説明

非接触通信媒体及び通信方法

【課題】相手の非接触ICカードとの間でカードデータを送受信する際に、自己と相手との両方の非接触ICカードが何れも相手のカードデータを受信できない通信エラーを起こさない非接触通信媒体を提供すること。
【解決手段】操作部の電源起動手段により電子回路が起動され、受信操作手段によりデータ受信モードが開始されデータ受信モードフラグを立て、2cm以内の近隣に配置された外部通信媒体との間でデータを交換する非接触近接通信を行い、先ず、前記外部通信媒体にカードデータ要求問い合わせデータを送信し、前記外部通信媒体からカードデータ要求コマンドを受信した場合に前記外部通信媒体に自己のカードデータを送信した上でデータ受信モードフラグを立て外部通信媒体にカードデータ要求コマンドを送信して相手のカードデータを受信して表示装置で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示する機能を有し、情報を送受信することができる非接触通信媒体に関し、特にICカード形態の非接触通信媒体及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通機関等の乗車券や、電子マネー媒体として、非接触で情報のやり取りが可能な非接触ICカード等の非接触通信媒体が普及している。これらは、ICチップに接続されたアンテナを介して送受信することで、通信するものである。
【0003】
従来は、非接触ICカードに記録された情報を読み取るためには、別途非接触ICカードから送信された電磁波を受信するためのリーダが必要であり、単独の非接触ICカード間では通信ができなかった。特許文献1では、この課題を解決するために、非接触ICカード間で、電磁誘導により、カードデータを通信させ、相手のカードデータを受信して表示装置に表示する非接触ICカードの技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−216912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、通信可能な範囲内に通信相手のICカードが存在するかを検出するために周期的に通信要求信号を送信しているので、非接触ICカードの電力が相手を確認する通信に費やされて電力の多くが消費されてしまう問題があった。また、相手の非接触ICカードとの間でカードデータを送受信する際に、双方の非接触ICカードから相手に向けてカードデータを送信しようとすると、両方の非接触ICカードが何れも相手のカードデータを受信できず、通信エラーを生じる問題があった。本発明は、かかる従来の問題を解決した非接触通信媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、少なくとも表示装置と演算処理装置と通信用制御回路と電池を含む電源回路からなる電子回路と、非接触近接通信用のループアンテナとが埋め込まれ、電源起動手段と受信操作手段を有する操作部を備えているICカード型の非接触通信媒体であって、前記電源起動手段により前記電子回路が起動され、受信操作手段によりデータ受信モードが開始された場合にデータ受信モードフラグを立て、2cm以内の近隣に配置された外部通信媒体との間でデータを交換する非接触近接通信を行い、先ず、前記外部通信媒体にカードデータ要求問い合わせデータを送信し、前記外部通信媒体の応答によるカードデータ要求コマンドを受信した場合に前記外部通信媒体に自己のカードデータを送信した上でデータ受信モードフラグを立て、前記データ受信モードフラグが立っている場合に、前記外部通信媒体にカードデータ要求コマンドを送信して相手のカードデータを受信して前記表示装置で表示することを特徴とする非接触通信媒体である。
【0007】
また、本発明は、上記の非接触通信媒体であって、前記通信用制御回路が、リーダ/ライタ通信規格におけるリーダ/ライタとして動作する通信モードを持ち、前記演算処理装置がピア・ツー・ピア通信規格とリーダ/ライタ通信規格を切り替える制御を行うことを特徴とする非接触通信媒体である。
【0008】
また、本発明は、上記の非接触通信媒体であって、前記電源回路が電力受信コイルを有し、前記電力受信コイルが外部充電器の電力を電磁誘導で受電して前記電池を充電することを特徴とする非接触通信媒体である。
【0009】
