説明

非接触型データ受送信体およびその製造方法

【課題】非接触型データ受送信体の厚みが大きくなることがなく、記録されている情報の改竄が困難であり、かつ、製造コストが低い非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の非接触型データ受送信体10は、インレット11と、インレット11の両面11a、11bを被覆する被覆材12と、被覆材12のインレット11に接している面とは反対側の面12a、12bに設けられた表面基材20と、を備え、被覆材12は2液混合型ウレタン樹脂からなり、被覆材12のインレット11と接している面とは反対側の面12a、12bおよびその近傍の少なくとも一部には、多数の気泡13d、14dが形成された領域13e、14eを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波または電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体に関し、特に、重ね合わせたとしても、互いに密着することがなく、取り扱いが容易な非接触型データ受送信体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触型データ受送信体の一例であるICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電磁波または電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
【0003】
ICタグなどが普及するに伴って、外見上は見分けがつき難いように造られた偽造品が出回るおそれがある。そのため、近年、光の干渉および回折現象を利用して三次元情報を表示するホログラムが、ICカードなどの偽造防止手段として用いられている。
【0004】
ICタグなどの偽造防止手段としてホログラムを用いた技術としては、シートと、このシート上に形成された透光性のDLC(ダイアモンド状カーボン)膜とを含み、DLC膜が相対的に高屈折率の局所的領域と相対的に低屈折率の局所的領域とを有するホログラムシートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このホログラムシートは、ICタグなどの表面に貼着されて用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−84944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなホログラムシートは、ICタグなどの表面に貼着されて用いられるため、ホログラムシートを含めたICタグなどの厚みが大きくなってしまうという問題があった。また、ホログラムシートは、貼り替えが可能であるため、ホログラムとして記録されている情報の改ざんが容易であるという問題があった。また、ホログラムシートは、ICタグなどとは別の製造工程にて製造されるため、製造コストが増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、非接触型データ受送信体の厚みが大きくなることがなく、記録されている情報の改ざんが困難であり、かつ、製造コストが低い非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非接触型データ受送信体は、インレットと、該インレットの両面を被覆する被覆材と、該被覆材の前記インレットに接している面とは反対側の面に設けられた表面基材と、を備えた非接触型データ受送信体であって、前記被覆材は2液混合型ウレタン樹脂からなり、前記被覆材の前記インレットと接している面とは反対側の面およびその近傍の少なくとも一部には、多数の気泡が形成された領域を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法は、インレットと、該インレットの両面を被覆する被覆材と、該被覆材の前記インレットに接している面とは反対側の面に設けられた表面基材と、を備え、前記被覆材は2液混合型ウレタン樹脂からなり、前記被覆材の前記インレットと接している面とは反対側の面およびその近傍の少なくとも一部には、多数の気泡が形成された領域を有する非接触型データ受送信体の製造方法であって、第一の表面基材の一方の面の少なくとも一部に、水を塗布する工程Aと、前記第一の表面基材の水が塗布された面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第一の接着剤を塗布する工程Bと、前記第一の表面基材に塗布した第一の接着剤を介して、前記第一の表面基材の一方の面上にインレットを重ね合わせて、前記第一の表面基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記第一の表面基材の一方の面と前記インレットの間に、前記第一の接着剤を展開させる工程Cと、第二の表面基材の一方の面の少なくとも一部に、水を塗布する工程Dと、前記インレットの前記第一の接着剤と接している面とは反対側の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第二の接着剤を塗布する工程Eと、前記インレットに塗布した第二の接着剤を介して、前記インレット上に、前記第二の表面基材を、その水が塗布された面を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記第二の表面基材を押圧することにより、前記第二の表面基材の一方の面と前記インレットの間に、前記第二の接着剤を展開させる工程Fと、前記第一の表面基材、前記第一の接着剤、前記インレット、前記第二の接着剤および前記第二の表面基材を含む積層体を、前記インレットの形状に合わせて裁断する工程Gと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の非接触型データ受送信体によれば、第一の被覆材の一方の面およびその近傍の一部には、多数の微小な気泡が形成された領域が設けられ、第二の被覆材の一方の面およびその近傍の一部には、多数の微小な気泡が形成された領域が設けられているので、その気泡によって、非接触型データ受送信体を識別(真偽判定)することができる。また、第一の被覆材の一方の面に第一の表面基材が貼設され、その第一の表面基材により気泡が覆われており、第二の被覆材の一方の面に第二の表面基材が貼設され、その第二の表面基材により気泡が覆われているので、気泡が損傷したり、気泡に細工したりすることを防止することができる。すなわち、気泡によって表示される非接触型データ受送信体の識別情報を、第三者が改竄するのを防止できる。
