説明

非水電解液およびこれを用いた非水電解液二次電池

【課題】大電流での充放電特性および充放電容量の少なくとも何れかを向上できる非水電解液およびこれを用いた非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液は、液状の溶媒、例えば有機溶媒などの非水溶媒と、この非水溶媒に溶解された電解質塩とを含み、さらに、添加剤として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)から選ばれる少なくとも1種と、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)のうちから選ばれる少なくとも1種と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非水電解液およびこれを用いた非水電解液二次電池、さらに詳しくは、大電流での充放電特性を改善する非水電解液およびこれを用いた例えばリチウムイオン電池などの非水電解液二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブックコンピューター、携帯電話機器などのポータブル機器の多機能化・高性能化の進歩に伴い、これら機器の消費電力は高まりつつあり、電源となる二次電池に対して、より一層の高容量化、また経済性と機器の小型軽量化との観点から、高エネルギー密度化が強く求められている。
【0003】
さらに、近年、電気自動車またはハイブリッド電気自動車が、環境問題を背景に低公害車として、積極的に一般へ普及するように図られており、これらに対する電源として、高性能な二次電池が求められている。
【0004】
これらの要求に対して、非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、高出力、高エネルギー密度などの利点を有しているので、非常に注目されている。
【0005】
リチウムイオン二次電池は、通常、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた有機電解液が使用されている。有機溶媒としては、イオン伝導度および誘電率が高く、かつ粘度の低い有機溶媒を使用することが望ましいとされている。単一の有機溶媒としては、このような条件をいずれも満足することは困難であるので、高誘電率の有機溶媒と低誘電率の有機溶媒との混合溶媒系、または高誘電率の有機溶媒と低粘度の有機溶媒との混合溶媒系などを使用している。
【0006】
しかしながら、有機溶媒混合系では、電極上で溶媒の分解反応が発生するので、電池の充放電容量低下という問題点がある。このような問題点を解決するための方法として、従来では、例えば特許文献1〜特許文献6に記載されているように、1,3−プロペンスルトン(PRS)、1,3−プロパンスルトン(PS)、エチルサルファイト(ES)、ジエチルサルファイト(DES)などの添加剤から選ばれる少なくとも1種を添加した有機電解液を使用して、電池の充放電容量を向上させることが提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−329528号公報
【特許文献2】特開2003−203673号公報
【特許文献3】特開2001−43895号公報
【特許文献4】特開2006−114511号公報
【特許文献5】特開2006−120651号公報
【特許文献6】特開2003−86249号公報
【0008】
また、特許文献7、特許文献8および非特許文献1では、anion binding agents(陰イオン結合剤)としてボラン系化合物を添加して、非水電解液電池用電解液中のイオン移動性を向上することが提案されている。
【0009】
【特許文献7】米国特許第6,022,643号明細書
【特許文献8】特開2004−265786号公報
【非特許文献1】Journal of The Electrochemical Society, 149 (3) A355-A359 (2002)
【0010】
リチウムイオン二次電池では、正極材料として、例えば金属酸化物、金属硫化物、または高分子化合物などが用いられている。具体的には、例えばTiS2、MoS2、NbSe2、V25などの非リチウム含有化合物、またはLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2あるいはLiMn24などのリチウム含有酸化物などが挙げられる。
【0011】
このうちコバルト酸リチウム(LiCoO2)は、リチウム金属電位に対して約4Vの電位を有する正極材料として広く実用化されており、高エネルギー密度および高電圧を有し、様々な面において理想的な正極材料である。しかしながら、資源としてのコバルト(Co)が地球上に偏在しかつ稀少であるために、安定供給が難しく材料コストが高くなってしまうという問題がある。
【0012】
ニッケル酸リチウム(LiNiO2)は、理論容量が大きく且つ高放電電位を有し、コストの低減も図ることができることから正極材料として好ましいが、充放電サイクルの進行に伴って結晶構造が崩壊するので、放電容量の低下を招き、熱安定性も悪いといった問題点がある。
【0013】
さらに、正スピネル構造を有するLiMn24は、LiCoO2と同等の高い電位を有し、且つ高い電池容量を得ることができるとともに、合成も容易でコストの低減も図ることができることから正極材料として有望ではあるが、高温保存時における容量劣化が大きい、さらには、マンガン(Mn)が電解液中へ溶解してしまうといった安定性またはサイクル特性が十分でないといった問題が残されている。
【0014】
そこで、近年、オリビン構造を有する遷移金属Mのリン酸化合物を正極材料として用いることが提案されている。オリビン型リン酸リチウムは、一般式がLiMPO4(Mはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)から選ばれる少なくとも1種以上の元素)で表されるリチウム複合化合物であり、核となる金属元素Mの種類によって作動電圧が異なる。
【0015】
したがって、Mの選択により電池電圧を任意に選定でき、また理論容量も約170mAh/g程度と比較的高いので、単位質量当たりの電池容量を大きくすることができるという利点がある。さらに、上記一般式におけるMとして、鉄(Fe)を選択することができ、鉄(Fe)は産出量が多く安価であることから、鉄(Fe)を用いることにより生産コストを大幅に低減させることができるという利点を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、オリビン型リン酸リチウムを非水電解質二次電池用の正極活物質として使用するには、未だ解決すべき課題がある。例えば、オリビン型リン酸リチウムは、電池充放電時のリチウム脱挿入反応が遅く、またコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、或いはマンガン酸リチウムなどに比べて電気抵抗が非常に大きい。このためオリビン型リン酸リチウムを用いた電池は、従来知られているコバルト酸リチウムなどを用いた電池に比較して、放電容量が劣る。
【0017】
特にハイレート放電時には、抵抗過電圧や活性化過電圧が増大するため、顕著に電池特性が劣化するという課題がある。オリビン型リン酸リチウム化合物の粒子を小さくし、且つその粒子表面にカーボンで被覆することにより、オリビン型リン酸リチウムの電池特性の改善が頻繁に検討されているが、高電流密度で充放電を行う二次電池の正極活物質としては、不向きであると考えられている。
【0018】
したがって、この発明の目的は、オリビン構造を持つリチウム金属リン酸化合物を正極に用いた非水電解液電池において、大電流での充放電特性および充放電容量の少なくとも何れかを向上できる非水電解液およびこれを用いた非水電解液二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、
化1で表されるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび化2で表されるホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)のうちの少なくとも1種と、
1,3−プロペンスルトンおよび1,3−プロパンスルトンのうちの少なくとも1種と、を含むこと
を特徴とする非水電解液である。
【化1】