また、本発明は、少なくとも表示装置と演算処理装置と通信用制御回路と電池を含む電源回路からなる電子回路と、非接触近接通信用のループアンテナとが埋め込まれ、電源起動手段と受信操作手段を有する操作部を備えている非接触通信媒体を用いた通信方法であって、前記電源起動手段により前記電子回路が起動され、受信操作手段によりデータ受信モードが開始された場合にデータ受信モードフラグを立て、2cm以内の近隣に配置された外部通信媒体との間でデータを交換する非接触近接通信を行い、先ず、前記外部通信媒体にデータ要求問い合わせデータを送信し、前記外部通信媒体の応答によるデータ要求コマンドを受信した場合に前記外部通信媒体に自己のデータを送信した上でデータ受信モードフラグを立て、前記データ受信モードフラグが立っている場合に、前記外部通信媒体にデータ要求コマンドを送信して相手のデータを受信して前記表示装置で表示することを特徴とする通信方法である。
【0010】
また、本発明は、上記の通信方法であって、通信処理に費やした総時間が設定された全処理制限時間を経過した場合に、データ受信モードを終了し、前記データ受信モードフラグを消去することを特徴とする通信方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表示機能付き非接触通信媒体100は、電源ボタン111が押されてから電子回路が起動されるので、電力の消費が最低限に抑えられる効果があり、また、相手の外部通信媒体400に自己のカードデータ303を送信する前に相手のカードデータ304の受信を試みるので、本非接触通信媒体100も外部通信媒体400の何れも相手のカードデータを受信できなくなる不具合が生じ無い効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体の平面図である。(b)は、(a)の非接触通信媒体の側断面図である。
【図2】(a)は、本発明の非接触通信媒体と外部通信媒体のデータ通信を示すブロック図である。(b)は、本発明の実施形態のデータ通信をする際の非接触通信媒体と外部通信媒体との配置を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体の電子回路のブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体の内部のブロック構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体の記憶手段のデータの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例1の非接触通信媒体の平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体による通信手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体による通信手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態の変形例2の非接触通信媒体による通信手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体による通信手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体による通信手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体と外部通信媒体の間の非接触近接通信でのデータの通信を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体と外部通信媒体の間の非接触近接通信でのデータの通信を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の非接触通信媒体と外部通信媒体の間の非接触近接通信でのデータの通信を示すシーケンス図である。
【図15】本発明の第2の実施形態の非接触通信媒体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1(a)は、本発明に係る非接触通信媒体100の外側の部分の構造を示す模式図である。図1(b)は、非接触通信媒体100の側断面図である。本発明の非接触通信媒体100は、少なくとも表示装置101と操作部110を備えている、ICカード型の、サイズの小さな非接触通信媒体100である。その操作部110は、少なくとも電源スイッチや電源ボタン等で構成する電源起動手段111と受信スイッチや受信ボタン等で構成する受信操作手段112を有し、また、非接触通信媒体100のカードサイズの中に、配線回路層120と電池131が埋め込まれている。
【0014】
