説明

非接触通信用の脱着可能なカード、その使用および作製方法

非接触通信用の脱着可能なカードは、カードの本体(1)の外部表面にスレッド(10)で形成され、強磁性材層(7)によって覆われたアンテナ(4)を備える。有利な改良例では、アンテナ(4)がカードの一領域(2)に8つのスレッドを備え、カードの両領域(2)が鉄箔の層(7)で被覆される。アンテナ(4)は容量素子(12)および反対側で抵抗(11)に直列接続される。共振回路は13.0〜15.0MHzの最終周波数に同調される。アンテナ(4)からの信号は容量素子(12)側から1番目と2番目のスレッド(10)の間で読み取られる。脱着可能なカードの本体にアンテナを作製する方法は、導電性パス(5)状の溝がカードの本体(1)表面に削られ、溝が導電材で満たされ、強磁性材層(7)が領域(2)に塗布され、アンテナ(4)を被覆することに基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信装置が実行する認証処理に必要とされる、非接触無線通信、主にNFC通信に適合させた脱着可能なカード、基本的には薄型カード、特にメモリカードに関する。本発明は、このほかにも該カードの使用、および、所望の素子を備えたカードに、脱着可能なカード、主にメモリカードの共通構成を適合させたり、補完したりすることによる作製方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、携帯電話、コンピューターなど広範囲の技術手段にさまざまなメモリカード形式が広く用いられている。装置のコネクタ、スロットの適切なスライドが既定の標準メモリカード形式に対応している。工業生産により脱着可能なメモリカードは広く普及しており、通信装置、携帯電話は、メモリカードを挿入する適切なスロットを備えていることが多い。
【0003】
現在、主にカードに共通するメモリ機能のほかには、非接触伝送路によって支援装置の機能を高めることができるカードは知られていない。このような伝送路を追加することは、認証操作、主に直接決済を実施するために必要とされ、望まれている。市場に広く普及して使用され、すでに存在している移動体通信装置に、たとえばNFCチップ形式の導電性パスを追加実装すれば、移動体通信装置によって実行される直接決済の頻度が大幅に増大する。
【0004】
既存のハードウェア空間に非接触通信素子用に空間を設ける取り組みによって問題に対処し、アンテナの位置に関して、アンテナの位置が外部設計に影響を与えることも他の素子に衝突することもなく、それでも尚、電磁場を送受信する十分な条件を備えるようにしている。
【0005】
特開2007−166379号公報による発明は、携帯電話の外部表面に直接取り付けられたアンテナを用いている。既存の携帯電話に関しては、このような解決法は不便であり、ほとんど用いることができない。中国公開特許第1870012(A)号明細書による解決法では、メモリカード内にアンテナを備えている。しかし、このアンテナは携帯電話のスロットのスライドに取り付けられているため、このような変更は送信特性が不十分であるという特徴がある。
【0006】
仏国特許第0611190号明細書および仏国特許第0611189号明細書は、メモリカードとアンテナとの間の接続に関して記載している。しかし、具体的なアンテナの変更点および配置に関して解決法が示されておらず、アンテナはカード自体の部品ではない。中国公開特許第101013903(A)号、米国特許出願公開第2007/0158438(A1)号、韓国公開特許第20040089800(A)号、韓国公開特許第20030005088(A)号および特開2004−348235号など多くの発明が、たとえばNFC通信、RFID通信によって追加したアンテナと短距離通信することができる携帯電話の接続および利点に関して記載している。しかし、このような解決法には、既存の移動体通信装置のさらなる、及びユーザーが満足する機能性を増大できる技術的な改良例が記載されていない。
【0007】
独国特許出願公開第102007019272(A1)号明細書による発明は、追加したアンテナとSIMカードとの間のフレキシブルアンテナホルダーによる接続を記載しており、アンテナが携帯電話の遮蔽空間の外側にあることから、空間的な問題を解決するべきものである。しかし、この解決法は、全目的における使用には適しておらず、SIMカードおよび電池の取り扱いを複雑にする。
【0008】
