説明

非水電解液系電気化学デバイス

【課題】 高エネルギー密度で、且つ高放電レートの出力特性に優れる非水電解液系電気化学デバイスを提供すること。
【解決手段】 活性炭を主成分とする正極電極8と、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料に化学的方法又は電気化学的方法で予めリチウムを吸蔵させた炭素材料を主成分とする負極電極12と、リチウム塩からなる電解質を含む有機溶媒系電解液とを有する非水電解液系電気化学デバイスであり、その負極主成分の炭素材料が易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素の2成分からなり、その炭素材料に含まれる難黒鉛化炭素材料の重量比率は3.3〜33.3%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッドキャパシタ等の非水電解液系電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機溶媒系電解液を使用する充放電可能な電源には、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池などがあり、近年電気二重層キャパシタの正極とリチウムイオン二次電池の負極とを組み合わせたハイブリットキャパシタも知られている。電気二重層キャパシタは、分極性電極として正極・負極とも活性炭を使用することにより、分極性電極とイオン伝導性の電解液界面に形成される電気二重層に電荷を蓄積して使用する電気化学デバイスである。電気二重層キャパシタでは、使用する電解液の溶媒と電解質の選択にもよるが、単一の電気二重層キャパシタの耐電圧は、水系電解液を使用すると1.2V、有機系電解液を使用すると2.7Vの耐電圧である。この場合より大きいエネルギー容量の電気二重層キャパシタを実現するには、電気二重層キャパシタの耐電圧をさらに高くすることである。
【0003】
リチウム二次電池は、リチウム含有遷移金属酸化物を主成分とする正極とリチウムイオンを吸蔵・脱離しうる炭素材料を主成分とする負極とリチウム塩を含む有機系電解液とからなり、充電によりリチウムイオンが正極より脱離し負極炭素材料に吸蔵され、放電により負極からリチウムイオンが脱離し、正極にリチウムイオンが吸蔵される。リチウムイオン二次電池は、電気二重層キャパシタに比べて高電圧、高容量という性質を有するが、抵抗が高く、また充放電サイクルによる寿命がある。
【0004】
近年、正極に活性炭、負極にリチウムイオンを吸蔵・脱離しうる炭素材料を用いたハイブリッドタイプのキャパシタが検討されている。負極がリチウムイオンの吸蔵・脱離反応を伴うためリチウム金属により近い卑な電位で推移するため、従来の正極・負極に活性炭を用いた電気二重層キャパシタよりも高耐電圧化が可能となり、よって高エネルギー化が可能となる。
【0005】
ハイブリッドキャパシタは、電気二重層キャパシタよりも高エネルギー化が可能となるため、電気自動車などのモーター駆動用エネルギー源あるいはエネルギー回生システムとして、また無停電電源装置等新しい用途への適用が検討され、ハイブリッドキャパシタが次世代デバイスとして非常に期待されている。
【0006】
ハイブリッドキャパシタの技術として特許文献1では、活性炭を主成分とする正極と、易黒鉛化炭素材料に予めリチウムを吸蔵させた炭素材料体を負極とする二次電池が提案されている。易黒鉛化炭素材料を用いたハイブリッドキャパシタは、負極がより卑な電位挙動を示すため高エネルギー化が可能であるが、放電のレート特性に劣るという問題がある。また、負極材料に難黒鉛化炭素を用いた特許として特許文献2があり、負極にフェノール系樹脂を不活性ガス雰囲気中で熱縮合反応させ、ポリアセン骨格構造からなるポリアセン有機半導体を主成分とする負極を用いた非水電解液二次電池を提案している。ポリアセンはアモルファス構造を有することから、リチウムイオンの挿入・脱離に対して膨張・収縮といった構造変化が無いためサイクル特性に優れ、またリチウムイオンの挿入・脱離に対して等方的な分子構造であるため急速充電、急速放電にも優れた特性を有する、しかし放電とともに負極の電位が著しく変化するため、ハイブリットキャパシタに使用する際に高エネルギー化を図るには、リチウムのドープ量を極限まで高めなければならないと言う問題がある。極限までリチウムをドープすると充放電の繰り返しによるデントライト(こけ状のリチウム結晶)生成により、セパレータを貫通し、内部ショートが起こると言う問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開昭64−14882号公報
