非水電解質二次電池用正極活物質、それを用いた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法
【課題】 高容量でかつ高電位でも安定したサイクル特性を有する非水電解質二次電池用正極活物質、それを用いた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した時のaの比が、電位P(V)が4.8≦P≦5.0 (vs.Li/Li+)の場合に0.08≦a≦0.12の範囲にある、又は電位P(V)が、2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)の場合に1.05≦a≦1.15の範囲にあることを特徴としている。
【解決手段】 本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した時のaの比が、電位P(V)が4.8≦P≦5.0 (vs.Li/Li+)の場合に0.08≦a≦0.12の範囲にある、又は電位P(V)が、2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)の場合に1.05≦a≦1.15の範囲にあることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質、それを用いた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用正極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高エネルギー密度の二次電池として、非水電解質二次電池が様々な携帯用機器の電源等として多用されているが、携帯機器の多機能化による消費電力の増加に伴って、さらに高いエネルギー密度の非水電解質二次電池が要望されている。
【0003】
非水電解質二次電池を高エネルギー密度化するためには、正極を高容量密度化することが必要で、中でも可逆性の高い層状化合物への期待は大きい。非水電解質二次電池の正極に現在使用されている層状化合物のLiCoO2には、Li1-xCoO2(空間群R-3m)中のリチウムをx=0.5以上引き抜くと、結晶構造が崩れはじめ、可逆性が低下するという問題がある。そのため充電電位は4.3V(vs.Li/Li+)程度に制限される。従って、LiCoO2で利用できる放電容量密度は、160mAh/g程度である。
【0004】
そこで、新規リチウム化合物の合成法として、ナトリウム化合物を経由してリチウム化合物を合成する手法が研究されている。この方法によれば、リチウム化合物経由では合成が困難な層状化合物を容易に得ることができる。中でもNa0.7CoO2やNaCo1/2Mn1/2O2は、ナトリウムをリチウムにイオン交換することで、非水電解質二次電池の正極活物質として利用できるため、合成法、化学的手法によるイオン交換法が研究されている。
【0005】
しかしながら、高容量化は未だ不十分であり、NaxCo0.5Mn0.5O2からイオン交換法を用いて合成したO3構造LixCo0.5Mn0.5O2の放電容量密度は130mAh/g程度である(非特許文献1参照)。また、Na0.7MO2の遷移金属サイトMにリチウムを添加したLi0.7(Li1/6Mn5/6)O2が示され、その容量は190mAh/g程度である(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】Solid State Ionics 149 (2002) P39
【非特許文献2】Electrochimica Acta 47(2002) 2937-2942
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高容量でかつ高電位でも安定したサイクル特性を有する非水電解質二次電池用正極活物質、それを用いた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第一の発明は、空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、4.8≦P≦5.0(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、0.08≦a≦0.12の範囲にあることを特徴としている。
【0008】
本願の第二の発明は、空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、1.05≦a≦1.15の範囲にあることを特徴としている。
【0009】
本発明の正極活物質LiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.2、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)は5.0V(Li/Li+)でa=0.1となり、2.0V(Li/Li+)ではa=1.1となる。すなわち本発明の正極活物質を用いると、リチウムイオンを90%引き抜くことが可能であることから非水電解質二次電池の高容量化を実現することができる。また、リチウムイオンの引抜により電位が高くなった際の構造崩壊が生じ難いため、安定したサイクル特性を実現することができる。さらに、コバルトより安価なマンガンの含有率を高くすることで、安価な材料を提供することも可能である。
【0010】
リチウム含有層状酸化物活物質の中でも空間群P63mcに属するO2構造のLiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.2、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)や、空間群Cmca に属するT2構造のLiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.1、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)はそれぞれ正極活物質として利用でき、これらが単一、若しくは任意に混合・固溶していると考えられる。
【0011】
LiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.1、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)の組成に関して、好ましくは(0.7≦a≦1.2、0≦b≦0.005、0.40≦x≦0.525、0.40≦y≦0.525、0.80≦x+y≦1.05、0≦α≦0.3)である。
【0012】
上記リチウム含有層状酸化物は主成分のほかに固溶体、若しくは混合物としてX線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=18.0°〜19.5°にピークを持つ物質を含んでいる。この物質として空間群C2/m若しくはC2/cに属する酸化物Li1+x〔MnyCo1-y〕1-xO2(0≦x≦1/3、0<y≦1)が考えられ、Li2MnO3が代表的な材料である。これが固溶体若しくは混合物として上記リチウム含有層状酸化物中に含まれている割合は35mol%以下であり、好ましくは30%未満で、更に好ましくは25%未満である。
