説明

非接触スイッチ

【課題】高精度に感度調整ができ、かつ、機械的耐久性の高い非接触スイッチを提案すること。
【解決手段】移動部材に設けたマグネットと、固定部材に設けたスイッチ本体に配設して前記マグネットの磁気を感知するようにしたホール素子とを備え、前記ホール素子によって移動部材の移動に伴う前記マグネットの磁気変化を感知してスイッチ動作する非接触スイッチにおいて、この容状部56の底外面56aに突設形成し、円筒状部57とからなる合成樹脂材のスイッチケースと、ターミナルベース58に付設した回路基板62に備えたホール素子61と、雄ねじ59aを形成してなる磁気調整部材59とを備え、前記ホール素子61をターミナルベース58と共に前記容状部56に内装し、前記磁気調整部材59をねじ係合させながら前記円筒状部57に挿入して前記スイッチ本体51を構成したものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設けた磁気発生素子と、固定部材に設けたスイッチ本体に配設し、前記磁気発生素子の磁気を感知可能に設けた磁気感応素子とを備え、移動体の移動に伴う磁気発生素子の磁気変化を磁気感応素子によって感知してスイッチ動作する非接触スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気発生素子としてマグネット(永久磁石)を備え、磁気感応素子としてホール素子を備えた検出スイッチが実用化されている。
図9は、この種の検出スイッチの一例として示した車輌のストップランプスイッチを示す。
このストップランプスイッチは、ケーシング10がセンサ収納部11とロッド支持部12とから形成され、ロッド13がロッド支持部12内に移動可能に挿入されている。
【0003】
上記ロッド13は、センサ収納部11内に設けられたスプリング14によってロッド支持部12から突出する方向の押動勢力を受けているが、足離し状態のブレーキペダルのレバー15によって押し戻されて図9に示す位置に保っている。
また、センサ収納部11内となっているロッド13の基部には、マグネット16が取付けられている。
さらに、センサ収納部11内には、ホール素子17を備える回路基板18が磁路板19と共に取付けられている。
【0004】
なお、このストップランプスイッチは、ブラケット20を用いて車体部に取付けられており、また、回路基板18がコネクタ21を介して外部装置に電気接続されている。
【0005】
上記したストップランプスイッチは、ブレーキペダルを踏み込まない状態では、このブレーキペダルに加わる復帰勢力でレバー15が復動するため、ロッド13が図9に示すように後退している。
この動作状態では、ホール素子17がマグネット16の一方磁極(例えば、N極)の磁界を受けることから、OFFのスイッチ動作となる。
【0006】
一方、ブレーキペダルを踏み込むと、図10に示す如く、レバー15がロッド13から離れように移動するため、ロッド13がスプリング14のばね勢力によってロッド支持部12から突出方向に移動する。
この動作状態では、ホール素子17がマグネット16の他方磁極(例えば、S極)の磁界を受けることから、ONのスイッチ動作となる。
【0007】
【特許文献1】特開2006−92777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した従来の検出スイッチは、ブレーキペダルの復動により、そのレバー15が強い移動力でロッド13に衝突する構成であるため、レバーの衝突が多くなるにつれてロッド13が破壊し安いスイッチとなる。
また、ロッド13とロッド支持部12の摺動部の隙間から塵、埃や水などが浸入することにより、マグネット16や回路基板18に付着して、故障の原因となる恐れがある。
その上、このようなスイッチでは、ロッド13とロッド支持部12の摺動部に潤滑材を塗布されているが、その潤滑材がシリコン系の潤滑材である場合には、腐食性ガス等を発生する可能性があり、その腐食性ガス等が隙間から浸入して接点部が腐食されてしまう恐れもある。
