非水電解質二次電池
【課題】熱暴走が防止された安全性の高い非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、外装部材と、正極及び負極を含む電極群3と、非水電解質と、ガス発生部材10とを含む非水電解質二次電池1が提供される。ガス発生部材10は、ガス発生剤10b及び該ガス発生剤10bを封入する封入容器10aを含み、100〜250℃の範囲でガスを放出する。ガス発生剤10bは、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。
【解決手段】実施形態によれば、外装部材と、正極及び負極を含む電極群3と、非水電解質と、ガス発生部材10とを含む非水電解質二次電池1が提供される。ガス発生部材10は、ガス発生剤10b及び該ガス発生剤10bを封入する封入容器10aを含み、100〜250℃の範囲でガスを放出する。ガス発生剤10bは、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド電気自動車用の電源として、また太陽光や風力などの自然エネルギーを使った発電機用の蓄電装置として、非水電解質二次電池が注目されている。リチウムチタン複合酸化物を負極に用いた非水電解質電池は、安定的な急速充放電が可能であり、カーボン系負極を用いた電池に比べて寿命も長い。しかしながら、このような非水電解質二次電池は、電池内部や外部からの要因により異常発熱が生じることがある。電池温度が異常に高くなると、熱暴走が生じ、その結果、電池が発火又は破裂する恐れが生じる。それ故、電池の熱暴走を防ぐ方法が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−226807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱暴走が防止された安全性の高い非水電解質二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、外装部材と、正極及び負極を含む電極群と、非水電解質と、ガス発生部材とを含む非水電解質二次電池が提供される。ガス発生部材は、ガス発生剤及び該ガス発生剤を封入する封入容器を含み、100〜250℃の範囲でガスを放出する。ガス発生剤は、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態の非水電解質二次電池の一例を示す断面模式図。
【図2】図1のA部の拡大断面図。
【図3】第1実施形態の非水電解質二次電池の変形例を示す断面模式図。
【図4】第2実施形態の非水電解質二次電池の部分切欠斜視図。
【図5】第3実施形態の非水電解質二次電池の外観図。
【図6】図5の電池の展開斜視図。
【図7】図5の電池に用いられる電極群の展開斜視図。
【図8】第3実施形態の電池の第1変形例を示す展開斜視図。
【図9】第3実施形態の電池の第2変形例を示す展開斜視図。
【図10】第3実施形態の電池の第3変形例を示す展開斜視図。
【図11】第3実施形態の電池の第4変形例を示す展開斜視図。
【図12】第3実施形態の電池の第5変形例を示す展開斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、各実施形態の非水電解質二次電池について、図面を参照して説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付するものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる点があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜設計変更することができる。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、扁平型非水電解質電池の断面図である。図2は、図1のA部の拡大断面図である。電池1は、外装袋2、偏平形状の捲回電極群3、及び、ガス発生部材10を備える。
【0009】
外装袋2はラミネートフィルムからなる袋状外装部材である。ラミネートフィルムとしては、樹脂フィルム間に金属層を介在した多層フィルムが用いられる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂フィルムには、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のような高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。ラミネートフィルムは、肉厚が0.2mm以下であることが好ましい。
【0010】
捲回電極群3は、このラミネートフィルム製外装袋2に収納されている。捲回電極群3は、図2に示すように、外側から負極5、セパレータ6、正極4、セパレータ6の順で積層した積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成される。
【0011】
正極4は、正極集電体4aと正極層4bとを含む。正極層4bには正極活物質が含まれる。正極層4bは正極集電体4aの両面に形成されている。
【0012】
負極5は、負極集電体5aと負極層5bとを含む。負極層5bには負極活物質が含まれる。最外層の負極5は、図2に示すように負極集電体5aの内面側の片面に負極層5bを形成した構成を有する。その他の負極5は、負極集電体5aの両面に負極層5bが形成されている。
【0013】
図2に示すように、捲回電極群3の外周端近傍において、正極端子7が正極4の正極集電体4aに接続されている。また、捲回電極群3の外周端近傍において、負極端子8が最外層の負極5の負極集電体5aに接続されている。正極端子7及び負極端子8は、外装袋2の開口部を通って外部に延出されている。外装袋2の内部には、さらに、非水電解液が注入される。外装袋2の開口部を、正極端子7及び負極端子8を挟んだ状態でヒートシールすることにより、捲回電極群3及び非水電解質が完全密封される。
【0014】
正極端子7は、例えば、リチウムイオン金属に対する電位が3V以上5V以下、好ましくは3.0V以上4.25V以下の範囲において、電気的安定性と導電性とを有する材料から形成される。アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiのような元素を含むアルミニウム合金から形成されることが好ましい。正極端子7は、正極集電体4aとの接触抵抗を低減するために、正極集電体4aと同様の材料から形成されることが好ましい。
【0015】
負極端子8は、例えば、負極活物質のLi吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成される。銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiのような元素を含むアルミニウム合金から形成されることが好ましい。負極端子8は、負極集電体5aとの接触抵抗を低減するために、負極集電体5aと同様の材料から形成されることが好ましい。
【0016】
電池1はさらに、100℃以上250℃以下の電池温度においてガスを放出するガス発生部材10を備える。ガス発生部材10は、封入容器10aと、該封入容器10bに封入されたガス発生剤10bとを含む。封入容器10aは、樹脂製のフィルムによって形成される。ガス発生剤10bは、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。
【0017】
ガス発生部材10は、外装袋2と捲回電極群3の間の空隙に配置される。ガス発生部材10が放出するガスは、好ましくは二酸化炭素である。
【0018】
図1では、ガス発生部材10は、円柱状形状を有し、捲回電極群3の両側の湾曲部と外装袋2との間に設置されている。
【0019】
過充電などの影響により電池温度が異常に上昇し、100℃以上に達したとき、ガス発生剤10bからガスが放出される。これにより、封入容器10が破裂するか、又は封入容器1の融着部分が溶融し、ガスが封入容器1の外部に放出される。これにより、電池内部の圧力が上昇し、ラミネートフィルムのシール部の融着が剥がれ、電池内部の気体と共に非水電解液が外部に放出する。これによって、電池の機能が失われ、熱暴走を防止することができる。
【0020】
ガス発生剤10bは、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。アルカノールアミン溶液に吸収されるガスは、好ましくは二酸化炭素である。アルカノールアミン溶液にガスを吸収させる方法としては、例えばバブリングを用いることができる。
【0021】
ガス発生部材10は、アルカノールアミン溶液と共に水を含むことができる。アルカノールアミン溶液に水を加えることにより、二酸化炭素のようなガスの吸収をより容易にすることができる。
【0022】
アルカノールアミンの例には、モノエタノールアミン(MEA)、及び、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)のような1級アルカノールアミン、2−メチルアミノエタノール(MAE)、2−エチルアミノエタノール(EAE)、ジエタノールアミン(DEA)、2−(プロピルアミノ)エタノール(PAE)、及び、ジイソプロパノールアミン(DIPA)のような2級アルカノールアミン、N−メチルジエタノールアミン(MEDA)、N−エチルジエタノールアミン(EDEA)、2−ジメチルアミノエタノール(DMAE)、及び、2−ジエチルアミノエタノール(DEAE)のような3級アルカノールアミンが含まれる。これらのアルカノールアミンは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0023】
アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、2−エチルアミノエタノール、及び2−ジメチルアミノエタノールから選択されることが好ましい。
【0024】
ガス発生剤10bとしてガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を用いることにより、100℃以上250℃以下の温度でガスを放出することができる。即ち、100℃未満ではガスが発生しないため、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができるため、電池温度が上がりすぎることを防ぐことができる。ガスが放出される温度は、アルカノールアミンの種類と組み合わせを変化させることにより、調整することができる。なお、ここでガスが放出される温度は電池温度を指し、電池の外装缶の表面の中央部における温度であってよい。温度は、例えば熱電対を用いて測定することができる。
【0025】
ガス発生部材10がガスを放出する温度は、好ましくは、120〜200℃である。
【0026】
封入容器10aを形成する樹脂は、ガス発生剤10bがガスを放出する温度より高い融点を有することが好ましい。そのような樹脂の例には、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ、アクリル、ウレタン、フェノールが含まれる。封入容器10aを形成する樹脂は、絶縁性であることが好ましい。樹脂が絶縁性でない場合は、電池の端子に接触しないように配置される。
【0027】
なお、ガス発生部材10からガスが放出されることにより外装袋2のシール部の融着が剥がれ、それによって非水電解液が外部に放出されたとき、電池の内部抵抗が増加しても、電池の機能が完全に失われないこともありうる。この場合、電池温度がさらに上昇し、熱暴走が起こる可能性がある。しかしながら、アルカノールアミンはアルミニウムを劣化させるため、集電体を劣化させて電池抵抗を増大させることができる。これにより、電流を遮断し、電池を失活させることができる。従って、電池のさらなる温度上昇を抑制し、熱暴走を防止することができる。
【0028】
3級アルカノールアミンは、二酸化炭素の放出性が高く、また、アルミを劣化させる傾向が強いため、ガス発生剤として3級アルカノールアミンを用いることがより好ましい。
【0029】
本実施形態に従って、ガス発生剤10bが封入容器10aに封入されていることにより、温度以外の要因がガス発生剤10bに影響することを防ぐことができる。また、封入容器10aを形成する樹脂が、ガス発生剤10bがガスを放出する温度より高い融点を有することにより、ガス発生剤10bからガスが放出される前に、ガス発生剤10bが封入容器10aから漏出することを防ぐことができる。
【0030】
図3に第1実施形態の電池の変形例を示した。本変形例は、ガス発生部材10の形状及び設置位置が異なる以外は、図1に示す電池1と同じ構成を有する。
【0031】
本変形例では、ガス発生部材10は、シート状の形状を有し、捲回電極群3の偏平面と外装袋2の偏平面との間に配置される。このような構成によれば、ガス発生部材10の設置が容易である。また、ガス放出面積が広く、迅速にガスを放出することができる。また、表面積が広いため、温度上昇に対する反応を敏感にすることができる。
【0032】
