説明

非接触型データ受送信体およびその製造方法

【課題】他のシート状のICタグと重ね合わせても、互いに密着することがなく、取り扱いが容易な非接触型データ受送信体、および該非接触型データ受送信体の密着性を落とすと共に、2液混合時の流動性悪化を起こしにくい前記非接触型データ受送信体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の非接触型データ受送信体10は、インレット11と、該インレット11における少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材12と、を備えてなり、前記被覆材12は熱膨張性マイクロカプセル20を含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなり、前記被覆材12の前記インレットに接している面とは反対側の面12aに前記熱膨張性マイクロカプセル20による複数の凸部41を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波または電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体およびその製造方法に関し、特に、耐候性、耐熱性および柔軟性に優れる非接触型データ受送信体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触型データ受送信体の一例であるICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電磁波または電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
【0003】
ICタグを耐熱性、耐候性および柔軟性に優れたものとするためには、種々のパッケージ化されたICタグが検討されている。
例えば、接着剤を介して、薄いシート状の回路部を、シリコーン膜でコーティングされたウレタン樹脂からなる表面基材で挟み込んで、これらを一体化してなるシート状のICタグが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなシート状のICタグは、樹脂の硬化により、成形されるため、一度に大量に製造できるという利点がある。しかしながら、他の同種のシート状のICタグと重ね合わせると、互いに密着してしまい、剥離するのが難しく、取り扱いが困難であった。
そこで、シート状のICタグ同士が密着しないようにするには、これらのICタグが、互いに重なり合わないような形状をなしていればよい。このように、シート状のICタグを、互いに重なり合わないような形状としたものとしては、例えば、長手方向を回転軸として若干のひねりを加えたICタグが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−056362号公報
【特許文献2】特開平8−315264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に知られているICタグは、定型状の物体を包装する包装体の隙間に差し込んで用いられ、その隙間に差し込んだ際に、ひねりが自然に戻ることによって、角部分が包装体の内側に引っ掛かり、隙間から抜け落ちることを抑制したものであった。すなわち、ICタグに加えられたひねりは、恒久的なものではなく、外力を加えると、容易にICタグが平らな状態に戻ってしまうおそれがあった。このようにICタグが平らな状態に戻ってしまうと、他のICタグと密着することがあった。
【0007】
また、ICタグ同士の密着性を防止するために、サイズの大きい粒子(例えばシリカなど)を加えておいて、表面に凹凸を設ける方法が考えられるが、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤の流動性が悪くなり、2液混合時に2液が均一に混ざらないという現象が起こる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、他のシート状のICタグと重ね合わせても、互いに密着することがなく、取り扱いが容易な非接触型データ受送信体、および該非接触型データ受送信体の密着性を落とすと共に、2液混合時の流動性悪化を起こしにくい前記非接触型データ受送信体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非接触型データ受送信体は、インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、を備えてなる非接触型データ受送信体であって、前記被覆材は熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなり、前記被覆材の前記インレットに接している面とは反対側の面に前記熱膨張性マイクロカプセルによる複数の凸部を有することを特徴とする。
【0010】
前記インレットの両面が前記被覆材で被覆されたことが好ましい。
【0011】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法は、インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、を備えてなる非接触型データ受送信体の製造方法であって、剥離基材の一方の面をなす剥離層の上に、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Aと、前記剥離基材に塗布した前記接着剤を介して、前記剥離基材の一方の面上にインレットにおけるICチップが設けられた面を重ね合わせて、前記剥離基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記剥離基材と前記インレットの間に、前記接着剤を展開させる工程Bと、前記接着剤の前記インレットに接している面とは反対側の面に前記熱膨張性マイクロカプセルによる複数の凸部を設ける工程Dと、前記剥離基材を剥離する工程Cと、を有し、前記工程Dと前記工程Cを順不同に行うことを特徴とする。
【0012】
前記工程Bと前記工程Dの間に、又は前記工程Bと前記工程Cの間に、さらに、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面に、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Eと、前記インレットに塗布した接着剤を介して、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面上に、剥離基材を、その一方の面をなす剥離層を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記剥離基材を押圧することにより、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面と、前記剥離基材との間に、前記接着剤を展開させる工程Fと、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の非接触型データ受送信体によれば、インレットにおける少なくともICチップが設けられた面が、熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材で被覆され、その被覆材のインレットに接している面とは反対側の面に前記熱膨張性マイクロカプセルによる複数の凸部が設けられたので、他のシート状のICタグと重ね合わせても、互いに密着することがなく、取り扱いが容易である。
また、本発明の非接触型データ受送信体によれば、被覆材が完全に硬化していない場合でも、他のシート状のICタグとの密着を防止することができる。
