説明

非接触RFタグ読み取り装置及び非接触RFタグ読み取り方法

【課題】通信時間を短縮することにより、読み取り時間の無駄を低減することを可能とする非接触RFタグ読み取り装置及びその読み取り方法を提供する。
【解決手段】RFタグと交信を行い、RFタグが保有する記録情報の読み取りを行う非接触RFタグ読み取り装置100において、第一のアンテナ1と、第一のアンテナ1から受信した信号が入力される制御部7と、を備え、制御部7は、第一の判別期間において、第一のアンテナ1が受信した信号に基づいてRFタグの枚数の状態を判別し、第一の判別期間においてRFタグの存在が確認された場合には、第一の認識期間において、第一の判別期間で得られたRFタグの枚数の状態に合あわせて、RFタグの記録情報G1を読み取る条件を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触RFタグ読み取り装置及び非接触RFタグ読み取り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、物品や商品に製造番号や品番などのID情報を書き込んだRF(RadioFrequency)タグを貼り付け、リーダと呼ばれる読み取り装置でRFタグが保有するID情報を非接触で読み取ることにより、物品等の管理などを行うRFID(RadioFrequency IDentification)技術の研究開発が進められている。
【0003】
RFID通信に用いられる通信方式として、電磁誘導方式、電波方式、光方式等があり、利用する周波数(あるいは波長)によって使い分けられている。
【0004】
電磁誘導方式とは、長波帯や短波帯を利用し、コイルアンテナの近傍に発生する磁界を伝送する方式である。例えば、特許文献1に電磁誘導方式を用いたデータ通信装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−92352号公報
【0006】
一方、電波方式とは、UHF帯やマイクロ波帯を利用し、ダイポールアンテナなどのアンテナの近傍に発生する電波を伝送する方式である。電波方式を利用したリーダは、POSシステムなどの物品管理システムに使用されている。例えば、コンビニエンスストアの商品管理用にハンディータイプの小型リーダが用いられている。このような小型リーダの実装面積は限られているため、アンテナと制御回路基板とが一体化したモジュールで設計されることが要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の読み取り装置では、読み取り時間において、無駄な時間があった。なぜならば、読み取り装置がRFタグからID情報を読み取る際、任意のスロットと呼ばれる時間の割り当ての数を指定し、RFタグへ読み取り用の命令コマンドを送信する。RFタグは、割り当てられた任意のスロットの中から、乱数を使用して選択したスロットで、保有するID情報を返信する。この時、各RFタグは、送信スロット番号を独立に決定するため、複数個のタグが同一のスロット番号でそれぞれが保有するID情報を送信する可能性や、使われない無駄なスロット番号が発生する可能性があった。従って、読み取り時間において、無駄な時間が生じるといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、通信時間を短縮することにより、読み取り時間の無駄を低減すること可能とする非接触RFタグ読み取り装置及び非接触RFタグ読み取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、RFタグと交信を行い、RFタグが保有する記録情報の読み取りを行う本発明の非接触RFタグ読み取り装置は、第一のアンテナと、第一のアンテナから受信した信号が入力される制御部と、を備え、制御部は、第一の判別期間において、第一のアンテナが受信した信号に基づいてRFタグの枚数の状態を判別し、第一の判別期間においてRFタグの存在が確認された場合には、第一の認識期間において、第一の判別期間で得られたRFタグの枚数の状態に合わせて、RFタグの記録情報G1を読み取る条件を変更することを特徴とする。
【0010】
RFタグの記録情報を読み取る際、読み取るべきRFタグの数は未知である。従来の読み取り装置では、RFタグが存在しない場合や一つしか存在しない場合であっても、無駄な読み取り通信を行っており、読み取り時間に無駄な時間が生じていた。そこで、本発明によれば、まずRFタグの枚数の状態を判別してから、その判別結果に合わせて、RFタグの記録情報を読み取る条件を変更する。これにより、無駄な通信時間が無くなるため、読み取り時間の無駄を低減することが可能となる。
【0011】
本発明の非接触RFタグ読み取り装置において、第一のアンテナの指向性と異なる指向性を有する第二のアンテナと、第一のアンテナ及び第二のアンテナの選択を切り替えるアンテナ切替え手段と、を更に備え、制御部において、アンテナ切替え手段を介して第二のアンテナから受信した信号が選択的に入力され、第一の判別期間において、アンテナ切替え手段が第一のアンテナを選択し、第一のアンテナが受信した信号に基づいてRFタグの枚数の状態を判別し、第二の判別期間において、アンテナ切替え手段が第二のアンテナを選択し、第二のアンテナが受信した信号に基づいてRFタグの枚数の状態を判別し、第一の判別期間においてRFタグの存在が確認された場合には、第一の認識期間において、第一の判別期間で得られたRFタグの枚数の状態に合わせて、RFタグの記録情報G1を読み取る条件を変更し、第二の判別期間においてRFタグの存在が確認された場合には、第二の認識期間において、第二の判別期間で得られたRFタグの枚数の状態に合わせて、RFタグの記録情報G2を読み取る条件を変更することを特徴とする。
【0012】
このように、互いに指向性の異なる第一のアンテナ及び第二のアンテナを切り替えて用いることにより、信号をより広範囲な方向から受信できるため、通信距離を長くすることが可能となり、確実にRFタグを読み取ることが可能となる。
【0013】
本発明の非接触RFタグ読み取り装置において、制御回路は、第一の認識期間において読み取った記録情報G1及び第二の認識期間において読み取った記録情報G2を記録する記録部と、記録部に記録された記録情報G1及びG2を和集合の情報として出力する制御を行う出力制御部と、を有することを特徴とする。
【0014】
このように、記録部に記録された記録情報G1及びG2が和集合の情報として出力されるため、読み取り装置が読み取った全てのRFタグの記録情報を認識することが可能となる。また、記録部に記録された記録情報G1及びG2を分けて送信するのではなく、一度に出力先に送信できるため、出力先は送信された記録情報を簡易的な処理で表示することが可能となる。
【0015】
本発明の非接触RFタグ読み取り装置において、第一のアンテナ又は第二のアンテナへ搬送波を変調した変調信号を送信する送信回路部と、第一のアンテナ又は第二のアンテナから受信した信号を復調し制御部に復調信号を入力する受信回路部とを更に備え、第一の判別期間、第二の判別期間、第一の認識期間、及び第二の認識期間を通じて、送信回路部から搬送波が連続的に発振していることを特徴とする。
【0016】
送信回路部からの搬送波が一旦停止してしまうと、他の読み取り装置との干渉抑制のために、一定の時間、送信回路部からの搬送波を停止しなければならい。従って、送信回路部からの搬送波を再開するまで無駄な時間がかかってしまうといった問題があった。このようなタイムロスは、物品管理などを行う際、作業時間を短縮する妨げとなるため好ましくない。対して、本発明のように、第一の判別期間、第二の判別期間、第一の認識期間、及び第二の認識期間を通じて、送信回路部からの搬送波が連続的に発振している状態で、RFタグを全て読み取ることにより、読み取り時間における無駄な時間を抑制することが可能となる。
【0017】