図3では、シート状のガス発生部材10は、捲回電極群3の一方の偏平面上のみに設置したが、他方の偏平面上にもう一つのガス発生部材10を設置してもよい。
【0033】
本実施形態に従って、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材10を具備することにより、100℃未満においてガスが発生せず、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができる。さらに、電池の機能を失活させ、温度上昇を抑制することができるため、熱暴走を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【0034】
本実施形態の非水電解質二次電池は、安全性に優れているため、特に車載用電池として好適に用いられる。
【0035】
なお、電池に備えられる電極群は、捲回電極群に限定されず、セパレータを九十九折りし、折り込んだ個所に正極及び負極を交互に配置した積層型の電極群を用いてもよい。
【0036】
(第2実施形態)
第2実施形態の非水電解質二次電池を図4に示した。本実施形態の電池20は、外装缶21、偏平形状の捲回電極群22、正極リード23、負極リード24、蓋体25、正極端子26、負極端子27、ラプチャ28、及びガス発生部材29を備える。
【0037】
外装缶21は、金属製の有底矩形筒体である。外装缶21は、肉厚0.5mm以下の金属板から形成されることが好ましく、肉厚0.2mm以下の金属板から形成されることがより好ましい。
【0038】
外装缶21は、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛及びケイ素のような元素を含むことが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル及びクロムのような遷移金属の含有量が100ppm以下であることが、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させるためには好ましい。
【0039】
外装缶21を形成するアルミニウム又はアルミニウム合金は、平均結晶粒径が50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは5μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径が50μm以下であると、強度が飛躍的に増大し、外装缶21をより薄肉化することができる。その結果、軽量かつ高出力で長期信頼性に優れた非水電解質電池を実現することができる。このような非水電解質電池は特に車載用に好適に用いられる。
【0040】
捲回電極群22は外装缶21内に収納されている。捲回電極群22は、第1実施形態において用いられた捲回電極群と同様の構成であってよい。正極集電体には正極リード23が接続されている。負極集電体には負極リード24が接続されている。
【0041】
外装缶21の開口部には、金属製の矩形蓋体25が取り付けられる。蓋体25には、例えば板状の正極端子26が挿着されている。外装缶21内に位置する正極端子26の端部付近には、正極リード23が例えば溶接によって接合されている。例えば板状の負極端子27が、蓋体25に例えばガラス材30を介在させたハーメティックシールにより挿着されている。外装缶21内に位置する負極端子27の端部付近には、負極リード24が例えば溶接によって接合されている。
【0042】
蓋体25には、電池内部の圧力を開放するためのラプチャ28が備えられる。ラプチャ28は、矩形状の凹部である。凹部の底面には十字の溝が設けられている。溝の箇所は薄肉になっている。安全弁の形状はこれに限定されず、容器内の圧力上昇により破断してガスを外部に放出することが可能であれば、何れの形状であってもよい。
【0043】
外装缶21内にはさらに非水電解質が収容されている。
【0044】
さらに、電池20はガス発生部材29を備える。ガス発生部材29は、形状が異なる以外は、第1実施形態のガス発生部材と同様のものが用いられる。
【0045】
本実施形態において、ガス発生部材29は直方体の形状を有し、捲回電極群22と蓋体25との間に配置される。
【0046】
電池温度が100〜250℃の範囲においてガス発生部材10からガスが放出されることにより、電池内部の圧力が上昇する。これにより、ラプチャ28が開放され、電池内部の気体と共に非水電解液が外部に放出する。これによって、電池の機能が失活する。
【0047】
本実施形態に従って、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材29を具備することにより、100℃未満においてガスが発生せず、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができる。さらに、電池の機能を失活させ、温度上昇を抑制することができるため、熱暴走を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。本実施形態の非水電解質二次電池は、安全性に優れているため、特に車載用電池として好適に用いられる。
【0048】
なお、外装缶は、上記の例に限定されず、扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、積層型のような任意の形状であってよい。
【0049】
(第3実施形態)
第3実施形態の非水電解質二次電池を、図5〜図12を参照して説明する。
【0050】
本実施形態の電池31は、密閉型の角型非水電解質二次電池である。電池31は、外装缶32、偏平形状の捲回電極群33、正極リード34、負極リード35、蓋体36、ラプチャ45、及び、ガス発生部材47とを備える。
【0051】
外装缶32は、有底角筒形状を有し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。捲回電極群33は、外装缶32内に捲回軸に対し直角方向に向かうように収納される。
【0052】
捲回電極群33は、正極39及び負極40を含む。捲回電極群33は、一端に正極集電タブ39aを有し、他端に負極集電タブ40aを有する。図7に、捲回電極群33の展開図を示す。正極39は、例えば金属箔からなる帯状の正極集電体39cと、その片面又は両面に形成された正極活物質層39bを含む。正極活物質層39bは、帯状の正極集電体39cにその長手方向に沿う一端側に一定幅の領域(非塗工部)が残るように形成される。この非塗工部は、正極集電体39cが露出した部分であり、正極集電タブ39aになる。負極40も同様に、例えば金属箔からなる帯状の負極集電体40cと、その片面又は両面に形成された負極活物質層40bを含む。負極活物質層40bは、帯状の負極集電体40cにその長手方向に沿う他端側(正極39の一端と反対側)に一定幅の領域(非塗工部)が残るように形成される。この非塗工部は、負極集電体40cが露出した部分であり、負極集電タブ40aになる。
【0053】
正極39と負極40は、帯状のセパレータ41a、41bと交互に重ねられる。このとき、正極集電タブ39aは、捲回軸方向の一端側に配置され、負極集電タブ40aは他端側に配置される。正極39の下に重ねられたセパレータ41aは、その長手方向に沿う一端が正極39の正極集電タブ側の端部よりも内側に位置するように配置される。これにより、正極集電タブ39aが捲回電極群33を構成する正極活物質層39b、負極活物質層40b及びセパレータ41aから突出する。また、セパレータ41aは、その長手方向に沿う他端が正極39の他端よりも外側に位置するように配置される。正極39と負極40の間に挟まれたセパレータ41bは、その長手方向に沿う一端が負極40の負極集電タブ側の端部よりも内側に位置するように配置される。これにより、負極集電タブ40aが捲回電極群33を構成する正極活物質層39b、負極活物質層40b及びセパレータ41bから突出する。また、セパレータ41bは、その長手方向に沿う他端が負極40の他端よりも外側に位置するように配置される。
【0054】
重ねられたセパレータ41a、正極39、セパレータ41b、負極40を捲回し、次いで、プレスすることにより、偏平形状の捲回電極群33が形成される。
【0055】
捲回した捲回電極群33は、絶縁テープ44で巻止めする。絶縁テープ44は、捲回電極群33の最外周の集電タブ以外の領域を被覆し、その領域を絶縁性にする。絶縁テープ44の巻き数は1周以上であってよい。
【0056】
外装缶32の開口部には、金属製の蓋体36が例えば溶接により機密に固定されている。正極端子37及び負極端子38は、蓋体36に絶縁ガスケット42,43を介してそれぞれかしめ固定されている。正極端子37及び負極端子38は、蓋体36の背面から外装缶32内部に向けてそれぞれ突出している。正極端子37及び負極端子38の固定方法は、絶縁ガスケット42,43でのかしめ固定の他に、ガラスを用いるハーメティックシールであってよい。
【0057】
正極リード34は、正極端子37に接続される接続部である板状の接続プレートと、接続プレートに開口された貫通孔と、接続プレートから二股に分岐し、捲回電極群33に捲回軸に対して直角方向に向けて延出した挟持部である第1、第2の挟持ストリップとを有する。接続プレートは、正極端子37の箇所において蓋体36の背面に絶縁シート(図示せず)を介して当接される。蓋体36の背面から突出した正極端子37が貫通孔をかしめ固定する。
【0058】
正極リード34の第1、第2の挟持ストリップは、捲回軸に対して直角方向から正極集電タブ39aを挟み、第1、第2の挟持ストリップと正極集電タブ39aとが例えば溶接により接合される。
【0059】
同様に、負極リード35は、負極端子38に接続される接続部である板状の接続プレートと、接続プレートに開口された貫通孔と、接続プレートから二股に分岐し、捲回電極群33に捲回軸に対して直角方向に向けて延出した挟持部である第1、第2の挟持ストリップとを有する。接続プレートは、負極端子38の箇所において蓋体36の背面に絶縁シート(図示せず)を介して当接される。蓋体36の背面から突出した負極端子38が貫通孔をかしめ固定する。
【0060】
負極リード35の第1、第2の挟持ストリップは、捲回軸に対して直角方向から負極集電タブ40aを挟み、第1、第2の挟持ストリップと負極集電タブ40aとが例えば溶接により接合される。
【0061】
なお、上記の溶接は抵抗溶接及び超音波溶接のような方法によって実施されてよい。
【0062】
蓋体36は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。蓋体36と外装缶32は、同じ種類の金属から形成されることが望ましい。
【0063】
外装缶32に蓋体36が固定された後、蓋体36に設けられた注入口46から電解液(図示しない)を注入する。注入後、電解液を偏平型電極群33に含浸させる。
【0064】
電池31は、直方体の形状を有する二つのガス発生部材47を備える。ガス発生部材47は、形状及び大きさが異なる以外は、第1実施形態のガス発生部材と同様のものが用いられる。
【0065】
本実施形態において、ガス発生部材47の一つは、正極集電タブ39aの上端と蓋体36と正極リード34の第1、第2の挟持ストリップに囲まれた空隙に配置される。また、ガス発生部材47のもう一つは、負極集電タブ40aの上端と蓋体36と負極リード35の第1、第2の挟持ストリップに囲まれた空隙に配置される。
【0066】
ガス放出部材47は、上記の例に限定されず、外装缶32内の任意の空隙に設置することができる。また、ガス発生部材47の形状は、直方体状、円柱状、棒状、球状、シート状など、任意の形状を有してよい。その形状及び大きさは、外装部材と電極群との間の空隙の形状に合わせて適宜選択することができる。また、ガス発生部材47の設置個数は、一つでもよく、二以上であってもよい。
【0067】
以下に、ガス発生部材47の形状及び設置位置を変更した幾つかの変形例の電池を示す。これらの変形例の電池では、ガス発生部材47の形状、大きさ及び設置位置が異なる以外は、図5及び図6に示す電池31と同じ構成である。
【0068】
図8に示す第1変形例では、二つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、直方体の形状を有し、正極集電タブ39aの下端と外装缶32の底面との間の空隙、及び、負極集電タブ40aの下端と外装缶32の底面との間の空隙にそれぞれ配置される。
【0069】
図9に示す第2変形例では、一つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ、細長い直方体の形状を有し、捲回電極群33の下端と外装缶32の底面との間の空隙に配置される。
【0070】
図10に示す第3変形例では、一つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ、比較的短い直方体の形状を有し、捲回電極群33の上端と蓋体36の間の空隙に配置される。ガス発生部材47は、ラプチャ45の直下に配置されてよい。なお、ガス発生部材47は、注入口46を塞がないために、注入口46の直下には配置しないようにする。
【0071】