【0014】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する剥離基材上に、熱膨張性マイクロカプセルを含有する接着剤とインレットが積層、一体化された積層体を形成するので、接着剤が硬化した後、剥離基材を剥離することにより、インレットと、表面に前記熱膨張性マイクロカプセルによる凸部を有する被覆材とを備えてなる非接触型データ受送信体を得ることができる。ゆえに、従来のように、非接触型データ受送信体製造後に改めて、密着防止層を設けたりする必要がなく、また、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤の2液混合時の流動性悪化をおこしにくいため、密着性を落とした非接触型データ受送信体を容易に製造することができる。さらに、被覆材が完全に硬化していない場合でも、他のシート状のICタグとの密着を防止することができるため、非接触型データ受送信体の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図3】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図4】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示し、図3のA−A線に沿う概略断面図である。
【図5】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Hを示す概略断面図である。
【図6】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Hを示す概略断面図である。
【図7】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図8】本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図9】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図10】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図11】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示し、図10のB−B線に沿う概略断面図である。
【図12】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Eおよび工程Fを示す概略斜視図である。
【図13】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Fを示し、図12のC−C線に沿う概略断面図である。
【図14】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Hを示す概略断面図である。
【図15】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Hを示す概略断面図である。
【図16】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0017】
(1)第一の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状のインレット11と、インレット11の一方の面11aを被覆する被覆材12と、被覆材12のインレット11に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)12aに設けられた複数の凸部41とから概略構成されている。
【0018】
すなわち、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが、被覆材12で直接、被覆されて、被覆材12とインレット11が、その厚さ方向において積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状をなしている。
【0019】
インレット11は、基材13と、基材13の一方の面13aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ14およびアンテナ15とから概略構成されている。
アンテナ15は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ14と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子16,17からなるダイポールアンテナである。
アンテナ15の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子16,17の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0020】
なお、インレット11の一方の面11aは、基材13の一方の面13aに相当する。
ゆえに、インレット11の一方の面11aでは、ICチップ14およびアンテナ15が被覆材12によって被覆されている。
【0021】
そして、非接触型データ受送信体10の4つの側面にて、被覆材12の端面、および、基材13の端面が同一面をなしている。より詳細には、例えば、非接触型データ受送信体10の側面10aにて、被覆材12の端面12b、および、基材13の端面13bが同一面をなしている。同様に、非接触型データ受送信体10の側面10bにて、被覆材12の端面12c、および、基材13の端面13cが同一面をなしている。
【0022】
被覆材12の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット11のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10cに現れない程度、かつ、インレット11が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000μmの範囲内である。
【0023】
被覆材12は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても、主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン系接着剤からなるものである。
【0024】
2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、エポキシ基を有するシランカップリング剤を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するエポキシ基を有するシランカップリング剤の配合量は、0.1重量%以上、2.0重量%以下である。
【0025】
また、2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、アスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するアスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子の配合量は、5重量%以上、40重量%以下である。
【0026】
このような2液硬化型ウレタン系接着剤の具体例としては、主剤(商品名:MLT2900、イーテック社製)と硬化剤(商品名:G3021−B174、イーテック社製)からなる接着剤が挙げられる。
【0027】
また、被覆材12を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、被覆材12は任意の色に着色される。
【0028】
被覆材12は、一方の面12aの全面に所定の間隔をおいて、複数の凸部41を有している。すなわち、複数の凸部41が一方の面12aに不規則に混在している。凸部41は、2液硬化型ウレタン系接着剤が含有する熱膨張性マイクロカプセルによるものである。
熱膨張性マイクロカプセルとは、熱可塑性樹脂である塩化ビニリデンやアクリロニトリルなどの共重合体からなるカプセル殻体に、イソブタン・ヘキサン・ヘプタン等の揮発性溶剤を内包してなるものである。
カプセル殻体の軟化温度は、60〜90℃の範囲に設定されている。熱膨張性マイクロカプセルをかかる温度で加熱することにより、カプセル殻体内の揮発性溶剤が気化・膨張するため、熱膨張性マイクロカプセルが膨張する。加熱により熱膨張性マイクロカプセルは、粒径で約20倍に膨張する。
