説明

鞍乗型車両

【課題】車輪懸架装置の構造を簡素化しつつ、必要な強度や耐久性を確保することができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】本発明に係る自動二輪車は、ヘッドパイプ20hpaの上端部20teに配設され、ステアリングシャフト33Bを回動可能に支持するボールベアリング21Aと、ヘッドパイプ20hpaの下端部20beに配設され、ステアリングシャフト33Bを回動可能に支持するボールベアリング21Bと、ボールベアリング21Aとボールベアリング21Bとの間に配設され、ステアリングシャフト33Bを回動可能に支持するニードルベアリング22A,22Bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を懸架する一対のフォークと、フォークの上端よりも上方に配設され、車体フレームによって当該車輪を操舵可能に支持されるステアリングシャフトとを少なくとも備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車などの鞍乗型車両では、車輪(主に前輪)を懸架する一対のフォークを備える構造が広く採用されている。
【0003】
当該一対のフォークは、一般的に、細長い円筒状のフォークの上端部を連結するトップブリッジと、トップブリッジよりも下方に配設され、フォークの中間部を連結するアンダーブラケットとによって固定される。
【0004】
トップブリッジとアンダーブラケットとの間には、車体フレームのヘッドパイプ部によって前輪の操舵が可能なように支持される円柱状のステアリングシャフトが配設される。
【0005】
また、軽量化やフォーク周辺の空間を確保することを目的として、フォークをトップブリッジまで延在させず、フォークの上端部がアンダーブラケットによって連結される構造も、スクータなどに広く採用されている。
【0006】
このようなフォークの上端部がアンダーブラケットによって連結される構造において、アンダーブラケットを1枚の金属板を折り曲げて方形状に形成することによって、フォークやアンダーブラケットなどによって構成される車輪懸架装置の剛性を高める方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2850240号公報(第3−4頁、第2−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の方法、すなわち、アンダーブラケットを1枚の金属板を折り曲げて方形状に形成する方法には、車輪懸架装置の剛性をさらに高める点において改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、車輪懸架装置の剛性をさらに高めつつ、フォーク周辺の空間を確保することができる鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、車輪(前輪50)と、前記車輪を回転可能に支持する左右一対のフォーク(フロントフォーク42L,42R)と、左右一対の前記フォークを連結する橋梁部(アンダーブラケット39D)と、前記橋梁部から立設されるステアリングシャフト(ステアリングシャフト33B)と、前記ステアリングシャフトが挿通され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持するヘッドパイプ(例えば、ヘッドパイプ20hpa)とを備える鞍乗型車両(自動二輪車10B)であって、前記ヘッドパイプの上端部(上端部20te)に配設され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持する上部摺動部(ボールベアリング21A)と、前記ヘッドパイプの下端部(下端部20be)に配設され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持する下部摺動部(ボールベアリング21B)と、前記上部摺動部と下部摺動部との間に配設され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持する中間摺動部(例えば、ニードルベアリング22A,22B)とを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記橋梁部は、左右一対の前記フォークの上端部(上端部42La,42Ra)を連結することを要旨とする。
【0011】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記中間摺動部は、前記ヘッドパイプの前記上部摺動部と前記下部摺動部との距離を等分するヘッドパイプ上下方向等分線(ヘッドパイプ上下方向等分線CL1)よりも前記上部摺動部側に配設されることを要旨とする。
【0012】
本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特徴に係り、前記中間摺動部の上端(上端22Ae)と下端(下端22Be)との距離を等分する中間摺動部上下方向等分線(中間摺動部上下方向等分線CL2)は、前記ヘッドパイプ上下方向等分線よりも前記上部摺動部側に位置することを要旨とする。
【0013】