【0013】
上記正極活物質は空間群P63/mmcに属するP2構造を有するNaaLibMO2±α(0.5≦a≦1.1、0<b≦0.3、0≦α≦0.3、M:マンガン、コバルト、ニッケルから選択される少なくともひとつの元素)をイオン交換することによって得られる。この層状ナトリウム酸化物には固溶体、若しくは複合酸化物としてX線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=18.0°〜19.5°にピークを持つ物質を30%未満含んでいてもよい。例えばその様な物質として空間群C2/m若しくはC2/cに属する酸化物Li1+x〔MnyNizCo1-y〕1-xO2(0≦x≦1/3、0<y≦1、0<z≦1)が考えられ、代表的なものとしてはLi2MnO3である。
【0014】
イオン交換の方法としては、硝酸リチウムと塩化リチウムを混合した溶融塩床を利用することができる。この融点床が溶融する温度以上、320℃未満の範囲で利用するのが最良である。硝酸リチウムと塩化リチウムのモル比をそれぞれ87.7:12.3とした時に、融点は最も低くなり、その温度は244℃である。溶融塩の構成として、塩化リチウムの代わりに水酸化リチウムを利用することも可能である。
【0015】
上記正極活物質はイオン交換前の真密度が4.3g/cm3程度であるのに対し、イオン交換後は4.40g/cm3〜5.00 g/cm3と大きい。また、対極リチウム金属を用いたセルにおいて既存のコバルト酸リチウムが充放電電位2.5V-5.0V(vs.Li/Li+)における5サイクル後の容量維持率は80%であるのに対し、上記のリチウム含有層状酸化物は更に厳しい充放電電位2.0V-5.0V(vs.Li/Li+)範囲で5サイクル後の容量維持率は90%以上となることが特徴である。
【0016】
上記のリチウム含有層状酸化物の組成は電位P(V)が4.8≦P≦5.0(vs.Li/Li+)におけるそのときの各元素比はリチウム:マンガン+コバルト=a:x+y(0.08≦a≦0.12、x+y=1.0)で、より好ましくは0.09≦a≦0.11である。また、電位P(V)が2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)における各元素比はリチウム:(マンガン+コバルト)=a:x+y (1.05≦a≦1.15、x+y=1.0)で、より好ましくは1.06≦a≦1.12である。
【0017】
負極材料として、リチウム,珪素,炭素,錫,ゲルマニウム,アルミニウム,鉛,インジウム、ガリウム、リチウム含有合金、予めリチウムを吸蔵させた炭素材料、珪素材料を少なくとも一つ以上に用いることが出来る。
【0018】
導電性の優れた活物質を用いる場合には、電極に添加する導電剤を添加しなくても電極として機能するが、導電性の低い活物質を用いる場合には、導電剤を用いることが望ましい。導電剤としては、導電性を有する材料であればよく、特に導電性が優れている酸化物、炭化物、窒化物、炭素材料のうちから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。そのような酸化物として、酸化スズ、酸化インジウム等が、炭化物としては、炭化タングステン、炭化ジルコニウムが、窒化物としては、窒化チタン、窒化タンタル等が挙げられる。なお、このように導電剤を添加させる場合、その添加量が少ないと、正極における導電性を充分に向上させることができないが、その添加量が多くなり過ぎると、正極における活物質の割合が少なくなり正極の容量密度が減少する。このため、導電剤の量が全体の0質量%以上30質量%以下、好ましくは、0質量%以上20質量%以下、より好ましくは、0質量%以上10質量%以下が望ましい。
【0019】
電極に添加するバインダーとして、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロースの中から選択される少なくとも一種を用いることができる。
【0020】
電極に添加するバインダーの量が多いと、正極に含まれる活物質の割合が小さくなるため、高いエネルギー密度が得られなくなる。そのため、バインダーの量が全体の0重量%以上30質量%以下、好ましくは、0質量%以上20質量%以下、より好ましくは、0質量%以上10質量%以下の範囲になるようにする。
【0021】
また,本発明で用いる非水溶媒は、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、ニトリル類、アミド類等が挙げられる。
【0022】
環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられ、これらの水素基の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能で、このような非水溶媒としてトリフルオロプロピレンカーボネートやフルオロエチルカーボネートなどがあげられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどが挙げられ、これらの水素の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能である。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。環状エーテル類としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテルなどが挙げられる。鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o-ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルなどが挙げられる。ニトリル類としては、アセトニトリル等,アミド類としては、ジメチルホルムアミド等であり、これらの中から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0023】
加えるリチウム塩としては、従来の非水リチウムイオン二次電池において電解質として一般に使用されているものを用いることができ、例えば、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiAsF6、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムから選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0024】
また、本発明で用いる負極としては、リチウムを吸蔵・放出する材料を用いることができる。リチウムを吸蔵・放出する材料として、リチウム金属、リチウム合金、予めリチウムを吸蔵させた黒鉛等の炭素材料、ケイ素などが挙げられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、結晶構造が安定な状態で正極活物質からリチウムイオンを約90%引き抜くことが可能であることから、非水電解質二次電池の高容量化及びサイクル特性の向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