【0009】
さらに、ロッド13の移動距離が決まっているため、マグネット16が一定の範囲で移動するにすぎないために、ホール素子17が受ける磁界の強さを調整することができない。
この結果、スイッチの感度調整が困難であり、また、機械的な耐久性の低い検出スイッチとなる。
【0010】
本発明は、上記した実情にかんがみ、高い感度調整ができる上、機械的な耐久性に優れる非接触動作の検出スイッチを提案すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するため、本発明では、第1の発明として、移動部材に設けた磁気発生素子と、固定部材に設けたスイッチ本体に配設して前記磁気発生素子の磁気を感知するようにした磁気感応素子とを備え、前記磁気感応素子によって移動部材の移動に伴う前記磁気発生素子の磁気変化を感知してスイッチ動作する非接触スイッチにおいて、有底の容状部と、この容状部の底外面に突設形成し、内周部にねじ形成した円筒状部とからなる非磁性材のスイッチケースと、外部装置と電気接続するコネクタを有するターミナルベースに設けた磁気感応素子と、円形断面の長形体の周囲部にねじを形成してなる磁気調整部材とを備え、前記磁気感応素子をターミナルベースと共にスイッチケースの容状部に内装し、前記磁気調整部材をスイッチケースの円筒状部にねじ係合させて挿入することにより、前記スイッチ本体を構成したことを特徴とする非接触スイッチを提案する。
【0012】
第2の発明としては、移動部材に設けた磁気発生素子と、固定部材に設けたスイッチ本体に配設して前記磁気発生素子の磁気を感知するようにした磁気感応素子とを備え、前記磁気感応素子によって移動部材の移動に伴う前記磁気発生素子の磁気変化を感知してスイッチ動作する非接触スイッチにおいて、有底の容状部と、この容状部の底外面に突設形成した円筒状部とを有し、前記円筒状部の外周には筒軸方向に沿って形成した雄ねじ状部を設けると共に、前記円筒状部の内周部には雌ねじを形成してなる非磁性材のスイッチケースと、外部装置と電気接続するコネクタを有するターミナルベースに設けた磁気感応素子と、円形断面の長形体の周囲部に雄ねじを形成してなる磁気調整部材と、スイッチケースの円筒状部を挿入する孔部を有し、前記円筒状部に設けた雄ねじ状部を螺合させる雌ねじ状部を設けた取付調整部材とを備え、前記磁気感応素子をターミナルベースと共にスイッチケースの容状部に内装し、前記磁気調整部材をスイッチケースの円筒状部にねじ係合させて挿入することにより、前記スイッチ本体を構成し、さらに、前記取付調整部材を前記固定部材に固着すると共に、前記スイッチケースの円筒状部をこの取付調整部材に挿入し、円筒状部又は磁気調整部材の先端と前記磁気発生素子との間隔を調整しながら前記ねじ状部を螺合させてスイッチ本体を取付調整部材に取付けることを特徴とする非接触スイッチを提案する。
【0013】
また、上記した第1又は第2の発明の非接触スイッチは、前記磁気感応素子をターミナルベースと共にスイッチケースの容状部に収納させる回路基板に設け、かつ、前記磁気調整部材の軸線上に配置する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明は、磁気発生素子を移動部材に設け、磁気感応素子を固定部材に取付けたスイッチケースに設け、これら磁気発生素子と磁気感応素子との間に所定の距離を設けた非接触のスイッチとして構成したので、機械的に耐久性の高いスイッチとなる。
【0015】
また、磁気調整部材を一方向回転させてねじ送りし、また、他方向回転させてねじ戻しすることによって、この磁気調整部材をスイッチケースの円筒状部内で移動させ、磁気感応素子が磁気発生素子から受ける磁界の強さを調整する。
これによって、感度調整の容易なスイッチとなる。
【0016】
さらに、スイッチ本体は取付調整部材によって取付位置を変えることができるから、これによって、磁気発生素子に対する円筒状部又は磁気調整部材の間隔を調整する。