本発明の非接触RFタグ読み取り装置において、制御部は、第一の判別期間において、スロット数を1個に設定し、RFタグからの応答信号を判定することによって、前記RFタグの枚数の状態として、RFタグが単数であるか複数であるかを判別することを特徴とする。
【0018】
一般的に、RFID通信では、フレーム内の複数のスロット(時間的な割り当て)をRFタグがランダムに選択する。一方、本発明では、第一の判別期間において、フレーム内のスロットを一つに設定するため、必然的にRFタグは設定した一つのスロットを選択することが可能となる。これにより、使われない無駄なスロットによる通信時間の増加を抑制することが可能となる。さらに、RFタグからの応答信号を判定することによって、RFタグが単数であるか複数であるかを判別するため、信頼性の高い判別結果を得ることが可能となる。
【0019】
本発明の非接触RFタグ読み取り装置において、制御部は、第一の判別期間又は第二の判別期間において判別した、RFタグの枚数の状態が単数である場合には、第一の認識期間又は第二の認識期間において、スロット数を単数に設定することにより、RFタグの記録情報G1を認識し、第一の判別期間又は第二の判別期間において判別した、RFタグの枚数の状態が複数である場合には、第一の認識期間又は第二の認識期間において、スロット数を予め定められた複数個Xに設定することにより、RFタグの記録情報G2を認識することを特徴とする。
【0020】
このように、RFタグからの応答信号を判定することにより得られたRFタグの枚数の状態に合わせて、第一の認識期間及び第二の認識期間において、スロット数を単数又は複数に変更して読み取りを行う。これにより、記録情報を認識する際における無駄なスロットを設定しなくて済むため、無駄な通信が無くなり、読み取り時間の無駄をより一層低減することが可能となる。
【0021】
RFタグと交信を行い、RFタグが保有する記録情報の読み取りを行う本発明の非接触RFタグ読み取り方法において、第一の判別期間において、切替え手段が第一のアンテナを選択することにより、第一のアンテナが受信した信号に基づいてRFタグの枚数の状態を判別し、第二の判別期間において、切替え手段が第二のアンテナを選択することにより、第二のアンテナが受信した信号に基づいてRFタグの枚数の状態を判別し、第一の判別期間において前記RFタグの存在が確認された場合には、第一の認識期間において、第一の判別期間で得られたRFタグの枚数の状態に合わせて、RFタグの記録情報G1を読み取る条件を変更し、第二の判別期間において前記RFタグの存在が確認された場合には、第二の認識期間において、第二の判別期間で得られたRFタグの枚数の状態に合わせて、RFタグの記録情報G2を読み取る条件を変更することを特徴とする。
【0022】
本発明の非接触RFタグ読み取り方法によれば、最初にRFタグの枚数の状態を判別してから、その判別結果に合わせて、RFタグの記録情報を読み取る条件を変更する。これにより、無駄な通信時間が無くなるため、読み取り時間の無駄を低減することが可能となる。さらに、指向性の異なる第一のアンテナ及び第二のアンテナを切り替えて用いることにより、信号をより広範囲な方向から受信できるため、通信距離を長くすることが可能となり、確実にRFタグを読み取ることも可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通信時間を短縮することにより、読み取り時間の無駄を低減することを可能とする非接触RFタグ読み取り装置及び非接触RFタグ読み取り方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る非接触RFタグ読み取り装置は、POSシステムなどの物品管理システムなどに使用される。例えば、コンビニエンスストアの商品管理に用いる小型リーダに適用されるため、アンテナと制御回路基板とが一体化したモジュールがRFタグ読み取り装置に組み込まれている。
【0026】
図1は、第1実施形態に係る非接触RFタグ読み取り装置の使用形態の一例を示す図である。
【0027】
例えば、コンピュータ30の本体21のUSB(Universal Serial Bus)に接続された読み取り装置100が、入退出者M1,M2が所持するRFタグTAG1,TAG2が保有する固有情報を非接触で読み取ることにより、入退室の管理などを行うことが考えられる。
【0028】
一般的に、RFタグは、非接触RFタグ読み取り装置100と信号の送受信を行うアンテナと、アンテナから送信する信号を変調するための送信回路部と、アンテナで受信した信号を復調するための受信回路部と、ID情報を記録するための記録部と、記録部からID情報を取り出す制御を行う制御部とを有している。アンテナが受信した電力に応じて、RFタグ内の各回路を起動させることもできる。
【0029】
図1に示すように、非接触RFタグ読み取り装置100から送信された読み取り用の命令信号C1が、RFタグのアンテナで受信され、命令信号C1はRFタグの復調部で復調される。復調された信号はRFタグの制御部へ転送される。RFタグの制御部は、命令信号C1を受信すると、RFタグ内部の記録部内、又は、コンピュータの接続されたネットワーク内に格納されている商品の製品コード、管理コード等のID情報を取り出す制御を行う。
【0030】
RFタグの記録部から取り出されたID情報を含んだ記録情報としての信号は、RFタグの変調部において変調され、RFタグのアンテナを介して応答信号R1として非接触RFタグ読み取り装置100へ返信される。RFタグが自身のユビキタスコードなどの識別コードのみを記録情報として記録している場合には、このユビキタスコードに対応した商品コードなどのID情報を、読み取り装置100内の制御部がネットワーク上から読み出す。非接触RFタグ読み取り装置100は、この応答信号R1を受けて、読み取ったID情報の記録等を実施する。
【0031】
以下に、第1実施形態に係る非接触RFタグ読み取り装置100について説明する。
【0032】
図2は、非接触RFタグ読み取り装置100と、表示部20、本体21及びキーボード部22を含むコンピュータ30を示す模式図である。
【0033】
非接触RFタグ読み取り装置100は、基板SB上に設けられた、第一のアンテナ1、第二のアンテナ2、アンテナ切替え部3、送受信切替え部4、受信回路部5、送信回路部6、制御部7、電源部8及び電源切替え部9と、外部接続端子10とを備えている。
【0034】
第二のアンテナ2は省略しても構わないが、第一のアンテナ1の指向性と異なる指向性を有する第二のアンテナ2が基板SB上に配置されていることが好ましい。これにより、電波を広範囲な方向から受信できるため、通信距離を長くすることが可能となり、確実にRFタグを読み取ることが可能となる。なお、アンテナの指向性とは、電波の放射方向と放射強度との関係をいい、放射角と放射強度の関係をレーダーチャートにした図で表される。
【0035】
図2に示すXYZ直交座標系において、全ての方向から電波を受信するために、第一のアンテナ1の長手方向をX軸方向に延在させ、第二のアンテナ2の長手方向をY軸方向に延在させて、第一のアンテナ1及び第二のアンテナ2が互いに直交して設けられていることが好ましい。
【0036】
第一のアンテナ1及び第二のアンテナ2として、例えば、線状アンテナ、誘電体アンテナ、プリントアンテナ等が挙げられる。
【0037】
線状アンテナとして、例えばダイポールアンテナが用いられる。ダイポールアンテナは、アンテナの長手方向に垂直な方向で電磁波の放射が最大になり、アンテナの長手方向に平行な方向には放射がゼロになる。この垂直方向の電磁波の放射の指向性を図示すると、「8」の字のように円を2個連ねた形になり、一方、水平方向の電磁波の放射の指向性は無い。従って、基板SB上におけるダイポールアンテナの配置方向により、受信できる電波の方向を調節することが可能である。すなわち、RFタグ内のアンテナに対するリーダ内のアンテナの向きによって、通信距離を調整できる。
【0038】
第一のアンテナ1及び第二のアンテナ2として、誘電体アンテナを用いた例を図7に示す。図7において、図1に示した第一のアンテナ1及び第二のアンテナ2が、第一のアンテナ31及び第二のアンテナ32に変更された以外は同じである。