【0029】
熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径は、未膨張時は、1〜20μmであり、膨張時は、30〜400μmである。平均粒径が大きすぎる場合、カプセル殻体が破裂しやすくなり、平均粒径が小さすぎる場合、カプセル殻体が膨張しにくくなる。
【0030】
2液硬化型ウレタン系接着剤が含有する熱膨張性マイクロカプセルは、未膨張のもののみでもよく、未膨張のものと既膨張のものの両方を含んでもよい。
【0031】
2液硬化型ウレタン系接着剤における熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、0.01重量%〜5重量%であることが好ましい。5重量%以下の場合、被覆材12における接着剤以外の成分量が増えすぎず、被覆材12自体が柔らかくならず、被覆材12の粘着性を緩和するのに適している。また、0.01重量%以上の場合、熱膨張性マイクロカプセルが面12a上に表出されやすくなるため、凸部41が形成され、被覆材12の粘着性を緩和するのに適している。
熱膨張性マイクロカプセルが未膨張の場合、前記含有量は、0.1重量%〜1重量%であることがより好ましい。また、熱膨張性マイクロカプセルが未膨張のものと既膨張のものの両方を含む場合、前記含有量は、0.01重量%〜1重量%であることがより好ましく、0.1重量%〜0.5重量%であることが特に好ましい。
【0032】
それぞれの熱膨張性マイクロカプセルが、面12a上に表出する割合としては、熱膨張性マイクロカプセル1個の全表面積の5%〜95%であることが好ましく、10%〜80%であることがより好ましい。
【0033】
また、熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材12のかさ密度は、1.18〜1.22g/cmであることが好ましい。1.18g/cm以上の場合、被覆材12における接着剤以外の成分量が増えすぎず、被覆材12自体が柔らかくならず、被覆材12の粘着性を緩和するのに適している。また、1.22g/cm以下の場合、熱膨張性マイクロカプセルが面12a上に表出されやすくなるため、凸部41が形成され、被覆材12の粘着性を緩和するのに適している。
【0034】
基材13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0035】
ICチップ14としては、特に限定されず、アンテナ15を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0036】
アンテナ15は、基材13の一方の面13aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0037】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0038】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナ15をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ15をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0039】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60重量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10重量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50重量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10重量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0040】
また、アンテナ15をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ15をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0041】
この非接触型データ受送信体10は、一方の面12aの全面に複数の凸部41が設けられているので、他のシート状のICタグと重ね合わせても、互いに密着することがなく、取り扱いが容易である。したがって、複数の非接触型データ受送信体10を一纏めにしても、互いに密着することなく、取り扱いが容易である。
特に、非接触型データ受送信体10の一方の面12aは、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材12によるタック性(仮留め可能な性質)を有しているが、凸部41の存在により、同種のICタグと重ね合わせても、互いに密着することがない。
【0042】
また、インレット11の一方の面11aが、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材12で直接、被覆されているので、被覆材12がインレット11を構成するICチップ14やアンテナ15に基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレット11と被覆材12の密着性に優れ、インレット11と被覆材12の界面において剥離するのを防止することができる。したがって、非接触型データ受送信体10は、インレット11に耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れている。
【0043】
さらに、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが、被覆材12で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0044】
なお、この実施形態では、非接触型データ受送信体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子16,17から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ15を有するインレット11を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
【0045】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図2〜図7を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図3に示すような、基材13Aと、その一方の面13aに、RFID用のアンテナ15と、このアンテナ15を通じて通信するICチップ14とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート22を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示する。
【0046】
まず、図2に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の剥離基材21の一方の面21aの中央部に、剥離基材21の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤12Aを線状に塗布する(工程A)。
【0047】
接着剤12Aとしては、上記の被覆材12を形成する熱膨張性マイクロカプセル20を含有する接着剤と同様のものが用いられる。上述したように、熱膨張性マイクロカプセル20は、未膨張のものでもよく、未膨張のものと既膨張のものが混在したものでもよい。両者が混在したものを用いる場合には、熱膨張性マイクロカプセル20を予め加熱し、その一部を膨張させておいてもよい。