すなわち、スイッチケースの円筒状部又は磁気調整部材と磁気発生素子との間の距離を変化させ、磁気感応素子が磁気発生素子から受ける磁界の強さを調整する。
このようにすれば、磁気調整部材による磁界調整に加えてスイッチ本体の取付位置による磁界調整が可能になるので、感度の微調整に適するスイッチとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明をブレーキランプスイッチ(ストップランプスイッチ)として実施する一実施形態について図面に沿って説明する。
図1は、ブレーキランプスイッチを備えた車輌のブレーキペダルを示す概略構成図である。
【0018】
図示するように、ブレーキペダル30は、ペダル部31を有するアーム部32が支軸33により車体の一部に回転可能に軸支された構成となっている。
なお、このブレーキペダル30の場合は、アーム部32と一体回転する回転レバー34を備え、この回転レバー34と車体固定部35との間に復動用のスプリング36を設け、また、このスプリング36のばね勢力によるアーム部32の回転(図1では左回転)を回転レバー34に設けたストッパー37と車体固定部35に設けたストッパー受け38とによって受け止めている。
【0019】
ブレーキランプスイッチ50は、スイッチ本体51とスイッチ移動体52とからなる非接触スイッチとして構成してある。
そして、スイッチ本体51は、取付調整部材53を介在させて車体固定部35に固着した取付板54に取付けてある。
また、スイッチ移動体52は、スイッチ本体51との間に距離Dを設けるようにしてアーム部32の一部に設けた突片55に固着してある。
【0020】
図2は上記のスイッチ本体51を示し、(A)図は側面図、(B)図は正面図、(C)図は背面図である。
また、図3は図2(B)上のA―A線断面図である。
【0021】
これらの図面より分かるように、このスイッチ本体51は、有底の容状体56と、この容状部56の底外面56aに延設した円筒状部57とで形成した合成樹脂材からなるスイッチケースと、このスイッチケースの容状部56に内装したターミナルベース58及びその円筒状部57内に挿入した磁気調整部材59とより構成してある。
そして、円筒状部57と容状部56との間には、壁部57bが形成されており、これら円筒状部57と容状部56とを分離させた構成としてある。
【0022】
ターミナルベース58は合成樹脂材などの電気絶縁材で形成し、電源回路やブレーキランプなどの外部装置と接続するコネクタ60を備えると共に、ホール素子61やスイッチ回路などを有する回路基板62が設けてある。
このターミナルベース58は、図3の断面図に示す如く、回路基板62を底面側にしてスイッチケースの容状部56に内装してあるが、その周囲の係止部58aを容状部56の係止孔に係止させて抜け止めしてある。
【0023】
また、このターミナルベース58は、容状部56内に収納させるとき、容状部56内周の断形部との間でパッキン63を挟持させることによって、容状部56内が密封構造となり、容状部56内に入り込む水や塵、埃、さらには腐食性ガス等の浸入を確実に防止するようにしてある。
【0024】
さらに、ターミナルベース58が上記のように容状部56内に収納されると、回路基板62に設けたホール素子61が、スイッチケースの円筒状部57の筒軸線上に配設されるようになっている。
【0025】
すなわち、スイッチケースの円筒状部57と容状部56との間に壁部57bを設け、この壁部57bに円筒状部57を突設形成し、かつ、この円筒状部57に磁気調整部材59を挿入する構成としたので、ホール素子61を磁気調整部材59と対応する位置に配置することができるようになっている。
【0026】
このようにホール素子61を磁気調整部材59の軸線上に配置することにより、ホール素子61の感度を低下させることがない(従来技術のように磁気調整部材59の軸線に対して垂直となるように配置すると、磁界が回りこまないと検出できない場合がある。)ので、後述するマグネット66の磁力を不必要に強くする必要がなくなるため、マグネット66への塵(特に砂鉄)の付着を防止することができる。
