説明

非常用呼吸装置

【課題】火災などの非常時の呼吸を確実に確保する。
【解決手段】非常用呼吸装置1を使用し、呼吸用マスク5および呼気パイプ6を通して呼気がシリンダ2に吐出された際、呼気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤Aで吸着されるとともに、呼気量に見合う容積分ピストン22が上昇する。また、呼吸用マスク5および吸気パイプ7を通してシリンダ2の空気が吸引された際、吸気の炭酸ガスが再び炭酸ガス吸着剤Aで吸着されるとともに、吸気量に見合う容積分ピストン22が下降する。さらに、定吐出量形ポンプPおよび過酸化水素水供給パイプ8を介して二酸化マンガンに供給された過酸化水素水によって発生する酸素が酸素供給パイプ9を通して吸気パイプ7に供給されて吸気に混合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災の際、高山への登山時、下水道工事又は鉱山現場など、酸素の欠乏に対処して使用される非常用呼吸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、非常時の呼吸装置としては、圧縮空気や酸素をボンベに充填し、使用時にレギュレータにより減圧して吸入するものが広く使用されている。この場合、呼気はそのまま排出するものが多い。
【0003】
しかして、上記の非常用呼吸装置は、重量の大きなボンベを装備する必要があり、また、長時間呼吸できるものはボンベが非常に大型になって持ち運ぶことができないという不具合がある。
【0004】
このような問題に対応して、使用時に酸素を発生させる持ち運び可能な小型の非常用呼吸装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3245621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した非常用呼吸装置においては、呼気および吸気に伴う容積変化を容器の蛇腹部分によって吸収するように設定されているが、低温下においては蛇腹の弾性が低下し、あるいは、蛇腹の強度を確保するため、呼吸に伴って円滑に容積変化することができない場合があり、その際には、呼吸が困難になるという事態が発生するおそれがある。また、過酸化水素水を二酸化マンガンに滴下して酸素を発生させる方式を採用していることにより、過酸化水素水が酸素と水に分解した際の水が二酸化マンガンを覆うことにより、滴下した過酸化水素水が二酸化マンガンと接触することが妨げられ、酸素が速やかに発生せず、酸素の供給が遅れがちになるという欠点がある。さらに、呼気および吸気を1本の連通管によって行うことから、時間の経過に伴って炭酸ガス吸着剤の吸着性能が低下した場合、炭酸ガスが十分に吸着されていない連通管内の空気を吸引することになり、息苦しくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、火災などの非常時の呼吸を確実に確保することのできる非常用呼吸装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ピストンが昇降自在に嵌挿されるとともに、内部に炭酸ガス吸着剤が充填されたシリンダと、過酸化水素水が貯留された貯留筒と、二酸化マンガンが貯留された酸素発生筒と、一端がシリンダに接続されるとともに、他端が呼吸用マスクにそれぞれ接続された呼気パイプおよび吸気パイプと、貯留筒と酸素発生筒とに接続された過酸化水素水供給パイプおよび該過酸化水素水供給パイプに配設された定吐出量形ポンプと、酸素発生筒と吸気パイプとに接続された酸素供給パイプとから構成され、呼吸用マスクおよび呼気パイプを通して呼気がシリンダに吐出された際、呼気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着されるとともに、呼気量に見合う容積分ピストンが押し上げられ、また、呼吸用マスクおよび吸気パイプを通してシリンダの空気が吸引された際、吸気量に見合う容積分ピストンが引き下げられるとともに、吸気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着され、さらに、過酸化水素水供給パイプおよび定吐出量形ポンプを介して二酸化マンガンに供給された過酸化水素水によって発生する酸素が酸素供給パイプを通して吸気パイプに供給されて吸気に混合されることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、呼吸用マスクおよび呼気パイプを通して呼気がシリンダに吐出されると、呼気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着されるとともに、呼気量に見合う容積分ピストンが押し上げられる。一方、呼吸用マスクおよび吸気パイプを通してシリンダの空気が吸引されると、吸気量に見合う容積分ピストンが引き下げられるとともに、吸気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着される。これにより、呼気時および吸気時にそれぞれ炭酸ガスを吸着することができ、炭酸ガスの濃度を可及的に削減することができるとともに、呼吸に追従してピストンが昇降することから、容積が確実に変化し、円滑に呼吸することができる。また、呼吸に際して、定吐出量形ポンプが駆動し、過酸化水素水を過酸化水素水供給パイプを介して二酸化マンガンに供給し、二酸化マンガンを触媒として酸素を発生させ、その酸素を酸素供給パイプを通して吸気パイプに供給する。したがって、吸気に際して、シリンダの空気に酸素を混合することができ、酸素を肺に供給することができる。
