよびHL7データのファイルを、4台の可搬型記録媒体5b1〜5b4へ分割して記録する。この処理により、ファイルサーバ3のデータベースのレプリカ(コピー)が、2セット作成されることとなる。
【0033】
なお、本実施形態においては、ファイルサーバ3のデータベースの同一レプリカを2セット作成するものとしたが、レプリカの数は2セットに限定されず、任意である。例えば、病院の規模が大きくなるほど、多数のレプリカが必要とされるであろう。また、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースを、例えば診療科単位や氏名の並び順等にしたがって複数に分割し、分割された単位で複数のレプリカを作成しても良い。なお、ここでは、1つのレプリカを4台の可搬型記録媒体へ分割記録するものとしたが、可搬型記録媒体の数は、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースの容量に応じて任意である。
【0034】
また、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4のデータの不正使用を防止するために、レプリカディスク作成端末4a,4bが、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4へ画像ファイルを書き込む際に、暗号化を施すことも好ましい。
【0035】
このように作成された可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4は、病院において所定の場所に保管される。そして、災害やシステム障害等の非常事態の際には、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を病院内の各部署へ配布する。各部署では、配布された可搬型記録媒体をスタンドアローンのコンピュータ(例えばノートブック型パーソナルコンピュータ)30に接続すれば、この可搬型記録媒体に書き込まれた画像ファイルを閲覧することができる。
【0036】
これにより、電源障害またはネットワーク障害あるいは電子カルテサーバ2そのものの破損等により、電子カルテシステム10へのアクセスが不可能となった場合においても、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4のバックアップデータを参照することができるので、患者に対する速やかな対応が可能となる。また、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4へのデータバックアップを、TIFFやDICOMおよびHL7等の汎用性の高いフォーマットで取得しているので、非常時用のコンピュータ30に特殊なソフトウェアを装備しておく必要がなく、対応が容易である。特に、非常時用のコンピュータ30としてノートブック型パーソナルコンピュータを用いることにより、例えば、病院の建物以外の場所での診療が必要となった場合等でも、柔軟な対応が可能となる。
【0037】
ここで、図2〜図14を参照しながら、本実施形態の医療情報システムにおいて、非常時に可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4から読み出されて表示される画面の例について説明する。言い換えると、電子カルテサーバ2およびファイルサーバ3が、以下で説明するように画面が構成されるよう、バックアップ時にファイルを構成する。
【0038】
図2は、非常時に可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4から読み出されて表示される画面の全体構成を示す画面遷移図である。つまり、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を非常時用のコンピュータ30に接続することにより、図2に示すように構成された画面群を参照することができる。
【0039】
図2に示すように、非常時対策用の画面群には、ポータル画面40が含まれている。ポータル画面40は、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を非常時用のコンピュータ30に接続した際に、最初に表示される画面である。図3に、ポータル画面40の一例を示す。図3に示したポータル画面40は、患者IDを入力するためのID入力欄40aと、次動作指示ボタン40b,40c,40dとを有している。ポータル画面40において、ID入力欄40aに患者IDを入力してOKボタン40eをクリックすると、図3に示されているように、入力された患者IDに該当する患者名と、性別と、生年月日とが表示される。患者IDに関連するこれらの情報は、バックアップシステム20がバックアップデータを作成する際に、電子カルテシステム10から取得され、バックアップデータに含まれている。
【0040】
ポータル画面40において、次動作指示ボタン40b,40c,40dのそれぞれをクリックすることにより、図2に示すように、病名・処方・検査歴データ検索画面41、所見データ検索画面42、および検査画像/レポートリスト43のそれぞれへ、画面が遷移する。
【0041】
すなわち、図3に示したポータル画面40において、患者名等が表示された状態で、次動作指示ボタン40bをクリックすると、当該患者の病名・処方・検査歴に関するバックアップデータを検索するための病名・処方・検査歴データ検索画面41へ遷移する。図4に、病名・処方・検査歴データ検索画面41の一例を示す。この病名・処方・検査歴データ検索画面41において、表示させたい項目をクリックすることにより、図2に示したように、病名・処方・検査歴データ参照画面44へ画面が遷移する。病名・処方・検査歴データ参照画面44は、病名・処方・検査歴に関するバックアップデータが表示される画面である。
【0042】
ここで、図5〜図7に、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示されるバックアップデータの具体例を示す。例えば、病名・処方・検査歴データ検索画面41において「処方歴」をクリックすることにより、図5に示すように、当該患者の処方歴に関するバックアップデータが、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示される。また、図4の病名・処方・検査歴データ検索画面41において、いずれかの「診療日」をクリックすることにより、図6に示すように、診療日別の当該患者の処方や検査に関するバックアップデータが、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示される。また、図4の病名・処方・検査歴データ検索画面41において、「検査結果」をクリックすることにより、図7に示すように、当該患者の検査結果マトリクスのバックアップデータが、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示される。なお、病名・処方・検査歴に関するバックアップデータは、HL7形式でバックアップされているので、例えばキーワード検索等も可能である。
【0043】
また、前述したとおり、図3に示したポータル画面40において次動作指示ボタン40cをクリックすれば、図2に示したとおり、当該患者の診療記事(所見)に関するバックアップデータを検索するための所見データ検索画面42へ遷移する。なお、診療記事(所見)に関するバックアップデータは、TIFFやDICOM等の画像データとしてバックアップされている。
【0044】