【特許文献2】国際公開WO2004/059672号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、高エネルギー特性を有し、放電レート特性に優れた、非水電解液系電気化学デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非水電解液系電気化学デバイスは、活性炭を主成分とする正極と、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料に化学的方法又は電気化学的方法で予めリチウムを吸蔵させた炭素材料を主成分とする負極と、リチウム塩からなる電解質を含む有機溶媒系電解液とを有する非水電解液系電気化学デバイスにおいて、前記負極主成分の炭素材料が易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素の2成分からなることを特徴とし、その炭素材料に含まれる難黒鉛化炭素材料の重量比率は3.3〜33.3%であるとよく、その難黒鉛化炭素は、X線広角回折法による(002)面の面間隔が0.341〜0.390nmで、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が0.5〜18nmである無定形炭素材料より選ばれた少なくとも1種類であり、且つ、易黒鉛化炭素は、X線広角回折法による(002)面の面間隔が0.340nm以下で、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が20〜230nmである高結晶性炭素材料より選ばれた少なくとも1種類であるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、正極の炭素材料には活性炭を用い、リチウムイオンを吸蔵、脱離する負極の炭素材料として易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素を混合したものを用い、リチウム塩からなる電解質を含む有機溶媒系電解液を用いることにより、高エネルギー密度で且つ高放電レートの出力特性に優れる非水電解液系電気化学デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。まず、図面を参照して、本発明の一実施の形態での非水電解液系電気化学デバイスの構造を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態による非水電解液系電気化学デバイス(ハイブリットキャパシタ)を示し、図1(a)はその平面図、図1(b)は正面図、図1(c)は正断面図である。1はハイブリッドキャパシタ、2は外部取り出し用の負極リード板、3は外部取り出し用の正極リード板、4は外装フィルム、5は電極積層体、8は正極電極、9はセパレータ、12は負極電極である。
【0013】
図6は本発明に係る電極積層体5を示し、図6(a)はその平面図、図6(b)はその斜視図である。
【0014】
図1(c)に示すように、ハイブリットキャパシタは、複数枚の電極板を有する電極積層体5及び電解液を収納した外装フィルム4と電極積層体5に接続されて外装フィルム4の外部に突出した正極リード板3及び負極リード板2とを有する。外装フィルム4は、たとえば内面に熱可塑性樹脂を配する金属箔との複合フィルムなどからなるシートを袋状にしたのもので形成され、その中に電極積層体5及びリチウム塩からなる電解質を含む有機溶媒系電解液を収容した後、真空雰囲気中で封止される。
【0015】
外装フィルム4内に収容される電極積層体5の斜視図は図6(b)のとおりである。電極積層体5は、正極電極8と負極電極12とセパレータ9を有し、外側がセパレータ9となるようにセパレータ−負極板−セパレータ−正極板−セパレータと積層されている。
【0016】
次に、この電極積層体に用いる正極電極、負極電極及びセパレータの製造方法を説明する。
【0017】
正極電極は、アルミニウム箔又はニッケル箔等からなる集電体と炭素材料を主成分とする活物質とを一体化させたものである。炭素材料としては、木材、鋸屑、椰子殻、パルプ廃液などの植物系物質、石炭、石油重質油、又はそれらを熱分解して得られる石炭系及び石油系ピッチ、石油コークス、カーボンエアロゲル、タールピッチなどの化石燃料系物質、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデンなどの合成高分子系物質など各種のものが用いられ、これら原料を炭化後、ガス賦活法又は薬品賦活法によって賦活した比表面積が700〜3000m/g(特に1500〜2500m/gが好ましい)の活性炭を用いる。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックのようなカーボンブラック、天然黒鉛、熱膨張黒鉛炭素繊維が好ましく、5〜30重量%程度添加するのがより好ましい。
