説明

面光源装置及び輝度均斉化シート

【課題】中央の輝度を高くすることにより見た目の均一感に優れ、消費電力を高くすることなく高い輝度感が得られる面光源装置を提供する。
【解決手段】
面発光ユニット20と面発光ユニットの光出射側に光拡散板23と輝度均斉化シート10を備え、面発光ユニットは略一定の間隔で同一平面に平行に配列された複数の線状光源Lと、該線状光源の光出射側と反対の側に配置された反射板24とを有し、前記輝度均斉化シートは透光性基材と、該透光性基材に所定の透過率で設けられた白色インキの網点を有し、前記所定の透過率は、各線状光源の略直上位置で極小値、隣接する各線状光源同士の略中間位置で極大値をとるパターン状とされ、前記透過率の極大値は、最小二乗法で二次関数に近似した際、略中央部に極大値を有することを特徴とする面光源装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等で使用される面光源装置や照明装置等の面光源装置に関する。さらに詳しくは、複数の線状光源が、略一定の間隔で同一平面に平行に配列された面発光ユニットを有する面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の画面は、中央部分に観察者の意識が集中しやすいため、周縁部と比較して中央が明るい方が、画質が良いと感じられる傾向にあることが知られている(特許文献1、2)。また、周縁部の輝度を相対的に低くすることは、観察者に、画面が暗いという感じを与えることなく消費電力を低下させることができるため好ましい。
【0003】
一方、輝度均斉化シートにより、線状光源直上が明るく見える輝度ムラの防止を図ることが知られている(特許文献3)。特許文献3では、透過率調整体ユニットを備えない場合の輝度が高い位置ほど高密度となるように、網点パターンの透過率調整体を設けた透過率調整体(輝度均斉化シート)が開示されている。
【特許文献1】特開2004−327165号公報
【特許文献2】特開2007−264042号公報
【特許文献3】国際公開第06/028080号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3の輝度均斉化シートを用いれば、光源の直上を中心に輝度を低下させることができるため、観察者が、線状光源の位置を認識できる程の輝度ムラは解消可能である。
しかし、本願発明者らが確認したところ、特許文献3の輝度均斉化シートを、複数の線状光源が一定の間隔で平行に配列された面光源装置に適用すると、周縁部を明るく、中央部を暗く感じてしまい、良好な視覚効果が得られないことが分かった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、均斉化後の中央の輝度を高くすることにより見た目の均一感に優れ、消費電力を高くすることなく高い輝度感が得られる面光源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]面発光部と面発光部の光出射側に配置された輝度均斉化シートとを備え、前記面発光部は略一定の間隔で同一平面に平行に配列された複数の線状光源と、該線状光源の光出射側に配置された光拡散板と、該線状光源の光出射側と反対の側に配置された反射板とを有し、前記輝度均斉化シートは透光性基材と、該透光性基材に所定の透過率で設けられた白色インキの網点を有し、前記所定の透過率は、各線状光源の略直上位置で極小値、隣接する各線状光源同士の略中間位置で極大値をとるパターン状とされ、前記透過率の極大値は、最小二乗法で二次関数に近似した際、略中央部に極大値を有することを特徴とする面光源装置。
[2]前記複数の線状光源から光拡散板までの距離が、略均等とされている[1]に記載の面光源装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、中央の輝度を高くすることにより見た目の均一感に優れ、消費電力を高くすることなく高い輝度感が得られる面光源装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の面光源装置である面光源装置の一実施形態について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態における面光源装置1は、図1に示すように、面発光ユニット20と輝度均斉化シート10を備えるものである。図1では、図示の便宜上厚みを適宜強調している。