図11に示す第4変形例では、二つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ細長い直方体の形状を有する。
【0072】
正極集電タブ39aは、捲回されているため、複数枚の集電タブが重なった中空長楕円形の束を形成しており、楕円の中心に空隙を有する。同様に、負極集電タブ40aも、複数枚の集電タブが重なった中空長楕円形の束を形成しており、楕円の中心に空隙を有する。
【0073】
ガス発生部材47の一つは、正極集電タブ39aの中空長楕円形の束の中心の空隙に配置される。ガス発生部材47のもう一つは、負極集電タブ40aの中空長楕円形の束の中心の空隙に配置される。
【0074】
図12に示す第5変形例では、4つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ細長い直方体の形状を有する。4つのガス発生部材47は、それぞれ、正極リード34の第1、第2の挟持ストリップ、及び、負極リード35の第1、第2の挟持ストリップと外装缶32との間の空隙に、各挟持ストリップに当接するように配置される。なお、図12では電池の手前側の二つのガス発生部材47のみが示されており、反対側に配置された二つのガス発生部材は図示していない。
【0075】
以上に説明したように、ガス発生部材47は、外装缶32内部の任意の空隙に配置することができる。本実施形態に従って、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材47を具備することにより、100℃未満においてガスが発生せず、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができる。さらに、電池の機能を失活させ、温度上昇を抑制することができるため、熱暴走を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。本実施形態の非水電解質二次電池は、安全性に優れているため、特に車載用電池として好適に用いられる。
【0076】
(正極)
第1〜第3実施形態の電池に用いられる正極について説明する。
正極は、正極集電体及び正極活物質層を含む。正極活物質層は、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む。正極活物質層は、正極集電体の片面若しくは両面に形成される。
【0077】
正極集電体には、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好適に用いられる。その平均結晶粒径は50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましくは。このような平均結晶粒径を有するアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなる集電体は、飛躍的に増大した強度を有する。そのため、高いプレス圧を用いて正極を高密度化することが可能になる。その結果、電池容量を増大させることができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の平均結晶粒径(直径)は、製造工程において、材料組成、不純物、加工条件、熱処理履歴及び焼なましの加熱条件のような多くの因子によって影響される。これらの因子を調整することにより、所望の直径を有するアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を得る。
【0078】
アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99%以上であることが好ましい。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛及びケイ素のような元素を含むことが好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル及びクロムのような遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
【0079】
正極活物質として、種々の酸化物、硫化物及びポリマーを使用することができる。酸化物の例には、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4又はLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCoyO2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnyCo1−yO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2−yNiyO4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(LixFePO4、LixFe1−yMnyPO4、LixCoPO4など)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)が含まれる。なお、上式におけるx及びyは0〜1の範囲であることが好ましい。また、組成がLiaNibCocMndO2(但し、モル比a、b、c及びdは、0≦a≦1.1、0.1≦b≦0.5、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.5である)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いることも可能である。
【0080】
また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料及び無機材料を正極活物質として用いることもできる。
【0081】
正極活物質は、上記の化合物を単独で又は組合せて用いることができる。
【0082】
リチウムマンガン複合酸化物(LixMn2O4)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LixNi1−yCoyO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2−yNiyO4)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LixMnyCo1−yO2)及びリチウムリン酸鉄(LixFePO4)のような、高い電池電圧を得られる酸化物がより好適に用いられる。なお、上式におけるx及びyは0〜1の範囲であることが好ましい。
【0083】
また、正極活物質にニッケルが含まれる電池は、温度上昇速度が速く、熱暴走しやすい傾向がある。よって、正極活物質にニッケルが含まれる電池では、本実施形態の効果がより顕著に得られる。
【0084】
結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド及びポリアミドが含まれる。
【0085】
導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ及びフラーレンが含まれる。
【0086】
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜18重量%、結着剤2〜17重量%の範囲であることが好ましい。
【0087】
正極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、正極集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥して、正極活物質層を作製する。その後、プレスを施す。或いは、正極活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、正極活物質層として用いることもできる。正極活物質層の密度は、3g/cc以上であることが好ましい。
【0088】
(負極)
第1〜第3実施形態の電池に用いられる負極について説明する。
負極は、負極集電体及び負極活物質層を含む。負極活物質層は、負極活物質、導電剤及び結着剤を含む。負極活物質層は、負極集電体の片面若しくは両面に形成される。
【0089】
負極集電体には、1.0Vよりも貴である電位範囲において電気化学的に安定であるアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好適に用いられる。
【0090】
負極活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上であることが好ましい。これは、0.4V(vs.Li/Li+)よりも卑な電位でリチウムを吸蔵する負極活物質(例えば黒鉛、リチウム金属など)は、大電流での入出力を繰り返すと負極表面上で金属リチウムが析出し、デンドライド状に成長するためである。
【0091】
0.4〜3V(vs.Li/Li+)でリチウムを吸蔵可能な負極活物質には、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び合金が含まれる。
【0092】
金属酸化物の例には、チタン含有金属複合酸化物、SnB0.4P0.6O3.1及びSnSiO3のようなスズ系酸化物、SiOのようなケイ素系酸化物、及び、WO3のようなタングステン系酸化物が含まれる。中でも、チタン含有金属複合酸化物が好適に用いられる。
【0093】
チタン含有金属複合酸化物の例には、リチウムチタン酸化物、及び、リチウムチタン酸化物の構成元素の一部を異種元素で置換したリチウムチタン複合酸化物が含まれる。また、酸化物合成時はリチウムを含まず、電池を充電することによってリチウムが吸蔵されるチタン系酸化物を用いることもできる。
【0094】
リチウムチタン酸化物の例には、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi4+xTi5O12)及びラムステライド型のチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi3O7が)含まれる。上式において、xは充放電により0≦x≦3の範囲で変化し、yは充放電により0≦y≦3の範囲で変化する。一方、酸素のモル比は形式的なものであり、酸素ノンストイキメトリー等の影響によってその値は変化する。
【0095】
チタン系酸化物の例には、TiO2、及び、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物が含まれる。
【0096】
TiO2は、アナターゼ型であることが好ましい。また、300〜500℃の温度で熱処理された、低結晶性のものであることが好ましい。
【0097】
TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物の例には、TiO2−P2O5、TiO2−V2O5、TiO2−P2O5−SnO2、及び、TiO2−P2O5−MeO(MeはCu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素)が含まれる。この金属複合酸化物は、結晶相とアモルファス相が共存するミクロ構造を有するか、或いは、アモルファス相が単独で存在するミクロ構造を有することが好ましい。ミクロ構造を有する金属複合酸化物を用いることにより、電池のサイクル性能を大幅に向上することができる。
【0098】
負極活物質として、リチウムチタン酸化物又はTiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物を用いることがより好ましく、スピネル構造を有するリチウムチタン酸化物を用いることが特に好ましい。
【0099】
金属硫化物の例には、TiS2のようなチタン系硫化物、MoS2のようなモリブデン系硫化物、及び、FeS、FeS2及びLixFeS2(0≦x≦4)のような鉄系硫化物が含まれる。
【0100】
金属窒化物の例には、リチウム系窒化物(例えば(Li,Me)3N、ここでMeは遷移金属元素を示す)が含まれる。
【0101】
結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド及びポリアミドが含まれる。
【0102】
導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ及びフラーレンが含まれる。
【0103】
負極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、負極活物質70〜96重量%、導電剤2〜28重量%及び結着剤2〜28重量%にすることが好ましい。導電剤は、2重量%以上の割合で配合することにより高い集電性能による優れた大電流特性が得られる。結着剤は、2重量%以上の割合で配合することにより、負極層と負極集電体の結着性を確保し、サイクル特性を向上させることができる。一方、高容量化の観点から、負極導電剤及び結着剤は各々28重量%以下であることが好ましい。
【0104】
