説明

非接触温度センサ

【課題】製造工数やコストの増大、生産性の低下、作業環境等の悪化を防止することができ、しかも、センサの感度誤差や感度の低下を抑止することも可能な非接触温度センサを提供する。
【解決手段】本発明による非接触温度センサに備わる例えば案内筒30Aは、長辺壁31L,31Lと短辺壁31S,31Sから構成される胴部31を有している。この胴部31には、羽根板41L1,41L2、41S1,41S2、及び、孔部51L1,51L2,51S1,51S2を含む非導光手段が設けられており、これにより、案内筒30Aの開口Pからその内側に入射する放射赤外線IRのうち、内壁へ向かって進行したり内壁で反射されたりした赤外線成分が、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源(発熱体)の温度を非接触で測定する非接触温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱源の温度を非接触測定するための非接触温度センサは、熱源から放射される赤外線を吸収する赤外線吸収膜の温度上昇を赤外線検知用感熱素子によって検知し、その放射赤外線の熱量に基づいて熱源の温度を測定する。赤外線検知用感熱素子は、受熱熱量に応じて電気的特性が変化する温度特性を有しており、赤外線吸収膜が吸収した赤外線熱量のみならず外部環境が赤外線検知用感熱素子に付与する熱量によってもその電気的特性は変化する。このため、このような非接触温度センサは、通常、赤外線検知用感熱素子の他に、外部環境と赤外線検知用感熱素子との間で流出入する熱量を検知し、且つ、赤外線検知用感熱素子の測定結果を補正するための温度補償用感熱素子も備えている。
【0003】
かかる非接触温度センサとして、例えば特許文献1には、開口部を有する筒状の保持体(例えばアルミニウム等の金属からなる)の底部側に、赤外線検知用感熱素子が貼設された樹脂フィルム(赤外線吸収膜)が設けられたものが記載されている。この非接触温度センサは、赤外線吸収膜の前方に設けられた筒状保持体の開口部が、温度の検知対象物である熱源(複写機の加熱定着ローラ等)に対向して配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4415045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記従来の非接触温度センサにおける筒状保持体は、熱源から放射される赤外線の導光部であり、温度検知の方向を規定し、熱源における温度検知の視野範囲(温度検知視野範囲)を画定するための赤外線「案内筒」として機能するものである。通常、熱源の表面の各点からは、赤外線が全天方向に放射され、そのうちの一部が案内筒の開口部からその内部に入射する。そして、案内管の内部に入射した赤外線のうち、赤外線吸収膜に直接的に到達する成分と、案内筒の内壁で反射(多重反射を含む)されて赤外線吸収膜に間接的に到達する成分が、赤外線吸収膜に吸収され、両成分のエネルギーの和が赤外線吸収膜の温度上昇に寄与し、非接触温度センサの感度に影響を与え得る。
【0006】
それらの赤外線成分のうち、案内管の内壁で反射される赤外線成分の強度(線束)は、その内壁の反射特性によって影響を受け、その反射特性は、内壁の表面状態に依存して変化し(ばらつき)、さらには、内壁に錆が発生したり汚れ等が付着したりすることによっても変動する。したがって、案内筒の内壁で反射される赤外線成分は、非接触温度センサの感度のばらつきや経年変動の主たる要因となり得る。
【0007】
そこで、このような案内管の内壁で反射される赤外線成分に起因する感度誤差や変動を抑えるべく、案内管の内壁に入射する赤外線を吸収して反射しないようにする手法が種々提案されている。例えば、上記特許文献1にも、案内管である筒状保持体の内壁面に、輻射率が0.94以上の黒体吸収膜(プラスチック、ゴム等)を塗布する、陽極酸化処理やアルマイト処理等によって黒体吸収膜を形成するといった方法が提示されている(例えば、同文献の段落0017及び段落0018、図3等参照)。
【0008】
しかし、そのようにして案内筒の内壁を黒体処理した場合、複数の問題が不可避的に生起されてしまう。すなわち、第一に、特許文献1に記載されているような塗装処理、陽極酸化処理、アルマイト処理等の黒体処理を施すには、いずれにしても、それらの工程が必要となるため、製造工数及び製造コストの増大を招いてしまう。特に、非接触温度センサが小型の場合、その小さな案内筒の内壁面に塗装等を施すことは際めて難しい。例えば、案内管の内壁における必要な部分だけに塗装を施すためには、その小さい部品1つ1つを正確にマスキングしなければならない。また、熱源が高温になる場合、黒体吸収膜が高温に曝されるので、その耐久性を向上させるために例えば焼付け塗装等を行うには、高温且つ長時間の乾燥時間が必要となり、生産性が低下するとともに、製造コストが更に増大してしまう。さらに、有機溶剤を用いる塗装処理は、作業環境上及び自然環境上、好ましくない。
【0009】
第二に、黒体処理によって内壁に黒体吸収膜が形成された案内筒は、そこに入射した赤外線を吸収して温度が上昇し易くなるところ、そうすると、その内壁からの赤外線放射が増大し、その一部は、赤外線検知用感熱素子が設けられた赤外線吸収膜に入射してその温度上昇を助長し、その結果、非接触温度センサの感度誤差を引き起こす要因となってしまう。つまり、赤外線が黒体吸収膜に一旦吸収されても、その熱エネルギーが黒体輻射によって放射されるので、案内筒の内壁における赤外線反射の防止作用が意味をなさないおそれがある。
【0010】
第三に、上述の如く、黒体吸収膜からの赤外線放射に起因して赤外線吸収膜の温度が上昇すると、その熱が非接触温度センサ全体に伝わり、これにより、周囲温度が上昇する。こうなると、赤外線吸収膜の温度と周囲温度(より厳密には、赤外線検知用感熱素子側の感熱温度と温度補償用感熱素子側の感熱温度)が近接して両者の差異が僅少化し、その結果、非接触温度センサの感度が有意に低下してしまう。
【0011】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、製造時における工数及びコストの増大、生産性の低下、並びに、作業環境及び自然環境の悪化を防止することができ、且つ、感度誤差や感度の低下を抑止することも可能な非接触温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明による非接触温度センサは、熱源の温度を非接触測定するものであって、熱源から放射される赤外線(放射赤外線)の熱量を検知する赤外線検知用感熱素子と、外部環境からの熱量を検知する温度補償用感熱素子と、筒状をなし、開口及び胴部を有し、且つ、熱源における赤外線検知用感熱素子による温度検知の視野範囲を画定するように設けられた案内筒とを備えており、案内筒は、その開口からその内側(内部空間)に入射し胴部の内壁に向かって進行する放射赤外線、及び、胴部の内壁で反射された放射赤外線の少なくとも一部が、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することを妨げるように設けられた非導光手段を有する。すなわち、本発明による非接触温度センサにおける案内筒は、全体として赤外線の導光部としての機能を有しつつ、案内筒の内部に入射した赤外線の一部を受光範囲まで導かない手段、つまり「非導光手段」を備えている。
