説明

非水系毛髪処理剤

【課題】 縮毛矯正処理などの化学的処理などによりダメージ(損傷)を受けた毛髪に対しても、しっとり感、柔軟性および均一な感触を付与することができる非水系毛髪処理剤を提供する。
【解決手段】 ジメチコノール、アミノ変性シリコーン、環状シリコーンおよび流動パラフィンを含有させて非水系毛髪処理剤を構成する。
上記ジメチコノールの含有量は1.5〜4.5質量%、アミノ変性シリコーンの含有量は0.4〜2質量%で、環状シリコーンの含有量は80.5〜98.09質量%、流動パラフィンの含有量は0.01〜3質量%が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系毛髪処理剤に関し、さらに詳しくは、縮毛矯正処理などの化学的処理などによりダメージ(損傷)を受けた毛髪に対しても、しっとり感、柔軟性および均一な感触を付与することができる非水系毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
最近は、染毛処理、パーマネントウェーブ処理、縮毛矯正処理などの化学的処理の繰り返しなどによって毛髪のキューティクル表面の脂質が失われ、さらに、それにシャンプーやブローといった日常の手入れが加わることによりキューティクルに浮きが生じ、その結果、毛髪内部の脂質が流出して、毛髪のつや(艶)やすべり(滑り)が悪くなり、また、毛髪がぱさついたり、ごわつくなど、毛髪がダメージ(損傷)を受けやすくなってきた。そのため、化学的処理によってダメージを受けた毛髪を修復する目的で、種々の非水系毛髪処理剤が提案されている(特許文献1〜3)。
【0003】
しかしながら、それらの非水系毛髪処理剤は、天然の動植物油脂などの油性成分を主体としているため、毛髪にべたつきを与えるという問題があった。また、毛髪のダメージは毛先にいくほど強くなるにもかかわらず、従来の非水系毛髪処理剤では、ダメージの多い毛先部分が親水性であるため油性成分の吸着量が少なくなり、ダメージの少ない根元部分に油性成分が多く吸着されて、毛先部分が根元部分に比べて修復される度合いが少なくなり、そのため、毛髪に均一な感触が得られないという問題があった。
【特許文献1】特開平01−272513号公報
【特許文献2】特表2004−501112号公報
【特許文献3】特開2005−2037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような従来の非水系毛髪処理剤の問題点を解決し、縮毛矯正処理などの化学的処理などによってダメージを受けて毛先部分と根元部分とでダメージの度合いが異なる毛髪に対しても、しっとり感、柔軟性および均一な感触を付与することができる非水系毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ジメチコノール、アミノ変性シリコーン、環状シリコーンおよび流動パラフィンを含有させて非水系毛髪処理剤を構成するときは、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0006】
本発明の非水系毛髪処理剤は、縮毛矯正処理などの化学的処理などによってダメージを受け、毛先部分と根元部分とでダメージの度合いが異なる毛髪に対しても、しっとり感、柔軟性および均一な感触を付与することができる。上記均一な感触とは、毛髪全体にわたって(つまり、毛髪の根元部分から毛先部分にわたって)同じようなすべり感を有することを言い、本発明の非水系毛髪処理剤によれば、毛先部分と根元部分とでダメージの度合いが異なる毛髪に対しても、しっとり感、柔軟性を付与することができるとともに、均一な感触を付与することができ、例えば、毛髪全体にわたって優れた指通り性を有するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の非水系毛髪処理剤は、上記のように、ジメチコノール、アミノ変性シリコーン、環状シリコーンおよび流動パラフィンを含んで構成されるが、それらの必須成分について説明すると、次の通りである。
【0008】
本発明において用いるジメチコノールとは、水酸基が末端に結合しているジメチルポリシロキサンであり、本発明において、このジメチコノールは、主として、毛髪にしっとり感を付与するのに寄与しているものと考えられる。
【0009】
本発明において、このジメチコノールの非水系毛髪処理剤中の含有量としては、1.5〜4.5質量%が好ましく、特に1.9〜4質量%が好ましい。このジメチコノールの含有量が上記範囲より少ない場合は、毛髪に充分なしっとり感を付与することができず、また、ジメチコノールの含有量が上記範囲より多い場合は、毛髪にべたつきを与えるおそれがある。