なお、面発光装置1は、面発光ユニット20の光出射側に、プリズムシート、拡散シート、輝度向上シートなどの光学部材を更に具備していてもよい。
【0009】
<面発光ユニット>
面発光ユニット20は、矩形状の開口部を有するハウジング21と、ハウジング21に収容される複数(図1では22本)の線状光源L(nは正の整数、図1では1〜22の正の整数)と、ハウジング21の開口部を塞ぐ様に線状光源22の光出射側に設けられた光拡散板23と、ハウジング21の内側の底面21aに設けられた反射板24とを具備する。
【0010】
[線状光源]
線状光源Lとしては、冷陰極蛍光管(CCFL)、熱陰極蛍光管(HCFL)、外部電極陰極管(EEFL)などが採用できる。また、線状に配置すれば、発光ダイオード(LED)のような点状光源を用いることもできる。
線状光源Lnは図示左側から順に、n=1〜nまで互いに平行になるように配列され、各々図1における紙面の垂直方向に延在している。
ここで、各線状光源Lと直交する方向(図1における左右方向)の座標Xにおける各線状光源Lの中心位置を座標Xと定義する。また、線状光源Ln−1、Lの間隔dについて、以下のように定義する。
=|Xn−1−X
間隔dは、パターンシートの設計の難易度の点から、略一定である方が好ましい。
ただし、両端近傍部(X軸方向の左端、右端それぞれ約10%程度の部分)の間隔dについては、バックライトユニットの構造上の理由、例えば壁面に光が当たって反射する、あるいは最端部の光源は隣接光源が1本しかなく相対的に明るさが低くなることから、極端に輝度が変化しやすいため、それに合わせて間隔dを調節することも可能である。
【0011】
なお、本発明における極大値とは、座標Xに対する一次導関数がゼロであると共に二次導関数がマイナスとなる際の値である。また、極小値とは一次導関数がゼロであると共に二次導関数がプラスとなる際の値である。
すなわち、二次関数FL(X)の極大値は、FL’(X)=0かつFL”(X)<0を満たすXに対するFL(X)の値であり、極小値とはFL’(X)=0かつFL”(X)>0を満たすXに対するFL(X)の値である。ここでFL’(X)はFL(X)のXに関する一次導関数、FL”(X)はXに関する二次導関数である。
各線状光源Lと光拡散板23との距離は、多少の変動があってもよいが、薄型化の観点から、均一であることが好ましい。また、各線状光源Lの中心と光拡散板23との距離は、6mm以下であることが好ましい。これにより、面発光ユニット20を容易に薄型化できる。
【0012】
[光拡散板]
面発光ユニット20を構成する光拡散板23は、入射光を拡散可能で、その光拡散性が面方向に均一な板である。
光拡散板23の厚さは、1mm以上であることが好ましい。1mm以上であれば、面発光ユニット20の開口部の強度が維持しやすくなると共に、より均質な面発光を得ることができる。また、表示装置全体の薄型化の観点から、4mm以下とすることが好ましく、2.5mm以下とすることがより好ましい。
また、光拡散板23は、光出入射面がハウジング21の開口部と相似形で僅かに大きいことが好ましい。光拡散板23の具体例としては、例えば、光散乱性微粒子を含有する透明樹脂製の板などが挙げられる。
【0013】
光拡散板23を構成する透明樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体などが挙げられる。光散乱性微粒子としては、例えば、アクリル系、スチレン−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエチレン系等の有機フィラーや、シリコーンビーズ、中空粒子、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ微粒子等の無機フィラーなどが挙げられる。
光拡散板23は、JIS K7105に従って測定された全光線透過率が40〜70%であることが好ましい。光拡散板23の全光線透過率が40%以上であれば、面光源装置1の輝度を充分に確保でき、70%以下であれば、輝度をより充分に均斉化できる。