図8に、所見データ検索画面42の一例を示す。図8に示すファイリングデータ検索画面42では、バックアップデータのうち、所見に関するバックアップデータを、患者番号や患者名等で検索できる。例えば、図8の例は、患者番号(患者ID)によって所見に関するバックアップデータを検索した結果である。検索結果は、図8に示すように、所見データ検索画面42にリストとして表示される。そして、このリストから一つまたは複数のバックアップデータを選択すると、図2に示すように、選択されたバックアップデータを表示する所見データ参照画面45に画面が遷移する。
【0045】
図9および図10に、所見データ参照画面45の表示例を示す。図9は、所見データ検索画面42において、いずれか一つのバックアップデータが選択された場合の表示例である。図10は、所見データ検索画面42において複数のバックアップデータが選択された場合の表示例である。図10に例示した所見データ参照画面45には、所見に関する3つのバックアップデータの画像p1〜p3が、結合されて表示されている。複数のバックアップデータが選択された場合は、図10に示すように、それらのバックアップデータの画像が結合されて1画面に表示されるようにすることが好ましい。なお、1画面に収まらない場合は、複数のバックアップデータの画像を、2画面以上に適宜分割して、スクロール可能またはページ送り可能な状態で表示すれば良い。
【0046】
また、ポータル画面40において次動作指示ボタン40dをクリックすると、画面表示は、図2に示したとおり、当該患者の検査画像およびレポート(画像診断報告書)に関するバックアップデータのリストである検査画像/レポートリスト43へと遷移する。検査画像およびレポートに関するバックアップデータは、TIFFやDICOM等の画像データとしてバックアップされている。検査画像/レポートリスト43の表示例を図11に示す。
【0047】
図11に示す検査画像/レポートリスト43では、検査日毎に、検査画像のアイコンとレポートへのリンクとが表示されている。この検査画像/レポートリスト43において検査画像のアイコンをクリックすると、画面表示は、図2に示すように、検査画像リスト46へ遷移する。また、検査画像/レポートリスト43においてレポートのリンクをクリックすると、画面表示は、図2に示すように、レポート参照画面48へ遷移する。
【0048】
図12に、検査画像リスト46の表示例を示す。検査画像リスト46において、さらにいずれかの画像を選択すると、画面表示は、図2に示すように、検査画像参照画面47へ遷移する。図13に、検査画像参照画面47の表示例を示す。図13に示すように、検査画像参照画面47には、検査画像リスト46から選択された画像のバックアップデータが表示される。
【0049】
また、図14に、レポート参照画面48の表示例を示す。図14に示すように、レポート参照画面48には、検査画像/レポートリスト43から選択されたレポートのバックアップデータが表示される。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、非常時用のコンピュータ30に可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を接続し、最初に表示されるポータル画面40から所望の項目を順次選択してクリックする操作を行うだけで、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録されたバックアップデータを読み出して、当該コンピュータ30の画面に表示させることができる。これにより、非常時に電子カルテシステム10へのアクセスが不可能となっても、患者の診療に必要なデータに容易にアクセスすることが可能である。
【0051】
次に、バックアップ取得時に、ファイルサーバ3によって、図2〜図14を参照して説明したようなバックアップデータが構成される手順の一例について説明する。図15は、電子カルテシステム10において診療端末1a〜1cの画面に表示される画面の一例を示す図である。図15に示す画面は、電子カルテシステム10において「プログレスノート」と呼ばれ、医師が診断時に過去の所見を確認しつつ、新たな所見を入力するための画面である。
【0052】
医師は、図15に示すように、プログレスノート画面の左端に表示されているアイコンを選択することにより、選択したアイコンに応じたデータを、プログレスノート画面に表示させたり入力したりすることができる。例えば、図15に示した画面例は、医師が18時23分に「処方」に関するデータを入力した状態である。電子カルテシステム10の電子カルテサーバ2は、このようにデータが入力されると、プログレスノート画面においてこの入力データが表示されている領域51の画像データを、バックアップデータとして取得する。また、図16〜図19に示すように、医師がプログレスノート画面にデータを入力する毎に、それらの入力データが表示されている領域の画像データが、電子カルテサーバ2によってバックアップデータとして取得される。
【0053】
なお、電子カルテサーバ2は、バックアップデータを生成する際に、その画像データに、日付および患者名を表す画像を埋め込む。例えば、図15に示した領域51から取得されたバックアップデータの画像には、図20(a)に示すように、日付61と患者名62とが埋め込まれる。
【0054】
また、図16に示す例は、図15に示したプログレスノート画面に対して、医師が「検体検査」に関する所見を領域52へ追加入力した状態である。この領域52の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(b)に示すようなバックアップデータとして取得される。
【0055】
図17に示す例は、図16に示したプログレスノート画面に対して、医師が「処方」に関する所見を領域53へ追加入力した状態である。この領域53の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(c)に示すようなバックアップデータとして取得される。
【0056】
図18に示す例は、図17に示したプログレスノート画面に対して、医師が「診察記事」を領域54へ追加入力した状態である。この領域54の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(d)に示すようなバックアップデータとして取得される。
【0057】
図19に示す例は、図18に示したプログレスノート画面の「診察記事」を医師が編集することにより、図18の領域54の表示が図19の領域54’に示すように変更された状態である。この領域54’の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(e)に示すようなバックアップデータとして取得される。このように、診察記事の変更があった際も、変更前のデータと変更後のデータとが区別して取得および保存されるので、情報の真正性を担保することができる。
【0058】
なお、この場合、領域54と領域54’とは、プログレスノート画面において同じ領域である。電子カルテサーバ2は、領域54から取得された画像データと、編集後の領域54’から取得された画像データとのそれぞれに対して、互いに異なる識別子(データID)を付けて、ファイルサーバ3へ送る。例えば、図20(d)および(e)の例では、図20(d)の画像データにデータIDとして「0001−01」を付与し、図20(e)のように、同一領域について編集された後の画像データについては、そのデータIDの枝番号(ハイフン以降の番号)を「0001−02」のようにインクリメントすることが考えられる。
【0059】
