説明

非接触型データ受送信体およびその製造方法

【課題】接着剤や粘着剤を用いることなく、ICチップやアンテナを保護するための被覆材が、インレットに対して強固に固着された非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の非接触型データ受送信体10は、第一の基材11が分子中にメチル基を有する高分子化合物a、第二の基材15が分子中にメチル基を有する高分子化合物bからなり、高分子化合物aの一部と、高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、第一の基材11の一部と、第二の基材15の一部とが密着されていることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波を媒体として外部から情報を受信し、また外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体およびその製造方法に関し、特に、接着剤や粘着剤を用いることなく、ICチップやアンテナを保護するための被覆材が設けられた非接触型データ受送信体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非接触型データ受送信体の一例であるICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電磁波または電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
【0003】
このようなICタグとしては、ICチップやアンテナの損傷や劣化を防止するために、インレットをシリコーン樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂などの樹脂でモールドして、パッケージ化したICタグが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ICタグが、粘着剤層を介して、それよりも大きい保護フィルムにより被覆されたものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−024783号公報
【特許文献2】特開2008−146553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インレットを樹脂でモールドした場合、ICチップやアンテナに熱が加えられるため、ICチップやアンテナが劣化するおそれや、インレットの基材が熱収縮してアンテナに対するICチップの位置ずれを生じることがあった。
また、粘着材層を介して、保護フィルムによりICタグを被覆した場合、ICタグに対する保護フィルムの粘着力が弱く、保護フィルムがICタグから剥離するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、接着剤や粘着剤を用いることなく、ICチップやアンテナを保護するための被覆材が、インレットに対して強固に固着された非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非接触型データ受送信体は、第一の基材、該第一の基材の一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップからなるインレットと、前記第一の基材の一方の面側に前記インレットを覆うように設けられた第二の基材と、を備えた非接触型データ受送信体であって、前記第一の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物aからなり、前記第二の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物bからなり、前記第一の基材をなす前記高分子化合物aの一部と、前記第二の基材をなす前記高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、前記第一の基材の一部と、前記第二の基材の一部とが密着されていることを特徴とする。
【0008】
前記アンテナは、導電性粒子および分子中にメチル基を有する高分子化合物cを含む導電性ペーストからなり、前記アンテナをなす前記高分子化合物cの一部と、前記第二の基材をなす前記高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、前記アンテナの一部と、前記第二の基材の一部とが密着されていることが好ましい。
【0009】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法は、第一の基材、該第一の基材の一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップからなるインレットと、前記第一の基材の一方の面側に前記インレットを覆うように設けられた第二の基材と、を備え、前記第一の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物aからなり、前記第二の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物bからなり、前記第一の基材をなす前記高分子化合物aの一部と、前記第二の基材をなす前記高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、前記第一の基材の一部と、前記第二の基材の一部とが密着されている非接触型データ受送信体の製造方法であって、前記第一の基材の一方の面に、互いに接続されたアンテナおよびICチップを設ける工程Aと、前記第一の基材の一方の面の一部に、エキシマレーザー光を照射する工程Bと、前記第二の基材の一方の面に、エキシマレーザー光を照射する工程Cと、前記第一の基材の一方の面側に、前記第二の基材を配置して、前記第一の基材の一方の面に、前記第二の基材を押圧することにより、前記第一の基材の一部と、前記第二の基材の一部とを密着させる工程Dと、を有することを特徴とする。
【0010】