【0027】
上記した磁気調整部材59は、強磁性材で形成した円形断面の長形体で、図4に示してある通り、その一方側に雄ねじ59aが形成してあり、さらに、その一端面には、操作部としての凹形溝59bが設けてある。
この磁気調整部材59は、スイッチケースの円筒状部57内周に形成した雌ねじ57aにねじ込むようにして、この円筒状部57内に挿入してある。
なお、円筒状部57の雌ねじ57aは、磁気調整部材59の雄ねじ59aのねじ範囲L0に比べて充分に長くしたL1の範囲に形成してある。
【0028】
また、磁気調整部材59は、後述するマグネット66の磁力をホール素子61に効率よく伝達するため、調整移動量を考慮して、できるだけホール素子61の近傍となる位置に一端部が延設されるように構成することが好ましい。
【0029】
なお、磁気調整部材59の雄ねじ59aは、磁気調整部材59の全体に亘って形成してもよく、円筒状部57の雌ねじ57aの形成範囲も適宜に調整移動量を考慮して適宜に決定すればよい。
【0030】
さらに、スイッチケースの円筒状部57の外周には、図2(A)、図2(B)、図3に示す如く、円筒軸方向に沿って長く形成した突条部64とねじ状部65とが設けてある。
つまり、2つの突条部64が筒軸線を挟んで対称的に形成し、同様に2つのねじ状部65が筒軸線を挟んで対称的に形成してある。
この突条部64とねじ状部65は、後述する取付調整部材とでスイッチ本体51の取付位置を調整するためのものである。
【0031】
このように円筒状部57にねじ状部65を設けてスイッチ本体51の取付位置を調整するようにした場合でも、円筒状部57には強磁性体で形成された強度のある磁気調整部材59が挿入されているので、特に強度を持たせる構造とする必要はなく、さらに円筒状部57を細く形成することができる。
特に、ブレーキスイッチ等のように取付場所が狭い場合には、スイッチ本体51を小型化することができるので好適である。
【0032】
一方、スイッチ移動体52は、図5、図6に示す構成としてある。
なお、図5(A)はスイッチ移動体52の側面図、図5(B)は同スイッチ移動体52の正面図、図5(C)は同スイッチ移動体52の背面図であり、また、図6は図5(B)上のB−B線断面図である。
【0033】
このスイッチ移動体52は、マグネット(永久磁石)66の一面を背面に露出させた合成樹脂材からなる円盤状部52aと、円盤状部52aの正面中央に一体に設けた突設部52bとから構成してある。
【0034】
なお、このスイッチ移動体52は、突設部52bに首部52cを形成し、突設部52bをアーム部32に形成にした取付孔(図示せず)に突入させ、その首部52cによって抜け止めするようになっている。
なお、突設部52bに設けた長孔52dは、突設部52bを弾性的に細形縮小させるためのものである。
【0035】
上記したスイッチ本体は、取付板54に取付けた取付調整部材53に差し入れるようにして取付ける。
この取付調整部材53については、図7(A)に正面図、図7(B)に側面図として示し、図7(C)には図7(A)上のC−C線断面図として示してある。
【0036】
これらの図面より分かる通り、この取付調整部材53は、円形板部53aと、この円形板部53aに一体形成した短筒部53bとから構成してある。
そして、短筒部53bの外周囲には、取付回転位置を決める凸形部53cと、抜け止めを計る弾性係止部53dとが設けてある。
【0037】
さらに、この取付調整部材53の短筒部53bの内面には、その筒軸方向にそって形成し、上記した円筒状部57のねじ状部65を係合させるねじ状部67を設け、また、短筒部53bに連通する円形板部53aの孔縁には、上記円筒状部57を挿入する挿入孔縁68と、円筒状部57の突条部64を係止する係止孔縁69が設けてある。
【0038】
図8は、前記の取付調整部材53を介在させて上記のスイッチ本体51を取り付ける上記取付板54の部分図である。
図示するように、この取付板54には、取付調整部材53を取付ける取付孔54aが形成してある。