負極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、負極活物質、負極導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥して、負極活物質層を作製する。その後、プレスを施す。或いは、負極活物質、負極導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、負極活物質層として用いても良い。負極活物質層の密度は、2g/cc以上であることが好ましい。
【0105】
(非水電解質)
第1〜第3実施形態の電池に用いられる非水電解質について説明する。
非水電解質として、液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、電解質を非水溶媒に溶解することにより調製できる。ゲル状非水電解質は、液状電解質と高分子材料を複合化することにより調製できる。
【0106】
電解質の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及び、ビストリフルオロメチルスルホニルイミトリチウム[LiN(CF3SO2)2]のようなリチウム塩が含まれる。これらの電解質は、単独で又は2種類以上を組合せて用いることができる。
【0107】
電解質は、有機溶媒に対して0.5〜2.5mol/Lの濃度範囲で溶解させることが好ましい。
【0108】
非水溶媒の例は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)のような環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)のような鎖状カーボネート、テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)のような環状エーテル、ジメトキシエタン(DME)のような鎖状エーテル、γ−ブチロラクトン(BL)アセトニトリル(AN)、及び、スルホラン(SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上を組合せて用いることができる。
【0109】
ゲル状非水電解質に用いる高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びポリエチレンオキサイド(PEO)が含まれる。
【0110】
(セパレータ)
第1〜第3実施形態の電池に用いられるセパレータについて説明する。
セパレータとしては、多孔性の膜、織布、不織布、およびそれらの組合せを用いることができる。セパレータを形成する材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、及び、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)が含まれる。ポリエチレン又はポリプロピレンからなる多孔質の膜は、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能であるためより好ましい。このような膜を用いることにより、電池の安全性を向上させることができる。
【実施例】
【0111】
以下に実施例を用いて実施形態を説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0112】
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質として、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNi5Co2Mn3O2)粉末を80重量%、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粉末を20重量%用いた。正極活物質を93重量%、アセチレンブラックを3.33重量%、グラファイトを1.67重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2重量%の割合で混合し、これにN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混合し、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスした。これにより、電極密度が3.15g/cm3である正極を作製した。
【0113】
<負極の作製>
負極活物質として、Li吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)であり、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を用いた。負極活物質を96重量%、導電材としてグラファイトを4重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2重量%の割合で混合し、これにN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混合し、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスした。これにより、電極密度が2.2g/cm3のある負極を作製した。
【0114】
<電極群の作製>
正極、厚さ12μmのポリエチレン製の多孔質フィルムからなるセパレータ、負極、セパレータの順に積層した後、渦巻き状に捲回した。これを約90℃で加熱プレスすることにより、電極群を作製した。得られた電極群を、図4に示すタイプの角型金属缶に収納し、約80℃で24時間真空乾燥した。
【0115】
<ガス発生部材の作製>
ポリイミド製のフィルムを袋状に成形し、ガス発生剤封入容器を作製した。ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたモノエタノールアミン(MEA)を用いた。封入容器に、ガス発生剤を10cc注入し、熱融着によりシールし、ガス発生部材を得た。
【0116】
<液状非水電解質の調製>
プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率30:70)に、電解質として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/L、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を0.5mol/Lの濃度で溶解した。これにより液状非水電解質を得た。
【0117】
<非水電解質二次電池の作製>
電極群を収納した角型金属缶中の空隙は約50ccであった。角型金属缶に収納された電極群の上にガス発生部材を置き、電極群と蓋の間の空隙にガス発生部材を配置した。次いで、金属缶に液状非水電解質を注入した後、完全密閉した。これにより、非水電解質二次電池を作製した。
【0118】
(実施例2)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたMEAを5cc用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0119】
(実施例3)
MEA 8ccと水 2ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0120】
(実施例4)
MEA 6.7ccと水 1.7ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0121】
(実施例5)
MEA 5ccと水 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0122】
(実施例6)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させた2−エチルアミノエタノール(DEA)を10cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0123】
(実施例7)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたDEAを5cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0124】
(実施例8)
DEA 8ccと水 2ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0125】
(実施例9)
DEA 6.7ccと水 1.7ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0126】
(実施例10)
DEA 5ccと水 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0127】
(実施例11)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させた2−ジメチルアミノエタノール(DMAE)を10cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0128】
(実施例12)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたDMAEを5cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0129】
(実施例13)
DMAE 8ccと水 2ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0130】
(実施例14)
DMAE 6.7ccと水 1.7ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0131】
(実施例15)
DMAE 5ccと水 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0132】
(実施例16)
MEA 5ccとDEA 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0133】
(実施例17)
MEA 5ccとDMAE 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0134】
(実施例18)
DEA 5ccとDMAE 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0135】
(比較例)
ガス発生部材を用いなかった以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0136】
(過充電試験)
実施例1〜18及び、比較例の電池を用いて過充電試験を行いった。過充電試験は、1Cレートでの定電流充電で行った。ラプチャが開放された温度と、電池の最高温度を測定した。なお、電池の温度は、金属缶の表面の中心の位置で、熱電対により測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0137】
表1に示すように、実施例1〜18の電池は何れも、ガス発生部材を用いなかった比較例の電池よりも低い温度でラプチャが開放された。また、電池の最高温度が、比較例よりも著しく低かった。このことから、ガス発生部材を用いることにより、安全性の高い電池が提供できることが示された。
【0138】
また、ガス発生剤の種類と配合を変更することにより、ラプチャの開放温度を調整できることが示された。また、ガス発生剤に水が含まれても、ラプチャの開放温度に影響を与えないことが示された。
【0139】
なお、実施例1〜18と比較例の電池の電池特性(放電容量、サイクル特性等)を確認した所、大きな相違は認められなかった。よって、ガス発生部材を設置しても電池特性に影響を与えないことが確認された。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0141】
1,20,31…非水電解質二次電池、2…外装袋、3,22,33…捲回電極群、10,29,47…ガス発生部材、10a,29a,47a…封入容器、10b,29b,47b…ガス発生剤、7…正極端子、8…負極端子、21,32…外装缶、23,34…正極リード、24,35…負極リード、28,45…ラプチャ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド電気自動車用の電源として、また太陽光や風力などの自然エネルギーを使った発電機用の蓄電装置として、非水電解質二次電池が注目されている。リチウムチタン複合酸化物を負極に用いた非水電解質電池は、安定的な急速充放電が可能であり、カーボン系負極を用いた電池に比べて寿命も長い。しかしながら、このような非水電解質二次電池は、電池内部や外部からの要因により異常発熱が生じることがある。電池温度が異常に高くなると、熱暴走が生じ、その結果、電池が発火又は破裂する恐れが生じる。それ故、電池の熱暴走を防ぐ方法が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−226807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱暴走が防止された安全性の高い非水電解質二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、外装部材と、正極及び負極を含む電極群と、非水電解質と、ガス発生部材とを含む非水電解質二次電池が提供される。ガス発生部材は、ガス発生剤及び該ガス発生剤を封入する封入容器を含み、100〜250℃の範囲でガスを放出する。ガス発生剤は、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態の非水電解質二次電池の一例を示す断面模式図。