図2(a)は、本発明のICカード型の非接触通信媒体100と、外部通信媒体400と、外部充電器500との関係を示すブロック図である。図2(b)は、ICカード型の非接触通信媒体100と外部通信媒体400の間でデータ通信を行わせる場合の、両カード間の間隙を2cm以下にする近隣に配置した位置関係を示す斜視図である。図2(b)のようにICカード型の非接触通信媒体100と外部通信媒体400のカード同士を2cm以内の近隣に配置した状態で、カード間で非接触近接通信を行うことでデータを交換する。非接触通信媒体100は電源回路130を有し、それに接続する電力受信コイル202が、外部充電器500の電力を電磁誘導で受電して電源回路130に供給し、その電力を電池131に充電させる。電源回路130は、電池131に蓄えられた電力を用いて非接触通信媒体100の電子回路を動作させる。これにより、本実施形態の非接触通信媒体100は、電力を電池130に充電するための外部接続端子を持たず、電力を受信するための電極を外部に露出させる必要が無い。これにより、この非接触通信媒体100は耐水性が高い効果がある。
【0015】
図3は、その非接触通信媒体100の電子回路のブロック図である。図4は、非接触通信媒体100の主要な素子のカード内の配置の例を示す図である。表示装置101は、演算処理装置(CPU)121に接続され、演算処理装置121が表示装置101に表示情報を出力して表示を制御する。演算処理装置121には、情報を記録する記憶手段121aを内蔵した集積回路を用いる。その記憶手段121aは、演算処理装置121に外付けする集積回路の記憶回路を用いても良い。記憶手段121aの記憶するデータの概要を図5に示す。演算処理装置121には通信用制御回路122を接続する。通信用制御回路122は、ループアンテナ201用の発振電流を発生しループアンテナ201を介する外部通信媒体400とのデータ通信を制御する。通信用制御回路122には、発振回路OSC−3と、電磁波を送受信するためのループアンテナ201とを接続して、近隣通信手段200を構成する。
【0016】
<変形例1>
図6に、本実施形態の変形例1の非接触通信媒体100の平面図を示す。変形例1では、操作部110に表示ボタン113を設ける。操作者が表示ボタン113を押すと、演算処理装置121が記憶手段121aに記憶されたデータを読み出して表示装置101に出力させる。
【0017】
近隣通信手段200には、一般的なリーダ/ライタ装置に用いられる集積回路の通信用集積回路(IC1)122と発振回路OSC−3を用いることができる。近隣通信手段200の通信用制御回路(IC1)122には、情報を読み取る通信規格が、ピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信規格と、リーダ/ライタ通信規格を切り替えられる通信用制御回路122を用いる。これにより、本実施形態の非接触通信媒体100は、リーダ/ライタ通信規格におけるリーダ/ライタとして動作する通信モードを持つ。本実施形態の非接触通信媒体100は、この2つの通信規格に対応してNFC(Near Field Communication)を用いる。NFCは近距離無線通信規格であり、FeliCa(登録商標)、MIFARE(登録商標)等の複数の規格に対応している。通信用のループアンテナ201は、できるだけ省スペース化するために、金属箔をパターニングしたエッチングアンテナや、エナメル線を用いた巻き線アンテナが好適である。近隣通信手段200のループアンテナ201は、非接触通信媒体100の形状に合わせてアンテナループを形成することが好ましい。
【0018】
演算処理装置121には、その他に、演算処理装置(CPU)121を初期化するための初期化回路123と、電源起動手段111と受信操作手段112を含む操作部110(CTL)と、非接触通信媒体100全体に電力を供給する電源回路130を接続する。演算処理装置121には、更に、演算処理装置(CPU)121のクロックのタイミング信号を発生する20MHzの発振回路OSC−1と、32.768kHzの発振回路OSC−2を接続する。また、電源回路130には電池(バッテリー)131及び電力受信コイル202を接続する。
【0019】
図3のループアンテナ201と通信用集積回路(IC1)122と発振回路OSC−3から成る近隣通信手段200によって、外部通信媒体400と通信を行う。近隣通信手段200のループアンテナ201の出力する電磁界の強度は、外部通信媒体400の非接触IC媒体(ICカード)と非接触通信媒体100を2cm以内の近隣に接近させて非接触近接通信が行える出力強度にする。また、2cm以内の近隣に接近した外部通信媒体400が発生する磁界変化によりループアンテナ201に生じる誘導電圧を通信用集積回路(IC1)122で検出することで信号を受信する非接触近接通信を行う。このように設定することで、ICカード型の非接触通信媒体100と外部通信媒体400の間のデータ通信が2cm以内の近隣での非接触近接通信に限られ、通信が外部に傍受される危険性を低減できる効果がある。
【0020】