また、剥離基材21の一方の面21aに接着剤12Aを塗布する幅、すなわち、剥離基材21の一方の面21aに対する接着剤12Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤12Aによって被覆される、インレットシート22に設けられたICチップ14およびアンテナ15の大きさや数、接着剤12Aを硬化することにより形成される被覆材12に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0048】
剥離基材21としては、剥離フィルムまたは剥離紙が用いられる。
剥離フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのプラスチックからなる厚さ30μm〜160μmの基材フィルムの一方の面および/または他方に面に、シリコンからなる厚さ1μm〜50μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材21の一方の面21aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離フィルムの具体例としては、例えば、東セロ株式会社製のトーセロセパレータSP−PET−01−BU(商品名)などが挙げられる。
【0049】
剥離紙としては、グラシン紙や上質紙からなる厚さ30μm〜160μmの基材の一方の面および/または他方に面に、目止め剤が塗布され、その目止め剤からなる層の上に、シリコンからなる厚さ1μm〜50μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材21の一方の面21aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離紙の具体例としては、例えば、王子タック株式会社製のL11C(商品名)などが挙げられる。
【0050】
この剥離基材21の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
【0051】
このように、工程Aでは、剥離基材21として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、剥離基材21の一方の面21aをなす剥離層(図示略)の上に、接着剤12Aを塗布する。
【0052】
次いで、図3に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート22を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー32,33の対向する部分にて、剥離基材21の一方の面21aに塗布した接着剤12Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている剥離基材21の一方の面21a上に重ね合わせるとともに、剥離基材21とインレットシート22をローラー32,33で挟み込むことにより、図4に示すように、剥離基材21とインレットシート22の間のほぼ全域にわたって、剥離基材21の一方の面21aに塗布した接着剤12Aを展開させる(工程B)。
【0053】
この工程Bでは、剥離基材21の一方の面21aに、基材13Aの一方の面13a、すなわち、インレットシート22におけるICチップ14およびアンテナ15が設けられた面(以下、「一方の面」という。)22aが対向するように、剥離基材21の一方の面21a上にインレットシート22を重ね合わせる。
【0054】
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤12Aを用いる。したがって、接着剤12Aは、剥離基材21とインレットシート22の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート22の一方の面22a、並びに、その一方の面22aに設けられたICチップ14およびアンテナ15が接着剤12Aによって被覆されるとともに、剥離基材21の一方の面21a上に、インレットシート22が仮留めされる。なお、接着剤12Aは硬化すると、上記の被覆材12となる。
【0055】
上述したように、接着剤12Aは、熱膨張性マイクロカプセルを0.01重量%〜5重量%含有することが好ましく、これにより熱膨張性マイクロカプセルが面12a上に表出しやすくなり、凸部41が形成される。
【0056】
また、工程Bでは、剥離基材21とインレットシート22の間に展開させた後の接着剤12Aの厚さを、少なくともインレットシート22のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、接着剤12Aのインレットシート22に接している面とは反対側の面12cに現れない程度、かつ、ICチップ14およびアンテナ15が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000μmの範囲内とする。
【0057】
また、工程Bにおいて、剥離基材21とインレットシート22を一対のローラー32,33で挟み込む力、すなわち、剥離基材21に対してインレットシート22を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、剥離基材21およびインレットシート22の厚さや大きさ、接着剤12Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm〜20kg/cmであることが好ましく、より好ましくは5kg/cm〜10kg/cmである。
【0058】
この工程Bにより、接着剤12Aによって、ICチップ14およびアンテナ15が完全に被覆され、剥離基材21とインレットシート22の間に、ほぼ隙間無く接着剤12Aが充填される。
【0059】
次いで、工程Dでは、一方の面12aの全面に熱膨張性マイクロカプセル20による複数の凸部41を設ける。上述したように、接着剤12Aは、熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなるため、熱膨張性マイクロカプセルが面12a上に表出し、凸部41が形成される
工程Dにおいて、主剤と硬化剤の反応によって生じる接着剤の反応熱により、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてもよい。かかる反応熱により、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルは、粒径で約20倍に膨張する。
【0060】
次いで、図5に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、剥離基材21、接着剤12Aおよびインレットシート22からなる積層体を、その厚さ方向に(図5の一点鎖線に沿って)、アンテナ15の形状に応じて裁断し、図6に示すように、その積層体を個片化する(工程H)。
ここで、積層体をアンテナ15の形状に応じて裁断するとは、アンテナ15を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体10の形状に合わせて裁断することを言う。
【0061】
次いで、接着剤12Aが完全に硬化して被覆材12となった後、図7に示すように、上記の積層体から、剥離基材21を剥離して(工程C)、図1に示す非接触型データ受送信体10を得る。
【0062】
なお、この実施形態では、工程Dの後に、工程Cを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Dと工程Cを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、接着剤の未硬化状態で工程Cを行い、その後工程Dで接着剤を硬化させ、接着剤の反応熱により、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてもよい。