特開2007−060076号公報による実施例に関する他の解決法では、アンテナのシステムキャリアに電池本体を使用しており、携帯電話の他の機能性を増大させる目的ではほとんど使用することができない。このほか、NFC通信用のアンテナを電話機の当初のハードウェアに直接作製する解決法が知られている。韓国公開特許第20040012401(A)号明細書、韓国公開特許第20050008622(A)号明細書などに示すこのような技術的解決法では、既存の電話に他の通信素子を搭載することができない。
【0009】
独国特許出願公開第102005026435(B3)号明細書および米国特許出願第2006/0255160(A1)号明細書による発明には、チップのほか、さらにアンテナを含むメモリカードが示されている。この発明は、アンテナが遮蔽されておらず、メモリカードを支持装置のスロットに挿入後に電磁場を十分に送受信することができるようなアンテナの具体的な位置を挙げていない。このような変更では、基本的にカードの領域全体にわたるアンテナ素子の位置を利用しており、実は伝送特性を悪化させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
チップと、電気非導電性物質で作製されたカードの基本的に薄型の外部本体と、カード接点とからなる非接触通信用の脱着可能なカードによって、上に記載する不利な点が大幅に取り除かれており、本発明によると、その理由はアンテナがカードの本体の外部非導電性表面に導電性パスの少なくとも1つのスレッドを備え、強磁性材層によって少なくとも部分的に被覆されるという事実にある。
【0011】
カードの本体の外部表面にアンテナを配置し、導電性スレッドを作製することによって、アンテナ特性が改善される。強磁性体材層によってアンテナが被覆されると、カードの遮蔽が原因となる問題が解決されるとともに、アンテナの同調が安定化する。
【0012】
特定の装置のスロットに挿入すると、カードの大部分がスロットの金属片によって電磁遮蔽される。主として、メモリカードの薄さに関連して面積が極めて小さくなっているスロット挿入間隙の断面に、遮蔽されていない部分が残る。カードに強磁性材を塗布すると信号伝送に関して適切な物理特性を備えた重要な素子となり、塗布領域が面的に広がることによって、電磁場を制御し、周囲からカードの表面のアンテナに電磁場を移す条件が生み出される。所望の送受信特性を得るには、好適には、接点側とは反対側にある強磁性材層がカードの本体領域の周縁部、好ましくはカードの縁部まで達している。技術的な観点からは、強磁性材が接点以外のカードの領域全体を被覆するのが容易かつ好適である。
【0013】
脱着可能なカードの標準寸法比率を既定の許容値以内に維持するには、カードの外部本体の領域表面上部のアンテナ導電性パスの片勾配と強磁性材層の厚さの和が0.15mm以下、好ましくは最大100μmとなる必要がある。そうすれば、特定の寸法比率のカードの外部本体を開発したり、作製したりする必要性がなく、共通脱着可能なメモリカードのスロットに本発明による脱着可能なカードを用いることが可能である。真空に対する強磁性材の相対透磁率は30〜180、好ましくは50〜150である。
【0014】
有利な改良例では、アンテナは、カードの一表面(上部または下部)に導電性パスの6〜10本、好ましくは8本のスレッドを取り付けることによって作製され、カードの両表面は強磁性材層で被覆される。アンテナは実際には2つの強磁性材層間に取り付けられる。
【0015】
良好な伝送特性の観点からは、好適には、導電性パスのスレッド幅が75〜125μm、好ましくは100μmである。可能な一改良例では、強磁性材層は、幅が75〜125μm、好ましくは100μmの金属箔の形態である。強磁性材層は有利には、たとえば酸化鉄FeまたはFeと二価金属との化合物を含む鉄金属箔からなる。
【0016】
1つのアンテナによる解決法に関しては、好適には、スレッドが四角形の領域に螺旋状に取り付けられる。技術的な観点からは、このような構造の隅部は曲線である。四角形の一辺が接点側とは反対側の辺のカードの本体領域の周縁部、好ましくはカードの縁部まで達している。これは、アンテナの縁部がカードの本体の縁部、言わば適切なスロットに挿入後、基本的にスロットの外側、実際にはできるかぎりスロットの外縁部に近接し、換言すれば実質的にはカードが取り出される縁部に取り付けられることを意味している。四角形の反対側の辺は、カードの本体領域の高さの2/3、好ましくは1/2を超えず、四角形の側辺はカードの本体領域の周縁部、好ましくはカードの縁部まで達している。この改良例ではカードの領域のこのような一部を良好に使用でき、これにより安定した電磁波の送信が可能となる。アンテナ領域を保持するためにカードのさらに深い部分を使用しても効果はなく、総合伝送特性が劣化することさえある。