次に本発明に係る非接触通信媒体100の詳細な構造例について説明する。図1(b)に、本実施形態の非接触通信媒体100の側断面図を示す。図1(b)では、最上層に表示装置101と操作部110が配置されている。次に上から順に、近隣通信手段200のループアンテナ201を含む層が配置されている。さらに下部に、演算処理装置121と通信用制御回路122を接続する配線回路を形成した配線回路層120が配置されている。配線回路層120の隣には、非接触通信媒体100の電力源である電池131が設けられている。むろんこれらの積層順は目的に応じて変えることができる。配線回路層120には、演算処理装置121と通信用制御回路122の他に、表示装置101とのコネクタや、電源回路130等が電気接続される。また配線回路層120の基材上にループアンテナ201を形成しても良い。
【0021】
本発明に用いる表示装置101としては、液晶表示装置、有機EL表示装置、電気泳動式表示装置、一般的な表示装置を用いることができる。例えば強誘電液晶表示装置や電気泳動式表示装置であれば、画像切り替え時のみ電力を消費するので長時間の使用に向いている。一方、動的な画像を表示する場合には、液晶表示装置や有機EL表示装置が好ましい。
【0022】
操作部110の回路には、少なくとも電源をON/OFFするための電源起動手段111と、近隣通信による外部通信媒体400からのデータ受信モードの開始指令を設定する受信操作手段112とを備える。また、非接触通信媒体100の使用様態によっては、表示画面のスクロールのための指令ボタンを備えていても良い。
【0023】
演算処理装置121は、表示装置101、通信用制御回路122を制御する。さらに、電源回路130、操作部110の電源起動手段111及び受信操作手段112に電気接続されている。また、接続回路には、中継回路(集積回路)を備えていても良く、例えば通信用制御回路122と演算処理装置121間のUART (Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等を含む。
【0024】
これらの構成要素は、回路上それぞれ個々に設けられていても良いし、所定の複数構成要素をパッケージ化して組み合わせても良い。また、各層の間に他の構成要素を加えても良い。例えば、表示装置と、隣接する層(ループアンテナ201が)の間に、電磁波ノイズ低減のための磁気シートを加えることができる。
【0025】
(通信処理手順)
次に、図7〜図11のフローチャートと図12〜図14のシーケンス図を参照して、本実施形態の表示機能付き非接触通信媒体100の通信処理手順を説明する。本実施形態の非接触通信媒体100は、その演算処理装置121が、それが内蔵するか又は外付けされた記憶手段121aに記憶された処理プログラム301に従って動作して通信用制御回路122を制御し、通信用制御回路122がループアンテナ201に電流を流して発生させた電磁界による電磁誘導を利用して外部通信媒体400と通信を試みる。
【0026】
すなわち、外部通信媒体400がピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信規格で動作する場合と、リーダ/ライタ通信規格で動作する場合に応じて、演算処理装置121が通信用制御回路122の動作する通信モードを切り替えて外部通信媒体400と通信し、外部通信媒体400の通信規格を検出する。そして、外部通信媒体400の通信規格に応じて、外部通信媒体400との間でカードデータを送受信する。
【0027】
本実施形態の非接触通信媒体100は、リーダ/ライタ通信規格におけるリーダ/ライタとして動作することもできるので、相手の外部通信媒体400がリーダ/ライタに応答するのみの通常の非接触ICカードの場合であっても、相手のカードデータ304を読み取って、その情報を表示装置101で送信することができる、相手のカードデータ304の情報を表示できる便利な機能を持つ。
【0028】
以下で、本実施形態の非接触通信媒体100に動作を詳しく説明する。先ず、非接触通信媒体100の電源起動手段111がONにされると、非接触通信媒体100の電子回路が起動し、先ず、演算処理装置121が図7のステップS1以下の処理を開始する。
(ステップS1)
図7のフローチャートのように、非接触通信媒体100の受信スイッチあるいは受信ボタンが操作者に押されることで受信操作手段112にデータ受信モードの開始指令が設定された場合に、図5のような記憶手段121aのデータ受信モードフラグ欄302に、「受信モード」のフラグを立てたデータを記憶する。受信操作手段112にデータ受信モードの開始指令が設定されていない初期状態では、記憶手段121aのデータ受信モードフラグ欄302には「受信モード」のフラグのデータを書き込まない。