【0039】
そして、この取付孔54aには、図示の如く、取付調整部材53の短筒部53bを挿入する円形状の孔縁54bと、その凸形部53cを挿入する角状凹形縁54cとが中心軸上に対称的に設けてある。
【0040】
取付調整部材53は、その短筒部53bを前記の取付孔54aに挿入して取り付けるが、この場合、短筒部53bの凸形部53cを凹形縁54cに嵌合させ、また、弾性係止部53dが一旦内方向に曲がりながら孔縁54bを通り越すようにする。
【0041】
このように短筒部53bを取付孔54aに挿入すると、凸形部53cと凹形縁54cによって取付調整部材53が非回転となり、また、弾性係止部53dが取付板54の裏面によって係止されるため、取付調整部材53が抜け止めされる。
【0042】
取付調整部材53を取付板54に取付けた後、スイッチ本体51の円筒状部57をこの取付調整部材53の短筒部53b内に挿入する。
円筒状部57を挿入するに当たっては、その突条部64とねじ状部65を挿入孔縁68より挿入し、続いてスイッチ本体51を回転し、円筒状部57の突条部64が係止孔縁69を乗り越えるようにする。
【0043】
このように回転すると、円筒状部57のねじ状部65が短筒部53b内のねじ状部67に嵌合し、この嵌合によって取付孔54aからの円筒状部57の抜け止めがなされ、さらに、円筒状部57の突条部64が係止孔縁69により係止され、円筒状部57の戻り回転が防止されるため、スイッチ本体51が取付板54に確実に取付けられる。
【0044】
なお、取付調整部材53は、ねじ状部67のみを有するナット部材としてもよい。例えば、2つのナット部材により、取付板54を挟み込んで円筒状部57のねじ状部65を締め付けるようにスイッチ本体51を取り付けるようにしてもよく、上記した円筒状部57と取付調整部材53との取付構造に限られるものではなく、適宜に設定することができる。
【0045】
上記のように構成したブレーキランプスイッチ50は、運転者の足がブレーキペダル30から離れている状態では、図1に示すように、ブレーキペダル30が復動した状態となっているから、スイッチ移動体52がスイッチ本体51に最も接近した動作状態となっている。
したがって、スイッチ移動体52のマグネット66が距離Dの間隔で磁気調整部材59と対向するから、マグネット66の磁界が磁気調整部材59を通ってホール素子61に強く及ぶ状態となっている。
【0046】
これより、ホール素子61は所定レベル以上の磁束密度を検出しているため、検出信号SHを出力する。
そして、この検出信号SHは、スイッチ移動体52が図1に示す位置、つまり、ブルーキペダル30が復動している位置からブレーキペダルの遊び量を含む所定範囲(ブレーキ制御が行なわれない範囲)にブレーキペダル30が位置していることを示す検出信号である。
【0047】
ホール素子61の上記の検出信号SHは、回路基板62などに設けられているブレーキランプ回路に送られ、このランプ回路が上記の検出信号SHに応動してプレーキランプを消灯させる。
【0048】
運転者がブレーキペダル30を踏み込むと、アーム部32が支軸33を中心に時計方向に旋回し、スイッチ移動体52もアーム部32と一体に同方向に旋回することから、スイッチ移動体52がスイッチ本体51から遠ざかる。
つまり、マグネット66が円筒状部57の筒軸線上から外れた位置となり、さらに、磁気調整部材59より遠ざかるために、ホール素子61に及ぶマグネット66の磁界が弱くなる。
【0049】
この結果、ホール素子61は検出している磁束密度が所定レベル以下となるため検出信号SLを出力する。
この検出信号SLは、ブレーキペダル30が踏み込まれたことを示す検出信号であり、ブレーキランプ回路がその検出信号SLに応動してブレーキランプを点灯させる。
【0050】
なお、ブレーキランプ点灯のタイミングは、ホール素子61の磁界検出レベルとマグネット66の磁力を設定することによって基本的には調節されるものであるが、以下のように磁気調整部材59とホール素子61との距離を変えることによって容易に調整することができる。