【0017】
広く普及しているmicroSD(商標)形式のカードを使用する観点から、改良例では、有利には、アンテナの記載した領域が直角形、好ましくは3.5mm〜6.5mm×6mm〜10mm、好ましくは5mm×8.5mmの長方形である。
【0018】
同調の観点から、アンテナは有利には、容量素子、たとえばキャパシタに直列接続される。この直列共振回路は、カードの本体を適切なスロットに挿入後に13.0〜15.0MHzの周波数、好ましくは14MHzの周波数に同調させる。アンテナが容量素子の位置とは反対側に取り付けられた抵抗と直列接続される。抵抗は10〜18Ω、好ましくは14Ωである。今まで使用されてきたアンテナ信号を処理する方法とは異なり、本発明による解決法においては、好適には、信号が容量素子の接続される側から1番目と2番目のスレッドの間で読み取られる。受信回路の複素入力インピーダンスは、14MHzの周波数でXf=14MHz=4000Ω−j2200Ωである。
【0019】
カードの外部本体は、熱可塑性補助材、好ましくはPA6/6Tおよび/またはLCPおよび/またはPBTおよび/またはPETのポリマー型で作製されており、溝を彫って導電性パスを溝表面に十分付着させる良好な条件を生み出す。同じ効果を得るために、少なくともカードの本体の導電性パスが延びる場所を、上記の材料の層で被覆することができる。使用される層は、少なくとも導電性パスの高さに達する必要がある。
【0020】
この脱着可能なカードには、接点部分の外側にあるカードの本体領域とは反対側に位置する螺旋誘導コイルのような形状の2つのアンテナを備えた改良例があり、コイルはカードの本体の金属間隙を介して接続される。カードでは、この接続が当初から実装されている内部素子の妨げとならない位置で実施される。カードの両領域は強磁性材で被覆され、被覆範囲はカードの縁部、言わば接点部分の反対側の領域の端部まで達する。スロット挿入間隙の縁部には強磁性金属箔があり、スロットケースの金属部部分によって電磁遮蔽されていない。この改良例では、電磁場流のファンネル効果が得られる。
【0021】
アンテナ素子の他の改良例には、アンテナの導電性パスがカードの本体の周囲にわたって巻かれる場合の解決法がある。導電性パスのスレッドは、カードの本体の一領域を斜めに横切り、および/または、カードの本体の反対側領域までカードの本体の縁部に沿って曲がって延び、カードの本体の反対側の領域を横切る。スレッドの量に応じて、スレッドがこのようにカードの本体に繰り返し巻かれる。カードの本体表面の導電性パスの方向はカードの本体の縁部に対して垂直であり、導電性パスの斜めまたは湾曲する部分において、隣接するスレッドとの間に必要とされる位置ずれがカードの本体の縁部に生じる。この改良例では、カードの領域に対して垂直方向かつ平行方向にスレッドを備える誘導コイルを作製する。このような構造のために、上に記載の両方向に電磁界を送受信することが可能となる。本願明細書に記載の脱着可能なカードによる信号の非接触送信に関して問題が発生した場合、移動体通信装置を、脱着可能なカードの位置で適切な通信構成要素、たとえばPOS端末に接近させ、アンテナが送信機の近傍で直接放射される電磁場を処理できるようにすると、改善可能である。スレッドの効率を高めるには、周囲に巻かれた導電性パス全体が互いに平行であることが好適である。
【0022】
2つのアンテナを用いる場合、第1アンテナの第1接点はチップに接続され、第1アンテナの第2接点は接地および第2アンテナの第1接点に接続され、第2アンテナの第2接点はチップに接続される。全システムは2つの近接した共振周波数を備えており、このため、広範囲で同調される。この範囲は、カードを装置のスロットに挿入した後の、同調されていないシステムを考慮すると必要である。要求される最終周波数は13.56MHzである。この周波数は、周囲からの外的影響がなければ、13.4〜13.7MHz、好ましくは13.5〜13.6MHzの異なる周波数に同調したアンテナによって受信することができる。
【0023】
機能特性を高めるには、脱着可能なカードは有利にはメモリカード、好ましくはmicroSD(商標)形式またはSD(商標)形式もしくはminiSD(商標)形式である。
【0024】