光拡散板23は、輝度向上のために何れか一方の面又は両面に凹凸が形成されていてもよい。例えば、何れか一方の面又は両面に、多数のプリズムが配列されたプリズム拡散板であってもよい。
【0014】
[反射板]
面発光ユニット20を構成する反射板24としては、例えば、白色のプラスチックシート(白色ポリエチレンテレフタレートシート、白色ポリプロピレンシートなど)を、樹脂、金属、金属蒸着板などの基材に貼り付けたものが挙げられる。また、金属板、樹脂や金属等の基材の表面に銀やアルミニウム等の金属が蒸着された金属蒸着板などが挙げられる。反射板24は、ハウジング21の内側の底面21aと一体化されたものでもよい。
【0015】
[面発光ユニットの輝度曲線]
図2は、前記座標Xを横軸とし、図1の面発光ユニット20のみで得られる輝度(以下「均斉化前の輝度」という。)を縦軸とする輝度曲線(以下「均斉化前の輝度曲線」という。)の一例である。
本実施形態では、複数の線状光源Lが平行に配列されているので、均斉化前の輝度曲線は極大点と極小点が繰り返えされるパターンとなる。
均斉化前の輝度曲線が極大値をとるのは、各線状光源Lの略直上位置である。すなわち、座標Xと、ほぼ等しい位置で極大値をとる。また、均斉化前の輝度曲線が極小値をとるのは、隣接する線状光源Ln−1、L同士の略中間上位置である。図2において、各均斉化前の輝度曲線の極大値はそれぞれ座標Xとほぼ等しい。
【0016】
<輝度均斉化シート>
輝度均斉化シート10は、透光性基材に白色インキが所定のパターン状に印刷されたものである。輝度均斉化シート10の光出入射面の面積と光拡散板23の光出入射面の面積は略同一になっている。
輝度均斉化シート10は、図1に示すように面発光ユニット20の拡散板23の上に配置させてもよいし、下に配置させてもよい。冷陰極管の熱による変形などの影響を受けにくいことから、上に配置することが好ましい。印刷面は、光源側でも観察者側でもよい。但し、製造工程におけるハンドリングのしやすさから印刷面が観察者側となるように配置することが好ましい。
【0017】
[透光性基材]
輝度均斉化シート10を構成する透光性基材としては、ガラス基板や透明樹脂シートが用いられる。透明樹脂シートを構成する透明樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体などが挙げられる。透光性基材としては、網点を印刷しやすいことから、透明樹脂シートが好ましい。透光性基材の厚さは30μm〜4mmであることが好ましい。透光性基材が30μm以上であれば、充分な強度を有する。
もちろん、本発明の効果を損なわない範囲で、透光性基材に光拡散性微粒子を含む顔料を内添、あるいは塗工してもよいし、発泡シートを使用することもできる。また、透光性基材として、拡散シート、拡散板、プリズムシートなどの光学部材を用い、拡散シートや拡散板の片面に印刷したり、プリズムシートのプリズムが形成されていない面に印刷して、輝度均斉化シート10としてもよい。これら光学部材には光散乱性微粒子が含まれていてもよい。光散乱性微粒子を含有する場合、光拡散板23に用いる光散乱性微粒子と同様のものが使用できる。
【0018】
[白色インキ]
白色インキとしては、例えば蒸発乾燥型インキ、酸化重合型インキ、加熱硬化型インキ、2液反応型インキ、紫外線硬化インキなど各種白色インキが使用できる。これらの中でも紫外線照射により瞬時にインキがセットされるため微妙な階調制御が行ないやすく、耐擦過性も期待できる紫外線硬化型インキが好適に使用でき、特にオフセット印刷の場合は、貼り付き防止パウダーが不要となるため、特に好ましく使用される。
白色インキには、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、クレー、塩基性炭酸鉛、チタン酸ストロンチウム、硫酸バリウム等の白色顔料が含まれる。これらの中でも、透過率制御効果が高い、色調の偏りが少ないなどの点で、酸化チタンや酸化亜鉛、硫酸バリウムが好ましい。
また、白色の色調を大きく損なわない範囲であれば、一般的な白色インキに含まれる成分以外にも、前述の光拡散性微粒子や色調調整用に微量の着色顔料等が含まれていてもよい。
【0019】
[印刷方法]