このようにバックアップデータにデータIDを付与することにより、これらのバックアップデータが可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録された後も、更新前後のデータを互いに区別することができる。したがって、後に説明するように、使用者による表示モードの選択にしたがって、編集前後のデータを両方表示したり、編集後のデータ(最新のデータ)のみを表示したりすることが可能となる。
【0060】
以上のように画像データとして取得されたバックアップデータは、前述したとおり、電子カルテサーバ2からファイルサーバ3へ送られ、図2に示したようなファイル構成にしたがって、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録される。
【0061】
なお、上記の説明においては、プログレスノート画面における入力データのバックアップのみを例示したが、電子カルテシステム10へ新たなデータが追加されたり、データが更新されたりする都度、電子カルテサーバ2は、それらのデータのバックアップを画像データまたはHL7形式のデータとして取得する。なお、電子カルテシステム10へ検査画像が追加された場合は、その検査画像そのものがバックアップデータとしてファイルサーバ3へ送られる。また、電子カルテシステム10へ、例えばレポート(画像診断報告書)等の書類が追加された場合は、当該書類をTIFF化したものが、バックアップデータとしてファイルサーバ3へ送られる。
【0062】
なお、ポータル画面40において、図21に示すように、「最新データのみ表示」するモードか、全てのデータを表示するモードかを選択させるためのチェックボックス71を設け、ここにチェックがなされたか否かによって、非常時用のコンピュータ30における表示態様を異ならせても良い。
【0063】
チェックボックス71にチェックがなされた場合は、非常時用のコンピュータ30は、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録されているバックアップデータのうち、データIDの枝番号が最も大きいもののみを表示するモードとなる。この場合、例えば図20(d)に示したような、後に更新された領域のバックアップデータは表示されない。この表示モードは、例えば、非常時に最新のデータのみを迅速に確認したい場合に有益である。
【0064】
一方、チェックボックス71にチェックがなされていない場合は、非常時用のコンピュータ30は、データIDの枝番号にかかわらず、全てのバックアップデータを表示するモードとなる。この場合は、例えば、図20(d)のバックアップデータと図20(e)のバックアップデータとの両方が表示されることとなる。この表示モードは、例えば、非常時に、データの更新履歴を確認したい場合に有益である。
【0065】
また、例えば、図22においてプログレスノート画面の領域54”に示すように、医師が過去に入力したデータを削除した場合、画面上から削除対象データを完全に消去するのではなく、取消線を上書きすることによってデータの削除を表現することが好ましい。この場合、図23(a)および(b)に示すように、データ削除前の領域54’の画像データと、データ削除後の領域54”の画像データとの両方を、バックアップデータとして保存することができる。これにより、バックアップデータを非常用のコンピュータ30で参照する際に、データの削除状況も分かりやすく表示することができる。
【0066】
また、本実施形態にかかる医療情報システムにおいて、バックアップシステム20を、通常時の運用においても使用可能としても良い。例えば、病院内の一部のユーザについては、電子カルテの参照だけを必要とする場合には、コンピュータ30および可搬型記録媒体5を用いてバックアップデータを参照させる運用とすることが考えられる。この運用によれば、電子カルテシステム10の混雑を緩和することができ、電子カルテシステム10の操作反応速度を向上させることができる。また、この運用によれば、通常時の業務を通じて、コンピュータ30および可搬型記録媒体5を用いたバックアップデータへのアクセス操作を習熟したユーザを確保できるので、災害時の対応が確実かつスムーズとなるという利点もある。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 診療端末
2 電子カルテサーバ
3 ファイルサーバ
4 レプリカディスク作成端末
5 可搬型記録媒体
10 電子カルテシステム
20 バックアップシステム
30 コンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療情報システムに関し、特に、災害やシステム障害等の非常事態においても、蓄積された医療情報へ簡易にアクセス可能な非常時対策医療情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の分野においても、いわゆる電子カルテシステムなどの情報処理システムの導入が進んでいる。電子カルテシステムは、患者の病気や診療内容および検査内容などのあらゆる医療情報をテキストデータまたは画像データとして蓄積するものであり、診療行為の効率化に貢献している。このような電子カルテシステムは、例えば特開2000−148895号公報等に開示されている。
【0003】
電子カルテシステムの導入が進むことにより、病院内のデータのほとんどを電子化することができ、ペーパレス・フィルムレスの運用が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−148895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子カルテシステムは、火災や地震等の災害や、停電またはシステム障害等の非常時に、電源系統やネットワークが寸断されてしまうと、蓄積されたデータにアクセス不可能となるという弱点がある。このような非常事態に備えるためには、データのハードコピー(印刷出力)を保持したり、電源やネットワークを冗長構成にする、といった対策がとられていることもあるが、手間やコストがかかる上に、システム全体としての十分な対策とはなり難い。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑み、災害やシステム障害等の非常事態においても、蓄積された医療情報へ簡易にアクセス可能な、非常時対策医療情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、ここに開示する非常時対策医療情報システムは、患者に関する情報を格納した患者情報データベースの少なくとも一部の情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして受け取って記憶する画像データベースと、前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えている。
【0008】
この構成によれば、レプリカ作成部が、患者情報データベースから抽出された情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして可搬型記録媒体に記録する。これにより、災害やシステム障害等の非常事態においては、使用可能なコンピュータにこの可搬型記録媒体を接続すれば、これに蓄積された医療情報へ簡易にアクセスすることが可能となる。
【0009】
また、ここに開示する医療情報システムは、患者に関する情報を格納した患者情報データベースと、前記患者情報データベースに格納されている情報の少なくとも一部の情報を抽出し、患者毎に検索可能な画像データファイルを生成するデータ抽出部と、前記データ抽出部から、前記画像データファイルを受け取って記憶する画像データベースと、前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えている。
