説明

靴乾燥装置

【課題】靴の乾燥、脱臭、および殺菌を効率的に行うとともに、靴を傷めない靴乾燥装置を提供する。
【解決手段】靴乾燥装置1は、靴Sを収納する収納手段と、靴Sに対してオゾンを含んだ空気を供給するオゾン供給手段と、靴Sに対して加熱した空気を供給する加熱手段と、靴Sに対して冷却した空気を供給する冷却手段とを備える。制御装置が、それらの手段により空気の供給を行う場合における最適化された当該空気の温度および当該供給の時間を実現するように制御を行う。その結果として、靴Sを傷めない状態で靴Sを効率的に乾燥、脱臭、および殺菌処理することが可能である。また、紫外線照射手段を用いることや収納手段の内側表面を光触媒酸化チタンコーティングすることによって、靴S、靴Sの周辺領域、および収納手段の内側表面における脱臭および殺菌作用を促進することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる靴を乾燥するための靴乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
靴を乾燥するための装置に関しては、従来から数多くのアイディアが提供されてきている。例えば、特許文献1において開示される靴乾燥装置は、ファンおよびオゾン発生器を備えることにより、空気の対流で靴を乾燥させると同時に、当該オゾン発生器によって発生されるオゾンにより靴の脱臭および殺菌を行うことができる。
【0003】
また、特許文献2において開示される靴乾燥装置は、ファン、空気を加熱する加熱器、およびフィルターを備えることにより、比較的高温の空気の対流で効率的に靴を乾燥させるとともに、フィルターを通して靴乾燥装置の外部へ空気を排気してやるので脱臭および殺菌の効果ももたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平−255827号公報
【特許文献2】実登3031234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、靴乾燥装置は、一般的に、靴の乾燥、靴およびその周辺の空気の脱臭・殺菌を行うものである。したがって、靴乾燥装置には、乾燥を短時間で行うこと、脱臭・殺菌を効率的に行うこと、および靴を傷めないこと等に対するユーザ側のニーズがある。
【0006】
そこで、本発明は、靴の乾燥、脱臭、および殺菌を効率的に行うとともに、靴を傷めない靴乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的に鑑みて想到されたものであり、
靴を内部に収納する収納手段と、
前記収納手段の内部に配置された靴に対しオゾンを含んだ空気を供給するオゾン供給手段と、
前記収納手段の内部に配置された靴に対し加熱した空気を供給する加熱手段と、
前記収納手段の内部に配置された靴に対し冷却した空気を供給する冷却手段と、
前記オゾン供給手段、前記加熱手段、および前記冷却手段を制御し、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の供給を実行させ、当該オゾンを含んだ空気の供給の実行の後、前記加熱手段による加熱された空気の供給を実行させ、当該加熱した空気の供給の実行の後、前記冷却手段による冷却された空気の供給を実行させる制御手段と
を備える
靴乾燥装置を提供する(第1の実施態様)。
【0008】
また、上記の第1の実施態様において、
前記制御手段は、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の供給を1回目の供給とし、前記加熱手段による加熱された空気の供給の実行の後、かつ前記冷却手段による冷却された空気の供給の実行の前に、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の2回目の供給を実行させる
構成が採用されてもよい(第2の実施態様)。
【0009】
また、上記の第2の実施態様において、
前記制御手段は、前記冷却手段による冷却された空気の供給を冷却された空気の2回目の供給とし、前記加熱手段による加熱された空気の供給を加熱された空気の1回目の供給とし、前記加熱手段による加熱された空気の1回目の供給の実行の後、かつ前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の2回目の供給の実行の前に、前記冷却手段による冷却された空気の1回目の供給を実行させ、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の2回目の供給の実行の後、かつ前記冷却手段による冷却された空気の2回目の供給の実行の前に、前記加熱手段による加熱された空気の2回目の供給を実行させる
構成が採用されてもよい(第3の実施態様)。
【0010】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記制御手段は、前記加熱手段に摂氏45度以下かつ摂氏35度以上の所定の温度に加熱した空気の供給を実行させる
構成が採用されてもよい(第4の実施態様)。
【0011】
また、上記の第1乃至4のいずれかの実施態様において、
前記制御手段は、前記冷却手段に摂氏22度以上かつ摂氏27度以下の所定の温度に冷却した空気の供給を実行させる
構成が採用されてもよい(第5の実施態様)。
【0012】
また、上記の第1乃至5のいずれかの実施態様において、
前記オゾン供給手段により供給されるオゾンの含まれた空気、前記加熱手段により供給される加熱された空気、および前記冷却手段により供給される冷却された空気を、前記収納手段の内部に配置された靴の内部に導き噴出するための弾性素材でできた管状体であるノズルを備える
構成が採用されてもよい(第6の実施態様)。
【0013】
また、上記の第6の実施態様において、
前記収納手段は、靴を載置するための靴台を有し、
前記靴台と、前記ノズルの前記噴出の位置との間の距離を調節する調節機構を備える
構成が採用されてもよい(第7の実施態様)。
【0014】
また、上記の第7の実施態様において、
前記靴台は、前記靴台に載置される靴のつま先側の高さより踵側の高さが高くなるように傾斜している
構成が採用されてもよい(第8の実施態様)。
【0015】
また、上記の第1乃至8のいずれかの実施態様において、
前記収納手段の内部の空気を外部に排気する排気手段を備え、
前記制御手段は、前記排気手段を制御し、前記冷却手段による冷却された空気の最後の供給の実行の後、前記排気手段による前記排気を実行させる
構成が採用されてもよい(第9の実施態様)。
【0016】
また、上記の第9の実施態様において、