白色インキの印刷方法としては、オフセット、フレキソ、グラビア、スクリーン、パット、インクジェットなど公知の技術を、所望のパターンや基材の種類などに応じて適宜選択して用いることができる。特に製版が比較的容易で生産性も高いことから、オフセット印刷やフレキソ印刷がより好ましく、拡散板への直接印刷など厚みのある基材に対しては、スクリーン印刷やインクジェット印刷、パッド印刷がより適している。また、複数の印刷方式を組み合わせたり、多色印刷機や両面印刷機を用いる等の手段により、白色インキのパターン印刷部に重ね刷りもしくは両面印刷を施しても良く、例えば白色インキ部の密着性や擦過性向上のためにアンダーコートやオーバーコートをベタ印刷してもよい。重ね刷りもしくは両面印刷によって得られる輝度均一化シートが所望の階調印刷パターンを保持していれば、白色インキのパターン印刷に組み合わせる印刷のインキは、白色インキであっても、透明ニスなどの白色成分を含まない透明インキであってもよい。
白色インキのパターン印刷層として最適な厚さは、印刷方式や白色インキの種類によって異なるため限定するものではないが、0.5〜20μmが望ましい。0.5μm未満になると印刷の安定性が保ち難く、20μmより厚くなると印刷部の耐擦過性が保ち難い。
【0020】
[透過率曲線]
本発明の輝度均斉化シート10は、透過率がパターン状とされている。本発明において、透過率とは、JIS K7361−1に定義される全光線透過率である。
全光線透過率は当該JIS準拠の測定装置で測定することが基本であるが、該JIS準拠の測定装置の測定面積が、輝度均斉化シート10の透過率変化に対して大きすぎる場合は、より小さな測定面積で全光線透過率に対応する透過光量が測定可能な、各種透過率計や透過濃度計を使用して間接的に透過率(全光線透過率)のパターンを確認することができる。
全光線透過率に対応する透過光量が測定可能な装置としては、特に、JIS B9620−1で色分解フィルムのトーンバリュー測定装置として記載される透過濃度計が好ましい。また、透過率との相関が得られる場合は、同JISで印刷物のトーンバリュー測定装置として記載される反射濃度計や測色計を用いてもよく、印刷面の拡大画像から幾何学的網点面積率を測定してもよい。これらの測定における測定面積は、前述の通り透過率変化に対して測定面積が大きすぎると透過率変化が平均化されてすぎてしまい、小さすぎると印刷の微小なムラや網点印刷のスクリーン幅の影響を受け、測定に支障を及ぼす可能性があるため、印刷パターンに合わせて設定するのが望ましい。網点印刷したシートを透過濃度計で測定する場合、アパーチャーの面積は網点スクリーン幅の5〜20倍程度が好ましく、より好ましい範囲としては10〜15倍が例示できる。また、測定間隔は、大きすぎたり小さすぎたりすると、前記測定面積と同様の理由により測定に支障を及ぼす可能性があるため、印刷パターンに併せて設定するのが好ましい。例えば、0.5〜5mmの測定間隔とすることができる。
【0021】
図3は、前記座標Xを横軸とし、透過率を縦軸とした輝度均斉化シート10の透過率曲線の一例である。
図2のように、均斉化前の輝度曲線が極大値と極小値を繰り返すパターンとなるので、透過率曲線は逆に極小値と極大値を繰り返すパターンとなり、さらに中央部の輝度を高くするために、最小二乗法で二次関数に近似した際、略中央部に極大値を持つような、輝度均斉化シートが好ましい。ただし、最小二乗法で二次関数に近似する際、透過率曲線の両端部を除いた、約80%に当たる中央部分を用いて近似するのが好ましい。これは、多くのバックライトユニットがその構造状の理由、例えば壁面に光が当たって反射する、あるいは最端部の光源は隣接光源が1本しかなく相対的に明るさが低くなることから、両端部分は極端に輝度が変化し再現性に乏しいためである。
透過率曲線上で透過率が極小値をとるのは、各線状光源Lの略直上位置である。すなわち、座標Xと、ほぼ等しい位置で極小値をとる。また、透過率が極大値をとるのは、隣接する線状光源Ln−1、Lの略中間上位置である。
【0022】
透過率曲線を最小二乗法で二次関数に近似した際に、得られる曲線は上に凸の形状となり、その極大値の座標が、X(n/2)とX(n/2+1)の範囲にあることが好ましい。但し、線状光源の本数が奇数の場合は、X(n/2−1/2)とX(n/2+1/2)の範囲にあることが好ましい。