【0063】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する剥離基材21上に、熱膨張性マイクロカプセル20を含有する接着剤12Aおよびインレットシート22が積層、一体化された積層体を形成するので、接着剤12Aが硬化した後、剥離基材21を剥離することにより、インレット11と、一方の面12aの全面に前記熱膨張性マイクロカプセルによる凸部41を有する被覆材12とを備えてなる非接触型データ受送信体10を得ることができる。ゆえに、従来のように、非接触型データ受送信体10製造後に改めて、密着防止層を設けたりする必要がなく、また、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤の2液混合時の流動性悪化をおこしにくいため、密着性を落とした非接触型データ受送信体10を容易に製造することができる。さらに、被覆材12が完全に硬化していない場合でも、他のシート状のICタグとの密着を防止することができるため、非接触型データ受送信体10の生産性を向上させることができる。
【0064】
なお、この実施形態では、長尺の剥離基材21およびインレットシート22を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレット11を用いて、個別に非接触型データ受送信体10を製造してもよい。
【0065】
また、この実施形態では、工程Hを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いた場合などには、工程Hを行わなくてもよい。
【0066】
また、この実施形態では、工程Bの後に、剥離基材21、接着剤12Aおよびインレットシート22からなる積層体を、アンテナ15の形状に応じて裁断する工程Hと、この裁断した積層体から、剥離基材21を剥離する工程Cとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Bの後に、工程Hと工程Cとを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Cにて、剥離基材、接着剤およびインレットシートからなる積層体から剥離基材を剥離した後、工程Hにて、接着剤およびインレットシートからなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断してもよい。
【0067】
(2)第二の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図8は、本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状のインレット51と、インレット51の一方の面51aを被覆する第一の被覆材53と、一方の面53cに設けられた複数の凸部81と、インレット51の他方の面51bを被覆する第二の被覆材54と、一方の面54cに設けられた複数の凸部81とから概略構成されている。
なお、第一の被覆材53と第二の被覆材54を総称して、被覆材52ということもある。
すなわち、非接触型データ受送信体50は、インレット51の両面(一方の面51aおよび他方の面51b)が、被覆材52で直接、被覆されて、第一の被覆材53、インレット51および第二の被覆材54が、その厚さ方向において、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状をなしている。
【0068】
インレット51は、基材55と、基材55の一方の面55aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ56およびアンテナ57とから概略構成されている。
アンテナ57は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ56と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子58,59からなるダイポールアンテナである。
アンテナ57の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子58,59の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0069】
なお、インレット51の一方の面51aは、基材55の一方の面55aに相当し、インレット51の他方の面51bは、基材55の他方の面55bに相当する。
ゆえに、インレット51の一方の面51aでは、ICチップ56およびアンテナ57が第一の被覆材53によって被覆されている。
【0070】
そして、非接触型データ受送信体50の4つの側面にて、第一の被覆材53の端面、基材55の端面、および、第二の被覆材54の端面が同一面をなしている。より詳細には、例えば、非接触型データ受送信体50の側面50aにて、第一の被覆材53の端面53a、基材55の端面55c、および、第二の被覆材54の端面54aが同一面をなしている。同様に、非接触型データ受送信体50の側面50bにて、第一の被覆材53の端面53b、基材55の端面55d、および、第二の被覆材54の端面54bが同一面をなしている。
【0071】
第一の被覆材53の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット51のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50cに現れない程度、かつ、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000μmの範囲内である。
また、第二の被覆材54の厚さは、特に限定されないが、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000μmの範囲内である。
【0072】
さらに、非接触型データ受送信体50の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体50を曲げた場合に、インレット51に対して、第一の被覆材53と第二の被覆材54の厚さの差に起因する応力が生じないようにするためには、第一の被覆材53の厚さと第二の被覆材54の厚さは等しいことが好ましい。
【0073】
被覆材52(第一の被覆材53と第二の被覆材54)は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなるものである。
【0074】
2液硬化型ウレタン系接着剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0075】
被覆材52は、一方の面53c及び一方の面54cの全面に所定の間隔をおいて、複数の凸部81を有している。すなわち、複数の凸部81が一方の面53c及び一方の面54cに不規則に混在している。凸部81は、2液硬化型ウレタン系接着剤が含有する熱膨張性マイクロカプセル60によるものである。
熱膨張性マイクロカプセル60としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径は、未膨張時は、1〜20μmであり、膨張時は、30〜400μmである。平均粒径が大きすぎる場合、カプセル殻体が破裂しやすくなり、平均粒径が小さすぎる場合、カプセル殻体が膨張しにくくなる。
また、熱膨張性マイクロカプセルが、一方の面53c及び一方の面54c上に表出する割合としては、熱膨張性マイクロカプセル1個の全表面積の5%〜95%であることが好ましく、10%〜80%であることがより好ましい。
【0076】
基材55、ICチップ56、アンテナ57としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0077】
この非接触型データ受送信体50は、一方の面53c及び一方の面54cの全面に複数の凸部81が設けられているので、他のシート状のICタグと重ね合わせても、互いに密着することがなく、取り扱いが容易である。したがって、複数の非接触型データ受送信体50を一纏めにしても、互いに密着することなく、取り扱いが容易である。
特に、非接触型データ受送信体50の一方の面53c及び一方の面54cは、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材52によるタック性(仮留め可能な性質)を有しているが、凸部81の存在により、同種のICタグと重ね合わせても、互いに密着することがない。