【0018】
バインダ物質としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリビニルアルコールなどが用いられ、3〜20重量%程度のバインダを含んで作製するのが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレンが耐熱性、耐薬品性、シート強度の観点から好ましい。
【0019】
他方、負極電極は、銅箔又はニッケル箔等からなる集電体と活物質とを一体化させたものである。活物質は主成分の炭素材料に導電剤及びバインダを加えて形成するが、リチウムイオンのドープ、脱ドープが可能な炭素材料として、易黒鉛化炭素と難黒鉛化炭素(炭素材料に対する重量比率で3.3〜33.3%)とを混合したものを用いる。
【0020】
この難黒鉛化炭素には、フェノールホルムアルデヒド樹脂炭、フルフリルアルコール樹脂炭、カーボンブラック、塩化ビニリデン炭、セルロース炭などを用い、易黒鉛化炭素には、ピッチコークス、メソカーボンマイクロビーズ、ニードルコークス、バルクメソフェーズ、フリュードコークス及びギルソナイトコークスなどを用いることができる。
【0021】
また、X線解析によれば、難黒鉛化炭素は、X線広角回折法による(002)面の面間隔d002が0.341〜0.390nmで、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が0.5〜18nmである無定形炭素材料とすることができ、また、易黒鉛化炭素は、X線広角回折法による(002)面の面間隔d002が0.340nm以下で、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が20〜230nmである高結晶性炭素材料とすることができる。さらに、難黒鉛化炭素及び易黒鉛化炭素として各々2種以上を用いてもよい。
【0022】
導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックのようなカーボンブラック、天然黒鉛、熱膨張黒鉛炭素繊維が好ましく、5〜30重量%程度添加するのがより好ましい。
【0023】
またバインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどが用いられ、3〜20重量%程度のバインダを含んで作製するのが好ましく、特にポリフッ化ビニリデンが耐熱性、耐薬品性、シート強度の観点から好ましい。
【0024】
セパレータは、厚さが薄く、電子絶縁性及びイオン透過性の高い材料が好ましく、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの不織布、又はビスコースレイヨンや天然セルロースの抄紙等が好適に使用される。
【0025】
次に図面を参照して電極積層体の製造方法を説明する。
【0026】
図2は本発明に係る正極電極及び負極電極を示す。図2(a)は正極電極の平面図、図2(b)はリチウム金属圧着済み負極電極の平面図であり、6は正極リード端子、7は活物質(正極)、8は正極電極、10は負極リード端子、11は活物質(負極)、12は負極電極、13はリチウム金属である。
【0027】
図3は本発明に係るセパレータ9の平面図である。
【0028】
図4は本発明に係るセパレータ/正極電極/セパレータのセットを示す平面図であり、8は正極電極、9はセパレータである。
【0029】
図5は本発明に係る負極電極(リチウム金属圧着済み)/セパレータ/正極電極/セパレータのセットを示す平面図であり、9はセパレータ、12は負極電極である。
【0030】
まず、図2(a)のような正極電極、図2(b)のようなリチウム金属圧着済み負極電極を作製する。このとき、負極電極にリチウムを吸蔵させる方法は、公知の技術に従い、負極電極にリチウム金属を圧着して、化学的方法又は電気化学的方法により行う。次に、図3のようなセパレータを用い、図4のようなセパレータ/正極電極/セパレータのセットを作製し、さらに、図5のような負極電極(リチウム金属圧着済み)/セパレータ/正極電極/セパレータのセットを作製し、電極積層体を得る。
【0031】