【図2】図1のA部の拡大断面図。
【図3】第1実施形態の非水電解質二次電池の変形例を示す断面模式図。
【図4】第2実施形態の非水電解質二次電池の部分切欠斜視図。
【図5】第3実施形態の非水電解質二次電池の外観図。
【図6】図5の電池の展開斜視図。
【図7】図5の電池に用いられる電極群の展開斜視図。
【図8】第3実施形態の電池の第1変形例を示す展開斜視図。
【図9】第3実施形態の電池の第2変形例を示す展開斜視図。
【図10】第3実施形態の電池の第3変形例を示す展開斜視図。
【図11】第3実施形態の電池の第4変形例を示す展開斜視図。
【図12】第3実施形態の電池の第5変形例を示す展開斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、各実施形態の非水電解質二次電池について、図面を参照して説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付するものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる点があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜設計変更することができる。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、扁平型非水電解質電池の断面図である。図2は、図1のA部の拡大断面図である。電池1は、外装袋2、偏平形状の捲回電極群3、及び、ガス発生部材10を備える。
【0009】
外装袋2はラミネートフィルムからなる袋状外装部材である。ラミネートフィルムとしては、樹脂フィルム間に金属層を介在した多層フィルムが用いられる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂フィルムには、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のような高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。ラミネートフィルムは、肉厚が0.2mm以下であることが好ましい。
【0010】
捲回電極群3は、このラミネートフィルム製外装袋2に収納されている。捲回電極群3は、図2に示すように、外側から負極5、セパレータ6、正極4、セパレータ6の順で積層した積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成される。
【0011】
正極4は、正極集電体4aと正極層4bとを含む。正極層4bには正極活物質が含まれる。正極層4bは正極集電体4aの両面に形成されている。
【0012】
負極5は、負極集電体5aと負極層5bとを含む。負極層5bには負極活物質が含まれる。最外層の負極5は、図2に示すように負極集電体5aの内面側の片面に負極層5bを形成した構成を有する。その他の負極5は、負極集電体5aの両面に負極層5bが形成されている。
【0013】
図2に示すように、捲回電極群3の外周端近傍において、正極端子7が正極4の正極集電体4aに接続されている。また、捲回電極群3の外周端近傍において、負極端子8が最外層の負極5の負極集電体5aに接続されている。正極端子7及び負極端子8は、外装袋2の開口部を通って外部に延出されている。外装袋2の内部には、さらに、非水電解液が注入される。外装袋2の開口部を、正極端子7及び負極端子8を挟んだ状態でヒートシールすることにより、捲回電極群3及び非水電解質が完全密封される。
【0014】
正極端子7は、例えば、リチウムイオン金属に対する電位が3V以上5V以下、好ましくは3.0V以上4.25V以下の範囲において、電気的安定性と導電性とを有する材料から形成される。アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiのような元素を含むアルミニウム合金から形成されることが好ましい。正極端子7は、正極集電体4aとの接触抵抗を低減するために、正極集電体4aと同様の材料から形成されることが好ましい。
【0015】
負極端子8は、例えば、負極活物質のLi吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成される。銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiのような元素を含むアルミニウム合金から形成されることが好ましい。負極端子8は、負極集電体5aとの接触抵抗を低減するために、負極集電体5aと同様の材料から形成されることが好ましい。
【0016】
電池1はさらに、100℃以上250℃以下の電池温度においてガスを放出するガス発生部材10を備える。ガス発生部材10は、封入容器10aと、該封入容器10bに封入されたガス発生剤10bとを含む。封入容器10aは、樹脂製のフィルムによって形成される。ガス発生剤10bは、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。
【0017】
ガス発生部材10は、外装袋2と捲回電極群3の間の空隙に配置される。ガス発生部材10が放出するガスは、好ましくは二酸化炭素である。
【0018】
図1では、ガス発生部材10は、円柱状形状を有し、捲回電極群3の両側の湾曲部と外装袋2との間に設置されている。
【0019】
過充電などの影響により電池温度が異常に上昇し、100℃以上に達したとき、ガス発生剤10bからガスが放出される。これにより、封入容器10が破裂するか、又は封入容器1の融着部分が溶融し、ガスが封入容器1の外部に放出される。これにより、電池内部の圧力が上昇し、ラミネートフィルムのシール部の融着が剥がれ、電池内部の気体と共に非水電解液が外部に放出する。これによって、電池の機能が失われ、熱暴走を防止することができる。
【0020】
ガス発生剤10bは、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含む。アルカノールアミン溶液に吸収されるガスは、好ましくは二酸化炭素である。アルカノールアミン溶液にガスを吸収させる方法としては、例えばバブリングを用いることができる。
【0021】
ガス発生部材10は、アルカノールアミン溶液と共に水を含むことができる。アルカノールアミン溶液に水を加えることにより、二酸化炭素のようなガスの吸収をより容易にすることができる。
【0022】
アルカノールアミンの例には、モノエタノールアミン(MEA)、及び、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)のような1級アルカノールアミン、2−メチルアミノエタノール(MAE)、2−エチルアミノエタノール(EAE)、ジエタノールアミン(DEA)、2−(プロピルアミノ)エタノール(PAE)、及び、ジイソプロパノールアミン(DIPA)のような2級アルカノールアミン、N−メチルジエタノールアミン(MEDA)、N−エチルジエタノールアミン(EDEA)、2−ジメチルアミノエタノール(DMAE)、及び、2−ジエチルアミノエタノール(DEAE)のような3級アルカノールアミンが含まれる。これらのアルカノールアミンは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0023】
アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、2−エチルアミノエタノール、及び2−ジメチルアミノエタノールから選択されることが好ましい。
【0024】
ガス発生剤10bとしてガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を用いることにより、100℃以上250℃以下の温度でガスを放出することができる。即ち、100℃未満ではガスが発生しないため、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができるため、電池温度が上がりすぎることを防ぐことができる。ガスが放出される温度は、アルカノールアミンの種類と組み合わせを変化させることにより、調整することができる。なお、ここでガスが放出される温度は電池温度を指し、電池の外装缶の表面の中央部における温度であってよい。温度は、例えば熱電対を用いて測定することができる。
【0025】
ガス発生部材10がガスを放出する温度は、好ましくは、120〜200℃である。
【0026】
封入容器10aを形成する樹脂は、ガス発生剤10bがガスを放出する温度より高い融点を有することが好ましい。そのような樹脂の例には、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ、アクリル、ウレタン、フェノールが含まれる。封入容器10aを形成する樹脂は、絶縁性であることが好ましい。樹脂が絶縁性でない場合は、電池の端子に接触しないように配置される。
【0027】
なお、ガス発生部材10からガスが放出されることにより外装袋2のシール部の融着が剥がれ、それによって非水電解液が外部に放出されたとき、電池の内部抵抗が増加しても、電池の機能が完全に失われないこともありうる。この場合、電池温度がさらに上昇し、熱暴走が起こる可能性がある。しかしながら、アルカノールアミンはアルミニウムを劣化させるため、集電体を劣化させて電池抵抗を増大させることができる。これにより、電流を遮断し、電池を失活させることができる。従って、電池のさらなる温度上昇を抑制し、熱暴走を防止することができる。
【0028】
3級アルカノールアミンは、二酸化炭素の放出性が高く、また、アルミを劣化させる傾向が強いため、ガス発生剤として3級アルカノールアミンを用いることがより好ましい。
【0029】
本実施形態に従って、ガス発生剤10bが封入容器10aに封入されていることにより、温度以外の要因がガス発生剤10bに影響することを防ぐことができる。また、封入容器10aを形成する樹脂が、ガス発生剤10bがガスを放出する温度より高い融点を有することにより、ガス発生剤10bからガスが放出される前に、ガス発生剤10bが封入容器10aから漏出することを防ぐことができる。
【0030】
図3に第1実施形態の電池の変形例を示した。本変形例は、ガス発生部材10の形状及び設置位置が異なる以外は、図1に示す電池1と同じ構成を有する。
【0031】
本変形例では、ガス発生部材10は、シート状の形状を有し、捲回電極群3の偏平面と外装袋2の偏平面との間に配置される。このような構成によれば、ガス発生部材10の設置が容易である。また、ガス放出面積が広く、迅速にガスを放出することができる。また、表面積が広いため、温度上昇に対する反応を敏感にすることができる。
【0032】
図3では、シート状のガス発生部材10は、捲回電極群3の一方の偏平面上のみに設置したが、他方の偏平面上にもう一つのガス発生部材10を設置してもよい。
【0033】
本実施形態に従って、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材10を具備することにより、100℃未満においてガスが発生せず、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができる。さらに、電池の機能を失活させ、温度上昇を抑制することができるため、熱暴走を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【0034】
本実施形態の非水電解質二次電池は、安全性に優れているため、特に車載用電池として好適に用いられる。
【0035】
なお、電池に備えられる電極群は、捲回電極群に限定されず、セパレータを九十九折りし、折り込んだ個所に正極及び負極を交互に配置した積層型の電極群を用いてもよい。
【0036】
(第2実施形態)
第2実施形態の非水電解質二次電池を図4に示した。本実施形態の電池20は、外装缶21、偏平形状の捲回電極群22、正極リード23、負極リード24、蓋体25、正極端子26、負極端子27、ラプチャ28、及びガス発生部材29を備える。
【0037】
外装缶21は、金属製の有底矩形筒体である。外装缶21は、肉厚0.5mm以下の金属板から形成されることが好ましく、肉厚0.2mm以下の金属板から形成されることがより好ましい。
【0038】
外装缶21は、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛及びケイ素のような元素を含むことが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル及びクロムのような遷移金属の含有量が100ppm以下であることが、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させるためには好ましい。