【0011】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、第一の表面基材、第一の接着剤、インレット、第二の接着剤および第二の表面基材からなる積層体を加熱することによって、第一の接着剤と第二の接着剤が急激に硬化すると同時に、第一の接着剤を第一の表面基材の一方の面に所定の形状に塗布した水によって発泡させるとともに、第二の接着剤を第二の表面基材の一方の面に所定の形状に塗布した水によって発泡させるので、第一の被覆材の一方の面およびその近傍に、所定の形状からなる多数の微小な気泡を形成することができるとともに、第二の被覆材の一方の面およびその近傍に、所定の形状からなる多数の微小な気泡を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の非接触型データ受送信体の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程Aおよび工程Dを示す概略斜視図である。
【図3】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図4】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図5】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程Cを示し、図4のA−A線に沿う概略断面図である。
【図6】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程E、工程Fおよび工程Hを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程Fを示し、図6のB−B線に沿う概略断面図である。
【図8】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程Gを示す概略断面図である。
【図9】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態において、工程Gを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0014】
「非接触型データ受送信体」
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の一実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体10は、インレット11と、インレット11の一方の面11aを被覆する第一の被覆材13と、インレット11の他方の面11bを被覆する第二の被覆材14と、第一の被覆材13のインレット11と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)13aに設けられた第一の表面基材21と、第二の被覆材14のインレット11と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)14aに設けられた第二の表面基材22とから概略構成されている。
また、第一の被覆材13の一方の面13aおよびその近傍の一部には、多数の微小な気泡13dが形成された領域13eを有し、第二の被覆材14の一方の面14aおよびその近傍の一部には、多数の微小な気泡14dが形成された領域14eを有している。
なお、第一の表面基材21は第一の被覆材13の一方の面13aに接着され、第二の表面基材22は第二の被覆材14の一方の面14aに接着されている。
【0015】
ここで、第一の被覆材13の一方の面13aの近傍とは、例えば、第一の被覆材13の厚みを0.5mmとした場合、第一の被覆材13の一方の面13aからインレット11側に0.1mm程度の部分のことを言う。同様に、第二の被覆材14の一方の面14aの近傍とは、例えば、第二の被覆材14の厚みを0.5mmとした場合、第二の被覆材14の一方の面14aからインレット11側に0.1mm程度の部分のことを言う。
【0016】
また、第一の被覆材13の気泡13dは、第一の被覆材13の形成過程において、第一の被覆材13を形成する第一の接着剤が発泡することにより発生したものである。
なお、第一の被覆材13において、気泡は、一方の面13aおよびその近傍以外の部分にも発生することがあるが、特に、一方の面13aおよびその近傍では、第一の被覆材13に占める気泡13dの割合(体積比)が高くなっている。
【0017】
同様に、第二の被覆材14の気泡14dは、第二の被覆材14の形成過程において、第二の被覆材14を形成する第二の接着剤が発泡することにより発生したものである。
なお、第二の被覆材14において、気泡は、一方の面14aおよびその近傍以外の部分にも発生することがあるが、特に、一方の面14aおよびその近傍では、第二の被覆材14に占める気泡14dの割合(体積比)が高くなっている。
【0018】
気泡13dの大きさ(各気泡における最も大きな部分の径)は特に限定されないが、第一の被覆材13の形成過程において形成される気泡13dの大きさは、通常、100μm〜5mmである。
また、気泡14dの大きさ(各気泡における最も大きな部分の径)は特に限定されないが、第二の被覆材14の形成過程において形成される気泡14dの大きさは、通常、100μm〜5mmである。
【0019】