【0010】
このジメチコノールの市販品としては、例えば、X−21−5619(商品名、信越化学工業社製)などが挙げられる。それ以外にも、このジメチコノールを含むプレミックス原料として、1501Fluid(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、ジメチコノール15質量%とデカメチルシクロペンタシロキサン85質量%含有)などが市販されている。
【0011】
本発明において、アミノ変性シリコーンとしては、種々のものを用い得るが、特に高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などが好ましく、本発明において、このアミノ変性シリコーンは、主として、毛髪に柔軟性を付与するのに寄与しているものと考えられる。
【0012】
上記高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体の市販品としては、例えば、プレミックス原料として、KF−8020〔商品名、信越化学工業社製、高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体20質量%とメチルポリシロキサン80質量%含有〕、KF−8017〔商品名、信越化学工業社製、高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体10質量%とメチルポリシロキサン90質量%含有〕などがあり、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体の市販品としては、例えば、KF−880(商品名、信越化学工業社製)、SM8452C(商品名、東レ・ダウコーニング社製)、XF−42−C0330(商品名、GE東芝シリコーン社製)などがあり、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体の市販品としては、例えば、SF8704C(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などが挙げられる。
【0013】
そして、本発明において、このアミノ変性シリコーンの非水系毛髪処理剤中の含有量としては、0.4〜2質量%が好ましく、特に0.6〜1.6質量%が好ましい。アミノ変性シリコーンの含有量が上記範囲より少ない場合は、毛髪に充分な柔軟性を付与することができず、アミノ変性シリコーンの含有量が上記範囲より多い場合は、毛髪への付着量が多くなって、毛髪がべたついたり、適正量を含有させたときとは逆に毛髪が硬くなるおそれがある。
【0014】
本発明において、環状シリコーンとしては、種々のものを用い得るが、特にデカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどが好ましい。本発明において、この環状シリコーンは、主として、前記のジメチコノールやアミノ変性シリコーンをそれらの特性を損なわせることなく溶解し、また、それ自身も揮発することにより、塗布時の手指へのべたつきを少なくするという作用を有している。
【0015】
上記デカメチルシクロペンタシロキサンの市販品としては、例えば、TSF405(商品名、GE東芝シリコーン社製)、SH245,DC345(いずれも商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などがあり、オクタメチルシクロテトラシロキサンの市販品としては、SH244、SH344(いずれも商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などがあり、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンの市販品としては、例えば、DC246(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などがある。また、この環状シリコーンを含むプレミックス原料として市販されているものがあり、そのような環状シリコーンを含むプレミックス原料としては、例えば、前述の1501FLUID(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、デカメチルシクロペンタシロキサン85質量%とジメチコノール15質量%含有)などがある。
【0016】