前記排気手段は、前記排気における空気の流路上に配置された竹炭を含むスポンジ、カテキンを含むスポンジ、および竹炭を含むゼリーのうちの1以上を有する
構成が採用されてもよい(第10の実施態様)。
【0017】
また、上記の第1乃至10のいずれかの実施態様において、
前記収納手段の内部の臭いの程度を測定する臭いセンサと、
前記臭いセンサにより測定された臭いの程度をユーザに対し通知する通知手段と
を備える
構成が採用されてもよい(第11の実施態様)。
【0018】
また、上記の第1乃至11のいずれかの実施態様において、
前記制御手段は、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の供給を合計で35分以上かつ55分以下の所定の時間実行させ、前記加熱手段による加熱された空気の供給を合計で30分以上かつ50分以下の所定の時間実行させ、前記冷却手段による冷却された空気の供給を合計で10分以上かつ25分以下の所定の時間実行させる
構成が採用されてもよい(第12の実施態様)。
【0019】
また、上記の第1乃至12のいずれかの実施態様において、
前記収納手段の内部に紫外線の照射を行う紫外線照射手段を備え、
前記制御手段は、前記紫外線照射手段を制御し、前記加熱手段による加熱された空気の供給の実行中および前記冷却手段による冷却された空気の供給の実行中の少なくとも一部の期間において前記紫外線照射手段による前記紫外線の照射を実行させる
構成が採用されてもよい(第13の実施態様)。
【0020】
また、上記の第1乃至13のいずれかの実施態様において、
前記収納手段の内側表面の少なくとも一部分が、光触媒酸化チタンコーティングされている
構成が採用されてもよい(第14の実施態様)。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、オゾン供給手段、加熱手段、および冷却手段を備えることにより、効率的にかつ靴を傷めずに靴を乾燥させることができるとともに、脱臭および殺菌の効果ももたらされる。
【0022】
また、本発明の第2の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、上述の第1の実施態様にかかる靴乾燥装置と比較して、オゾンを含んだ空気の2回目の供給を制御手順のサイクルに挿入したため、より確実に靴およびその周辺の空気の脱臭および殺菌を行うことが可能である。
【0023】
また、本発明の第3の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、上述の第2の実施態様にかかる靴乾燥装置と比較して、冷却した空気の1回目の供給および加熱した空気の2回目の供給を制御手順のサイクルに挿入したため、より確実に靴を乾燥させることが可能である。
【0024】
また、本発明の第4の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、加熱手段により加熱される空気の温度を最適なものとしたので、靴を傷めない状態でより効果的に靴を乾燥させることが可能である。
【0025】
また、本発明の第5の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、冷却手段により冷却される空気の温度を最適なものとしたので、加熱手段により伸張した靴が適度に引き締められる。
【0026】
また、本発明の第6の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、弾性素材のノズルが採用されているので、乾燥されるべき靴の適当な位置に当該ノズルの噴出口を配置することが容易である。ノズルが非弾性的であれば、ブーツ等の中にノズルの先端を入れ込むことが困難だからである。
【0027】
また、本発明の第7の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、高さ調節可能な靴台が採用されているので、靴底の高さがまちまちである靴のいずれであっても、当該靴とノズルの噴出口との位置関係を容易に最適なものとすることができる。これにより、ノズルから供給される空気が靴の中および当該靴の周辺を最適な状態で循環し、当該靴を比較的短時間で乾燥等させることが可能である。
【0028】
また、本発明の第8の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、靴台に載置される靴のつま先側の高さより踵側の高さが高くなるようになっているので、靴の中の空気の流れをスムーズにし、効果的に靴を乾燥、脱臭、および殺菌することが可能である。すなわち、ノズルから噴出する空気の方向ができる限り靴のつま先側に向いている方が、当該靴の中の空気の流れが滞ることがないのである。
【0029】
また、本発明の第9の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、排気手段が採用されているので、靴乾燥装置の内部に悪臭やばい菌が滞留することがない。なお、排気手段が働くのは、靴の乾燥等の手順が終了した後であり、靴の乾燥等が行われている最中は例えば靴乾燥装置の内部において空気が循環することとなり効率的である。
【0030】
また、本発明の第10の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、排気手段が脱臭・殺菌セットを有しているので、靴乾燥装置の内部から外部へ悪臭やばい菌が流れ出すことが無い。
【0031】
また、本発明の第11の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、靴乾燥装置の中の臭いを測定する臭いセンサとその通知手段を備えているので、ユーザにとって靴乾燥装置が有する効果のうちの一つ(すなわち、脱臭の効果)を容易に把握することができる。
【0032】
また、本発明の第12の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、オゾンを含んだ空気の供給、加熱された空気の供給、および冷却された空気の供給の各々の時間を最適なものとしたので、靴を傷めない状態でより効果的に靴の乾燥等を行うことができる。
【0033】
また、本発明の第13の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、靴乾燥装置の内部に紫外線の照射を行う紫外線照射手段が採用されているので、当該靴乾燥装置の内部に収納されている靴、当該靴の周辺領域、および当該靴乾燥装置の内側表面の脱臭および殺菌を行うことができる。
【0034】