【0010】
前記のシステムにおいて、前記画像データファイルは、例えば、TIFFまたはDICOMにしたがったフォーマットであることが好ましい。これらのフォーマットは、汎用性が高いからである。
【0011】
また、前記のシステムにおいて、レプリカ作成部が、前記画像データファイルをマルチTIFFファイルとして前記可搬型記録媒体へ記録することが好ましい。
【0012】
前記のシステムにおいて、前記可搬型記録媒体は、コンピュータにUSBで接続される外部記憶装置であることが好ましい。USBは、コンピュータへ外部装置を接続するためのインタフェースとして広く普及している規格であって、汎用性が高いからである。
【0013】
前記のシステムにおいて、画像データファイルが、患者に関する情報の修正前のデータと修正後のデータとの両方を含むことが好ましい。必要に応じて修正前および修正後のデータを参照することが可能となるからである。
【0014】
前記のシステムは、前記患者情報データベースに格納されている情報のうち、医用データ規格にしたがった情報を抽出して記憶する医用情報データベースをさらに備え、前記レプリカ作成部が、前記医用情報データベースに記憶された情報の少なくとも一部も、前記可搬型記録媒体に記録する構成であることが望ましい。なお、前記医用データ規格としては、例えば、HL7またはMedXML等を利用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、災害やシステム障害等の非常事態においても、蓄積された医療情報へ簡易にアクセス可能な、非常時対策医療情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる医療情報システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、非常時に可搬型記録媒体から読み出されて表示される画面の全体構成を示す画面遷移図である。
【図3】図3は、非常時に起動されるバックアップシステムのポータル画面の一例である。
【図4】図4は、病名・処方・検査歴データ検索画面の一例である。
【図5】図5は、病名・処方・検査歴データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図6】図6は、病名・処方・検査歴データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図7】図7は、病名・処方・検査歴データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図8】図8は、所見データ検索画面の一例である。
【図9】図9は、所見データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図10】図10は、所見データ参照画面に表示されるバックアップデータの一例である。
【図11】図11は、検査画像/レポートリストの一例である。
【図12】図12は、検査画像リストの一例である。
【図13】図13は、検査画像参照画面の表示例である。
【図14】図14は、レポート参照画面の表示例である。
【図15】図15は、電子カルテシステムの診療端末に表示されるプログレスノート画面の一例を示す図である。
【図16】図16は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図17】図17は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図18】図18は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図19】図19は、医師がプログレスノート画面にデータを入力した状態の一例を示す図である。
【図20】図20の(a)〜(e)は、図16〜図19に示したプログレスノート画面から取得されたバックアップデータの例を示す図である。
【図21】図21は、非常時に起動されるバックアップシステムのポータル画面の一例を示す図である。
【図22】図22は、医師がプログレスノート画面でデータを削除した状態の一例を示す図である。
【図23】図23の(a)および(b)は、図22に示したプログレスノート画面から取得されたバックアップデータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる非常時対策用医療情報システム(以下、単に「医療情報システム」と称する。)の具体例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態にかかる医療情報システムは、電子カルテシステム10と、バックアップシステム20とを含んでいる。電子カルテシステム10は、医師等が操作する診療端末1a〜1cと、電子カルテサーバ2とが、病院内のネットワークで接続されたコンピュータシステムとして実現される。バックアップシステム20は、ファイルサーバ(画像データベース)3と、レプリカディスク作成端末(レプリカ作成部)4a,4bとを有している。電子カルテシステム10と、バックアップシステム20とは、ネットワークまたはケーブルを介して接続可能に構成されている。
【0019】
なお、図1は、本実施形態の医療情報システムを構成する主要なハードウェアのみを図示したものである。したがって、ルータやハブ等の各種ネットワーク機器や、その他のハードウェアは図示が省略されているが、実際の医療情報システムの構築に際しては、図1に示された以外の種々のコンピュータ機器や医療機器が付加されても良い。
【0020】
また、図1の例では、診療端末は1a〜1cの3台しか図示されていないが、実際には、診療端末の台数は任意である。また、レプリカディスク作成端末も4a,4bの2台しか図示されていないが、レプリカディスク作成端末の台数も任意である。
【0021】
診療端末1a〜1cは、電子カルテシステム10の入出力端末として用いられる。電子カルテサーバ2は、電子カルテシステム10の中枢として機能する。このため、電子カルテサーバ2は、電子カルテ情報を蓄積する電子カルテデータベースを内部または外部のストレージ(図示せず)に構築し、例えば、患者情報管理機能、診療情報管理機能、看護支援機能、記事入力機能、オーダ管理機能等を提供する。なお、電子カルテシステム10の機能は、ここに挙げた例に限定されず、その他の様々な機能が含まれ得る。医師やその他の医療従事者は、診療端末1a〜1cから電子カルテサーバ2へアクセスすることにより、上述したような電子カルテシステムの各種機能を利用できる。
【0022】
例えば、患者情報管理機能によれば、患者情報の登録、更新、または閲覧等が可能である。診療情報管理機能によれば、各患者についての診療情報を電子カルテシステム10へ登録したり、過去の診療情報を参照したりすることができる。この診療情報には、これらにのみ限定されないが、例えば、診察記事、検査・処方・注射等の実施情報、および、CT・MRI・レントゲン等の検査画像等が含まれる。看護支援機能によれば、各患者について、必要な看護の診断、看護計画の立案、看護記録作成、および看護結果評価作成等の看護支援が受けられる。記事入力機能によれば、医師等が診療記事を入力したり、入力済みの診療記事を検索または閲覧したりできる。オーダ管理機能とは、検査オーダや処方オーダを医師等が簡便に入力できるようにする機能である。
【0023】
なお、本実施形態では、1台の電子カルテサーバ2が電子カルテシステム10の全体を統制するものとしているが、電子カルテシステム10のシステム構成は任意である。すなわち、電子カルテシステム10の各種機能が複数のサーバによって適宜に分担された構成を採用しても良いし、あるいは、電子カルテ情報をその内容に応じて分割して保持する複数のファイルサーバを備えた構成としても良い。