【0039】
誘電体アンテナである第一のアンテナ31及び第二のアンテナ32は、ガラス、セラミック、樹脂等の誘電体からなる基体31a,32aに、導電性材料からなる導体パターン31b,32bが形成されたものである。誘電体アンテナは、小型に作製しやすいため、小型化が要求されるリーダに組み込みやすいという利点を有する。それぞれの基体31a,32aの形状は直方体である。
【0040】
導電パターン31bは、基体31aの上面上をX軸方向に沿って延びた長手方向領域と、長手方向部分の両端からYZ平面に沿ってZ軸方向に延びた一対の側方領域と、一対の側方領域の下端から基体31aの底面側に回り込む一対の底部領域とを有している。この一対の底部領域は、X軸に沿って延びており、導電パターン31bの形状は、XZ平面内において折り返しダイポールアンテナを構成することもできる。
【0041】
導電パターン32bは、基体31aの上面上をY軸方向に沿って延びた長手方向領域と、長手方向部分の両端からXZ平面に沿ってZ軸方向に延びた一対の側方領域と、一対の側方領域の下端から基体32aの底面側に回り込む一対の底部領域とを有している。この一対の底部領域は、Y軸に沿って延びており、導電パターン32bの形状は、YZ平面内において折り返しダイポールアンテナを構成することもできる。
【0042】
また、プリントアンテナは、基板SB上に所望の形状の導電性材料を印刷またはエッチングして作製される。プリントアンテナも小型に作製しやすいため、小型化が要求されるリーダに組み込みやすいという利点を有する。更に、プリントアンテナは、基板SB上にパターニングして形成されるため、コストの削減が期待できる。プリントアンテナとして、例えば、給電部、短絡部、及び本体部を有する逆Fアンテナが挙げられる。
【0043】
アンテナ切替え部(アンテナ切替え手段)3は、第一のアンテナ1に電気的に接続された第一端子T1と、第二のアンテナ2に電気的に接続された第二端子T2と、後述する送受信切替え部4に電気的に接続された第三端子T3とを有する。アンテナ切替え部3は、端子T1と端子T3を接続することで第一のアンテナ1を選択し、端子T2と端子T3を接続することで第二のアンテナ2を選択する。すなわち、アンテナ切替え部3は、第一のアンテナ1及び第二のアンテナ2の選択を切り替えることが可能であり、後述する制御部7から送信されるアンテナ切替え信号(後述する図8に示すSIG)によって切替えが制御される。アンテナ切替え部3として、トランジスタ等の電気的スイッチなどを用いることができる。なお、第二のアンテナ2が省略された場合には、アンテナ切替え部3も省略される。この場合、第一のアンテナ1は後述する送受信切替え部4の第一端子Q1に接続されている。
【0044】
送受信切替え部(送受信切替え手段)4は、アンテナ切替え部3に電気的に接続された第一端子Q1と、後述する受信回路部5に電気的に接続された第二端子Q2と、後述する送信回路部6に電気的に接続された第三端子Q3とを有する。第一のアンテナ1又は第二のアンテナ2で受信した信号を、送受信切替え部4によって、アンテナ切替え部3を介して通過させて、受信回路部5に供給することが可能である。また、送受信切替え部4によって、送信回路部6から出力される変調信号を通過させて、アンテナ切替え部3を介して第一のアンテナ1又は第二のアンテナ2に搬送波を供給することも可能である。送受信切替え部4として、例えば、サーキュレータが挙げられる。
【0045】
受信回路部5及び送信回路部6は高周波回路部(RF部)に含まれる。受信回路部5は、送受信切替え部4に電気的に接続された第一端子S1と、後述する制御部7に電気的に接続された第二端子S2と、後述する電源部8に電気的に接続された第三端子S3とを有している。受信回路部5は、第一のアンテナ1又は第二のアンテナ2で受信した信号を包絡線検波、同期検波、遅延検波などにより復調し、後述する制御部7へ復調信号として出力する処理を行う。
【0046】
送信回路部6は、送受信切替え部4に電気的に接続された第一端子P1と、後述する制御部7に電気的に接続された第二端子P2とを有する。送信回路部6は、後述する制御部7で生成された搬送波をASK(lang=EN-US>Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、FSK(Frequency Shift Keying:周波数偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)あるいはこれらの変調方式を組み合わせた変調方式などにより変調する回路であり、生成された変調信号を送受信切替え部4へ出力する処理を行う。
【0047】
制御部7は、受信回路部5に電気的に接続された第一端子U1と、送信回路部6に電気的に接続された第二端子U2と、後述する外部接続端子10に電気的に接続する第三端子U3及び第四端子U4とを有している。
【0048】
図8は、制御部7の構成を示すブロック図である。
【0049】
制御部7は、演算処理装置71、発振回路72及び記録部73を含んでいる。発振回路72は、演算処理装置7を駆動するクロック信号を生成するが、発振回路72は、後段の送信回路部6における搬送波を生成することもできる。搬送波の周波数は例えば2.45GHzの高周波信号に設定される。
【0050】
記録部73には、第一のアンテナ1又は第二のアンテナ2を介して、RFタグから読み取ったID情報又はネットワーク上に保有されているID情報などの記録情報が記録される。記録部73として、例えばRAMなどの半導体記憶素子が挙げられる。
【0051】
演算処理装置71は、アンテナ切替え部3へアンテナ切替え信号SIGを送信して、第一のアンテナ1及び第二のアンテナ2の切替えの制御を行う。
【0052】
電源部8は、後述する外部接続端子10に電気的に接続された第一端子W1と、電源切替え部9に電気的に接続された第二端子W2とを有する。電源部8には、外部接続端子10を介して接続されたコンピュータ30の本体21等の外部装置から電源が供給され、電源切替え部9を介して受信回路部5、送信回路部6及び制御部7などに電源が供給される。
【0053】
電源切替え部9は、電源部8に電気的に接続された第一端子V1と、受信回路部5及び送信回路部6を含む高周波回路部(RF部)に電気的に接続された第二端子V2とを有している。電源切替え部9は、電源部8から受信回路部5や送信回路部6等への電源の供給を制御するスイッチである。電源切替え部9として、例えば、トランジスタ等の電気的スイッチが挙げられる。
【0054】
外部接続端子10は、非接触RFタグ読み取り装置100と、コンピュータ30の本体21等の外部装置とを接続するための端子である。外部接続端子10の端子形状は、図1に示す形状に限られず、例えばUSB規格で定められているUSB−A端子、USB−B端子などを適宜使用することが可能である。
【0055】
以下に、第1実施形態に係る非接触RFタグ読み取り装置100の動作について、更に詳細に説明する。
【0056】
図3は、非接触RFタグ読み取り装置100の回路動作を示したフローチャートである。
【0057】
なお、本発明において、フレームとは、様々なスロットや命令信号で形成されるコマンドのことを言う。また、シーケンスとは規則に従った連続的な操作手順のことであり、一連の動作方法をシーケンスと呼ぶ。読み取り装置100の制御部7における記録情報取得シーケンスは、第一の判別期間SQ1、第二の判別期間SQ2、第一の認識期間SQ3及び第二の認識期間SQ4の順番に実行される(図4参照)。
【0058】
(第一の判別期間)