前記アンテナを、導電性粒子および分子中にメチル基を有する高分子化合物cを含む導電性ペーストで形成し、前記工程Bにおいて、前記第一の基材の一方の面の一部にエキシマレーザー光を照射するとともに、前記アンテナの表面の一部に、エキシマレーザー光を照射し、前記工程Dにおいて、前記第一の基材の一方の面側に、前記第二の基材を配置して、前記第一の基材の一方の面および前記アンテナの表面に、前記第二の基材を押圧することにより、前記第一の基材の一部および前記アンテナの一部と、前記第二の基材の一部とを密着させることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非接触型データ受送信体によれば、第一の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物aからなり、第二の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物bからなり、高分子化合物aの一部と、高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、第一の基材の一部と、第二の基材の一部とが密着されているので、接着剤や粘着剤を用いることなく、アンテナおよびICチップを保護するための被覆材である第二の基材が、インレットに対して強固に固着されている。
【0012】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、第一の基材の一方の面に、互いに接続されたアンテナおよびICチップを設ける工程Aと、第一の基材の一方の面の一部に、エキシマレーザー光を照射する工程Bと、第二の基材の一方の面に、エキシマレーザー光を照射する工程Cと、第一の基材の一方の面側に、第二の基材を配置して、第一の基材の一方の面に、第二の基材を押圧することにより、第一の基材の一部と、第二の基材の一部とを密着させる工程Dと、を有するので、第一の基材を構成する高分子化合物aの一部と、第二の基材を構成する高分子化合物bの一部とを化学結合により結合させ、第一の基材の一方の面の一部と、第二の基材の一方の面の一部とを密着させることができる。したがって、接着剤や粘着剤を用いる必要がないので、これらを硬化させるために加熱する必要もないから、アンテナやICチップに熱が加えられて、アンテナやICチップが劣化することや、第一の基材が熱収縮してアンテナに対するICチップの位置ずれが生じることを防止できる。ゆえに、製造時間や材料コストを削減し、ひいては、製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図3】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図4】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。
【図5】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線に沿う断面図である。
【図6】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線に沿う断面図である。
【図7】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法において、化学結合について説明する概念図である。
【図9】本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法において、化学結合について説明する概念図である。
【図10】本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法において、化学結合について説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
「非接触型データ受送信体」
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状であり、第一の基材11、第一の基材11の一方の面11aに設けられ互いに接続されたアンテナ12およびICチップ13とからなるインレット14と、第一の基材11の一方の面11a側にインレット14を覆うように設けられた第二の基材15と、ICチップ13を被覆する被覆材16とから概略構成されている。
【0016】
アンテナ12は、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ13と接続する部分)を有する一対の放射素子17,18と、放射素子17,18の給電点近傍を短絡する短絡部(図示略)とからなるダイポールアンテナである。
アンテナ12の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子17,18の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0017】
第一の基材11は、分子中にメチル基(−CH)を有する高分子化合物aから構成されている。
第二の基材15は、分子中にメチル基(−CH)を有する高分子化合物bから構成されている。
【0018】
そして、第一の基材11を構成する高分子化合物aの一部と、第二の基材15を構成する高分子化合物bの一部とが化学結合により結合されて、第一の基材11の一方の面11aの一部と、第二の基材15の一方の面15aの一部とが密着されている。
なお、第一の基材11を構成する高分子化合物aと、第二の基材15を構成する高分子化合物bとの化学結合については、後述する。
【0019】
また、第二の基材15には、そのインレット14と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)15aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)15b側に突出するように、アンテナ12の長手方向に沿って、平面視長方形状の凸部15cが設けられている。さらに、その第二の基材15の凸部15cに、被覆材16に被覆されたICチップ13およびアンテナ12が、第二の基材15と所定の間隔を置いて収容されている。
【0020】
すなわち、ICチップ13、アンテナ12、および、第一の基材11の一方の面11aにおけるICチップ13の周辺の領域(図1に示す領域α(長方形で囲まれた領域))と第二の基材15の凸部15cの内面とは接することなく、凸部15cに、ICチップ13およびアンテナ12が第二の基材15と所定の間隔を置いて収容され、ICチップ13、アンテナ12および第一の基材11の一方の面11aにおける領域αと、凸部15cの内面との間には所定の大きさの間隙19が設けられている。そして、領域α以外の領域において、第一の基材11の一方の面11aと、第二の基材15の一方の面15aとが密着されている。