【0013】
このように構成された非接触温度センサは、案内筒の開口が熱源に対向するように配置され、熱源からの放射赤外線が、案内筒の開口から、案内筒の内側(内部空間)に入射する。そのように案内筒に導光された放射赤外線のうち、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達したものの熱エネルギーが適宜の赤外線吸収手段(赤外線吸収膜等)に付与される。そして、赤外線検知用感熱素子によって検知された赤外線吸収手段の温度上昇、及び、温度補償用感熱素子によって検知された周囲温度に基づいて、放射赤外線の熱量ひいては熱源の温度が測定される。
【0014】
このとき、案内筒の開口からその内側に入射した放射赤外線は、その一部が赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に直接的に到達し、残部は、案内筒の内壁に向かって進行し、或いは、案内筒の内壁で反射され得るが、かかる放射赤外線の少なくとも一部、好ましくは全部は、非導光手段によって、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられる。よって、従来の如く案内筒の内壁等に黒体処理を施さなくとも、案内筒の内壁で反射される赤外線成分に起因する非接触温度センサの感度のばらつきや低下及びその経年変動が防止される。
【0015】
具体的には、非導光手段が、案内筒の胴部の内側に(内部空間に向かって)突設された羽根板を有しており、この羽根板が、開口から案内筒の内側に入射し胴部の内壁に向かって進行する放射赤外線、及び、胴部の内壁で反射された放射赤外線の少なくとも一部、好ましくは全部を遮るものであると好適である。このとき、羽根板は、その先端が案内筒の開口に向かって延びるように設けられるとより好ましい。
【0016】
こうすれば、案内筒の開口からその内側に入射して胴部の内壁で反射された放射赤外線の少なくとも一部は、その進路を羽根板に遮られることにより、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられる。また、案内筒の内壁や外壁に入射した放射赤外線の一部が、案内筒に僅かに吸収されて案内筒の温度が上昇し、案内筒が二次的な熱源になってしまう可能性があるものの、その場合であっても、非導光手段の羽根板が、放熱フィンのようにシートシンクとしての機能を発揮し得るので、案内筒からの輻射熱が非接触温度センサの感度に与え得る悪影響を十分に排除することができる。また、羽根板が放射赤外線を反射し易いものであれば、放射赤外線が羽根板に吸収されて案内筒の温度が上昇することをも抑止することができる。さらに、羽根板の先端が案内筒の開口に向かって延在していれば、幾何学的に、放射赤外線をより遮断し易い利点がある。
【0017】
また、非導光手段が案内筒の胴部に開口形成された孔部を有していても好ましい。
【0018】
このような構成では、案内筒の開口からその内側に入射して胴部の内壁で反射された放射赤外線の一部は、非導光手段の孔部から案内筒の外部へ出射されて散逸することによっても、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられる。また、熱源からの放射赤外線が、孔部を通して案内筒の外部からその内部に入射し得るが、その一部も、非導光手段の孔部から案内筒の外部に出射することにより、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられ、他の一部は、案内筒の胴部の内壁に向かって進行したり胴部の内壁で反射され得るものの、その少なくとも一部、好ましくは全部は、その進路を羽根板に遮られることにより、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられる。
【0019】
さらに、上述したとおり、案内筒の内壁や外壁に入射した放射赤外線の一部が、案内筒に僅かに吸収されて案内筒の温度が上昇し、案内筒が二次的な熱源になってしまう可能性があるものの、案内筒が孔部を有することにより、孔部がない場合に比して、案内筒の表面積(赤外線の受光面積)が小さくされ、案内筒への入熱量が軽減されるとともに、案内筒の胴部における実質的な熱伝導経路(パス)が分断且つ伸長されて伝導抵抗が増大するので、案内管の温度上昇がセンサ本体に伝わり難くなる。よって、案内筒からの伝導熱が非接触温度センサの感度に与え得る悪影響を十分に排除することもできる。
【0020】
またさらに、非導光手段の羽根板は、案内筒の胴部と一体に設けられていてもよく、或いは、別体に設けられていてもよく、このように羽根板を用いることにより、案内筒の設計及び製作祐度を大きくすることができ、汎用性を向上させることもできる。さらにまた、羽根板と案内筒の胴部を一体に形成する場合、両者を別体に形成する場合に比して、加工及び製作(組み立て)工数が低減されるので、生産性を更に向上させ得る観点から好ましい。なお、両者を別体に設けた場合であっても、上述の如く、従来の黒体処理は不要であることは言うまでもない。
【0021】
より具体的には、羽根板と案内筒の胴部を一体に形成する場合、羽根板が案内筒の内側に(内部空間に向かって)折り曲げられた胴部の一部から形成される例が挙げられ、このとき、その胴部の一部に上記の孔部が形成され得る。羽根板の折り曲げ加工は、板金プレス等によって簡便に実施することができ、これにより、黒体処理を施す場合に比して、生産性を更に高めることができる。
【0022】
さらに、羽根板が胴部に沿って複数設けられており、且つ、案内筒の開口から赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に向かって、案内筒の内側(内部空間)への突出量(張り出し量、胴部からの延在長や面積)が大きくなるように設けられていても好適である。
【0023】
このようにすれば、熱源に対向配置される案内筒の開口近傍の羽根板の突出量が比較的小さくされるので、温度検知の視野範囲(受光範囲からの熱源の仰ぎ立体角で画定される)が不都合に狭められてセンサ感度が低下してしまうことを防止することができ、また、案内筒の他端側(受光範囲側)の羽根板の突出量が比較的大きくされるので、胴部の内壁で反射された放射赤外線の多くを更に効果的に遮へいすることが可能となる。
【0024】
また、非導光手段は、胴部の一部が案内筒の外側に(外部空間に向かって)折り曲げられて形成された羽根板と、胴部に開口形成された孔部とを有するように構成されてもよい。この場合、羽根板は、その先端が案内筒の開口から遠ざかる方向に延びるように設けられると更に好適である。さらに、このように案内筒の外側に折り曲げられて形成された羽根板及び孔部と、上述した案内筒の内側に折り曲げられて形成された羽根板及び孔部とが混在していてもよい。
【0025】