【化2】

【0020】
第2の発明は、
オリビン構造を有するリチウム金属リン酸化合物を有する正極と、負極と、非水電解液と、を備え、
非水電解液は、
化3で表されるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび化4で表されるホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)のうちの少なくとも1種と、
1,3−プロペンスルトンおよび1,3−プロパンスルトンのうちの少なくとも1種と、を含むものであること
を特徴とする非水電解液二次電池である。
【化3】

【化4】

【0021】
この発明では、非水電解液に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)のうちの少なくとも1種と、1,3−プロペンスルトンおよび1,3−プロパンスルトンのうちの少なくとも1種とを含むようにしたので、電解液中のリチウムイオンの拡散を促進し、オリビン構造を有するリチウム金属リン酸化合物を含む正極を備えた非水電解液二次電池において、放電容量および大電流での充放電特性の少なくとも何れかを向上できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、非水電解液二次電池において、放電容量および大電流での充放電特性の少なくとも何れかを向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態による非水電解液電池の断面構造を示す。この電池は、例えば非水電解液二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池である。
【0024】
図1に示すように、この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
【0025】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。
【0026】
安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0027】
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケル(Ni)などよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0028】
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面に設けられた正極活物質層21Bとを有している。なお、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bが存在する領域を有するようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム(Al)箔などの金属箔により構成されている。
【0029】
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質を含んでおり、必要に応じてカーボンブラックやグラファイトなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含んでいてもよい。正極活物質としては、リチウムを含有する化合物、例えばリチウム酸化物、リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
正極活物質として、より具体的には、オリビン構造を有するリチウム金属リン酸化合物を用い、さらに具体的には、化Iで表されたリチウム金属リン酸化合物を用いる。
(化I)
LiFe1-yyPO4
(式中、Mはマンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。yは0≦y≦0.8である。)
【0031】
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面に設けられた負極活物質層22Bとを有している。なお、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bが存在する領域を有するようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。
【0032】
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。負極活物質としては、リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料を含んでいる。
【0033】
この負極材料としては、例えば、炭素材料、金属化合物、酸化物、硫化物、LiN3などのリチウム窒化物、リチウム金属、リチウムと合金を形成する金属、あるいは高分子材料などが挙げられる。
【0034】
炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0035】
負極材料のなかでも、充放電電位が比較的リチウム金属に近いものが好ましい。負極22の充放電電位が低いほど電池の高エネルギー密度化が容易となるからである。なかでも炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。
【0036】
また、負極材料としては、リチウム金属単体、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体、合金または化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができるとともに、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
【0037】
このような金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式MasMbtLiu、あるいは化学式MapMcqMdrで表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
【0038】
なかでも、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。この他、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなど、リチウムを含まない無機化合物も、正負極のいずれかに用いることができる。
【0039】
セパレータ23としては、例えば、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム、合成樹脂製不織布などを用いることができる。セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。
【0040】
電解液は、液状の溶媒、例えば有機溶媒などの非水溶媒と、この非水溶媒に溶解された電解質塩とを含み、さらに、添加剤として、化5で表されるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)および化6で表されるホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)から選ばれる少なくとも1種と、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)から選ばれる少なくとも1種と、を含む。
【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
電解液に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)から選ばれる少なくとも1種と、1,3−プロペンスルトンおよび1,3−プロパンスルトンから選ばれる少なくとも1種と、を含むことによって、大電流でも大きな放電容量、優れた大電流での充放電特性を有する二次電池を得ることができる。
【0044】
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)のうちの1種または2種および1,3−プロペンスルトンおよび1,3−プロパンスルトンのうちの1種または2種の含有量は、それぞれ、電解液の0.05wt%〜10wt%の範囲が好ましい。この範囲で、放電容量向上の効果および大電流での充放電特性の向上の効果が著しいからである。添加量が0.05wt%より小さいと、効果が低減し、添加量が10wt%を超えると、放電容量が低減する。
【0045】
非水溶媒は、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどの環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。特に、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートとを混合して含むようにすれば、よりサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0046】
非水溶媒は、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートあるいはメチルプロピルカーボネートなどの鎖状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。サイクル特性をより向上させることができるからである。
【0047】
非水溶媒は、さらに、2,4−ジフルオロアニソールおよびビニレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を改善することができ、ビニレンカーボネートはサイクル特性をより向上させることができるからである。特に、これらを混合して含んでいれば、放電容量およびサイクル特性を共に向上させることができるのでより好ましい。
【0048】
非水溶媒は、さらに、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、これら化合物の水素基の一部または全部をフッ素基で置換したもの、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどのいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
【0049】
組み合わせる電極によっては、上記非水溶媒群に含まれる物質の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものを用いることにより、電極反応の可逆性が向上する場合がある。したがって、これらの物質を適宜用いることも可能である。
【0050】
電解質塩としては、リチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiBF2(ox)〔リチウムジフルオロオキサレートボレート〕、LiBOB(リチウムビスオキサレートボレート)、LiBrなどが適当であり、これらのうちのいずれか1種をまたは2種以上を混合して、用いる。なかでも、LiPF6は、高いイオン伝導性を得ることができるとともに、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0051】
この二次電池は、例えば以下に説明するようにして、製造することができる。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチルピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
【0052】
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチルピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
【0053】
次いで、正極集電体21に正極リード25を溶接などにより取り付けるとともに、負極集電体22に負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。
【0054】
正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、上述した電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を、ガスケット17を介してかしめることにより固定する。以上により、図1に示した二次電池を製造できる。
【0055】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極21に吸蔵される。また、負極22にリチウム金属を用いた場合には、放電時には、負極22からリチウムイオンが電解液に溶出し、充電時には、電解液中のリチウムイオンが負極22にリチウム金属として析出する。
【実施例】
【0056】
この発明の具体的な実施例について、図1および図2を参照しながら詳細に説明する。ただし、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
<実施例1−1>
まず、炭素被覆されたリン酸鉄リチウム(LiFePO4)90重量部と、ポリフッ化ビニリデン5重量部と、導電助剤(カーボンブラック)5重量部と、分量外のN−メチルピロリドンをミキサーで混錬、さらに所望の粘度になるようにN−メチルピロリドンを添加し分散させ、正極合剤塗料を得た。これを、正極集電体21Aである厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製した。
【0058】
また、人造黒鉛90重量部と、ポリフッ化ビニリデン5重量部と、導電助剤(カーボンブラック)5重量部と、分量外のN−メチルピロリドンを混錬し、負極合剤塗料を得た。これを、負極集電体22Aである厚さ15μmの銅箔の両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製した。
【0059】
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けるとともに、負極集電体22Aに負極リード26を溶接により取り付けた。次に、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接するとともに、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納した。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納した後、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させた。
【0060】
ここで、電解液は、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを同じ重量で混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/lとなるように溶解させて、さらに、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)0.05wt%と、1,3−プロペンスルトン(PRS)0.05wt%と、を含むものを用いた。
【0061】
その後、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を、ガスケット17を介してかしめることにより固定した。以上により、実施例1−1の二次電池を作製した。
【0062】
<実施例1−2>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−2の二次電池を作製した。
【0063】
<実施例1−3>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を2wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−3の二次電池を作製した。
【0064】
<実施例1−4>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−4の二次電池を作製した。
【0065】
<実施例1−5>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を2wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−5の二次電池を作製した。