【0009】
この結果、火災などの非常時において、確実に酸素が混合された空気を吸引して呼吸を確保することができる。
【0010】
本発明は、ピストンが摺動自在に嵌挿されたシリンダと、炭酸ガス吸着剤が充填された吸着筒と、過酸化水素水が貯留された貯留筒と、二酸化マンガンが貯留された酸素発生筒と、一端が吸着筒に接続されるとともに、他端が呼吸用マスクにそれぞれ接続された呼気パイプおよび吸気パイプと、貯留筒と酸素発生筒とに接続された過酸化水素水供給パイプおよび該過酸化水素水供給パイプに配設された定吐出量形ポンプと、酸素発生筒とシリンダとに接続された酸素供給パイプと、シリンダと吸着筒とに接続された接続パイプとから構成され、呼吸用マスク、呼気パイプ、吸着筒および接続パイプを通して呼気がシリンダに吐出された際、呼気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着されるとともに、呼気量に見合う容積分ピストンが押し出され、また、呼吸用マスク、吸気パイプ、吸着筒および接続パイプを通してシリンダの空気が吸引された際、吸気量に見合う容積分ピストンが引き出されとともに、吸気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着され、さらに、過酸化水素水供給パイプおよび定吐出量形ポンプを介して二酸化マンガンに供給された過酸化水素水によって発生する酸素が酸素供給パイプを通してシリンダに供給されて吸気に混合されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、呼吸用マスク、呼気パイプ、吸着筒および接続パイプを通して呼気がシリンダに吐出されると、呼気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着されるとともに、呼気量に見合う容積分ピストンが押し出される。一方、呼吸用マスク、吸気パイプ、吸着筒および接続パイプを通してシリンダの空気が吸引されると、吸気量に見合う容積分ピストンが引き出されるとともに、吸気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着される。これにより、呼気時および吸気時にそれぞれ炭酸ガスを吸着することができ、炭酸ガスの濃度を可及的に削減することができるとともに、呼吸に追従してピストンが摺動することから、容積が確実に変化し、円滑に呼吸することができる。また、呼吸に際して、定吐出量形ポンプが駆動し、過酸化水素水を過酸化水素水供給パイプを介して二酸化マンガンに供給し、二酸化マンガンを触媒として酸素を発生させ、その酸素を酸素供給パイプを通してシリンダに供給する。したがって、吸気に際して、シリンダの空気に酸素を混合することができ、酸素を肺に供給することができる。
【0012】
この結果、火災などの非常時において、確実に酸素が混合された空気を吸引して呼吸を確保することができる。
【0013】
本発明において、前記貯留筒の内部に二酸化マンガンが充填された充填筒が設けられ、該充填筒の下端部に過酸化水素水供給パイプが接続されることが好ましい。これにより、過酸化水素水から分解した水が二酸化マンガンを覆ったとしても、過酸化水素水を常に二酸化マンガンに供給することができ、速やかに、かつ、十分に酸素を発生させることができる。
【0014】
本発明において、前記酸素発生筒と貯留筒とに還流パイプが接続されることが好ましい。これにより、酸素発生筒において、過酸化水素水が二酸化マンガンを触媒として酸素を発生して水に分解された際、水を還流パイプを通して貯留筒に還流させることができることから、酸素発生筒に水を貯留する必要がなくなり、酸素発生筒を小さな容積に形成することができ、全体の小型化を図ることができる。
【0015】
この場合、過酸化水素水と貯留筒に還流した水が過酸化水素水とが混じり合うことがないように、過酸化水素水を袋体に封入して貯留筒に収容すればよい。
【0016】
なお、酸素を必要とするときには、袋体の止水栓を開放して過酸化水素水を流通させるようにすればよい。
【0017】
本発明において、前記定吐出量形ポンプの吐出量が過酸化水素水の経時劣化に基づいて補正されることが好ましい。すなわち、過酸化水素水は、不安定で酸素を放出し易く、時間の経過とともに濃度が低下する。したがって、時間の経過に伴う濃度の低下に反比例して過酸化水素水の供給量を増大させることにより、必要とする酸素量を発生させることができる。
