説明

面発光表示装置

【課題】出射効率の高い、表示面に明るさのむらのない、視認性の高い、LED光源の使用数を最小限に押さえた面発光表示装置を得ることを目的とする。
【解決手段】LED光源1と、このLED光源1の光が入射する入射面4a及び入射された光が出射する出射面4bを有する導光板4と、この導光板4の入射面4aと出射面4b以外の少なくとも1つ以上の面を覆うように設けられた反射部材5と、導光板4の出射面4bの前面に設けられ、出射面4bの出射光を全領域で透過させ、任意のパターンを表示する表示板7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED光源を使用した面発光表示装置及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図20は例えば特開平8−160892号公報に示された従来の面発光表示装置の構成図であり、同図(a)は同装置の部分平面図、同図(b)は同装置の部分断面図であり片面に表示するものである。また、図21は同装置における光の伝搬状態を表した図である。
【0003】
図において1はLED光源、14はアクリル樹脂等の透光性の高い材料で構成された導光板、9は導光板14の端部に嵌入されたLED固定ホルダ、10は導光板14の面上に貼付されたパターンフィルタ、11は発光層、12は導光板14の周囲面に設けられたフレームである。
【0004】
発光層11は、図20(a)に示すように導光板面のほぼ中央部に設定されているパターン表示領域Xに設けられたドッドパターンからなるものであり、各ドット部11aは光を散乱反射する塗料からなりドット部11aに当たった光はここで散乱反射されて導光板14内へと戻され、一部の光は表面に対して小さい入射角で進入して外部へと放射されてゆく。
発光層11のドットパターンは、発光層11面上における全体的な光量がほぼ一定となるように、LED光源1の近傍程小さく、LED光源1から離れる程大きくなるように構成されている。
【0005】
13はLED光源1を実装するためのLED基板であり、LED光源1は導光板14の一辺に沿って複数個並べられる。LED固定ホルダ9およびLED基板13の内面側9a、13aには白色塗装金属メッキ等が施されている。
パターンフィルタ10は透明な板材やフィルム状部材等からなり、表面に文字、デザイン等のパターンが描かれており、文字、デザイン部が光を透過するように構成され、文字、デザイン部の周囲部分が光を反射するように構成されている。
【0006】
なお、導光板14の面上においては、図20(a)に示すように、中央部にパターン表示領域Xが設定されており、ここに発光層11が設けられてそれ以外の周囲部Yは光を鏡面反射するように構成されている。
【0007】
以上のように構成された面発光表示装置においてLED光源1を点灯させたときの光の動作を図21により説明する。LED光源1の光はLED光源固定ホルダ9内で反射されて導光板14方向へと伝搬されてゆく。光は、導光板14においては表裏の壁面間を鏡面反射されながら進んでゆくが、発光層11のドット部11aに当たると散乱反射されてパターンフィルタ10から外部へと放射される。このパターンフィルタ10の放射部において、パターンが文字、デザイン部(光透過領域)であると光はそのまま外部へと放射されるが、文字、デザイン部の周囲部分(光反射領域)であると光はこの周囲部分に反射されて戻ってゆく。このように面発光表示装置の表面にはパターンフィルタ10の文字、デザインのパターンが浮かび上がるが、そのとき、発光層11のドットパターンがLED光源1の近傍程光反射率が高くなるように構成されているために、浮かび上がる文字、デザインは全体がほぼ同じ明るさになるものである。
【0008】
【特許文献1】特開平8−160892号公報(段落0015〜0022、図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の面発光表示装置は、導光板14を覆う反射板がないため、発光層11のドット部11aで反射した光のうち、表面のパターンフィルタ10の文字、デザイン部に向かう光は表面に出射できるが、パターンフィルタ10の文字、デザイン部の周囲部分の反射領域に向かう光は、その反射領域で反射して反射率による光ロスが発生する。また、その反射領域で反射した光のうち、ドット部11a以外へ向かい、背面に出射される光もあるため、光の利用効率が低いという問題があった。
【0010】
また、発光層11が導光板14の全面に設けてあったとしても、LED光源1の発光中心方向と発光層11が平行であるので、発光層11で散乱反射して出射面に出射する光の量に限度があり光の明るさにむらが生じ易いという問題があった。