出発原料としてシュウ酸ナトリウム(Na2C2O4)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、炭酸ナトリウム(NaCO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)酸化コバルト(Co3O4)、酸化マンガン(Mn2O3)、(MnO2)を適宜用いて、表1に示す組成比で混合した。混合した粉末は、ペレット成型後、空気中700℃で10時間仮焼成を行い、その後、本焼成として空気中800℃、20時間保持した。こうして主成分が空間群P63/mmcに属する、O2構造のナトリウム酸化物NaaLibMnyCozO2を合成した。
【0027】
さらに合成物中のナトリウムをリチウムにイオン交換するため、硝酸リチウムと塩化リチウムの溶融混合物(88:12)中で280℃、10時間保持した。この溶融混合物とイオン交換したいナトリウム酸化物の比は10:1〜5:1が好ましい。これを水洗し、硝酸塩と塩化物塩ならびに出発原料の未反応物を水洗した。イオン交換によって生成された酸化物は100℃で真空乾燥後、正極活物質とした。図1にこの正極活物質のXRDプロファイルを示す。
【0028】
(実施例2)
炭酸ナトリウム(NaCO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)酸化コバルト(Co3O4)、酸化マンガン(Mn2O3)、(MnO2)を適宜用いて、Li0.7LixMn0.5Co0.5O2(X=0.1、0.2)組成比で混合した。混合した粉末は、空気中700℃で10時間仮焼成を行い、その後、本焼成として空気中800℃、20時間保持した。こうして主成分が空間群P63/mmcに属する、O2構造のナトリウム酸化物NaaLibMnyCozO2を合成した。
【0029】
さらに合成物中のナトリウムをリチウムにイオン交換するため、硝酸リチウムと塩化リチウムの溶融混合物(88:12)中で280℃、10時間保持した。この溶融混合物とイオン交換したいナトリウム酸化物の比は10:1〜5:1が好ましい。これを水洗し、硝酸塩と塩化物塩ならびに出発原料の未反応物を水洗した。イオン交換によって出来た酸化物は100℃で真空乾燥後、正極活物質とした。
【0030】
上記活物質を80質量%、導電剤としてアセチレンブラックを10質量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデンが10質量%となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリー化した後、集電体上に塗布した。この後、110℃で真空乾燥、成形し正極を得た。
【0031】
負極には、所定の大きさにカットしたリチウム金属を用いた。また、リチウム金属を所定の大きさにカットし、参照極を用意した。
【0032】
非水電解質として、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートを30:70体積%の割合で混合した電解液に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0 mol/lの濃度になるように添加したものを用いた。
【0033】
図2に示すように、不活性雰囲気下において、作用極に正極活物質で形成した電極を使用し、対極となる負極と、参照極とにはそれぞれリチウム金属を用い、ラミネート容器に上記の非水電解質を注液させることにより、試験セルを作製した。
【0034】
試験セルにおいて、放電終止電位2.5V(vs.Li/Li+)、充電終止電位4.5V(vs.Li/Li+ )と5.0V(vs.Li/Li+)の2つの試験を行い、その結果をそれぞれ放電容量1、放電容量2として表1に示す。電流密度は約1/5Itとした。容量密度(mAh/g)は、流した電気量を活物質の質量で除したものである。
【0035】
比較例として、前駆体としてリチウムを添加しなかった試料の結果を表1のNo.3、4に示す。予めリチウムを添加した前駆体をイオン交換した試料No.1、2の初期放電容量密度はNo.3、4より放電容量密度が大きくなる。No.1、2の特徴は空間群P63mc相以外に、C2/mやC2/c相が現れることである。
【0036】
No.2のイオン交換後の試料について充放電電位2.0-5.0V(vs.Li/Li+)にて低レート(1/30It)における初期放電容量測定を行った結果、初期放電容量密度は246mAh/g、初期充放電効率が124%となった。その結果を図3に示す。イオン交換により作製した正極のナトリウムが0.7であることから、初期充放電効率が100%以上になることもある。この試料のイオン交換前の真密度は4.33g/cm3であったが、イオン交換後は4.44g/cm3と大きくなった。また、対極リチウム金属を用いたセルにおいて5サイクル後の放電容量密度は224mAh/gとなった。従って5サイクル容量維持率91%である。この試料についてナトリウム量を測定した結果、Li0.9NaxMn0.5Co0.5O2として計算するとX≦0.01で、さらに詳しく分析するとX≦0.002であった。
【0037】
比較例として既存のコバルト酸リチウムに関して、充放電電位2.5-5.0V(vs.Li/Li+)範囲で5サイクルの充放電試験を行った(図4)。その結果、初期放電容量密度242mAh/g、5サイクル後の放電容量密度196mAh/gとなり、5サイクル容量維持率は81%であった。
【0038】
【表1】
【0039】
No.2の試料の元素分析を、マンガンとコバルトはICPで、リチウムとナトリウムは原子発光測定法で測定した。マンガンとナトリウムの比の合計が1となるようにし、酸素を2にすると、No.2の組成はNa0.63Li0.16Mn0.50Co0.50O2となる。同様の方法でイオン交換した後の試料について元素分析を行った結果、その組成はLi0.83Mn0.50Co0.50O2となった。
【0040】
各充電深度におけるこの試料の組成を分析した。各充電深度を図5、6に、各組成分析結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
No.1〜6は1サイクル目の充電、No.7〜11は1サイクル目の放電(ただし充電終止電位が4.5V)、No.12〜16は1サイクル目の放電(ただし充電終止電位が5.0V)、No.17〜22は2サイクル目の充電深度における試料の各組成を示している。
【0043】
表2から明らかなように、4.8V以上で上記正極活物質は充電末期となり、そのリチウム量は0.09〜0.11である。ナトリウム正極として初期リチウム添加量が0.16であるのにもかかわらず、充電状態ではリチウムが0.1程度である。
【0044】
また、2.0Vまでの放電した際のリチウム量は1.06〜1.11である。ナトリウム酸化物として仕込んだリチウム量が0.16であることから、期待される放電リチウム量は1.16と考えられるが、実際は1.1であった。初期ナトリウム量が0.67、イオン交換後のリチウム量が0.83であるが、2Vまで放電すると、リチウムは1.1まで挿入可能であることがわかった。
