説明

非常用電力供給システム

【課題】全電源喪失時に非常用電力を安定して供給できること。
【解決手段】蓄熱媒体28を充填した反応容器16、及びこの反応容器に連通配管18を介して接続される貯蔵器17を備え、蓄熱媒体の化学反応を利用して蓄熱し放熱する化学蓄熱設備11と、貯蔵器と原子炉一次系との間で熱交換を行って貯蔵器を加熱する第1熱交換ループ13と、高温部12Aと低温部12Bとの温度差により発電する熱電変換装置12と、反応容器と熱電変換装置の高温部との間で熱交換を行って高温部を加熱する第2熱交換ループ14と、熱電変換装置の低温部と最終ヒートシンク25との間で熱交換を行って低温部を冷却する最終放熱冷却ループ15とを有し、電源喪失時に第1熱交換ループ13に配置された弁が受動で開動作して、貯蔵器が原子炉一次冷却材により加熱されることで、化学蓄熱設備11に蓄熱された熱が放熱され、この熱により熱電変換装置12が発電を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントに適用されて全電源喪失時に非常用電力を供給する非常用電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軽水炉プラントは、外部電源の喪失時に原子炉を安全に停止するために必要な電源を供給すると共に、工学的安全施設を作動させるための電源を供給する非常用ディーゼル発電設備を有する。本設備は多重性と独立性を備え、単一故障を考えても電源の完全喪失とならないよう設計されている(非特許文献1)。
【0003】
ところで、化学蓄熱は、熱を化学エネルギとして蓄える方法であり、化学反応に伴う熱の出入りを利用し、化学エネルギを蓄えることによって蓄熱を行うものである(非特許文献2)。この化学蓄熱は、温水蓄熱などに比べ高密度での蓄熱が可能であって高効率が期待できると共に、長期間の蓄熱が可能である。
【0004】
また、一般に沸騰水型原子炉の一次系温度は300℃程度である。この温度レベルの熱を蓄熱・放熱可能な反応系として、例えば、図7に示すような酸化マグネシウム−水酸化マグネシウム反応系を用いた化学蓄熱設備1が知られている(特許文献1)。
【0005】
この化学蓄熱設備1では、放熱状態からの蓄熱過程(図7(A))において、反応容器3を加熱することにより蓄熱媒体2の水酸化マグネシウムの脱水を行い、発生した水蒸気を、連通配管5を通して貯蔵器4へと移動させる。このとき蓄熱媒体2は酸化マグネシウムに変化し、反応系は化学的に蓄熱された状態になる。蓄熱状態からの放熱過程(図7(B))においては、貯蔵器4を駆動熱によって加熱することにより、発生した水蒸気を、連通配管6を通して反応容器3へと移動させる。すると、蓄熱媒体2は水蒸気と反応して水酸化マグネシウムに変化し、加水反応熱を放熱(発熱)する。
【0006】
蓄熱過程では、反応容器3の温度を蓄熱媒体2に応じた化学反応平衡温度以上とすることが求められ、放熱過程では、反応容器3の温度を化学反応平衡温度以下とすることが求められる。但し、反応系(反応容器3及び貯蔵器4)の圧力レベルを上昇させることにより、化学反応平衡温度を上昇させることが可能である。
【0007】
また、一次系ループと二次系ループが分離された間接サイクル式原子力発電所について、従来の蒸気発生器に代えて熱電変換装置を設置し、原子炉一次系を高温源、二次系を低温源とし、熱電変換装置の熱電素子モジュールにより温度差発電を行う技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−213529号公報
【特許文献2】特開2001−242287号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】(財)原子力安全研究協会編、軽水炉発電所のあらまし、平成4年10月
【非特許文献2】電力中央研究所・研究報告W87005、1987年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の非常用ディーゼル発電設備は巨大津波による冠水等によって全系統が同時に不作動となる恐れがある。よって、非常用ディーゼル発電設備の不作動を仮定した上で、全く異なる原理を用いながら、全電源喪失時に受動的に作動して非常用ディーゼル発電設備をバックアップする非常用電力供給システムの確立が望まれる。