以下に、第一の判別期間SQ1における第1シーケンスについて説明する。まず、ユーザがコンピュータ30に読み取り指示を行うと、USBケーブルを介してコンピュータ30から入力した読取トリガ信号に同期して、RFタグ内の記録情報の読み取り動作が始まる。非接触RFタグ読み取り装置100において、第一のアンテナ1を選択するように、制御部7の演算処理装置71がアンテナ切替え部3に制御信号SIG(図8に示すアンテナ切替え信号)を送信し、第一のアンテナ1と送受信切替え部4とを接続することで、第一のアンテナ1をON状態とし、第二のアンテナ2と送受信切替え部4とを切断することで、第二のアンテナ2をOFF状態とする(ステップS1)。なお、第二のアンテナ2を省略し、第一のアンテナ1のみを用いる場合、第一の判別期間における第1シーケンスを実行後、後述する第一の認識期間における第3シーケンスを実行する。
【0059】
次に、RFタグの存在確認を行う命令コマンドSIGを含む信号波が制御部7の演算処理装置71から送信回路部6へ送信される。この信号波は送信回路部6において、高周波の搬送波によって変調された後、第一のアンテナ1から命令信号として空間へ放出される。図3において、この状態を、高周波回路部(RF部)の搬送波がON状態であると示す(ステップS2)。次に、制御部7の演算処理装置71はフレーム内のスロットを一つに設定し(ステップS3)、後段のステップS4〜S9からなる第1シーケンスを実行する。
【0060】
非接触RFタグ読み取り装置100から出力された命令信号に対して、RFタグからの応答信号があるかどうかについて判定される(ステップS3)。RFタグから応答信号SIGがなければ、RFタグは無いと判断される(ステップS4において「N」)。一方、RFタグが存在する場合には、RFタグから非接触RFタグ読み取り装置100へ応答信号SIGが送信される(ステップS4において「Y」)。なお、応答信号SIGは、アンテナ1,2を介して受信され、受信回路部5で復調され、制御部7の演算処理装置71に入力される。
【0061】
そして、RFタグの存在が確認された場合(ステップS4において「Y」)、制御部7の演算処理装置71において、第一のアンテナ1又は第二のアンテナ2で受信され、受信回路部5で復調された応答信号SIGについて、複数の応答信号の重なり「衝突(Collision)(エラー)」の有無を判定することで、RFタグの枚数の状態、すなわち単数であるか複数であるかを判定する(ステップS5)。もし、応答信号に衝突が無ければ(ステップS5において「N」)、RFタグは単数であると判定される(ステップS6)。複数の応答信号に衝突が有れば(ステップS5において「Y」)、RFタグは複数であると判定される(ステップS7)。このように、RFタグからの応答信号SIGを判定することによって、RFタグの枚数の状態を判別するため、信頼性の高い判別結果が得られることとなる。
【0062】
応答信号の衝突(エラー)の判定方式として、例えば、CRC(巡回冗長検査)方式が挙げられる。CRC方式とは、連続して出現するビットの誤り(バースト誤り)の検出が可能な誤り検出方式のことである。特に、エラー判定方式として非常に信頼性が高いCRC方式が、演算処理装置における判定に用いられることが好ましい。CRC方式のエラーチェックにおいて、応答信号の衝突が検出された場合には、RFタグの枚数は複数であり、検出されない場合には単数であると判定できる。
【0063】
(第二の判別期間)
以下に、第二の判別期間SQ2における第2シーケンスについて説明する。第1シーケンスと第2シーケンスとの間、及び第2シーケンスは、高周波回路部(RF部)の搬送波を動作停止させないで、つまり、電源切替え部9をONの状態とし、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態のままにして行われる。まず、第二のアンテナ2を選択するように、制御部7の演算処理装置71はアンテナ切替え部3に制御信号SIGを送信し、第一のアンテナ1と送受信切替え部4を切断することで、第一のアンテナ1をOFF状態とし、第二のアンテナ2と送受信切替え部4を接続することで、第二のアンテナ2をON状態とする(ステップS8)。
【0064】
次に、上記と同様に、RFタグの存在確認を行う命令コマンドSIGを含む信号波が制御部7から送信回路部6へ送信される。この信号波は送信回路部6において、高周波の搬送波で変調された後、第二のアンテナ2から命令信号として空間へ放出される。次に、制御部7の演算処理装置71はフレーム内のスロットを一つに設定し(ステップS9)、ステップS10〜S13からなる第2シーケンスを実行する。
【0065】
非接触RFタグ読み取り装置100から出力された命令信号に対して、RFタグからの応答信号SIGがなければ、RFタグは無いと判断される(ステップS10において「N」)。一方、RFタグが存在する場合には、RFタグから非接触RFタグ読み取り装置100へ応答信号SIGが送信される(ステップS10において「Y」)。
【0066】
さらに、非接触RFタグ読み取り装置100内の制御部7の演算処理装置71において、RFタグからの応答信号SIGについて衝突(エラー)の有無を判定することで、RFタグの枚数の状態、すなわち単数であるか複数であるかを判定する(ステップS11)。もし、応答信号SIGに衝突が無ければ(ステップS11において「N」)、RFタグは単数であると判定する(ステップS12)。複数の応答信号SIGに衝突があれば(ステップS11において「Y」)、RFタグは複数であると判定する(ステップS13)。このエラーの判定方式として、例えば、上述したCRC(巡回冗長検査)などの方式が挙げられる。
【0067】
以上の第一の判別期間SQ1及び第二の判別期間SQ2において、RFタグが存在しているか否か、また、RFタグが存在している場合は、RFタグが単数なのか複数なのかを判断できる。もし、第一の判別期間SQ1及び第二の判別期間SQ2共にRFタグが存在していないと判断された場合には、その時点で読み取りシーケンスを終了する。
【0068】
なお、読み取り装置100側で設定した特定の1スロットに対して、複数のRFタグから応答信号を返信した場合には、これらの応答信号のビット列は異なるため、かかるビット列の相違を判定し、応答信号に衝突があると判定し、単一のRFタグしかない場合には応答信号のビット列には相違がないため、衝突がないと判定することもできる。
【0069】
次に、認識シーケンスについて説明する。上述した第一の判別期間SQ1においてのみRFタグの存在が確認された場合は、以下に説明する第3シーケンスのみを行う。上述した第二の判別期間SQ2においてのみRFタグの存在が確認された場合は、第3シーケンスは行わず、以下に説明する第4シーケンスのみ行う。第一の判別期間SQ1及び第二の判別期間SQ2共にRFタグの存在が確認された場合は、以下に説明する第3シーケンス及び第4シーケンスを行う。
【0070】
(第一の認識期間)
以下に、第一の認識期間SQ3における第3シーケンスについて説明する。第2シーケンスと第3シーケンスとの間、及び第3シーケンスの期間は、高周波回路部(RF部)の搬送波を動作停止しないで、つまり、電源切替え部9をONにすることで、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態のままにして行われる。第一のアンテナ1を選択するように、制御部7の演算処理装置71がアンテナ切替え部3に制御信号SIGを送信し、第一のアンテナ1と送受信切替え部4を接続することで、第一のアンテナ1をON状態とし、第二のアンテナ2と送受信切替え部4を切断することで、第二のアンテナ2をOFF状態とする。なお、第二のアンテナ2を省略する場合は、第一のアンテナ1は送受信切替え部4に接続されている。
【0071】
次に、RFタグのID情報を読み取るための命令コマンドSIGを含む信号波が制御部7の演算処理装置71から送信回路部6へ送信される。この信号は、送信回路部6において搬送波によって変調された後、第一のアンテナ1から命令信号として空間へ放出される。
【0072】
制御部7の演算処理装置71はフレーム内のスロットを一つに設定し、非接触RFタグ読み取り装置100から出力された命令信号に対して、RFタグからの応答信号がなければ、RFタグは無いと判断する(S14において「N」)。これ以上の判別・認識を行う必要がない場合には、認識を終了し(ステップS19において「Y」)、高周波回路部(RF部)の搬送波又は電源を切断する。一方、RFタグが存在する場合には、RFタグから非接触RFタグ読み取り装置100へ応答信号が送信されている(ステップS14において「Y」)。