以後、本実施の形態の非水電解液系電気化学デバイスの製造方法はすでに説明したとおりである。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例、比較例を示し、本発明の特徴をさらに明確にする。
【0033】
(実施例1)比表面積2500m/gのKOH賦活炭とカーボンブラックを重量比80:10の割合で混合し、この混合粉末にバインダとしてNメチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン(混合粉末:バインダ=90:10)を加え混練してスラリーを得た。次いでエッチング処理された厚さ30μmのアルミニウム箔にそのスラリーを均一に塗布した。その後、乾燥し圧延処理することで塗布厚100μmの正極電極シートを得た。上記で得られた電極を、その活物質が塗布されている部分が36.5mm×40mmになるように正極は1枚切り出した。
【0034】
易黒鉛化炭素材料としての天然黒鉛(d002:0.335nm、Lc:229.1nm)と難黒鉛化炭素材料のカーボトロンP(d002:0.38nm、Lc:1.1nm)の負極活物質粉末(カーボトロンは登録商標)を重量比80:10の割合で混合し、次いで負極活物質粉末と導電剤カーボンブラックを重量比90:5の割合で混合し、この混合粉末にバインダとしてNメチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン(混合粉末:バインダ=95:5)を加え混練してスラリーを得た。
【0035】
次いで厚さ15μmの銅箔にそのスラリーを均一に塗布した。その後、乾燥し圧延処理することで塗布厚35μmの負極電極シートを得た。上記で得られた電極を、その活物質が塗布されている部分が38mm×42mmになるように負極は切り出した。次に厚み40μmのリチウム金属箔を20mm×23mmに切り抜き、このリチウム箔を負極電極に圧着した。
【0036】
上記のようにして作製した負極リード端子と外装フィルムの外部に突出した負極リード板を一括して超音波溶接した。同様に、正極リード端子と外装フィルムの外部に突出した正極リード板を一括して超音波溶接した。
【0037】
これにより得られた電極積層体を外装フィルムに収納し、次に電解液を注入した。電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で1:1に混合した溶媒に、LiPFを濃度が1Mol/lとなるように加えた電解液を使用した。電解液注入後、真空雰囲気中にて外装体を封止した。負極電極上に配置したリチウム金属が電気的接触によりイオン化し、負極中に取り込まれた。リチウムが負極に吸蔵されていることは、正極の代わりにリチウム金属参照極を入れた系において確認を行った。これによって積層型ハイブリッドキャパシタ(非水電解液系電気化学デバイス)を得た。
【0038】
(実施例2)実施例1において、天然黒鉛80重量%と難黒鉛化炭素材10重量%に変えて、天然黒鉛70%重量と難黒鉛化炭素材20重量%を用い、実施例1と同様にしてラミネート型非水電解液系電気化学キャパシタを組み立てた。
【0039】
(実施例3)実施例1において、天然黒鉛80重量%と難黒鉛化炭素材10重量%に変えて、天然黒鉛65%重量と難黒鉛化炭素材25重量%を用い、実施例1と同様にしてラミネート型非水電解液系電気化学キャパシタを組み立てた。
【0040】
(実施例4)実施例1において、天然黒鉛80重量%と難黒鉛化炭素材10重量%に変えて、天然黒鉛87%重量と難黒鉛化炭素材3重量%を用い、実施例1と同様にしてラミネート型非水電解液系電気化学キャパシタを組み立てた。
【0041】
(実施例5)実施例1において、天然黒鉛80重量%と難黒鉛化炭素材10重量%に変えて、天然黒鉛60%重量と難黒鉛化炭素材30重量%を用い、実施例1と同様にしてラミネート型非水電解液系電気化学キャパシタを組み立てた。
【0042】
(比較例1)実施例1において、天然黒鉛80重量%と難黒鉛化炭素材10重量%に変えて、天然黒鉛90%重量を用い、実施例1と同様にしてラミネート型非水電解液系電気化学キャパシタを組み立てた。
【0043】
(比較例2)実施例1において、天然黒鉛80重量%と難黒鉛化炭素材10重量%に変えて、難黒鉛化炭素材90%重量を用い、実施例1と同様にしてラミネート型非水電解液系電気化学キャパシタを組み立てた。
【0044】