【0018】
本発明において、前記定吐出量形ポンプの吐出量が呼吸量に基づいて補正されることが好ましい。これにより、例えば、体格が大きく、呼吸量が大きな使用者に対しては、その呼吸量に見合う酸素量を発生するように、必要とする量の過酸化水素水を供給することができ、体格によって酸素が不足するという事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、火災などの非常時の呼吸を確実に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1乃至図3には、本発明の非常用呼吸装置1の一実施形態が示されている。
【0022】
この非常用呼吸装置1は、呼吸による容積変化を吸収可能なシリンダ2と、過酸化水素水(H2 2 )を貯留する貯留筒3と、二酸化マンガン(MnO2 )を貯留する酸素発生筒4と、呼吸用マスク5を備えた呼気パイプ6および吸気パイプ7と、過酸化水素水を二酸化マンガンに供給するギヤポンプなどの定吐出量形ポンプPとから主要部が構成されており、これらのシリンダ2、貯留筒3、酸素発生筒4、呼気パイプ6および吸気パイプ7は、シリンダ2の軸心方向が上下方向となるように、上下各端部がそれぞれ連結具13を介して一体に連結されている。
【0023】
シリンダ2は、シリンダ本体21にピストン22を摺動自在に嵌挿して形成され、シリンダ本体21の底部には、例えば、ソフノライム(登録商標)などの炭酸ガス吸着剤Aが充填されている。したがって、後述するように、呼吸用マスク5および呼気パイプ6を通してシリンダ2のシリンダ本体21に呼気を吐出すると、呼気が炭酸ガス吸着剤Aを通過することにより、呼気に含まれる炭酸ガスが吸着される。そして、炭酸ガス吸着剤Aを経て炭酸ガスが吸着された呼気は、その呼気量に見合う量だけピストン22を押し上げることにより、呼気による容積増加に追従することができる。また、呼吸用マスク5および吸気パイプ7を通してシリンダ2のシリンダ本体21の空気を吸引すると、その空気が炭酸ガス吸着剤Aを通過することにより、吸気に含まれる炭酸ガスが吸着される。そして、炭酸ガス吸着剤Aを経て炭酸ガスが吸着された吸気は、その吸気量に見合う量だけピストン22を引き下げることにより、吸気による容積減少に追従することができる。
【0024】
なお、炭酸ガス吸着剤Aであるソフノライム(登録商標)は、同吸着剤を370cm3 使用し、30秒間隔で呼吸することを一定時間(10分)繰り返した後においても、呼気に含まれる水分によって吸着性能が劣化することはほとんどなく、また、炭酸ガス濃度は1%未満に維持されることから、呼吸に際して影響がない程度に炭酸ガスを除去することができるものである。
【0025】
また、過酸化水素水を貯留する貯留筒3と二酸化マンガンを貯留する酸素発生筒4とは、ほぼ同一容積に形成されている。すなわち、過酸化水素水は、二酸化マンガンを触媒として酸素と水に分解されることから、酸素発生筒4は、過酸化水素水と同量の水を貯留する必要がある。ここで、体重60〜70kgの成人男性が1呼吸当たり200ccの酸素を必要とすると仮定すると、5.9%濃度の過酸化水素水0.6ccが入用となる。したがって、毎分25回として30分間呼吸するためには、余裕をみて約500ccの過酸化水素水が必要となる。
【0026】
ここで、酸素発生筒4には、二酸化マンガンが充填された充填筒4aが収容されており、該充填筒4aの下端部に、貯留筒3に貯留された過酸化水素水を定吐出量形ポンプPを介して供給する過酸化水素水供給パイプ8が接続されている。これにより、定吐出量形ポンプPを介して常に過酸化水素水を二酸化マンガンに供給することが可能となり、二酸化マンガンを触媒として直ちに酸素を発生させることができる。この場合、過酸化水素水が分解することで生成された水は、密度が二酸化マンガンよりも小さいため、充填筒4aを溢れ出て酸素発生筒4に貯留される。
【0027】
また、酸素発生筒4には、酸素供給パイプ9が接続されており、この酸素供給パイプ9の他端が吸気パイプ7におけるシリンダ2との接続部近傍に接続されている。これにより、酸素発生筒4において発生した酸素を吸気パイプ7に供給することができる。また、酸素発生筒4の上部には、過酸化水素水が酸素と水とに分解する際、酸素発生に伴う飛沫が吸気パイプ7に供給され、ひいては、肺に達することを防止するため、カバー4bが設けられている。
【0028】
なお、貯留筒3には、リリーフ弁(図示せず)が設けられており、過酸化水素水が分解して酸素を発生して一定圧以上に上昇した際に、圧力が昇した酸素を大気に開放するようになっている。
【0029】