これにより、均斉化後の輝度曲線は周縁部と比較して相対的に中央部の輝度を高くすることができ、良好な視覚効果を得ることができる。
【0023】
線状光源Lからの光は、輝度均斉化シート10に入射すると透過率の低い領域ほど反射されやすく、反射後、さらに反射板24で反射され、再度輝度均斉化シート10に入射する。その結果、当初透過率の低い領域に入射した光が、透過率の高い領域に回り込む現象が生じ、輝度の均斉化が達成できる。
さらに中央部の輝度を高くするために、最小二乗法で二次関数に近似した際、略中央部に極大値を持つような透過率曲線を用いることで、均斉化後の輝度曲線が周縁部と比較して相対的に中央部の輝度を高くすることが可能となる。
【0024】
[透過率の調整方法(階調印刷)]
パターン状の透過率は、透光性基材に白色インキを所望の階調値設定で、パターン印刷することによって得られる。例えば、透過率が最も高くなる印刷しない部分の階調値を0%に、印刷により透過率が最も低くなる部分の階調値を100%に割り当てることができる。
階調値の制御方法としては、網点印刷により網点面積率を変えたり、印刷回数やインキ量を変えることで白色インキ部の厚さを変化させたり、透過率の異なる白色インキを組み合わせて印刷するなどの方法が挙げられる。また、それらを組み合わせて調整してもよい。
【0025】
網点印刷により網点面積率を変える場合、網点の大きさを変えて階調を調整するAM網点方式や、網点の個数を変えて階調を調整するFM網点方式、両者の長所を生かしたハイブリッド方式(例えば、大日本スクリーン製造株式会社製:Fairdot、RandotX、クレオジャパン株式会社製:Staccto)など各種スクリーン方式の網点印刷が採用できる。
AMスクリーン印刷の場合、印刷方式によっても異なるが、スクリーン線数は40〜400線程度が好ましく、より好ましくは60〜200線である。スクリーン線数が低すぎると網点に起因するムラが輝度均一化の妨げとなる可能性があり、逆にスクリーン線数が高すぎると印刷管理が難しくなる。また、網点の形状としては、スクエア、ラウンド、エリプティカル、チェーン、ライン、クロスライン、トライアングル、ハニカムなど、公知の網点形状が例示できる。
【0026】
[階調値曲線]
輝度均斉化シート10は、線状光源Lから到達する光を均斉化して出射できるように階調値が調整された印刷パターンで白インキが印刷されている。
図4は、前記座標Xを横軸とし、階調値を縦軸とした輝度均斉化シート10の階調値曲線の一例である。階調値と透過率とは負の相関関係があるので、階調値曲線は、透過率曲線を上下反転させたパターンとなる。
したがって、階調値曲線上で階調値が極大値をとるのは、各線状光源Lの略直上位置である。すなわち、座標Xと、ほぼ等しい位置で極大値をとる。また、階調値が極小値をとるのは、隣接する線状光源Ln−1、L同士の略中間上位置である。
【0027】
階調値曲線を最小二乗法で二次関数に近似した際に、得られる曲線は下に凸の形状となることが好ましい。ただし、最小二乗法で二次関数に近似する際、階調値曲線の両端部を除いた、約80%に当たる中央部分を用いて近似するのが好ましい。これは、多くのバックライトユニットがその構造状の理由、例えば壁面に光が当たって反射する、あるいは最端部の光源は隣接光源が1本しかなく相対的に明るさが低くなることから、両端部分は極端に輝度が変化し再現性に乏しいためである。
また、その極小値の座標が、X(n/2)とX(n/2+1)の範囲にあることが好ましい。但し、線状光源の本数が奇数の場合は、X(n/2−1/2)とX(n/2+1/2)の範囲にあることが好ましい。
これにより、均斉化後の輝度曲線は周縁部と比較して相対的に中央部の輝度を高くすることができ、良好な視覚効果を得ることができる。
【0028】
[階調値曲線の求め方]
本発明における階調値の具体的パターンは、例えば以下の手順で求めることができる。
(a)面発光ユニット20のみを用いて、横軸を線状光源Lの長手方向に対して垂直方向に沿った座標Xにおける複数位置にて、均斉化前の輝度を測定し、横軸を前記位置、縦軸を均斉化前の輝度とする均斉化前の輝度曲線を得る。
(b)均斉化前の輝度曲線を最小二乗法により二次関数に近似して、基準曲線を得る。
(c)前記位置毎の均斉化前の輝度と基準曲線上の基準輝度との差から輝度差を求め、横軸を前記位置、輝度差を縦軸とする輝度差曲線を得る。