【0039】
外装缶21を形成するアルミニウム又はアルミニウム合金は、平均結晶粒径が50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは5μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径が50μm以下であると、強度が飛躍的に増大し、外装缶21をより薄肉化することができる。その結果、軽量かつ高出力で長期信頼性に優れた非水電解質電池を実現することができる。このような非水電解質電池は特に車載用に好適に用いられる。
【0040】
捲回電極群22は外装缶21内に収納されている。捲回電極群22は、第1実施形態において用いられた捲回電極群と同様の構成であってよい。正極集電体には正極リード23が接続されている。負極集電体には負極リード24が接続されている。
【0041】
外装缶21の開口部には、金属製の矩形蓋体25が取り付けられる。蓋体25には、例えば板状の正極端子26が挿着されている。外装缶21内に位置する正極端子26の端部付近には、正極リード23が例えば溶接によって接合されている。例えば板状の負極端子27が、蓋体25に例えばガラス材30を介在させたハーメティックシールにより挿着されている。外装缶21内に位置する負極端子27の端部付近には、負極リード24が例えば溶接によって接合されている。
【0042】
蓋体25には、電池内部の圧力を開放するためのラプチャ28が備えられる。ラプチャ28は、矩形状の凹部である。凹部の底面には十字の溝が設けられている。溝の箇所は薄肉になっている。安全弁の形状はこれに限定されず、容器内の圧力上昇により破断してガスを外部に放出することが可能であれば、何れの形状であってもよい。
【0043】
外装缶21内にはさらに非水電解質が収容されている。
【0044】
さらに、電池20はガス発生部材29を備える。ガス発生部材29は、形状が異なる以外は、第1実施形態のガス発生部材と同様のものが用いられる。
【0045】
本実施形態において、ガス発生部材29は直方体の形状を有し、捲回電極群22と蓋体25との間に配置される。
【0046】
電池温度が100〜250℃の範囲においてガス発生部材10からガスが放出されることにより、電池内部の圧力が上昇する。これにより、ラプチャ28が開放され、電池内部の気体と共に非水電解液が外部に放出する。これによって、電池の機能が失活する。
【0047】
本実施形態に従って、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材29を具備することにより、100℃未満においてガスが発生せず、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができる。さらに、電池の機能を失活させ、温度上昇を抑制することができるため、熱暴走を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。本実施形態の非水電解質二次電池は、安全性に優れているため、特に車載用電池として好適に用いられる。
【0048】
なお、外装缶は、上記の例に限定されず、扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、積層型のような任意の形状であってよい。
【0049】
(第3実施形態)
第3実施形態の非水電解質二次電池を、図5〜図12を参照して説明する。
【0050】
本実施形態の電池31は、密閉型の角型非水電解質二次電池である。電池31は、外装缶32、偏平形状の捲回電極群33、正極リード34、負極リード35、蓋体36、ラプチャ45、及び、ガス発生部材47とを備える。
【0051】
外装缶32は、有底角筒形状を有し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。捲回電極群33は、外装缶32内に捲回軸に対し直角方向に向かうように収納される。
【0052】
捲回電極群33は、正極39及び負極40を含む。捲回電極群33は、一端に正極集電タブ39aを有し、他端に負極集電タブ40aを有する。図7に、捲回電極群33の展開図を示す。正極39は、例えば金属箔からなる帯状の正極集電体39cと、その片面又は両面に形成された正極活物質層39bを含む。正極活物質層39bは、帯状の正極集電体39cにその長手方向に沿う一端側に一定幅の領域(非塗工部)が残るように形成される。この非塗工部は、正極集電体39cが露出した部分であり、正極集電タブ39aになる。負極40も同様に、例えば金属箔からなる帯状の負極集電体40cと、その片面又は両面に形成された負極活物質層40bを含む。負極活物質層40bは、帯状の負極集電体40cにその長手方向に沿う他端側(正極39の一端と反対側)に一定幅の領域(非塗工部)が残るように形成される。この非塗工部は、負極集電体40cが露出した部分であり、負極集電タブ40aになる。
【0053】
正極39と負極40は、帯状のセパレータ41a、41bと交互に重ねられる。このとき、正極集電タブ39aは、捲回軸方向の一端側に配置され、負極集電タブ40aは他端側に配置される。正極39の下に重ねられたセパレータ41aは、その長手方向に沿う一端が正極39の正極集電タブ側の端部よりも内側に位置するように配置される。これにより、正極集電タブ39aが捲回電極群33を構成する正極活物質層39b、負極活物質層40b及びセパレータ41aから突出する。また、セパレータ41aは、その長手方向に沿う他端が正極39の他端よりも外側に位置するように配置される。正極39と負極40の間に挟まれたセパレータ41bは、その長手方向に沿う一端が負極40の負極集電タブ側の端部よりも内側に位置するように配置される。これにより、負極集電タブ40aが捲回電極群33を構成する正極活物質層39b、負極活物質層40b及びセパレータ41bから突出する。また、セパレータ41bは、その長手方向に沿う他端が負極40の他端よりも外側に位置するように配置される。
【0054】
重ねられたセパレータ41a、正極39、セパレータ41b、負極40を捲回し、次いで、プレスすることにより、偏平形状の捲回電極群33が形成される。
【0055】
捲回した捲回電極群33は、絶縁テープ44で巻止めする。絶縁テープ44は、捲回電極群33の最外周の集電タブ以外の領域を被覆し、その領域を絶縁性にする。絶縁テープ44の巻き数は1周以上であってよい。
【0056】
外装缶32の開口部には、金属製の蓋体36が例えば溶接により機密に固定されている。正極端子37及び負極端子38は、蓋体36に絶縁ガスケット42,43を介してそれぞれかしめ固定されている。正極端子37及び負極端子38は、蓋体36の背面から外装缶32内部に向けてそれぞれ突出している。正極端子37及び負極端子38の固定方法は、絶縁ガスケット42,43でのかしめ固定の他に、ガラスを用いるハーメティックシールであってよい。
【0057】
正極リード34は、正極端子37に接続される接続部である板状の接続プレートと、接続プレートに開口された貫通孔と、接続プレートから二股に分岐し、捲回電極群33に捲回軸に対して直角方向に向けて延出した挟持部である第1、第2の挟持ストリップとを有する。接続プレートは、正極端子37の箇所において蓋体36の背面に絶縁シート(図示せず)を介して当接される。蓋体36の背面から突出した正極端子37が貫通孔をかしめ固定する。
【0058】
正極リード34の第1、第2の挟持ストリップは、捲回軸に対して直角方向から正極集電タブ39aを挟み、第1、第2の挟持ストリップと正極集電タブ39aとが例えば溶接により接合される。
【0059】
同様に、負極リード35は、負極端子38に接続される接続部である板状の接続プレートと、接続プレートに開口された貫通孔と、接続プレートから二股に分岐し、捲回電極群33に捲回軸に対して直角方向に向けて延出した挟持部である第1、第2の挟持ストリップとを有する。接続プレートは、負極端子38の箇所において蓋体36の背面に絶縁シート(図示せず)を介して当接される。蓋体36の背面から突出した負極端子38が貫通孔をかしめ固定する。
【0060】
負極リード35の第1、第2の挟持ストリップは、捲回軸に対して直角方向から負極集電タブ40aを挟み、第1、第2の挟持ストリップと負極集電タブ40aとが例えば溶接により接合される。
【0061】
なお、上記の溶接は抵抗溶接及び超音波溶接のような方法によって実施されてよい。
【0062】
蓋体36は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。蓋体36と外装缶32は、同じ種類の金属から形成されることが望ましい。
【0063】
外装缶32に蓋体36が固定された後、蓋体36に設けられた注入口46から電解液(図示しない)を注入する。注入後、電解液を偏平型電極群33に含浸させる。
【0064】
電池31は、直方体の形状を有する二つのガス発生部材47を備える。ガス発生部材47は、形状及び大きさが異なる以外は、第1実施形態のガス発生部材と同様のものが用いられる。
【0065】
本実施形態において、ガス発生部材47の一つは、正極集電タブ39aの上端と蓋体36と正極リード34の第1、第2の挟持ストリップに囲まれた空隙に配置される。また、ガス発生部材47のもう一つは、負極集電タブ40aの上端と蓋体36と負極リード35の第1、第2の挟持ストリップに囲まれた空隙に配置される。
【0066】
ガス放出部材47は、上記の例に限定されず、外装缶32内の任意の空隙に設置することができる。また、ガス発生部材47の形状は、直方体状、円柱状、棒状、球状、シート状など、任意の形状を有してよい。その形状及び大きさは、外装部材と電極群との間の空隙の形状に合わせて適宜選択することができる。また、ガス発生部材47の設置個数は、一つでもよく、二以上であってもよい。
【0067】
以下に、ガス発生部材47の形状及び設置位置を変更した幾つかの変形例の電池を示す。これらの変形例の電池では、ガス発生部材47の形状、大きさ及び設置位置が異なる以外は、図5及び図6に示す電池31と同じ構成である。
【0068】
図8に示す第1変形例では、二つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、直方体の形状を有し、正極集電タブ39aの下端と外装缶32の底面との間の空隙、及び、負極集電タブ40aの下端と外装缶32の底面との間の空隙にそれぞれ配置される。
【0069】
図9に示す第2変形例では、一つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ、細長い直方体の形状を有し、捲回電極群33の下端と外装缶32の底面との間の空隙に配置される。
【0070】
図10に示す第3変形例では、一つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ、比較的短い直方体の形状を有し、捲回電極群33の上端と蓋体36の間の空隙に配置される。ガス発生部材47は、ラプチャ45の直下に配置されてよい。なお、ガス発生部材47は、注入口46を塞がないために、注入口46の直下には配置しないようにする。
【0071】
図11に示す第4変形例では、二つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ細長い直方体の形状を有する。
【0072】
正極集電タブ39aは、捲回されているため、複数枚の集電タブが重なった中空長楕円形の束を形成しており、楕円の中心に空隙を有する。同様に、負極集電タブ40aも、複数枚の集電タブが重なった中空長楕円形の束を形成しており、楕円の中心に空隙を有する。
【0073】
ガス発生部材47の一つは、正極集電タブ39aの中空長楕円形の束の中心の空隙に配置される。ガス発生部材47のもう一つは、負極集電タブ40aの中空長楕円形の束の中心の空隙に配置される。
【0074】
図12に示す第5変形例では、4つのガス発生部材47を用いている。ガス発生部材47は、厚さが薄く、且つ細長い直方体の形状を有する。4つのガス発生部材47は、それぞれ、正極リード34の第1、第2の挟持ストリップ、及び、負極リード35の第1、第2の挟持ストリップと外装缶32との間の空隙に、各挟持ストリップに当接するように配置される。なお、図12では電池の手前側の二つのガス発生部材47のみが示されており、反対側に配置された二つのガス発生部材は図示していない。
【0075】
以上に説明したように、ガス発生部材47は、外装缶32内部の任意の空隙に配置することができる。本実施形態に従って、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材47を具備することにより、100℃未満においてガスが発生せず、電池の通常使用時に影響しない。また、250℃以下の所望の温度でガスを発生させることができる。さらに、電池の機能を失活させ、温度上昇を抑制することができるため、熱暴走を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。本実施形態の非水電解質二次電池は、安全性に優れているため、特に車載用電池として好適に用いられる。