このような構成においては、開口から案内筒の内側(内部空間)に入射し胴部の内壁に向かって進行したり胴部の内壁で反射された放射赤外線の少なくとも一部は、孔部を通過して外部へ出射されて散逸することにより、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられる。また、羽根板によって、熱源からの放射赤外線の一部が案内筒の外側(外部空間)からその内側(内部空間)に入射することが抑止され得る。さらに、放射赤外線によって案内筒の温度が上昇した場合であっても、上述の如く、羽根板がヒートシンクとして機能することにより案内筒からの輻射熱が低減され、且つ、孔部が存在することにより案内筒からの伝導熱が低減される。またさらに、羽根板が案内筒の内側に折り曲げられて形成されたものであると、場合によっては、羽根板同士が干渉するおそれがあるのに対し、羽根板が案内筒の外側に折り曲げられたものであれば、そのような干渉が生じることが防止される。
【0026】
さらに、案内筒が複数の同形状の部品から構成されたものであると有用である。
【0027】
一般に、案内筒を備える比較的小型の非接触温度センサを製造する場合、案内筒の形成方法としては、筒状部材を基板部材に接合したり、基板部材から打ち抜かれた突出部に絞り加工を施して筒状胴部を成形したりといった手法が挙げられ、特に、胴部が長い案内筒の場合、いずれの工法によっても、均一の形状のものを歩留まりよく高い生産効率で量産することは難しい傾向にある。また、従来の黒体処理として、焼き付け塗装等の溶剤を使用した高温処理を行うには、一体成形品の方が取り扱い易いといった事情もある。
【0028】
これに対し、本発明による非接触温度センサは、案内筒に黒体処理が不要であるので、そもそも、案内筒の成形方法が制限されることはない点において、汎用性が高く、また、生産性を高めることが可能であり、また、案内筒を複数の同形状の部品から構成すれば、設計、加工、組み立て、及び検査工程の更なる簡素化が可能であり、生産性及び経済性を一層向上させることができる。
【0029】
また、案内筒の形状は特に制限されないものの、案内筒が角筒状をなし、且つ、少なくとも2つの隣接する胴壁が一体に形成されたものである構造を例示することができる。より具体的には、一の胴壁を形成するための部分に、隣接する他の胴壁を形成するための部分(羽根板を形成するだけの部分であってもよい)が連設又は突設された板金等の部材を用い、それを折り曲げ加工したもの一対を、互いに嵌合等させることにより組み合わせば、角筒状の案内筒を簡便に得ることができる。
【0030】
或いは、案内筒が複数の部品から構成されており、胴部の少なくとも一部が立設された基部を有する構造を採用しても好ましい。この場合、例えば、一の板金(基部)を切削・折り曲げ加工するだけで案内筒の胴部(例えば、対向する一対の胴壁)を形成することができるので、部品点数が低減され、さらに、その胴壁に羽根板と孔部を一体に形成してもよく、加えて、それらの胴壁間に別の羽根板を架設又は跨設等して他の胴壁を構成するようにしてもよい。
【0031】
また、案内筒は、角筒状をなし、且つ、胴部における対向する一対の胴壁を構成する一体成形部材と、胴部における対向するの他の一対の胴壁を構成する一体成形部材とが組み合わされて構成されたものであっても好適である。このようにすれば、部品点数が更に低減され、また、組み立てが更に簡便になる。この場合、より具体的には、例えば、胴部の一対の胴壁を構成する部品に、案内管の開口を画定する天壁を設けてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の非接触温度センサによれば、非導光手段を有する案内筒を備えることにより、熱源からの放出されて案内筒の内側に入射した放射赤外線のうち、案内筒の内壁に向かって進行したり、その内壁で反射されたりしたものの少なくとも一部が、赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することが妨げられるので、従来の如く案内筒の内壁を黒体処理しなくとも、かような案内筒の内壁で反射される赤外線成分に起因する検知感度のばらつきや低下及び経年変動を防止することができ、製品信頼性を向上させることが可能となる。また、案内管の黒体処理が不要であることから、製造時における工数及びコストの増大、生産性の低下、並びに、作業環境及び自然環境の悪化をも十分に抑止することができる。付言すれば、従来は、赤外線吸収膜へ入射する赤外線成分を規制又は抑制するために、案内筒の内壁に実際に黒体処理を施し、そこで赤外線を吸収していたのに対し、本発明は、非導光手段によって赤外線を反射及び通過させて散逸させるという技術思想を用いた点において、従来技術とは全く異なる異質で有利な作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(A)は、本発明による非接触温度センサに係る第1実施形態の基本構造を概略的に示す上面図であり、(B)は、(A)におけるA−A線断面図である。
【図2】図1に示す非接触温度センサに備わる案内筒の一例を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う案内筒の模式断面図であり、案内筒を検知対象物である熱源と非検知対象物である他の熱源と共に示す図である。
【図4】本発明による非接触温度センサに係る第2実施形態に備わる案内筒の一例を概略的に示す模式断面図である。
【図5A】本発明による非接触温度センサに係る第3実施形態に備わる案内筒の一例を概略的に示す斜視図である。
【図5B】本発明による非接触温度センサに係る第3実施形態に備わる案内筒の一例の部品の展開図である。
【図6A】本発明による非接触温度センサに係る第4実施形態に備わる案内筒の一例を概略的に示す斜視図である。
【図6B】本発明による非接触温度センサに係る第4実施形態に備わる案内筒の一例の部品の展開図である。
【図7A】本発明による非接触温度センサに係る第5実施形態を概略的に示す斜視図であり、非接触温度センサーを斜め前方から視認した状態を示す図である。
【図7B】本発明による非接触温度センサに係る第5実施形態を概略的に示す斜視図であり、非接触温度センサーを斜め後方から視認した状態を示す図である。
【図7C】(A)、(B)、及び(C)は、本発明による非接触温度センサに係る第5実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。またさらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0035】
(第1実施形態)
図1(A)は、本発明による非接触温度センサに係る第1実施形態の基本構造を概略的に示す上面図であり、図1(B)は、図1(A)におけるA−A線断面図である。非接触温度センサ100は、放射赤外線を吸収して発熱する赤外線吸収膜Mが設けられた支持板13が、センサ本体10の台座11とカバー筐体12との間に挟持された構造を有しており、台座11には、2つの有底凹部21,22が形成されている。また、カバー筐体12における有底凹部21に対向する部位には、開口Pが形成された角筒状の胴部31を有する案内筒30が設けられており、有底凹部21に対向する位置に配置された赤外線吸収膜Mは、その図示上面(表面)が、案内筒30の底部において、熱源(図示せず)が存在する外部環境Eに露呈している。さらに、有底凹部21における赤外線吸収膜Mの図示下面(裏面)には、放射赤外線の熱量を検知する赤外線検知用感熱素子15が固着されている。このように、赤外線検知用感熱素子15は、赤外線吸収膜Mの裏面と有底凹部21の底面との間の空間V1に設置されている。