また、パターンフィルタ10に反射部分があるため表示板に光っている部分と光ってない部分があり全体として見にくく、表示自体の視認性が不十分であるという問題があった。
また、表示面を明るくするためには、コストの高い高出力LED光源1を多く使用しなければならなかった。
また、工作上加工や組立の公差があるため導光板14に個々のLED光源1の全てを接触させることができず、入射効率が低いという問題があった。
また、LED光源1を使用したものと蛍光ランプを使用した面発光表示装置が混在すると、色の統一感を乱すという問題があった。
また、斜めからでも適度の輝度を確保しつつ、正面輝度を向上させることが容易でなかった。
また、面発光表示装置の組立は、ケースに、反射部材、導光板等を装着後、表示板をケースに接着していたので、接着剤が導光板等に付着する場合があるため、組立完了直前になって不具合が発見されるという問題があった。
【0011】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、LED光源からの光の導光板への入射効率および導光板からの出射効率の高い、表示面が明るい、明るさのむらのない、視認性の高い、また、他の光源との色の統一がとれ、正面輝度を向上させることができ、LED光源の使用数を最小限に押さえることができ、さらに、工作性がよい面発光表示装置及びその組立方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係わる面発光表示装置は、LED光源と、このLED光源の光が入射する入射面及び入射された光が伝搬されて出射する出射面を有する導光板と、この導光板の前記入射面と前記出射面以外の少なくとも1つ以上の面を覆うように設けられた反射部材と、前記導光板の前記出射面の前面に設けられ、前記出射面の出射光を全領域で透過させ、任意のパターンを表示する表示板と、を備える。
【0013】
また、導光板は入射面から入射面の対向面への導光方向に厚さが薄くなるくさび形状である。
【0014】
また、導光板の出射面または出射面の対向面のうち少なくとも一方には散乱面を設け、この散乱面は微細な粗面である。
【0015】
また、導光板は、出射面または出射面の対向面の少なくとも一方に設けられ、入射面から離れるほど表面の微細な凸凹が次第に深くなるパターンを有した粗面と、入射面側に設けられ光を散乱させない平滑面と、を備える。
【0016】
また、LED光源を白色LED光源とし、表示板は、前記白色LED光源からの光の青色成分を減衰させる領域をもつようにしたものである。
【0017】
また、LED光源と導光板の入射面との間に、あらかじめ定められた色成分の光強度を減衰させる色調整フィルターを備える。
【0018】
また、色調整フィルターは、導光板の出射面と表示板との間に設けられたものである。
【0019】
また、LED光源を囲み前記LED光源からの光を特定の方向に導くリフレクタを備え、前記リフレクタの表面が散乱反射面であるものである。
【0020】
また、導光板と表示板との間に前記導光板からの光を集光して出射させる集光シートを少なくとも1枚備える。
【0021】
また、LED光源の光出射部分と導光板入射面とを接触させたものである。
【0022】
また、LED光源の光出射部分を導光板入射面に接触させる手段を備える。
【0023】
また、LED光源の光出射部分と導光板入射面とを接触させる手段は、LED基板を保持するLED基板ホルダー内に一端が一体に形成され、他端が前記LED基板を前記導光板入射面方向に付勢する板ばねである。
【0024】
また、表示板の透過率の異なる領域に対応して光出力の異なるLED光源を配設したものである。
【0025】
また、透過率の高い領域には光出力が高いLED光源を配設したものである。
【0026】
また、透過率の高い領域には光出力が低いLED光源を配設したものである。
【0027】
また、表裏が開口した枠状のケースと、このケースの裏側に導光板を保持する裏板と、を備える。
【0028】
また、LED光源からの光を特定の方向に導くリフレクタの背面側を導光板を保持するように延設し、前記リフレクタと裏板を一体としたものである。
【0029】
また、面発光表示装置の組立方法は、請求項16記載の面発光表示装置の組立方法において、表示板を前記ケースの表側に固着した後に、導光板及び反射部材を前記ケース内に装着し、次に、前記裏板を前記ケースの裏側に固定したものである。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、LED光源と、このLED光源の光が入射する入射面及び入射された光が伝搬されて出射する出射面を有する導光板と、