【0045】
各充電電位における正極活物質のXRD測定結果を図7、図8、図9、及び図10に示す。層状酸化物 LiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.90≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)の電位P(V)が5.0Vの時、X線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=19.3〜20.7°に主ピークを持ち、かつ2θ=36.0〜37.0°と2θ=39.0〜40.5°にそれぞれピークをもつ。また、電位P(V)が2.0Vの時、X線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=18.0〜19.0°に主ピークを持ち、かつ2θ=36.9〜37.6°のピークが2番目の強度を示し、かつ2θ=36.0〜36.8°、56.8〜57.5°にそれぞれピークをもつ。
【0046】
図7と図8を比較して、ピークのプロファイルが明らかに異なっていることから、活物質を電極としただけの状態(初期状態)と充電状態(5.0V)では構造が異なっていることがわかる。また、図11に試料1(初期電極)と試料16(放電電位2.0Vの状態)のXRDプロファイル比較を示す。2θ=30〜45°でピークが異なっていることから、構造は異なっていることがわかる。
【0047】
炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、酸化コバルト(Co3O4)、二酸化マンガンを混合し、700℃で10時間、900℃で20時間焼成し、さらに合成物中のナトリウムをリチウムにイオン交換するため、硝酸リチウムと塩化リチウムの溶融混合物(88:12)中で280℃、10時間保持した。この溶融混合物とイオン交換したいナトリウム酸化物の比は5:1とした。これを水洗し、硝酸塩と塩化物塩ならびに出発原料の未反応物を水洗した。イオン交換によって出来た酸化物は100℃で真空乾燥後、正極活物質とした。元素分析の結果、この試料はLi0.8Mn0.5Co0.5O2であった。
【0048】
試験セルにおいて、放電終止電位2.5または2.0V(vs.Li/Li+)、充電終止電位5.0V (vs.Li/Li+ )で電流密度は約1/10Itとして、10サイクルのサイクル特性試験をした。その結果を表3に示す。尚、容量密度(mAh/g)は、流した電気量を活物質の質量で除したものである。
【0049】
【表3】
【0050】
組成分析結果では試料15、16とも大きな違いは無いが、放電終止電位を2.0V(vs.Li/Li+)より2.5V(vs.Li/Li+ )とした方が電池劣化を抑えられていることがわかる。試料15、16のXRD測定結果を図12に示す。また、図12の点線で囲われた部分の拡大図を図13に示す。図12及び13より放電終止電位2.0Vと2.5Vでは構造が異なっていることがわかり、これがサイクル特性に違いを生じさせた理由であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1で使用した正極活物質のXRDプロファイル図。
【図2】本発明で使用した試験セルの模式図。
【図3】表1のNo.2のイオン交換後における充放電曲線図。
【図4】従来技術のコバルト酸リチウムの充放電曲線図。
【図5】表2のNo.1〜6、No.17〜22の充電深度を表した図。
【図6】表2のNo.7〜11、No.12〜16の充電深度を表した図。
【図7】表2のNo.1のXRDプロファイル図。
【図8】表2のNo.6のXRDプロファイル図。
【図9】表2のNo.9のXRDプロファイル図。
【図10】表2のNo.16のXRDプロファイル図。
【図11】表2のNo.1とNo.16のXRDプロファイル図。
【図12】表2のNo.15とNo.16のXRDプロファイル図。
【図13】図12の拡大図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質、それを用いた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用正極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高エネルギー密度の二次電池として、非水電解質二次電池が様々な携帯用機器の電源等として多用されているが、携帯機器の多機能化による消費電力の増加に伴って、さらに高いエネルギー密度の非水電解質二次電池が要望されている。
【0003】
非水電解質二次電池を高エネルギー密度化するためには、正極を高容量密度化することが必要で、中でも可逆性の高い層状化合物への期待は大きい。非水電解質二次電池の正極に現在使用されている層状化合物のLiCoO2には、Li1-xCoO2(空間群R-3m)中のリチウムをx=0.5以上引き抜くと、結晶構造が崩れはじめ、可逆性が低下するという問題がある。そのため充電電位は4.3V(vs.Li/Li+)程度に制限される。従って、LiCoO2で利用できる放電容量密度は、160mAh/g程度である。
【0004】
そこで、新規リチウム化合物の合成法として、ナトリウム化合物を経由してリチウム化合物を合成する手法が研究されている。この方法によれば、リチウム化合物経由では合成が困難な層状化合物を容易に得ることができる。中でもNa0.7CoO2やNaCo1/2Mn1/2O2は、ナトリウムをリチウムにイオン交換することで、非水電解質二次電池の正極活物質として利用できるため、合成法、化学的手法によるイオン交換法が研究されている。
【0005】
しかしながら、高容量化は未だ不十分であり、NaxCo0.5Mn0.5O2からイオン交換法を用いて合成したO3構造LixCo0.5Mn0.5O2の放電容量密度は130mAh/g程度である(非特許文献1参照)。また、Na0.7MO2の遷移金属サイトMにリチウムを添加したLi0.7(Li1/6Mn5/6)O2が示され、その容量は190mAh/g程度である(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】Solid State Ionics 149 (2002) P39
【非特許文献2】Electrochimica Acta 47(2002) 2937-2942
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高容量でかつ高電位でも安定したサイクル特性を有する非水電解質二次電池用正極活物質、それを用いた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第一の発明は、空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、4.8≦P≦5.0(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、0.08≦a≦0.12の範囲にあることを特徴としている。
