説明

非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置の製造方法

【課題】携帯端末装置の組立後の周波数調整工程を設けることなく、非接触ICカードの周波数を所望の周波数帯内へ調整すること。
【解決手段】本発明は、非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置の製造方法に適用される。本発明の製造方法は、前記非接触ICカードのアンテナを製造する工程と、前記アンテナを、周波数特性を基に分類する工程と、前記アンテナ以外の部品を基板に搭載する工程と、前記基板を、前記部品を搭載した状態での周波数特性を基に分類する工程と、前記アンテナが分類された区分と前記基板が分類された区分とを基に、前記アンテナと前記基板とを組み合わせ、組み合わせた前記アンテナと前記基板とを筐体に組み込むことで前記携帯端末装置を製造する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置が普及しはじめている。
【0003】
例えば、携帯電話機に非接触ICカードを内蔵することにより、携帯電話機を財布や鍵の代わりに使用することが可能となる。
【0004】
ただし、携帯電話機に非接触ICカードを内蔵する場合、非接触ICカードは、非接触ICカードのアンテナ周囲にある金属の影響を受けて通信品質が劣化してしまう。
【0005】
そこで、従来は、このような通信劣化の改善のために、例えば、特許文献1のように、携帯電話機の筐体等に磁性体を追加していた。
【0006】
しかしながら、携帯電話機に追加した磁性体の透磁率のばらつきに伴い、非接触ICカードのアンテナのインダクタ成分がばらついてしまう。そのため、非接触ICカードの共振周波数の製造ばらつきが拡大し、所望の周波数帯内の共振周波数を持つ非接触ICカードを製造することができないという課題があった。
【0007】
非接触ICカードの製造ばらつきを改善する方法としては、例えば、特許文献2のように、アンテナ単体で周波数調整を実施し、非接触ICカードの部品ばらつきを抑える方法や、特許文献3のように、携帯端末装置の検査工程において、コンデンサ容量値を切り替えて非接触ICカードの周波数調整を実施する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−298095号公報
【特許文献2】特開2010−063081号公報
【特許文献3】特開2010−147743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図4は、非接触ICカードの等価回路を表している。
【0010】
図4に示すように、非接触ICカードは、アンテナのインダクタ成分101と、容量値切替SW回路102と、非接触ICチップ103と、からなる回路と等価になる。
【0011】
容量値切替SW回路102は、互いに並列に配置されたn個の同調コンデンサを含み、いずれかの同調コンデンサと接続して、容量値を切り替える構成となる。
【0012】
非接触ICカードの共振周波数fは、アンテナのインダクタ値Lと、容量値切替SW回路101で切り替えた同調コンデンサの容量値CとのLC共振(式1)で構成される。
【0013】
f=1/{2π√(LxC)}・・・(式1)
携帯端末装置には、個々の部品ばらつきがあるため、非接触ICカードの共振周波数は、製造後(アンテナや基板を筐体に組み立てた後)に確定する。
【0014】
ところで、非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置は、アンテナメーカ、部品搭載メーカ、および製造メーカでの各工程を経て、製造されることになる。
【0015】
まず、アンテナメーカでは、非接触ICカードのアンテナを製造し、製造メーカへ出荷する。このアンテナは、例えば、特許文献2に記載のように、FPC(Flexible printed circuits)上にアンテナパターンが形成されたものとなる。
【0016】
その一方、部品搭載メーカでは、アンテナ以外の携帯端末装置の部品(図4の容量値切替SW回路102や非接触ICチップ103等)を基板に搭載し、製造メーカへ出荷する。なお、携帯端末装置の基板の枚数は実装に応じて決められる。
【0017】
その後、製造メーカでは、アンテナメーカから出荷されたアンテナと、部品搭載メーカから出荷された基板と、を筐体に組み立てることで携帯端末装置を製造する。この組み立ての際に、アンテナは、基板に搭載された容量値切替SW回路102および非接触ICチップ103と接続されることになる。