この導光板の前記入射面と前記出射面以外の少なくとも1つ以上の面を覆うように設けられた反射部材と、前記導光板の前記出射面の前面に設けられ、前記出射面の出射光を全領域で透過させ、任意のパターンを表示する表示板と、を備えたので、出射効率が高い、表示面に明るさのむらがなく、また、視認性を高くすることができる。
【0031】
また、導光板は入射面から入射面の対向面への導光方向に厚さが薄くなるくさび形状なので、より出射効率を高くすることができる。
【0032】
また、導光板の出射面または出射面の対向面のうち少なくとも一方には散乱面を設け、この散乱面は微細な粗面としたので、透過率と反射率を高くすることができる。
【0033】
また、導光板は、出射面または出射面の対向面の少なくとも一方に設けられ、入射面から離れるほど表面の微細な凸凹が次第に深くなるパターンを有した粗面と、入射面側に設けられ光を散乱させない平滑面と、を備えたので、出射光の輝度を均一にすることができる。
【0034】
また、LED光源を白色LED光源とし、表示板は、前記白色LED光源からの光の青色成分を減衰させる領域をもつようにしたので、緑の領域Bが青緑色になることを防ぐことができ、白色LED光源を搭載した面発光表示装置と蛍光ランプ光源を搭載した面発光表示装置が混在しても色の統一感を乱さないようにすることができる。
【0035】
また、LED光源と導光板の入射面との間に、あらかじめ定められた色成分の光強度を減衰させる色調整フィルターを備えたので、緑の領域Bが青緑色になることを防ぐことができ、白色LED光源を搭載した面発光表示装置と蛍光ランプ光源を搭載した面発光表示装置が混在しても色の統一感を乱さないようにすることができる。
【0036】
また、色調整フィルターは、導光板の出射面と表示板との間に設けたので、緑の領域Bが青緑色になることを防ぐことができ、白色LED光源を搭載した面発光表示装置と蛍光ランプ光源を搭載した面発光表示装置が混在しても色の統一感を乱さないようにすることができる。
【0037】
また、LED光源を囲み前記LED光源からの光を特定方向に導くリフレクタを備え、前記リフレクタの表面が散乱反射面としたので、表示板の表示面の明るさを向上させることができる。
【0038】
また、導光板と表示板との間に前記導光板からの光を集光して出射させる集光シートを少なくとも1枚備えたので、斜めからでも適度の輝度を確保しつつ、正面輝度を向上させることができる。
【0039】
また、LED光源の光出射部分と導光板入射面とを接触させたので、LED光源から導光板への入射効率を向上させることができ、また、製造上のばらつきによる入射効率のばらつきを防ぐことができる。
【0040】
また、LED光源の光出射部分を導光板入射面に接触させる手段を備えたので、LED光源から導光板への入射効率を向上させることができ、また、製造上のばらつきによる入射効率のばらつきを防ぐことができる。
【0041】
また、LED光源の光出射部分と導光板入射面とを接触させる手段は、LED基板を保持するLED基板ホルダー内に一端が一体に形成され、他端が前記LED基板を前記導光板入射面方向に付勢する板ばねであるので、LED光源から導光板への入射効率を向上させることができ、また、製造上のばらつきによる入射効率のばらつきを防ぐことができる。
【0042】
また、表示板の透過率の異なる領域に対応して光出力の異なるLED光源を配設したので、コストの高い高出力LED光源の使用数を最小限に押さえて、全体として十分均一な明るさを得ることができ、見やすくすることができる。
【0043】
また、透過率の高い領域には光出力が高いLED光源を配設したので、コストの高い高出力LED光源の使用数を最小限に押さえて、十分な明るさを得ることができ、目立つようにすることができる。
【0044】
また、透過率の高い領域には光出力が低いLED光源を配設したので、コストの高い高出力LED光源の使用数を最小限に押さえて、十分な均一性得ることができ見やすくすることができる。
【0045】
また、表裏が開口した枠状のケースと、このケースの裏側に導光板を保持する裏板と、を備えたので、組立を容易にすることができる。
【0046】
また、LED光源からの光を特定の方向に導くリフレクタの背面側を導光板を保持するように延設し、前記リフレクタと裏板を一体としたので、部品点数をへらすことができ、また、組立を容易にすることができる。
【0047】
また、請求項16記載の面発光表示装置の組立方法において、表示板を前記ケースの表側に固着した後に、導光板及び反射部材を前記ケース内に装着し、次に、前記裏板を前記ケースの裏側に固定したので、組立を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
実施の形態1.