一方、呼気パイプ6および吸気パイプ7の一端がそれぞれ接続された呼吸用マスク5には、詳細には図示しないが、呼気パイプ6との接続部に空気を吹き込んだ場合にのみ開放される逆止弁が設けられるとともに、吸気パイプ7との接続部に空気を吸い込んだ場合にのみ開放される逆止弁が設けられている。これにより、呼吸用マスク5を利用して呼気した場合、その呼気の背圧を受けて吸気パイプ7を閉鎖し、呼気を呼気パイプ6を通してシリンダ2に吐出することができ、また、呼吸用マスク5を利用して吸気した場合、吸気の負圧を受けて呼気パイプ6を閉鎖し、シリンダ2内の空気を吸気パイプ7を通して吸引することができる。
【0030】
また、呼気パイプ6および吸気パイプ7の他端はT字状の継手を介してシリンダ2の下端部に接続されており、呼気パイプ6を通してシリンダ2に呼気を吐出した際、呼気を炭酸ガス吸着剤Aと接触させて呼気に含まれる炭酸ガスを吸着させることができる他、吸気パイプ7を通してシリンダ2の空気を吸引した際、吸気を炭酸ガス吸着剤Aと接触させて吸気に含まれる炭酸ガスを吸着させることができ、吸気の炭酸ガスを可及的に削減することができる。この場合、呼気パイプ6の他端および吸気パイプ7の他端をそれぞれ各別にシリンダ2に接続すると、呼気と吸気とを確実に分離することができ、吸気に含まれる炭酸ガスをより少なくすることができる。
【0031】
このように構成された非常用呼吸装置1は、図示しない始動スイッチを操作すると、モーターM(図4参照)を介して定吐出量形ポンプPが回転駆動し、その回転角に見合う吐出量の過酸化水素水を貯留筒3から過酸化水素水供給パイプ8を経て吸い込み、酸素発生筒4の充填筒4a内に充填された二酸化マンガンに供給する。これにより、過酸化水素水は、二酸化マンガンを触媒として酸素と水とに分解し、発生した酸素を酸素供給パイプ9を経て吸引パイプ7に供給することができる。
【0032】
なお、過酸化水素水が分解して発生した水は、充填筒4aを溢れ出て酸素発生筒4に貯留される。
【0033】
一方、呼吸用マスク5を通して呼気を吐出すると、呼気は呼気パイプ6を経てシリンダ2に供給される。呼気がシリンダ2に吐出されると、呼気は炭酸ガス吸着剤Aを通過することから、呼気に含まれる炭酸ガスが吸着される。また、呼気に見合う容積だけピストン22が押し上げられ、呼気による容積変化に追従することができる。次いで、呼吸用マスク5を通して吸気を吸引すると、吸引パイプ4を経てシリンダ2の空気を吸引する。この際、吸引パイプ4には酸素発生筒4から酸素が供給されることにより、酸素が混合された空気を吸引することになり、呼吸を確保することができる。また、シリンダ2中の空気が吸引されると、シリンダ2の空気が炭酸ガス吸着剤Aを通過することから、その空気に含まれる炭酸ガスが吸着される。また、吸気に見合う容積だけピストン22が引き下げられ、吸気による容積変化に追従することができる。
【0034】
この結果、炭酸ガスを吸着した空気に過酸化水素水が分解して発生した酸素を混合することができ、非常時の呼吸を確保することができる。また、呼吸用マスク5および呼気パイプ6を通して呼気を吐出すれば、呼気に見合う容積だけピストン22が押し上げられ、一方、呼吸用マスク5および吸気パイプ7を通して吸気を吸引すれば、吸気に見合う容積だけピストン22が引き下げられ、呼吸に伴う容積変化に追従することができ、呼吸を確保することができる。しかも、過酸化水素水が分解した水が二酸化マンガンを覆ったとしても、過酸化水素水を常に二酸化マンガンに供給することができ、速やかに、かつ、十分に酸素を発生させることができる。
【0035】
ところで、過酸化水素水は、不安定で酸素を放出し易く、時間の経過とともに濃度が低下する。また、肺活量が大きな使用者と小さな使用者とは、1回当たりの呼吸量が相違する。このような過酸化水素水の経時劣化および呼吸量の相違は、直ちに呼吸困難を招くものではないが、十分な酸素を供給できるように、これらの点を補正することが好ましい。このため、本発明の非常用呼吸装置1には、過酸化水素水の経時劣化および呼吸量の相違を補正するための制御装置30がシリンダ2の上部に組み込まれている。
【0036】
この制御装置30は、時間の経過を検出するタイマーIC(図示せず)を内蔵し、図4に示すように、呼吸量を検出する検出装置31が入力装置として、また、定容積形ポンプPを駆動するモーターM、例えば、ステッピングモータが出力装置としてそれぞれ接続されており、図示しないバッテリーからの電源電圧を受けて駆動するようになっている。
【0037】
ここで、呼気量を検出する検出装置31としてはフォトセンサが使用され、該フォトセンサは、ピストン22の昇降に連動して移動するロープ33が巻回されたプーリー34を挟んで配置されており、ピストン22の昇降に連動するロープ33を介して回転するプーリー34の周方向に間隔をおいて形成されたスリットを検出し、プーリー34の回転角に見合うパルスを検出するものである。
【0038】
なお、ロープ33を緊張状態に保持するため、一端がピストン22に止着されたロープ33の他端には、ピストン22の昇降に影響を与えることのない、十分に質量の小さな錘35が連結されている。このロープ33は、シリンダ2の外部に引き出された後、シリンダ2に併設されたガイドパイプ23(図2参照)内を錘35とともに昇降するようになっている。