(d)前記位置毎の暫定階調値(0〜100%)を下記式(1)に基づき設定する。初めはa=0で暫定階調値を設定し、以下の手順を繰り返し行い、Kに適当な値を代入する。そして、前記位置毎の階調値を暫定階調値として得られた輝度均斉化シート10を面発光ユニット20に上に配置して、前記位置毎に暫定輝度を測定し、横軸を座標Xにおける位置、縦軸を暫定輝度とする暫定輝度曲線を得る。
暫定階調値=a×(X−Xn/2+中心階調値
+K×{(輝度差)/(輝度差の最大絶対値)}
(但し、中心階調値は20〜80%、Kは3〜50%である。)
・・・・・式(1)
(e)先の暫定輝度曲線が、均斉化前の輝度曲線と同じ位相で極大値と極小値を有する場合はKを大きくし、均斉化前の輝度曲線と位相が反転している場合はKを小さくして、式(1)に基づき新たな暫定階調値を設定する。そして、前記位置毎の階調値を新たな暫定階調値とした輝度均斉化シート10を面発光ユニット20に上に配置して、前記位置毎に新たな暫定輝度を測定し、横軸を座標Xにおける位置、縦軸を新たな暫定輝度とする新たな暫定輝度曲線を得る。
(f)(e)を繰り返して、充分に均斉化した暫定輝度曲線が得られる。
(g)次に、aに適当な数値を入れて、中央部が下に凸の形状となる暫定輝度曲線を設定する。得られた輝度均斉化シート10を面発光ユニット20の上に配置して、目視にて評価を行う。中央部が暗いと感じるようであればaの値を大きくし、逆に周縁部が暗く感じるようであればaの値を小さくして新たな暫定輝度曲線を得る。
(h)(g)を繰り返して、充分に均斉化し、かつ中央部と周縁部で視覚的に違和感のない暫定輝度曲線が得られたときの暫定階調値を最終的な階調値とする。
【0029】
最終的な階調値は、前記位置毎に求めることが好ましい。すなわち、前記位置毎に適切なK、aの値を設定することが好ましい。
【0030】
aは、面光源装置のサイズや各線状光源の中心から拡散板23裏面までの距離などにより適当な範囲は異なるが、aが低すぎると、周縁部を明るく、中央部を暗く感じてしまうため、良好な視覚効果が得られない。逆に、aが大きすぎると、周縁部を暗く、中央部を明るく感じてしまうため、やはり良好な視覚効果を得られない。
【0031】
前記複数位置を、線状光源Lの長手方向にずらして(a)〜(f)の作業を別の複数箇所で繰り返せば、各線状光源Lの長手方向に沿った輝度のバラツキを均斉化しやすい。
さらに、より汎用的な輝度均斉化シート10とするためには、同一規格の複数の面発光ユニット20の各々に適した階調値のパターンを求め、これらを平均化した階調値のパターンとすることが好ましい。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
[面発光ユニット]
縦方向の断面が図1と同等で、表示面の大きさが縦574mm、横1024mmの面発光ユニット20Aを用意した。面発光ユニット(20A)の光拡散板23としては、透明樹脂(ポリメチルメタクリレート)に、粒度分布計(島津製作所製 SALD−2200)にて測定した平均二次粒子径1〜2μmのシリカ粒子を光散乱性微粒子として均一に分散させ、これを押出成形した厚さ2mmのシート(全光線透過率61.3%)を用いた。
線状光源Lは、直径4mm、長さ1042mmの22本を、長手方向を表示面の横方向に平行にして図1と同等に配列した。各線状光源Lの間隔dは25mmである。また、各線状光源Lの中心から拡散板23裏面までの距離は何れも3mm、各線状光源Lの中心から反射板24までの距離は何れも2.5mmである。
【0033】
[均斉化前の輝度曲線]
面発光ユニット(20A)のみの輝度、すなわち、均斉化前の輝度を測定した。具体的には、輝度計(トプコンテクノハウス社製、製品名「UA−1000」)を、面発光ユニット(20A)の、表示面左端から340mm、かつ縦方向(図1の左右方向)中央における上方1000mmの位置に配置した。そして、表示面左端から340mmの線上における位置0mm〜574mmの範囲の輝度を0.6mm間隔で測定した。
なお、座標X上の位置0mmは、図1左側の線状光源Lの左側22.5mmの位置である。また、位置574mmは、図1右側の線状光源L22の右側22.5mmの位置である。