図1は実施の形態1を示す面発光表示装置の断面図、図2は図1の部分拡大図、図3は同装置要部の光の伝搬状態を示した図である。図1において1はLED光源であり、形状は砲弾型またはチップ型等があり、発光色は白、青、緑、赤等の任意の色が用いられる。2はLED光源1が実装されているLED基板、3はLED光源1を囲ってLED光源1からの光を特定方向に導く反射部材であるリフレクタであり、リフレクタ3の表面は白色PET樹脂又は高反射ポリカーボネイト樹脂等の散乱反射面である。
【0049】
4はアクリル樹脂等の透光性の高い材料が用いられ、LED光源1からの光が入射面4aから入射し面に沿って伝搬されて出射面4bから面光源として出射させる導光板であり、出射面4bは矩形形状でありその一方側の側面が入射面4aである。そして、この入射面4aから入射面4aの対向面4cへの導光方向に厚さが薄くなり、出射面4bに対向した背面4dが傾斜したくさび型形状である。
【0050】
5は出射面4bに対向する背面4dに設けられ、LED光源1からの光を散乱させる凹凸の面である散乱面、6は入射面4a及び出射面4b以外の少なくとも1つ以上の面を覆う白色PETシート等からなる反射部材であり、本実施の形態では背面4dと入射面4aの対向面4c以外の面は覆っていない。7は導光板4の出射面4bの前面に設けられ、出射面4bの出射光を全領域で透過させ、任意のパターンを表示する表示板、8はケースである。なお、図1では散乱面5は出射面4bに対向する背面4dに設けているが、出射面4bと出射面4bに対向する背面4dの両方に設けても、出射面4bに設けてもよいが、出射面4bまたは背面4dのうち少なくとも一方には散乱面を設け、この散乱面は微細な粗面にする。
【0051】
次に実施の形態の動作について図1〜図3により説明する。図3(a)は従来の平板導光板の場合、図3(b)はこの発明のくさび型導光板の場合を示している。図1に示すようにLED光源1からの光は、リフレクタ3で反射された光も含めて導光板4の入射面4aから導光板4内に入射し、入射した光は出射面4bと散乱面5または反射部材6の間を散乱反射しながら進んでいく。
【0052】
光r1においては、出射面4bで全反射し、次に散乱面5または反射部材6で散乱反射し、出射面4bに全反射の臨界角より小さな角度で入射した光が出射面4bから出射し、表示板7を透過して表示するものを浮かびあがらせる。このとき、散乱反射した光の一部は再び出射面4bで全反射され、再び散乱面5または反射部材6で散乱反射される。このように出射面4bと散乱面5または反射部材6での散乱反射を繰り返しながら、出射面4bから出射した光が順次表示板を照らしていき表示する。また、光r2は最初、散乱面5または反射部材6で散乱反射し、出射面4bから出射し、表示板7を透過し、表示するものを浮かびあがらせる。このとき、散乱反射した光の一部は再び出射面4bで反射され、光r1と同様に出射面4bの反射と散乱面5または反射部材6での散乱反射を繰り返しながら、出射面4bから出射した光が順次表示板を照らしていき表示する。
【0053】
散乱面5または反射部材6での散乱反射の状態は図2に示すように、光r2が散乱面に入射すると、散乱面5で散乱反射される光r3、散乱面5で散乱透過し導光板4から反射部材6に向かって出る光r4、反射部材6で散乱反射し再び導光板4に戻る光r5等がある。また、この他、散乱面5で散乱反射した光は導光板4を導光する光もあればそのまま出射面4b方向に出射する光もある。
背面4dまたは出射面4bのうち少なくとも一方には散乱面を設け、この散乱面は微細な粗面にするが、この粗面はブラスト加工を施した成形型表面の転写面として形成され、透過率及び反射率を高くすることができる。散乱面の形成は印刷で行う場合もあるが、印刷の場合は反射のロスが大きく、また、印刷パターンを微細にするには限界があるが成形型表面の転写で散乱面を形成する場合は反射のロスが少なく、また、微細な粗面にすることができ、ドットが目立たなく、印刷工程を省くことができる。
【0054】
また、リフレクタ3の表面を白色PET樹脂又は高反射ポリカーボネイト樹脂等の散乱反射面としたので、表示板7の表面の明るさ(輝度)が高反射アルミの場合に比べて約5%アップした。
【0055】
次に、図3により従来の平板導光板とこの発明のくさび型導光板との光の伝搬状態を比較して説明する。図3(b)のくさび型導光板の場合は出射面4bに対向する背面4dが傾斜しているので背面4dの反射角が図3(a)の従来の平板導光板より小さくなり、導光板内で反射する回数が多い。したがって、この発明のようにくさび型導光板では導光板4中で全反射する回数が多く、導光するうちに出射面4bに入射する光の入射角が小さくなり、散乱反射した光が出射面4bから出射して、出射面4bから出射する光が多くなり、出射効率が高い。したがって、表示板は全体で明るくむらがなく表示される。
【0056】
以上のように、LED光源1の光を入射し、入射された光を出射する導光板4と、この導光板4の入射面4aと出射面4b以外の少なくとも1つ以上の面に反射部材6を設けたので、表示面に明るさのむらのなく、視認性の高く、消費電力を低くすることができる。
また、導光板4を入射面4aから入射面4aの対向面への導光方向に厚さが薄くなるくさび形状にしたので、出射効率を高くすることができる。
また、導光板4の出射面4aまたは出射面4aの対向面のうち少なくとも一方には散乱面を設け、この散乱面は微細な粗面としたので、透過率と反射率を高くすることができ、ドットが目立たなく、また、印刷工程を省くことができる。
また、リフレクタ3の表面を白色PET樹脂又は高反射ポリカーボネイト樹脂等の散乱反射面としたので、表示板7の表面の明るさを向上させることができる。
【0057】
実施の形態2.