【0029】
(ステップS2)
次に、非接触通信媒体100は、ピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信モードを自動的に開始し、外部通信媒体400とピア・ツー・ピア(Peer to P
eer)通信モードでの通信を試みる。すなわち、非接触通信媒体100の演算処理装置121が通信用制御回路122を制御して、図12のようにピア・ツー・ピア(Peer
to Peer)通信規格問合せデータを外部通信媒体400に送信する。そして、図8のサブルーチンSB1の通信待ち処理を実行することで、外部通信媒体400からピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信規格応答データが送信されるまで待つ。ピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信規格による応答データが所定の通信待ち時間内に受信されない場合は、サブルーチンSB1の処理が終わり、次にステップS3に進む。図12のように、外部通信媒体400からピア・ツー・ピア(Peer to
Peer)通信規格応答データを受信した場合にはステップS4に進む。
【0030】
(ステップS3)
図14のシーケンス図のように、所定の通信待ち時間内にピア・ツー・ピア(Peer
to Peer)通信規格応答データを受信できなかった場合には、リーダ/ライタ通信規格の通信を試みる。すなわち、演算処理装置121は、近隣通信手段200の通信用制御回路122の集積回路を制御して、相手が非接触ICカードの場合の通信モードであるリーダ/ライタ通信モードにおいて、図14のように、リーダ/ライタ通信規格問合せデータを外部通信媒体400に送信する。そして、図8のサブルーチンSB1の通信待ち処理を実行することで、外部通信媒体400からリーダ/ライタ通信規格応答データの送信があるまで待つ。所定の通信待ち時間内にリーダ/ライタ通信規格応答データを受信できなければステップS1に戻り、リーダ/ライタ通信規格応答データを受信した場合にはステップS5に進む。
【0031】
(ステップS4)
ピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信規格応答データを受信した場合には、図10のサブルーチンSB2のピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信処理を実行し、次にステップS1に戻る。
(ステップS5)
リーダ/ライタ通信規格応答データを受信した場合には、図11のサブルーチンSB3のリーダ/ライタ通信処理を実行し、次にステップS1に戻る。
【0032】
(サブルーチン処理SB1: 通信待ち処理)
演算処理装置121は、図8のフローチャートのように、通信終了条件に従って、通信を終了するか否かを判断しつつ、外部通信媒体400からの通信待ち条件を満たす通信を待つ。通信終了条件は、例えば操作部110の電源起動手段111から電源の切断が指示された場合に、強制的に処理を中断し電源を切る。また、処理に費やした総時間が全処理制限時間を経過したときに、通信処理全体の終了条件が満たされたと判定して強制的に処理を中断し電源を切る。電源が切られた場合には、同時にデータ受信モードフラグが消去される。
【0033】
<変形例2>
また、図9のフローチャートに示す変形例2のように、処理に費やした総時間が全処理制限時間を経過したときに、電源を切らずにデータ受信モードを終了するようにしてもよい。変形例2の場合にはデータ受信モードフラグを消去し、記憶手段121aに記憶されたデータを読み出して表示する表示モード等の別のモードに移行する。なお電源を切る前あるいは別のモードに移行する前に、受信不能の旨のエラーメッセージを表示装置101に出力するようにしてもよい。
【0034】
他方、図8及び図9のフローチャートにように、所定の通信待ち時間を経過するか、又は通信待ち時間内に所定のデータを受信した場合は、サブルーチン処理SB1から抜け出す。
【0035】
(サブルーチン処理SB2: ピア・ツー・ピア通信処理)
(ステップS10)
図12のように、ピア・ツー・ピア(Peer to Peer)通信規格応答データを受信した場合には、外部通信媒体400にカードデータ要求問い合わせデータを送信する。そして、図8のサブルーチンSB1の通信待ち処理により、外部通信媒体400からの応答であるカードデータ要求コマンドの送信を待つ。図12のように外部通信媒体400からカードデータ要求コマンドを受信した場合は、ステップS11に進む。図13のように所定の通信時間内にカードデータ要求コマンドを受信しなかった場合は、ステップS12に進む。