【0018】
ここで、アンテナメーカ、部品搭載メーカ、および製造メーカの各々で行う検査工程について、図5、図6、および図7を参照して説明する。
【0019】
図5は、従来のアンテナメーカでの検査工程フローを表している。
【0020】
図5に示すように、アンテナメーカでは、アンテナを製造した後、まず、アンテナの周波数を測定する(ステップA1)。
【0021】
次に、アンテナの周波数ばらつき幅が調整可能範囲内か確認し(ステップA2)、調整可能範囲内の場合(ステップA2:Yes)、周波数分類をして所望の周波数帯内になるパターンカット位置を決定し(ステップA4)、決定した位置でLまたはCをパターンカットして、アンテナの周波数調整を実施する(ステップA5)。
【0022】
次に、パターンカット後のアンテナの周波数ばらつき幅が規格内か確認し(ステップA6)、規格内である場合(ステップA6:Yes)、そのアンテナを製造メーカに出荷する(ステップA7)。
【0023】
また、ステップA2において、アンテナの周波数ばらつき幅が調整可能範囲内でない場合は(ステップA2:No)、そのアンテナを不良と判定する(ステップA3)。
【0024】
また、ステップA6において、パターンカット後のアンテナの周波数ばらつき幅が規格内でない場合は(ステップA6:No)、再度、周波数を測定し(ステップA1)、リスタートする。
【0025】
なお、後述のように、容量値切替SW回路の容量値切替段数が多い場合、アンテナメーカでは、アンテナの周波数調整をしない場合もある。その場合は、ステップA2〜A5の処理は削除となる。
【0026】
図6は、従来の部品搭載メーカでの検査工程フローを表している。
【0027】
図6に示すように、部品搭載メーカでは、容量値切替SW回路の容量値切替を全通り(ここでは、n通り)実施(周波数変動量の検査)して出荷する。
【0028】
部品搭載メーカでは、基板に部品を搭載した後、まず、容量値切替SW回路を初期設定した上で(ステップB1)、基板の周波数を測定する(ステップB2)。
【0029】
次に、基板の周波数ばらつき幅が規格内か確認し(ステップB3)、規格内である場合(ステップB3:Yes)、容量値切替SW回路の容量値切替をn通り実施したか確認する(ステップB5)。
【0030】
ステップB5において、n通りの容量値切替を実施していない場合は(ステップB5:No)、n通りの容量値切替を繰り返し実施し、一方、n通りの容量値切替を完了している場合は(ステップB5:Yes)、容量値切替SW回路を初期設定に戻し(ステップB6)、その基板を製造メーカに出荷する(ステップB7)。
【0031】
また、ステップB3において、基板の周波数ばらつき幅が規格内でない場合は(ステップB3:No)、その基板を不良と判定する(ステップB4)。
【0032】
図7は、従来の製造メーカでの検査工程フローを表している。
【0033】
図7に示すように、製造メーカでは、アンテナと基板を筐体に組み立てて携帯端末装置(製品)を製造した後(ステップC1)、まず、非接触ICカードの周波数を測定する(ステップC2)。
【0034】
次に、非接触ICカードの周波数ばらつき幅が調整可能範囲内か確認し(ステップC3)、調整可能範囲内の場合(ステップC3:Yes)、容量値切替SW回路による非接触ICカードの周波数調整を実施する(ステップC5)。
【0035】
次に、非接触ICカードの周波数ばらつき幅が規格内か確認し(ステップC6)、規格内である場合(ステップC6:Yes)、非接触ICカードの検査が完了となる。
【0036】
また、ステップC6において、非接触ICカードの周波数ばらつき幅が規格内でない場合(ステップC6:No)、再度、周波数調整を実施する(ステップC5)。
【0037】
また、ステップC3において、非接触ICカードの周波数ばらつき幅が調整可能範囲内でない場合は(ステップC3:No)、その携帯端末装置を不良と判定する(ステップC4)。
【0038】
図8は、従来の携帯端末装置の製造工程を表している。なお、図8では、非接触ICカードの所望の周波数帯が±50kHz(周波数規格範囲100kHz)となっている。
【0039】
図8の(i)は、アンテナメーカで周波数調整を実施していないアンテナと、部品搭載メーカで容量値切替段数が多い容量値切替SW回路を搭載した基板と、を組み合わせて、非接触ICカードを得る場合の例を表している。
【0040】
(i)の場合、(1)に示すように、アンテナメーカでは周波数調整を実施していないため、アンテナメーカから出荷されるアンテナの周波数ばらつき幅は200kHzと大きくなっている。
【0041】