【0066】
<実施例1−6>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を10wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−6の二次電池を作製した。
【0067】
<実施例1−7>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−7の二次電池を作製した。
【0068】
<実施例1−8>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を11wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−8の二次電池を作製した。
【0069】
<実施例1−9>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.03wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−9の二次電池を作製した。
【0070】
<実施例1−10>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を12wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−9の二次電池を作製した。
【0071】
<比較例1−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)および1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えなかった点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−1の二次電池を作製した。
【0072】
<比較例1−2>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えなかった点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−2の二次電池を作製した。
【0073】
<比較例1−3>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)を加えず、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−3の二次電池を作製した。
【0074】
<実施例2−1>
1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えず、1,3−プロパンスルトン(PS)0.05wt%を加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例2−1の二次電池を作製した。
【0075】
<実施例2−2>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−2の二次電池を作製した。
【0076】
<実施例2−3>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を2wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−3の二次電池を作製した。
【0077】
<実施例2−4>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−4の二次電池を作製した。
【0078】
<実施例2−5>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を2wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−5の二次電池を作製した。
【0079】
<実施例2−6>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を10wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−6の二次電池を作製した。
【0080】
<実施例2−7>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−7の二次電池を作製した。
【0081】
<実施例2−8>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を11wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−8の二次電池を作製した。
【0082】
<実施例2−9>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.03wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−9の二次電池を作製した。
【0083】
<実施例2−10>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を12wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−10の二次電池を作製した。
【0084】
<比較例2−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例2−1と同様にして、比較例2−1の二次電池を作製した。
【0085】
<比較例2−2>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例2−1と同様にして、比較例2−2の二次電池を作製した。
【0086】
<比較例2−3>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)を加えず、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例2−1と同様にして、比較例2−3の二次電池を作製した。
【0087】
<実施例3−1>
さらに1,3−プロパンスルトン(PS)0.05wt%を加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例3−1の二次電池を作製した。
【0088】
<実施例3−2>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−2の二次電池を作製した。
【0089】
<実施例3−3>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を2wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を3wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−3の二次電池を作製した。
【0090】
<実施例3−4>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を3wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を4wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を5wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−4の二次電池を作製した。
【0091】
<実施例3−5>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を6wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を7wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を8wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−5の二次電池を作製した。
【0092】
<実施例3−6>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を10wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を10wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−6の二次電池を作製した。
【0093】
<実施例3−7>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.03wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.02wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−7の二次電池を作製した。
【0094】
<実施例3−8>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.02wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−8の二次電池を作製した。
【0095】
<実施例3−9>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を11wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を12wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を12wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−9の二次電池を作製した。
【0096】
<実施例3−10>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を12wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を12wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−10の二次電池を作製した。
【0097】
<実施例3−11>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を5wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を15wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−11の二次電池を作製した。
【0098】
<実施例3−12>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を15wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を5wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−12の二次電池を作製した。
【0099】
<実施例3−13>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えず、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を20wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−13の二次電池を作製した。
【0100】
<実施例3−14>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を20wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−14の二次電池を作製した。
【0101】
<比較例3−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)を加えず、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.02wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例3−1と同様にして、比較例3−1の二次電池を作製した。
【0102】
<実施例4−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)加えず、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を0.05wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例4−1の二次電池を作製した。
【0103】
<実施例4−2>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−2の二次電池を作製した。
【0104】
<実施例4−3>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を2wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−3の二次電池を作製した。
【0105】
<実施例4−4>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−4の二次電池を作製した。
【0106】
<実施例4−5>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を2wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−5の二次電池を作製した。
【0107】
<実施例4−6>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を10wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−6の二次電池を作製した。
【0108】
<実施例4−7>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−7の二次電池を作製した。
【0109】
<実施例4−8>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を11wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−8の二次電池を作製した。
【0110】
<実施例4−9>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.03wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−9の二次電池を作製した。
【0111】
<実施例4−10>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を12wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−10の二次電池を作製した。
【0112】
<比較例4−1>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)および1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えなかった点以外は、実施例4−1と同様にして、比較例4−1の二次電池を作製した。
【0113】
<比較例4−2>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えなかった点以外は、実施例4−1と同様にして、比較例4−2の二次電池を作製した。
【0114】
<比較例4−3>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例4−1と同様にして、比較例4−3の二次電池を作製した。
【0115】
<実施例5−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)および1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えず、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を0.05wt%と、1,3−プロパンスルトン(PS)を0.05wt%とを加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例5−1の二次電池を作製した。