【0078】
また、この非接触型データ受送信体50は、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材52で直接、被覆されているので、被覆材52がインレット51を構成するICチップ56やアンテナ57に基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレット51と被覆材52の密着性に優れ、インレット51と被覆材52の界面において剥離するのを防止することができる。したがって、非接触型データ受送信体50は、インレット51に耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れている。
【0079】
さらに、非接触型データ受送信体50は、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが、被覆材52で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0080】
なお、この実施形態では、非接触型データ受送信体50が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子58,59から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ57を有するインレット51を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
【0081】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図9〜図16を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図10に示すような、基材55Aと、その一方の面55aに、RFID用のアンテナ57と、このアンテナ57を通じて通信するICチップ56とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート62を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示する。
【0082】
まず、図9に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の第一の剥離基材61の一方の面61aの中央部に、第一の剥離基材61の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル71から吐出される第一の接着剤53Aを線状に塗布する(工程A)。
【0083】
第一の接着剤53Aとしては、上記の被覆材52を形成する熱膨張性マイクロカプセル60を含有する接着剤と同様のものが用いられる。熱膨張性マイクロカプセル60は、未膨張のものでもよく、未膨張のものと既膨張のものが混在したものでもよい。両者が混在したものを用いる場合には、熱膨張性マイクロカプセル60を予め加熱し、その一部を膨張させておいてもよい。
また、第一の剥離基材61の一方の面61aに第一の接着剤53Aを塗布する幅、すなわち、第一の剥離基材61の一方の面61aに対する第一の接着剤53Aの塗布量は、特に限定されないが、この第一の接着剤53Aによって被覆される、インレットシート62に設けられたICチップ56およびアンテナ57の大きさや数、第一の接着剤53Aを硬化することにより形成される第一の被覆材53に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0084】
第一の剥離基材61としては、上述の第一の実施形態の剥離基材と同様のものが用いられる。
この第一の剥離基材61の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
【0085】
このように、工程Aでは、第一の剥離基材61として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、第一の剥離基材61の一方の面61aをなす剥離層(図示略)の上に、第一の接着剤53Aを塗布する。
【0086】
次いで、図10に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート62を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー72,73の対向する部分にて、第一の剥離基材61の一方の面61aに塗布した第一の接着剤53Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている第一の剥離基材61の一方の面61a上に重ね合わせるとともに、第一の剥離基材61とインレットシート62をローラー72,73で挟み込むことにより、図11に示すように、第一の剥離基材61とインレットシート62の間のほぼ全域にわたって、第一の剥離基材61の一方の面61aに塗布した第一の接着剤53Aを展開させる(工程B)。
【0087】
この工程Bでは、第一の剥離基材61の一方の面61aに、基材55Aの一方の面55a、すなわち、インレットシート62におけるICチップ56およびアンテナ57が設けられた面(以下、「一方の面」という。)62aが対向するように、第一の剥離基材61の一方の面61a上にインレットシート62を重ね合わせる。
【0088】
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第一の接着剤53Aを用いる。したがって、第一の接着剤53Aは、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート62の一方の面62a、並びに、その一方の面62aに設けられたICチップ56およびアンテナ57が第一の接着剤53Aによって被覆されるとともに、第一の剥離基材61の一方の面61a上に、インレットシート62が仮留めされる。なお、第一の接着剤53Aは硬化すると、上記の第一の被覆材53となる。
【0089】
また、工程Bでは、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さを、少なくともインレットシート62のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、第一の接着剤53Aのインレットシート62に接している面とは反対側の面53cに現れない程度、かつ、ICチップ56およびアンテナ57が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000μmの範囲内とする。
【0090】
また、工程Bにおいて、第一の剥離基材61とインレットシート62を一対のローラー72,73で挟み込む力、すなわち、第一の剥離基材61に対してインレットシート62を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、第一の剥離基材61およびインレットシート62の厚さや大きさ、第一の接着剤53Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm〜20kg/cmであることが好ましく、より好ましくは5kg/cm〜10kg/cmである。
【0091】
この工程Bにより、第一の接着剤53Aによって、ICチップ56およびアンテナ57が完全に被覆され、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に、ほぼ隙間無く第一の接着剤53Aが充填される。
【0092】
次いで、図12に示すように、図中の矢印方向に、第一の剥離基材61とインレットシート62からなる積層体αを搬送しながら、インレットシート62の一方の面62aとは反対側の面(以下、「他方の面」という。)62b、すなわち、基材55Aの他方の面55bの中央部に、積層体αの搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル74から吐出される第二の接着剤54Aを線状に塗布する(工程E)。