また、(2)に示すように、部品搭載メーカから出荷される基板の周波数ばらつき幅は150kHzとなっている。
【0042】
そのため、(3)に示すように、製造メーカにおいて、基板とアンテナを筐体に組み立てた後の非接触ICカードの周波数ばらつき幅は350kHzとなる。
【0043】
そこで、製造メーカでは、(4)に示すように、非接触ICカードの周波数が所望の周波数帯内になるように容量値切替SW回路による周波数調整を実施し、それにより、(5)に示すように、非接触ICカードの周波数ばらつき幅を100kHz以内に抑える。
【0044】
すなわち、(i)の場合、容量値切替SW回路の容量値切替段数が多いため、アンテナ単体での周波数調整は不要であり、携帯端末装置の組立後、非接触ICカードの周波数を所望の周波数帯内へ調整することになる。
【0045】
一方、図8の(ii)は、アンテナメーカで周波数調整を実施したアンテナと、部品搭載メーカで容量値切替段数が少ない容量値切替SW回路を搭載した基板と、を組み合わせて、非接触ICカードを得る場合の例を表している。
【0046】
(ii)の場合、(1)に示すように、アンテナメーカでは周波数調整を実施しているため、アンテナメーカから出荷されるアンテナの周波数ばらつき幅は40kHzと小さくなっている。
【0047】
また、(2)に示すように、部品搭載メーカから出荷される基板の周波数ばらつき幅は150kHzとなっている。
【0048】
そのため、(3)に示すように、製造メーカにおいて、基板とアンテナを筐体に組み立てた後の非接触ICカードの周波数ばらつき幅は190kHzとなる。
【0049】
そこで、製造メーカでは、(4)に示すように、非接触ICカードの周波数が所望の周波数帯内になるように容量値切替SW回路による周波数調整を実施し、それにより、(5)に示すように、非接触ICカードの周波数ばらつき幅を100kHz以内に抑える。
【0050】
すなわち、(ii)の場合、アンテナ単体での周波数調整を実施しているため、組立後、非接触ICカードの周波数を、容量値切替段数が少ない容量値切替SW回路で、所望の周波数帯域内へ調整することになる。
【0051】
このように、(i)、(ii)のいずれの場合においても、携帯端末装置の組立後に、非接触ICカードの周波数調整工程を設け、所望の周波数帯内へ調整する必要があった。
【0052】
そこで、本発明の目的は、携帯端末装置の組立後に非接触ICカードの周波数調整工程を設けることなく、非接触ICカードの周波数を所望の周波数帯内へ調整することができる、非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0053】
本発明の非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置の製造方法は、
非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置の製造方法であって、
前記非接触ICカードのアンテナを製造する工程と、
前記アンテナを、周波数特性を基に分類する工程と、
前記アンテナ以外の部品を基板に搭載する工程と、
前記基板を、前記部品を搭載した状態での周波数特性を基に分類する工程と、
前記アンテナが分類された区分と前記基板が分類された区分とを基に、前記アンテナと前記基板とを組み合わせ、組み合わせた前記アンテナと前記基板とを筐体に組み立てることで前記携帯端末装置を製造する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、非接触ICカードのアンテナおよび基板を周波数特性に基づき分類し、分類された区分を基に、アンテナと基板とを組み合わせる。
【0055】
これにより、アンテナの周波数ばらつきと基板の周波数ばらつきとが相殺されるため、携帯端末装置の組立後に非接触ICカードの周波数調整工程を設けることなく、非接触ICカードの周波数を所望の周波数帯域内へ調整することができるという効果が得られる。
【0056】
また、携帯端末装置の組立後の非接触ICカードの周波数調整工程だけでなく、基板の周波数調整工程も不要になるため、周波数調整工程のための容量値切替SW回路が不要になるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のアンテナメーカでのアンテナの検査工程および部品搭載メーカでの基板の検査工程を説明するフロー図である。
【図2】本発明の製造メーカでの非接触ICカードの検査工程を説明するフロー図である。
【図3】本発明の携帯端末装置の製造工程を説明する図である。