そして、本発明において、この環状シリコーンの非水系毛髪処理剤中における含有量としては、80.5〜98.09質量%であることが好ましく、特に93〜97質量%であることが好ましい。環状シリコーンの含有量が上記範囲より少ない場合は、ジメチコノールやアミノ変性シリコーンを充分に溶解することができず、環状シリコーンの含有量が上記範囲より多い場合は、それに伴う他の成分の減少によって、毛髪にしっとり感、柔軟性および均一な感触を付与することが難しくなり、また、手指が白っぽくなってしまうというおそれがある。
【0017】
本発明において、流動パラフィンは、毛先部分と根元部分とでダメージの度合が異なる(通常、毛先部分の方が根元部分より大きなダメージを受けている)毛髪に対して、均一な感触を付与するのに寄与している。また、この流動パラフィンの存在によって、ジメチコノールのしっとり感を付与する作用も、毛先部分と根元部分とでダメージ度合が異なる毛髪に対して、均一な状態に仕上がるように発揮できるようになる。つまり、ジメチコノールは、毛髪に対する吸着性と皮膚形成能に優れていて、毛髪化粧料に配合されるが、これまでの使用では、毛先部分と根元部分とでダメージの度合が異なる毛髪に対しては全体として均一なしっとり感に仕上げることができなかったが、本発明によれば、流動パラフィンの存在によって、ジメチコノールによるしっとり感の付与作用も、全体として、均一な状態に仕上がるように発揮されるようになる。
【0018】
そして、本発明において、この流動パラフィンの非水系毛髪処理剤中における含有量としては、0.01〜3質量%が好ましく、特に0.2〜1質量%が好ましい。流動パラフィンの含有量が上記範囲より少ない場合は、充分な均一感が得られず、流動パラフィンの含有量が上記範囲より多い場合は、毛髪にべたつきを与えるおそれがある。
【0019】
本発明は非水系毛髪処理剤に関するものであるが、その非水系とは、意識的に水を配合していないという意味であって、完全に非水系であることは要求されず、実質的に非水系であればよい。
【0020】
本発明の非水系毛髪処理剤は、上記4つの必須成分、つまり、ジメチコノール、アミノ変性シリコーン、環状シリコーンおよび流動パラフィンのみで、常温(25℃)で液状に構成でき、しかも、実質的に透明な非水系毛髪処理剤として構成できるが、その効果が損なわれない範囲内で、上記必須成分のシリコーン類(つまり、ジメチコノール、アミノ変性シリコーンおよび環状シリコーン)以外のシリコーン類や、流動パラフィン以外の炭化水素を含有させることができるし、それ以外にも、非水系毛髪処理剤に通常配合される成分、例えば、高級アルコールやその他のアルコール、エステル類、脂肪酸、油脂、ロウ類、アルキルグリセリルエーテルなどを含有させることができる。
【0021】
上記必須成分以外のシリコーン類としては、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーン、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸などの高屈折率を有するフェニル基を導入したシロキサンなどが挙げられる。
【0022】
流動パラフィン以外の炭化水素としては、例えば、α−オレフィンオリゴマー、スクワランなどの常温で液体の炭化水素が挙げられ、特にスクワランが好ましい。
【0023】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノールなどが挙げられるが、保湿性を向上させる観点からは、特にオレイルアルコールが好ましい。
【0024】
また、高級アルコール以外のアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコール、コレステロール、フィトステロールなどが挙げられる。
【0025】
エステル類としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸PPG−3(ポリプロピレングリコール)ベンジル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、コハク酸ジオクチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸イソステアリル、乳酸オレイル、乳酸オクチルドデシルなどが挙げられるが、保湿性を向上させる観点からは、特に乳酸イソステアリルが好ましい。
【0026】
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸などの直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の高級脂肪酸などが挙げられる。
【0027】
アルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、モノステアリルグリセリルエーテル、モノセチルグリセリルエーテル、モノオレイルグリセリルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテルなどが挙げられる。