【0008】
本願の第二の発明は、空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、1.05≦a≦1.15の範囲にあることを特徴としている。
【0009】
本発明の正極活物質LiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.2、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)は5.0V(Li/Li+)でa=0.1となり、2.0V(Li/Li+)ではa=1.1となる。すなわち本発明の正極活物質を用いると、リチウムイオンを90%引き抜くことが可能であることから非水電解質二次電池の高容量化を実現することができる。また、リチウムイオンの引抜により電位が高くなった際の構造崩壊が生じ難いため、安定したサイクル特性を実現することができる。さらに、コバルトより安価なマンガンの含有率を高くすることで、安価な材料を提供することも可能である。
【0010】
リチウム含有層状酸化物活物質の中でも空間群P63mcに属するO2構造のLiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.2、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)や、空間群Cmca に属するT2構造のLiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.1、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)はそれぞれ正極活物質として利用でき、これらが単一、若しくは任意に混合・固溶していると考えられる。
【0011】
LiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.1、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.80≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)の組成に関して、好ましくは(0.7≦a≦1.2、0≦b≦0.005、0.40≦x≦0.525、0.40≦y≦0.525、0.80≦x+y≦1.05、0≦α≦0.3)である。
【0012】
上記リチウム含有層状酸化物は主成分のほかに固溶体、若しくは混合物としてX線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=18.0°〜19.5°にピークを持つ物質を含んでいる。この物質として空間群C2/m若しくはC2/cに属する酸化物Li1+x〔MnyCo1-y〕1-xO2(0≦x≦1/3、0<y≦1)が考えられ、Li2MnO3が代表的な材料である。これが固溶体若しくは混合物として上記リチウム含有層状酸化物中に含まれている割合は35mol%以下であり、好ましくは30%未満で、更に好ましくは25%未満である。
【0013】
上記正極活物質は空間群P63/mmcに属するP2構造を有するNaaLibMO2±α(0.5≦a≦1.1、0<b≦0.3、0≦α≦0.3、M:マンガン、コバルト、ニッケルから選択される少なくともひとつの元素)をイオン交換することによって得られる。この層状ナトリウム酸化物には固溶体、若しくは複合酸化物としてX線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=18.0°〜19.5°にピークを持つ物質を30%未満含んでいてもよい。例えばその様な物質として空間群C2/m若しくはC2/cに属する酸化物Li1+x〔MnyNizCo1-y〕1-xO2(0≦x≦1/3、0<y≦1、0<z≦1)が考えられ、代表的なものとしてはLi2MnO3である。
【0014】
イオン交換の方法としては、硝酸リチウムと塩化リチウムを混合した溶融塩床を利用することができる。この融点床が溶融する温度以上、320℃未満の範囲で利用するのが最良である。硝酸リチウムと塩化リチウムのモル比をそれぞれ87.7:12.3とした時に、融点は最も低くなり、その温度は244℃である。溶融塩の構成として、塩化リチウムの代わりに水酸化リチウムを利用することも可能である。
【0015】
上記正極活物質はイオン交換前の真密度が4.3g/cm3程度であるのに対し、イオン交換後は4.40g/cm3〜5.00 g/cm3と大きい。また、対極リチウム金属を用いたセルにおいて既存のコバルト酸リチウムが充放電電位2.5V-5.0V(vs.Li/Li+)における5サイクル後の容量維持率は80%であるのに対し、上記のリチウム含有層状酸化物は更に厳しい充放電電位2.0V-5.0V(vs.Li/Li+)範囲で5サイクル後の容量維持率は90%以上となることが特徴である。
【0016】
上記のリチウム含有層状酸化物の組成は電位P(V)が4.8≦P≦5.0(vs.Li/Li+)におけるそのときの各元素比はリチウム:マンガン+コバルト=a:x+y(0.08≦a≦0.12、x+y=1.0)で、より好ましくは0.09≦a≦0.11である。また、電位P(V)が2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)における各元素比はリチウム:(マンガン+コバルト)=a:x+y (1.05≦a≦1.15、x+y=1.0)で、より好ましくは1.06≦a≦1.12である。
【0017】
負極材料として、リチウム,珪素,炭素,錫,ゲルマニウム,アルミニウム,鉛,インジウム、ガリウム、リチウム含有合金、予めリチウムを吸蔵させた炭素材料、珪素材料を少なくとも一つ以上に用いることが出来る。
【0018】
導電性の優れた活物質を用いる場合には、電極に添加する導電剤を添加しなくても電極として機能するが、導電性の低い活物質を用いる場合には、導電剤を用いることが望ましい。導電剤としては、導電性を有する材料であればよく、特に導電性が優れている酸化物、炭化物、窒化物、炭素材料のうちから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。そのような酸化物として、酸化スズ、酸化インジウム等が、炭化物としては、炭化タングステン、炭化ジルコニウムが、窒化物としては、窒化チタン、窒化タンタル等が挙げられる。なお、このように導電剤を添加させる場合、その添加量が少ないと、正極における導電性を充分に向上させることができないが、その添加量が多くなり過ぎると、正極における活物質の割合が少なくなり正極の容量密度が減少する。このため、導電剤の量が全体の0質量%以上30質量%以下、好ましくは、0質量%以上20質量%以下、より好ましくは、0質量%以上10質量%以下が望ましい。
【0019】
電極に添加するバインダーとして、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロースの中から選択される少なくとも一種を用いることができる。
【0020】