ここで、「所定の大きさの間隙」とは、非接触型データ受送信体10が多少外力を受けて、第二の基材15の凸部15cが凹んだとしても、容易にICチップ13と凸部15cの内面とが接しない程度の大きさのことである。
【0021】
これにより、第二の基材15の凸部15c内において、第一の基材11およびアンテナ12と、第二の基材15とが密着していない。
【0022】
第一の基材11としては、分子中にメチル基を有する高分子化合物aからなるフィルム状またはシート状の基材が用いられる。
高分子化合物aとしては、ポリプロピレン(「PP」、下記の化学式(1)で表される。)、ポリメタクリル酸メチル(「PMMA」、下記の化学式(2)で表される。)などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート(「PC」、下記の化学式(3)で表される。)、ポリフェニレンエーテル(「PPE」、下記の化学式(4)で表される。)、エポキシ樹脂(「EP」、下記の化学式(5)で表される。)、ポリ乳酸(「PLA」、下記の化学式(6)で表される。)などが挙げられる。
【0023】
第二の基材15としては、分子中にメチル基を有する高分子化合物bからなるフィルム状またはシート状の基材が用いられる。
高分子化合物bとしては、ポリプロピレン(「PP」、下記の化学式(1)で表される。)、ポリメタクリル酸メチル(「PMMA」、下記の化学式(2)で表される。)などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート(「PC」、下記の化学式(3)で表される。)、ポリフェニレンエーテル(「PPE」、下記の化学式(4)で表される。)、エポキシ樹脂(「EP」、下記の化学式(5)で表される。)、ポリ乳酸(「PLA」、下記の化学式(6)で表される。)などが挙げられる。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
非接触型データ受送信体10では、上記の高分子化合物aのメチル基の一部、および、高分子化合物bのメチル基の一部が、後述する方法により水酸基(−OH)に置換された後、高分子化合物aの水酸基と、高分子化合物bの水酸基との間における脱水縮合により、第一の基材11の一方の面11aの一部と、第二の基材15の一方の面15aの一部とが密着されている。
【0031】
なお、第一の基材11を構成する高分子化合物aのメチル基の一部とは、第一の基材11の一方の面11aを形成する高分子化合物aのメチル基の一部のことである。
同様に、第二の基材15を構成する高分子化合物bのメチル基の一部とは、第二の基材15の一方の面15aを形成する高分子化合物bのメチル基の一部のことである。
【0032】
アンテナ12は、ベース基材11の一方の面11aにポリマー型導電インクを用いて所定のパターン状にスクリーン印刷により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0033】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0034】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば100〜150℃程度でアンテナ12をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ12をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0035】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0036】
また、アンテナ12をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ12をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0037】
ICチップ13としては、特に限定されず、アンテナ12を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0038】
被覆材16は、ICチップ13を被覆するとともに、ICチップ13をアンテナ12および第一の基材11の一方の面11aに固定するためのものである。
被覆材16としては、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などが用いられる。
熱硬化型接着剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールF型エポキシドが挙げられる。
紫外線硬化型接着剤としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化型接着剤としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
【0039】
非接触型データ受送信体10によれば、第一の基材11を構成する高分子化合物aの一部と、第二の基材15を構成する高分子化合物bの一部とが化学結合により結合されて、第一の基材11の一方の面11aの一部と、第二の基材15の一方の面15aの一部とが密着されているので、接着剤や粘着剤を用いることなく、アンテナ12およびICチップ13を保護するための被覆材である第二の基材15が、インレット14(第一基材11)に対して強固に固着されている。
また、第二の基材15には、その他方の面15b側に突出するように凸部15cが設けられ、その凸部15cに、ICチップ13、アンテナ12およびその周辺の領域αが、第二の基材15と所定の間隔を置いて収容されているので、非接触型データ受送信体10が外力を受けて、凸部15cが多少凹んだとしても、ICチップ13が損傷することを防止できる。
【0040】
なお、この実施形態では、アンテナ12がダイポールアンテナである非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、アンテナがモノポールアンテナ、クロスダイポールアンテナ、アンテナコイルなどであってもよい。