また、第一の被覆材13の一方の面13aにおいて、気泡13dは任意の形状に設けられており、第二の被覆材14の一方の面14aにおいて、気泡14dは任意の形状に設けられている。これにより、気泡13d,14dによって、例えば、非接触型データ受送信体10を識別するための文字、記号、模様などからなる情報(識別情報)を表示することができる。
【0020】
また、第一の被覆材13と第二の被覆材14を総称して、被覆材12といい、第一の表面基材21と第二の表面基材22を総称して、表面基材20ということもある。
非接触型データ受送信体10は、インレット11の両面(一方の面11aおよび他方の面11b)が、被覆材12で直接、被覆されている。また、非接触型データ受送信体10は、第一の表面基材21と、第一の被覆材13と、インレット11と、第二の被覆材14と、第二の表面基材22とが、その厚み方向において、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体10は、例えば、平面視略長方形状をなしている。
【0021】
インレット11は、基材15と、基材15の一方の面15aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ16およびアンテナ17とから概略構成されている。
アンテナ17は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ16と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子18,19からなるダイポールアンテナである。
アンテナ17の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子18,19の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0022】
なお、インレット11の一方の面11aは、基材15の一方の面15aに相当し、インレット11の他方の面11bは、基材15の他方の面15bに相当する。
ゆえに、インレット11の一方の面11aでは、ICチップ16およびアンテナ17が第一の被覆材13によって被覆されている。
【0023】
そして、非接触型データ受送信体10の4つの側面にて、第一の表面基材21の端面と、第一の被覆材13の端面と、基材15の端面と、第二の被覆材14の端面と、第二の表面基材22の端面とが同一面をなしている。より詳細には、例えば、非接触型データ受送信体10の側面10aにて、第一の表面基材21の端面21aと、第一の被覆材13の端面13bと、基材15の端面15cと、第二の被覆材14の端面14bと、第二の表面基材22の端面22aとが同一面をなしている。同様に、非接触型データ受送信体10の側面10bにて、第一の表面基材21の端面21bと、第一の被覆材13の端面13cと、基材15の端面15dと、第二の被覆材14の端面14cと、第二の表面基材22の端面22bとが同一面をなしている。
【0024】
第一の被覆材13の厚みは、特に限定されないが、少なくともインレット11のICチップ16およびアンテナ17に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10cに現れない程度、かつ、インレット11が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
また、第二の被覆材14の厚みは、特に限定されないが、インレット11が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
【0025】
さらに、非接触型データ受送信体10の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体10を曲げた場合に、インレット11に対して、第一の被覆材13と第二の被覆材14の厚みの差に起因する応力が生じないようにするためには、第一の被覆材13の厚みと第二の被覆材14の厚みは等しいことが好ましい。
【0026】
また、上述のように、気泡13dは主に第一の被覆材13の一方の面13aおよびその近傍に形成され、気泡14dは主に第二の被覆材14の一方の面14aおよびその近傍に形成されているので、これらの気泡13d,14dが存在することによって、アンテナ17は湾曲することなどがないから、アンテナ17の共振周波数などの通信特性は劣化することがない。
【0027】
被覆材12(第一の被覆材13と第二の被覆材14)は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても、主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン樹脂からなるものである。
この2液混合型ウレタン樹脂は、硬化後にタック性(仮留め可能な性質)を有するものであるので、第一の被覆材13の一方の面13a、すなわち、非接触型データ受送信体10の一方の面10c、および、第二の被覆材14の一方の面14a、すなわち、非接触型データ受送信体10の他方の面10dは、タック性を有している。
【0028】
また、2液混合型ウレタン樹脂の硬化後の剥離強度、すなわち、インレット11に対する被覆材12(第一の被覆材13と第二の被覆材14)の剥離強度は1.0N/mm以上であることが好ましい。
【0029】
2液混合型ウレタン樹脂としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、エポキシ基を有するシランカップリング剤を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン樹脂では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基のモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン樹脂において、エポキシ基を有するシランカップリング剤の配合量は、0.1質量%以上、2.0質量%以下である。
【0030】