【0011】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、全電源喪失時に非常用電力を安定して供給できる非常用電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、蓄熱媒体を充填した反応容器、及びこの反応容器に連通配管を介して接続されて水を貯蔵する貯蔵器を備え、前記蓄熱媒体の化学反応を利用して蓄熱し放熱する化学蓄熱設備と、前記貯蔵器と原子炉一次系との間で熱交換を行って、前記貯蔵器を加熱する第1熱交換系と、高温部と低温部との温度差により発電する熱電変換装置と、前記反応容器と前記熱電変換装置の前記高温部との間で熱交換を行って、前記高温部を加熱する第2熱交換系と、前記熱電変換装置の前記低温部と最終ヒートシンクとの間で熱交換を行って、前記低温部を冷却する最終放熱冷却系とを有し、電源喪失時に前記第1熱交換系に配設された弁が受動で開動作して、前記貯蔵器が前記原子炉一次系により加熱されることで、前記化学蓄熱設備に蓄熱された熱が放熱され、この熱により前記熱電変換装置が発電を行うよう構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源喪失時に化学蓄熱設備が受動的に作動して発熱し、この熱を用いて熱電変換装置が発電を行うので、全電源喪失時に非常用電力を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る非常用電力供給システムの第1実施形態を示す系統図。
【図2】本発明に係る非常用電力供給システムの第2実施形態が放熱発電モードを実施している状況を示す系統図。
【図3】図2の非常用電力供給システムが蓄熱モードを実施している状況を示す系統図。
【図4】本発明に係る非常用電力供給システムの第3実施形態を示す系統図。
【図5】本発明に係る非常用電力供給システムの第4実施形態を示す系統図。
【図6】本発明に係る非常用電力供給システムの第5実施形態を示す系統図。
【図7】化学蓄熱設備を示し、(A)が放熱状態から蓄熱過程へ移行する状況を説明する模式図、(B)が蓄熱状態から放熱過程へ移行する状況を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
【0016】
[A]第1実施形態(図1)
図1は、本発明に係る非常用電力供給システムの第1実施形態を示す系統図である。この非常用電力供給システム10は原子力プラント、例えば沸騰水型原子炉に適用されて全電源喪失時に非常用電力を供給するものであり、化学蓄熱設備11、第1熱交換系としての第1熱交換ループ13、熱電変換装置12、第2熱交換系としての第2熱交換ループ14、及び最終放熱冷却系としての最終放熱冷却ループ15を有して構成される。
【0017】
化学蓄熱設備11は、酸化マグネシウム−水酸化マグネシウムの化学反応系を利用して蓄熱し放熱するものであり、反応容器16、貯蔵器17、及び反応容器16と貯蔵器17とを接続する連通配管18を備えて構成される。連通配管18に蓄熱開放弁19が配置され、この蓄熱開放弁19の開弁時に連通配管18を介して反応容器16と貯蔵器17とが連通される。反応容器16には、蓄熱媒体28としての酸化マグネシウム等が充填されている。また、貯蔵器17には水が貯蔵されている。
【0018】
貯蔵器17は、化学蓄熱設備11の放熱過程において駆動熱により加熱されるため、昇温時の高温及び高圧に耐え得る断熱素材にて構成される。この貯蔵器17内は予め加圧されている。また、反応容器16も、化学蓄熱設備11の放熱過程において放熱(発熱)するため、昇温時の高温及び高圧に耐え得る素材にて構成される。
【0019】
前記第1熱交換ループ13は、化学蓄熱設備11の貯蔵器17と、原子炉一次系の構成要素である原子炉圧力容器20との間で熱交換を行って、貯蔵器17を加熱するものである。つまり、第1熱交換ループ13は、伝熱部21が貯蔵器17に内包され、両端部が原子炉圧力容器20に接続されると共に、開閉弁22A及び22Bを備える。開閉弁22A及び22Bの開動作時に原子炉圧力容器20内の原子炉一次冷却材が第1熱交換ループ13を流れ、伝熱部21で貯蔵器17内の水と熱交換して、この貯蔵器17内の水を加熱する。前記開閉弁22A及び22Bは、化学蓄熱設備11の前記蓄熱開放弁19と共に、受動で開動作するよう構成されている。
【0020】
熱電変換装置12は高温部12A及び低温部12Bを備え、これらの高温部12Aと低温部12Bとの温度差により発電する。この熱電変換装置12の発電により非常用電力が供給可能になる。
【0021】
第2熱交換ループ14は、化学蓄熱設備11の反応容器16と熱電変換装置12の高温部12Aとの間で熱交換を行って、高温部12Aを加熱する。つまり、第2熱交換ループ14は、一方の伝熱部23が反応容器16に内包され、他方の伝熱部24が熱電変換装置12の高温部12Aに接触し、反応容器16内での蓄熱媒体28の加水反応により発熱した熱を、熱電変換装置12の高温部12Aへ伝達する。
【0022】