【0039】
次に、このように構成された制御装置30の制御要領を図5のフローチャートにしたがって説明する。
【0040】
なお、過酸化水素水の時間の経過に伴う濃度の低下は把握されており、濃度の低下に反比例して過酸化水素水の供給量を増加させるように制御する。具体的には、出荷時において、5.9%の過酸化水素水は、1年経過後には濃度がほぼ半減することから、出荷時において、すなわち、過酸化水素水の濃度が5.9%のとき、前述したように、1呼吸当たり200ccの酸素を発生させるために必要な過酸化水素水は0.6ccであるが、1年経過後には、すなわち、過酸化水素水の濃度が半減したときには、1呼吸当たり200ccの酸素を発生させるために必要な過酸化水素水は1.2ccとなる。
【0041】
また、肺活量の大小による呼吸量の変化については、ピストン22の移動量に比例して過酸化水素水の供給量を増減させるように制御する。具体的には、標準的な肺活量の使用者が1呼吸当たり200ccの酸素を必要とするとき、それに見合う過酸化水素水は0.6cc必要になるが、仮に標準的な場合の1.5倍の肺活量の使用者が使用するときには、それに見合う過酸化水素水は0.9cc必要になる。
【0042】
以上の前提を踏まえて、図示しない始動スイッチが操作されると、先ず、プーリー34が回転しているか否かが判断され(ステップS1)、プーリー34が回転していない場合には、再びステップ1に戻り、プーリー34の回転の有無が判断される。プーリー34が回転されると、フォトセンサがプーリー34のスリットを検出し、プーリー34の回転角に見合うパルスを取得する(ステップS2)。次いで、タイマICから出荷後の経過時間データを取得する(ステップS3)。この後、プーリー34の回転角に見合うパルスと経過時間から必要とする過酸化水素水の吐出量を演算し(ステップS4)、その必要吐出量に見合うパルスをモーターMに出力し、定吐出量形ポンプPを設定回転角だけ回転させ、演算された必要吐出量に見合う過酸化水素水を吐出させ、酸素発生筒4の充填筒4aに充填された二酸化マンガンに供給する。これにより、過酸化水素水が二酸化マンガンを触媒として酸素と水に分解する。そして、過酸化水素水の吐出量に見合う量だけ発生した酸素は、酸素供給パイプ9を経て吸気パイプ7に供給されて吸気と混合され、また、水は、充填筒4aから溢れ出て酸素発生筒4に貯留される。
【0043】
以下同様に、使用者の呼吸に伴ってシリンダ2のピストン22が昇降するとき、ピストン22の昇降に伴う容積変化をプーリー34の回転角の変化として把握し、その容積変化に見合うとともに、経時劣化に見合う量の過酸化水素水を定吐出量形ポンプPを介して吐出し、酸素を発生させて吸気パイプ7に供給するものである。
【0044】
このように、非常用呼吸装置1に制御装置30を組み込むことにより、過酸化水素水の経時劣化を補正するとともに、呼吸量の大小を補正して必要な酸素量に見合う過酸化水素水を供給することができ、必要量に見合う過酸化水素水を消費することができる。
【0045】
なお、前述した実施形態においては、呼気量を検出する検出装置31として、ピストン22の昇降に連動して回転するプーリー34のスリットを検出するフォトセンサで例示したが、フォトセンサに限るものではなく、例えば、超音波を利用してピストン22のストロークを測定したり、あるいは、ラックとピニオンを利用してピストン22の直線運動を回転運動に直接変換して回転角を測定するようにしてもよい。
【0046】
また、制御装置30において、呼吸量の大小によって過酸化水素水の吐出量を補正する場合を説明したが、標準的な体格の使用者の呼吸量に見合う過酸化水素水の吐出量よりも多めに吐出量を設定することにより、呼吸量の大小による過酸化水素水の吐出量補正を不要にすることもできる。
【0047】
ところで、図6および図7には、本発明の非常用呼吸装置1の他の実施形態が示されている。
【0048】
この非常用呼吸装置1は、先に説明した非常用呼吸装置1が縦型、すなわち、シリンダ2の軸心方向が垂直方向となるように、例えば、背中に背負って使用するのに対し、横型、すなわち、シリンダ2の軸心方向が水平方向となるように、例えば、胸部に抱えて使用するものである。
【0049】
この非常用呼吸装置1は、呼吸による容積変化を吸収可能なシリンダ2と、過酸化水素水を貯留する貯留筒3と、二酸化マンガンを貯留する酸素発生筒41と、呼吸用マスク5を備えた呼気パイプ6および吸気パイプ7と、ソフノライム(登録商標)などの炭酸ガス吸着剤Aが充填された吸着筒10と、過酸化水素水を二酸化マンガンに供給するプランジャポンプなどの定吐出量形ポンプP1とから主要部が構成されており、これらのシリンダ2、貯留筒3、吸着筒10は、シリンダ2の軸心方向が水平方向となるように、左右各端開口部がそれぞれ連結部材14を介して閉鎖されるとともに一体に連結されている。
【0050】