【0093】
第二の接着剤54Aとしては、上記の被覆材52を形成する熱膨張性マイクロカプセル60を含有する接着剤と同様のものが用いられる。
また、インレットシート62の他方の面62bに第二の接着剤54Aを塗布する幅、すなわち、基材55Aの他方の面55bに対する第二の接着剤54Aの塗布量は、特に限定されないが、第二の接着剤54Aを硬化することにより形成される第二の被覆材54に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0094】
次いで、図12に示すように、図中の矢印方向に搬送されている第二の剥離基材63を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー75,76の対向する部分にて、インレットシート62の他方の面62bに塗布した第二の接着剤54Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている積層体αを構成するインレットシート62の他方の面62b上に重ね合わせるとともに、積層体αと第二の剥離基材63をローラー75,76で挟み込むことにより、図13に示すように、積層体αと第二の剥離基材63の間のほぼ全域にわたって、インレットシート62の他方の面62bに塗布した第二の接着剤54Aを展開させ(工程F)、一方の面54cの全面に熱膨張性マイクロカプセル60による複数の凸部81を設け(工程D)、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63の間に、第一の接着剤53A、インレットシート62および第二の接着剤54Aが、この順に積層、一体化された積層体βを形成する。
【0095】
第二の剥離基材63としては、上記の第一の剥離基材61と同様のものが用いられる。すなわち、第二の剥離基材63の一方の面63aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
【0096】
この工程Fでは、第二の剥離基材63として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、インレットシート62の他方の面62bに、第二の剥離基材63の一方の面63aをなす剥離層(図示略)が対向するように、インレットシート62の他方の面62b上に第二の剥離基材63を重ね合わせる。
【0097】
また、工程Fでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第二の接着剤54Aを用いる。したがって、第二の接着剤54Aは、積層体αと第二の剥離基材63の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート62の他方の面62bが第二の接着剤54Aによって被覆されるとともに、積層体αの上に、第二の剥離基材63が仮留めされる。なお、第二の接着剤54Aは硬化すると、上記の第二の被覆材54となる。
【0098】
また、工程Fでは、積層体αと第二の剥離基材63の間に展開させた後の第二の接着剤54Aの厚さを、上述の工程Bにおいて、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さと同程度とし、例えば、10μm〜1000μmの範囲内とする。
【0099】
また、工程Fにおいて、積層体αと第二の剥離基材63を一対のローラー75,76で挟み込む力、すなわち、インレットシート62に対して第二の剥離基材63を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、積層体αおよび第二の剥離基材63の厚さや大きさ、第二の接着剤54Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm〜20kg/cmであることが好ましく、より好ましくは5kg/cm〜10kg/cmである。
【0100】
この工程Fにより、積層体αと第二の剥離基材63の間に、ほぼ隙間無く第二の接着剤54Aが充填される。
【0101】
次いで、工程Dでは、一方の面53c及び一方の面54cの全面に熱膨張性マイクロカプセル60による複数の凸部81を設ける。上述したように、接着剤54Aは、熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなるため、熱膨張性マイクロカプセルが面53c上及び面54c上に表出し、凸部81が形成される。
工程Dにおいて、主剤と硬化剤の反応によって生じる接着剤の反応熱により、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてもよい。かかる反応熱により、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルは、粒径で約20倍に膨張する。
【0102】
なお、この実施形態では、第二の接着剤54Aとして、熱膨張性マイクロカプセル60を含有する接着剤を用い、一方の面54cの全面に熱膨張性マイクロカプセル60による複数の凸部81を有する第二の被覆材54を設けているが、熱膨張性マイクロカプセル60を含有しない接着剤を用いて、凸部81を有しない第二の被覆材54を設けてもよい。
【0103】
次いで、図14に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、第一の剥離基材61、第一の接着剤53A、インレットシート62、第二の接着剤54Aおよび第二の剥離基材63からなる積層体γを、その厚さ方向に(図14の一点鎖線に沿って)、アンテナ57の形状に応じて裁断し、図15に示すように、積層体γを個片化する(工程H)。
ここで、積層体γをアンテナ57の形状に応じて裁断するとは、アンテナ57を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体50の形状に合わせて裁断することを言う。
【0104】
次いで、第一の接着剤53Aが完全に硬化して第一の被覆材53となり、かつ、第二の接着剤54Aが完全に硬化して第二の被覆材54となった後、図16に示すように、積層体γから、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離して(工程C)、図8に示す非接触型データ受送信体50を得る。
【0105】
なお、この実施形態では、工程Dの後に、工程Cを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Dと工程Cを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、接着剤の未硬化状態で工程Cを行い、その後工程Dで接着剤を硬化させ、接着剤の反応熱により、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてもよい。
【0106】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する第一の剥離基材61と第二の剥離基材63の間に、熱膨張性マイクロカプセル60を含有する第一の接着剤53A、インレットシート62および熱膨張性マイクロカプセル60を含有する第二の接着剤54Aが積層、一体化された積層体βを形成するので、第一の接着剤53Aおよび第二の接着剤54Aが硬化した後、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離することにより、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが、被覆材52で直接、被覆され、非接触型データ受送信体50を得ることができる。ゆえに、従来のように、非接触型データ受送信体50製造後に改めて、密着防止層を設けたりする必要がなく、また、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤の2液混合時の流動性悪化をおこしにくいため、密着性を落とした非接触型データ受送信体50を容易に製造することができる。さらに、被覆材52が完全に硬化していない場合でも、他のシート状のICタグとの密着を防止することができるため、非接触型データ受送信体50の生産性を向上させることができる。