【0116】
<実施例5−2>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−2の二次電池を作製した。
【0117】
<実施例5−3>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を2wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−3の二次電池を作製した。
【0118】
<実施例5−4>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−4の二次電池を作製した。
【0119】
<実施例5−5>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を2wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−5の二次電池を作製した。
【0120】
<実施例5−6>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を10wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−6の二次電池を作製した。
【0121】
<実施例5−7>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−7の二次電池を作製した。
【0122】
<実施例5−8>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を11wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−8の二次電池を作製した。
【0123】
<実施例5−9>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.03wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−9の二次電池を作製した。
【0124】
<実施例5−10>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を12wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、実施例5−10の二次電池を作製した。
【0125】
<比較例5−1>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例5−1と同様にして、比較例5−1の二次電池を作製した。
【0126】
<比較例5−2>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例5−1と同様にして、比較例5−2の二次電池を作製した。
【0127】
<比較例5−3>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例5−1と同様にして、比較例5−3の二次電池を作製した。
【0128】
<実施例6−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)を加えず、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を0.05wt%加え、さらに1,3−プロパンスルトン(PS)を0.05wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例6−1の二次電池を作製した。
【0129】
<実施例6−2>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.5wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−2の二次電池を作製した。
【0130】
<実施例6−3>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を2wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を3wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−3の二次電池を作製した。
【0131】
<実施例6−4>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を3wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を4wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を5wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−4の二次電池を作製した。
【0132】
<実施例6−5>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を6wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を7wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を8wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−5の二次電池を作製した。
【0133】
<実施例6−6>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を10wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を10wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−6の二次電池を作製した。
【0134】
<実施例6−7>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.03wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.02wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−7の二次電池を作製した。
【0135】
<実施例6−8>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.02wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−8の二次電池を作製した。
【0136】
<実施例6−9>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を11wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を12wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を12wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−9の二次電池を作製した。
【0137】
<実施例6−10>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を12wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を12wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−10の二次電池を作製した。
【0138】
<実施例6−11>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を5wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を15wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−11の二次電池を作製した。
【0139】
<実施例6−12>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を15wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を5wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−12の二次電池を作製した。
【0140】
<実施例6−13>
1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えず、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を20wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−13の二次電池を作製した。
【0141】
<実施例6−14>
1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%とし、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を20wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、実施例6−14の二次電池を作製した。
【0142】
<比較例6−1>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.02wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.04wt%とした点以外は、実施例6−1と同様にして、比較例6−1の二次電池を作製した。
【0143】
<実施例7−1>
さらにホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)0.05wt%および1,3−プロパンスルトン(PS)0.05wt%を加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例7−1の二次電池を作製した。
【0144】
<実施例7−2>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.5wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.5wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.5wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−2の二次電池を作製した。
【0145】
<実施例7−3>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−3の二次電池を作製した。
【0146】
<実施例7−4>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を6wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を6wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を6wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を6wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−4の二次電池を作製した。
【0147】
<実施例7−5>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を10wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を10wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を10wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を10wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−5の二次電池を作製した。
【0148】
<実施例7−6>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.03wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.03wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.03wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.03wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−6の二次電池を作製した。
【0149】
<実施例7−7>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を11wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を11wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を11wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−7の二次電池を作製した。
【0150】
<実施例7−8>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.03wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.03wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.03wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−8の二次電池を作製した。
【0151】
<実施例7−9>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.03wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.03wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.03wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−9の二次電池を作製した。
【0152】
<実施例7−10>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.03wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.03wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.03wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−10の二次電池を作製した。
【0153】
<実施例7−11>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を0.03wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.03wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.03wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−11の二次電池を作製した。
【0154】
<実施例7−12>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を11wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を11wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−12の二次電池を作製した。