【0024】
なお、この実施形態においては、バックアップ対象のシステムの例として電子カルテシステムを例示しているが、バックアップ対象システムは電子カルテシステムのみに限定されない。例えば、診療記事を持たない病院情報システム(いわゆるオーダシステム)をバックアップ対象としても良い。その場合、例えば、検査、処方、注射、投薬、および検査画像等の情報が、バックアップの対象とされる。
【0025】
ファイルサーバ3は、所定のタイミング(例えば、1日1回、夜間)において電子カルテサーバ2へ接続され、電子カルテサーバ2から電子カルテ情報のバックアップを取得する。なお、電子カルテサーバ2に格納されている情報のうち、診療記事(所見データ)および検査画像は画像データとしてバックアップされる。一方、診療記事と検査画像以外のデータであって、HL7(Health Level 7)形式で電子カルテサーバ2に保存されているデータ(例えば、患者情報、処方、検査歴等)は、HL7形式のままでバックアップされる。なお、この実施形態においては、医用データ形式としてHL7を用いたシステムを例示しているが、HL7以外の規格(例えばMedXML等)にしたがったシステムであっても良い。
【0026】
電子カルテサーバ2は、前回のバックアップ取得時以降に更新された情報を電子カルテデータベースから抽出する。診療記事および検査画像については、抽出されたデータは、内容および更新時期にしたがった適宜の単位で、例えばTIFF(Tagged Image File Format)、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の標準的なフォーマットにしたがった画像データに変換される。電子カルテサーバ2はさらに、それらの画像データを、所定の単位で画像ファイルにまとめる。画像ファイルの形式は、これに限定されないが、例えばマルチTIFF(Tagged Image File Format)等が好適である。この画像ファイルが、電子カルテ情報のバックアップファイルとして、電子カルテサーバ2からファイルサーバ3へ送信される。
【0027】
また、電子カルテサーバ2は、HL7形式のデータについても、前回のバックアップ取得時以降に更新された情報を電子カルテデータベースから抽出し、HL7形式のままでファイルサーバ3へ送信する。
【0028】
ファイルサーバ3は、バックアップの画像ファイルを格納する画像データベースと、HL7形式のデータを格納する医用情報データベースとを、サーバの内部または外部のストレージ(図示せず)に構築している。ファイルサーバ3は、電子カルテサーバ2から受け取った画像ファイルおよびHL7データを、画像データベースおよび医用情報データベースに蓄積する。
【0029】
なお、ファイルサーバ3は、バックアップの取得時にのみ電子カルテサーバ2へ接続されれば良い。したがって、ファイルサーバ3と電子カルテサーバ2とを接続するハブ(図示せず)の電源を、通常はオフ状態にしておき、バックアップ時にのみオン状態とすることが好ましい。
【0030】
ファイルサーバ3のデータベースには、電子カルテ情報のうち、最新の情報からさかのぼって所定の期間内(例えば過去3ヶ月分)のバックアップのみを保持することが好ましい。バックアップ期間を過ぎたデータは、ファイルサーバ3が、バッチ処理等によってデータベースから適宜削除する。
【0031】
ファイルサーバ3には、レプリカディスク作成端末4a,4bが接続されている。レプリカディスク作成端末4a,4bとしては、例えばパーソナルコンピュータを用いることができる。レプリカディスク作成端末4a,4bは、電子カルテサーバ2からファイルサーバ3へのバックアップが完了した後に、ファイルサーバ3のデータベースからバックアップファイルを読み出して、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4にそれぞれ記録する。可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4としては、大容量でかつ転送速度が高速であるものが好ましく、これに限定されないが、例えばUSB接続の可搬型ハードディスクやSSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0032】
図1に示した例では、レプリカディスク作成端末4aは、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースから読み出した画像ファイルおよびHL7データのファイルを、4台の可搬型記録媒体5a1〜5a4へ分割して記録する。また、レプリカディスク作成端末4bは、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースから読み出した画像ファイルおよびHL7データのファイルを、4台の可搬型記録媒体5b1〜5b4へ分割して記録する。この処理により、ファイルサーバ3のデータベースのレプリカ(コピー)が、2セット作成されることとなる。
【0033】
なお、本実施形態においては、ファイルサーバ3のデータベースの同一レプリカを2セット作成するものとしたが、レプリカの数は2セットに限定されず、任意である。例えば、病院の規模が大きくなるほど、多数のレプリカが必要とされるであろう。また、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースを、例えば診療科単位や氏名の並び順等にしたがって複数に分割し、分割された単位で複数のレプリカを作成しても良い。なお、ここでは、1つのレプリカを4台の可搬型記録媒体へ分割記録するものとしたが、可搬型記録媒体の数は、ファイルサーバ3の画像データベースおよび医用情報データベースの容量に応じて任意である。
【0034】
また、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4のデータの不正使用を防止するために、レプリカディスク作成端末4a,4bが、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4へ画像ファイルを書き込む際に、暗号化を施すことも好ましい。
【0035】
このように作成された可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4は、病院において所定の場所に保管される。そして、災害やシステム障害等の非常事態の際には、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を病院内の各部署へ配布する。各部署では、配布された可搬型記録媒体をスタンドアローンのコンピュータ(例えばノートブック型パーソナルコンピュータ)30に接続すれば、この可搬型記録媒体に書き込まれた画像ファイルを閲覧することができる。
【0036】
これにより、電源障害またはネットワーク障害あるいは電子カルテサーバ2そのものの破損等により、電子カルテシステム10へのアクセスが不可能となった場合においても、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4のバックアップデータを参照することができるので、患者に対する速やかな対応が可能となる。また、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4へのデータバックアップを、TIFFやDICOMおよびHL7等の汎用性の高いフォーマットで取得しているので、非常時用のコンピュータ30に特殊なソフトウェアを装備しておく必要がなく、対応が容易である。特に、非常時用のコンピュータ30としてノートブック型パーソナルコンピュータを用いることにより、例えば、病院の建物以外の場所での診療が必要となった場合等でも、柔軟な対応が可能となる。