最終放熱冷却ループ15は、熱電変換装置12の低温部12Bと最終ヒートシンク25との間で熱交換を行って、低温部12Bを冷却する。つまり、最終放熱冷却ループ15は、一方の伝熱部26が最終ヒートシンク25に内包され、他方の伝熱部27が熱電変換装置12の低温部12Bに接触して、最終ヒートシンク25により低温部12Bを冷却する。この最終ヒートシンク25は、冷却用海水、冷却用空気、または海水を除く冷却用水を用いた冷却機構を1または複数備えて構成される。この第1実施形態では、最終ヒートシンク25は、冷却用空気を用いた1台の空冷塔である。
【0023】
本実施形態の非常用電力供給システム10では、前述のごとく、電源喪失時に蓄熱開放弁19、開放弁22A及び22Bが受動(自動)で開動作する。すると、図7(B)にも示すように、化学蓄熱設備11の貯蔵器17が原子炉圧力容器20内の原子炉一次冷却材により第1熱交換ループ13を用いて加熱されることで、水蒸気が貯蔵器17から連通配管18を通って反応容器16内へ流入し、化学蓄熱設備11に蓄熱された熱が放熱、即ち反応容器16内で蓄熱媒体28(酸化マグネシウム)が水蒸気と反応して水酸化マグネシウムに変化し、加水反応熱を放熱(発熱)する。
【0024】
このとき、貯蔵器17内は予め加圧されているので、反応容器16内も加圧され、蓄熱媒体28の上述の化学反応の結果得られる温度は、原子炉圧力容器20内の原子炉一次冷却材の温度よりも高温になる。
【0025】
化学蓄熱設備11の反応容器16から放熱された熱が第2熱交換ループ14を介して熱電変換装置12の高温部12Aを加熱し、最終放熱冷却ループ15の最終ヒートシンク25が熱電変換装置12の低温部12Bを冷却することで、熱電変換装置12が高温部12Aと低温部12Bとの温度差により発電を行って、非常用電力が得られる。尚、本実施形態の非常用電力供給システム10では、化学蓄熱設備11は、予め化学的に蓄熱された状態である必要があり、また、受動的な蓄熱はできず、放熱は1回に限られる。
【0026】
また、本実施形態の非常用電力供給システム10では、第1熱交換ループ13の破断による原子炉一次冷却材喪失の可能性に鑑み、この原子炉一次冷却材の原子炉格納容器29外への漏出を防止するため、化学蓄熱設備11の反応容器16、貯蔵器17及び連通配管18並びに第1熱交換ループ13が原子炉格納容器29の内部に配置される。特に、耐震性を確保する観点から、反応容器16及び貯蔵器17が原子炉格納容器29の下部に設置されることが好ましい。
【0027】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)及び(2)を奏する。
(1)電源喪失時に蓄熱開放弁19、開放弁22A及び22Bが受動で開動作して、化学蓄熱設備11の貯蔵器17が第1熱交換ループ13を介して原子炉一次冷却材により加熱され、化学蓄熱設備11に蓄熱されていた熱が反応容器16から放熱され、この熱を用いて熱電変換装置12が発電を行うので、全電源喪失時に、安全性確保の点から重要度の高い機器(例えば計装制御系機器)へ非常用電力を安定して供給できる。
【0028】
(2)特に、化学蓄熱設備11の反応容器16に充填される蓄熱媒体28の種類や反応容器16及び貯蔵器17内の圧力、熱電変換装置12を適切に選択することにより、非常時の原子炉一次冷却材よりも高い温度の熱を反応容器16から放熱できるので、熱電変換装置12により高効率な熱電変換を実現できる。
【0029】
尚、第1熱交換ループ13に配設された開閉弁22Aと22Bは、いずれか一方が開閉弁、他方が逆止弁であってもよい。また、第1熱交換ループ13及び第2熱交換ループ14は、後述の第2実施形態と同様なループ型のヒートパイプにて構成されてもよい。更に、物量削減及び経済性向上の観点から、サプレッションチャンバの一部が化学蓄熱設備11の反応容器16と貯蔵器17の機能を兼用してもよい。この場合には、サプレッションチャンバは、他から完全に分離された2区画を有し、これらの2区画の一方が反応容器16として、他方が貯蔵器17として機能してもよい。
【0030】
[B]第2実施形態(図2、図3)
図2は、本発明に係る非常用電力供給システムの第2実施形態が放熱発電モードを実施している状況を示す系統図であり、図3は、図2の非常用電力供給システムが蓄熱モードを実施している状況を示す系統図である。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0031】
本実施形態の非常用電力供給システム30が前記第1実施形態と異なる主な点は、第3熱交換系としての第3熱交換ループ31、第4熱交換系としての第4熱交換ループ32を追加して備え、更に、原子炉一次系が原子炉圧力容器20と、この原子炉圧力容器20内の原子炉一次冷却材を循環する原子炉一次冷却材ループ33とを有してなり、第1熱交換ループ13が、原子炉一次冷却材ループ33と化学蓄熱設備11の貯蔵器17との間で熱交換を行って貯蔵器17を加熱する点である。ここで、符号34は、第1熱交換ループ13における原子炉一次冷却材ループ33側の伝熱部である。