【0041】
また、この実施形態では、ICチップ13、アンテナ12および第一の基材11の一方の面11aにおける領域αと、凸部15cの内面との間には所定の大きさの間隙19が設けられた非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、アンテナと、第二の基材とが密着していなければ、アンテナと、第二の基材とが多少接触していてもよい。
【0042】
(2)第二の実施形態
図2は、本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体20は、平面視略長方形状であり、第一の基材21、第一の基材21の一方の面21aに設けられ互いに接続されたアンテナ22およびICチップ23とからなるインレット24と、第一の基材21の一方の面21a側にインレット24を覆うように設けられた第二の基材25と、ICチップ23を被覆する被覆材26とから概略構成されている。
【0043】
アンテナ22は、後述する導電性ペーストからなり、上記のアンテナ12と同様に、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ23と接続する部分)を有する一対の放射素子27,28と、放射素子27,28の給電点近傍を短絡する短絡部(図示略)とからなるダイポールアンテナである。
【0044】
第一の基材21は、分子中にメチル基(−CH)を有する高分子化合物aから構成されている。
第二の基材25は、分子中にメチル基(−CH)を有する高分子化合物bから構成されている。
アンテナ22は、導電性粒子、および、分子中にメチル基(−CH)を有する高分子化合物cを含む導電性ペーストから形成されている。
【0045】
そして、第一の基材21を構成する高分子化合物aの一部およびアンテナ22を形成する高分子化合物cの一部と、第二の基材25を構成する高分子化合物bの一部とが化学結合により結合されて、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の第一の基材21と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とが密着されている。
なお、第一の基材11を構成する高分子化合物aおよびアンテナ12を形成する高分子化合物cと、第二の基材15を構成する高分子化合物bとの化学結合については、後述する。
【0046】
また、第二の基材25には、そのインレット24と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)25aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)25b側に突出するように凸部25cが設けられている。さらに、その第二の基材25の凸部25cに、被覆材26に被覆されたICチップ22およびその近傍が、第二の基材25と所定の間隔を置いて収容されている。
すなわち、ICチップ23、および、第一の基材21の一方の面21aにおけるICチップ23の周辺の領域(図2に示す領域α(円で囲まれた領域))と第二の基材25の凸部25cの内面とは接することなく、凸部25cに、ICチップ23が第二の基材25と所定の間隔を置いて収容され、ICチップ23および領域αと、凸部25cの内面との間には所定の大きさの間隙29が設けられている。そして、領域α以外の領域において、第一の基材21の一方の面21a、並びに、アンテナ22の一方の面22aおよび端面22bと、第二の基材25の一方の面25aとが密着されている。
ここで、「所定の大きさの間隙」とは、非接触型データ受送信体20が多少外力を受けて、第二の基材25の凸部25cが凹んだとしても、容易にICチップ23と凸部25cの内面とが接しない程度の大きさのことである。
【0047】
これにより、第二の基材25の凸部25c内において、第一の基材21およびアンテナ22と、第二の基材25とが密着していない。
【0048】
第一の基材21、第二の基材25としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0049】
アンテナ22を形成する導電性ペーストとしては、導電性粒子、分子中にメチル基(−CH)を有する高分子化合物c、および、有機溶媒を含むものが用いられる。
導電性粒子としては、銀粒子、アルミニウム粒子、カーボン粒子などが用いられる。
高分子化合物cとしては、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂などが用いられる。
有機溶媒としては、エタノール、メタノール、ブタノールなどのアルコール類、グリコール類、エステル類、ケトン類、炭化水素類、および、これらの誘導体などが用いられる。
【0050】
非接触型データ受送信体20では、上記の高分子化合物aのメチル基の一部および高分子化合物cのメチル基の一部、並びに、高分子化合物bのメチル基の一部が、後述する方法により水酸基(−OH)に置換された後、高分子化合物aの水酸基および高分子化合物cの水酸基と、高分子化合物bの水酸基との間における脱水縮合により、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とが密着されている。
【0051】
なお、第一の基材21を構成する高分子化合物aのメチル基の一部とは、第一の基材21の一方の面21aを形成する高分子化合物aのメチル基の一部のことである。
同様に、アンテナ22を形成する導電性ペーストに含まれる高分子化合物cのメチル基の一部とは、アンテナ22の一方の面22aおよび端面22bを形成する高分子化合物cのメチル基の一部のことである。
同様に、第二の基材25を構成する高分子化合物bのメチル基の一部とは、第二の基材25の一方の面25aを形成する高分子化合物bのメチル基の一部のことである。
【0052】
ICチップ23、被覆材26としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0053】