【図4】非接触ICカードの等価回路図である。
【図5】従来のアンテナメーカでのアンテナの検査工程を説明するフロー図である。
【図6】従来の部品搭載メーカでの基板の検査工程を説明するフロー図である。
【図7】従来の製造メーカでの非接触ICカードの検査工程を説明するフロー図である。
【図8】従来の携帯端末装置の製造工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
まず、本発明の概要について説明する。
【0059】
アンテナメーカでは、アンテナの周波数ばらつきの中心値からのずれ量に応じて、アンテナを上限1、上限2、下限1、下限2のような区分に分類する。
【0060】
部品搭載メーカでも同様に、部品を搭載した状態での基板の周波数ばらつきの中心値からのずれ量に応じて、基板を上限1、上限2、下限1、下限2のような区分に分類する。
【0061】
製造メーカでは、アンテナの周波数上限品と基板の周波数下限品(または、その逆の組み合わせ)とを組み合わせて非接触ICカードを得る。
【0062】
これにより、アンテナの周波数ばらつきと基板の周波数ばらつきとが相殺されるため、携帯端末装置の組立後に非接触ICカードの周波数調整工程を設けることなく、非接触ICカードの周波数を所望の周波数帯内へ調整することができる。
【0063】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0064】
図1は、本発明のアンテナメーカおよび部品搭載メーカでの検査工程フローを表している。
【0065】
図1に示すように、アンテナメーカでは、アンテナを製造した後、まず、アンテナの周波数を測定する(ステップD1)。
【0066】
次に、アンテナの周波数ばらつき幅が規格内か確認し(ステップD2)、規格内である場合(ステップD2:Yes)、周波数ばらつきの中心値からのずれ量に応じて、アンテナを分類し(ステップD4)、製造メーカに出荷する(ステップD5)。
【0067】
また、ステップD2において、アンテナの周波数ばらつき幅が規格内でない場合(ステップD2:No)、そのアンテナを不良と判定する(ステップD3)。
【0068】
一方、部品搭載メーカでも同様に、基板に部品を搭載した後、まず、基板の周波数を測定する(ステップD1)。
【0069】
次に、基板の周波数ばらつき幅が規格内か確認し(ステップD2)、規格内である場合(ステップD2:Yes)、周波数ばらつきの中心値からのずれ量に応じて、基板を分類し(ステップD4)、製造メーカに出荷する(ステップD5)。
【0070】
また、ステップD2において、基板の周波数ばらつき幅が規格内でない場合(ステップD2:No)、その基板を不良と判定する(ステップD3)。
【0071】
なお、アンテナおよび基板の分類方法については図3で説明する。
【0072】
図2は、本発明の製造メーカでの検査工程フローを表している。
【0073】
図2に示すように、製造メーカでは、アンテナが分類された区分と基板が分類された区分とを基に、アンテナと基板とを組み合わせ、組み合わせたアンテナと基板とを筐体に組み立てることで携帯端末装置(製品)を製造する(ステップE1)。
【0074】
次に、非接触ICカードの周波数を測定し(ステップE2)、周波数ばらつき幅が規格内か確認し(ステップE3)、規格内である場合(ステップE3:Yes)、非接触ICカードの検査が完了となる。
【0075】
また、ステップE3において、非接触ICカードの周波数ばらつき幅が規格内でない場合(ステップE3:No)、その携帯端末装置を不良と判定する(ステップE4)。
【0076】
図3は、本発明の携帯端末装置の製造工程を表している。なお、図3では、非接触ICカードの所望の周波数帯が±50kHz(周波数規格範囲100kHz)となっている。
【0077】
(1)は、アンテナメーカにより、アンテナのインダクタ値ばらつき200kHzを分類した結果を表している。
【0078】
非接触ICカードの所望の周波数帯が±50kHzなので、1区分の幅は50kHzとして各区分の周波数帯を決定する。
【0079】
各区分の周波数帯は以下となる。
【0080】
区分A:−100kHz〜−50kHz
区分B:−50kHz〜0kHz
区分C:0kHz〜+50kHz
区分D:+50kHz〜+100kHz
(2)は、部品搭載メーカにより、基板の容量値ばらつき150kHzを分類した結果を表している。
【0081】
アンテナと同様に1区分の幅は50kHzとして各区分の周波数帯を決定する。
【0082】
各区分の周波数帯は以下となる。
【0083】
区分a:−75kHz〜−50kHz