【0032】
前記第3熱交換ループ31は、化学蓄熱設備11の反応容器16と原子炉一次冷却材ループ33との間で熱交換を行って、反応容器16を加熱する。つまり、第3熱交換ループ31は、一方の伝熱部35が原子炉一次冷却材ループ33を流れる原子炉一次冷却材により加熱され、他方の伝熱部36が反応容器16に内包され、原子炉一次冷却材の熱により反応容器16を加熱する。
【0033】
また、前記第4熱交換ループ32は、化学蓄熱設備11の貯蔵器17と最終放熱冷却ループ15との間で熱交換を行って、貯蔵器17を冷却する。つまり、第4熱交換ループ32は、一方の伝熱部37が最終放熱冷却ループ15により冷却され、他方の伝熱部38が貯蔵器17に内包されて、最終放熱冷却ループ15により貯蔵器17内の水を冷却する。
【0034】
本実施形態の非常用電力供給システム30では、第1熱交換ループ13、第2熱交換ループ14、第3熱交換ループ31及び第4熱交換ループ32はループ型のヒートパイプにて構成されている。このうち、第1熱交換ループ13の伝熱部21(凝縮器)と第4熱交換ループ32の伝熱部38(蒸発部)とが分離して構成されている。同様に、第3熱交換ループ31の伝熱部36(凝縮部)と第2熱交換ループ14の伝熱部36(蒸発部)とが分離して構成されている。これらのループ型のヒートパイプは、凝縮部が蒸発部よりも上に位置するサーモサイフォン式ヒートパイプであり、無動力で作動媒体(例えば水)の循環が可能である。
【0035】
第1熱交換ループ13、第2熱交換ループ14、第3熱交換ループ31及び第4熱交換ループ32がヒートパイプにて構成されたので、原子炉一次冷却材ループ33と、化学蓄熱設備11の反応容器16及び貯蔵器17と、熱電変換装置12と、最終放熱冷却ループ15との間では、ヒートパイプである第1熱交換ループ13、第2熱交換ループ14、第3熱交換ループ31及び第4熱交換ループ32を用いて熱交換が行われる。これらのヒートパイプは、その蒸発部と凝縮部の破損が同時に発生しない限り、原子炉一次冷却材ループ33、化学蓄熱設備11の反応容器16、貯蔵器17、熱電変換装置12、最終放熱冷却ループ15間で漏洩が発生しない構成になっている。
【0036】
このため、本実施形態の非常用電力供給システム30では、原子炉圧力容器20、原子炉一次冷却材ループ33及びこの原子炉一次冷却材ループ33に付属する弁(開閉弁39A及び逆止弁39B)を除く構成要素、即ち化学蓄熱設備11の反応容器16及び貯蔵器17、熱電変換装置12、並びに最終放熱冷却ループ15等が原子炉格納容器29の外部に設置される。従って、第1熱交換ループ13及び第3熱交換ループ31が原子炉格納容器29を貫通して設けられている。
【0037】
更に、ループ型のヒートパイプから構成される第1熱交換ループ13、第2熱交換ループ14、第3熱交換ループ31及び第4熱交換ループ32には、それぞれ対をなす弁が配設される。即ち、第1熱交換ループ13には、第1実施形態の開閉弁22A及び22Bに代えて開閉弁41A及び逆止弁41Bが配設され、第2熱交換ループ14には開閉弁42A及び逆止弁42Bが配設され、第3熱交換ループ31には開閉弁43A及び逆止弁43Bが配設され、第4熱交換ループ32には開閉弁44A及び逆止弁44Bが配設されている。
【0038】
これらの開閉弁41A、42A、43A及び44Aと、原子炉一次冷却材ループ33の開閉弁39Aと、化学蓄熱設備11の蓄熱開放弁19とは、通常運転時には任意に開閉可能であるが、停電時(電源喪失時)には、開閉弁41A、42A及び蓄熱開放弁19が受動(自動)で開動作し、開閉弁43A及び44Aが受動(自動)で閉動作するよう構成されている(図2参照)。
【0039】
このうちの開閉弁41A、42A、43A及び44Aは、原子炉圧力容器20の上部または図示しない主蒸気管(本実施形態では原子炉圧力容器20の上部)から延びる分岐管40に接続され、原子炉圧力とばね圧とのバランスにより無給電で開閉動作する機能を更に備える。即ち、分岐管40から導入された原子炉圧力がばね圧よりも大きくなったときに、開閉弁41A及び42Aが無給電で閉動作し、開閉弁43A及び44Aが無給電で開動作する機能を備える(図3参照)。
【0040】
従って、本実施形態の非常用電力供給システム30では、電源が喪失して、開閉弁41A、42A、43A、44A、39A及び蓄熱開放弁19への電力供給が遮断されたとき、開閉弁41A、42A及び蓄熱開放弁19が受動で開動作し、開閉弁43A及び44Aが受動で閉動作して、非常用電力供給システム30は放熱発電モードに移行する(図2、図7(B)参照)。
【0041】