電極に添加するバインダーの量が多いと、正極に含まれる活物質の割合が小さくなるため、高いエネルギー密度が得られなくなる。そのため、バインダーの量が全体の0重量%以上30質量%以下、好ましくは、0質量%以上20質量%以下、より好ましくは、0質量%以上10質量%以下の範囲になるようにする。
【0021】
また,本発明で用いる非水溶媒は、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、ニトリル類、アミド類等が挙げられる。
【0022】
環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられ、これらの水素基の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能で、このような非水溶媒としてトリフルオロプロピレンカーボネートやフルオロエチルカーボネートなどがあげられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどが挙げられ、これらの水素の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能である。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。環状エーテル類としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテルなどが挙げられる。鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o-ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルなどが挙げられる。ニトリル類としては、アセトニトリル等,アミド類としては、ジメチルホルムアミド等であり、これらの中から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0023】
加えるリチウム塩としては、従来の非水リチウムイオン二次電池において電解質として一般に使用されているものを用いることができ、例えば、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiAsF6、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムから選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0024】
また、本発明で用いる負極としては、リチウムを吸蔵・放出する材料を用いることができる。リチウムを吸蔵・放出する材料として、リチウム金属、リチウム合金、予めリチウムを吸蔵させた黒鉛等の炭素材料、ケイ素などが挙げられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、結晶構造が安定な状態で正極活物質からリチウムイオンを約90%引き抜くことが可能であることから、非水電解質二次電池の高容量化及びサイクル特性の向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
出発原料としてシュウ酸ナトリウム(Na2C2O4)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、炭酸ナトリウム(NaCO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)酸化コバルト(Co3O4)、酸化マンガン(Mn2O3)、(MnO2)を適宜用いて、表1に示す組成比で混合した。混合した粉末は、ペレット成型後、空気中700℃で10時間仮焼成を行い、その後、本焼成として空気中800℃、20時間保持した。こうして主成分が空間群P63/mmcに属する、O2構造のナトリウム酸化物NaaLibMnyCozO2を合成した。
【0027】
さらに合成物中のナトリウムをリチウムにイオン交換するため、硝酸リチウムと塩化リチウムの溶融混合物(88:12)中で280℃、10時間保持した。この溶融混合物とイオン交換したいナトリウム酸化物の比は10:1〜5:1が好ましい。これを水洗し、硝酸塩と塩化物塩ならびに出発原料の未反応物を水洗した。イオン交換によって生成された酸化物は100℃で真空乾燥後、正極活物質とした。図1にこの正極活物質のXRDプロファイルを示す。
【0028】
(実施例2)
炭酸ナトリウム(NaCO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)酸化コバルト(Co3O4)、酸化マンガン(Mn2O3)、(MnO2)を適宜用いて、Li0.7LixMn0.5Co0.5O2(X=0.1、0.2)組成比で混合した。混合した粉末は、空気中700℃で10時間仮焼成を行い、その後、本焼成として空気中800℃、20時間保持した。こうして主成分が空間群P63/mmcに属する、O2構造のナトリウム酸化物NaaLibMnyCozO2を合成した。
【0029】
さらに合成物中のナトリウムをリチウムにイオン交換するため、硝酸リチウムと塩化リチウムの溶融混合物(88:12)中で280℃、10時間保持した。この溶融混合物とイオン交換したいナトリウム酸化物の比は10:1〜5:1が好ましい。これを水洗し、硝酸塩と塩化物塩ならびに出発原料の未反応物を水洗した。イオン交換によって出来た酸化物は100℃で真空乾燥後、正極活物質とした。
【0030】
上記活物質を80質量%、導電剤としてアセチレンブラックを10質量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデンが10質量%となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリー化した後、集電体上に塗布した。この後、110℃で真空乾燥、成形し正極を得た。
【0031】
負極には、所定の大きさにカットしたリチウム金属を用いた。また、リチウム金属を所定の大きさにカットし、参照極を用意した。
【0032】
非水電解質として、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートを30:70体積%の割合で混合した電解液に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0 mol/lの濃度になるように添加したものを用いた。
【0033】
図2に示すように、不活性雰囲気下において、作用極に正極活物質で形成した電極を使用し、対極となる負極と、参照極とにはそれぞれリチウム金属を用い、ラミネート容器に上記の非水電解質を注液させることにより、試験セルを作製した。
【0034】
試験セルにおいて、放電終止電位2.5V(vs.Li/Li+)、充電終止電位4.5V(vs.Li/Li+ )と5.0V(vs.Li/Li+)の2つの試験を行い、その結果をそれぞれ放電容量1、放電容量2として表1に示す。電流密度は約1/5Itとした。容量密度(mAh/g)は、流した電気量を活物質の質量で除したものである。
【0035】