【0051】
上記した実施形態より分かるように、磁気調整部材59を回転し、この磁気調整部材59をねじ込み、或いは、ねじ戻しすれば、磁気調整部材59が円筒状部57内で移動するから、この磁気調整部材59とスイッチ移動体52との間及び磁気調整部材59とホール素子61の間の距離を変えることができる。
【0052】
したがって、磁気調整部材59によってホール素子61に及ぶマグネット66の磁界の強さを調整することができるから、ホール素子の動作感度の違いによる調整、その他のスイッチの動作感度の調整などについて上記の磁気調整部材59によって容易に行うことができる。
【0053】
なお、実験の結果、磁気調整部材59のねじ込みを深くしてホール素子61と磁気調整部材59の間の距離を短くするにしたがいホール素子61の出力レベルが高くなることが確認された。
【0054】
したがって、ブレーキペダルの踏込み直後にブレーキランプを点灯させるようにする場合は、ホール素子61と磁気調整部材59との間の距離を長くするように、磁気調整部材59のねじ込み深さを浅くし、他方、ブレーキペダルを十分に踏込んだときにブレーキランプを点灯させるようにする場合は、ホール素子61と磁気調整部材59との間の距離を短くするように、磁気調整部材59のねじ込みを深くするように調整すればよい。
【0055】
また、取付調整部材53によってスイッチ本体51の取付け位置を変え、円筒状部57または磁気調整部材59とスイッチ移動体52との間の距離Dを変えて感度調整することができる。
【0056】
すなわち、取付板54に取付けた取付調整部材53にスイッチ本体51を取付けるに際し、円筒状部57又は磁気調整部材59の先端とスイッチ移動体52との間の距離Dを予め調整した距離となるように、スイッチ本体51の円筒状部57を磁気調整部材59に挿入した後、既に述べたようにスイッチ本体を回転させて取付ける。
【0057】
距離Dを変えれば、マグネット66と磁気調整部材59との間の距離が変わるので、ホール素子61に及ぶ磁界の強さが変わり、スイッチの感度調整を行うことができる。
【0058】
したがって、上記距離Dの予定値に対して好適なホール素子61とマグネット66を設定したうえで、磁気調整部材59を移動させることによって細かく感度調整することが可能になる。
なお、上記実施形態では、磁気感応素子をホール素子としたが、ホール素子以外の磁気抵抗素子等の磁気を検出するものであれば、適宜に磁気感応素子として利用することができる。
【0059】
本願発明の上記実施形態に基づいて把握できる技術的思想を以下に記載する。
(1) 請求項1又は2に記載した非接触スイッチにおいて、前記磁気調整部材の雄ねじ部を螺合させる雌ねじ部は、前記円筒状部の内周面の一部に形成したことを特徴とする非接触スイッチ。
【0060】
(2) 請求項1又は2に記載した非接触スイッチにおいて、前記磁気調整部材の一端部には、前記円筒状部外から回転させて磁気調整する操作部を設けたことを特徴とする非接触スイッチ。
【0061】
(3) 請求項1又は2に記載した非接触スイッチにおいて、前記磁気発生素をマグネットで、前記磁気感応素子をホール素子で各々構成したことを特徴とする非接触スイッチ。
【0062】
(4) 請求項1又は2に記載した非接触スイッチにおいて、前記磁気調整部材は強磁性材で構成したことを特徴とする非接触スイッチ
【産業上の利用可能性】
【0063】
ブレーキランプスイッチ、アクセルペダルスイッチ、クラッチペダルスイッチなどの車輌用の非接触スイッチとして利用でる他、移動体を検出するための車輌用以外の非接触スイッチとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】車輌のブレーキランプスイッチとして実施した一実施形態を示すブルーキペダルの概略図である。
【図2】上記ブレーキランプスイッチのスイッチ本体を示し、(A)図は側面図、(B)図は正面図、(C)図は背面図である。
【図3】図2(B)上のA−A線断面図である。