このとき、化学蓄熱設備11の貯蔵器17が第1熱交換ループ13を用いて原子炉一次冷却材ループ33内の原子炉一次冷却材により加熱されることで、水蒸気が貯蔵器17から連通配管18を通って反応容器16内に流入し、化学蓄熱設備11に蓄熱された熱が放熱、即ち反応容器16内で蓄熱媒体28(酸化マグネシウム)が水蒸気と反応して水酸化マグネシウムに変化し、加水反応熱を放熱(発熱)する。この反応容器16から放熱された熱が第2熱交換ループ14を介して熱電変換装置12の高温部12Aを加熱し、最終放熱冷却ループ15の最終ヒートシンク25が熱電変換装置12の低温部12Bを冷却することで、熱電変換装置12が高温部12Aと低温部12Bとの温度差により発電を行って、非常用電力が得られる。
【0042】
また、通常運転時には、開閉弁43A、44A、39A及び蓄熱開放弁19を給電により開操作させ、開閉弁41A及び42Aを給電により閉操作させることで、非常用電力供給システム30は蓄熱モードに移行する(図3、図7(A)参照)。
【0043】
このとき、化学蓄熱設備11の反応容器16が第3熱交換ループ31を用いて原子炉一次冷却材ループ33内の原子炉一次冷却材により加熱されることで、反応容器16内の蓄熱媒体28(水酸化マグネシウム)が脱水反応を行って酸化マグネシウムに変化し、発生した水蒸気が連通配管18を経て貯蔵器17へ移動し、第4熱交換ループ32により凝縮されて貯蔵器17に貯蔵される。蓄熱媒体28が酸化マグネシウムに変化することで、化学蓄熱設備11は化学的に蓄熱された状態になる。
【0044】
例えば、蓄熱媒体28の状態から蓄熱が完了したと判断されたときに、開閉弁41A、42A、43A、44A、39A及び蓄熱開放弁19が給電により開操作されて、化学蓄熱設備11及び非常用電力供給システム30は待機モードに移行する。
【0045】
更に、電源喪失時で、例えば原子炉隔離時冷却系(不図示)による原子炉圧力容器20内の冷却が失敗し、原子炉圧力容器20内の原子炉圧力が上昇したときに、この原子炉圧力が分岐管40を経て開閉弁41A、42A、43A及び44Aに導入され、この原子炉圧力によって開閉弁43A及び44Aが無給電で開動作し、開閉弁41A及び42Aが無給電で閉動作する。これにより、化学蓄熱設備11及び非常用電力供給システム30は蓄熱モード(図3、図7(A))に移行する。
【0046】
上述の電源喪失時に、例えば主蒸気逃がし安全弁(不図示)の作動により、原子炉圧力容器20及び原子炉一次冷却材ループ33内が減圧されたときには、開閉弁41A及び42Aが受動で開動作し、開閉弁43A及び44Aが受動で閉動作して、化学蓄熱設備11及び非常用電力供給システム30は受動で放熱発電モード(図2、図7(B))に移行する。
【0047】
以上のように構成されたことから、本第2実施形態によれば、前記第1実施形態の効果(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)〜(5)を奏する。
【0048】
(3)電源喪失時に、開閉弁41A、42A、39A及び蓄熱開放弁19が受動で開動作し、開閉弁43A及び44Aが受動で閉動作して、化学蓄熱設備11の貯蔵器17が、第1熱交換ループ13を介して原子炉一次冷却材ループ33の原子炉一次冷却材により加熱され、化学蓄熱設備11に蓄熱されていた熱が反応容器16から放熱され、この熱を用いて熱電変換装置12が発電を行う放熱発電モードに移行する。このため、全電源喪失時に、安全性確保の点から重要度の高い機器(例えば計装制御系機器)へ非常用電力を安定して供給することができる。
【0049】
(4)通常運転時に開閉弁43A、44A、39A及び蓄熱開放弁19を開操作し、開閉弁41A及び42Aを閉操作することにより、また、電源喪失時で原子炉圧力が上昇したときに、開閉弁43A及び44Aが受動で開動作し、開閉弁41A及び42Aが受動で閉動作することにより、それぞれ、化学蓄熱設備11の反応容器16が、第3熱交換ループ31を用いて原子炉一次冷却材ループ33内の原子炉一次冷却材により加熱される。この加熱により、反応容器16内の蓄熱媒体28が脱水反応して、化学蓄熱設備11及び非常用電力供給システム30が蓄熱モードに移行する。従って、本実施形態の非常用電力供給システム30では、放熱発電モードと蓄熱モードとを交互に繰り返して実行させて、非常用電力を長期間に亘り供給することができる。
【0050】
(5)化学蓄熱設備11が原子炉格納容器29の外部に設置されたので、非常時に原子炉格納容器29の内部で発生した熱を原子炉格納容器29の外部の反応容器16(蓄熱モード時)または貯蔵器17(放熱発電モード時)へと導くことができる。この結果、非常用電力供給システム30は、放射性物質の漏洩のリスクを抑制しつつ、原子炉圧力容器20ひいては原子炉格納容器29の全体の除熱にも寄与できる。
【0051】
[C]第3実施形態(図4)