本実施の形態は実施の形態1で示した面発光表示装置を使用した誘導灯を示すものであり、図4、図5は実施の形態2を示す誘導灯の部分破断平面図である。
図において実施の形態1を示す図1と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。1aは明るい出力の高いLED光源、1bは暗い低出力LED光源、Aは表示板7の透過率の高い白色の領域であり、Bは透過率の低い緑の領域である。
【0058】
そして、表示板7の透過率の高い白色の領域Aに高出力LED光源1aを、透過率の低い緑色の領域Bに低出力LED光源1bを、各々配設している。従って、透過率の高い領域Aはより明るくなり、表示面全体としての明るさが増す。
【0059】
以上のように、コストの高い高出力LED光源1aの使用数を最小限に押さえて、十分な明るさを得ることができ、目立つようにすることができる。
【0060】
実施の形態3.
実施の形態2では、表示板の透過率の高い白色の領域に出力の高い明るいLED光源を、透過率の低い緑色の領域B出力の低い暗いLED光源を、各々配設したが、本実施の形態は、逆に、表示板の透過率の高い白色の領域に低出力LED光源を、透過率の低い緑色の領域に高出力LED光源を、各々配設したものである。
図6は実施の形態3を示す誘導灯の部分破断平面図であり、図において実施の形態2を示す図3と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0061】
図6に示すように表示板7の透過率の高い白色の領域Aに低出力LED光源1bを、透過率の低い緑色の領域Bに高出力LED光源1bを、各々配設している。従って、透過率の高い領域Aと透過率の低い緑色の領域Bの明るさが均一となる。
【0062】
以上のように、コストの高い高出力LED光源1aの使用数を最小限に押さえて、十分な均一性得ることができ見やすくすることができる。
【0063】
実施の形態4.
本実施の形態は実施の形態2、3を兼ね備えたものであり、図7は実施の形態4を示す誘導灯の部分破断平面図である。
図において実施の形態2を示す図1と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0064】
図において、図の左半分の表示板7aでは、実施の形態2と同様に文字や矢印の部分の透過率の高い領域Aに明るい高出力LED光源1aを、文字でない背景の透過率の低い領域Bに暗い低出力LED光源を、各々配設し、図の右半分の表示板7bでは、実施の形態3と同様に文字や矢印でない背景の透過率の高い領域Aに低出力LED光源を、文字や矢印部分の透過率の低い領域Bに高出力LED光源を、各々配設している。
従って、表示が全体として均一で明るくなる。
なお、図において、文字の部分に高出力LED光源1aを2個使用しているが、文字の数、大きさに応じた高出力LED光源1aの個数とする。
【0065】
以上のように、コストの高い高出力LED光源1aの使用数を最小限に押さえて、全体として十分均一な明るさを得ることができ、見やすくすることができる。また、表示内容に応じてきめ細かく出力の異なるLED光源1a、1bを使い分け見やすくすることができる。
【0066】
実施の形態5.