シリンダ2は、シリンダ本体21にピストン22を摺動自在に嵌挿して形成され、後述するように、呼吸用マスク5、呼気パイプ6、吸着筒10および接続パイプ12を通してシリンダ2のシリンダ本体21に呼気を吐出すると、その呼気量に見合う量だけピストン22を押し出すことにより、呼気による容積増加に追従することができる。また、呼吸用マスク5、吸気パイプ7、炭酸ガス吸着筒10および接続パイプ12を通してシリンダ2のシリンダ本体21の空気を吸引すると、その吸気量に見合う量だけピストン22を引き出すことにより、吸気による容積減少に追従することができる。
【0051】
一方、シリンダ2のピストン22には、当該ピストン22の移動量、すなわち、呼吸量を検出する検出装置31としてのフォトセンサが設けられている。このフォトセンサは、ピストン22の摺動に連動してシリンダ2のシリンダ本体21の内周面底部に沿って転動するローラ36を挟んで設けられており、ローラ36の周方向に間隔をおいて形成されたスリットを検出し、ローラ36の回転角に見合うパルスを検出するものである。
【0052】
なお、ローラ36は、ピストン22の中心軸回りに回転自在に軸支されたアーム37の先端に回転自在に軸支されており、シリンダ2が軸心回りに回動したとしても、ピストン22に対してアーム37は回転し、ローラ36は、常にシリンダ本体21の内周面底側に位置するようになっている。
【0053】
また、フォトセンサは、ピストン22の摺動に余裕をもって連結部材14に設けられた制御装置30に配線接続されている。
【0054】
また、貯留筒3には、詳細には図示しないが、例えば、30分間呼吸することができる約500ccの過酸化水素水を充填して止水栓で封入した袋体が収容されており、袋体に一端が接続された過酸化水素水供給パイプ8の他端が定吐出量形ポンプP1を介して酸素発生筒41に接続されている。すなわち、一方の連結部材14に長手方向を上下方向に向けて配置された酸素発生筒41には、二酸化マンガンが充填された充填筒4aが収容されており、該充填筒4aの下端部に過酸化水素水供給パイプ8が接続されている。これにより、連結部材14に設けられた操作具15(図6参照)を操作することにより、図示しない止水栓を開放し、過酸化水素水を定吐出量形ポンプP1および過酸化水素水供給パイプ8を通して充填筒4aの二酸化マンガンに供給することができる。
【0055】
さらに、貯留筒3と酸素発生筒41との間には、酸素発生筒41において、過酸化水素水が二酸化マンガンを触媒として酸素と水に分解した際の水を貯留筒3に還流させる還流パイプ11が接続されている。したがって、酸素発生筒41において、過酸化水素水が分解して発生した水は、充填筒4aを溢れ出て酸素発生筒41に一部貯留された後、還流パイプ11を経て貯留筒3に還流されるようになっている。
【0056】
これにより、定吐出量形ポンプP1を介して常に過酸化水素水を二酸化マンガンに供給することが可能となり、二酸化マンガンを触媒として直ちに酸素を発生させることができる。また、酸素発生筒41は、過酸化水素水が分解した際の水を貯える必要がなくなることから、過酸化水素水を貯留する貯留筒3の容積よりも十分に小さく形成することができ、全体をコンパクトに形成することができる。
【0057】
なお、貯留筒3に還流した水は、過酸化水素水を封入する袋体によって混じり合うことなく貯留分離される。
【0058】
また、酸素発生筒41とシリンダ2との間には、酸素供給パイプ9が接続されており、酸素発生筒41において発生した酸素をシリンダ2に供給することができる。この実施形態においては、酸素供給パイプ9は、詳細には図示しないが、連結部材14に一体に形成されている。
【0059】
一方、呼気パイプ6および吸気パイプ7は、吸気パイプ7内に呼気パイプ6が挿通された二重管構造となっており、それらの一端がそれぞれ呼吸用マスク5に接続される一方、他端が吸着筒10の一端側に設けられた接続部10aに接続されている。また、吸着筒10の他端部とシリンダ2との間には、接続パイプ12が接続されており、シリンダ2と吸着筒10とが連通されている。
【0060】
なお、呼吸用マスク5は、前述したように、呼気パイプ6との接続部に空気を吹き込んだ場合にのみ開放される逆止弁が設けられるとともに、吸気パイプ7との接続部に空気を吸い込んだ場合にのみ開放される逆止弁が設けられている。これにより、呼吸用マスク5を利用して呼気した場合、その呼気の背圧を受けて吸気パイプ7を閉鎖し、呼気を呼気パイプ6、吸着筒10および接続パイプ12を通してシリンダ2に吐出することができ、また、呼吸用マスク5を利用して吸気した場合、吸気の負圧を受けて呼気パイプ6を閉鎖し、シリンダ2内の空気を接続パイプ12、吸着筒10および吸気パイプ7を通して吸引することができる。
【0061】
したがって、呼気パイプ6、吸着筒10、接続パイプ12を通して呼気をシリンダ2に吐出した際、呼気を炭酸ガス吸着剤Aと接触させて呼気に含まれる炭酸ガスを吸着させることができ、シリンダ2の空気を接続パイプ12、吸着筒10および吸気パイプ7を通して吸引した際、吸気を炭酸ガス吸着剤Aと接触させて吸気に含まれる炭酸ガスを吸着させることができ、吸気の炭酸ガスを可及的に削減することができる。また、呼気パイプ6の他端および吸気パイプ7の他端がそれぞれ各別に吸着筒10に接続されていることにより、呼気と吸気とが確実に分離され、吸気に含まれる炭酸ガスをより少なくすることができる。