【0155】
<実施例7−13>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を11wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を11wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−13の二次電池を作製した。
【0156】
<実施例7−14>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を11wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を11wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を11wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−14の二次電池を作製した。
【0157】
<比較例7−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)および1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えなかった点以外は、実施例7−1と同様にして、比較例7−1の二次電池を作製した。
【0158】
<実施例8−1>
さらにホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)0.05wt%と、1,3−プロパンスルトン(PS)0.05wt%とを加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例8−1の二次電池を作製した。
【0159】
<実施例8−2>
1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、とした点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−2の二次電池を作製した。
【0160】
<実施例8−3>
1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−3の二次電池を作製した。
【0161】
<実施例8−4>
1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−4の二次電池を作製した。
【0162】
<実施例8−5>
1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を0.5wt%とした点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−5の二次電池を作製した。
【0163】
<比較例8−1>
1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、エチルサルファイト(ES)を0.05wt%加えた点以外は、実施例8−1と同様にして、比較例8−1の二次電池を作製した。
【0164】
<比較例8−2>
1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、ジエチルサルファイト(DES)を0.05wt%加えた点以外は、実施例8−1と同様にして、比較例8−2の二次電池を作製した。
【0165】
<比較例8−3>
1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、エチルサルファイト(ES)を0.05wt%加えた点以外は、実施例8−1と同様にして、比較例8−3の二次電池を作製した。
【0166】
<比較例8−4>
1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、エチルサルファイト(ES)を1wt%加えた点以外は、実施例8−1と同様にして、比較例8−4の二次電池を作製した。
【0167】
<比較例8−5>
1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、ジエチルサルファイト(DES)を1wt%加えた点以外は、実施例8−1と同様にして、比較例8−5の二次電池を作製した。
【0168】
<比較例8−6>
1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%とし、ジエチルサルファイト(DES)を0.05wt%加えた点以外は、実施例8−1と同様にして、比較例8−6の二次電池を作製した。
【0169】
<実施例9−1>
さらにホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)0.05wt%と、1,3−プロパンスルトン(PS)0.05wt%とを加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例9−1の二次電池を作製した。
【0170】
<実施例9−2>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−2の二次電池を作製した。
【0171】
<実施例9−3>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−3の二次電池を作製した。
【0172】
<実施例9−4>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)を加えず、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を1wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−4の二次電池を作製した。
【0173】
<実施例9−5>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)を加えず、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を0.5wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−5の二次電池を作製した。
【0174】
<比較例9−1>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、(C65O)3Bを0.05wt%加えた点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−1の二次電池を作製した。
【0175】
<比較例9−2>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、(FC64O)3Bを0.05wt%加えた点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−2の二次電池を作製した。
【0176】
<比較例9−3>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、(C65O)3Bを0.05wt%加え、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−3の二次電池を作製した。
【0177】
<比較例9−4>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、(C65O)3Bを1wt%加え、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−4の二次電池を作製した。
【0178】
<比較例9−5>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、(FC64O)3Bを1wt%加え、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−5の二次電池を作製した。
【0179】
<比較例9−6>
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)を加えず、(FC64O)3Bを0.05wt%加え、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を1wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−6の二次電池を作製した。
【0180】
<実施例10−1>
正極にLiFePO4を用いる代わりに、LiMn0.7Fe0.3PO4を用い、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)を加えず、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を0.5wt%とし、さらに、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)0.5wt%と、1,3−プロパンスルトン(PS)0.5wt%と、を加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例10−1の二次電池を作製した。
【0181】
<実施例10−2>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiMn0.65Fe0.35PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を2wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を3wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を1wt%とした点以外は、実施例10−1と同様にして、実施例10−2の二次電池を作製した。
【0182】
<実施例10−3>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiMn0.5Fe0.5PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を3wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を4wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を5wt%とした点以外は、実施例10−1と同様にして、実施例10−3の二次電池を作製した。
【0183】
<実施例10−4>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiZn0.7Fe0.3PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を6wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を7wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を8wt%とした点以外は、実施例10−1と同様にして、実施例10−4の二次電池を作製した。
【0184】
<実施例10−5>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiCo0.7Fe0.3PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の添加量を9wt%、1,3−プロペンスルトン(PRS)の添加量を9wt%、1,3−プロパンスルトン(PS)の添加量を9wt%とした点以外は、実施例10−1と同様にして、実施例10−5の二次電池を作製した。
【0185】
<比較例10−1>
ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例10−1と同様にして、比較例10−1の二次電池を作製した。
【0186】
<比較例10−2>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiMn0.65Fe0.35PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例10−1と同様にして、比較例10−2の二次電池を作製した。
【0187】
<比較例10−3>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiMn0.5Fe0.5PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例10−1と同様にして、比較例10−3の二次電池を作製した。
【0188】
<比較例10−4>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiZn0.7Fe0.3PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例10−1と同様にして、比較例10−4の二次電池を作製した。
【0189】
<比較例10−5>
正極にLiMn0.7Fe0.3PO4を用いる代わりに、LiCo0.7Fe0.3PO4を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を加えなかった点以外は、実施例10−1と同様にして、比較例10−5の二次電池を作製した。
【0190】
次に、実施例1−1〜実施例10−6および比較例1−1〜比較例10−5の二次電池について、23℃において充電電圧4.2V、充電電流0.2Cで、定電流定電圧充電を行った後、23℃において放電電流0.2、終止電圧3.0Vで定電流放電を行った際の放電容量を、0.2C容量として求めた。なお、0.2Cとは、理論容量を5時間で放電(充電)しきる電流値である。
【0191】
また、充電電流および放電電流を、1C、2C、5C、15Cと変えて、同様にして、1C容量、2C容量、5C容量、15C容量を求め、15C容量を、0.2C容量で割った15C/0.2C容量維持率を求めた。なお、1Cとは、理論容量を1時間で放電(充電)しきる電流値であり、2Cとは、理論容量を30分で放電(充電)しきる電流値であり、5Cとは、理論容量を12分で放電(充電)しきる電流値であり、15Cとは、理論容量を4分で放電(充電)しきる電流値である。
【0192】
実施例1−1〜実施例1−10および比較例1−1〜比較例1−3の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表1に示す。実施例2−1〜実施例2−10および比較例2−1〜比較例2−3の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表2に示す。実施例3−1〜実施例3−14および比較例3−1の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表3に示す。実施例4−1〜実施例4−10および比較例4−1〜比較例4−3の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表4に示す。実施例5−1〜実施例5−10および比較例5−1〜比較例5−3の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表5に示す。実施例6−1〜実施例6−14および比較例6−1の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表6に示す。実施例7−1〜実施例7−14および比較例7−1の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表7に示す。実施例8−1〜実施例8−5および比較例8−1〜比較例8−6の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表8に示す。実施例9−1〜実施例9−5および比較例9−1〜比較例9−6の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表9に示す。実施例10−1〜実施例10−5および比較例10−1〜比較例10−5の0.2C容量および15C/0.2C容量維持率を表10に示す。
【0193】
【表1】