【0028】
また、上記例示の成分以外にも、多価アルコール、糖類、カチオン性高分子化合物などの高分子化合物、界面活性剤、粉体、色材、動植物抽出液、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、香料など、非水系毛髪処理剤に通常配合される化粧品成分を適宜含有させることができる。
【0029】
ただし、これらの任意成分、すなわち、ジメチコノール、アミノ変性シリコーン、環状シリコーン、流動パラフィン以外の成分は、本発明の非水系毛髪処理剤中において、10質量%以下にすることが好ましく、5質量%以下にすることがより好ましく、1質量%以下にすることがさらに好ましい。
【実施例】
【0030】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例などにおいては、非水系毛髪処理剤全体で100質量%になるように、各成分の含有量(配合量)を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、表中ではその%の表示を省略し、配合量を示す数値のみで表示する。
【0031】
実施例1〜7および比較例1〜4
表1に示す組成で非水系毛髪処理剤を調製し、得られた非水系毛髪処理剤について、しっとり感、柔軟性および均一な感触に関して評価を行った。その結果を表2に示す。
【0032】
なお、アミノ変性シリコーンとしては高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体とアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体とを用い、環状シリコーンとしてはデカメチルシクロペンタシロキサンを用いた。そして、上記非水系毛髪処理剤にあたって、その配合成分は、溶液状ないしは分散液状のものも用いるが、表1中に示す配合量は純分としての配合量である。また、アミノ変性シリコーンは2種類用いている関係で、表1には、アミノ変性シリコーン全体の配合量を示すと共に、高重合ジメチルポリシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体の配合量をアミノ変性シリコーンAとして括弧(カッコ)付きで示し、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体の配合量をアミノ変性シリコーンBとして括弧(カッコ)付きで示している。そして、ジメチコノールと高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体はプレミックス原料を用いるが、それらのプレミックス原料の商品名や、それ以外の配合成分の商品名は表1の下に示している。
【0033】
【表1】

【0034】
しっとり感、柔軟性および均一な感触の評価にあたっては、毛髪に対して以下に示すようにブリーチ処理および縮毛矯正処理を施して、毛髪にダメージを受けさせた。なお、このような処理によりダメージを受けた毛髪では、その毛先部分の方が根元部分より大きくダメージを受ける。
【0035】
毛髪へのブリーチ処理および縮毛矯正処理:
まず、毛髪をブリーチ処理するためのブリーチ剤は、35%過酸化水素水17.14%を含み精製水で全量を100%にしたものと、25%アンモニア水9.92%を含み精製水で全量を100%にしたものとを、質量比2:1で混合して調製した。
【0036】
また、縮毛矯正処理のための第1剤としては、チオグリコール酸9.0%を含み、水酸化カリウムとモノエタノールアミン液とでpH9.3に調整し、精製水で全量を100%にしたものを用意し、第2剤としては、臭素酸ナトリウム9.5%を含み、精製水で全量を100%にしたものを用意した。
【0037】
そして、ブリーチ処理は、上記ブリーチ剤100ml中に縮毛から採取した長さ24cm、質量2gの毛束を、室温で30分間浸漬することによって行い、ついで、精製水で水洗し乾燥した。このブリーチ処理を2回繰り返した。その後、それら全体に上記縮毛矯正用第1剤をそれぞれ2gずつ塗布し、ストレート(真っ直ぐ)に伸ばした状態で、室温で20分間放置した後、水洗し、ドライヤーにて水分が一部残った状態に乾燥した。その後、表面温度を180℃に設定した高温整髪用アイロンで毛髪を約3秒間プレスし(この高温整髪用アイロンによるプレスを毛髪の根元部分から毛先部分にかけてずらしつつ行う)、その高温整髪用アイロンによるストレート化を3回繰り返した。ついで、それぞれの毛束に対して前記縮毛矯正用第2剤を2gずつ塗布し、室温で15分間放置した後、水洗し、24時間自然乾燥して縮毛矯正処理を終了した。