また、本発明の第14の実施態様にかかる靴乾燥装置によれば、靴乾燥装置の内側表面の所定の領域に光触媒酸化チタンがコーティングされているので、当該コーティングに太陽等の光や蛍光灯等の紫外線が照射されることによって、当該コーティングの表面における脱臭および殺菌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明にかかる靴乾燥装置の概略を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる靴乾燥装置の概略を示す背面図である。
【図3】図3は、本発明にかかる靴乾燥装置の背面を取り払って見た場合の概略図である。
【図4】図4は、本発明にかかる靴乾燥装置の上面を取り払って見た場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施形態)
以下、本発明の一具体例である実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる靴乾燥装置1の概略を示す正面図である。図2は、本実施形態にかかる靴乾燥装置1の概略を示す背面図である。図3は、本実施形態にかかる靴乾燥装置1の背面を取り払って見た場合の概略図である。図4は、本実施形態にかかる靴乾燥装置1の上面を取り払って見た場合の概略図である。
【0037】
靴乾燥装置1は、靴Sを内部に収納する収納部11と、収納部11の上に配置される天蓋部12と、収納部11の上面と天蓋部12との間(以下、天蓋部12の内部と呼ぶ)に配置される(図示せぬ)オゾン発生器、加熱器、および冷却器と、収納部11の内部と天蓋部12の内部との間を連通する空気循環機構13と、収納部11の内部において靴Sを載置するための靴台14と、(図示せぬ)泥受皿と、収納部11の内部および天蓋部12の内部の空気を排気するための排気機構15と、収納部11の内部の臭いの程度を測定する(図示せぬ)臭い探知機構と、収納部11の内部に紫外線の照射を行う(図示せぬ)紫外線照射機構と、所定の制御を行う(図示せぬ)制御装置と、各種の機器に電力を供給する(図示せぬ)電源装置とを備えている。
【0038】
なお、靴Sには、いわゆるブーツやスニーカー等が含まれるものとする。
【0039】
収納部11は、中味が中空の直方体状の形状におけるユーザと対向する側の面を下方から上方に向かうに従い奥方向に遠ざかるように湾曲させた形状を有し、当該ユーザと対向する側の面を構成する部材(以下、収納部11の扉と呼ぶ)が冷蔵庫の扉のように横に開くようになっている。これは、収納部11の扉を開いた状態で乾燥すべき靴Sを収納部11に出し入れするためである。なお、収納部11の扉の開け閉めによって、所定のボタンが解除もしくは押下され、当該ボタンが解除されている場合にのみ収納部11の内部に設けられた蛍光灯が点灯するようになっている。靴Sの出し入れの際に収納部11の内部を含めた周辺がよく見えて便利だからである。
【0040】
また、収納部11は、例えば、合成樹脂によって作られている。そして、例えば、収納部の高さ(床面から測った場合の高さ。以下、「高さ」に言及する場合は同様)は約60センチメートルであり、横幅の長さは約50センチメートルであり、奥行きの長さは収納部11の底面の位置において約40センチメートルである。
【0041】
また、収納部11の内側表面は、光触媒酸化チタンコーティングがされている。酸化チタンは、太陽の光や紫外線を当てると有機物を水と二酸化炭素に分解する。このため、当該光触媒酸化チタンコーティングは、収納部11の内側表面の脱臭、抗菌、および殺菌に役立つ。
【0042】
なお、本実施形態においては、収納部11および後述する靴台14が本願における収納手段を構成する。
【0043】
天蓋部12は、収納部11の上面を覆い当該上面に対して蓋をするような部材である。したがって、天蓋部12における収納部11と結合する側の面は開口しており、当該開口部から天蓋部12の内部に向けて中空の空間が存在している。天蓋部12の内部には、すなわち収納部11の上面の上には、オゾン発生器、加熱器、および冷却器等が配置されている。
【0044】
また、天蓋部12は、例えば、合成樹脂によって作られている部材である。そして、天蓋部12は、楕円柱を当該楕円柱の柱方向の中心線を通り長径方向および短径方向に向かう平面で4分の1に切り取ったような形状を有している。天蓋部12は、当該長径方向に向かう平面における断面を下面として、収納部11および排気機構15等の上に配置される。なお、当該楕円柱の長半径は例えば約40センチメートルであり、当該楕円柱の短半径は例えば約20センチメートルであり、当該楕円柱の高さは例えば約50センチメートルである。
【0045】
また、天蓋部12は、収納部11と連結され、天蓋部12および収納部11を合わせた部分が、その部分の内部と外部との間において概ね気密に保たれるようになっている。靴Sを乾燥する際に、天蓋部12の内部と収納部11の内部とにおいて空気を循環させるため、靴乾燥装置1の外部から入って来ようとする空気もしくは靴乾燥装置1の外部へ出て行こうとする空気を概ね遮断する必要があるからである。
【0046】
また、天蓋部12の上述の扉とは反対側の側面(以下、「背面」と呼ぶ)の上方付近には、後述するように収納部11の内部および天蓋部12の内部の空気を排気する際に靴乾燥装置1の外部から空気を吸い込む外気吸入口121が設けられている。空気を吸い込む場所が無ければ、円滑に排気を行うことができないからである。すなわち、後述するように、外気吸入口121には扉が設けられていて排気を行う際には当該扉が開いており、かつ天蓋部12の内部と収納部11の内部とにおいて空気を循環させる際には、当該扉が閉じられることになる。それらの扉の開閉は、上述の制御装置の制御の下に上述の電源装置から供給される電力によって行われる。
【0047】
なお、天蓋部12は、収納部11の要素の一つではなく別のものであるが、例えば収納部11と一体に成形されている。
【0048】
オゾン発生器は、収納部11の内部に配置された靴Sに対してオゾンを含んだ空気を供給する際に、オゾンを発生する機器である。オゾン発生器の一部分は、例えば、2枚の電極板の表面を高い誘電率を持つホウケイ酸ガラスで覆ったものである。当該2枚の電極板の間に交流高電圧をかけて無声放電を起こすと、電極間に流れる酸素分子が解離し他の酸素分子と再結合することによってオゾンが発生する。また、オゾン発生器は、オゾンを含んだ空気の流れを作るモータファンを有している。なお、オゾン発生器は、オゾン発生器の各要素を収納する箱を有している。
【0049】
オゾンは、強力な酸化作用があり、殺菌、ウイルスの不活性化、脱臭、脱色、有機物の除去等に用いられることがある。本実施形態にかかる靴乾燥装置1においては、上述のようなオゾンの脱臭・殺菌効果が利用されている。
【0050】