【0194】
【表2】

【0195】
【表3】

【0196】
【表4】

【0197】
【表5】

【0198】
【表6】

【0199】
【表7】

【0200】
【表8】

【0201】
【表9】

【0202】
【表10】

【0203】
さらに、実施例1−1〜実施例1−10、実施例2−1〜実施例2−10および比較例1−1〜比較例1−3、比較例2−1〜比較例2−3については、1C/0.2C容量維持率、2C/0.2C容量維持率、5C/0.2C容量維持率、15C/0.2C容量維持率を求め、それらの結果をグラフにまとめた。実施例1−1〜実施例1−10および比較例1−1〜比較例1−3に関するグラフを図3に示す。実施例2−1〜実施例2−10および比較例2−1〜比較例2−3のグラフを図4に示す。
【0204】
表1に示すように、実施例1−1〜実施例1−10では、比較例1−1〜比較例1−3と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率の少なくとも何れかが大きかった。すなわち、正極にLiFePO4を用いた場合において、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)と、1,3−プロペンスルトン(PRS)と、を含む電解液を用いることで、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の少なくとも何れかの効果を得られることがわかった。
【0205】
また、実施例1−1〜実施例1−6で、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果が著しいものとなった。さらに、図3に示すグラフから、実施例1−1〜実施例1−6では、実施例1−7〜実施例1−10および比較例1−1〜比較例1−3と比べて、より優れた充放電特性が得られた。すなわち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)および1,3−プロペンスルトン(PRS)の含有量が、それぞれ0.05wt%〜10wt%の範囲内にある場合に、より優れた放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0206】
表2に示すように、実施例2−1〜実施例2−10では、比較例2−1〜比較例2−3と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率の少なくとも何れかが大きかった。すなわち、正極にLiFePO4を用いた場合において、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)と、1,3−プロパンスルトン(PS)と、を含む電解液を用いることで、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の少なくとも何れかの効果を得られることがわかった。
【0207】
また、実施例2−1〜実施例2−6では、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果が著しいものとなった。さらに、図4に示すグラフから、実施例2−1〜実施例2−6では、実施例2−7〜実施例2−10および比較例2−1〜比較例2−3と比べて、より優れた充放電特性が得られた。すなわち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)および1,3−プロパンスルトン(PS)の含有量が、それぞれ0.05wt%〜10wt%の範囲内にある場合に、より優れた放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0208】
表3に示すように、実施例3−1〜実施例3−6、実施例3−9〜実施例3−14では、比較例3−1と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率が大きかった。すなわち、正極にLiFePO4を用いた場合において、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)と、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の少なくとも何れかと、を含む電解液を用いることで、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0209】
また、実施例3−1〜実施例3−14のなかでも、実施例3−1〜実施例3−6では、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果が著しいものとなった。すなわち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の含有量が、それぞれ0.05wt%〜10wt%の範囲内にある場合に、より優れた放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0210】
表4に示すように、実施例4−1〜実施例4−10では、比較例4−1〜比較例4−3と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率の少なくとも何れかが大きかった。すなわち、正極にLiFePO4を用いた場合において、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)と、1,3−プロペンスルトン(PRS)とを含む電解液を用いることで、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の少なくとも何れかの効果を得られることがわかった。
【0211】
また、実施例4−1〜実施例4−10のなかでも、実施例4−1〜実施例4−6では、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果が著しいものとなった。すなわち、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)および1,3−プロペンスルトン(PRS)の含有量が、それぞれ0.05wt%〜10wt%の範囲内にある場合に、より優れた放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0212】
表5に示すように、実施例5−1〜実施例5−10では、比較例5−1〜比較例5−3と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率の少なくとも何れかが大きかった。すなわち、正極にLiFePO4を用いた場合において、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)と、1,3−プロパンスルトン(PS)とを含む電解液を用いることで、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の少なくとも何れかの効果を得られることがわかった。
【0213】
また、実施例5−1〜実施例5−10のなかでも、実施例5−1〜実施例5−6では、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果が著しいものとなった。すなわち、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)および1,3−プロパンスルトン(PS)の含有量が、それぞれ0.05wt%〜10wt%の範囲内にある場合に、より優れた放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0214】