【0036】
一方、有底凹部22は、支持板13とカバー筐体12で覆われて遮光されている。また、有底凹部22における支持板13の図示下面(裏面)には、外部環境Eからセンサ本体10の伝熱経路を介して授受される熱量を検知する温度補償用感熱素子16が固着されている。このように、温度補償用感熱素子16は、支持板13の裏面と有底凹部22の底面との間の空間V2に設置されている。
【0037】
このように構成された非接触温度センサ100では、外部環境Eに存在する検知対象物である熱源(図示せず)からの放射赤外線が、導光手段として機能する案内筒30の開口Pから、胴部31の内側(案内筒30の内部空間)内に入射する。赤外線吸収膜Mの受光範囲Jに到達した放射赤外線は、赤外線吸収膜Mを加熱し、その熱量が赤外線検知用感熱素子15によって検知され、その値と、温度補償用感熱素子16で検知された熱量の値に基づいて、熱源の温度が測定される。
【0038】
なお、図1(A)及び(B)においては図示を省略したが、本発明の一実施形態である非接触温度センサ100の案内筒30の胴部31には、後述する「非導光手段」が設けられている。
【0039】
また、赤外線吸収膜Mの材質は、熱源からの放射赤外線を吸収して発熱するものであれば特に制限されず、遠赤外線と称される4μmから10μmの波長光に対して吸収ピークを有する材質が望ましく、その例として、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、 ポリカーボネート、PPS(ポリフェニレンスルフィド)系等の樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。さらに、赤外線検知用感熱素子15及び温度補償用感熱素子16は、受熱量に応じて電気的特性が変化する電子素子であれば特に限定されず、抵抗温度特性を有するサーミスタ、サーモパイル、金属測温度体等を好ましく例示することができる。またさらに、センサ本体10の材質としては、熱伝導率が高く且つ熱容量が大きい材質が好ましく、例えば、アルミニウムが好適である。
【0040】
図2は、図1に示す非接触温度センサ100に備わる案内筒30の一例を概略的に示す斜視図である。なお、本実施形態では、案内筒に符号30Aを付して表記する。
【0041】
センサ本体10のカバー筐体12に形成された案内筒30Aは、角筒状の胴部31が、長辺壁31L,31Lと短辺壁31S,31Sから構成されており、各壁面の一部が、簡便なプレス加工等によって、案内筒30Aの内側(内部空間側)に板状に折り曲げられ、長辺壁31L及び短辺壁31Sのそれぞれに、図示上下方向に沿って、羽根板41L1,41L2、及び、羽根板41S1,41S2が形成されている。各羽根板41L1,41L2,41S1,41S2は、その先端が、外部環境Eからの放射赤外線IRが入射する案内筒30Aの開口Pに向かって、つまり図示斜め上向きに延在している。
【0042】
また、それらの羽根板41L1,41L2,41S1,41S2が言わばくり抜かれた部分に、それぞれ、孔部51L1,51L2,51S1,51S2が開口形成されている。このように、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2と、孔部51L1,51L2,51S1,51S2は同時に形成されたものである。なお、後記の図3において、羽根板41L1,41L2の曲げの軌跡を、それぞれ符号α1及び符号α2で示す。
【0043】
さらに、胴部31における開口P側の長辺端部61L,61L及び短辺端部61S,61Sも、それぞれ、長辺壁31L,31L及び短辺壁31S,31Sの一部が開口Pの内側に向かって窄まるように折り曲げられて形成されている。
【0044】
ここで、図3は、図2におけるIII−III線(胴部31の短辺壁31Sに平行な線)に沿う案内筒30Aの模式断面図であり、案内筒30Aを、検知対象物である熱源7Aと非検知対象物である他の熱源7Bと共に示す図である。同図に示す如く、長辺端部61L,61L及び短辺端部61S,61S、及び、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2は、案内筒30Aの開口Pから赤外線検知用感熱素子15を含む受光範囲Jに向かって、案内筒30Aの内側(内部空間)への突出量(胴部31の壁面からの延在長と面積)が徐々に大きくなるように形成されている。
【0045】
熱源7Aは、例えば、複写機の加熱定着ローラ等であり、その表面から外部へ向かってあらゆる方向(全天方向)に赤外線成分が放射されている。図3には、それらの赤外線の幾つかが、矢印を用いて模式的に例示されている。この状態において、熱源7Aにおける温度検知視野範囲Yは、赤外線検知用感熱素子15が設けられた赤外線吸収膜Mの受光範囲Jと、案内筒30Aの開口Pの開口範囲を規定する長辺端部61L,61Lの先端位置から幾何学的に画定される。すなわち、赤外線吸収膜Mの受光範囲のJの縁端Ja,Jbと、そこから見て遠い位置にある開口Pの縁端Pa,Pbをそれぞれ結ぶ仮想線Ka,Kb(図示二点鎖線、画角θ)が熱源7Aを貫く位置が、温度検知視野範囲Yの縁端Ya,Ybに相当する。
【0046】
熱源7Aの温度検知視野範囲Yの内側の任意の点から図示の角度で放射された赤外線1200,1201は、赤外線吸収膜Mに直接入射する。一方、同じく熱源7Aの温度検知視野範囲Yの内側の任意の点から図示の角度で放射された赤外線1101は、開口Pから案内筒30Aの内部空間に入射するが、羽根板41L2の外面(上面)で反射され、孔部51L2を通過して案内筒30Aの外側(外部空間)へ出射される。
【0047】
他方、熱源7Aの温度検知視野範囲Yの外側の任意の点から図示の角度で放射された赤外線1102は、開口Pから案内筒30Aの内部空間に入射するが、羽根板41L1の内面(下面)で反射され、孔部51L2を通過して案内筒30Aの外側へ出射される。また、同じく熱源7Aの温度検知視野範囲Yの外側の任意の点から図示の角度で放射された赤外線1103も、開口Pから案内筒30Aの内部空間に入射するが、胴部31の内壁や羽根板に当たることなく、孔部51L2を通過して案内筒30Aの外側へ出射される。さらに、同じく熱源7Aの温度検知視野範囲Yの外側の任意の点から図示の角度で放射された赤外線1104は、胴部31の外側から孔部51L2を通って案内筒30Aの内部空間に一旦入射するものの、羽根板41L2の外面(上面)で反射され、再度、孔部51L2を通過して案内筒30Aの外側へ出射される。
【0048】
さらに、非検知対象物である熱源7Bの任意の点から図示の角度で放射された赤外線1105は、胴部31の外側から孔部51L2の上部をかすめて案内筒30Aの内部空間に入射したとしても、赤外線吸収膜Mの受光範囲Jには到達しない。
【0049】
以上、図3においては、図2における短辺壁31Sに平行な線に沿う断面を模式的に示して、熱源7A,7Bからの放射赤外線と長辺壁31Lに形成された羽根板及び孔部との関係(作用)について説明したが、図2における長辺壁31Lに平行な線に沿う断面における放射赤外線と短辺壁31Sに形成された羽根板及び孔部との関係(作用)についても同様である(後記の図4において同様とする)。