図5に、測定した均斉化前の輝度から求めた均斉化前の輝度曲線と、基準曲線(均斉化前の輝度曲線を、最小二乗法により二次関数に近似した二次近似曲線)を示した。
図5に示すように、均斉化前の輝度曲線は極大点と極小点を繰り返すパターンであり、周縁近傍部のみ輝度が低くなっていた。
【0034】
[輝度差曲線]
図6は、図5における均斉化前の輝度と基準曲線上の基準輝度との差から輝度差を求め、横軸を位置、輝度差を縦軸とした輝度差曲線である。図6に示すように、輝度差の最大絶対値は758cd/mであった。
【0035】
[輝度均斉化シート]
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート性フィルム(東洋紡製、コスモシャインA4300)に、白色インキ(東洋インキ社製FDO、ニュー青口T白HF1)を用い、下記式(2)で設定した暫定階調値でオフセット印刷し、輝度均斉化シートを得た。網点の形状はスクエアドットとし、網点面積率をAM階調により変化させて、階調値を調整した。
暫定階調値=a×(X−Xn/2+中心階調値
+K’×(輝度差)・・・・・式(2)
中心階調値は20%とした。
K’は、前記式(1)におけるKと以下の関係にある。
K’=K/(輝度差の最大絶対値) [単位:%/(cd/m)]
a=0.0004、K’=0.01で得られた階調値曲線を基に輝度均斉化シートを印刷した。
得られた輝度均斉化シートを面発光ユニット(20A)の上に配置して、均斉化前の輝度と同様にして輝度を測定したところ、均斉化前の輝度曲線にみられた極大値と極小値を繰り返すようなパターンはみられなかった。
また輝度均斉化シートの透過率曲線を測定し、最小二乗法で二次関数に近似すると、略中央部に極大値を有するような、上に凸な形状の二次曲線であった。
なお、透過率は、JIS K7361−1準拠の測定装置(村上色彩技術研究所製、ヘーズメーターHM−150型)を用いて、当該JISで定義される全光線透過率を測定した。
さらに目視にて評価したところ、全体的に十分に均斉化されており、かつ、周辺部と中央部の明るさのバランスも良好であった。
【0036】
(実施例2)
式(2)について、a=0.0007、K’=0.01とした以外は、実施例1と同様にして印刷、評価を行った。
得られた輝度曲線には、均斉化前の輝度曲線にみられた極大値と極小値を繰り返すようなパターンはみられず、透過率曲線を最小二乗法で二次関数に近似すると、略中央部に極大値を有するような、上に凸な形状の二次曲線であった。
さらに目視にて評価したところ、全体的に十分に均斉化されており、かつ、周辺部と中央部の明るさのバランスも良好であった。
【0037】
(比較例1)
式(2)について、a=0、K’=0.005とした以外は、実施例1と同様にして印刷、評価を行った。
得られた輝度曲線には、全位置において均斉化前の輝度曲線と同じ位相で極大値と極小値が残っていた。
さらに目視にて評価したところ、輝度測定の結果と同様に均斉化の程度が不足しており、また明るさのバランスも良くなかった。
【0038】
(比較例2)
式(2)について、a=0、K’=0.01とした以外は、実施例1と同様にして印刷、評価を行った。
得られた輝度曲線には、均斉化前の輝度曲線にみられた極大値と極小値を繰り返すようなパターンはみられず、透過率曲線を最小二乗法で二次関数に近似すると、略一定な、直線的な形状であった。
さらに目視にて評価したところ、全体的に十分に均斉化されていたが、中央部よりも周辺部の方が明るさを強く感じバランスが良くなかった。
【0039】
(比較例3)
式(2)について、a=0、K’=0.02とした以外は、実施例1と同様にして印刷、評価を行った。
得られた輝度曲線には、全位置において均斉化前の輝度曲線と位相が反転していた。
さらに目視にて評価したところ、輝度測定の結果と同様に均斉化の程度が過剰となっており、また明るさのバランスも良くなかった。
【0040】
(比較例4)
式(2)について、a=0.0010、K’=0.01とした以外は、実施例1と同様にして印刷、評価を行った。
得られた輝度曲線には、均斉化前の輝度曲線にみられた極大値と極小値を繰り返すようなパターンはみられず、透過率曲線を最小二乗法で二次関数に近似すると、略一定な、直線的な形状であった。
さらに目視にて評価したところ、全体的に十分に均斉化されていたが、周辺部よりも中央部の方が明るさを強く感じバランスが良くなかった。