【0076】
(正極)
第1〜第3実施形態の電池に用いられる正極について説明する。
正極は、正極集電体及び正極活物質層を含む。正極活物質層は、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む。正極活物質層は、正極集電体の片面若しくは両面に形成される。
【0077】
正極集電体には、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好適に用いられる。その平均結晶粒径は50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましくは。このような平均結晶粒径を有するアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなる集電体は、飛躍的に増大した強度を有する。そのため、高いプレス圧を用いて正極を高密度化することが可能になる。その結果、電池容量を増大させることができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の平均結晶粒径(直径)は、製造工程において、材料組成、不純物、加工条件、熱処理履歴及び焼なましの加熱条件のような多くの因子によって影響される。これらの因子を調整することにより、所望の直径を有するアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を得る。
【0078】
アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99%以上であることが好ましい。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛及びケイ素のような元素を含むことが好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル及びクロムのような遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
【0079】
正極活物質として、種々の酸化物、硫化物及びポリマーを使用することができる。酸化物の例には、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4又はLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCoyO2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnyCo1−yO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2−yNiyO4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(LixFePO4、LixFe1−yMnyPO4、LixCoPO4など)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)が含まれる。なお、上式におけるx及びyは0〜1の範囲であることが好ましい。また、組成がLiaNibCocMndO2(但し、モル比a、b、c及びdは、0≦a≦1.1、0.1≦b≦0.5、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.5である)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いることも可能である。
【0080】
また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料及び無機材料を正極活物質として用いることもできる。
【0081】
正極活物質は、上記の化合物を単独で又は組合せて用いることができる。
【0082】
リチウムマンガン複合酸化物(LixMn2O4)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LixNi1−yCoyO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2−yNiyO4)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LixMnyCo1−yO2)及びリチウムリン酸鉄(LixFePO4)のような、高い電池電圧を得られる酸化物がより好適に用いられる。なお、上式におけるx及びyは0〜1の範囲であることが好ましい。
【0083】
また、正極活物質にニッケルが含まれる電池は、温度上昇速度が速く、熱暴走しやすい傾向がある。よって、正極活物質にニッケルが含まれる電池では、本実施形態の効果がより顕著に得られる。
【0084】
結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド及びポリアミドが含まれる。
【0085】
導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ及びフラーレンが含まれる。
【0086】
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜18重量%、結着剤2〜17重量%の範囲であることが好ましい。
【0087】
正極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、正極集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥して、正極活物質層を作製する。その後、プレスを施す。或いは、正極活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、正極活物質層として用いることもできる。正極活物質層の密度は、3g/cc以上であることが好ましい。
【0088】
(負極)
第1〜第3実施形態の電池に用いられる負極について説明する。
負極は、負極集電体及び負極活物質層を含む。負極活物質層は、負極活物質、導電剤及び結着剤を含む。負極活物質層は、負極集電体の片面若しくは両面に形成される。
【0089】
負極集電体には、1.0Vよりも貴である電位範囲において電気化学的に安定であるアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好適に用いられる。
【0090】
負極活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上であることが好ましい。これは、0.4V(vs.Li/Li+)よりも卑な電位でリチウムを吸蔵する負極活物質(例えば黒鉛、リチウム金属など)は、大電流での入出力を繰り返すと負極表面上で金属リチウムが析出し、デンドライド状に成長するためである。
【0091】
0.4〜3V(vs.Li/Li+)でリチウムを吸蔵可能な負極活物質には、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び合金が含まれる。
【0092】
金属酸化物の例には、チタン含有金属複合酸化物、SnB0.4P0.6O3.1及びSnSiO3のようなスズ系酸化物、SiOのようなケイ素系酸化物、及び、WO3のようなタングステン系酸化物が含まれる。中でも、チタン含有金属複合酸化物が好適に用いられる。
【0093】
チタン含有金属複合酸化物の例には、リチウムチタン酸化物、及び、リチウムチタン酸化物の構成元素の一部を異種元素で置換したリチウムチタン複合酸化物が含まれる。また、酸化物合成時はリチウムを含まず、電池を充電することによってリチウムが吸蔵されるチタン系酸化物を用いることもできる。
【0094】
リチウムチタン酸化物の例には、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi4+xTi5O12)及びラムステライド型のチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi3O7が)含まれる。上式において、xは充放電により0≦x≦3の範囲で変化し、yは充放電により0≦y≦3の範囲で変化する。一方、酸素のモル比は形式的なものであり、酸素ノンストイキメトリー等の影響によってその値は変化する。
【0095】
チタン系酸化物の例には、TiO2、及び、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物が含まれる。
【0096】
TiO2は、アナターゼ型であることが好ましい。また、300〜500℃の温度で熱処理された、低結晶性のものであることが好ましい。
【0097】
TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物の例には、TiO2−P2O5、TiO2−V2O5、TiO2−P2O5−SnO2、及び、TiO2−P2O5−MeO(MeはCu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素)が含まれる。この金属複合酸化物は、結晶相とアモルファス相が共存するミクロ構造を有するか、或いは、アモルファス相が単独で存在するミクロ構造を有することが好ましい。ミクロ構造を有する金属複合酸化物を用いることにより、電池のサイクル性能を大幅に向上することができる。
【0098】
負極活物質として、リチウムチタン酸化物又はTiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物を用いることがより好ましく、スピネル構造を有するリチウムチタン酸化物を用いることが特に好ましい。
【0099】
金属硫化物の例には、TiS2のようなチタン系硫化物、MoS2のようなモリブデン系硫化物、及び、FeS、FeS2及びLixFeS2(0≦x≦4)のような鉄系硫化物が含まれる。
【0100】
金属窒化物の例には、リチウム系窒化物(例えば(Li,Me)3N、ここでMeは遷移金属元素を示す)が含まれる。
【0101】
結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド及びポリアミドが含まれる。
【0102】
導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ及びフラーレンが含まれる。
【0103】
負極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、負極活物質70〜96重量%、導電剤2〜28重量%及び結着剤2〜28重量%にすることが好ましい。導電剤は、2重量%以上の割合で配合することにより高い集電性能による優れた大電流特性が得られる。結着剤は、2重量%以上の割合で配合することにより、負極層と負極集電体の結着性を確保し、サイクル特性を向上させることができる。一方、高容量化の観点から、負極導電剤及び結着剤は各々28重量%以下であることが好ましい。
【0104】
負極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、負極活物質、負極導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥して、負極活物質層を作製する。その後、プレスを施す。或いは、負極活物質、負極導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、負極活物質層として用いても良い。負極活物質層の密度は、2g/cc以上であることが好ましい。
【0105】
(非水電解質)
第1〜第3実施形態の電池に用いられる非水電解質について説明する。
非水電解質として、液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、電解質を非水溶媒に溶解することにより調製できる。ゲル状非水電解質は、液状電解質と高分子材料を複合化することにより調製できる。
【0106】
電解質の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及び、ビストリフルオロメチルスルホニルイミトリチウム[LiN(CF3SO2)2]のようなリチウム塩が含まれる。これらの電解質は、単独で又は2種類以上を組合せて用いることができる。
【0107】
電解質は、有機溶媒に対して0.5〜2.5mol/Lの濃度範囲で溶解させることが好ましい。
【0108】
非水溶媒の例は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)のような環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)のような鎖状カーボネート、テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)のような環状エーテル、ジメトキシエタン(DME)のような鎖状エーテル、γ−ブチロラクトン(BL)アセトニトリル(AN)、及び、スルホラン(SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上を組合せて用いることができる。