また、2液混合型ウレタン樹脂としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、アスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン樹脂では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基のモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン樹脂において、アスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子の配合量は、5質量%以上、40質量%以下である。
【0031】
このような2液混合型ウレタン樹脂の具体例としては、例えば、主剤(商品名:MLT2900、イーテック社製)と硬化剤(商品名:G3021−B174、イーテック社製)からなる接着剤が挙げられる。
【0032】
また、被覆材12を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、被覆材12は任意の色に着色される。
【0033】
基材15としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0034】
ICチップ16としては、特に限定されず、アンテナ17を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0035】
アンテナ17は、基材15の一方の面15aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0036】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0037】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナ17をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ17をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0038】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0039】
また、アンテナ17をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ17をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0040】
表面基材20としては、上記の基材15と同様のものが用いられる。
【0041】
この非接触型データ受送信体10によれば、第一の被覆材13の一方の面13aおよびその近傍の一部には、多数の微小な気泡13dが形成された領域13eが設けられ、第二の被覆材14の一方の面14aおよびその近傍の一部には、多数の微小な気泡14dが形成された領域14eが設けられているので、気泡13d,14dによって、非接触型データ受送信体10を識別(真偽判定)することができる。また、第一の被覆材13の一方の面13aに第一の表面基材21が貼設され、その第一の表面基材21により気泡13dが覆われており、第二の被覆材14の一方の面14aに第二の表面基材22が貼設され、その第二の表面基材22により気泡14dが覆われているので、気泡13d,14dが損傷したり、気泡13d,14dに細工したりすることを防止することができる。すなわち、気泡13d,14dによって表示される非接触型データ受送信体10の識別情報を、第三者が改竄するのを防止できる。
【0042】
また、インレット11の一方の面11aおよび他方の面11bが、2液混合型ウレタン樹脂からなる被覆材12で直接、被覆されているので、被覆材12がインレット11を構成するICチップ16やアンテナ17に基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレット11と被覆材12の密着性に優れ、インレット11と被覆材12の界面において剥離するのを防止することができ、ひいては、インレット11に耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れている。
【0043】
さらに、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aおよび他方の面11bが、被覆材12で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0044】
なお、この実施形態では、第一の被覆材13の一方の面13aおよびその近傍の一部に、多数の微小な気泡13dが形成された領域13eが設けられ、第二の被覆材14の一方の面14aおよびその近傍の一部に、多数の微小な気泡14dが形成された領域14eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、被覆材のインレットと接している面とは反対側の面(一方の面)およびその近傍に、一方の面の全域にわたって多数の微小な気泡が形成された領域が設けられていてもよい。
【0045】
また、この実施形態では、非接触型データ受送信体10の両面(一方の面10cおよび他方の面10d)側に、気泡13d,14dが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体の一方の面側または他方の面側のいずれか一方に気泡が設けられていればよい。
【0046】
また、この実施形態では、非接触型データ受送信体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
【0047】
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子18,19から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ17有するインレット11を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナであってもよい。