非接触型データ受送信体20によれば、第一の基材21を構成する高分子化合物aの一部およびアンテナ22を形成する高分子化合物cの一部と、第二の基材25を構成する高分子化合物bの一部とが化学結合により結合されて、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とが密着されている。すなわち、第一の実施形態の非接触型データ受送信体10と比較すると、第二の基材25とインレット24(第一の基材21)との接触面積が大きいので、接着剤や粘着剤を用いることなく、アンテナ22およびICチップ23を保護するための被覆材である第二の基材25が、インレット24(第一の基材21)に対してより強固に固着されている。
また、第二の基材25には、その他方の面25b側に突出するように凸部25cが設けられ、その凸部25cに、ICチップ22およびその周辺の領域αが、第二の基材25と所定の間隔を置いて収容されているので、非接触型データ受送信体20が外力を受けて、凸部25cが多少凹んだとしても、ICチップ23が損傷することを防止できる。
【0054】
なお、この実施形態では、アンテナ22がダイポールアンテナである非接触型データ受送信体20を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、アンテナがモノポールアンテナ、クロスダイポールアンテナ、アンテナコイルなどであってもよい。
【0055】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図3〜図10を参照して、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法について説明する。
なお、ここでは、上述の第二の実施形態の非接触型データ受送信体20の製造方法を例示する。
まず、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により、第一の基材21の一方の面21aに、上記の導電性ペーストを所定のパターンに塗布して、一対の放射素子27,28を有するアンテナ22を形成する。
次いで、アンテナ22の接点(図示略)上に、接点(図示略)を介してICチップ23を配置する。
【0056】
次いで、ICチップ23、および、ICチップ23とアンテナ22とが接触している部分を覆うように、未硬化の被覆材26を塗布する。
次いで、被覆材26を硬化させて、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに、ICチップ23を固定し、インレット24を作製する(図3参照)。
被覆材26として熱硬化型樹脂を用いた場合、加熱により被覆材26を硬化させ、被覆材26として紫外線硬化性樹脂を用いた場合、紫外線照射により被覆材26を硬化させ、また、被覆材26として電子線硬化性樹脂を用いた場合、電子線照射により被覆材26を硬化さる。
以上、インレット24を作製する全ての工程を工程Aとする。
【0057】
次いで、図4に示すように、ICチップ23およびその周辺の領域αを覆うようにフォトマスク31を配置した後、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bに、エキシマレーザー光41を照射する(工程B)。
【0058】
この工程Bにおいて、希ガスのアルゴン(Ar)と、ハロゲンガスのフッ素(F)との混合ガス、あるいは、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)単体ガスを用いたエキシマランプをレーザー光源として、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bに、波長172nmのエキシマレーザー光41を照射する。
【0059】
レーザー光源から発振されるエキシマレーザー光41は、パルスレーザー光が好ましい。レーザー光源は、レーザー光が発せられる点灯状態と、レーザー光が発せられない消灯状態とを交互に繰り返し、間欠的にレーザー光を発振することにより、パルスレーザー光を発振する。特に、レーザー光の強度がパルス状に変化することが好ましい。以下、1つのパルスのレーザー光をパルス光と称する。パルスレーザー光を用いた場合、1つのパルス光によって1回の照射が行われる。
【0060】
また、レーザー光源から発振されるエキシマレーザー光41の励起光強度は、600mJ/cm〜2400mJ/cm程度が好ましい。
また、パルス光とパルス光との間のパルス周期は、1Hz〜200Hz程度が好ましい。ここで、パルス周期とは、ある一のパルス光の立ち上がりの時点から、一のパルスと隣り合うパルス光の立ち上がりの時点までの時間、またはパルス光の立ち上がりの時点から、隣り合うパルス光の立ち下がりの時点までの時間をいう。
さらに、パルス光の各々のパルス幅が、10ナノ秒〜50ナノ秒程度が好ましい。なお、パルス幅とは、ある一のパルス光の立ち上がりの時点から、立ち下がりの時点までの時間をいう。
【0061】
エキシマレーザー光41を照射する時間は、5秒以上、120秒以下であることが好ましく、より好ましくは15秒以上、60秒以下である。
エキシマレーザー光41を照射する時間が5秒未満では、第一の基材21の一方の面21aの一部において、第一の基材21を構成する高分子化合物aのメチル基の一部を、水酸基に置換することができない。また、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bにおいて、アンテナ22を形成する導電性ペーストに含まれる高分子化合物cのメチル基の一部を、水酸基に置換することができない。
一方、エキシマレーザー光41を照射する時間が1分を超えると、それ以上エキシマレーザー光41を照射しても、高分子化合物aのメチル基の一部を水酸基に置換する作用、および、高分子化合物cのメチル基の一部を水酸基に置換する作用に差異が見られないばかりではなく、第一の基材21およびアンテナ22の温度が上昇し過ぎて、アンテナ22やICチップ23が劣化することや、第一の基材21が熱収縮してアンテナ22に対するICチップ23の位置ずれを生じることがある。
【0062】
このように、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bに、エキシマレーザー光41を照射すると、その照射領域(領域α以外の領域β)において、第一の基材21を構成する高分子化合物aのメチル基が水酸基に置換され、アンテナ22を形成する導電性ペーストに含まれる高分子化合物cのメチル基が水酸基に置換される。