【0062】
このように構成された非常用呼吸装置1は、操作具15を操作して袋体の止水栓を開放するとともに、図示しない始動スイッチを操作すると、モーターM1(図6参照)、例えば、DCギヤードモーターが回転駆動し、その回転をクランク機構を介して定吐出量形ポンプP1のプランジャーの往復運動に変換する。したがって、モーターM1の回転数に見合ってプランジャが往復移動し、過酸化水素水を貯留筒3から過酸化水素水供給パイプ8を経て吸い込み、過酸化水素水供給パイプ8を通して酸素発生筒41の充填筒4a内に充填された二酸化マンガンに供給する。これにより、過酸化水素水は、二酸化マンガンを触媒として酸素と水とに分解し、発生した酸素を酸素供給パイプ9を経てシリンダ2に供給するとともに、分解した水は、充填筒4aを溢れ出て酸素発生筒41に一定量貯留された後、還流パイプ11を介して貯留筒3に還流される。
【0063】
一方、呼吸用マスク5を通して呼気を吐出すると、呼気は呼気パイプ6、吸着筒10、接続パイプ12を経てシリンダ2に供給される。呼気が吸着筒10に吐出されると、呼気は炭酸ガス吸着剤Aを通過することから、呼気に含まれる炭酸ガスが吸着される。また、呼気に見合う容積だけピストン22が押し出され、呼気による容積変化に追従することができる。次いで、呼吸用マスク5を通して吸気を吸引すると、吸引パイプ4、吸着筒10、接続パイプ12を経てシリンダ2の空気を吸引する。この際、シリンダ2には酸素発生筒41から酸素が供給されていることにより、酸素が混合された空気を吸引することになり、呼吸を確保することができる。また、シリンダ2中の空気が吸引されると、シリンダ2の空気は吸着筒10の炭酸ガス吸着剤Aを通過することから、その空気に含まれる炭酸ガスが吸着される。また、吸気に見合う容積だけピストン22が引き出され、吸気による容積変化に追従することができる。
【0064】
この結果、炭酸ガスを吸着した空気に過酸化水素水が分解して発生した酸素を混合することができ、非常時の呼吸を確保することができる。また、呼吸用マスク5および呼気パイプ6を通して呼気を吐出すれば、呼気に見合う容積だけピストン22が押し出され、一方、呼吸用マスク5および吸気パイプ7を通して吸気を吸引すれば、吸気に見合う容積だけピストン22が引き出され、呼吸に伴う容積変化に追従することができ、呼吸を確実に確保することができる。しかも、過酸化水素水が分解した水が二酸化マンガンを覆ったとしても、過酸化水素水を常に二酸化マンガンに供給することができ、速やかに、かつ、十分に酸素を発生させることができるとともに、分解した水は、還流パイプ11を経て貯留筒3に還流されることから、酸素発生筒41の容積を貯留筒3の容積よりも十分に小さく形成することができる。さらに、シリンダ2と吸着筒10を個別に設けたことにより、炭酸ガス吸着剤Aを十分に充填することができ、呼吸に必要な時間にわたって炭酸ガスを除去することができる。また、吸着筒10を新たに設けたにも関わらず、酸素発生筒41の容積を小さく形成して配設位置を変更したことにより、全体をコンパクトにまとめることができる。
【0065】
この実施形態においても、過酸化水素水の経時劣化および呼吸量の相違を補正する制御装置30が連結部材14に組み込まれており、使用者に十分な酸素を供給することができるものである。すなわち、前述したように、呼吸用マスク5を通して呼吸すると、呼吸に伴ってシリンダ2のピストン22が摺動することから、ピストン22の摺動に伴って、ローラ36がシリンダ本体21の内周面底部を転動してピストン22の移動量に見合う角度回転し、ローラ36の回転角をフォトセンサが検出することができる。これにより、必要な酸素量に見合う過酸化水素水を供給し、使用者による呼吸量の相違を補正することができる。また、タイマーを利用して過酸化水素水の経時劣化を補正することができ、必要な酸素量に見合う過酸化水素水を供給することができる。
【0066】
しかも、仮に使用者が使用に際して転倒したとしても、使用者の呼吸によりピストン22が摺動すれば、ピストン22の摺動に連動してローラ36は確実に転動し、ローラ36の回転角に基づいて必要な酸素量に見合う過酸化水素水を供給して使用者による呼吸量の相違を補正することができ、不測の事態においても確実に呼吸を確保することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の非常用呼吸装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の非常用呼吸装置の背面側斜視図である。
【図3】図1の非常用呼吸装置を模式的に示す概略図である。
【図4】図1の非常用呼吸装置の制御装置およびその入出力装置を説明する概略図である。
【図5】制御装置の制御要領を示すフローチャートである。