【0048】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図1〜図9を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図4に示すような、基材15Aと、その一方の面15aに、RFID用のアンテナ17と、このアンテナ17を通じて通信するICチップ16とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート22を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示する。
【0049】
まず、図2に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の第一の表面基材21の一方の面21aの一部に、第一の表面基材21の搬送方向に沿って、水塗布手段31により水を塗布する(工程A)。
【0050】
この工程Aでは、第一の表面基材21の一方の面21aに、所定の文字、記号、模様をなす形状に水を塗布する。
【0051】
水塗布手段31としては、水を含んだスポンジ、水を霧状に噴霧することができるスプレーノズルなどが用いられる。
【0052】
次いで、図3に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の第一の表面基材21の水が塗布された面(一方の面)21aの中央部に、第一の表面基材21の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル32から吐出される第一の接着剤13Aを線状に塗布する(工程B)。
【0053】
第一の接着剤13Aとしては、上記の被覆材12を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一の表面基材21の一方の面21aに第一の接着剤13Aを塗布する幅、すなわち、第一の表面基材21の一方の面21aに対する第一の接着剤13Aの塗布量は、特に限定されないが、この第一の接着剤13Aによって被覆される、インレットシート22に設けられたICチップ16およびアンテナ17の大きさや数、第一の接着剤13Aを硬化することにより形成される第一の被覆材13に必要とされる厚みなどに応じて、適宜調整される。
【0054】
次いで、図4に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート22を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー33,34の対向する部分にて、第一の表面基材21の一方の面21aに塗布した第一の接着剤13Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている第一の表面基材21の一方の面21a上に重ね合わせるとともに、第一の表面基材21とインレットシート22をローラー33,34で挟み込むことにより、図5に示すように、第一の表面基材21とインレットシート22の間のほぼ全域にわたって、第一の表面基材21の一方の面21aに塗布した第一の接着剤13Aを展開させる(工程C)。
【0055】
この工程Cでは、第一の表面基材21の一方の面21aに、基材15Aの一方の面15a、すなわち、インレットシート22におけるICチップ16およびアンテナ17が設けられた面(以下、「一方の面」という。)22aが対向するように、第一の表面基材21の一方の面21a上にインレットシート22を重ね合わせる。
【0056】
また、工程Cでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン樹脂からなる第一の接着剤13Aを用いる。したがって、第一の接着剤13Aは、第一の表面基材21とインレットシート22の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化すると同時に、第一の表面基材21の一方の面21aに塗布した水によって発泡して、気泡13dを形成する。
これにより、インレットシート22の一方の面22a、並びに、その一方の面22aに設けられたICチップ16およびアンテナ17が第一の接着剤13Aによって被覆されるとともに、第一の表面基材21の一方の面21a上に、インレットシート22が接着される。なお、第一の接着剤13Aは硬化すると、上記の第一の被覆材13となる。
【0057】
また、工程Cでは、第一の表面基材21とインレットシート22の間に展開させた後の第一の接着剤13Aの厚みを、少なくともインレットシート22のICチップ16およびアンテナ17に起因する凹凸が、第一の接着剤13Aのインレットシート22に接している面とは反対側の面13dに現れない程度、かつ、ICチップ16およびアンテナ17が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
【0058】
また、工程Cにおいて、第一の表面基材21とインレットシート22を一対のローラー33,34で挟み込む力、すなわち、第一の表面基材21に対してインレットシート22を厚み方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、第一の表面基材21およびインレットシート22の厚みや大きさ、第一の接着剤13Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm〜20kg/cmであることが好ましく、より好ましくは5kg/cm〜10kg/cmである。
【0059】
この工程Cにより、第一の接着剤13Aによって、ICチップ16およびアンテナ17が完全に被覆され、第一の表面基材21とインレットシート22の間に、ほぼ隙間無く第一の接着剤13Aが充填される。
【0060】
次いで、図2に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の第二の表面基材23の一方の面23aをなす剥離層の表面全面に、第二の表面基材23の搬送方向に沿って、水塗布手段31Aにより水を塗布する(工程D)。
【0061】