本発明によって保護する主題は、携帯電話を使用して決済アプリケーション用の非接触回線を確立するために、携帯電話に上に記載の脱着可能なカードを利用することそのものである。
【0025】
このほか、本発明による、脱着可能なカードの本体に非導電性物質でアンテナを作製する方法によって、現状の不利な点がかなり取り除かれており、これについて重要なのは、最初に、好ましくはレーザー光によって、導電性パスの形状の溝がカードの本体表面に彫られることである。溝の深さはカードの本体の完全性を損なうものではなく、通常0.005〜0.05mmを超えない。アンテナ接点がチップに接続され、表面または両領域の表面にアンテナを少なくとも部分的に被覆する強磁性金属箔が塗布されるため、溝は導電材、好ましくは金含有合金で満たされる。好適には、溝が導電材でカードの周囲表面の高さまで満たされる。
【0026】
導電性パスをカードの本体に良好に付着させ、容易に溝を彫るには、有利には、好ましくはPA6/6Tおよび/またはLCPおよび/またはPBTおよび/またはPETの熱可塑性補助材層まで溝を彫る。これは、溝を彫る前に、カードの本体の基材を選択するか、カードの本体の表面に所望の材料の層を塗布することによって実現できる。
【0027】
本発明は、図1〜7によりさらに詳細に説明される。導電性パスをさらに明確に示すために、図3〜5には尺度を示さず、関連実施例に記載の実際の巻き数は記載していない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】反対側の領域に2つのアンテナを備えた脱着可能なカードの投影図である。
【図2】層および導電性パスを示す脱着可能なカードの断面図である。
【図3】導電性パスの巻線を周囲に巻いた状態の、脱着可能なカードの立体図である。
【図4】導電性パスの巻線を周囲に巻いた状態のカードの立面図および断面図であり、立面図は、反対側領域の平行な導電性パスに対する一領域の導電性パスの典型的な位置ずれを示す図である。
【図5】強磁性材層および導電性パスの長手方向の断面図である。
【図6】8つのスレッドからなる螺旋状の誘導素子の接続の配置を示し、さらにアンテナと受信回路との間の接続点を示す図である。
【図7】カードの一領域に8つのスレッドアンテナを備えたmicroSD(商標)メモリカードの図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0029】
本実施例は、2本のアンテナ4を備えた、パラメータが15×11×0.7mmの脱着可能なmicroSD(商標)カードについて説明する。カードの本体1の領域2には13.5MHzの周波数に同調させた第1のアンテナと13.56MHzの周波数に同調させた第2のアンテナがある。アンテナ素子は、カードの領域2の反対側に基本的に取り付けられた螺旋状誘導コイルで作製されている。コイルはカードの本体1のカードの金属間隙8を介して接合されており、接合部を有する間隙8はカードの内部素子の妨げにならない。アンテナ4の全体のインピーダンス特性は、携帯電話のスロットに挿入後に共振周波数13.56MHzに設定されている。アンテナ4を作製することによって、調整可能なパラメータは導電性パス5の厚さ、導電性パス5の間隙の大きさおよびコイルのスレッド数10となる。第1アンテナ4の第1接点はチップの出口接点に接続され、第1アンテナ4の第2接点は接地および第2アンテナ4の第1接点に接続される。第2アンテナ4の第2接点は、チップの他方の出口接点に接続される。
【0030】
初めに、PBTポリマー型の層9がカードの両領域に塗布される。このため、レーザーによって導電性パス5の形状の溝がカードの領域2の層に焼き付けられる。導電性パス5は、溝形を金合金で満たすことによって作製される。さらに、カードの両領域2に厚さ0.05mmの層7が設けられる。強磁性箔の真空中の相対透磁率は50である。
【実施例2】
【0031】
尺度を示していない概略図3〜5によれば、アンテナ4は周囲の巻線によってカードの本体1に巻かれている。カードの本体1はLCPポリマー型からなる。導電性パス5はカードの本体1の領域2を横切り、実際にはカードの縁部3に直交する。さらに、導電性パスはカードの本体1の縁部3に沿って45度の角度で斜めにカードの本体1の反対側領域2まで続き、カードの本体1の他方の縁部3を横切り、これを繰り返してカードの本体1に巻かれる。導電性パスは互いに平行であり、本実施例では幅が0.15mmである。上部領域2の導電性パス5の巻線と下部領域2の連続巻線との間には、0.7mmの位置ずれがある。カードの本体1の縁部3の導電性パス5の傾きによって、カードの反対側領域2の導電性パス5の位置を連続してずらすことができる。カードの領域2の隣接導電性パス間の間隙は、本実施例では0.1〜0.15mmである。導電性パス5の高さは0.03mmである。本実施例では、アンテナ4は35回巻かれた導電性パス5の巻線からなり、接点6側の反対側の縁部3から巻き始め、カードの反対端から約5mmの地点で巻き終わる。強磁性材層9の厚さは0.04mmである。