ここで、例えば、第一の基材21を構成する高分子化合物aがポリプロピレンである場合、図8および図9に示すように、ポリプロピレンのメチル基が、水酸基に置換される。
【0063】
次いで、図5に示すように、第二の基材25の一方の面25aにおいて、凸部25cを設ける領域γにフォトマスク32を配置した後、第二の基材25の一方の面25aの一部(領域γを除いた領域δ)に、エキシマレーザー光42を照射する(工程C)。
この工程Cでは、上述の工程Bと同様にして、第二の基材25の一方の面25aの一部に、エキシマレーザー光42を照射する。これにより、第二の基材25を構成する高分子化合物bのメチル基が、水酸基に置換される。
【0064】
次いで、図6に示すように、第二の基材25の一方の面25aに凸型33を押圧して、第二の基材25の他方の面25b側に突出する凸部25cを形成する。
【0065】
次いで、図7に示すように、第一の基材21の一方の面21a側に、第二の基材25を配置して、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aと、第二の基材25の一方の面25aとを接触させた後、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を所定の圧力にて押圧することにより、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とを密着させる(工程D)。
これにより、第一の基材21を構成する高分子化合物aの一部およびアンテナ22を形成する高分子化合物cの一部と、第二の基材25を構成する高分子化合物bの一部とが化学結合により結合されて、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とが密着されて、非接触型データ受送信体20が得られる。
【0066】
また、この工程Dにおいて、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とを密着させるとともに、第二の基材25の凸部25cにICチップ23を収容する。
【0067】
この工程Eにおいて、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を押圧する圧力は、0.01MPa以上、1MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.05MPa以上、0.4MPa以下である。
第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を押圧する圧力が0.01MPa未満では、第一の基材21を構成する高分子化合物aの水酸基およびアンテナ22を形成する高分子化合物cの水酸基と、第二の基材25を構成する高分子化合物bの水酸基との間における脱水縮合反応が十分に進行せず、結果として、第一の基材21の一方の面21a、並びに、アンテナ22の一方の面22aおよび端面22bと、第二の基材25の一方の面25aとの密着性が不十分となる。
一方、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を押圧する圧力が1MPaを超えると、それ以上圧力を大きくしても、第一の基材21を構成する高分子化合物aの水酸基およびアンテナ22を形成する高分子化合物cの水酸基と、第二の基材25を構成する高分子化合物bの水酸基との間における脱水縮合反応を進行させる作用に差異が見られないばかりではなく、アンテナ22が損傷することがある。
【0068】
また、工程Eにおいて、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を押圧する時間は、5秒以上、100秒以下であることが好ましく、より好ましくは20秒以上、80秒以下である。
【0069】
このように、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を押圧すると、その押圧された部分において、第一の基材21を構成する高分子化合物aの水酸基およびアンテナ22を形成する高分子化合物cの水酸基と、第二の基材25を構成する高分子化合物bの水酸基との間にて、脱水縮合反応が進行し、高分子化合物aおよび高分子化合物cと、高分子化合物bとが酸素(O)を介して、化学結合する。
ここで、例えば、第一の基材21を構成する高分子化合物aがポリプロピレンであり、第二の基材25を構成する高分子化合物bがポリプロピレンである場合、図10に示すように、高分子化合物aと、高分子化合物bとが酸素(O)を介して、化学結合する。
これにより、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とが強固に密着される。
【0070】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、工程Bにおいて、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bに、エキシマレーザー光41を照射し、工程Cにおいて、第二の基材25の一方の面25aの一部に、エキシマレーザー光42を照射し、工程Dにおいて、第一の基材21の一方の面21a側に、第二の基材25を配置して、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を所定の圧力にて押圧するので、第一の基材21を構成する高分子化合物aの一部およびアンテナ22を形成する高分子化合物cの一部と、第二の基材25を構成する高分子化合物bの一部とを化学結合により結合させ、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とを密着させることができる。したがって、接着剤や粘着剤を用いる必要がないので、これらを硬化させるために加熱する必要もないから、アンテナ22やICチップ23に熱が加えられて、アンテナ22やICチップ23が劣化することや、第一の基材21が熱収縮してアンテナ22に対するICチップ23の位置ずれが生じることを防止できる。ゆえに、製造時間や材料コストを削減し、ひいては、製造コストを削減することができる。
【0071】