図4は、本発明に係る非常用電力供給システムの第3実施形態を示す系統図である。この第3実施形態において、前記第1及び第2実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0052】
本実施形態の非常用電力供給システム50が、前記第2実施形態の非常用電力供給システム30と異なる点は、化学蓄熱設備11の連通配管18に圧縮機51が配設されて、化学蓄熱設備11の反応容器16を加圧可能に構成した点である。
【0053】
化学蓄熱設備11の連通配管18に配設された圧縮機51の動力源は、例えば原子炉隔離時冷却系のタービン動力、または同様に崩壊熱により発生する原子炉蒸気を利用したタービン動力が用いられる。
【0054】
化学蓄熱設備11の反応容器16が放熱(発熱)して熱電変換装置12が発電する非常用電力供給システム50の放熱発電モードにおいて、圧縮機51により反応容器16が加圧されることで、この反応容器16内でなされる蓄熱媒体28の化学反応(加水反応)の化学反応平衡温度を上昇させることが可能になる。このため、蓄熱媒体28の放熱過程における化学反応をより高温の条件下で進めることが可能になり、反応容器16から得られる温度を、反応容器16が圧縮機51により加圧されていない状態と比べて高温化できる。これにより、熱電変換装置12による熱電変換効率が向上する。
【0055】
以上のように構成されたことから、本第3実施形態によれば、前記第1及び第2実施形態の効果(2)及び(3)〜(5)と同様な効果を奏するほか、次の効果(6)を奏する。
【0056】
(6)化学蓄熱設備11の連通配管18に配設された圧縮機51が反応容器16を加圧することで、この反応容器16内での蓄熱媒体28の放熱過程における化学反応(加水反応)の温度を上昇させることができる。このため、化学蓄熱設備11の貯蔵器17を加熱する原子炉一次冷却材ループ33の原子炉一次冷却材の温度が低下した場合にも、熱電変換装置12の高温部12Aの温度を高温に維持でき、熱電変換装置12による発電効率を良好に確保できる。
【0057】
[D]第4実施形態(図5)
図5は、本発明に係る非常用電力供給システムの第4実施形態を示す系統図である。この第4実施形態において、前記第1及び第2実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0058】
本実施形態の非常用電力供給システム60が、前記第2実施形態と異なる点は、非常用電力供給システム60が複数系統設けられ、各系統の非常用電力供給システム60における第1熱交換系61、第2熱交換系62、第3熱交換系63及び第4熱交換系64が単一流路のヒートパイプにて構成された点である。
【0059】
つまり、非常用電力供給システム60は、原子炉一次系の原子炉圧力容器20に対して複数系統(例えば2系統)設けられている。従って、電源喪失時に少なくとも一つの系統の非常用電力供給システム60における化学蓄熱設備11が放熱を行い、熱電変換装置12が発電を行うように構成することが可能になる。例えば、非常用電力供給システム60が2系統である場合には、1系統の非常用電力供給システム60で放熱発電モードを行い、残りの1系統の非常用電力供給システム60で、前記1系統からの給電により蓄熱モードを行い、これらの放熱発電モードと蓄熱モードとを交互に繰り返し実行することが可能になる。
【0060】
また、各系統の非常用電力供給システム60では、第1熱交換系61、第2熱交換系62、第3熱交換系63、第4熱交換系64が単一流路のヒートパイプにて構成されたので、各熱交換系61、62、63、64には、それぞれ1つの開閉弁65、66、67、68が設けられ、他の開閉弁や逆止弁は不要になる。
【0061】
以上のように構成されたことから、本第4実施形態においても、前記第1及び第2実施形態の効果(2)及び(3)〜(5)と同様な効果を奏するほか、次の効果(7)及び(8)を奏する。
【0062】
(7)原子炉圧力容器20に対して非常用電力供給システム60が複数系統設けられ、電源喪失時に、少なくとも1系統の非常用電力供給システム60を放熱発電モードとし、残りの系統の非常用電力供給システム60を蓄熱モードとすることで、非常用電力の供給を連続して行うことが可能になる。
【0063】
(8)各系統の非常用電力供給システム60における第1熱交換系61、第2熱交換系62、第3熱交換系63、第4熱交換系64が単一流路のヒートパイプにて構成されたので、これらの熱交換系61〜64のそれぞれにおいて開閉弁65、66、67、68を一つ設置すれば足り、他の開閉弁や逆止弁を不要にできる。このように、第1熱交換系61〜第4熱交換系64において弁数を削減できるので、各非常用電力供給システム60の信頼性を向上させることができる。
【0064】
[E]第5実施形態(図6)