【実施例3】
【0032】
本実施例の脱着可能なカードは、パラメータが約15mm×11mmのmicroSD形式の本体1を有するメモリカードである。このカードは、カードの一領域2に作製されたアンテナ4を含む。アンテナ4は8つのスレッド10からなり、カードの両領域2は厚さ100μmの鉄箔で被覆されており、アンテナ4はその箔の下に設けられる。鉄箔の相対透磁率は50〜150である。接点6以外のカードのほぼ全領域2が被覆される。
【0033】
スレッド10の幅は100μm、スレッド10間の間隙は100μmである。アンテナ4のスレッド10は、パラメータが5mm×8.5mm、隅部が曲線の長方形の枠線となるように成形されている。アンテナ4は3辺がカードの本体1の領域2の周縁部に近接している。アンテナ4の外枠線をなす長方形の1辺は、接点6側とは反対側にあるカードの本体1領域2の周縁部まで達し、基本的にカードの本体1の縁部3に達している。アンテナ4の外枠線をなす長方形の2つの側辺はカードの本体1の領域2の側面周縁部に達している。アンテナ4の規定のパラメータが5mmの場合、アンテナ4はカードの本体1の領域2の高さの1/2までは干渉せず、アンテナ4の上縁部は接点6が取り付けられているmicroSD(商標)カードの縁部から約9mmの位置にある。
【0034】
アンテナ4は本願明細書ではキャパシタとして機能する容量素子12と直列接続される。この直列共振回路は、カードの本体1を携帯電話の適切なスロットに装入した後に、14MHzの周波数に同調される。アンテナ4は抵抗11と直列接続されるが、この抵抗11は容量素子12の位置とは反対側で接続される。抵抗値は14Ωである。受信回路13は、容量素子12が接続される側から1番目と2番目のスレッド10の間でアンテナ4に接続される。上に示す側の1番目と2番目のスレッド10との間で、アンテナ4からの信号が読み取られる。受信回路13の複素入力インピーダンスは、周波数14MHzでXf=14MHz=4000Ω−j2200Ωである。
【0035】
本実施例による脱着可能なメモリカードは、携帯電話で使用するために提供される。本来はメモリ拡張に用意された適切なスロットにカードを挿入するほか、カードおよび携帯電話に実装される、特定のソフトウェアで動作する装置によって、携帯電話と携帯電話を用いる決済アプリケーション用の外部決済構成要素との間に非接触回線が確立される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
産業上の利用可能性は明らかである。本発明によると、メモリカードを挿入するスロットを備えた移動体通信装置内のNFCチップの規格を主に使用する、非接触通信用の繰り返し脱着可能なカードを、産業的に作製することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 カードの本体
2 カードの領域
3 カードの縁部
4 アンテナ
5 導電性パス
6 接点
7 強磁性材層
8 間隙
9 熱可塑性補助材層
10 スレッド
11 抵抗
12 容量素子
13 受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ(4)と、チップと、主に電気的非導電性材で作製されたカードの薄型外部本体(1)と、移動体通信装置の回路に接続するカード接点(6)を備え、前記アンテナ(4)は前記カードの本体(1)の外部非導電性表面に導電性パス(5)の少なくとも1つのスレッド(10)で作製され、強磁性材層(7)によって少なくとも部分的に被覆され、前記層(7)は、カードの本体(1)の一表面または両表面(2)にあることを特徴とする、非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項2】
接点(6)側の反対側の前記強磁性材層(7)が前記カードの本体(1)領域(2)の周縁部まで達し、好ましくは前記カードの本体(1)の縁部(3)に達することを特徴とする、請求項1に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項3】