【0037】
ここで、図2〜図14を参照しながら、本実施形態の医療情報システムにおいて、非常時に可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4から読み出されて表示される画面の例について説明する。言い換えると、電子カルテサーバ2およびファイルサーバ3が、以下で説明するように画面が構成されるよう、バックアップ時にファイルを構成する。
【0038】
図2は、非常時に可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4から読み出されて表示される画面の全体構成を示す画面遷移図である。つまり、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を非常時用のコンピュータ30に接続することにより、図2に示すように構成された画面群を参照することができる。
【0039】
図2に示すように、非常時対策用の画面群には、ポータル画面40が含まれている。ポータル画面40は、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を非常時用のコンピュータ30に接続した際に、最初に表示される画面である。図3に、ポータル画面40の一例を示す。図3に示したポータル画面40は、患者IDを入力するためのID入力欄40aと、次動作指示ボタン40b,40c,40dとを有している。ポータル画面40において、ID入力欄40aに患者IDを入力してOKボタン40eをクリックすると、図3に示されているように、入力された患者IDに該当する患者名と、性別と、生年月日とが表示される。患者IDに関連するこれらの情報は、バックアップシステム20がバックアップデータを作成する際に、電子カルテシステム10から取得され、バックアップデータに含まれている。
【0040】
ポータル画面40において、次動作指示ボタン40b,40c,40dのそれぞれをクリックすることにより、図2に示すように、病名・処方・検査歴データ検索画面41、所見データ検索画面42、および検査画像/レポートリスト43のそれぞれへ、画面が遷移する。
【0041】
すなわち、図3に示したポータル画面40において、患者名等が表示された状態で、次動作指示ボタン40bをクリックすると、当該患者の病名・処方・検査歴に関するバックアップデータを検索するための病名・処方・検査歴データ検索画面41へ遷移する。図4に、病名・処方・検査歴データ検索画面41の一例を示す。この病名・処方・検査歴データ検索画面41において、表示させたい項目をクリックすることにより、図2に示したように、病名・処方・検査歴データ参照画面44へ画面が遷移する。病名・処方・検査歴データ参照画面44は、病名・処方・検査歴に関するバックアップデータが表示される画面である。
【0042】
ここで、図5〜図7に、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示されるバックアップデータの具体例を示す。例えば、病名・処方・検査歴データ検索画面41において「処方歴」をクリックすることにより、図5に示すように、当該患者の処方歴に関するバックアップデータが、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示される。また、図4の病名・処方・検査歴データ検索画面41において、いずれかの「診療日」をクリックすることにより、図6に示すように、診療日別の当該患者の処方や検査に関するバックアップデータが、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示される。また、図4の病名・処方・検査歴データ検索画面41において、「検査結果」をクリックすることにより、図7に示すように、当該患者の検査結果マトリクスのバックアップデータが、病名・処方・検査歴データ参照画面44に表示される。なお、病名・処方・検査歴に関するバックアップデータは、HL7形式でバックアップされているので、例えばキーワード検索等も可能である。
【0043】
また、前述したとおり、図3に示したポータル画面40において次動作指示ボタン40cをクリックすれば、図2に示したとおり、当該患者の診療記事(所見)に関するバックアップデータを検索するための所見データ検索画面42へ遷移する。なお、診療記事(所見)に関するバックアップデータは、TIFFやDICOM等の画像データとしてバックアップされている。
【0044】
図8に、所見データ検索画面42の一例を示す。図8に示すファイリングデータ検索画面42では、バックアップデータのうち、所見に関するバックアップデータを、患者番号や患者名等で検索できる。例えば、図8の例は、患者番号(患者ID)によって所見に関するバックアップデータを検索した結果である。検索結果は、図8に示すように、所見データ検索画面42にリストとして表示される。そして、このリストから一つまたは複数のバックアップデータを選択すると、図2に示すように、選択されたバックアップデータを表示する所見データ参照画面45に画面が遷移する。
【0045】
図9および図10に、所見データ参照画面45の表示例を示す。図9は、所見データ検索画面42において、いずれか一つのバックアップデータが選択された場合の表示例である。図10は、所見データ検索画面42において複数のバックアップデータが選択された場合の表示例である。図10に例示した所見データ参照画面45には、所見に関する3つのバックアップデータの画像p1〜p3が、結合されて表示されている。複数のバックアップデータが選択された場合は、図10に示すように、それらのバックアップデータの画像が結合されて1画面に表示されるようにすることが好ましい。なお、1画面に収まらない場合は、複数のバックアップデータの画像を、2画面以上に適宜分割して、スクロール可能またはページ送り可能な状態で表示すれば良い。
【0046】
また、ポータル画面40において次動作指示ボタン40dをクリックすると、画面表示は、図2に示したとおり、当該患者の検査画像およびレポート(画像診断報告書)に関するバックアップデータのリストである検査画像/レポートリスト43へと遷移する。検査画像およびレポートに関するバックアップデータは、TIFFやDICOM等の画像データとしてバックアップされている。検査画像/レポートリスト43の表示例を図11に示す。
【0047】
図11に示す検査画像/レポートリスト43では、検査日毎に、検査画像のアイコンとレポートへのリンクとが表示されている。この検査画像/レポートリスト43において検査画像のアイコンをクリックすると、画面表示は、図2に示すように、検査画像リスト46へ遷移する。また、検査画像/レポートリスト43においてレポートのリンクをクリックすると、画面表示は、図2に示すように、レポート参照画面48へ遷移する。
【0048】
図12に、検査画像リスト46の表示例を示す。検査画像リスト46において、さらにいずれかの画像を選択すると、画面表示は、図2に示すように、検査画像参照画面47へ遷移する。図13に、検査画像参照画面47の表示例を示す。図13に示すように、検査画像参照画面47には、検査画像リスト46から選択された画像のバックアップデータが表示される。
【0049】