【0036】
(ステップS11: データ送信要求がある場合)
先ず、記憶手段121aのデータ受信モードフラグ欄302から「受信モード」のフラグのデータを消去する。次に、外部通信媒体400から要求された自己のカードデータ303を記憶手段121aから読み出して、図12のように、自己のカードデータ303を外部通信媒体400へ送信する。次に、記憶手段121aのデータ受信モードフラグ欄302に、「受信モード」のフラグを立てたデータを記憶する。次に、ステップS13に進む。
【0037】
(ステップS12: データ送信要求が無い場合)
記憶手段121aのデータ受信モードフラグ欄302に「受信モード」のフラグデータが記憶されてフラグが立っている場合はステップS13に進む。そうで無い場合はサブルーチン処理SB2から抜け出す。
【0038】
(ステップS13)
記憶手段121aのデータ受信モードフラグ欄302に「受信モード」のフラグが立っている場合は、図12又は図13のように、外部通信媒体400に対してカードデータ要求コマンドを送信し、図8のサブルーチンSB1の通信待ち処理により、外部通信媒体400から相手のカードデータ304が送信されるまで待つ。外部通信媒体400から相手のカードデータ304を受信した場合は、ステップS14に進む。所定の通信時間内に相手のカードデータ304を受信しなかった場合は、ステップS15に進む。
【0039】
(ステップS14)
外部通信媒体400から受信した相手のカードデータ304を記憶手段121aに記憶し、その相手のカードデータ304を表示装置101で表示する。次に、サブルーチン処理SB2から抜け出す。ここで、演算処理装置121が表示装置101に表示データを出力する処理を記述する処理プログラム301の内容は、記憶手段121aに記憶した相手のカードデータ304の情報のうちから特定の情報を自動的に選択して表示するようにしても良いし、使用者が表示装置101を確認しつつ操作部110を操作して表示内容を選択するようなものであっても良い。
(ステップS15)
外部通信媒体400から所定の通信時間内に相手のカードデータ304を受信できなかった場合は、通信エラーメッセージを表示装置101で表示する。次に、サブルーチン処理SB2から抜け出す。
【0040】
(サブルーチン処理SB3: リーダ/ライタ通信処理)
(ステップS20)
リーダ/ライタ通信規格応答データを受信した場合には、記憶手段121aのデータ受信モードフラグ欄302に「受信モード」のフラグが立つフラグデータが記憶されている場合はステップS21に進む。そうで無い場合はサブルーチン処理SB3から抜け出す。
【0041】
(ステップS21)
図14にように、外部通信媒体400に対してカードデータ要求のコマンドを送信し、図8のサブルーチンSB1の通信待ち処理により、外部通信媒体400からのカードデータの送信を待つ。外部通信媒体400から相手のカードデータ304を受信した場合は、ステップS22に進み、相手のカードデータ304を受信しなかった場合は、ステップS23に進む。
【0042】
(ステップS22)
外部通信媒体400から受信した相手のカードデータ304を記憶手段121aに記憶し、その相手のカードデータ304を表示装置101で表示する。次に、サブルーチン処理SB3から抜け出す。
(ステップS23)
外部通信媒体400から相手のカードデータ304を受信できなかった場合は、通信エラーメッセージを表示装置101で表示する。次に、サブルーチン処理SB3から抜け出す。
【0043】
以上のように、本発明の表示機能付き非接触通信媒体100は、操作者から電源ボタンが押される等の操作で与えられる指令で電源起動手段111が起動された場合に電子回路を起動し、受信ボタンが押される等の操作で与えられる指令で受信操作手段112からデータ受信モードの開始指令が設定された場合に記憶手段121aにデータ受信モードフラグを立て、先ず、外部通信媒体400にカードデータ要求問い合わせデータを送信し、外部通信媒体400の応答によるカードデータ要求コマンドを受信した場合に外部通信媒体400に自己のカードデータ303を送信した上で記憶手段121aにデータ受信モードフラグを立て、次に、記憶手段121aにデータ受信モードフラグが立っている場合は、外部通信媒体400から相手のカードデータ304を受信して表示装置101で表示する。これにより、本発明の表示機能付き非接触通信媒体100は、相手の外部通信媒体400に自己のカードデータ303を送信する前に相手のカードデータ304の受信を試みるので、この非接触通信媒体100も外部通信媒体400の何れも相手のカードデータを受信できなくなる不具合が生じ無い効果がある。