カードの外部本体(1)の領域(2)の上部の前記導電性パス(5)の片勾配と前記強磁性材層(7)の厚さとの和が最大0.15mm、好ましくは最大100μmであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項4】
前記強磁性材の真空に対する相対透磁率が30〜180、好ましくは50〜150であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項5】
前記アンテナ(4)は、導電性パス(5)の6〜10本、好ましくは8本のスレッド(10)を備えたカードの一領域(2)からなり、カードの両領域(2)は前記強磁性材層(7)で被覆され、アンテナ(4)が前記強磁性材層(7)間に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項6】
前記導電性パス(5)の前記スレッド(10)の幅が75〜125μm、好ましくは100μmであり、前記スレッド(10)間隔が75〜125mμ、好ましくは100μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項7】
前記強磁性材層(7)は、厚さが75〜125μm、好ましくは100μmの箔の形状であり、有利には鉄箔で作製されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非接触脱着可能なカード。
【請求項8】
前記スレッド(10)は、四角形の領域に螺旋状に取り付けられ、好ましくは隅部が曲線であり、前記四角形の一辺が接点(6)側とは反対側の辺の前記カードの本体(1)領域(2)の周縁部、好ましくは前記カードの本体(1)の縁部(3)に達し、前記四角形の反対側が前記カードの本体(1)領域(2)の2/3、好ましくは高さの1/2を超えず、前記四角形の側辺がいずれも前記カードの本体(1)領域(2)の周縁部、好ましくは前記カードの本体(1)の縁部(3)に達していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項9】
前記四角形は、パラメータが3.5〜6.5mm×6〜10mm、好ましくは5mm×8.5mmの直角形であることを特徴とする請求項8に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項10】
前記アンテナ(4)は、容量素子(12)と直列接続され、このような共振回路が前記カードの本体(1)を適切なスロットに挿入後に測定した最終周波数13.0〜15.0MHz、好ましくは14MHzに同調されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項11】
前記アンテナ(4)は、前記容量素子(12)が配置される側の反対側にある抵抗(11)に直列接続されることを特徴とする、請求項10に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項12】
前記抵抗(11)値が10〜18Ω、好ましくは14Ωであることを特徴とする、請求項11に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項13】
前記アンテナ(4)の信号は、前記容量素子(12)側から1番目と2番目のスレッド(12)の間で読み取られることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項14】
受信回路の複素入力インピーダンスが周波数14MHzでXf=14MHz=4000Ω−j2200Ωであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項15】
前記カード、好ましくはmicroSDまたはSD(商標)またはminiSD(商標)の前記カードの外部本体(1)は、熱可塑性補助材、好ましくはPA6/6Tおよび/またはLCPおよび/またはPBTおよび/またはPETのポリマー型であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項16】
前記外部本体(1)は、少なくとも導電性パス(5)が延びる場所が、熱可塑性補助材、好ましくはPA6/6Tおよび/またはLCPおよび/またはPBTおよび/またはPETのポリマー型の層によって被覆されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項17】