なお、この実施形態では、工程Cにおいて、第二の基材25の一方の面25aの凸部25cを設ける領域γを除いた領域δに、エキシマレーザー光42を照射する場合を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、工程Cと工程Dの間の工程において、第二の基材の一方の面に凸型を押圧して、第二の基材の他方の面側に突出する凸部を形成すれば、ICチップと第二基材が接触することがないので、工程Cにおいて、第二の基材の一方の面の全面に、エキシマレーザー光を照射してもよい。
【0072】
また、この実施形態では、工程Bにおいて、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22b、すなわち、ICチップ23およびその周辺の領域αを除いた領域βに、エキシマレーザー光41を照射し、工程Eにおいて、第一の基材21の一方の面21aおよびアンテナ22の一方の面22aに対して、第二の基材25を所定の圧力にて押圧することにより、第一の基材21の一方の面21aの一部、並びに、アンテナ22の一方の面22aの一部および端面22bと、第二の基材25の一方の面25aの一部とを密着させる場合を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。
また、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、工程Bにおいて、第一の基材の一方の面の一部に、エキシマレーザー光を照射し、工程Dにおいて、第一の基材の一方の面側に、第二の基材を配置して、第一の基材の一方の面に、第二の基材を押圧することにより、第一の基材の一部と、第二の基材の一部とを密着させてもよい。このようにすれば、上述の第一の実施形態と同様に、第一の基材およびアンテナと、第二の基材とが密着していない非接触型データ受送信体が得られる。
【符号の説明】
【0073】
10,20・・・非接触型データ受送信体、11,21・・・第一の基材、12,22・・・アンテナ、13,23・・・ICチップ、14,24・・・インレット、15,25・・・第二の基材、16,26・・・被覆材、17,18,27,28・・・放射素子、19,29・・・間隙、31,32・・・フォトマスク、41,42・・・エキシマレーザー光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材、該第一の基材の一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップからなるインレットと、前記第一の基材の一方の面側に前記インレットを覆うように設けられた第二の基材と、を備えた非接触型データ受送信体であって、
前記第一の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物aからなり、
前記第二の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物bからなり、
前記第一の基材をなす前記高分子化合物aの一部と、前記第二の基材をなす前記高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、前記第一の基材の一部と、前記第二の基材の一部とが密着されていることを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
前記アンテナは、導電性粒子および分子中にメチル基を有する高分子化合物cを含む導電性ペーストからなり、
前記アンテナをなす前記高分子化合物cの一部と、前記第二の基材をなす前記高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、前記アンテナの一部と、前記第二の基材の一部とが密着されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触型データ受送信体。
【請求項3】
第一の基材、該第一の基材の一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップからなるインレットと、前記第一の基材の一方の面側に前記インレットを覆うように設けられた第二の基材と、を備え、前記第一の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物aからなり、前記第二の基材は、分子中にメチル基を有する高分子化合物bからなり、前記第一の基材をなす前記高分子化合物aの一部と、前記第二の基材をなす前記高分子化合物bの一部とが化学結合により結合され、前記第一の基材の一部と、前記第二の基材の一部とが密着されている非接触型データ受送信体の製造方法であって、
前記第一の基材の一方の面に、互いに接続されたアンテナおよびICチップを設ける工程Aと、
前記第一の基材の一方の面の一部に、エキシマレーザー光を照射する工程Bと、
前記第二の基材の一方の面に、エキシマレーザー光を照射する工程Cと、
前記第一の基材の一方の面側に、前記第二の基材を配置して、前記第一の基材の一方の面に、前記第二の基材を押圧することにより、前記第一の基材の一部と、前記第二の基材の一部とを密着させる工程Dと、を有することを特徴とする非接触型データ受送信体の製造方法。
【請求項4】
前記アンテナを、導電性粒子および分子中にメチル基を有する高分子化合物cを含む導電性ペーストで形成し、
前記工程Bにおいて、前記第一の基材の一方の面の一部にエキシマレーザー光を照射するとともに、前記アンテナの表面の一部に、エキシマレーザー光を照射し、
前記工程Dにおいて、前記第一の基材の一方の面側に、前記第二の基材を配置して、前記第一の基材の一方の面および前記アンテナの表面に、前記第二の基材を押圧することにより、前記第一の基材の一部および前記アンテナの一部と、前記第二の基材の一部とを密着させることを特徴とする請求項3に記載の非接触型データ受送信体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−186327(P2010−186327A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30050(P2009−30050)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】