【0107】
なお、この実施形態では、長尺の第一の剥離基材61、インレットシート62および第二の剥離基材63を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
【0108】
また、この実施形態では、工程Hを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いた場合などには、工程Hを行わなくてもよい。
【0109】
また、この実施形態では、工程Fの後に、第一の剥離基材61、第一の接着剤53A、インレットシート62、第二の接着剤54Aおよび第二の剥離基材63からなる積層体γを、アンテナ57の形状に応じて裁断する工程Hと、この裁断した積層体γから、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離する工程Cとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Fの後に、工程Hと工程Cを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Cにて、第一の剥離基材、第一の接着剤、インレットシート、第二の接着剤および第二の剥離基材からなる積層体から、第一の剥離基材と第二の剥離基材を剥離した後、工程Hにて、第一の接着剤、インレットシートおよび第二の接着剤からなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断してもよい。
【実施例】
【0110】
<実施例1>
未膨張のマイクロカプセルを0.1重量%含有する2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、図8に示すようにインレット51の両面をかさ密度1.36〜1.42g/cmの被覆材52で被覆した非接触型データ受送信体50(以下、ICタグ)を製造した。2液硬化型ウレタン系接着剤の2液混合時の流動性悪化を起こすことなく、容易にICタグを製造することができた。
【0111】
<実施例2>
未膨張のマイクロカプセルを1.0重量%含有する2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、図8に示すようにインレット51の両面をかさ密度1.36〜1.40g/cmの被覆材52で被覆したICタグを製造した。2液硬化型ウレタン系接着剤の2液混合時の流動性悪化を起こすことなく、容易にICタグを製造することができた。
【0112】
<実施例3>
未膨張のマイクロカプセルを5.0重量%含有する2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、図8に示すようにインレット51の両面をかさ密度1.18〜1.22g/cmの被覆材52で被覆したICタグを製造した。2液硬化型ウレタン系接着剤の2液混合時の流動性悪化を起こすことなく、容易にICタグを製造することができた。
【0113】
<比較例1>
既膨張のマイクロカプセルを1.0重量%含有する2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、図8に示すようにインレット51の両面をかさ密度0.80〜0.83g/cmの被覆材52で被覆したICタグを製造したところ、2液硬化型ウレタン系接着剤の2液混合時の流動性が悪くなり、2液が均一に混ざらなかった。更に、かさ密度の低さから、被覆材52における接着剤以外の成分量が増える結果、被覆材52自体が柔らかくなり、被覆材52の粘着性を緩和することができなかった。
【符号の説明】
【0114】
10・・・非接触型データ受送信体、11・・・インレット、12・・・被覆材、12A・・・接着剤、13,13A・・・基材、14・・・ICチップ、15・・・アンテナ、16,17・・・放射素子、20・・・熱膨張性マイクロカプセル、21・・・剥離基材、22・・・インレットシート、31・・・ノズル、32,33・・・ローラー、41・・・凸部、50・・・非接触型データ受送信体、51・・・インレット、52・・・被覆材、53・・・第一の被覆材、53A・・・第一の接着剤、54・・・第二の被覆材、54A・・・第二の接着剤、55,55A・・・基材、56・・・ICチップ、57・・・アンテナ、58,59・・・放射素子、60・・・熱膨張性マイクロカプセル、61・・・第一の剥離基材、62・・・インレットシート、63・・・第二の剥離基材、71,74・・・ノズル、72,73,75,76・・・ローラー、81・・・凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、を備えてなる非接触型データ受送信体であって、
前記被覆材は熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなり、前記被覆材の前記インレットに接している面とは反対側の面に前記熱膨張性マイクロカプセルによる複数の凸部を有することを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
前記インレットの両面が前記被覆材で被覆されたことを特徴とする請求項1に記載の非接触型データ受送信体。
【請求項3】
インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、を備えてなる非接触型データ受送信体の製造方法であって、
剥離基材の一方の面をなす剥離層の上に、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Aと、
前記剥離基材に塗布した前記接着剤を介して、前記剥離基材の一方の面上にインレットにおけるICチップが設けられた面を重ね合わせて、前記剥離基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記剥離基材と前記インレットの間に、前記接着剤を展開させる工程Bと、
前記接着剤の前記インレットに接している面とは反対側の面に前記熱膨張性マイクロカプセルによる複数の凸部を設ける工程Dと、
前記剥離基材を剥離する工程Cと、を有し、
前記工程Dと前記工程Cを順不同に行うことを特徴とする非接触型データ受送信体の製造方法。
【請求項4】
前記工程Bと前記工程Dの間に、又は前記工程Bと前記工程Cの間に、さらに、
前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面に、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを含有する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Eと、
前記インレットに塗布した接着剤を介して、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面上に、剥離基材を、その一方の面をなす剥離層を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記剥離基材を押圧することにより、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面と、前記剥離基材との間に、前記接着剤を展開させる工程Fと、を有することを特徴とする請求項3に記載の非接触型データ受送信体の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−73895(P2012−73895A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219304(P2010−219304)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】