【図6】本発明の非常用呼吸装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6の非常用呼吸装置を模式的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0068】
1 非常用呼吸装置
2 シリンダ
22 ピストン
3 貯留筒
4,41 酸素発生筒
5 呼吸用マスク
6 呼気パイプ
7 吸気パイプ
8 過酸化水素水供給パイプ
9 酸素供給パイプ
10 吸着筒
11 還流パイプ
12 接続パイプ
30 制御装置
31 検出装置(フォトセンサ)
A 炭酸ガス吸着剤
P,P1 定吐出量形ポンプ
M,M1 モーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンが昇降自在に嵌挿されるとともに、内部に炭酸ガス吸着剤が充填されたシリンダと、過酸化水素水が貯留された貯留筒と、二酸化マンガンが貯留された酸素発生筒と、一端がシリンダに接続されるとともに、他端が呼吸用マスクにそれぞれ接続された呼気パイプおよび吸気パイプと、貯留筒と酸素発生筒とに接続された過酸化水素水供給パイプおよび該過酸化水素水供給パイプに配設された定吐出量形ポンプと、酸素発生筒と吸気パイプとに接続された酸素供給パイプとから構成され、呼吸用マスクおよび呼気パイプを通して呼気がシリンダに吐出された際、呼気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着されるとともに、呼気量に見合う容積分ピストンが押し上げられ、また、呼吸用マスクおよび吸気パイプを通してシリンダの空気が吸引された際、吸気量に見合う容積分ピストンが引き下げられるとともに、吸気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着され、さらに、過酸化水素水供給パイプおよび定吐出量形ポンプを介して二酸化マンガンに供給された過酸化水素水によって発生する酸素が酸素供給パイプを通して吸気パイプに供給されて吸気に混合されることを特徴とする非常用呼吸装置。
【請求項2】
ピストンが摺動自在に嵌挿されたシリンダと、炭酸ガス吸着剤が充填された吸着筒と、過酸化水素水が貯留された貯留筒と、二酸化マンガンが貯留された酸素発生筒と、一端が吸着筒に接続されるとともに、他端が呼吸用マスクにそれぞれ接続された呼気パイプおよび吸気パイプと、貯留筒と酸素発生筒とに接続された過酸化水素水供給パイプおよび該過酸化水素水供給パイプに配設された定吐出量形ポンプと、酸素発生筒とシリンダとに接続された酸素供給パイプと、シリンダと吸着筒とに接続された接続パイプとから構成され、呼吸用マスク、呼気パイプ、吸着筒および接続パイプを通して呼気がシリンダに吐出された際、呼気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着されるとともに、呼気量に見合う容積分ピストンが押し出され、また、呼吸用マスク、吸気パイプ、吸着筒および接続パイプを通してシリンダの空気が吸引された際、吸気量に見合う容積分ピストンが引き出されとともに、吸気の炭酸ガスが炭酸ガス吸着剤で吸着され、さらに、過酸化水素水供給パイプおよび定吐出量形ポンプを介して二酸化マンガンに供給された過酸化水素水によって発生する酸素が酸素供給パイプを通してシリンダに供給されて吸気に混合されることを特徴とする非常用呼吸装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の非常用呼吸装置において、前記貯留筒の内部に二酸化マンガンが充填された充填筒が設けられ、該充填筒の下端部に過酸化水素水供給パイプが接続されることを特徴とする非常用呼吸装置。
【請求項4】
請求項2記載の非常用呼吸装置において、前記酸素発生筒と貯留筒とに還流パイプが接続されることを特徴とする非常用呼吸装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の非常用呼吸装置において、前記定吐出量形ポンプの吐出量が過酸化水素水の経時劣化に基づいて補正されることを特徴とする非常用呼吸装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の非常用呼吸装置において、前記定吐出量形ポンプの吐出量が呼吸量に基づいて補正されることを特徴とする非常用呼吸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−297488(P2009−297488A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185170(P2008−185170)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(508145539)
【出願人】(508145540)
【出願人】(508145551)
【出願人】(591045530)
【出願人】(508145562)
【Fターム(参考)】