表6に示すように、実施例6−1〜実施例6−6、実施例6−8〜実施例6−14では、比較例6−1と比較して、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率が大きかった。すなわち、正極にLiFePO4を用いた場合において、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)と、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の少なくとも何れかと、を含む電解液を用いることで、放電容量の向上および大電流での充放電特性向上の効果を得られることがわかった。
【0215】
また、実施例6−1〜実施例6−14のなかでも、実施例6−1〜実施例6−6では、その効果が著しいものとなった。すなわち、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の含有量が、それぞれ0.05wt%〜10wt%の範囲内にある場合に、より優れた放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0216】
表7に示すように、実施例7−1〜実施例7−5および実施例7−12〜実施例7−14では、比較例7−1と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率の少なくとも何れかが大きかった。すなわち、正極にLiFePO4を用いた場合において、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)を含む電解液を用いることで、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の少なくとも何れかの効果を得られることがわかった。
【0217】
また、実施例7−1〜実施例7−14のなかでも、実施例7−1〜実施例7−5では、放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果が著しいものとなった。すなわち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の含有量が、それぞれ0.05wt%〜10wt%の範囲にある場合に、より優れた放電容量の向上および大電流での充放電特性の向上の効果を得られることがわかった。
【0218】
表8に示すように、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)と、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の少なくとも何れかと、を含む電解液を用いた実施例8−1〜実施例8−5では、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)と、エチルサルファイト(ES)およびジエチルサルファイト(DES)の少なくとも何れかと、を含む電解液を用いた比較例8−1〜比較例8−6と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率が著しく大きかった。
【0219】
表9に示すように、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)およびホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)の少なくとも何れかと、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の少なくとも何れかと、を含む電解液を用いた実施例9−1〜実施例9−5では、(C6533Bおよび(FC64O)3Bの少なくとも何れかと、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)と、を含む電解液を用いた比較例9−1〜比較例9−6と比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率が著しく大きかった。
【0220】
表10に示すように、正極に表10に示すリチウム複合酸化物を用い、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)と、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)と、を含む電解液を用いた実施例10−1〜実施例10−5では、ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)(THFPB)、1,3−プロペンスルトン(PRS)および1,3−プロパンスルトン(PS)の何れも含まないことのみ異なる比較例10−1〜比較例10−5に比べて、0.2C容量および15C/0.2C容量維持率が著しく大きかった。
【0221】
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述した実施形態では、円筒型電池を例に挙げて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、例えば角型電池、コイン型電池、ボタン型電池などといった外装材に金属製容器などを用いた電池、薄型電池といった外装材にラミネートフィルムなどを用いた電池など、様々な種種の形状や大きさにすることも可能である。
【0222】
また、例えば。電解液に代えて、他の電解質、例えば高分子化合物に電解液を保持させたゲル状の電解質を用いてもよい。電解液(すなわち液状の溶媒、電解質塩および添加剤)については上述のとおりであり、高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性を考慮すると、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイドなどが好ましい。
【0223】
また、他の電解質としては、イオン伝導性高分子を利用した高分子固体電解質、またはイオン伝導性無機材料を利用した無機固体電解質なども挙げられ、これらを単独あるいは他の電解質と組み合わせて用いてもよい。高分子固体電解質に用いることができる高分子化合物としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリフォスファゼン、あるいはポリシロキサンなどが挙げられる。無機固体電解質としては、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性結晶、あるいはイオン伝導性ガラスなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】この発明の一実施形態による非水電解液電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である
【図3】実施例および比較例の結果をまとめたグラフである。
【図4】実施例および比較例の結果をまとめたグラフである。
【符号の説明】
【0225】
11・・・電池缶
12,13・・・絶縁板
14・・・電池蓋
15・・・安全弁機構
16・・・熱抵抗素子
17・・・ガスケット
20・・・巻回電極体
21・・・正極
21A・・・正極集電体
21B・・・正極活物質層
22・・・負極
22A・・・負極集電体
22B・・・負極活物質層
23・・・セパレータ
24・・・センターピン
25・・・正極リード
26・・・負極リード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1で表されるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび化2で表されるホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)のうちの少なくとも1種と、
1,3−プロペンスルトンおよび1,3−プロパンスルトンのうちの少なくとも1種と、を含むこと
を特徴とする非水電解液。
【化1】