比較例として、前駆体としてリチウムを添加しなかった試料の結果を表1のNo.3、4に示す。予めリチウムを添加した前駆体をイオン交換した試料No.1、2の初期放電容量密度はNo.3、4より放電容量密度が大きくなる。No.1、2の特徴は空間群P63mc相以外に、C2/mやC2/c相が現れることである。
【0036】
No.2のイオン交換後の試料について充放電電位2.0-5.0V(vs.Li/Li+)にて低レート(1/30It)における初期放電容量測定を行った結果、初期放電容量密度は246mAh/g、初期充放電効率が124%となった。その結果を図3に示す。イオン交換により作製した正極のナトリウムが0.7であることから、初期充放電効率が100%以上になることもある。この試料のイオン交換前の真密度は4.33g/cm3であったが、イオン交換後は4.44g/cm3と大きくなった。また、対極リチウム金属を用いたセルにおいて5サイクル後の放電容量密度は224mAh/gとなった。従って5サイクル容量維持率91%である。この試料についてナトリウム量を測定した結果、Li0.9NaxMn0.5Co0.5O2として計算するとX≦0.01で、さらに詳しく分析するとX≦0.002であった。
【0037】
比較例として既存のコバルト酸リチウムに関して、充放電電位2.5-5.0V(vs.Li/Li+)範囲で5サイクルの充放電試験を行った(図4)。その結果、初期放電容量密度242mAh/g、5サイクル後の放電容量密度196mAh/gとなり、5サイクル容量維持率は81%であった。
【0038】
【表1】
【0039】
No.2の試料の元素分析を、マンガンとコバルトはICPで、リチウムとナトリウムは原子発光測定法で測定した。マンガンとナトリウムの比の合計が1となるようにし、酸素を2にすると、No.2の組成はNa0.63Li0.16Mn0.50Co0.50O2となる。同様の方法でイオン交換した後の試料について元素分析を行った結果、その組成はLi0.83Mn0.50Co0.50O2となった。
【0040】
各充電深度におけるこの試料の組成を分析した。各充電深度を図5、6に、各組成分析結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
No.1〜6は1サイクル目の充電、No.7〜11は1サイクル目の放電(ただし充電終止電位が4.5V)、No.12〜16は1サイクル目の放電(ただし充電終止電位が5.0V)、No.17〜22は2サイクル目の充電深度における試料の各組成を示している。
【0043】
表2から明らかなように、4.8V以上で上記正極活物質は充電末期となり、そのリチウム量は0.09〜0.11である。ナトリウム正極として初期リチウム添加量が0.16であるのにもかかわらず、充電状態ではリチウムが0.1程度である。
【0044】
また、2.0Vまでの放電した際のリチウム量は1.06〜1.11である。ナトリウム酸化物として仕込んだリチウム量が0.16であることから、期待される放電リチウム量は1.16と考えられるが、実際は1.1であった。初期ナトリウム量が0.67、イオン交換後のリチウム量が0.83であるが、2Vまで放電すると、リチウムは1.1まで挿入可能であることがわかった。
【0045】
各充電電位における正極活物質のXRD測定結果を図7、図8、図9、及び図10に示す。層状酸化物 LiaNabMnxCoyO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.40≦x≦0.55、0.40≦y≦0.55、0.90≦x+y≦1.10、0≦α≦0.3)の電位P(V)が5.0Vの時、X線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=19.3〜20.7°に主ピークを持ち、かつ2θ=36.0〜37.0°と2θ=39.0〜40.5°にそれぞれピークをもつ。また、電位P(V)が2.0Vの時、X線粉末結晶回折測定(Cukα)で、2θ=18.0〜19.0°に主ピークを持ち、かつ2θ=36.9〜37.6°のピークが2番目の強度を示し、かつ2θ=36.0〜36.8°、56.8〜57.5°にそれぞれピークをもつ。
【0046】
図7と図8を比較して、ピークのプロファイルが明らかに異なっていることから、活物質を電極としただけの状態(初期状態)と充電状態(5.0V)では構造が異なっていることがわかる。また、図11に試料1(初期電極)と試料16(放電電位2.0Vの状態)のXRDプロファイル比較を示す。2θ=30〜45°でピークが異なっていることから、構造は異なっていることがわかる。
【0047】
炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、酸化コバルト(Co3O4)、二酸化マンガンを混合し、700℃で10時間、900℃で20時間焼成し、さらに合成物中のナトリウムをリチウムにイオン交換するため、硝酸リチウムと塩化リチウムの溶融混合物(88:12)中で280℃、10時間保持した。この溶融混合物とイオン交換したいナトリウム酸化物の比は5:1とした。これを水洗し、硝酸塩と塩化物塩ならびに出発原料の未反応物を水洗した。イオン交換によって出来た酸化物は100℃で真空乾燥後、正極活物質とした。元素分析の結果、この試料はLi0.8Mn0.5Co0.5O2であった。
【0048】
試験セルにおいて、放電終止電位2.5または2.0V(vs.Li/Li+)、充電終止電位5.0V (vs.Li/Li+ )で電流密度は約1/10Itとして、10サイクルのサイクル特性試験をした。その結果を表3に示す。尚、容量密度(mAh/g)は、流した電気量を活物質の質量で除したものである。
【0049】
【表3】
【0050】
組成分析結果では試料15、16とも大きな違いは無いが、放電終止電位を2.0V(vs.Li/Li+)より2.5V(vs.Li/Li+ )とした方が電池劣化を抑えられていることがわかる。試料15、16のXRD測定結果を図12に示す。また、図12の点線で囲われた部分の拡大図を図13に示す。図12及び13より放電終止電位2.0Vと2.5Vでは構造が異なっていることがわかり、これがサイクル特性に違いを生じさせた理由であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1で使用した正極活物質のXRDプロファイル図。
【図2】本発明で使用した試験セルの模式図。
【図3】表1のNo.2のイオン交換後における充放電曲線図。
【図4】従来技術のコバルト酸リチウムの充放電曲線図。
【図5】表2のNo.1〜6、No.17〜22の充電深度を表した図。
【図6】表2のNo.7〜11、No.12〜16の充電深度を表した図。
【図7】表2のNo.1のXRDプロファイル図。
【図8】表2のNo.6のXRDプロファイル図。
【図9】表2のNo.9のXRDプロファイル図。
【図10】表2のNo.16のXRDプロファイル図。
【図11】表2のNo.1とNo.16のXRDプロファイル図。
【図12】表2のNo.15とNo.16のXRDプロファイル図。