前記カードは接点(6)外側のカードの本体(1)の領域(2)の反対側に位置する螺旋誘導コイルの形状の2つのアンテナ(4)を備え、前記コイルは前記カードの本体(1)の間隙(8)を通じて結合されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項18】
前記アンテナ(4)の前記導電性パス(5)は、周囲に沿って前記カードの本体(1)に巻かれ、導電性パス(5)のスレッド(10)は、カードの本体(1)の一領域(2)を斜めに横切り、および/または、カードの本体の反対側領域までカードの本体(1)の縁部(3)に沿って曲がって延び、カードの本体(1)の反対側の領域(2)を横切り、前記スレッド(10)の量に従って前記カードの本体(10)に繰り返し巻かれることを特徴とする、請求項1〜4または6、7、8、10〜16のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項19】
前記導電性パス(5)が互いに平行であることを特徴とする、請求項18に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項20】
前記カードは、2つのアンテナ(4)を備え、第1アンテナ(4)の第1接点がチップに接続され、前記第1アンテナ(4)の第2接点が接地および第2アンテナ(4)の第1接点に接続され、前記第2アンテナ(4)の第2接点がチップに接続されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項21】
前記2つのアンテナ(4)は13.4〜13.7MHz、好ましくは13.5〜13.6MHzで別々に同調されることを特徴とする、請求項20に記載の非接触通信用の脱着可能なカード。
【請求項22】
移動体通信装置、好ましくは携帯電話での請求項1〜21のいずれか1項に記載の脱着可能なカードの使用であって、移動体通信装置と決済アプリケーション用の読取装置との間に非接触通信接続を確立し、前記非接触通信接続はカードの本体(1)の表面または内部に取り付けるアンテナ(4)によって実現され、前記アンテナは強磁性材層(7)で遮蔽され、前記層(7)は前記カードの本体(1)の一表面または両表面(2)にあり、カードが接点(6)を介して移動体通信装置に接続されることを特徴とする、使用。
【請求項23】
脱着可能なメモリカードの本体に導電性パス(5)の少なくとも1つのスレッド(10)を備え、電気非導電性物質で作製されたカードの表面に接点(6)を備え、前記非導電性物質に導電性パス(5)およびスレッド(10)の形状の溝を好ましくはレーザー光によって彫り、前記溝を導電材、好ましくは金合金で満たすアンテナの作製方法であって、前記本体(1)表面の前記アンテナ(4)の接点が前記カードの本体(1)のチップに接続され、前記アンテナ(4)を少なくとも部分的に被覆する強磁性材層(7)が一表面または両表面(2)に塗布されることを特徴とする、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の脱着可能なカードの本体領域にアンテナを作製する方法であって、前記溝の深さは最大0.05mmであり、前記溝は好ましくは前記カードの周囲表面の高さまで導電材で満たされることを特徴とする、方法。
【請求項25】
前記溝を深くする前に前記カードの本体(1)表面に熱可塑性補助材、好ましくはPA6/6Tおよび/またはLCPおよび/またはPBTおよび/またはPET型の層(9)を塗布することを特徴とする、請求項23または請求項24に記載の脱着可能なカードの本体領域にアンテナを作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−501143(P2012−501143A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524479(P2011−524479)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053513
【国際公開番号】WO2010/023574
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511030415)
【氏名又は名称原語表記】LOGOMOTION S.R.O.
【住所又は居所原語表記】Winterova 15, 921 01 Piest’any, Slovakia
【Fターム(参考)】