図6は、本発明に係る非常用電力供給システムの第5実施形態を示す系統図である。この第5実施形態において、前記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0065】
本実施形態の非常用電力供給システム70が前記第1実施形態と異なる点は、化学蓄熱設備11の反応容器16に放熱過程の化学反応を行わせるために、この反応容器16に、原子炉一次系の原子炉圧力容器20内の原子炉蒸気が原子炉蒸気導入配管71を介して導入可能に構成された点である。
【0066】
つまり、本実施形態の非常用電力供給システム70では、前記第1実施形態の貯蔵器17及び第1熱交換ループ13が設けられておらず、主蒸気隔離弁73の閉止に伴う原子炉隔離時に崩壊熱により発生する原子炉蒸気及び圧力が、原子炉蒸気導入配管71を経て化学蓄熱設備11の反応容器16に直接導入される。これにより、反応容器16内で蓄熱媒体28(酸化マグネシウム)が加水反応により水酸化マグネシウムに変化する間に発熱する。従って、蓄熱媒体28は、反応容器16内に導入される原子炉蒸気の温度及び圧力条件下でも水蒸気と反応し得る媒体が用いられる。
【0067】
また、本実施形態の非常用電力供給システム70では、前記第1実施形態の第2熱交換ループ14が設けられず、熱電変換装置12の高温部12Aは反応容器16に直接接触して構成され、この反応容器16からの放熱により高温部12Aが直接加熱される。熱電変換装置12は、低温部12Bが最終放熱冷却ループ15により冷却されることで、高温部12Aと低温部12Bとの間の温度差により発電する。
【0068】
前記原子炉蒸気導入配管71には原子炉蒸気抽気弁72が配設される。この原子炉蒸気抽気弁72は、ばねにより原子炉圧力が一定以上に達すると自動で開動作し、原子炉圧力容器20内の原子炉蒸気を化学蓄熱設備11の反応容器16へ導く。この原子炉蒸気抽気弁72の開閉設定圧力は、主蒸気逃がし安全弁74の開閉設定圧力よりも低く設定され、反応容器16内の圧力が一定以上になるまでの間、原子炉蒸気抽気弁72が主蒸気逃がし安全弁74に先行して開閉する。但し、この原子炉蒸気抽気弁72は、通常運転時の交流電源または非常用ディーゼル電源(不図示)が通常に供給されている場合には開動作しないように構成されている。
【0069】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(8)及び(9)を奏する。
(8)電源喪失時で主蒸気隔離弁73の閉止による原子炉隔離時に、原子炉圧力容器20内の原子炉蒸気が原子炉蒸気導入配管71及び原子炉蒸気抽気弁72を経て化学蓄熱設備11の反応容器16内に導入され、この反応容器16内で蓄熱媒体28が放熱のための加水反応を行い、熱電変換装置12が発電を行うので、安全確保のために重要度の高い機器へ非常用電力を供給することができる。
【0070】
(9)本実施形態の非常用電力供給システム70は、原子炉蒸気抽気弁72の開弁時にのみ、化学蓄熱設備11により放熱がなされ熱電変換装置12により発電がなされるので、非常用電力の供給は間欠的なものになるが、化学蓄熱設備11の貯蔵器17、第1熱交換ループ13及び第2熱交換ループ14を削除することで、単純で安価な構造を実現できる。
【0071】
尚、第1実施形態の非常用電力供給システム10に、原子炉蒸気抽気弁72を備えた原子炉蒸気導入配管71を設置し、第1熱交換ループ13を介しての貯蔵器17への駆動熱の供給と、原子炉蒸気導入配管71からの反応容器16への原子炉蒸気の導入とを択一に実施できるようにしてもよい。
【0072】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形してもよく、また、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0073】
例えば、上述の各実施形態では、蓄熱媒体28が水酸化マグネシウム(⇔酸化マグネシウム+水)の場合を述べたが、塩化カルシウム水和物(⇔塩化カルシウム+水)であってもよく、また、第1及び第5実施形態のように再蓄熱を考慮しない場合には、水酸化カルシウム(←酸化カルシウム+水)であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 非常用電力供給システム、11 化学蓄熱設備、12 熱電変換装置、12A 高温部、12B 低温部、13 第1熱交換ループ(第1熱交換系)、14 第2熱交換ループ(第2熱交換系)、15 最終放熱冷却ループ(最終放熱冷却系)、16 反応容器、17 貯蔵器、18 連通配管、19 蓄熱開放弁、20 原子炉圧力容器(原子炉一次系)、22A、22B 開閉弁、25 最終ヒートシンク、28 蓄熱媒体、30 非常用電力供給システム、31 第3熱交換ループ(第3熱交換系)、32 第4熱交換ループ(第4熱交換系)、33 原子炉一次冷却材ループ(原子炉一次冷却系)、40 分岐管、41A、42A、43A、44A 開閉弁、41B、42B、43B、44B 逆止弁、50 非常用電力供給システム、51 圧縮機、60 非常用電力供給システム、61 第1熱交換系、62 第2熱交換系、63 第3熱交換系、64 第4熱交換系、70 非常用電力供給システム、71 原子炉蒸気導入配管、72 原子炉蒸気抽気弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱媒体を充填した反応容器、及びこの反応容器に連通配管を介して接続されて水を貯蔵する貯蔵器を備え、前記蓄熱媒体の化学反応を利用して蓄熱し放熱する化学蓄熱設備と、