本発明の第5の特徴は、本発明の第3の特徴に係り、前記中間摺動部は、ボールベアリング(ボールベアリング24)であり、前記ボールベアリングは、前記ヘッドパイプ上下方向等分線よりも前記上部摺動部側に配設されることを要旨とする。
【0014】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記中間摺動部は、前記ステアリングシャフトの外周部(外周部33Bb)を支持するとともに、前記ヘッドパイプの内壁(内壁20i)に固定されることを要旨とする。
【0015】
本発明の第7の特徴は、本発明の第6の特徴に係り、前記ヘッドパイプは、前記中間摺動部を係止する係止部(例えば、係止部20b)を備え、前記係止部は、前記中間摺動部の下端部分(下端22Be)と当接することを要旨とする。
【0016】
本発明の第8の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記中間摺動部は、前記ステアリングシャフトに沿って上下方向に並んで配設される複数の摺動部材(ニードルベアリング22A,22B、またはニードルベアリング22C〜22F)によって構成されることを要旨とする。
【0017】
本発明の第9の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記中間摺動部は、複数のローラーが転がることによって摺動性を確保するローラー軸受によって構成されることを要旨とする。
【0018】
本発明の第10の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記鞍乗型車両の側面視において、前記ステアリングシャフトの少なくとも前方または後方に配設される補強柱部(例えば、補強シャフト34)をさらに備え、前記補強柱部と、前記ステアリングシャフトとは、前記橋梁部によって連結されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の特徴によれば、車輪懸架装置の剛性をさらに高めつつ、フォーク周辺の空間を確保することができる鞍乗型車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1実施形態]
次に、本発明に係る鞍乗型車両の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0021】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0022】
(鞍乗型車両の全体構成)
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車10の全体構成について説明する。図1〜図3は、自動二輪車10の左側面図、平面図及び正面図をそれぞれ示す。
【0023】
自動二輪車10は、前輪50と後輪70とを備え、エンジン60を動力源として、後輪70を駆動する。
【0024】
車体フレーム20は、自動二輪車10の骨格を形成する。車体フレーム20には、エンジン60などが取り付けられる。また、車体フレーム20は、ヘッドパイプ20hpを備える。
【0025】
ヘッドパイプ20hpは、トップブリッジ32、ステアリングシャフト33、補強シャフト34、アンダーブラケット39及びフロントフォーク40L,40Rとによって構成される前輪懸架装置FS1(図1〜図3において不図示、図4(a),(b)及び図5参照)を、ハンドル31によって回動可能に支持する。
【0026】
ラジエタ61は、冷却水を用いて前エンジン60を冷却する。自動二輪車10では、ラジエタ61の配設位置に特徴がある。具体的には、ラジエタ61の少なくとも一部は、ステアリングシャフト33(ヘッドパイプ20hp)の側方に配設される。
【0027】
また、ラジエタ61の下方には、ラジエタ61に冷却風を送風する電動ファン(不図示)が配設される。
【0028】
(車輪懸架装置の構成)
次に、図4(a)及び図5を参照して、自動二輪車10に備えられる車輪懸架装置、具体的には、前輪50を懸架する前輪懸架装置FS1の構成について説明する。
【0029】
図4(a)は、前輪懸架装置FS1の左側面図である。図4(b)は、ヘッドパイプ20hpを含む車体フレーム20の一部の左側面図である。また、図5は、前輪懸架装置FS1の平面図及び正面図である。
【0030】
前輪懸架装置FS1は、上述したように、トップブリッジ32、ステアリングシャフト33、補強シャフト34、アンダーブラケット39及びフロントフォーク40L,40Rとによって構成される。
【0031】
トップブリッジ32は、ステアリングシャフト33の上端部33eに連結される。また、トップブリッジ32は、補強シャフト34をステアリングシャフト33に連結する。
【0032】
ステアリングシャフト33は、車体フレーム20、具体的には、ヘッドパイプ20hpによって、前輪50を操舵が可能なように支持される。ステアリングシャフト33は、フロントフォーク40L,40Rの上端部40eよりも上方に配設される。
【0033】
つまり、自動二輪車10では、フロントフォーク40L,40Rはトップブリッジ32まで延在せず、上端部40eは、アンダーブラケット39に連結される。また、ステアリングシャフト33の下端部33fは、フロントフォーク40L,40Rの上端部40eに連結される。
