説明

非粘着性エラストマーローラ

【課題】製造費を抑制することができる非粘着性エラストマーローラを提供する。
【解決手段】基材が円筒状で、シリコンと中空微小球ポリマーとが配合されたエラストマーから成る。基材は、表面が研磨されている。エラストマーは、20乃至70Hs JIS Aの硬度を有している。中空微小球ポリマーは、10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされている。中空微小球ポリマーは、エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非粘着性エラストマーローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非粘着性のローラとして、シリコンから成り、高さが10〜1000ミクロンの突起により表面が凹凸状に形成されている当接部を備えているものがある(特許文献1参照)。また、粒径が20から150μmの珪藻土の充填材を20〜50重量%添加し混合したシリコン生地から成り、外周面を中心平均粗さが3μmから10μm、10点平均粗さが10μmから30μm、最大粗さが5μmから15μmに形成したものもある(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−296937号公報
【特許文献2】特開2000−296938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および2記載のローラでは、外周面の表面の凹凸や粗さを形成するために、製造工程が増え、製造費が嵩むという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、製造費を抑制することができる非粘着性エラストマーローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る非粘着性エラストマーローラは、円筒状の基材から成り、前記基材はシリコンと中空微小球ポリマーとが配合されたエラストマーから成ることを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る非粘着性エラストマーローラは、エラストマーに中空微小球ポリマーが配合されているため、基材の表面に微小な凹凸が形成される。このため、非粘着性のシリコンのみを配合した場合に比べて、搬送物との接地面積を減らすことができ、非粘着性を高めることができる。また、基材の表面に凹凸を形成する工程を要するものに比べ、製造工程が少なく、製造費を抑制することができる。
【0008】
エラストマーに中空微小球ポリマーが配合されているため、基材を軽量化することができ、エラストマーの容量を減らしてエラストマーの材料費を低減することができる。
【0009】
本発明に係る非粘着性エラストマーローラにおいて、前記基材は表面が研磨されていることが好ましい。この場合、基材の表面の中空微小球ポリマーが研磨されることで、基材の表面に微小な孔がランダムに形成される。この基材の表面の凹凸により、搬送物との接地面積を減らすことができ、非粘着性を高めることができる。
【0010】
本発明に係る非粘着性エラストマーローラにおいて、前記エラストマーは20乃至70Hs JIS Aの硬度を有し、前記中空微小球ポリマーは10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされており、前記エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されていることが好ましい。この場合、非粘着性エラストマーローラは、テープなどの粘着性の搬送物を搬送するための搬送用ローラに適した非粘着性を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造費を抑制することができる非粘着性エラストマーローラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図2は、本発明の実施の形態の非粘着性エラストマーローラを示している。
図1乃至図2に示すように、非粘着性エラストマーローラ1は、シャフト2と基材3とを有している。
【0013】
シャフト2は、金属製で、円筒状に形成されている。シャフト2は、用途に応じて端部の形状が異なっていてもよい。
基材3は、シリコンと中空微小球ポリマーとが配合されたエラストマーから成っている。エラストマーは、20乃至70Hs JIS Aの硬度を有している。中空微小球ポリマーは、弾性を有し、10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされている。中空微小球ポリマーは、エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されている。基材3は、シャフト2の周囲に設けられ、円筒状を成している。基材3は、内周面3aがシャフト2の外周面2aに固定され、表面3bが研磨されている。
【0014】
なお、具体的な一例では、中空微小球ポリマーは、商品名「マツモト マイクロスフェアー(登録商標) MFL80CA」(松本油脂製薬株式会社製)を使用している。中空微小球ポリマーは、粒径が100マイクロメートルで、炭酸カルシウムでコーティングされている。中空微小球ポリマーは、エラストマーに対し5質量パーセントの割合で配合されている
【0015】
次に、作用について説明する。
非粘着性エラストマーローラ1は、搬送用ローラとして好適に使用される。非粘着性エラストマーローラ1は、エラストマーに中空微小球ポリマーが配合されているため、基材3の表面3bに微小な凹凸が形成される。このため、非粘着性のシリコンのみを配合した場合に比べて、搬送物との接地面積を減らすことができ、非粘着性を高めることができる。また、基材3の表面3bに凹凸を形成する工程を要するものに比べ、製造工程が少なく、製造費を抑制することができる。
【0016】
エラストマーに中空微小球ポリマーが配合されているため、基材3を軽量化することができ、エラストマーの容量を減らしてエラストマーの材料費を低減することができる。
【0017】
本発明者らは、基材3としてエラストマーに主にシリコンを配合した様々な非粘着性のローラを製作し、非粘着性エラストマーローラ1との比較を行った。その結果、非粘着性エラストマーローラ1は、他の様々な非粘着性のローラより優れた非粘着性を有していることが見出された。特に、非粘着性エラストマーローラ1は、中空微小球ポリマーの外径や配合量により、テープなどの粘着性の搬送物を搬送するための搬送用ローラに最も適した非粘着性を有する。
【0018】
基材3の表面3bの中空微小球ポリマーが研磨されているため、基材3の表面3bに10乃至200マイクロメートルの径を有する微小な孔がランダムに形成される。この基材3の表面3bの凹凸により、搬送物との接地面積を減らすことができ、非粘着性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の非粘着性エラストマーローラを示す(a)正面図、(b)左側面図である。
【図2】図1に示す非粘着性エラストマーローラの(a)A−A’線断面図、(b)B−B’線断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 非粘着性エラストマーローラ
2 シャフト
3 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の基材から成り、前記基材はシリコンと中空微小球ポリマーとが配合されたエラストマーから成ることを、特徴とする非粘着性エラストマーローラ。
【請求項2】
前記基材は表面が研磨されていることを、特徴とする請求項1記載の非粘着性エラストマーローラ。
【請求項3】
前記エラストマーは20乃至70Hs JIS Aの硬度を有し、前記中空微小球ポリマーは10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされており、前記エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されていることを、特徴とする請求項1または2記載の非粘着性エラストマーローラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−207661(P2006−207661A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18770(P2005−18770)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(393005059)宮川ローラー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】