図8は実施の形態5を示す面発光表示装置の断面図と平面図、図9は入射面側からの距離による粗面の凸凹深さ変化と出射面の輝度の関係図である。
図8において実施の形態1を示す図1、図2と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。21は導光板4の出射面4bの対向面である背面4dに設けられ、入射面から離れるほど表面の微細な凸凹が次第に深くなるパターンを有した粗面、22は導光板4の入射面4a側に設けられ、光を散乱させない平滑面である。
W、Hは表示面エリアの横と縦の範囲、CはLED光源1の指向性により、光が回り込まないで影となる部分Sを含む入射面からの範囲である。なお、図8では粗面21と平滑面22を出射面4bに対向する背面4dに設けているが、出射面4bと出射面4bに対向する背面4dの両方、もしくは、出射面4bのみに設けてもよい。
【0067】
この構成において、入射面4a側からの距離による粗面21の凸凹深さ変化と出射面4bの輝度の関係を図9により説明する。図9(a)は粗面21の凸凹深さが一定の場合の出射面4bの輝度の変化、図9(b)は本実施の形態を示す粗面21の凸凹深さが入射面4aから離れるほど次第に深くなるグラデーションパターンの場合の輝度の変化を示す。
図9(a)に示すように粗面21の凸凹深さ(点線)が一定の場合は、入射面4aからの距離が大きくなるほど、出射面4bの輝度(実線)が低下し、輝度が均一でない。
一方、図9(b)に示すように粗面21の凸凹深さ(点線)が入射面4aから離れるほど表面の微細な凸凹が次第に深くなるグラデーションパターン(点線)の場合は、入射面4aからの距離が大きくなっても輝度(実線)は一定である。
【0068】
また、影となる部分Sを含む入射面からCの範囲は明暗むらがあるため表示面部分として使用できない。よってこの部分で光を外部に出射させると、ロスになるが、入射面からCの範囲を平滑面22とすることで、光がこの面で散乱せずに全反射し光が表示面エリア方向に導光するためにロスとならず、表示面が明るくなる。
【0069】
以上のように、導光板4の背面4dに入射面から離れるほど表面の微細な凸凹が次第に深くなる粗面21と入射面4a側に光を散乱させない平滑面22を備えたので、出射面の輝度を均一にすることができる。また、表示面を明るくすることができる。
【0070】
実施の形態6.
本実施の形態は実施の形態1で示した面発光表示装置を使用した誘導灯を示すものであり、図10は実施の形態6を示す誘導灯である。
図において1Cは白色LED光源、7は表示板、8はケースである。表示板7は透光性の高いアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂等の乳半色、もしくは、透明な材料からなる板であり、表面が梨地になっていてもよい。
Aは表示板7の白色の領域であり、Bは緑の領域である。そして、この緑の領域Bは緑インクによる印刷、または、緑シールの貼り付けにより形成され、この緑インク、緑シールの青色成分の光の透過率を低くした。
【0071】
従来では、白色LED光源1Cを使用すると、白色LED光源1Cの光は青成分が多いため、緑の領域Bが青緑色(xy色度座標(x、y)=(0.17、0.34))になったが、上記のようにすることで、白色LED光源1C特有の青成分が多い光が通過しても、緑の領域Bが青緑色にならず緑色となる((x、y)=(0.24、0.51))。白色の領域Aは白色LED光源1C自体の色で調整する。なお、白色LED光源1Cにおいては、白色LED光源1C内のLED素子から出射する光は一般に青色光であり、この青色光により、白色LED光源1C内に配設された蛍光体が黄色に発光する。この蛍光体による黄色の光とLED素子の発光する青色の光とが合成されて白色光となるものであるが、現状白色LED光源1Cの白色光は青成分が多い。
【0072】
以上のように、白色LED光源からの光の青色成分を減衰させる領域をもつようにしたので、緑の領域Bが青緑色になることを防ぐことができ、白色LED光源1Cを搭載した面発光表示装置と蛍光ランプ光源を搭載した面発光表示装置とが混在しても色の統一感を乱さないようにすることができる。
【0073】
実施の形態7.
図11は実施の形態4を示す誘導灯である。図において実施の形態6を示す図10と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。1はLED光源、23はLED光源1と導光板4の入射面の間に、青色光の一部を減衰させ蛍光ランプと同じ光とする色調整フィルターである。
このように、蛍光ランプと同じ色の光に変換できるため緑の領域Bが青緑色になることを防ぐことができる。また、色調整フィルターは導光板4の出射面と表示板との間に設けてもよい。
【0074】
以上のように、白色LED光源1Cと導光板4の入射面4aの間に、もしくは、導光板4の出射面と表示板との間に青色の光の一部を減衰させる色調整フィルター23を備えたので、緑の領域Bが青緑色になることを防ぐことができ、白色LED光源1Cを搭載した面発光表示装置と蛍光ランプ光源を搭載した面発光表示装置が混在しても色の統一感を乱さないようにすることができる。
なお、本実施例では白色LED光源の場合を示したが、一般のLED光源では特定の色成分の光強度を減衰させる色調整フィルターを使用すればよい。
【0075】
実施の形態8.