【0034】
補強シャフト34(補強柱部)は、前輪懸架装置FS1の剛性を確保、向上するために設けられる。補強シャフト34は、自動二輪車10の側面視において、ステアリングシャフト33の後方に配設される。補強シャフト34は、略柱状の形状を有する。
【0035】
ステアリングシャフト33は、ナット33nを用いてトップブリッジ32に連結される。同様に、補強シャフト34は、ナット34nを用いてトップブリッジ32に連結される。
【0036】
アンダーブラケット39は、フロントフォーク40L,40Rの上端部40eに連結される。ステアリングシャフト33及び補強シャフト34は、アンダーブラケット39に設けられた雌ねじ部(不図示)に螺入される。
【0037】
つまり、トップブリッジ32(補強柱連結部)は、補強シャフト34とステアリングシャフト33(車輪懸架装置)とを連結する。より具体的には、前輪懸架装置FS1では、補強シャフト34は、トップブリッジ32によってステアリングシャフト33に連結され、アンダーブラケット39によってフロントフォーク40L,40Rに連結される。
【0038】
フロントフォーク40L,40Rは、前輪50の左及び右側方に配設され、前輪50を懸架する。
【0039】
フロントフォーク40L,40Rは、アウターチューブ40out、及びアウターチューブ40outの内側に挿入されるインナーチューブ40inを備える。フロントフォーク40L,40Rは、路面状態の変化に応じて、前輪50を上下方向(実際には、所定のキャスター角が付与された方向)に移動(直線運動)させて、前輪50が受けた衝撃を吸収する。
【0040】
また、前輪懸架装置FS1では、フロントフォーク40L,40Rは、アウターチューブ40outがインナーチューブ40inよりも下方に配設される正立型フォークである。
【0041】
(車輪懸架装置の取付状態)
次に、図6及び図7を参照して、自動二輪車10に備えられる車輪懸架装置、具体的には、前輪懸架装置FS1の取付状態について説明する。
【0042】
図6は、前輪懸架装置FS1及び車体フレーム20の一部の左側面図である。図7は、前輪懸架装置FS1及び車体フレーム20の一部の分解平面図である。
【0043】
図6及び図7に示すように、ステアリングシャフト33は、ヘッドパイプ20hpに設けられているパイプ孔20aに挿通される。
【0044】
また、ステアリングシャフト33の上端部33e、及び補強シャフト34の上端部34eには、トップブリッジ32が連結される。トップブリッジ32には、ステアリングシャフト孔32b、及び補強シャフト孔32cが設けられる。
【0045】
ヘッドパイプ20hp及びステアリングシャフト孔32bに挿通されたステアリングシャフト33は、ナット33nを用いてトップブリッジ32と連結される。また、補強シャフト孔32cに挿通された補強シャフト34は、ナット34nを用いてトップブリッジ32と連結される。
【0046】
(車輪懸架装置の変更例)
次に、上述した自動二輪車10に備えられる車輪懸架装置、具体的には、前輪懸架装置FS1の変更例について説明する。
【0047】
具体的には、変更例1−1〜変更例1−3において、フロントフォーク40L,40R及びステアリングシャフトへの補強シャフトの連結方法の変更例について説明する。また、変更例2−1及び変更例2−2において、補強シャフトの配設位置の変更例について説明する。
【0048】
(1)変更例1−1
図8は、前輪懸架装置FS1に代えて自動二輪車10に備えることができる前輪懸架装置FS2の左側面図である。以下、前輪懸架装置FS1と異なる部分について主に説明し、同様の部分については、適宜説明を省略する。
【0049】
前輪懸架装置FS1では、補強シャフト34は、トップブリッジ32とアンダーブラケット39とによって、フロントフォーク40L(40R)と、ステアリングシャフト33とに連結されていた。前輪懸架装置FS2では、補強シャフト34Aは、トップブリッジ32(補強柱連結部)によってステアリングシャフト33に連結され、補強ブラケット35によってフロントフォーク40L(40R)に連結される。
【0050】
補強ブラケット35(フォーク側補強ブラケットフォーク側補強ブラケット)は、アンダーブラケット39Aよりも下方において、フロントフォーク40L(40R)、具体的には、インナーチューブ40inに連結される。なお、補強ブラケット35とインナーチューブ40inとは、ナット(不図示)、或いは雄ねじ部及び雌ねじ部(不図示)を設けることなどによって連結される。
【0051】
アンダーブラケット39Aは、フロントフォーク40L(40R)の上端部40eに連結される。アンダーブラケット39(図4参照)と比較すると、アンダーブラケット39Aには、ステアリングシャフト33は連結されるが、補強シャフト34Aは連結されない。
【0052】
(2)変更例1−2
図9は、前輪懸架装置FS1に代えて自動二輪車10に備えることができる前輪懸架装置FS3の左側面図である。
【0053】
前輪懸架装置FS3では、補強シャフト34Bは、補強ブラケット36によってステアリングシャフト33Aに連結され、アンダーブラケット39によってフロントフォーク40L(40R)に連結される。
【0054】