前記貯蔵器と原子炉一次系との間で熱交換を行って、前記貯蔵器を加熱する第1熱交換系と、
高温部と低温部との温度差により発電する熱電変換装置と、
前記反応容器と前記熱電変換装置の前記高温部との間で熱交換を行って、前記高温部を加熱する第2熱交換系と、
前記熱電変換装置の前記低温部と最終ヒートシンクとの間で熱交換を行って、前記低温部を冷却する最終放熱冷却系とを有し、
電源喪失時に前記第1熱交換系に配設された弁が受動で開動作して、前記貯蔵器が前記原子炉一次系により加熱されることで、前記化学蓄熱設備に蓄熱された熱が放熱され、この熱により前記熱電変換装置が発電を行うよう構成されたことを特徴とする非常用電力供給システム。
【請求項2】
前記化学蓄熱設備の反応容器と原子炉一次系との間で熱交換を行って、前記反応容器を加熱する第3熱交換系と、
前記化学蓄熱設備の貯蔵器と最終放熱冷却系との間で熱交換を行って、前記貯蔵器を冷却する第4熱交換系とを更に有し、
第1熱交換系、第2熱交換系、前記第3熱交換系及び前記第4熱交換系のそれぞれに対をなす弁が配設され、
電源喪失時に、前記第1及び第2熱交換系のそれぞれの前記弁が受動で開動作すると共に、前記第3及び第4熱交換系のそれぞれの前記弁が受動で閉動作して、前記貯蔵器が前記原子炉一次系により前記第1熱交換系を介して加熱されることで、前記化学蓄熱設備に蓄熱された熱が放熱され、この熱が前記第2熱交換系を介して熱電変換装置の高温部を加熱することで、前記熱電変換装置が発電を行うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の非常用電力供給システム。
【請求項3】
前記第1熱交換系、前記第2熱交換系、前記第3熱交換系及び前記第4熱交換系のそれぞれの弁は、原子炉圧力とばね圧とのバランスにより無給電で開閉動作する機能を備え、
前記原子炉圧力の上昇時に、前記第3及び第4熱交換系のそれぞれの前記弁が開動作すると共に、前記第1及び第2熱交換系のそれぞれの前記弁が閉動作して、化学蓄熱設備が蓄熱する蓄熱モードに移行し、
前記原子炉圧力の低下時に、前記第1及び第2熱交換系のそれぞれの前記弁が開動作すると共に、前記第3及び第4熱交換系のそれぞれの前記弁が閉動作して、前記化学蓄熱設備が放熱して熱電変換装置が発電する放熱発電モードに移行するよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載の非常用電力供給システム。
【請求項4】
前記化学蓄熱設備の連通配管に圧縮機が配設され、この圧縮機により反応容器を加圧して、この反応容器内での放熱過程における化学反応の温度を上昇させるよう構成された請求項2または3に記載の非常用電力供給システム。
【請求項5】
前記第1熱交換系、前記第2熱交換系、前記第3熱交換系及び前記第4熱交換系の対をなすそれぞれの弁は、一方が開閉弁であり、他方が逆止弁であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非常用電力供給システム。
【請求項6】
前記第1熱交換系、前記第2熱交換系、前記第3熱交換系及び前記第4熱交換系は、ループ型または単一流路のヒートパイプを備えて構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非常用電力供給システム。
【請求項7】
前記原子炉一次系の原子炉圧力容器に対して複数系統設けられ、電源喪失時に少なくとも1つの系統の化学蓄熱設備が放熱し熱電変換機が発電を行うよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非常用電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104790(P2013−104790A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249075(P2011−249075)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)