【0038】
つぎに、上記のようにしてブリーチ処理とそれに続く縮毛矯正処理によりダメージを受けさせた毛髪に対して上記実施例1〜7および比較例1〜4の非水系毛髪処理剤をそれぞれ0.1gずつ塗布し、塗布後の毛髪について、しっとり感、柔軟性および均一な感触の評価をした。ただし、しっとり感と柔軟性は官能評価のみで行い、均一な感触については、官能評価と平均動摩擦係数(MIU)の測定とによって行った。また、官能評価では、しっとり感と柔軟性とを別々に評価することが困難なので、それらを一緒に評価した。それら「しっとり感と柔軟性」の官能評価の方法、「均一な感触」の官能評価の方法、平均動摩擦係数の測定方法は、以下に示すとおりである。
【0039】
「しっとり感と柔軟性」の官能評価:
上記のように、実施例1〜7および比較例1〜4の非水系毛髪処理剤を塗布した後の毛髪を20名のパネラーに「しっとり感と柔軟性」について官能評価させ、その評価結果を次の評価基準により点数化し、20名のパネラーの評価結果に基づく点数を合計し、下記の総合評価基準により表2に記号化して示した。
【0040】
評価基準:
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
【0041】
◎:点数の合計が80点以上
○:点数の合計が60点以上80点未満
△:点数の合計が40点以上60点未満
×:点数の合計が20点以上40点未満
【0042】
「均一な感触」の官能評価:
20名のパネラーのそれぞれが均一な感触であると感じた場合に1点、不均一な感触であると感じた場合に0点で点数を付け、それぞれの非水系毛髪処理剤について、パネラーが付けた点を合計して評価し、下記の基準により記号化して、その結果を表2に示した。なお、○が合格ラインであり、◎は○よりさらに均一な感触が優れていることを示している。
【0043】
◎:点数の合計が16点以上
○:点数の合計が12点以上16点未満
△:点数の合計が8点以上12点未満
×:点数の合計が8点未満
【0044】
平均動摩擦係数(MIU)の測定方法:
前記非水系毛髪処理剤を塗布後の毛髪について、25℃、相対湿度50%の雰囲気中でカトーテック社製の摩擦感テスターKES−SE−STPを用いて平均動摩擦係数(MIU)を測定した。
【0045】
その測定にあたっては、測定用サンプルとして前記非水系毛髪処理剤塗布後の毛髪を、各非水系毛髪処理剤ごとに10本ずつ採取し、それらをスライドガラス上に1mm間隔で揃えて並べ、セロハンテープで両端を固定したものを用いた。なお、毛髪の採取の際には、できるだけ太さが同等のものを選ぶようにした。
【0046】
そして、測定には摩擦子としてシリコンゴムを用い、50gの荷重をかけ、毛髪の根元部分から毛先部分へ向かって1mm/secの速度で摩擦感テスターを移動させて平均動摩擦係数を測定した。その結果を表2に示す。なお、この平均動摩擦係数値が小さいほど、毛髪の滑り感がよく、毛髪の均一な感触が優れていると考えられる。
【0047】
【表2】

【0048】
表2に示すように、実施例1〜7の非水系毛髪処理剤は、いずれも、比較例1〜4の非水系毛髪処理剤に比べて、毛髪へのしっとり感、柔軟性の付与作用の評価値が高く、また、均一な感触に関しても、実施例1〜7の非水系毛髪処理剤は、比較例1〜4の毛髪処理剤に比べて、官能評価の評価結果、平均動摩擦係数の測定結果とも優れた結果を示していた。つまり、実施例1〜7の非水系毛髪処理剤は、比較例1〜4の非水系毛髪処理剤に比べて、縮毛矯正処理などの化学的処理などによりダメージを受けた毛髪に対して、充分なしっとり感と柔軟性を付与することができ、かつ毛髪に均一な感触を付与できることが明らかであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジメチコノール、アミノ変性シリコーン、環状シリコーンおよび流動パラフィンを含有することを特徴とする非水系毛髪処理剤。
【請求項2】
ジメチコノールの含有量が1.5〜4.5質量%で、アミノ変性シリコーンの含有量が0.4〜2質量%で、環状シリコーンの含有量が80.5〜98.09質量%で、流動パラフィンの含有量が0.01〜3質量%であることを特徴とする請求項1記載の非水系毛髪処理剤。

【公開番号】特開2006−249002(P2006−249002A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68435(P2005−68435)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】