この工程Dでは、第二の表面基材23の一方の面23aに、所定の文字、記号、模様をなす形状に水を塗布する。
【0062】
水塗布手段31Aとしては、水塗布手段31と同様のものが用いられる。
【0063】
次いで、図6に示すように、図中の矢印方向に、第一の表面基材21とインレットシート22からなる積層体αを搬送しながら、インレットシート22の一方の面22aとは反対側の面(以下、「他方の面」という。)22b、すなわち、基材15Aの他方の面15bの中央部に、積層体αの搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル35から吐出される第二の接着剤14Aを線状に塗布する(工程E)。
【0064】
第二の接着剤14Aとしては、上記の被覆材12を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、インレットシート22の他方の面22bに第二の接着剤14Aを塗布する幅、すなわち、基材15Aの他方の面15bに対する第二の接着剤14Aの塗布量は、特に限定されないが、第二の接着剤14Aを硬化することにより形成される第二の被覆材14に必要とされる厚みなどに応じて、適宜調整される。
【0065】
次いで、図6に示すように、図中の矢印方向に搬送されている第二の表面基材23を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー36,37の対向する部分にて、インレットシート22の他方の面22bに塗布した第二の接着剤14Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている積層体αを構成するインレットシート22の他方の面22b上に重ね合わせるとともに、積層体αと第二の表面基材23をローラー36,37で挟み込むことにより、図7に示すように、積層体αと第二の表面基材23の間のほぼ全域にわたって、インレットシート22の他方の面22bに塗布した第二の接着剤14Aを展開させて(工程F)、第一の表面基材21と第二の表面基材23の間に、第一の接着剤13Aと、インレットシート22と、第二の接着剤14Aとが、この順に積層、一体化された積層体βを形成する。
【0066】
この工程Fでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン樹脂からなる第二の接着剤14Aを用いる。したがって、第二の接着剤14Aは、積層体αと第二の表面基材23の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化すると同時に、第二の表面基材23の一方の面23aに塗布した水によって発泡して、気泡14dを形成する。
これにより、インレットシート22の他方の面22bが第二の接着剤14Aによって被覆されるとともに、積層体αの上に、第二の表面基材23が接着される。なお、第二の接着剤14Aは硬化すると、上記の第二の被覆材14となる。
【0067】
この工程Fでは、積層体αと第二の表面基材23の間に展開させた後の第二の接着剤14Aの厚みを、上述の工程Cにおいて、第一の表面基材21とインレットシート22の間に展開させた後の第一の接着剤13Aの厚みと同程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
【0068】
また、工程Fにおいて、積層体αと第二の表面基材23を一対のローラー36,37で挟み込む力、すなわち、インレットシート22に対して第二の表面基材23を厚み方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、積層体αおよび第二の表面基材23の厚みや大きさ、第二の接着剤14Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm〜20kg/cmであることが好ましく、より好ましくは5kg/cm〜10kg/cmである。
【0069】
この工程Fにより、積層体αと第二の表面基材23の間に、ほぼ隙間無く第二の接着剤14Aが充填される。
【0070】
次いで、図8に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、第一の表面基材21、第一の被覆材13、インレットシート22、第二の被覆材14および第二の表面基材23からなる積層体γを、その厚み方向に(図8の一点鎖線に沿って)、上記のインレット11の形状(大きさ)に合わせて裁断し、図9に示すように、積層体γを個片化し(工程G)、第一の表面基材21、第一の被覆材13、インレットシート22(インレット11)、第二の被覆材14および第二の表面基材23からなる、図1に示す非接触型データ受送信体10を得る。
【0071】
ところで、上述のように、第一の接着剤13Aは、時間の経過とともに主剤と硬化剤が反応して硬化すると同時に、第一の表面基材21の一方の面21aに塗布した水によって発泡して、気泡13dを形成する。同様に、第二の接着剤14Aは、時間の経過とともに主剤と硬化剤が反応して硬化すると同時に、第二の表面基材23の一方の面23aに塗布した水によって発泡して、気泡14dを形成する。
【0072】
なお、比較的大きめの気泡13d,14dを形成したい場合は、図6に示すように、図中の矢印方向に搬送されている第一の表面基材21、第一の接着剤13A、インレットシート22、第二の接着剤14Aおよび第二の表面基材23からなる積層体βを、これを挟み込むように対向して配置された一対のヒータ38,39からなる加熱装置40により、所定の温度に加熱する(工程H)。
また、加熱の工程は、上記の積層体αを形成した後、その積層体αを加熱する第一の加熱工程と、上記の積層体βを形成した後、その積層体βを加熱する第二の加熱工程とに分けることが好ましい。
【0073】
この工程Hでは、加熱装置40により、積層体βを60〜70℃に加熱する。
この工程Hにより、第一の接着剤13Aと第二の接着剤14Aが急激に硬化すると同時に、第一の接着剤13Aは第一の表面基材21の一方の面21aに塗布した水によって発泡して比較的大きめの気泡13dを形成し、第二の接着剤14Aは第二の表面基材23の一方の面23aに塗布した水によって発泡して比較的大きめの気泡14dを形成する。