また、オゾン発生器は、例えば、上述のように天蓋部12の内部に配置されている。
【0051】
加熱器は、収納部11の内部に配置された靴Sに対して加熱した空気を供給する際に、空気を加熱する機器である。加熱器は、例えば、ニクロム線でできた加熱コイル、空気の流れを作るモータファン、温度センサ、およびそれらを収納する箱を有している。
【0052】
また、加熱器は、例えば、上述のように天蓋部12の内部に配置されている。
【0053】
冷却器は、収納部11の内部に配置された靴Sに対して冷却した空気を供給する際に、空気を冷却する機器である。冷却器は、例えば、ペルチェ効果を利用した小型の冷却装置で、互いに接触した2枚の異なる金属、空気の流れを作るモータファン、温度センサ、およびそれらを収納する箱を有している。
【0054】
また、冷却器は、熱を発散するためのフィンを有しており、当該フィンは靴乾燥装置1の外側に若干延伸している。
【0055】
また、冷却器は、例えば、上述のように天蓋部12の内部に配置されている。
【0056】
空気循環機構13は、収納部11の内部と天蓋部12の内部との間の空気を循環させる機構である。
【0057】
より具体的には、空気循環機構13は、収納部11の内部に空気を噴出するための例えばシリコン製のノズル131と、収納部11の背面の、ユーザが収納部11の扉(以下、扉側の面を「正面」という)と対向した位置関係において右側(以下、単に「右側」と呼び、その反対方向の側を「左側」と呼ぶ)のやや上方に配置されている空気循環口132と、空気循環口132から天蓋部12の内部に空気を送る第1の空気循環流路133と、天蓋部12の内部に配置されオゾン発生器によって発生されたオゾンを含んだ空気、加熱器によって加熱された空気、および冷却器によって冷却された空気をノズル131に送るための第2の空気循環流路134と、当該空気を収納部11の左右の各々に送るための第3の空気循環流路135と、第1の空気循環流路133の入口付近に設けられた(図示せぬ)第1のファンと、第2の空気循環流路134の入口付近に設けられた(図示せぬ)第2のファンと、第3の空気循環流路135の入口付近に設けられた(図示せぬ)第3のファンとを有する。
【0058】
ノズル131は、収納部11の内部において左右に各々1本設けられており、各々の先端が乾燥されるべき靴Sの内部上面の若干上に来るような長さを有している。ノズル131がシリコン製であるため、その弾力性により、ブーツ等の丈の長い靴Sも容易にノズル131を入れることができる。
【0059】
空気循環口132の外側には上述のように第1のファンが設けられており、収納部11の内部の空気を吸い出して第1の空気循環流路133に送り込む。
【0060】
第1の空気循環流路133は、空気循環口132から天蓋部12の内部の所定の位置まで延伸した後、まず第3の空気循環流路135に循環する空気の一部を分配するように連結され、その後、さらに所定の位置まで延伸した後、第2の空気循環流路134に循環する空気の残りを分配するように連結されている。
【0061】
第2の空気循環流路134は、天蓋部12の内部の所定の位置(第2の空気循環流路134と連結されている位置)から左右に延伸し、2つあるノズル131の各々の入口に連結されている。
【0062】
第3の空気循環流路135は、天蓋部12の内部の所定の位置(第3の空気循環流路135と連結されている位置)から収納部11の背面および左右両側面の厚み方向に設けられた(例えば、約5センチメートルの幅の)空間の内側を通って、収納部11の内部のやや下側に設けられた左右各々2か所(合計4箇所)の開口部Oに連通している。開口部Oから噴出する空気は、収納部11に配置されている靴Sの表面に向い流れる。
【0063】
なお、本実施形態においては、オゾン発生器および空気循環機構13が本願におけるオゾン供給手段を構成し、加熱器および空気循環機構13が本願における加熱手段を構成し、冷却器および空気循環機構13が本願における冷却手段を構成する。
【0064】
靴台14は、収納部11の内部に配置され、靴Sを載置するための台である。
【0065】
靴台14は、例えば、合成樹脂製であり、矩形状の形状を有する板状体に多数の孔が開けられ、全体として網のような構造を備えている。靴台14の上に載置された靴Sから落ちる水滴、ゴミ、泥などは、靴台14の孔を通って下に落下し、靴台14の下に配置される泥受皿で受け止められる。なお、靴台14のうち靴Sの概ね踵部分が載置される部分の孔は細かくなっており、ハイヒール等の細いヒール部分が靴台14を通り抜けて下に落ちることがない。
【0066】
なお、泥受皿は、例えば、合成樹脂製の矩形状の形状を有する皿であり、上述の水滴、ゴミ、泥等を受け止める。従って、ユーザは泥受皿を必要に応じて清掃することにより、靴乾燥装置1が泥で汚れることを防止することができる。
【0067】
また、靴台14の横幅の長さは約40センチメートルであり、奥行きの長さは約30センチメートルである。
【0068】
靴乾燥装置1は、乾燥されるべき靴Sとノズル131の空気噴出口との位置関係を適切なものに調節するために、高さを変えることができる調節機構を採用している。例えば、収納部11の左右の内側面上の各々には、靴台14を載せるための直線状の突出部が上下方向に3段、設けられている。ユーザは、これらの突出部のうちの適当な高さの左右1対に靴台14を載せることにより、靴台14を、収納部11内において、正面側の高さが約1センチメートルかつ背面側の高さが約3センチメートル、正面側の高さが約5センチメートルかつ背面側の高さが約7センチメートル、および正面側の高さが約10センチメートルかつ背面側の高さが約12センチメートル、のいずれかの高さ位置に配置することができる。
【0069】
このような構成により、靴Sの踵の高さが様々に異なっても(例えば、多くのブーツのように靴底が厚かったり、多くのスニーカーのように靴底が薄かったりしても)、靴Sとノズル131の空気噴出口との位置関係を適切に調整することが可能である。
【0070】
また、靴Sは、収納部11に収納される際に靴Sの踵側が収納部11の奥側に、また靴Sのつま先側が収納部11の手前側に来るように靴台14の上に載置される。靴台14が靴台14に載置される靴Sのつま先側の高さより踵側の高さが高くなるように傾斜しているため、概ね鉛直方向に延伸しているノズル131の先端から噴出される空気の流れの方向がつま先方向を向き、靴Sの内部の隅々まで空気が行き渡り、靴Sを効率的かつむら無く乾燥させることができる。
【0071】
排気機構15は、上述したように収納部11の内部および天蓋部12の内部の空気を排気するための機構である。なお、排気機構15は、収納部11の要素の一つではなく別のものであるが、例えば収納部11と一体に成形されている。