【0050】
すなわち、開口Pから案内筒30Aの内側に入射して胴部31の内壁に向かう赤外線1101,1102,1103は、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2によってその進路を遮られて反射され、或いは、そのまま、孔部51L1,51L2,51S1,51S2から案内筒30Aの外側に出射されるので、胴部31の内壁に到達することなく、よって、それらの放射赤外線1101,1102,1103が胴部31の内壁で反射して受光範囲Jに到達することが妨げられる。また、図3に示す状態から幾何学的に明らかなように、開口Pから案内筒30Aの内側に入射した放射赤外線の一部が胴部31の内壁に入射して反射されたとしても、かかる赤外線も、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2の外面(上面)で反射され、孔部51L1,51L2,51S1,51S2又は開口Pから、案内筒30Aの外側に出射され得る。
【0051】
また、胴部31に形成された孔部51L1,51L2,51S1,51S2から案内筒30Aの内側に入射した赤外線1104,1105も、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2によってその進路を遮られて反射され、或いは、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2に入射しなかったとしても、受光範囲Jに到達することはない。
【0052】
このように、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2、及び孔部51L1,51L2,51S1,51S2から、非導光手段が構成されており、これにより、案内筒30Aの胴部31の内壁に向かって進行し、或いは、胴部31の内壁で反射された放射赤外線が、赤外線検知用感熱素子15を含む受光範囲Jに到達することが妨げられる。よって、従来の如く案内筒の内壁に黒体処理を施さなくとも、案内筒の内壁で反射される赤外線成分に起因する非接触温度センサ100の感度のばらつきや低下及びその経年変動を有効に防止することができる。また、黒体処理が不要となるので、従来の課題であった製造時における工数及びコストの増大、生産性の低下、並びに、作業環境及び自然環境の悪化を確実に防止することができる。さらに、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2の先端が案内筒30Aの開口Pに向かって図示上向きに延在しているので、放射赤外線をより効率的に遮断することが可能となる。
【0053】
また、案内筒30Aの胴部31の内壁や外壁に入射した放射赤外線の一部が、案内筒30Aの温度上昇を引き起こすこともあり得るが、そのような場合であっても、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2が、放熱フィンの如くシートシンクとしても機能し得るので、案内筒30Aが二次的な熱源になってしまうことに起因して案内筒30Aからの輻射熱が非接触温度センサ100の感度に与え得る悪影響を、十分に排除することができる。さらに、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2が放射赤外線を反射し易い性状を有するので、放射赤外線が羽根板41L1,41L2,41S1,41S2に吸収されて案内筒30Aの温度が上昇してしまうこと自体を効果的に抑止することができる。
【0054】
また、案内筒30Aに孔部51L1,51L2,51S1,51S2が形成されていることにより、かかる孔部がない場合に比して、案内筒30Aの表面積(放射赤外線の受光面積)が減少し、案内筒30Aへの入熱量が軽減されるとともに、案内筒30Aの胴部31における実質的な熱伝導経路(パス)が分断且つ伸長されて伝導抵抗が増大する。よって、この場合、案内筒30Aの温度上昇がセンサ本体10に伝わり難くなり、その結果、案内筒30Aからの伝導熱が非接触温度センサ100の感度に与え得る悪影響を十分に排除することも可能となる。したがって、非接触温度センサ100の感度誤差や感度変動を更に抑制することができる。
【0055】
さらに、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2が、胴部31と一体に設けられていているので、両者を別体に構成する場合に比して、加工及び製作(組み立て)工数を低減することができ、これにより、生産性を一層向上させることが可能となる。またさらに、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2の折り曲げ加工は、板金プレス等によって簡便に実施することができるので、従来の如く案内筒に黒体処理を施す場合に比して、生産性を更に高めることが可能となる。加えて、羽根板41L1,41L2,41S1,41S2の成形と同時に、孔部51L1,51L2,51S1,51S2を形成することができるので、生産性及び経済性をより一層向上させることができる。
【0056】
また、複数の羽根板41L1,41L2,41S1,41S2が胴部31に沿って設けられており、且つ、案内筒30Aの開口Pから赤外線検知用感熱素子15を含む受光範囲Jに向かって、案内筒30Aの内側(内部空間)への突出量(延在長及び面積)が徐々に大きくなるように設けられている、すなわち、開口Pを画定する長辺端部61L及び短辺端部61Sよりも、羽根板41L1,41S1の突出量が大きく、さらに、それら羽根板41L1,41S1よりも、より受光範囲J側に設けられた羽根板41L2,41S2の突出量が大きいので、温度検知視野範囲Yを不都合な程度に狭めてセンサ感度を低下させることがない。また、これにより、胴部31の内壁や各羽根板の内面(下面)で反射された放射赤外線の多くを更に効果的に遮へいすることが可能となる。つまり、案内筒30Aの内壁を黒体処理しなくても、長辺端部61L及び短辺端部61S、羽根板41L1,41S1、及び、羽根板41L2,41S2の先端を結ぶ仮想面Gが、言わば理想的な黒体としての機能を発現する。
【0057】
(第2実施形態)
図4は、本発明による非接触温度センサに係る第2実施形態に備わる案内筒の一例を概略的に示す図であり、図3と同様の模式断面図である。案内筒30Bは、案内筒30Aと同様に、センサ本体10のカバー筐体12(図1参照)に形成されており、且つ、角筒状の胴部31が、長辺壁31L,31Lと短辺壁31S,31Sから構成されている。
【0058】
この案内筒30Bにおいては、胴部31の各壁面の一部が、簡単なプレス加工等によって、案内筒30Bの外側(外部空間側)に板状に折り曲げられ、長辺壁31L及び短辺壁31Sのそれぞれに、図示上下方向に沿って、羽根板42L0,42L1,42L2、及び、羽根板42S0,42S1,42S2が形成されている(ただし、短辺壁31S及びそこに設けられた羽根板42S0,42S1,42S2は、表記の都合上、図4に図示しない)。各羽根板42L0,42L1,42L2,42S0,42S1,42S2は、その先端が、外部環境Eからの放射赤外線IRが入射する案内筒30Bの開口Pから遠ざかる方向に、つまり図示斜め下向きに延在している。