【0074】
これにより、第一の接着剤13Aが硬化して、第一の被覆材13が形成されるとともに、第一の被覆材13の一方の面13aおよびその近傍の一部に、所定の文字、記号、模様を表示する多数の微小な気泡13dが形成される。また、第二の接着剤14Aが硬化して、第二の被覆材14が形成されるとともに、第二の被覆材14の一方の面14aおよびその近傍の一部に、所定の文字、記号、模様を表示する多数の微小な気泡14dが形成される。
【0075】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、第一の表面基材21、第一の接着剤13A、インレットシート22、第二の接着剤14Aおよび第二の表面基材23からなる積層体βを加熱することによって、第一の接着剤13Aと第二の接着剤14Aが急激に硬化すると同時に、第一の接着剤13Aを第一の表面基材21の一方の面21aに所定の形状に塗布した水によって発泡させるとともに、第二の接着剤14Aを第二の表面基材23の一方の面23aに所定の形状に塗布した水によって発泡させるので、第一の被覆材13の一方の面13aおよびその近傍に、所定の形状からなる多数の微小な気泡13dを形成することができるとともに、第二の被覆材14の一方の面14aおよびその近傍に、所定の形状からなる多数の微小な気泡14dを形成することができる。
【0076】
なお、この実施形態では、長尺の第一の表面基材21、インレットシート22および第二の表面基材23を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化された、第一の表面基材、インレットおよび第二の表面基材を用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
【0077】
また、この実施形態では、工程Aにおいて、第一の表面基材21の一方の面21aの一部に水を塗布し、工程Dにおいて、第二の表面基材23の一方の面23aの一部に水を塗布する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一の表面基材の一方の面の全面、または、第二の表面基材の一方の面の全面に水を塗布してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10・・・非接触型データ受送信体、11・・・インレット、12・・・被覆材、13・・・第一の被覆材、13A・・・第一の接着剤、14・・・第二の被覆材、14A・・・第二の接着剤、15,15A・・・基材、16・・・ICチップ、17・・・アンテナ、18,19・・・放射素子、21・・・第一の表面基材、22・・・インレットシート、23・・・第二の表面基材、31,31A・・・水塗布手段、32・・・ノズル、33,34・・・ローラー、35・・・ノズル、36,37・・・ローラー、38,39・・・ヒータ、40・・・加熱装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットと、該インレットの両面を被覆する被覆材と、該被覆材の前記インレットに接している面とは反対側の面に設けられた表面基材と、を備えた非接触型データ受送信体であって、
前記被覆材は2液混合型ウレタン樹脂からなり、前記被覆材の前記インレットと接している面とは反対側の面およびその近傍の少なくとも一部には、多数の気泡が形成された領域を有することを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
インレットと、該インレットの両面を被覆する被覆材と、該被覆材の前記インレットに接している面とは反対側の面に設けられた表面基材と、を備え、前記被覆材は2液混合型ウレタン樹脂からなり、前記被覆材の前記インレットと接している面とは反対側の面およびその近傍の少なくとも一部には、多数の気泡が形成された領域を有する非接触型データ受送信体の製造方法であって、
第一の表面基材の一方の面の少なくとも一部に、水を塗布する工程Aと、
前記第一の表面基材の水が塗布された面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第一の接着剤を塗布する工程Bと、
前記第一の表面基材に塗布した第一の接着剤を介して、前記第一の表面基材の一方の面上にインレットを重ね合わせて、前記第一の表面基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記第一の表面基材の一方の面と前記インレットの間に、前記第一の接着剤を展開させる工程Cと、
第二の表面基材の一方の面の少なくとも一部に、水を塗布する工程Dと、
前記インレットの前記第一の接着剤と接している面とは反対側の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第二の接着剤を塗布する工程Eと、
前記インレットに塗布した第二の接着剤を介して、前記インレット上に、前記第二の表面基材を、その水が塗布された面を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記第二の表面基材を押圧することにより、前記第二の表面基材の一方の面と前記インレットの間に、前記第二の接着剤を展開させる工程Fと、
前記第一の表面基材、前記第一の接着剤、前記インレット、前記第二の接着剤および前記第二の表面基材を含む積層体を、前記インレットの形状に合わせて裁断する工程Gと、を有することを特徴とする非接触型データ受送信体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−209986(P2011−209986A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76791(P2010−76791)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】