【0072】
より具体的には、排気機構15は、収納部11の背面の中央付近のやや下方に配置されている空気吸入口151と、空気吸入口151から靴乾燥装置1の外部まで空気を送る空気排気流路152と、空気排気流路152の途中に設けられている脱臭・殺菌セット153と、排気の出口である排気口154と、空気排気流路152の入口付近に設けられた(図示せぬ)第4のファンと、空気排気流路152の出口付近に設けられた(図示せぬ)第5のファンと、を有する。
【0073】
上述したように、空気吸入口151の外側には第4のファンが設けられており、収納部11の内部および天蓋部12の内部の空気を吸い出して空気排気流路152に送り込む。なお、第4のファンが回転すると空気吸入口151に設けられている扉が開き、空気吸入口151を通して空気が流れることを可能にする。この際、上述のように外気吸入口121に設けられている扉が開き、収納部11の内部および天蓋部12の内部に滞留している空気が排気されることを可能にする。
【0074】
すなわち、第4のファンが回転していない場合には、空気吸入口151に設けられている扉および外気吸入口121に設けられている扉が閉まっており、収納部11の内部および天蓋部12の内部とそれらの外部との間の空気の出入りが概ね遮断される。
【0075】
空気排気流路152は、途中に脱臭・殺菌セット153が設けられている。排気される空気は、空気排気流路152中を通って排気口154まで送られる間に、脱臭・殺菌セット153を通過する。
【0076】
排気口154の内側には第5のファンが設けられており、空気排気流路152を通して送られてきた排気を靴乾燥装置1の外側へ送り出す。
【0077】
脱臭・殺菌セット153は、排気の流れの方向から見て、竹炭の粉末を含むスポンジ状のウレタン、カテキンの粉末を含むスポンジ状のウレタン、および竹炭の粉末を含むゼリーの3層構造をなしている。竹炭およびカテキンは、各々脱臭・殺菌の効果を有しているため、靴乾燥装置1の外部に悪臭やばい菌が流れ出ることはない。なお、脱臭・殺菌セット153は、定期的(例えば、ゼリーに含まれる液体が概ね蒸発した時)に交換されることが望ましい。
【0078】
なお、本実施形態においては、排気機構15が本願における排気手段を構成する。
【0079】
臭い探知機構は、上述したように収納部11の内部の臭いの程度を測定する機構である。
【0080】
臭い探知機構は、臭いセンサと、当該臭いセンサにより測定された匂いの程度をユーザに対し通知する通知機構とを有する。
【0081】
臭いセンサは、例えば、高感度酸化インジウム系熱線型焼結半導体式もしくは高感度酸化スズ系熱線型焼結半導体式である。
【0082】
通知機構は、天蓋部12の正面側の左右方向の中心付近における上下方向のやや下側に設けられる臭いのレベルを表示する電子式の表示器(インジケータ)である。この表示器を見ることによって、ユーザは、収納部11に収納された靴Sの臭いの程度を(靴乾燥装置1による靴Sの乾燥の間および前後においても)知ることができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、通知機構が本願における通知手段を構成する。
【0084】
紫外線照射機構は、上述の加熱手段により加熱された空気の供給が行われている間、および上述の冷却手段により冷却された空気の供給が行われている間のうちの少なくとも一部の期間において、収納部11の内部に対して紫外線の照射を行う。なお、紫外線照射機構は、例えば石英低圧水銀ランプ(低圧水銀ランプが石英でできた保護管に包含されているもの)である。
【0085】
これにより、靴Sの殺菌効果が期待できるとともに、上述のように光触媒酸化チタンのコーティングがなされている収納部11の内側表面における脱臭・殺菌効果が期待できる。
【0086】
なお、本実施形態においては、紫外線照射機構が本願における紫外線照射手段を構成する。
【0087】
電源装置は、制御装置の制御の下に、オゾン発生器、加熱器、冷却器、臭いセンサ、通知機構、第1のファン、第2のファン、第3のファン、第4のファン、および第5のファン等に電力を供給する。
【0088】
また、電源装置は、例えば外部から供給される交流電流を直流電流に変換し、電力を消費する靴乾燥装置1の構成部に直流電流を供給するAC/CDアダプタである。
【0089】
制御装置は、タイマー等を有しており、以下に説明する手順の時間管理や、靴乾燥装置1の内部の温度管理等を行う。より具体的には、制御装置は、上述の電源装置から供給される電力を制御することによって、オゾン発生器、加熱器、冷却器、臭いセンサ、通知機構、第1のファン、第2のファン、第3のファン、第4のファン、および第5のファン等を適切な状態で機能もしくは駆動させる。
【0090】
以下、上述の制御装置による制御の下で靴乾燥装置1により行われる靴乾燥処理の運転サイクルの一例について説明する。
【0091】
まず、ユーザは収納部11の扉を開けて靴Sを適切な位置に配置し、当該扉を閉める。その際、ノズル131の先端位置が靴Sの内部上面の少し上に位置するように、必要に応じて靴台14の高さを変える。なお、上述のように、扉が開いている間は、収納部11の内部に設けられている蛍光灯が点灯する。
【0092】
天蓋部12の正面側におけるやや左よりの位置には雨の日ボタン、やや右よりの位置には晴れの日ボタンが設けられている。晴れの日には晴れの日ボタン、雨の日には雨の日ボタンを押下することにより、靴乾燥装置1の運転を開始することができる。以下、晴れの日ボタンが押下された場合につき説明する。
【0093】
上述の晴れの日ボタンが押下されると、天蓋部12の正面側における概ね中心付近に設けられた運転表示ランプが運転中を示す赤色に点灯する。その状態で、(上述の制御手段が)上述のオゾン供給手段によりオゾンを含んだ空気を約30分間、収納部11に収納された靴Sの内側(もしくは外側)に向けて供給する(1回目のオゾン供給)。これにより、靴Sの脱臭・殺菌が行われる。
【0094】
次に、(上述の制御手段が)上述の加熱手段により加熱された摂氏約43度の空気を約36分間、収納部11に収納された靴Sの内側(および外側)に向けて供給する(1回目の加熱)。これにより、靴Sの乾燥が行われる。なお、あまり高い温度の空気を靴Sに当てると、靴Sが痛む可能性がある。
【0095】
なお、上述の加熱手段による加熱と同時に、(上述の制御手段が)上述の紫外線照射手段により紫外線の照射を行ってもよい。これにより、収納部11に収納された靴Sの殺菌および収納部11の内部の脱臭・殺菌が行われる。
【0096】