図12は実施の形態8を示す面発光表示装置の断面図である。図において実施の形態1を示す図1と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。25は導光板4と表示板7との間に導光板4からの光を集光して出射させる集光シートである。この集光シート25は拡散シート、または、プリズムシート等を使用し、1枚以上使用する。
【0076】
図13は拡散シートを集光シート25として使用した場合と、使用しない場合の表示板7の表示面輝度の角度分布の関係を示したものであり、0度は正面方向を示す。図に示すように、集光シート25を使用しない場合は、正面輝度が低いが、集光シート25を使用したものは斜め方向の輝度をさほど下げずに正面輝度を高めることができる。この場合、正面輝度は、集光シート25を使用しない場合の1.3〜1.4倍となる。なお、プリズムシートは集光割合が高いので特別な用途に用いられる。
【0077】
以上のように、導光板4と表示板7との間に集光シートを設けたので、斜めからでも適度の輝度を確保しつつ、正面輝度を向上させることができる。
【0078】
実施の形態9.
図14は実施の形態6を示す面発光表示装置の部分断面図である。図において実施の形態1を示す図1と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。35はLED基板2を収納するLED基板ホルダー、26はLED光源1の光出射部分を導光板4の入射面4aに接触させる板ばねである。
板ばねは26は、LED基板ホルダー35内に一端が一体に形成され、他端がLED基板2を導光板入射面4a方向に付勢しており、左右2ケ所に設けられている。そして、LED基板ホルダー35を所定の位置にセットするとLED光源1の光出射部分を導光板4の入射面4a上に接触し、板ばね26によりLED基板2を押圧することで均一に接触させることができる。
【0079】
このように、従来は工作上、LED光源1の光出射部分を導光板4の入射面4aに均一に接触させるのは容易でなかったが、LED基板ホルダー35内に一端が一体に形成された板ばね26により、LED光源1の光出射部分を導光板4の入射面4aに均一に接触させるので、LED光源1から導光板4への入射率を向上させることができる。また、製造上のばらつきによる入射効率のばらつきを防ぐことができる。
【0080】
実施の形態10.
図15は実施の形態10を示す面発光表示装置の縦断面図、図16は横断面図、図17は面発光表示装置の組立図、図18は面発光表示装置の縦断面図、図19は従来の面発光表示装置の横断面図である。
図において実施の形態1を示す、図1と同じ部分には同一符号を付し説明を省略する。
図15、16において、31は表裏が開口した枠状のケース、32はケース31の裏側に設けた導光板を保持する裏板、33は接着剤である。
【0081】
この構成による面発光表示装置の組立を図17により説明する。まず、ケース31の表側に表示板7を接着剤33で接着する。次に、表示板7の裏側から集光シート25、導光板4、反射部材6の順に装着し、最後に裏板32をケース31の裏側に固定する。従来は、図19に示すよう底付のケース34であり、このケース34に、反射部材6、導光板4、集光シート25の順に装着し、最後に表示板7を接着剤33でケース34に接着していた。そのため、接着剤34が集光シート25、導光板4、反射部材等に流れ込むのを防ぐのは容易でなかった。本実施の形態の面発光表示装置の組立では接着剤34が集光シート25、導光板4、反射部材等に流れむことはないので、組立を容易にすることができる。
【0082】
なお、図18に示すように、LED光源1からの光を特定の方向に導くリフレクタ3の背面側を導光板を保持するように延設し、リフレクタ3と裏板を一体とした裏板兼用リフレクタ36としてもよく、このようにすることで、反射部材6を省いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】この発明の実施の形態1を示す面発光表示装置の断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1の面発光表示装置の光の伝搬状態を示した図である。
【図4】この発明の実施の形態2を示す面発光表示装置の部分破断平面図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示す面発光表示装置の部分破断平面図である。
【図6】この発明の実施の形態3を示す面発光表示装置の部分破断平面図である。
【図7】この発明の実施の形態4を示す面発光表示装置の部分破断平面図である。
【図8】この発明の実施の形態5を示す面発光表示装置の断面図と平面図である。
【図9】入射面側からの距離による粗面の凸凹深さ変化と出射面の輝度の関係図である。
【図10】この発明の実施の形態6を示す誘導灯の部分破断正面図である。
【図11】この発明の実施の形態7を示す誘導灯の部分破断正面図である。
【図12】この発明の実施の形態8を示す面発光表示装置の断面図である。
【図13】拡散シートを集光シートを使用した場合と、使用しない場合の表示板の表示面輝度の角度分布の関係図である。
【図14】この発明の実施の形態9を示す面発光表示装置の部分断面図である。
【図15】この発明の実施の形態10を示す面発光表示装置の縦断面図である。
【図16】この発明の実施の形態10を示す面発光表示装置の横断面図である。
【図17】この発明の実施の形態10を示す面発光表示装置の組立説明図である。
【図18】この発明の実施の形態10を示す面発光表示装置の縦断面図である。