【図4】上記ブレーキランプスイッチに備えた磁気調整部材の側面図である。
【図5】上記ブレーキランプスイッチのスイッチ移動体を示し、(A)図は側面図、(B)図は正面図、(C)図は背面図である。
【図6】図5(B)上のB−B線断面図である。
【図7】上記ブレーキランプスイッチのスイッチ本体を取付ける取付調整部材を示し、(A)図は正面図、(B)図は側面図、(C)図は(A)図上のC−C線断面図である。
【図8】取付板に形成した上記取付調整部材の取付孔を示した部分図である。
【図9】従来例と示した車輌のストップランプスイッチの概略図である。
【図10】上記した従来例のストップランプスイッチの動作を示す図9同様の概略図である。
【符号の説明】
【0065】
30 ブレーキペダル
35 車体固定部
50 ブレーキランプスイッチ
51 スイッチ本体
52 スイッチ移動体
53 取付調整部材
54 取付板
56 容状部
57 円筒状部
58 ターミナルベース
59 磁気調整部材
61 ホール素子
62 回路基板
66 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動部材に設けた磁気発生素子と、固定部材に設けたスイッチ本体に配設して前記磁気発生素子の磁気を感知するようにした磁気感応素子とを備え、前記磁気感応素子によって移動部材の移動に伴う前記磁気発生素子の磁気変化を感知してスイッチ動作する非接触スイッチにおいて、
有底の容状部と、この容状部の底外面に突設形成し、内周部にねじ形成した円筒状部とからなる非磁性材のスイッチケースと、
外部装置と電気接続するコネクタを有するターミナルベースに設けた磁気感応素子と、
円形断面の長形体の周囲部にねじを形成してなる磁気調整部材とを備え、
前記磁気感応素子をターミナルベースと共にスイッチケースの容状部に内装し、
前記磁気調整部材をスイッチケースの円筒状部にねじ係合させて挿入することにより、前記スイッチ本体を構成したことを特徴とする非接触スイッチ。
【請求項2】
移動部材に設けた磁気発生素子と、固定部材に設けたスイッチ本体に配設して前記磁気発生素子の磁気を感知するようにした磁気感応素子とを備え、前記磁気感応素子によって移動部材の移動に伴う前記磁気発生素子の磁気変化を感知してスイッチ動作する非接触スイッチにおいて、
有底の容状部と、この容状部の底外面に突設形成した円筒状部とを有し、前記円筒状部の外周には筒軸方向に沿って形成した雄ねじ状部を設けると共に、前記円筒状部の内周部には雌ねじを形成してなる非磁性材のスイッチケースと、
外部装置と電気接続するコネクタを有するターミナルベースに設けた磁気感応素子と、
円形断面の長形体の周囲部に雄ねじを形成してなる磁気調整部材と、
スイッチケースの円筒状部を挿入する孔部を有し、前記円筒状部に設けた雄ねじ状部を螺合させる雌ねじ状部を設けた取付調整部材とを備え、
前記磁気感応素子をターミナルベースと共にスイッチケースの容状部に内装し、
前記磁気調整部材をスイッチケースの円筒状部にねじ係合させて挿入することにより、前記スイッチ本体を構成し、
さらに、前記取付調整部材を前記固定部材に固着すると共に、前記スイッチケースの円筒状部をこの取付調整部材に挿入し、円筒状部又は磁気調整部材の先端と前記磁気発生素子との間隔を調整しながら前記ねじ状部を螺合させてスイッチ本体を取付調整部材に取付けることを特徴とする非接触スイッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した非接触スイッチにおいて
前記磁気感応素子は、ターミナルベースと共にスイッチケースの容状部に収納させた回路基板に設け、かつ、前記磁気調整部材の軸線上に配置する構成としたことを特徴とする非接触スイッチ。




















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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