【0059】
また、それらの羽根板42L0,42L1,42L2,42S0,42S1,42S2がくり抜かれた部分に、それぞれ、孔部52L0,52L1,52L2,52S0,52S1,52S2が開口形成されている(ただし、短辺壁31Sに設けられた羽根板52S0,52S1,52S2も、表記の都合上、図4に図示しない)。このように、羽根板42L0,42L1,42L2,42S0,42S1,42S2と、孔部52L0,52L1,52L2,52S0,52S1,52S2は同時に形成されたものである。
【0060】
かかる構成の案内筒30Bを備える非接触温度センサ100においても、前述した赤外線1200,1201は、赤外線吸収膜Mに直接入射する。一方、前述した赤外線1101は、開口Pから案内筒30Bの内部空間に入射するが、胴部31の内壁に当たることなく、孔部52L2を通過して案内筒30Bの外側(外部空間)へ出射される。
【0061】
他方、先述した赤外線1102は、開口Pから案内筒30Bの内部空間に入射するが、胴部31の内壁に当たることなく、孔部52L1を通過して案内筒30Bの外側へ出射され、さらに、羽根板42L1の内面(下面)で反射される。また、先述の赤外線1103も、開口Pから案内筒30Bの内部空間に入射するが、胴部31の内壁に当たることなく、孔部52L2を通過して案内筒30Bの外側へ出射され、さらに、羽根板42L2の内面(下面)で反射される。また、先述の赤外線1104は、胴部31の外側から孔部52L2に向かって進行するが、羽根板42L2の外面(上面)で反射され、孔部52L2から遠ざかる。またさらに、前述した赤外線1105は、胴部31の外側から孔部51L1の下部をかすめて案内筒30Bの内部空間に入射したとしても、赤外線吸収膜Mの受光範囲Jには到達しない。
【0062】
すなわち、開口Pから案内筒30Bの内側に入射して胴部31の内壁に向かう赤外線1101,1102,1103は、そのまま、孔部52L1,52L2,52S1,52S2から案内筒30Aの外側に出射されるので、胴部31の内壁に到達することなく、よって、それらの放射赤外線1101,1102,1103が胴部31の内壁で反射して受光範囲Jに到達することが妨げられる。また、図4に示す状態から幾何学的に明らかなように、開口Pから案内筒30Bの内側に入射した放射赤外線の一部が胴部31の内壁に入射して反射されたとしても、かかる赤外線も、孔部52L1,52L2,52S1,52S2から案内筒30Bの外側に出射され得る。
【0063】
また、胴部31に形成された孔部52L2,52S2から案内筒30Bの内側に向かって進行する赤外線1104は、その進路上に配された羽根板42L2,42S2によって反射され、さらに、胴部31に形成された孔部52L1,52S1から案内筒30Bの内側に入射した赤外線1105は、受光範囲Jに到達することはない。
【0064】
このように、羽根板42L0,42L1,42L2,42S0,42S1,42S2、及び孔部52L0,52L1,52L2,52S0,52S1,52S2から、非導光手段が構成されており、これにより、案内筒30Bの胴部31の内壁に向かって進行し、或いは、胴部31の内壁で反射された放射赤外線、及び、案内筒30Bの胴部31の外側から内側に入射しようとする放射赤外線が赤外線検知用感熱素子15を含む受光範囲Jに到達することが妨げられる。よって、案内筒30Bを有する非接触温度センサ100も、上述した案内筒30Aを有する非接触温度センサ100と同様の優れた作用効果を奏することができる(重複した説明を避けるため、ここでの詳説は省略する)。
【0065】
また、羽根板が案内筒の内側に折り曲げられて形成されたものであると、場合によっては、羽根板同士が干渉するおそれがあるのに対し、羽根板42L0,42L1,42L2,42S0,42S1,42S2は、案内筒30Bの外側に折り曲げられているので、羽根板同士の干渉を抑止することができる。
【0066】
ここで、上述したとおり、案内筒30A,30Bの胴部31の壁面に羽根板を形成することは、例えば金属薄板状の板金にプレス加工を適用することによって簡便に行うことができる。また、羽根板を加工形成した板金を折り曲げたり、組み合わせたりして、複数の部品から案内筒を制作することも極めて平易であり、以下に、特にプレス加工に好適で実用的な実施形態の一例について説明する。
【0067】
(第3実施形態)
図5Aは、本発明による非接触温度センサに係る第3実施形態に備わる案内筒の一例を概略的に示す斜視図であり、図5Bは、その案内筒を構成する部品の展開図である。案内筒30Cは、案内筒30Aと同様に、センサ本体10のカバー筐体12(図1参照)に形成されている。また、2つの略L字状をなす壁33L,33Lから、角筒状の胴部33が構成されている。
【0068】
胴部33には、図示上下方向に沿って、羽根板43L1,43L2,43S1,43S2が形成されており、各羽根板43L1,43L2,43S1,43S2は、その先端が、外部環境Eからの放射赤外線IRが入射する案内筒30Cの開口Pに向かって、つまり図示斜め上向きに延在している。また、胴部33における開口P側の端部63L,63L,63S,63Sも、それぞれ、壁33Lの一部が開口Pの内側に向かって窄まるように折り曲げられて形成されている。
【0069】
羽根板43L1,43L2は、壁33L面の一部が、簡便なプレス加工等によって、案内筒30Cの内側(内部空間側)に板状に折り曲げられて成形されたものであり、その羽根板43L1,43L2がくり抜かれた部分に、孔部53L1,53L2が開口形成されている。また、図5Bに示すように、壁33Lは、板部材33Pの突腕部を、図示一点鎖線で紙面奥側に直角に折り曲げて成形されたものであり、3箇所の突腕部が、端部63S、羽根板43S1,43S2に相当する。折り曲げ成形された2つの板部材33P,33Pは、互いに対向するように組み合わされ、図5A及び図5Bに示すように、一方の板部材33Pの羽根板43S1,43S2に相当する突腕部の先端突起部が、それぞれ、他方の板部材33Pの嵌込孔Q1,Q2に嵌合される。また、一方の板部材33Pの端部63Sに相当する突腕部の先端部の接合しろが更に90度屈曲されてから、他方の板部材33Pの端部63Lに係合され、必要に応じて適宜の方法で接着又は接合される。こうして、端部63Sと羽根板43S1との間に孔部53S1が画成され、羽根板43S1,43S2間に孔部53S2が画成される。
【0070】
このように構成された案内筒30Cを備える非接触温度センサ100においては、羽根板43L1,43L2,43S1,43S2、及び孔部53L1,53L2,53S1,53S2から、非導光手段が構成されており、これにより、案内筒30Cの胴部33の内壁に向かって進行し、或いは、胴部33の内壁で反射された放射赤外線、及び、案内筒30Cの胴部33の外側から内側に入射しようとする放射赤外線が赤外線検知用感熱素子15を含む受光範囲Jに到達することが妨げられる。よって、案内筒30Cを有する非接触温度センサ100も、上述した案内筒30Aを有する非接触温度センサ100と同様の優れた作用効果を奏することができる(重複した説明を避けるため、ここでの詳説は省略する)。