区分b:−50kHz〜0kHz
区分c:0kHz〜+50kHz
区分d:+50kHz〜+75kHz
(3)は、製造メーカにより、アンテナおよび基板を、それぞれ区分の上限と下限とが互いに組になるように、Axd、Bxc、Cxb、Dxaのそれぞれで組み合わせて、筐体に組み立てた結果を表している。
【0084】
このとき、各組み合わせにおける非接触ICカードの周波数ばらつきは以下となる。
【0085】
(A)Axdの組み合わせ
−側・・・A_下限(−100kHz)+d_下限(+50kHz)→−50kHz
+側・・・A_上限(−50kHz)+d_上限(+75kHz)→+25kHz
ワーストばらつき幅・・・75kHz
(B)Bxcの組み合わせ
−側・・・B_下限(−50kHz)+c_下限(0kHz)→−50kHz
+側・・・B_上限(0kHz)+c_上限(+50kHz)→+50kHz
ワーストばらつき幅・・・100kHz
(C)Cxbの組み合わせ
−側・・・C_下限(0kHz)+b_下限(−50kHz)→−50kHz
+側・・・C_上限(+50KHz)+b_上限(0kHz)→+50kHz
ワーストばらつき幅・・・100kHz
(D)Dxaの組み合わせ
−側・・・D_下限(+50kHz)+a_下限(−75kHz)→−25kHz
+側・・・D_上限(+100kHz)+a_上限(−50kHz)→+50kHz
ワーストばらつき幅・・・75kHz
このように、全ての組み合わせにおいて、非接触ICカードの周波数帯が±50kHz(周波数ばらつき幅100kHz)となる。
【0086】
したがって、(4)に示すように、携帯端末装置の組立後に容量値切替SW回路による非接触ICカードの周波数調整工程を設けなくとも、(5)に示すように、非接触ICカードの所望の周波数帯が±50kHz(周波数規格範囲100kHz)となる携帯端末装置を製造可能である。
【0087】
また、非接触ICカードの所望の周波数帯が広い場合は、アンテナおよび基板の区分の数を減らし、非接触ICカードの所望の周波数帯が狭い場合は、アンテナおよび基板の区分の数を増やすこと等で対応可能である。
【0088】
また、携帯端末装置の筐体等に追加する磁性体の透磁率が改良され、高透磁率品等の要因でアンテナの周波数ばらつき幅が200kHzを超える場合は、アンテナメーカにてアンテナの周波数ばらつき幅を200kHz以内に調整することで対応可能である。
【0089】
上述したように本実施形態においては、非接触ICカードのアンテナおよび基板を周波数特性に基づき分類し、分類された区分を基に、アンテナと基板とを組み合わせる。
【0090】
これにより、アンテナの周波数ばらつきと基板の周波数ばらつきとが相殺されるため、携帯端末装置の組立後に非接触ICカードの周波数調整工程を設けることなく、非接触ICカードの周波数を所望の周波数帯内へ調整することができるという効果が得られる。
【0091】
また、携帯端末装置の組立後の非接触ICカードの周波数調整工程だけでなく、基板の周波数調整工程も不要になるため、周波数調整工程のための容量値切替SW回路が不要になるという効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、非接触ICカードを内蔵した携帯電話機、携帯型PC等の携帯情報処理端末等に利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
101 アンテナのインダクタ成分
102 容量値切替SW回路
103 非接触ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICカードを内蔵した携帯端末装置の製造方法であって、
前記非接触ICカードのアンテナを製造する工程と、
前記アンテナを、周波数特性を基に分類する工程と、
前記アンテナ以外の部品を基板に搭載する工程と、
前記基板を、前記部品を搭載した状態での周波数特性を基に分類する工程と、
前記アンテナが分類された区分と前記基板が分類された区分とを基に、前記アンテナと前記基板とを組み合わせ、組み合わせた前記アンテナと前記基板とを筐体に組み立てることで前記携帯端末装置を製造する工程と、を有する製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−137824(P2012−137824A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287978(P2010−287978)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】