【0109】
ゲル状非水電解質に用いる高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びポリエチレンオキサイド(PEO)が含まれる。
【0110】
(セパレータ)
第1〜第3実施形態の電池に用いられるセパレータについて説明する。
セパレータとしては、多孔性の膜、織布、不織布、およびそれらの組合せを用いることができる。セパレータを形成する材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、及び、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)が含まれる。ポリエチレン又はポリプロピレンからなる多孔質の膜は、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能であるためより好ましい。このような膜を用いることにより、電池の安全性を向上させることができる。
【実施例】
【0111】
以下に実施例を用いて実施形態を説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0112】
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質として、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNi5Co2Mn3O2)粉末を80重量%、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粉末を20重量%用いた。正極活物質を93重量%、アセチレンブラックを3.33重量%、グラファイトを1.67重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2重量%の割合で混合し、これにN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混合し、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスした。これにより、電極密度が3.15g/cm3である正極を作製した。
【0113】
<負極の作製>
負極活物質として、Li吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)であり、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を用いた。負極活物質を96重量%、導電材としてグラファイトを4重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2重量%の割合で混合し、これにN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混合し、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスした。これにより、電極密度が2.2g/cm3のある負極を作製した。
【0114】
<電極群の作製>
正極、厚さ12μmのポリエチレン製の多孔質フィルムからなるセパレータ、負極、セパレータの順に積層した後、渦巻き状に捲回した。これを約90℃で加熱プレスすることにより、電極群を作製した。得られた電極群を、図4に示すタイプの角型金属缶に収納し、約80℃で24時間真空乾燥した。
【0115】
<ガス発生部材の作製>
ポリイミド製のフィルムを袋状に成形し、ガス発生剤封入容器を作製した。ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたモノエタノールアミン(MEA)を用いた。封入容器に、ガス発生剤を10cc注入し、熱融着によりシールし、ガス発生部材を得た。
【0116】
<液状非水電解質の調製>
プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率30:70)に、電解質として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/L、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を0.5mol/Lの濃度で溶解した。これにより液状非水電解質を得た。
【0117】
<非水電解質二次電池の作製>
電極群を収納した角型金属缶中の空隙は約50ccであった。角型金属缶に収納された電極群の上にガス発生部材を置き、電極群と蓋の間の空隙にガス発生部材を配置した。次いで、金属缶に液状非水電解質を注入した後、完全密閉した。これにより、非水電解質二次電池を作製した。
【0118】
(実施例2)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたMEAを5cc用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0119】
(実施例3)
MEA 8ccと水 2ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0120】
(実施例4)
MEA 6.7ccと水 1.7ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0121】
(実施例5)
MEA 5ccと水 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0122】
(実施例6)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させた2−エチルアミノエタノール(DEA)を10cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0123】
(実施例7)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたDEAを5cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0124】
(実施例8)
DEA 8ccと水 2ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0125】
(実施例9)
DEA 6.7ccと水 1.7ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0126】
(実施例10)
DEA 5ccと水 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0127】
(実施例11)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させた2−ジメチルアミノエタノール(DMAE)を10cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0128】
(実施例12)
ガス発生剤として、二酸化炭素を吸収させたDMAEを5cc用いた以外は実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0129】
(実施例13)
DMAE 8ccと水 2ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0130】
(実施例14)
DMAE 6.7ccと水 1.7ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0131】
(実施例15)
DMAE 5ccと水 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0132】
(実施例16)
MEA 5ccとDEA 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0133】
(実施例17)
MEA 5ccとDMAE 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0134】
(実施例18)
DEA 5ccとDMAE 5ccを混合した混合物に二酸化炭素を吸収させてガス発生剤として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0135】
(比較例)
ガス発生部材を用いなかった以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
【0136】
(過充電試験)
実施例1〜18及び、比較例の電池を用いて過充電試験を行いった。過充電試験は、1Cレートでの定電流充電で行った。ラプチャが開放された温度と、電池の最高温度を測定した。なお、電池の温度は、金属缶の表面の中心の位置で、熱電対により測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0137】
表1に示すように、実施例1〜18の電池は何れも、ガス発生部材を用いなかった比較例の電池よりも低い温度でラプチャが開放された。また、電池の最高温度が、比較例よりも著しく低かった。このことから、ガス発生部材を用いることにより、安全性の高い電池が提供できることが示された。
【0138】
また、ガス発生剤の種類と配合を変更することにより、ラプチャの開放温度を調整できることが示された。また、ガス発生剤に水が含まれても、ラプチャの開放温度に影響を与えないことが示された。
【0139】
なお、実施例1〜18と比較例の電池の電池特性(放電容量、サイクル特性等)を確認した所、大きな相違は認められなかった。よって、ガス発生部材を設置しても電池特性に影響を与えないことが確認された。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0141】
1,20,31…非水電解質二次電池、2…外装袋、3,22,33…捲回電極群、10,29,47…ガス発生部材、10a,29a,47a…封入容器、10b,29b,47b…ガス発生剤、7…正極端子、8…負極端子、21,32…外装缶、23,34…正極リード、24,35…負極リード、28,45…ラプチャ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装部材と、
正極及び負極を含む電極群と、
非水電解質と、
ガス発生剤及び該ガス発生剤を封入する封入容器を含み、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材と、
を備え、
前記ガス発生剤が、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記ガス発生部材は、前記外装部材と前記電極群との間の空隙に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、2−エチルアミノエタノール、及び2−ジメチルアミノエタノールから選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記ガス発生部材が放出するガスが二酸化炭素であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記正極が、リチウムニッケル含有酸化物を含むことを特徴とする、請求項2〜3の何れか一項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項1】
外装部材と、
正極及び負極を含む電極群と、
非水電解質と、
ガス発生剤及び該ガス発生剤を封入する封入容器を含み、100〜250℃の範囲でガスを放出するガス発生部材と、
を備え、
前記ガス発生剤が、ガスを吸収させたアルカノールアミン溶液を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記ガス発生部材は、前記外装部材と前記電極群との間の空隙に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、2−エチルアミノエタノール、及び2−ジメチルアミノエタノールから選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記ガス発生部材が放出するガスが二酸化炭素であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記正極が、リチウムニッケル含有酸化物を含むことを特徴とする、請求項2〜3の何れか一項に記載の非水電解質二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−12448(P2013−12448A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145953(P2011−145953)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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