【0041】
(比較例5)
暫定階調値を、下記式(3)で設定した比較階調値に変更した他は、実施例1と同様にして印刷、評価を行った。
比較階調値=c(F−Fmin)/(Fmax−Fmin)+ρ・・・・式(3)
但し、Fは面発光ユニット(20A)の均斉化前の輝度、Fminは前記均斉化前の輝度の最小値、Fmaxは前記均斉化前の輝度の最大値である。図5に示すように、Fminは5093cd/m、Fmaxは6812cd/mであった。
c=19、ρ=10で得られた比較階調値曲線は、比較例2で算出した階調値曲線とほぼ同様のパターンであった。
得られた輝度曲線には、均斉化前の輝度曲線にみられた極大値と極小値を繰り返すようなパターンはみられず、透過率曲線を最小二乗法で二次関数に近似すると、略一定な、直線的な形状であった。
さらに目視にて評価したところ、全体的に十分に均斉化されていたが、中央部よりも周辺部の方が明るさを強く感じバランスが良くなかった。
【0042】
実施例および比較例の均斉化後の輝度曲線の形状と輝度均斉化の度合い、及び、中央部と周辺部の明るさのバランスの目視評価結果を表1にまとめた。
【0043】
【表1】

【0044】
[階調値と透過率との関係の確認]
全面を均一な階調値(0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%)とした他は、輝度均斉化シート(10A)〜(10F)と同様にして調整した標準シートを用いて、階調値と透過率との関係を調べた。
透過率は、JIS K7361−1準拠の測定装置(村上色彩技術研究所製、ヘーズメーターHM−150型)を用いて、当該JISで定義される全光線透過率を測定した。各標準シートの階調値と透過率を図7に示す。図7に示すように、両者は非常に良好な負の相関関係を有していることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の面発光装置及び本発明の輝度均斉化シートを用いて得られる面発光装置は、液晶装置等に用いられるバックライト装置、照明装置、広告表示器等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の1実施形態に係る面光源装置の断面図である。
【図2】本発明における均斉化前の輝度曲線の一例ある。
【図3】本発明における透過率曲線の一例である。
【図4】本発明における階調値曲線の一例である。
【図5】実施例で得られた均斉化前の輝度曲線と基準線である。
【図6】実施例で得られた均斉化前の輝度曲線の振幅と輝度振幅曲線である。
【図7】階調値と透過率との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 面光源装置
10 輝度均斉化シート
20 面発光ユニット
21 ハウジング
光源、d 光源間の距離
23 光拡散板
24 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面発光部と面発光部の光出射側に配置された輝度均斉化シートとを備え、
前記面発光部は略一定の間隔で同一平面に平行に配列された複数の線状光源と、
該線状光源の光出射側に配置された光拡散板と、
該線状光源の光出射側と反対の側に配置された反射板とを有し、
前記輝度均斉化シートは透光性基材と、該透光性基材に所定の透過率で設けられた白色インキの網点を有し、
前記所定の透過率は、各線状光源の略直上位置で極小値、隣接する各線状光源同士の略中間位置で極大値をとるパターン状とされ、
前記透過率の極大値は、最小二乗法で二次関数に近似した際、略中央部に極大値を有することを特徴とする面光源装置。
【請求項2】
前記複数の線状光源から光拡散板までの距離が、略均等とされている請求項1に記載の面光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−102135(P2010−102135A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273708(P2008−273708)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】