【化2】

【請求項2】
上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび上記ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)のうちの1種または2種並びに上記1,3−プロペンスルトンおよび上記1,3−プロパンスルトンのうちの1種または2種のそれぞれの含有量は、電解液に対して、0.05wt%〜10wt%であること
を特徴とする請求項1記載の非水電解液。
【請求項3】
さらにLiBF4、LiPF6、LiAsF6およびLiSbF6よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むこと
を特徴とする請求項1記載の非水電解液。
【請求項4】
さらに環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルと、を含むこと
を特徴とする請求項1記載の非水電解液。
【請求項5】
上記環状炭酸エステルは、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうちの少なくとも1種であり、
上記鎖状炭酸エステルは、ジメチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジメチルカーボネートのうちの少なくとも1種であること
を特徴とする請求項4記載の非水電解液。
【請求項6】
非水電解液二次電池用であること
を特徴とする請求項1記載の非水電解液。
【請求項7】
上記非水電解液二次電池は、オリビン構造を有するリチウム金属リン酸化合物を含む正極を備えること
を特徴とする請求項6記載の非水電解液。
【請求項8】
上記リチウム金属リン酸化合物は、化Iで表されたものであること
を特徴とする請求項7記載の非水電解液。
(化I)
LiFe1-yyPO4
(式中、Mはマンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。yは0≦y≦0.8である。)
【請求項9】
オリビン構造を有するリチウム金属リン酸化合物を含む正極と、負極と、非水電解液と、を備え、
上記非水電解液は、
化3で表されるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび化4で表されるホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)のうちの少なくとも1種と、
1,3−プロペンスルトンおよび1,3−プロパンスルトンのうちの少なくとも1種と、を含むものであること
を特徴とする非水電解液二次電池。
【化3】

【化4】

【請求項10】
上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび上記ホウ酸トリス(2H−ヘキサフルオロイソプロピル)のうちの1種または2種並びに上記1,3−プロペンスルトンおよび上記1,3−プロパンスルトンのうちの1種または2種のそれぞれの含有量は、電解液に対して、0.05wt%〜10wt%であること
を特徴とする請求項8記載の非水電解液二次電池。
【請求項11】
上記非水電解液は、さらにLiBF4、LiPF6、LiAsF6およびLiSbF6よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むこと
を特徴とする請求項8記載の非水電解液二次電池。
【請求項12】
上記非水電解液は、さらに環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルと、を含むこと
を特徴とする請求項8記載の非水電解液二次電池。
【請求項13】
上記環状炭酸エステルは、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうちの少なくとも1種であり、
上記鎖状炭酸エステルは、ジメチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジメチルカーボネートのうちの少なくとも1種であること
を特徴とする請求項12記載の非水電解液二次電池。
【請求項14】
上記リチウム金属リン酸化合物は、化Iで表されたものであること
を特徴とする請求項8記載の非水電解液二次電池。
(化I)
LiFe1-yyPO4
(式中、Mはマンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。yは0≦y≦0.8である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−198542(P2008−198542A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34410(P2007−34410)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】