実施例1〜5及び比較例1、2で得た非水系電解液系電気化学キャパシタについて、その静電容量、耐電圧、直流抵抗、レート特性を測定した。このとき、定電流で使用電圧まで充電し、定電圧で30分間充電を行った後、所定電流で2.2Vまで充電した。静電容量(F)は放電電流容量(mAh)からF換算(静電容量換算)で算出し、直流抵抗は初期のIRドロップから算出した。その結果を表1に示す。なお、放電レート10C、20Cでの静電容量には、放電レート1Cでの静電容量に対する変化率(レート特性に対応)を付記した。
【0045】
【表1】

【0046】
表1の結果から本発明による非水電解液系電気化学キャパシタの実施例1〜3は、比較例1と同等の高容量・高耐圧を持ち、且つ、比較例2と同等の直流抵抗及びレート特性を持つ結果が得られている。これは、放電時に優先的に難黒鉛化炭素内に吸蔵されたリチウムイオンが脱離するためレート特性に優れ、またリチウム脱離に対する電位挙動が少ない易黒鉛化炭素により総体的に負極電位が低く保たれるため、放電時の負極電位挙動変化が少なく、高容量・高耐圧の結果が得られたと考える。
【0047】
難黒鉛化炭素の配合比を3.3%とした実施例4は、実施例1〜3と比較すると、直流抵抗が大きく、レート特性も低下し、実用的な下限となる。また難黒鉛化炭素の配合比を33.3%とした実施例5は、実施例1〜3と比較し容量が小さくなり、実用的な上限となる。さらに高特性が要求されるときには、難黒鉛化炭素の配合比は、5〜30%程度にするのがよい。
【0048】
以上の結果より、本発明を実施することにより、積層型ハイブリッドキャパシタの製品において高耐圧、高容量、レート特性に優れた製品の作製が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態による非水電解液系電気化学デバイスを示し、図1(a)はその平面図、図1(b)は正面図、図1(c)は正断面図。
【図2】本発明に係る正極電極及び負極電極を示し、図2(a)は正極電極の平面図、図2(b)はリチウム金属圧着済み負極電極の平面図。
【図3】本発明に係るセパレータの平面図。
【図4】本発明に係るセパレータ/正極電極/セパレータのセットを示す平面図。
【図5】本発明に係る負極電極(リチウム金属圧着済み)/セパレータ/正極電極/セパレータのセットを示す平面図。
【図6】本発明に係る電極積層体を示し、図6(a)はその平面図、図6(b)はその斜視図。
【符号の説明】
【0050】
1 ハイブリッドキャパシタ
2 負極リード板
3 正極リード板
4 外装フィルム
5 電極積層体
6 正極リード端子
7,11 活物質
8 正極電極
9 セパレータ
10 負極リード端子
12 負極電極
13 リチウム金属

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭を主成分とする正極と、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料に化学的方法又は電気化学的方法で予めリチウムを吸蔵させた炭素材料を主成分とする負極と、リチウム塩からなる電解質を含む有機溶媒系電解液とを有する非水電解液系電気化学デバイスにおいて、前記負極の主成分の炭素材料が易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素の2成分からなることを特徴とする非水電解液系電気化学デバイス。
【請求項2】
前記炭素材料に含まれる難黒鉛化炭素の重量比率は3.3〜33.3%であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液系電気化学デバイス。
【請求項3】
前記難黒鉛化炭素は、X線広角回折法による(002)面の面間隔が0.341〜0.390nmで、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が0.5〜18nmである無定形炭素材料より選ばれた少なくとも1種類であり、且つ、前記易黒鉛化炭素は、X線広角回折法による(002)面の面間隔が0.340nm以下で、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が20〜230nmである高結晶性炭素材料より選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水電解液系電気化学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−235169(P2008−235169A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76533(P2007−76533)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】