【図19】従来の面発光表示装置の横断面図である。
【図20】従来の面発光表示装置の構成図である。
【図21】図20の面発光表示装置の光の伝搬状態を示した図である。
【符号の説明】
【0084】
1 LED光源、1a 高出力LED光源、1b 低出力LED光源、1C 白色LED光源、2 LED基板、3 リフレクタ、4 導光板、5 散乱面、6 反射部材、7 表示板、8 ケース、21粗面、22 平滑面、23 色調整フィルター、25 集光シート、26 板ばね、31 枠状のケース、32 裏板、35 LED基板ホルダー、36 裏板兼用リフレクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、
このLED光源の光が入射する入射面及び入射された光が伝搬されて出射する出射面を有する導光板と、
この導光板の前記入射面と前記出射面以外の少なくとも1つ以上の面を覆うように設けられた反射部材と、
前記導光板の前記出射面の前面に設けられ、前記出射面の出射光を全領域で透過させ、任意のパターンを表示する表示板と、
を備えたことを特徴とする面発光表示装置。
【請求項2】
導光板は入射面から入射面の対向面への導光方向に厚さが薄くなるくさび形状であることを特徴とする請求項1記載の面発光表示装置。
【請求項3】
導光板の出射面または出射面の対向面のうち少なくとも一方には散乱面を設け、この散乱面は微細な粗面であることを特徹とする請求項1または2記載の面発光表示装置。
【請求項4】
導光板は、出射面または出射面の対向面の少なくとも一方に設けられ、入射面から離れるほど表面の微細な凸凹が次第に深くなるパターンを有した粗面と、
入射面側に設けられ光を散乱させない平滑面と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項5】
LED光源を白色LED光源とし、表示板は、前記白色LED光源からの光の青色成分を減衰させる領域をもつようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項6】
LED光源と導光板の入射面との間に、あらかじめ定められた色成分の光強度を減衰させる色調整フィルターを備えたとを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項7】
色調整フィルターは、導光板の出射面と表示板との間に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項8】
LED光源を囲み前記LED光源からの光を特定の方向に導くリフレクタを備え、前記リフレクタの表面が散乱反射面であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項9】
導光板と表示板との間に前記導光板からの光を集光して出射させる集光シートを少なくとも1枚備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項10】
LED光源の光出射部分と導光板入射面とを接触させたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項11】
LED光源の光出射部分を導光板入射面に接触させる手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項12】
LED光源の光出射部分と導光板入射面とを接触させる手段は、LED基板を保持するLED基板ホルダー内に一端が一体に形成され、他端が前記LED基板を前記導光板入射面方向に付勢する板ばねであることを特徴とする請求項11記載の面発光表示装置。
【請求項13】
表示板の透過率の異なる領域に対応して光出力の異なるLED光源を配設したことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項14】
透過率の高い領域には光出力が高いLED光源を配設したことを特徴とする請求項13の面発光表示装置。
【請求項15】
透過率の高い領域には光出力が低いLED光源を配設したことを特徴とする請求項13の面発光表示装置。
【請求項16】
表裏が開口した枠状のケースと、このケースの裏側に導光板を保持する裏板と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の面発光表示装置。
【請求項17】
LED光源からの光を特定の方向に導くリフレクタの背面側を導光板を保持するように延設し、前記リフレクタと裏板を一体としたことを特徴とする請求項16記載の面発光表示装置。
【請求項18】
請求項16記載の面発光表示装置の組立方法において、表示板を前記ケースの表側に固着した後に、導光板及び反射部材を前記ケース内に装着し、次に、前記裏板を前記ケースの裏側に固定したことを特徴とする面発光表示装置の組立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2009−75606(P2009−75606A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292761(P2008−292761)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【分割の表示】特願2000−119437(P2000−119437)の分割
【原出願日】平成12年4月20日(2000.4.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】