【0073】
第一の判別期間SQ1又は第二の判別期間SQ2において判別された、RFタグの枚数の状態に合わせて、RFタグのID情報を読み取る条件を変更する(ステップS15)。すなわち、第一の判別期間SQ1又は第二の判別期間SQ2において、RFタグが単数であると判別された場合(ステップS15において「N])、制御部7の演算処理装置71は、それぞれに対応する第一又は第二の認識期間SQ3,SQ4において、フレーム内のスロットを一つに設定し(ステップS16)、第一の判別期間SQ1又は第二の判別期間SQ2においてRFタグが複数であると判別された場合(ステップS15において「Y」)、制御部7の演算処理装置71は、それぞれに対応する第一又は第二の認識期間SQ3,SQ4において、フレーム内のスロットを予め定められた複数個(X)に設定する(ステップS17)。
【0074】
図9は、読み取られるRFタグが5枚である場合、第一の判別期間SQ1又は第二の判別期間SQ2において、制御部7の演算処理装置71が設定するスロット数Ns[個]と衝突発生確率とPc[%]の関係を示すグラフである。図9の横軸はスロット数Ns[個]を示し、縦軸は衝突発生確率Pc[%]を示している。
【0075】
RFIDシステムで使用されるプロトコル規定では、例えば、スロット数は2で指定することが可能である。ただし、Qとはスロット値と呼ばれるものであり、0≦Q≦15の範囲で指定することができる。図9から分かるように、スロット数が30以上である場合、衝突発生確率は1%以下である。上述したようにスロット数は2のべき乗で定義されているため、衝突発生確率が1%であるスロット数は32であることが分かる。また、衝突発生確率が30%であるスロット数は4である。
【0076】
以上より、第一の認識期間SQ3におけるスロット数Xとして、応答信号の衝突の発生を抑える観点からXは4以上であることが好ましく、使われない無駄なスロットを抑えて通信時間を短くする観点から、Xは32以下であることが好ましい。すなわち、4≦X≦32を満たすことが好ましい。
【0077】
演算処理装置71がフレーム内のスロットを一つに設定した場合には、非接触RFタグ読み取り装置100に、RFタグから、もしくはネットワーク上を介してRFタグから、ID情報などの記録情報を含む応答信号が一つ送信される。演算処理装置71がフレーム内のスロットを複数に設定した場合には、非接触RFタグ読み取り装置100に、RFタグからのID情報、もしくはRFタグの記録情報に対応してネットワークから読み出されたID情報などの記録情報を含む応答信号が複数送信される。このようにして、RFタグのID情報を認識する(ステップS18)。そして、読み取ったID情報或いは記録情報は、制御部7内の記録部73に記録される。
【0078】
(第二の認識期間)
以下に、第二の認識期間SQ4における第4シーケンスについて説明する。第3シーケンスと第4シーケンスとの間、及び第4シーケンスは、高周波回路部(RF部)の搬送を動作停止しないで、つまり、電源切替え部9をONにすることで、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態のままにして行われる。まず、ステップS19において、第二の認識期間を実行する必要があるかどうか、すなわち、認識が終了したかどうかについて判定する。第二の判別期間において、RFタグが無いものと判別されている場合などには、認識は終了し、高周波回路部(RF部)の搬送波を停止する。または高周波回路部(RF部)の電源を切断する。
【0079】
一方、第二の判別期間SQ2において、RFタグがあるものと判別された場合、ステップS14に戻り、上記と同様に、応答があったかどうかについて判定し(S14)、応答がある場合には、続いてRFタグが複数であったかどうかについて判別する(S15)。すなわち、まず、第二のアンテナ2を選択するように、制御部7の演算処理装置71がアンテナ切替え部3に制御信号SIGを送信し、第一のアンテナ1と送受信切替え部4を切断することで、第一のアンテナ1をOFF状態とし、第二のアンテナ2と送受信切替え部4を接続することで、第二のアンテナ2をON状態とする。
【0080】
次に、RFタグのID情報を読み取るための命令コマンドSIGを含む信号波が制御部7の演算処理装置71から送信回路部6へ送信される。この信号波は、送信回路部6において、高周波の搬送波によって変調された後、第二のアンテナ2から命令信号として空間へ放出される。
【0081】
第二の判別期間SQ2で得られたRFタグの枚数の状態に合わせて、RFタグのID情報を読み取る条件を変更する(ステップS15)。すなわち、第二の判別期間SQ2においてRFタグが単数であると判別された場合(ステップS15において「N」)、制御部7の演算処理装置71は、フレーム内のスロットを一つに設定し(ステップS16)、第二の判別期間SQ2においてRFタグが複数であると判別された場合(ステップS15において「Y」)、制御部7の演算処理装置71は、フレーム内のスロットを予め定められた複数個(X)に設定する(ステップS17)。
【0082】
第一の認識期間SQ3におけるスロット数の説明と同様の理由により、第二の認識期間SQ4におけるスロット数Xとして、応答信号の衝突の発生を抑える観点からXは4以上であることが好ましく、使われない無駄なスロットを抑えて通信時間を短くする観点から、Xは32以下であることが好ましい。すなわち、4≦X≦32を満たすことが好ましい。
【0083】
演算処理装置71がフレーム内のスロットを一つに設定した場合には、非接触RFタグ読み取り装置100に、RFタグから、もしくはネットワーク上を介してRFタグから、ID情報などの記録情報を含む応答信号が一つ送信され、RFタグのID情報が認識される。演算処理装置71がフレーム内のスロットを複数に設定した場合には、非接触RFタグ読み取り装置100に、RFタグからのID情報、もしくはRFタグの記録情報に対応してネットワークから読み出されたID情報などの記録情報を含む応答信号が複数送信され、RFタグのID情報が認識される(ステップS18)。そして、読み取ったID情報は制御部7内の記録部73に記録される。最後に、必要な全ての判別期間に対応する認識が終了した場合(ステップS19において「Y」)、高周波回路部(RF部)の搬送波を動作停止する(ステップS20)。以上、全てのシーケンスが終了する。
【0084】
以下に、高周波回路部(RF部)の搬送波について、図4に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0085】
図4の横軸は、RFタグ内記録情報の読み取り開始時刻からの経過時間(t)を示し、縦軸は高周波回路部(RF部)の搬送波ON又は搬送波OFFの状態を示す。高周波回路部(RF部)の搬送波ON/OFFは、制御部からの制御信号または電源切替え部9のON/OFFによって切り替える。期間SQ1〜SQ4は上述した第1〜第4シーケンスを実行する判別期間及び認識期間に対応する。図4に示すように、第一の認識期間SQ1における第1シーケンス開始前に高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態にした後、第2〜第4シーケンスまでを連続して行い、第4シーケンス終了時に高周波回路部の搬送波をOFF状態にする。
【0086】
従って、本発明に係る非接触RFタグ読み取り装置100においては、高周波回路部(RF部)の搬送波を継続してON状態にして、RFタグの枚数の状態を判別した後、ID情報を認識する。すなわち、第一の判別期間SQ1、第二の判別期間SQ2、第一の認識期間SQ3、及び第二の認識期間SQ3を通じて、送信回路部から搬送波が連続的に発振している。なお、第二のアンテナ2を省略した場合、第一の認識期間SQ1における第1シーケンス開始前に高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態にした後、第3シーケンスを連続して行い、第3シーケンス終了時に高周波回路部の搬送波をOFF状態にする。すなわち、第一の判別期間SQ1及び第一の認識期間SQ3を通じて、送信回路部から搬送波が連続的に発振している。