次に、(上述の制御手段が)上述の排気手段により収納部11の内部および天蓋部12の内部の空気を約3分間排気する(1回目の排気)。上述のように、排気される空気は、脱臭・殺菌セット153を通過しているので、悪臭やばい菌等が靴乾燥装置1の外部に漏れることがない。なお、当該排気手段による排気(後述する2回目および3回目の排気も含む)が行われている間以外の時は、上述のように第4のファンが回転していないので、空気吸入口151および外気吸入口121の扉が閉じており、収納部11の内部と天蓋部12の内部との間において概ね気密な状態で、空気の循環が行われる。
【0097】
その次に、(上述の制御手段が)上述の冷却手段により冷却された摂氏約24.5度の空気を約20分間、収納部11に収納された靴Sの内側(および外側)に向けて供給する(1回目の冷却)。これにより、靴Sが加熱されて伸びた状態から通常の状態へと戻され、丁度よく引き締められる。なお、当該サイクルにおいては、上述の排気を行った後においても収納部11の内部の空気が摂氏24.5度よりも高い場合(例えば、夏季等において外気温が高い場合)にのみ、上述の冷却手段により冷却された空気の供給を行うものである。上述の排気を行った後においても収納部11の内部の空気が摂氏24.5度よりも低い場合(例えば、冬季等において外気温が低い場合)には、例えばサーモスタット等を用いることによって空気の温度を摂氏24.5度に保つように、上述の加熱手段により加熱した空気の供給を行ってもよい。
【0098】
その次に、(上述の制御手段が)上述のオゾン供給手段によりオゾンを含んだ空気を約15分間、収納部11に収納された靴Sの内側(もしくは外側)に向けて再度供給する(2回目のオゾン供給)。これにより、再度靴Sの脱臭・殺菌が行われる。
【0099】
その次に、(上述の制御手段が)上述の加熱手段により加熱された摂氏約43度の空気を約5分間、収納部11に収納された靴Sの内側(および外側)に向けて再度供給する(2回目の加熱)。これにより、再度靴Sの乾燥が行われる。なお、上述のように、上述の加熱手段による加熱と同時に(上述の制御手段が)上述の紫外線照射手段により紫外線の照射を行ってもよい。これにより、収納部11に収納された靴Sの殺菌および収納部11の内部の脱臭・殺菌が再度行われる。
【0100】
その次に、(上述の制御手段が)上述の排気手段により収納部11の内部および天蓋部12の内部の空気を3分間再度排気する(2回目の排気)。上述のように、排気される空気は、脱臭・殺菌セット153を通過しているので、悪臭やばい菌等が靴乾燥装置1の外部に漏れることがない。
【0101】
その次に、(上述の制御手段が)上述の冷却手段により冷却された摂氏24.5度の空気を約15分間、収納部11に収納された靴Sの内側(および外側)に向けて再度供給する(2回目の冷却)。これにより、靴Sが加熱されて伸びた状態から通常の状態へと再度戻され、丁度よく引き締められる。なお、収納部11の内部の温度が摂氏24.5度よりも低い場合には、サーモスタットや上述の加熱手段等を用いて、収納部11の内部の温度が摂氏24.5度に保たれるように(上述の制御手段により)制御されてもよい点は上述の通りである。
【0102】
さらにその次に、(上述の制御手段が)上述の排気手段により収納部11の内部および天蓋部12の内部の空気を2分間、再度排気する(3回目の排気)。上述のように、排気される空気は、脱臭・殺菌セット153を通過しているので、悪臭やばい菌等が靴乾燥装置1の外部に漏れることがない。
【0103】
これにより、晴れの日ボタンが押された場合の1サイクルが終了して、靴Sの乾燥、脱臭、および殺菌が完了する。
【0104】
運転サイクルが終了すると、運転表示ランプが待機中を示す緑色に点灯する。ユーザは運転表示ランプにより運転サイクルが終了していることを確認し、収納部11の扉を開けて、内部に収納されていた靴Sを取り出して、当該扉を閉める。
【0105】
次に、上述した雨の日ボタンが押された場合について記述する。
【0106】
雨の日ボタンが押下された場合は、上述の晴れの日ボタンが押された場合の1サイクルが2度繰り返される。したがって、例えば雨により靴Sが激しく濡れている場合であっても、靴Sがしっかりと乾燥、脱臭および殺菌される。
【0107】
なお、本実施形態においては、上述の制御装置が本願の制御手段を構成する。
【0108】
(変形例)
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形が可能である。以下にそれらの変形の例を示す。
【0109】
例えば、靴乾燥装置1を構成する各要素のうち、上述の収納手段、オゾン供給手段、加熱手段、冷却手段、制御手段を構成するもの以外のものは、必要に応じて無くてもよい。例えば、上述した蛍光灯、運転表示ランプ、および泥受皿等は、場合によっては無くてもよい。
【0110】
また、上述した実施形態にかかる靴乾燥装置1の各要素の形状、大きさ、材料、特定の位置、特定の長さ、およびそれらを限定する数値は、あくまでも一例であり必要に応じてその他のいかなる形状、大きさ、特定の位置、特定の長さ、およびそれらを限定する数値が用いられてもよい。例えば、収納部11は中空の直方体状の形状におけるユーザと対向する側の面を上下方向に湾曲させたような形状を有するものとしたが、例えば中空の楕円柱状の形状など、他の形状が採用されてもよい。
【0111】
また、収納部11の内側表面は光触媒酸化チタンコーティングがされているものとしたが、それ以外のいかなる方法により収納部11の内側表面の脱臭・殺菌が行われてもよく、場合によっては収納部11の内側表面を脱臭・殺菌するための手段が設けられなくてもよい。
【0112】
また、天蓋部12は収納部11と一体に成形されるものとしたがそれに限られず、例えば収納部11に対してネジ等によって取り付けられる構成が採用されてもよい。なお、場合によっては、外気吸入口121には開閉する扉が設けられていなくて、常時空気が外部から流入可能な状態となっていてもよい。
【0113】
また、オゾン発生器の一部分は、例えば2枚の電極板の表面を高い誘電率を持つホウケイ酸ガラスで覆ったものであるとしたが、これは本発明を限定するものではなく、他のオゾン発生のためのいかなる機構が用いられてもよい。
【0114】
また、加熱器は、例えばニクロムでできた加熱コイルを有するものとしたが、これは本発明を限定するものではなく、他の加熱のためのいかなる機構が用いられてもよい。
【0115】
また、冷却器は、例えばペルチェ効果を利用した小型の冷却装置で互いに接触した2枚の異なる金属等を有するものとしたが、これは本発明を限定するものではなく、他の冷却のためのいかなる機構が用いられてもよい。例えば、外気が乾燥手段により加熱された空気の供給後の収納部11内の温度よりも低温な場合、外気を収納部11内に取り込むことにより冷却を行う構成を備えた冷却手段が採用されてもよい。