【0071】
また、案内筒30Cが複数の同形状の板部材33Pの折り曲げ加工部品から構成されるので、設計、加工、組み立て、及び検査工程を格段に簡素化することが可能となり、しかも、板部材33Pの折り曲げに、複雑な加工工程が必要ないので、非接触温度センサ100の生産性及び経済性をより一層向上させることができる。さらに、角筒状をなす案内筒30Cを少ない部品点数で且つ少ない接合で作製することができるので、生産性が更に一層高められる。
【0072】
(第4実施形態)
図6Aは、本発明による非接触温度センサに係る第4実施形態に備わる案内筒の一例を概略的に示す斜視図であり、図6Bは、その案内筒を構成する部品の展開図である。角筒状をなす案内筒30Dは、短辺壁34S,34Sが、センサ本体10のカバー筐体12(基部)に、互いに対向するように立設されており、長辺壁34L,34Lを構成する端部64L,64L、及び、羽根板44L1,44L1,44L2,44L2が、それらの短辺壁34S,34S間に架設されたものである。これらの短辺壁34S,34S及び長辺壁34L,34Lから、胴部34が構成されている。
【0073】
各短辺壁34Sには、その面の一部が、簡便なプレス加工等によって、案内筒30Dの内側(内部空間側)に板状に折り曲げられて成形された羽根板44S1,44S2が、図示上下方向に沿って形成されている。また、長辺壁34L,34Lを構成する羽根板44L1,44L2も、図示上下方向に沿って配設されている。これらの羽根板44S1,44S2,44L1,44L2は、その先端が、外部環境Eからの放射赤外線IRが入射する案内筒30Dの開口Pに向かって、つまり図示斜め上向きに延在している。さらに、胴部34における開口P側の端部64L,64L,64S,64Sも、開口Pの内側に向かって窄まるように折り曲げられて形成され、或いは、開口Pの内側に向かって延在するように配設されている。
【0074】
短辺壁34Sにおける羽根板44S1,44S2がくり抜かれた部分には、孔部54S1,54S2が開口形成されている。また、長辺壁34Lを構成する端部64Lと羽根板44L1との間には、孔部54L1が画成され、羽根板44L1,44L2間に孔部55L2が画成されている。また、図6A及び図6Bに示すように、短辺壁34S,34Sは、板金等からなる板部材34Pから、図示一点鎖線で曲げ起こされて立設され、それらの短辺壁34S,34Sに穿設された3つ×4組の嵌込孔Q3に、2組一対の端部64L,及び羽根板44L1,44L2に相当する板部材の両端突起部が嵌合される。
【0075】
このように構成された案内筒30Dを備える非接触温度センサ100においては、羽根板44L1,44L2,44S1,44S2、及び孔部54L1,54L2,54S1,54S2から、非導光手段が構成されており、これにより、案内筒30Dの胴部34の内壁に向かって進行し、或いは、胴部34の内壁で反射された放射赤外線、及び、案内筒30Dの胴部34の外側から内側に入射しようとする放射赤外線が赤外線検知用感熱素子15を含む受光範囲Jに到達することが妨げられる。よって、案内筒30Dを有する非接触温度センサ100も、上述した案内筒30Aを有する非接触温度センサ100と同様の優れた作用効果を奏することができる(重複した説明を避けるため、ここでの詳説は省略する)。
【0076】
また、案内筒30Dが板部材34P等の折り曲げ加工部品から構成されるので、設計、加工、組み立て、及び検査工程を格段に簡素化することが可能となり、また、板部材34P等の折り曲げや切り出しに、複雑な加工工程が必要ないので、非接触温度センサ100の生産性及び経済性を更に一層向上させることができる。さらに、短辺壁34S,34Sが、センサ本体10のカバー筐体12に一体に形成されているので、案内筒30Dを複数の部品で構成して組み立てを平易にしつつ、部品点数を低減して、その生産性を更に高めることができる。
【0077】
(第5実施形態)
図7A及び図7Bは、本発明による非接触温度センサに係る第5実施形態を概略的に示す斜視図であり、図7Aは、その非接触温度センサを斜め前方から視認した状態を示す図であり、図7Bは、その非接触温度センサを斜め後方から視認した状態を示す図である。また、図7C(A)、図7C(B)、及び図7C(C)は、その非接触温度センサの分解斜視図である。
【0078】
非接触温度センサ200は、図1に示す非接触温度センサ100と同様に、センサ本体10の台座11とカバー筐体12とを備えており、台座11には、有底凹部21,22を兼ねる1つの凹部が形成されている(図7C(C)参照)。また、そのカバー筐体12及びその上における有底凹部21,22に対向する部位には、開口Pが形成された角筒状の胴部35を有する案内筒30Eが設けられている。なお、非接触温度センサ200における図示しない赤外吸収膜M、赤外線検知用感熱素子15、温度補償用感熱素子16等の他の構成要素については、非接触温度センサ100と同様に構成されている。また、赤外線検知用感熱素子15及び温度補償用感熱素子16は、有底凹部21,22を兼ねる1つの凹部に、熱的に干渉されないように設置されている。
【0079】
案内筒30Eは、カバー筐体12と、その上に設けられた別のカバー筐体25とから構成されており、それらのカバー筐体12,25は、それぞれ適宜の板金部材が切削・折り曲げ加工された一体成形部材である(図7C(A)及び(B)参照)。カバー筐体25は、案内筒30Eの開口Pを画定する矩形孔が形成された短冊状部材が、図7C(A)に示す如く、複数箇所平行に折り曲げられたものであり、開口Pを画定する矩形孔が開口された天壁65が突設されている。また、カバー筐体25(基部)に立設された側壁は、胴部35の短辺壁35S,35Sに相当し、その各短辺壁35Sの一部が内側に折り曲げられて羽根板45S1が形成されており、その羽根板45S1がくり抜かれた部分に孔部55S1が形成されている。
【0080】
一方、カバー筐体12は、短冊状部材の両側に突設された部分が曲げ起こされて、胴部35の長辺壁35L,35Lが形成されたものであり、その各長辺壁35Lの一部が内側に折り曲げられて羽根板45L1,45L2が形成されている。また、その羽根板45L2がくり抜かれた部分に、孔部55L2が形成されている。
【0081】
このように構成された案内筒30Eを備える非接触温度センサ200においては、羽根板45L1,45L2,45S1、及び孔部55L2,55S1から、非導光手段が構成されており、これにより、案内筒30Eの胴部35の内壁に向かって進行し、或いは、胴部35の内壁で反射された放射赤外線、及び、案内筒30Eの胴部35の外側から内側に入射しようとする放射赤外線が赤外線検知用感熱素子15を含む受光範囲Jに到達することが妨げられる。よって、案内筒30Eを有する非接触温度センサ200も、上述した案内筒30Aを有する非接触温度センサ100と同様の優れた作用効果を発現することができる(重複した説明を避けるため、ここでの詳説は省略する)。
【0082】