【0087】
(出力制御)
制御部7の演算処理装置71において行われる、RFタグから読み取ったID情報の出力制御について説明する。なお、第一のアンテナ1から得られるID情報をG1とし、第二のアンテナから得られるID情報をG2とする。
【0088】
演算処理装置71において、記録部73に記録されたID情報G1を集合A、記録部73に記録されたID情報G2を集合Bとした場合、演算処理装置71は、ID情報G1及びG2を、集合Aと集合Bとの和集合の情報SIGとして出力する制御を行う。そして、演算処理装置71から出力された集合Aと集合Bとの和集合の情報SIGは、外部接続端子10を介して接続された外部装置であるコンピュータ30の表示部20等へ出力される。
【0089】
例えば、アンテナ1から受信したRFタグの商品情報D1,D2,D3を集合Aとし、アンテナ2から受信したRFタグの商品情報D1,D2,D4を集合Bとすれば、和集合の情報は商品情報D1,D2,D3,D4となる。
【0090】
以下に、本発明に係る非接触RFタグ読み取り装置100及びその読み取り方法による効果を説明する。
【0091】
RFタグのID情報を読み取る際、読み取るべきRFタグの数は未知である。従来は、RFタグが存在しない場合や、RFタグが一つしか存在しない場合であっても、無駄な読み取り通信を行っており、読み取り時間に無駄な時間が生じていた。対して、本発明に係る非接触RFタグ読み取り装置及びその読み取り方法によれば、最初にRFタグの枚数の状態を判別してから、その判別結果に合わせて、RFタグのID情報を読み取る条件を変更する。これにより、無駄な読み取り通信が無くなるため、読み取り時間の無駄を低減することが可能となる。
【0092】
また、基板上で指向性の異なるように配置された第一のアンテナ1及び第二のアンテナ2を切り替えて用いることにより、信号をより広範囲な方向から受信できるため、通信距離を長くすることが可能となり、確実にRFタグを読み取る精度を上げることが可能となる。
【0093】
そして、記録部73に記録されたID情報が和集合の情報として出力されるため、読み取り装置が読み取った全てのRFタグのID情報を認識することが可能となる。また、記録部73に記録されたID情報を分けて送信するのではなく、一度に出力先に送信できるため、出力先においては、送信されたID情報を簡易的な処理で表示することが可能となる。
【0094】
さらに、第一の判別期間SQ1及び第二の判別期間SQ2において、フレーム内のスロットを一つに設定することにより、必然的にRFタグは設定した一つのスロットを選択することが可能となる。これにより、使われない無駄なスロットによる通信時間の増加を抑制することが可能となる。そして、RFタグからの応答信号を判定することによって、RFタグが単数であるか複数であるかを判別するため、信頼性の高い判別結果となる。
【0095】
また、高周波回路部(RF部)の搬送波を一旦停止してしまうと、他の読み取り装置との干渉抑制のために、一定の時間、搬送波の出力を停止し続けなければならず、再開するまで無駄な時間がかかってしまう。また、このような停止時間は電波法によっても規制される。このようなタイムロスは、物品管理などを行う際、作業時間を短縮する妨げとなるため好ましくない。対して、本発明に係る非接触RFタグ読み取り装置100のように、送信回路部6の搬送波を連続的に発振している状態で、全てのシーケンスを行うことにより、読み取り時間における無駄な時間をより一層低減することが可能となる。
【0096】
以下、シーケンス例1及び2により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらのシーケンス例に限定されるものではない。
【0097】
(シーケンス例1)
シーケンス例1では、第一の判別期間においてRFタグが単数であると判別され、第二の判別期間においてRFタグが存在しないと判別された場合について、図1、図2、図5を用いて説明する。図5は、RFタグの読み取りシーケンスを示したものであり、横軸は経過時間(t)を示し、非接触RFタグ読み取り装置100(以下、リーダ)がRFタグへ送信する命令コマンドを上段に示し、RFタグがリーダに返信する応答コマンドを下段に示す。
【0098】
最初、リーダの電源切替え部9をONにし、外部接続端子10を介して接続されているコンピュータからリーダ内に電源を供給する。まず、第1シーケンス(第一の判別期間SQ1)について説明する。リーダ内の制御部7の演算処理装置71は、アンテナ切替え部3に第一のアンテナ1を選択するように制御信号を送信し、第一のアンテナ1をON状態とし、第二のアンテナ2をOFF状態とする。
【0099】
次に、図5に示すように、RFタグの枚数の状態を判別するためのタグチェックコマンド(TCC)を含む信号波を制御部7から送信回路部6へ送信する。この信号波を送信回路部6において変調した後、命令信号(例えば、図1に示すC1)として第一のアンテナ1から送信する。すなわち、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態とする。そして、図5に示すように、リーダ内の制御部7はフレーム内のスロットを一つに設定する(SL1)。
【0100】
図1に示すように、RFタグTAG1は乱数を発生し、タグレスポンスである応答信号R1(SIG)を返信する。RFタグTAG1からの応答信号についてエラーの有無を判定するため、リーダ内の制御部7の演算処理装置71において、CRC方式を用いたエラー判定を行う。応答信号にエラーが無いと判定されれば、RFタグは単数であると判別し、エラーがあればRFタグは複数であると判別する。
【0101】
そして、第2シーケンス(第二の判別期間)SQ2について説明する。なお、第1シーケンス(第一の判別期間SQ1)と第2シーケンス(第二の判別期間SQ2)との間の期間(図5において、ΔSQ1と示す)と、第2シーケンス(第二の判別期間SQ2)においても、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態のままにする。制御部7は、アンテナ切替え部3に第二のアンテナ2を選択するよう制御信号を送信し、第一のアンテナ1をOFF状態とし、第二のアンテナ2をON状態とする。
【0102】
次に、図5に示すように、RFタグの枚数の状態を確認するためのタグチェックコマンド(TCC)を含む信号波を制御部7から送信回路部6へ送信する。この信号波を送信回路部6において変調した後、第二のアンテナ2から命令信号(例えば、図1に示すC2)として空間へ送信する。ここでも、制御部7はフレーム内のスロットを一つに設定する(SL1)。
【0103】
RFタグからの応答信号が送信されなければ、RFタグは無いと判断する。
【0104】
次に、第3シーケンス(第一の認識期間SQ3)について説明する。なお、第2シーケンス(第二の判別期間)SQ2と第3シーケンス(第一の認識期間SQ3)との間(図5の期間をΔSQ2と示す)と、第3シーケンス(第一の認識期間SQ3)において、高周波回路部の搬送波をON状態にする。制御部7がアンテナ切替え部3に第一のアンテナ1を選択するよう制御信号を送信することにより、第一のアンテナ1をON状態とし、第二のアンテナ2をOFF状態とする。
【0105】
そして、第1シーケンスと同様に、タグチェックコマンド(TCC)をリーダはRFタグへ送信する。第一の判別期間SQ1においてRFタグは単数であると判別されれば、スロットを一つに設定する(SL1)。応答したRFタグTAG1は、乱数を発生しタグレスポンス(TR(R))をリーダへ返信する。
【0106】