【図13】図12の拡大図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、4.8≦P≦5.0(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、0.08≦a≦0.12の範囲にあることを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項2】
空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、1.05≦a≦1.15の範囲にあることを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項3】
Mがコバルト及びマンガンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項4】
電位P(V)が5.0VのときにX線粉末結晶回折(Cukα)で測定されるピークのうち、2θ=19.3〜20.7°に最も強度の強いピークがあり、かつ2θ=36.0〜37.0°と2θ=39.0〜40.5°にそれぞれピークがあることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項5】
電位P(V)が2.0Vのときに、X線粉末結晶回折(Cukα)で測定されるピークのうち、2θ=18.0〜19.0°に最も強度の強いピークを持ち、かつ2θ=36.9〜37.6°に2番目に強度の強いピークがあり、かつ2θ=36.0〜36.8°、56.8〜57.5°にそれぞれピークをもつことを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項6】
上記リチウム含有層状酸化物が空間群C2/m若しくはC2/cに属するLi1+x〔MnyCo1-y〕1-xO2(0≦x≦1/3、0<y≦1)を30mol%未満含んでいることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項7】
リチウム含有層状酸化物から成る正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池において、前記正極活物質が請求項1乃至6のいずれか1項に記載の正極活物質であることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項8】
空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)を用いた非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、
空間群P63/mmcに属するナトリウム含有層状酸化物LiaNabMcO2±α(0≦a≦0.3、0.5≦b≦1.2、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)を硝酸マンガンと塩化リチウムの混合溶融塩床中で240℃以上310℃以下の温度下で3時間以上保持することを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項1】
空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、4.8≦P≦5.0(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、0.08≦a≦0.12の範囲にあることを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項2】
空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)の電位P(V)が、2.0≦P≦2.5(vs.Li/Li+)の範囲において、リチウムとMのモル比をそれぞれa、cとし、cを1.0に換算した場合のaの比が、1.05≦a≦1.15の範囲にあることを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項3】
Mがコバルト及びマンガンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項4】
電位P(V)が5.0VのときにX線粉末結晶回折(Cukα)で測定されるピークのうち、2θ=19.3〜20.7°に最も強度の強いピークがあり、かつ2θ=36.0〜37.0°と2θ=39.0〜40.5°にそれぞれピークがあることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項5】
電位P(V)が2.0Vのときに、X線粉末結晶回折(Cukα)で測定されるピークのうち、2θ=18.0〜19.0°に最も強度の強いピークを持ち、かつ2θ=36.9〜37.6°に2番目に強度の強いピークがあり、かつ2θ=36.0〜36.8°、56.8〜57.5°にそれぞれピークをもつことを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項6】
上記リチウム含有層状酸化物が空間群C2/m若しくはC2/cに属するLi1+x〔MnyCo1-y〕1-xO2(0≦x≦1/3、0<y≦1)を30mol%未満含んでいることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項7】
リチウム含有層状酸化物から成る正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池において、前記正極活物質が請求項1乃至6のいずれか1項に記載の正極活物質であることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項8】
空間群P63mcに属するリチウム含有層状酸化物 LiaNabMcO2±α(0.5≦a≦1.3、0≦b≦0.01、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)を用いた非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、
空間群P63/mmcに属するナトリウム含有層状酸化物LiaNabMcO2±α(0≦a≦0.3、0.5≦b≦1.2、0.90≦c≦1.10、0≦α≦0.3、M=マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジルコニウム、マグネシウムから選択される少なくともひとつの元素)を硝酸マンガンと塩化リチウムの混合溶融塩床中で240℃以上310℃以下の温度下で3時間以上保持することを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−92824(P2010−92824A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264677(P2008−264677)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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