また、図14に、レポート参照画面48の表示例を示す。図14に示すように、レポート参照画面48には、検査画像/レポートリスト43から選択されたレポートのバックアップデータが表示される。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、非常時用のコンピュータ30に可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4を接続し、最初に表示されるポータル画面40から所望の項目を順次選択してクリックする操作を行うだけで、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録されたバックアップデータを読み出して、当該コンピュータ30の画面に表示させることができる。これにより、非常時に電子カルテシステム10へのアクセスが不可能となっても、患者の診療に必要なデータに容易にアクセスすることが可能である。
【0051】
次に、バックアップ取得時に、ファイルサーバ3によって、図2〜図14を参照して説明したようなバックアップデータが構成される手順の一例について説明する。図15は、電子カルテシステム10において診療端末1a〜1cの画面に表示される画面の一例を示す図である。図15に示す画面は、電子カルテシステム10において「プログレスノート」と呼ばれ、医師が診断時に過去の所見を確認しつつ、新たな所見を入力するための画面である。
【0052】
医師は、図15に示すように、プログレスノート画面の左端に表示されているアイコンを選択することにより、選択したアイコンに応じたデータを、プログレスノート画面に表示させたり入力したりすることができる。例えば、図15に示した画面例は、医師が18時23分に「処方」に関するデータを入力した状態である。電子カルテシステム10の電子カルテサーバ2は、このようにデータが入力されると、プログレスノート画面においてこの入力データが表示されている領域51の画像データを、バックアップデータとして取得する。また、図16〜図19に示すように、医師がプログレスノート画面にデータを入力する毎に、それらの入力データが表示されている領域の画像データが、電子カルテサーバ2によってバックアップデータとして取得される。
【0053】
なお、電子カルテサーバ2は、バックアップデータを生成する際に、その画像データに、日付および患者名を表す画像を埋め込む。例えば、図15に示した領域51から取得されたバックアップデータの画像には、図20(a)に示すように、日付61と患者名62とが埋め込まれる。
【0054】
また、図16に示す例は、図15に示したプログレスノート画面に対して、医師が「検体検査」に関する所見を領域52へ追加入力した状態である。この領域52の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(b)に示すようなバックアップデータとして取得される。
【0055】
図17に示す例は、図16に示したプログレスノート画面に対して、医師が「処方」に関する所見を領域53へ追加入力した状態である。この領域53の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(c)に示すようなバックアップデータとして取得される。
【0056】
図18に示す例は、図17に示したプログレスノート画面に対して、医師が「診察記事」を領域54へ追加入力した状態である。この領域54の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(d)に示すようなバックアップデータとして取得される。
【0057】
図19に示す例は、図18に示したプログレスノート画面の「診察記事」を医師が編集することにより、図18の領域54の表示が図19の領域54’に示すように変更された状態である。この領域54’の画像データも、電子カルテサーバ2により、図20(e)に示すようなバックアップデータとして取得される。このように、診察記事の変更があった際も、変更前のデータと変更後のデータとが区別して取得および保存されるので、情報の真正性を担保することができる。
【0058】
なお、この場合、領域54と領域54’とは、プログレスノート画面において同じ領域である。電子カルテサーバ2は、領域54から取得された画像データと、編集後の領域54’から取得された画像データとのそれぞれに対して、互いに異なる識別子(データID)を付けて、ファイルサーバ3へ送る。例えば、図20(d)および(e)の例では、図20(d)の画像データにデータIDとして「0001−01」を付与し、図20(e)のように、同一領域について編集された後の画像データについては、そのデータIDの枝番号(ハイフン以降の番号)を「0001−02」のようにインクリメントすることが考えられる。
【0059】
このようにバックアップデータにデータIDを付与することにより、これらのバックアップデータが可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録された後も、更新前後のデータを互いに区別することができる。したがって、後に説明するように、使用者による表示モードの選択にしたがって、編集前後のデータを両方表示したり、編集後のデータ(最新のデータ)のみを表示したりすることが可能となる。
【0060】
以上のように画像データとして取得されたバックアップデータは、前述したとおり、電子カルテサーバ2からファイルサーバ3へ送られ、図2に示したようなファイル構成にしたがって、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録される。
【0061】
なお、上記の説明においては、プログレスノート画面における入力データのバックアップのみを例示したが、電子カルテシステム10へ新たなデータが追加されたり、データが更新されたりする都度、電子カルテサーバ2は、それらのデータのバックアップを画像データまたはHL7形式のデータとして取得する。なお、電子カルテシステム10へ検査画像が追加された場合は、その検査画像そのものがバックアップデータとしてファイルサーバ3へ送られる。また、電子カルテシステム10へ、例えばレポート(画像診断報告書)等の書類が追加された場合は、当該書類をTIFF化したものが、バックアップデータとしてファイルサーバ3へ送られる。
【0062】
なお、ポータル画面40において、図21に示すように、「最新データのみ表示」するモードか、全てのデータを表示するモードかを選択させるためのチェックボックス71を設け、ここにチェックがなされたか否かによって、非常時用のコンピュータ30における表示態様を異ならせても良い。
【0063】
チェックボックス71にチェックがなされた場合は、非常時用のコンピュータ30は、可搬型記録媒体5a1〜5a4,5b1〜5b4に記録されているバックアップデータのうち、データIDの枝番号が最も大きいもののみを表示するモードとなる。この場合、例えば図20(d)に示したような、後に更新された領域のバックアップデータは表示されない。この表示モードは、例えば、非常時に最新のデータのみを迅速に確認したい場合に有益である。
【0064】
一方、チェックボックス71にチェックがなされていない場合は、非常時用のコンピュータ30は、データIDの枝番号にかかわらず、全てのバックアップデータを表示するモードとなる。この場合は、例えば、図20(d)のバックアップデータと図20(e)のバックアップデータとの両方が表示されることとなる。この表示モードは、例えば、非常時に、データの更新履歴を確認したい場合に有益である。
【0065】
また、例えば、図22においてプログレスノート画面の領域54”に示すように、医師が過去に入力したデータを削除した場合、画面上から削除対象データを完全に消去するのではなく、取消線を上書きすることによってデータの削除を表現することが好ましい。この場合、図23(a)および(b)に示すように、データ削除前の領域54’の画像データと、データ削除後の領域54”の画像データとの両方を、バックアップデータとして保存することができる。これにより、バックアップデータを非常用のコンピュータ30で参照する際に、データの削除状況も分かりやすく表示することができる。