さらに、RFタグTAG1のID情報を読み取るためのリードコマンド(RC)を含む信号波を制御部7から送信回路部6へ送信する。この信号波を送信回路部6において変調した後、第一のアンテナ1から命令信号として空間へ送信する。RFタグは、一つのID情報を含むタグレスポンス(TR(ID))をリーダへ送信する。全てのシーケンスを終了した後、高周波回路部(RF部)をOFF状態にする。
【0107】
(シーケンス例2)
シーケンス例2では、第一の判別期間SQ1においてRFタグが複数であると判別され、第二の判別期間SQ2においてRFタグが単数であると判別される場合について、図1、図2、図6を用いて説明する。図6は、RFタグの読み取りシーケンスを示したものであり、横軸は経過時間(t)を示し、リーダがRFタグへ送信する命令コマンドを上段に示し、RFタグがリーダに返信する応答コマンドを下段に示す。
【0108】
最初、リーダの電源切替え部9をONにし、外部接続端子10を介して接続されているコンピュータからリーダ内に電源を供給する。まず、第1シーケンス(第一の判別期間SQ1)について説明する。リーダ内の制御部7は、アンテナ切替え部3に第一のアンテナ1を選択するように制御信号を送信し、第一のアンテナ1をON状態とし、第二のアンテナ2をOFF状態とする。
【0109】
次に、図6に示すように、RFタグの枚数の状態を判別するためのタグチェックコマンド(TCC)を含む信号波を制御部7から送信回路部6へ送信する。この信号波を送信回路部6において変調した後、命令信号(例えば、図1に示すC1)として第一のアンテナ1から空間へ送信する。すなわち、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態とする。そして、図6に示すように、リーダ内の制御部7はフレーム内のスロットを一つに設定する(SL1)。
【0110】
RFタグからリーダへタグレスポンスである応答信号を返信する。RFタグからの応答信号についてエラーの有無を判定するため、リーダ内の制御部7の演算処理装置71において、CRC方式を用いたエラー判定を行う。応答信号にエラー有りと判定された場合、RFタグは複数であると判別する。なお、図6においてRFタグからの応答信号を衝突タグと示す(CT)。
【0111】
次に、第2シーケンス(第二の判別期間SQ2)について説明する。なお、第1シーケンス(第一の判別期間SQ1)と第2シーケンス(第二の判別期間SQ2)との間(図6において、ΔSQ1と示す)と、第2シーケンス(第二の判別期間SQ2)において、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態のままにする。制御部7の演算処理装置71は、アンテナ切替え部3に第二のアンテナ2を選択するよう制御信号を送信し、第一のアンテナ1をOFF状態とし、第二のアンテナ2をON状態とする。
【0112】
そして、図6に示すように、RFタグの枚数の状態を確認するためのタグチェックコマンド(TCC)及び信号波を含む無線信号を制御部7から送信回路部6へ送信する。この無線信号は送信回路部6において変調した後、第二のアンテナ2から命令信号(例えば、図1に示すC2)として空間へ放出する。ここでも、制御部はフレーム内のスロットを一つに設定する(SL1)。
【0113】
図6に示すように、RFタグは乱数を発生し、タグレスポンスである応答信号R2を返信する。RFタグからの応答信号についてエラーの有無を判定するため、リーダ内の演算処理装置71において、CRC方式を用いたエラー判定を行う。応答信号にエラーが無いと判定されたので、RFタグは単数であると判別する(TR(R))。
【0114】
次に、第3シーケンス(第一の認識期間)SQ3について説明する。なお、第2シーケンス(第二の判別期間SQ2)と第3シーケンス(第一の認識期間SQ3)との間の機関(図6において、ΔSQ2と示す)と、第3シーケンス(第一の認識期間SQ3)において、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態のままとする。制御部がアンテナ切替え部3に第一のアンテナ1を選択するよう制御信号を送信することにより、第一のアンテナ1をON状態とし、第二のアンテナ2をOFF状態とする。
【0115】
そして、リーダは、タグチェックコマンド(TCC)を送信し、第一の判別期間SQ1においてRFタグは複数であると判別された場合、スロットを4つに設定する。図6に示すように、一つのRFタグが乱数を発生し、選択したスロット1(SL1)でタグレスポンスを送信する(TR(R))。リーダはリードコマンド(RC(1))をそのRFタグに送信し、このRFタグは保有するID情報を含むタグレスポンスを返信する(TR(ID))。
【0116】
スロット2(SL2)は選択されなかった。他のRFタグは乱数を発生し、選択したスロット3(SL3)でタグレスポンスを送信する(TR(R))。リーダはリードコマンド(RC(3))をそのRFタグに送信し、RFタグは保有するID情報を含むタグレスポンスを返信する(TR(ID))。スロット4(SL4)は選択されなかった。
【0117】
次に、第4シーケンス(第二の認識期間)SQ4について説明する。なお、第3シーケンス(第一の認識期間SQ3)と第4シーケンス(第二の認識期間SQ4)との間の機関(図6において、ΔSQ3と示す)と、第4シーケンス(第二の判別期間SQ4)において、高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態のままにする。制御部7がアンテナ切替え部3に第二のアンテナ2を選択するよう制御信号を送信することにより、第一のアンテナ1をOFF状態とし、第二のアンテナ2をON状態とする。
【0118】
そして、リーダは、タグチェックコマンド(TCC)を送信し、第二の判別期間SQ2においてRFタグは単数であると判別された場合、スロットを1つに設定する(SL1)。図6に示すように、一つのRFタグが乱数を発生し、選択したスロット1でタグレスポンスを送信する(TR(R))。リーダはリードコマンド(RC(1))をそのRFタグに送信し、RFタグは保有するID情報を含むタグレスポンスを返信する(TR(ID))。全てのシーケンスを終了した後、高周波回路部(RF部)の搬送波をOFF状態にする。
【0119】
(比較例)
以下に、図10及び図11を用いて比較例を説明する。図10は、RFタグの読み取りシーケンス(期間SQ5)を示したものであり、横軸は経過時間(t)を示し、上段にリーダがRFタグへ送信する命令コマンドを示し、下段にRFタグがリーダに返信する応答コマンドを示す。
【0120】
図10に示すように、期間SQ5のシーケンスでは、フレーム内に複数のスロット1〜4を設定する。最初、リーダは、RFタグの枚数の状態を確認するタグチェックコマンド(TCC)をRFタグに送信し、RFタグは、乱数を用いてスロット1(SL1)を選択し、選択したスロット1でタグレスポンス(TR(R))をリーダに返信する。リーダは、スロット1で応答したRFタグのID情報を読むためのリードコマンド(RC(1))をRFタグに送信する。RFタグは、ID情報を伝送するためのタグレスポンス(TR(ID))をリーダに返信する。
【0121】
図10から分かるように、設定されたスロットのうち、スロット2、3はRFタグに選択されない(SL2,SL3)。一方、スロット4(SL4)は選択され、乱数を用いて、RFタグは選択したスロット4でタグレスポンス(TR(R))をリーダに返信する。リーダは、スロット4で応答したRFタグのID情報を読むためのリードコマンド(RC(4))をRFタグに送信する。RFタグは、ID情報を伝送するためのタグレスポンス(TR(ID))をリーダに返信する。
【0122】
図11に比較例のタイミングチャートを示す。図11の横軸は経過時間(t)を示し、縦軸は高周波回路部(RF部)の搬送波ON又はOFFの状態を示す。
【0123】