また、案内筒30Eが、折り曲げ加工部品の一体成形部材であるカバー筐体12,25が組み合わされて構成されているので、設計、加工、組み立て、及び検査工程を格段に簡素化することが可能となり、非接触温度センサ200の生産性及び経済性を向上させることができる。さらに、短辺壁35S,35Sが、カバー筐体25に一体に形成されており、さらに、長辺壁35L,35Lが、センサ本体10のカバー筐体12に一体に形成されているので、案内筒30Eを複数の部品で構成して組み立てを極めて平易にしつつ、部品点数を更に低減して、その生産性を更に一層高めることができる。
【0083】
また、図7C(A)及び(B)に示す如く、カバー筐体12,25における折り曲げ加工のための折り線がすべて平行であるため、プレス成形が極めて簡便になる利点がある。通常、1つの板金等の部材について順次折り曲げ加工を行う場合、折り線方向が変わると、折り曲げ毎にその折り線方向に合うように部材を移動させて位置決めをしなおしてから、次の折り曲げ加工をしなければならないのに対し、折り線が全て平行であれば、1つの方向に沿った折り曲げを、部材の向きを変えることなく順次行えばはよいので、加工容易性を飛躍的に向上させることができる。さらに、検知対象物である熱源に最も近接配置される案内筒30Eのカバー筐体25の下方に、さらに別のカバー筐体12が配置されるので、比較的加熱され易いカバー筐体25の熱が、センサ本体10へ更に伝導し難くなる利点がある。
【0084】
なお、上述したとおり、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、案内筒は四角筒状でなくてもよく、他の多角筒状でもよく、角筒状ではなく円筒状であってもよい。また、孔部は、スリット状であってもなくてもよく、適宜の孔形状を採用することができる。さらに、上述の如く、本発明による非接触温度センサに備わる案内筒の内部には、従来の黒体処理と同等の処理を施す必要はないものの、本発明の構成要件を備える限り、案内筒に黒体処理を施すことは妨げられない。またさらに、案内筒には、その外側に折り曲げられて形成された羽根板と、その内側に折り曲げられて形成された羽根板とを混在させて設けても構わず、この場合であっても、各羽根板をプレス加工等によって簡便に成形することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したとおり、本発明の非接触温度センサは、例えば、複写機の加熱定着ローラといった検知対象物をはじめ、その他の種々の熱源の温度を非接触にて測定する用途に広く且つ有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
7A…熱源(検知対象物)、7B…熱源7B、10…センサ本体、11…台座、12…カバー筐体(基部)、13…支持板、15…赤外線検知用感熱素子、16…温度補償用感熱素子、21,22…有底凹部、25…カバー筐体、30,30A,30B,30C,30D,30E…案内筒、31…胴部、31L,31L…長辺壁、31S,31S…短辺壁、33…胴部、33L…壁、33P…板部材、34…胴部、34S…短辺壁、34L…長辺壁、35…胴部、35L…長辺壁、35S…短辺壁、41L1,41L2,41S1,41S2…羽根板、42L0,42L1,42L2,42S0,42S1,42S2…羽根板、43L1,43L2,43S1,43S2…羽根板、44L1,44L2,44S1,44S2…羽根板、45L1,45L2,45S1…羽根板、51L1,51L2,51S1,51S2…孔部、52L0,52L1,52L2,52S0,52S1,52S2…孔部、53L1,53L2,53S1,53S2…孔部、54L1,55L2,54S1,54S2…孔部、55L2,55S1…孔部、61L…長辺端部、61S…短辺端部、63L,63S…端部、64L,64S…端部、65…天壁、100,200…非接触温度センサ、1101,1102,1103,1104,1105,1200,1201…赤外線、E…外部環境、G…仮想面、IR…放射赤外線、J…受光範囲、Ja,Jb…縁端、Ka,Kb…仮想線、M…赤外線吸収膜、P…開口、Pa,Pb…縁端、Q1,Q2,Q3…嵌込孔、V1,V2…空間、Y…温度検知視野範囲、Ya,Yb…縁端、α1,α2…曲げの軌跡、θ…画角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源の温度を非接触測定する非接触温度センサであって、
前記熱源から放射される赤外線の熱量を検知する赤外線検知用感熱素子と、
外部環境からの熱量を検知する温度補償用感熱素子と、
筒状をなし、開口及び胴部を有し、且つ、前記熱源における前記赤外線検知用感熱素子による温度検知の視野範囲を画定するように設けられた案内筒と、
を備えており、
前記案内筒は、前記開口から該案内筒の内側に入射し前記胴部の内壁に向かって進行する前記赤外線、及び、前記胴部の内壁で反射された前記赤外線の少なくとも一部が、前記赤外線検知用感熱素子を含む受光範囲に到達することを妨げるように設けられた非導光手段を有する、
非接触温度センサ。
【請求項2】
前記非導光手段は、前記胴部の内側に突設された羽根板を有しており、該羽根板が、前記開口から前記案内筒の内側に入射し前記胴部の内壁に向かって進行する前記赤外線、及び、前記胴部の内壁で反射された前記赤外線の少なくとも一部を遮るものである、
請求項1記載の非接触温度センサ。
【請求項3】
前記非導光手段は、前記胴部に開口形成された孔部を有するものである、
請求項2記載の非接触温度センサ。
【請求項4】
前記非導光手段は、前記羽根板が前記案内筒の内側に折り曲げられた胴部の一部から形成され、且つ、前記孔部が該胴部の一部に形成されたものである、
請求項3記載の非接触温度センサ。
【請求項5】
前記羽根部は、前記胴部に沿って複数設けられており、且つ、前記案内筒の前記開口から前記受光範囲に向かって、前記案内筒の内側への突出量が大きくされたものである、
請求項2〜4のいずれか1項記載の非接触温度センサ。
【請求項6】
前記非導光手段は、前記胴部の一部が前記案内筒の外側に折り曲げられて形成された羽根板と、前記胴部に開口形成された孔部とを有する、
請求項1記載の非接触温度センサ。
【請求項7】
前記案内筒は、複数の同形状の部品から構成されたものである、
請求項1〜6のいずれか1項記載の非接触温度センサ。
【請求項8】
前記案内筒は、角筒状をなし、少なくとも2つの隣接する胴壁が一体に形成されたものである、
請求項7記載の非接触温度センサ。
【請求項9】
前記案内筒は、複数の部品から構成されており、前記胴部の少なくとも一部が立設された基部を有する、
請求項1〜6のいずれか1項記載の非接触温度センサ。
【請求項10】
前記案内筒は、角筒状をなし、且つ、前記胴部における対向する一対の胴壁を構成する一体成形部材と、前記胴部における対向するの他の一対の胴壁を構成する一体成形部材とが、組み合わされて構成されたものである、
請求項1〜6のいずれか1項記載の非接触温度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2012−237571(P2012−237571A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104995(P2011−104995)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】