【0066】
また、本実施形態にかかる医療情報システムにおいて、バックアップシステム20を、通常時の運用においても使用可能としても良い。例えば、病院内の一部のユーザについては、電子カルテの参照だけを必要とする場合には、コンピュータ30および可搬型記録媒体5を用いてバックアップデータを参照させる運用とすることが考えられる。この運用によれば、電子カルテシステム10の混雑を緩和することができ、電子カルテシステム10の操作反応速度を向上させることができる。また、この運用によれば、通常時の業務を通じて、コンピュータ30および可搬型記録媒体5を用いたバックアップデータへのアクセス操作を習熟したユーザを確保できるので、災害時の対応が確実かつスムーズとなるという利点もある。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 診療端末
2 電子カルテサーバ
3 ファイルサーバ
4 レプリカディスク作成端末
5 可搬型記録媒体
10 電子カルテシステム
20 バックアップシステム
30 コンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する情報を格納した患者情報データベースの少なくとも一部の情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして受け取って記憶する画像データベースと、
前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えた、医療情報バックアップシステム。
【請求項2】
前記画像データファイルが、TIFFまたはDICOMにしたがったフォーマットである、請求項1に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項3】
前記レプリカ作成部が、前記画像データファイルをマルチtiffファイルとして前記可搬型記録媒体へ記録する、請求項1または2に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項4】
前記可搬型記録媒体が、コンピュータにUSBで接続される外部記憶装置である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項5】
前記画像データファイルが、患者に関する情報の修正前のデータと修正後のデータとの両方を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項6】
前記患者情報データベースに格納されている情報のうち、医用データ規格にしたがった情報を抽出して記憶する医用情報データベースをさらに備え、
前記レプリカ作成部が、前記医用情報データベースに記憶された情報の少なくとも一部も、前記可搬型記録媒体に記録する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項7】
前記医用データ規格が、HL7またはMedXMLである、請求項6に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項8】
患者に関する情報を格納した患者情報データベースと、
前記患者情報データベースに格納されている情報の少なくとも一部の情報を抽出し、患者毎に検索可能な画像データファイルを生成するデータ抽出部と、
前記データ抽出部から、前記画像データファイルを受け取って記憶する画像データベースと、
前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えた、医療情報システム。
【請求項1】
患者に関する情報を格納した患者情報データベースの少なくとも一部の情報を、患者毎に検索可能な画像データファイルとして受け取って記憶する画像データベースと、
前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えた、医療情報バックアップシステム。
【請求項2】
前記画像データファイルが、TIFFまたはDICOMにしたがったフォーマットである、請求項1に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項3】
前記レプリカ作成部が、前記画像データファイルをマルチtiffファイルとして前記可搬型記録媒体へ記録する、請求項1または2に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項4】
前記可搬型記録媒体が、コンピュータにUSBで接続される外部記憶装置である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項5】
前記画像データファイルが、患者に関する情報の修正前のデータと修正後のデータとの両方を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項6】
前記患者情報データベースに格納されている情報のうち、医用データ規格にしたがった情報を抽出して記憶する医用情報データベースをさらに備え、
前記レプリカ作成部が、前記医用情報データベースに記憶された情報の少なくとも一部も、前記可搬型記録媒体に記録する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項7】
前記医用データ規格が、HL7またはMedXMLである、請求項6に記載の医療情報バックアップシステム。
【請求項8】
患者に関する情報を格納した患者情報データベースと、
前記患者情報データベースに格納されている情報の少なくとも一部の情報を抽出し、患者毎に検索可能な画像データファイルを生成するデータ抽出部と、
前記データ抽出部から、前記画像データファイルを受け取って記憶する画像データベースと、
前記画像データベースに記憶されている画像データファイルの少なくとも一部を、外部コンピュータで読み取り可能な可搬型記録媒体に記録するレプリカ作成部とを備えた、医療情報システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−98818(P2012−98818A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244338(P2010−244338)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(507306322)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(509186074)株式会社エヌ・エス・エム (1)
【出願人】(503227564)富士フイルムメディカル株式会社 (2)
【出願人】(501423908)株式会社SBS情報システム (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(507306322)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(509186074)株式会社エヌ・エス・エム (1)
【出願人】(503227564)富士フイルムメディカル株式会社 (2)
【出願人】(501423908)株式会社SBS情報システム (6)
【Fターム(参考)】
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