図11の領域SQ5−1で示すように、比較例では、スロット1の読み取り開始時に高周波回路部(RF部)の搬送波をON状態にし、スロット1の読み取り終了時に高周波回路部(RF部)の搬送波をOFF状態にする。そして、図11の領域SQ5−2で示すように、スロット4の読み取り開始時に高周波回路部(RF部)の搬送波を再びON状態にし、スロット4の読み取り終了時に高周波回路部(RF部)の搬送波をOFF状態にする。
【0124】
以上において説明した、シーケンス例1及びシーケンス例2と、比較例とを比較・検討する。比較例のような読み取りシーケンスを行うと、無駄なスロット数2,3が出てしまい、読み取り時間に無駄が生じてしまった。さらに、比較例では、読み取りシーケンスの途中で高周波回路部(RF部)の搬送波をOFF状態にしたため、他の読み取り装置との干渉抑制のために、電波法に基づき再開するまで無駄な時間が生じてしまった。
【0125】
対して、シーケンス例1及びシーケンス例2において、最初にRFタグの枚数の状態を判別してから、その判別結果に合わせて、RFタグのID情報を読み取る条件を変更した。これにより、シーケンス例1及びシーケンス例2は、比較例よりも、無駄な通信時間が無くなるため、読み取り時間の無駄を低減することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】非接触RFタグ読み取り装置の一使用形態を示した模式図である。
【図2】非接触RFタグ読み取り装置とコンピュータとを示す模式図である。
【図3】非接触RFタグ読み取り装置の動作を示したフローチャートである。
【図4】非接触RFタグ読み取り装置の高周波回路部(RF部)の搬送波における動作のタイミングチャートである。
【図5】シーケンス例1のRFタグの読み取りシーケンスを示したものである。
【図6】シーケンス例2のRFタグの読み取りシーケンスを示したものである。
【図7】非接触RFタグ読み取り装置とコンピュータとを示す模式図である。
【図8】制御部の構成を示す模式図である。
【図9】衝突発生確率とスロット数との関係を示すグラフである。
【図10】比較例のRFタグの読み取りシーケンスを示したものである。
【図11】比較例の非接触RFタグ読み取り装置の高周波回路部(RF部)の搬送波における動作のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0127】
100…非接触RFタグ読み取り装置、SB…基板、1…第一のアンテナ、2…第二のアンテナ、3…アンテナ切替え手段、4…送受信切替え手段、5…受信回路部、6…送信回路部、7…制御部、8…電源部、9…電源切替え部、10…外部接続端子、20…表示部、21…本体、22…キーボード部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグと交信を行い、前記RFタグが保有する記録情報の読み取りを行う非接触RFタグ読み取り装置において、
第一のアンテナと、
前記第一のアンテナから受信した信号が入力される制御部と、を備え、
前記制御部は、
第一の判別期間において、前記第一のアンテナが受信した信号に基づいて前記RFタグの枚数の状態を判別し、
前記第一の判別期間において前記RFタグの存在が確認された場合には、第一の認識期間において、前記第一の判別期間で得られた前記RFタグの枚数の状態に合わせて、前記RFタグの記録情報G1を読み取る条件を変更することを特徴とする非接触RFタグ読み取り装置。
【請求項2】
前記第一のアンテナの指向性と異なる指向性を有する第二のアンテナと、
前記第一のアンテナ及び前記第二のアンテナの選択を切り替えるアンテナ切替え手段と、を更に備え、
前記制御部において、前記アンテナ切替え手段を介して前記第二のアンテナから受信した信号が選択的に入力され、
前記第一の判別期間において、前記アンテナ切替え手段が前記第一のアンテナを選択し、前記第一のアンテナが受信した信号に基づいて前記RFタグの枚数の状態を判別し、
第二の判別期間において、前記アンテナ切替え手段が前記第二のアンテナを選択し、前記第二のアンテナが受信した信号に基づいて前記RFタグの枚数の状態を判別し、
前記第一の判別期間において前記RFタグの存在が確認された場合には、前記第一の認識期間において、前記第一の判別期間で得られた前記RFタグの枚数の状態に合わせて、前記RFタグの記録情報G1を読み取る条件を変更し、
前記第二の判別期間において前記RFタグの存在が確認された場合には、第二の認識期間において、前記第二の判別期間で得られた前記RFタグの枚数の状態に合わせて、前記RFタグの記録情報G2を読み取る条件を変更することを特徴とする、請求項1に記載の非接触RFタグ読み取り装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記第一の認識期間において読み取った前記記録情報G1及び前記第二の認識期間において読み取った前記記録情報G2を記録する記録部と、
前記記録部に記録された前記記録情報G1及びG2を和集合の情報として出力する制御を行う出力制御部と、を有することを特徴とする、請求項2に記載の非接触RFタグ読み取り装置。
【請求項4】
前記第一のアンテナ又は第二のアンテナへ搬送波を変調した変調信号を送信する送信回路部と、
前記第一のアンテナ又は第二のアンテナから受信した信号を復調し、前記制御部に復調信号を出力する受信回路部と、を更に備え、
前記第一の判別期間、前記第二の判別期間、前記第一の認識期間、及び前記第二の認識期間を通じて、前記送信回路部からの搬送波が連続的に発振していることを特徴とする、請求項2又は3に記載の非接触RFタグ読み取り装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一の判別期間において、スロット数を1個に設定し、
前記RFタグからの応答信号を判定することによって、前記RFタグの枚数の状態として、前記RFタグが単数であるか複数であるかを判別することを特徴とする、請求項1に記載の非接触RFタグ読み取り装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第一の判別期間又は前記第二の判別期間において判別した、前記RFタグの枚数の状態が単数である場合には、前記第一の認識期間又は前記第二の認識期間において、スロット数を単数に設定することにより、前記RFタグの記録情報G1を認識し、
前記第一の判別期間又は前記第二の判別期間において判別した、前記RFタグの枚数の状態が複数である場合には、前記第一の認識期間又は前記第二の認識期間において、スロット数を予め定められた複数個Xに設定することにより、前記RFタグの記録情報G2を認識することを特徴とする、請求項2に記載の非接触RFタグ読み取り装置。
【請求項7】
RFタグと交信を行い、前記RFタグが保有する記録情報の読み取りを行う非接触RFタグ読み取り方法において、
第一の判別期間において、アンテナ切替え手段が第一のアンテナを選択することにより、前記第一のアンテナが受信した信号に基づいて前記RFタグの枚数の状態を判別し、
第二の判別期間において、前記アンテナ切替え手段が第二のアンテナを選択することにより、前記第二のアンテナが受信した信号に基づいて前記RFタグの枚数の状態を判別し、
前記第一の判別期間において前記RFタグの存在が確認された場合には、第一の認識期間において、前記第一の判別期間で得られた前記RFタグの枚数の状態に合わせて、前記RFタグの記録情報G1を読み取る条件を変更し、
前記第二の判別期間において前記RFタグの存在が確認された場合には、第二の認識期間において、前記第二の判別期間で得られた前記RFタグの枚数の状態に合わせて、前記RFタグの記録情報G2を読み取る条件を変更することを特徴とする非接触RFタグ読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−266032(P2009−266032A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116191(P2008−116191)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】