【0116】
また、ノズル131は、シリコン製であるものとしたが、必要に応じて弾性素材でできた管状体であればよく、場合によっては弾性素材以外の素材からできていてもよい。
【0117】
また、第1のファン、第2のファン、第3のファン、第4のファン、および第5のファンは、必要に応じて設けられなくてもよい。
【0118】
また、第2の空気循環流路134および第3の空気循環流路135は、必要に応じて設けられなくてもよい。
【0119】
また、脱臭・殺菌セット153は、上述した構成のものとは異なるいかなる脱臭および殺菌のための機構によって代替されてもよく、場合によっては設けられなくてもよい。
【0120】
また、排気機構15は、上述した構成のものとは異なる排気のためのいかなる機構によって代替されてもよく、場合によっては設けられなくてもよい。
【0121】
また、臭い探知機構は、上述した構成のものとは異なる臭いの探知およびその表示のためのいかなる機構によって代替されてもよく、場合によっては設けられなくてもよい。
【0122】
また、紫外線照射機構は例えば石英低圧水銀ランプであるものとしたが、これは本発明を限定するものではない。したがって、紫外線照射機構は、紫外線を照射するその他のいかなる機構によって代替されてもよいし、場合によっては設けられなくてもよい。
【0123】
ただし、紫外線照射機構は、通常の使用下において人体に悪影響を及ぼすものであってはならない。そのため、靴乾燥装置1の扉が開けられると、例えば収納部11の扉の開け閉めによって解除・押下されるボタン(上述の蛍光灯の点灯・消灯を行うボタン)の解除に伴い、紫外線照射機構による紫外線照射が強制停止されるように構成されることが望ましい。
【0124】
また、天蓋部12には雨の日ボタン、晴れの日ボタン、および通知機構が設けられるものとしたが、それらは上述した構成のものとは異なるいかなる機構によって代替されてもよく、場合によっては設けられなくてもよい。
【0125】
また、晴れの日ボタンを押下するとオゾンを含んだ空気が約30分間(上述の1回目のオゾン供給)、その後に摂氏約43度に加熱された空気が約36分間(上述の1回目の加熱)、その後に摂氏約24.5度に冷却(もしくは加熱)された空気が約3分間(上述の1回目の冷却)、その後にオゾンを含んだ空気が約15分間(上述の2回目のオゾン供給)、その後に摂氏約43度に加熱された空気が約5分間(上述の2回目の加熱)、その後に摂氏約24.5度に冷却(もしくは加熱)された空気が約15分間(上述の2回目の冷却)、供給されるものとしたが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、上述の加熱された空気は摂氏45度以下かつ摂氏35度以上の所定の温度であれば好適であり、場合によってはそれ以外の温度であってもよい。また、上述の冷却された空気は摂氏22度以上かつ摂氏27度以下の所定の温度であれば好適であり、場合によってはそれ以外の温度であってもよい。
【0126】
また、上述の1回目のオゾンを含んだ空気の供給は25分以上かつ35分以下の所定の時間において行われれば好適であり、場合によってはそれ以外の時間であってもよい。また、上述の2回目のオゾンを含んだ空気の供給は10分以上かつ20分以下の所定の時間において行われれば好適であり、場合によってはそれ以外の時間であってもよい。
【0127】
また、上述の加熱された空気の1回目の供給は30分以上かつ40分以下の所定の時間において行われれば好適であり、場合によってはそれ以外の時間であってもよい。また、上述の加熱された空気の2回目の供給は3分以上かつ10分以下の所定の時間において行われれば好適であり、場合によってはそれ以外の時間であってもよい。
【0128】
また、上述の冷却された空気の1回目供給は2分以上かつ5分以下の所定の時間において行われれば好適であり、場合によってはそれ以外の時間であってもよい。また、上述の冷却された空気の2回目供給は10分以上かつ20分以下の所定の時間において行われれば好適であり、場合によってはそれ以外の時間であってもよい。
【0129】
また、上述の排気手段による1回目の排気は約3分間、2回目の排気は約3分間、および3回目の排気は2分間であるものとしたが、本発明はこれによって限定されるものではない。したがって、排気の時間は、収納部11の内部の臭いの程度に応じて例えば5分間あるいは10分間、行われてもよいし、その他の時間において行われてもよい。
【0130】
さらに、上述した実施形態においては、オゾンを含んだ空気の供給、加熱された空気の供給、排気、および冷却された空気の供給の動作がその順で2回(晴れの日ボタンが押された場合の1サイクル、ただし最後の排気については後述する)、行われるものとしたが、それらの回数は2回に限られず、1回のみ、もしくは3回以上の動作が実行されてもよい。それらのいずれにおいても、オゾンを含んだ空気の供給の実行時間は合計で35分以上かつ55分以下の範囲内であることが望ましく、加熱された空気の供給の実行時間は合計で30分以上かつ50分以下の範囲内であることが望ましく、また冷却された空気の供給の実行時間は合計で10分以上かつ25分以下の範囲内であることが望ましい。ただし、それらの時間を表す数値は本発明を限定するものではなく、それら以外の時間で上述の動作が行われてもよい。
【0131】
なお、上述の動作(オゾン供給、加熱、排気、冷却)が何回、行われるとしても、そのサイクルの最後(すなわち、靴Sを取り出すために収納部11の扉を開く前)には排気の動作が行われることが望ましい。ただし、これは本発明を限定するものではなく、場合によっては最後の排気の動作は行われなくてもよい。
【0132】
また、上述したサイクルにおける冷却手段による冷却においては、サーモスタット等を用いて収納部11の内部の空気の温度が摂氏約24.5に保たれるように制御されるものとしたが、場合によっては、サーモスタット等はその他の機器によって代替されてもよく、もしくは用いられなくてもよい。したがって、場合によっては、上述の冷却手段による冷却においては、収納部11の内部の空気の温度は摂氏24.5度よりも低くなるかもしくは高くなることもあり得る。
【0133】
また、晴れの日ボタンを押下した場合のサイクルおよび雨の日ボタンを押下した場合のサイクル以外のいかなる適切なサイクルが採用されてもよい。例えば、上述のオゾンを含んだ空気の供給と加熱された空気の供給が所定の重なった時間帯において同時に行われてもよいし、また、いかなる時間帯において上述の紫外線照射手段による紫外線の照射が行われてもよい。
【0134】