【0044】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の非接触通信媒体100は、図15のように、操作部110に電源起動データ受信ボタン114を設ける。この電源起動データ受信ボタン114は、第1の実施形態で図1(a)に示した電源起動手段111と受信ボタン112とを合わせた操作ボタンであり、電源起動データ受信ボタン114を押すと電子回路の起動と共にデータ受信モードが開始される。このように非接触通信媒体100に、電源起動手段111と受信ボタン112とを合わせた電源起動データ受信ボタン114を設けることで、非接触通信媒体100の操作が容易になる効果がある。
【符号の説明】
【0045】
100・・・表示機能付き非接触通信媒体
101・・・表示装置
110・・・操作部
111・・・電源起動手段
112・・・受信操作手段
113・・・表示ボタン
114・・・電源起動データ受信ボタン
120・・・配線回路層
121・・・演算処理装置(CPU)
121a・・・記憶手段
122・・・通信用制御回路
123・・・初期化回路
130・・・電源回路
131・・・電池
200・・・近隣通信手段
201・・・ループアンテナ
202・・・電力受信コイル
301・・・処理プログラムデータ
302・・・データ受信モードフラグ欄
303・・・自己のカードデータ
304・・・相手のカードデータ
400・・・外部通信媒体
500・・・外部充電器
OSC−1,OSC−2,OSC−3・・・発振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表示装置と演算処理装置と通信用制御回路と電池を含む電源回路からなる電子回路と、非接触近接通信用のループアンテナとが埋め込まれ、電源起動手段と受信操作手段を有する操作部を備えているICカード型の非接触通信媒体であって、前記電源起動手段により前記電子回路が起動され、受信操作手段によりデータ受信モードが開始された場合にデータ受信モードフラグを立て、2cm以内の近隣に配置された外部通信媒体との間でデータを交換する非接触近接通信を行い、先ず、前記外部通信媒体にカードデータ要求問い合わせデータを送信し、前記外部通信媒体の応答によるカードデータ要求コマンドを受信した場合に前記外部通信媒体に自己のカードデータを送信した上でデータ受信モードフラグを立て、前記データ受信モードフラグが立っている場合に、前記外部通信媒体にカードデータ要求コマンドを送信して相手のカードデータを受信して前記表示装置で表示することを特徴とする非接触通信媒体。
【請求項2】
請求項1記載の非接触通信媒体であって、前記通信用制御回路が、リーダ/ライタ通信規格におけるリーダ/ライタとして動作する通信モードを持ち、前記演算処理装置がピア・ツー・ピア通信規格とリーダ/ライタ通信規格を切り替える制御を行うことを特徴とする非接触通信媒体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非接触通信媒体であって、前記電源回路が電力受信コイルを有し、前記電力受信コイルが外部充電器の電力を電磁誘導で受電して前記電池を充電することを特徴とする非接触通信媒体。
【請求項4】
少なくとも表示装置と演算処理装置と通信用制御回路と電池を含む電源回路からなる電子回路と、非接触近接通信用のループアンテナとが埋め込まれ、電源起動手段と受信操作手段を有する操作部を備えている非接触通信媒体を用いた通信方法であって、前記電源起動手段により前記電子回路が起動され、受信操作手段によりデータ受信モードが開始された場合にデータ受信モードフラグを立て、2cm以内の近隣に配置された外部通信媒体との間でデータを交換する非接触近接通信を行い、先ず、前記外部通信媒体にデータ要求問い合わせデータを送信し、前記外部通信媒体の応答によるデータ要求コマンドを受信した場合に前記外部通信媒体に自己のデータを送信した上でデータ受信モードフラグを立て、前記データ受信モードフラグが立っている場合に、前記外部通信媒体にデータ要求コマンドを送信して相手のデータを受信して前記表示装置で表示することを特徴とする通信方法。
【請求項5】
通信処理に費やした総時間が設定された全処理制限時間を経過した場合に、データ受信モードを終了し、前記データ受信モードフラグを消去することを特徴とする請求項4に記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−141871(P2012−141871A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−410(P2011−410)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】