また、電源装置はAC/DCアダプタの構成を有するものとしたが、本発明はそれに限られず、例えば、靴乾燥装置1の外部から供給される直流電流をそのまま靴乾燥装置1内の電力を消費する構成部に供給するものや、電池などの他の種類の電源装置が採用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明にかかる靴乾燥装置は、靴を大切に扱おうとする多くのユーザにより用いられると考えられ、いわゆる製造業や卸売り・小売り等のサービス業において利用可能である。
【符号の説明】
【0136】
1…靴乾燥装置、11…収納部、12…天蓋部、121…外気吸入口、13…空気循環機構、131…ノズル、132…空気循環口、133…第1の空気循環流路、134…第2の空気循環流路、135…第3の空気循環流路、14…靴台、15…排気機構、151…空気吸入口、152…空気排気流路、153…脱臭・殺菌セット、154…排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴を内部に収納する収納手段と、
前記収納手段の内部に配置された靴に対しオゾンを含んだ空気を供給するオゾン供給手段と、
前記収納手段の内部に配置された靴に対し加熱した空気を供給する加熱手段と、
前記収納手段の内部に配置された靴に対し冷却した空気を供給する冷却手段と、
前記オゾン供給手段、前記加熱手段、および前記冷却手段を制御し、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の供給を実行させ、当該オゾンを含んだ空気の供給の実行の後、前記加熱手段による加熱された空気の供給を実行させ、当該加熱した空気の供給の実行の後、前記冷却手段による冷却された空気の供給を実行させる制御手段と
を備える
靴乾燥装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の供給を1回目の供給とし、前記加熱手段による加熱された空気の供給の実行の後、かつ前記冷却手段による冷却された空気の供給の実行の前に、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の2回目の供給を実行させる
請求項1に記載の靴乾燥装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記冷却手段による冷却された空気の供給を冷却された空気の2回目の供給とし、前記加熱手段による加熱された空気の供給を加熱された空気の1回目の供給とし、前記加熱手段による加熱された空気の1回目の供給の実行の後、かつ前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の2回目の供給の実行の前に、前記冷却手段による冷却された空気の1回目の供給を実行させ、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の2回目の供給の実行の後、かつ前記冷却手段による冷却された空気の2回目の供給の実行の前に、前記加熱手段による加熱された空気の2回目の供給を実行させる
請求項2に記載の靴乾燥装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記加熱手段に摂氏45度以下かつ摂氏35度以上の所定の温度に加熱した空気の供給を実行させる
請求項1乃至3のいずれかに記載の靴乾燥装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記冷却手段に摂氏22度以上かつ摂氏27度以下の所定の温度に冷却した空気の供給を実行させる
請求項1乃至4のいずれかに記載の靴乾燥装置。
【請求項6】
前記オゾン供給手段により供給されるオゾンの含まれた空気、前記加熱手段により供給される加熱された空気、および前記冷却手段により供給される冷却された空気を、前記収納手段の内部に配置された靴の内部に導き噴出するための弾性素材でできた管状体であるノズルを備える
請求項1乃至5のいずれかに記載の靴乾燥装置。
【請求項7】
前記収納手段は、靴を載置するための靴台を有し、
前記靴台と、前記ノズルの前記噴出の位置との間の距離を調節する調節機構を備える
請求項6に記載の靴乾燥装置。
【請求項8】
前記靴台は、前記靴台に載置される靴のつま先側の高さより踵側の高さが高くなるように傾斜している
請求項7に記載の靴乾燥装置。
【請求項9】
前記収納手段の内部の空気を外部に排気する排気手段を備え、
前記制御手段は、前記排気手段を制御し、前記冷却手段による冷却された空気の最後の供給の実行の後、前記排気手段による前記排気を実行させる
請求項1乃至8のいずれかに記載の靴乾燥装置。
【請求項10】
前記排気手段は、前記排気における空気の流路上に配置された竹炭を含むスポンジ、カテキンを含むスポンジ、および竹炭を含むゼリーのうちの1以上を有する
請求項9に記載の靴乾燥装置。
【請求項11】
前記収納手段の内部の臭いの程度を測定する臭いセンサと、
前記臭いセンサにより測定された臭いの程度をユーザに対し通知する通知手段と
を備える
請求項1乃至10のいずれかに記載の靴乾燥装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記オゾン供給手段によるオゾンを含んだ空気の供給を合計で35分以上かつ55分以下の所定の時間実行させ、前記加熱手段による加熱された空気の供給を合計で30分以上かつ50分以下の所定の時間実行させ、前記冷却手段による冷却された空気の供給を合計で10分以上かつ25分以下の所定の時間実行させる
請求項1乃至11に記載の靴乾燥装置。
【請求項13】
前記収納手段の内部に紫外線の照射を行う紫外線照射手段を備え、
前記制御手段は、前記紫外線照射手段を制御し、前記加熱手段による加熱された空気の供給の実行中および前記冷却手段による冷却された空気の供給の実行中の少なくとも一部の期間において前記紫外線照射手段による前記紫外線の照射を実行させる
請求項1乃至12のいずれかに記載の靴乾燥装置。
【請求項14】
前記収納手段の内側表面の少なくとも一部分が、光触媒酸化チタンコーティングされている
請求項1乃至13のいずれかに記載の靴乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−152330(P2012−152330A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13027(P2011−13027)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(502052147)大栄トレーディング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】