補強ブラケット36(ステアリングシャフト側補強ブラケットステアリングシャフト側補強ブラケット)は、トップブリッジ32Aよりも下方において、ステアリングシャフト33Aに連結される。なお、補強ブラケット36とステアリングシャフト33Aとは、ナット(不図示)、或いは雄ねじ部及び雌ねじ部(不図示)を設けることなどによって連結される。
【0055】
トップブリッジ32Aは、ステアリングシャフト33Aの上端部33Aeに連結される。トップブリッジ32(図4参照)と比較すると、トップブリッジ32Aには、ステアリングシャフト33Aは連結されるが、補強シャフト34Aは連結されない。
【0056】
(3)変更例1−3
図10は、前輪懸架装置FS1に代えて自動二輪車10に備えることができる前輪懸架装置FS4の左側面図である。
【0057】
前輪懸架装置FS4では、補強シャフト34Cは、補強ブラケット36によってステアリングシャフト33Aに連結され、補強ブラケット35によってフロントフォーク40L(40R)に連結される。
【0058】
補強ブラケット35(フォーク側補強ブラケット)は、アンダーブラケット39Aよりも下方において、フロントフォーク40L(40R)、具体的には、インナーチューブ40inに連結される。
【0059】
補強ブラケット36(ステアリングシャフト側補強ブラケット)は、トップブリッジ32Aよりも下方において、ステアリングシャフト33Aに連結される。
【0060】
トップブリッジ32Aは、ステアリングシャフト33Aの上端部33Aeに連結される。トップブリッジ32Aには、ステアリングシャフト33Aは連結されるが、補強シャフト34Cは連結されない。
【0061】
アンダーブラケット39Aは、フロントフォーク40L(40R)の上端部40eに連結される。アンダーブラケット39Aには、ステアリングシャフト33Aは連結されるが、補強シャフト34Cは連結されない。
【0062】
(4)変更例2−1
次に、前輪懸架装置FS1に代えて自動二輪車10に備えることができるさらに他の変更例について説明する。変更例2−1及び変更例2−2では、補強シャフトの配設位置の変更例について説明する。
【0063】
図11は、前輪懸架装置FS1に代えて自動二輪車10に備えることができる前輪懸架装置FS5の平面図及び正面図である。
【0064】
前輪懸架装置FS1では、ステアリングシャフト33の後方に補強シャフト34が配設されていた(図5参照)。前輪懸架装置FS5では、ステアリングシャフト33の前方に補強シャフト34Dが配設される。
【0065】
ステアリングシャフト33の前方に補強シャフト34Dが配設されることに伴い、アンダーブラケット39Bは、アンダーブラケット39(図5参照)と形状が異なる。具体的には、アンダーブラケット39Bは、前部に補強シャフト34Dを連結し、後部にステアリングシャフト33を連結することができる形状を有する。
【0066】
なお、本変更例では、正立型のフロントフォーク40L,40Rに代えて、倒立型のフロントフォーク41L,41Rが用いられる。
【0067】
(5)変更例2−2
図12は、前輪懸架装置FS1に代えて自動二輪車10に備えることができる前輪懸架装置FS6の平面図及び正面図である。
【0068】
前輪懸架装置FS6では、ステアリングシャフト33の前方に補強シャフト34Eが配設される。さらに、前輪懸架装置FS6では、ステアリングシャフト33の後方に補強シャフト34Fが配設される。
【0069】
ステアリングシャフト33の前方に補強シャフト34Eが配設され、後方に補強シャフト34Fが配設されることに伴い、アンダーブラケット39Cは、アンダーブラケット39(図5参照)やアンダーブラケット39B(図11参照)と形状が異なる。具体的には、アンダーブラケット39Cは、前部に補強シャフト34Eを連結し、後部に補強シャフト34Fを連結することができる形状を有する。
【0070】
さらに、アンダーブラケット39Cは、補強シャフト34Eと補強シャフト34Fとの間の中間部においてステアリングシャフト33を連結することができる形状を有する。
【0071】
なお、本変更例でも、正立型のフロントフォーク40L,40Rに代えて、倒立型のフロントフォーク41L,41Rが用いられる。
【0072】
(鞍乗型車両の変更例)
次に、図13〜図15を参照して、本実施形態に係る鞍乗型車両の変更例について説明する。図13〜図15に示す自動二輪車10Aは、本実施形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車10(図1〜図3参照)の構成を一部変更した自動二輪車である。
【0073】
以下、自動二輪車10と異なる部分について主に説明し、同様の部分については、適宜説明を省略する。
【0074】
図13〜図15は、自動二輪車10の左側面図、平面図及び正面図をそれぞれ示す。
【0075】
自動二輪車10では、ラジエタ61の形状及び配設位置に特徴があり、ラジエタ61がステアリングシャフト33(ヘッドパイプ20hp)の側方を含む位置に配設されていた。
【0076】
自動二輪車10Aでは、ラジエタ61Aは、一般的な形状であり、エンジン60の前方に配設される。具体的には、ラジエタ61Aは、車体フレーム20に取り付けられる。
【0077】
一方、自動二輪車10Aでは、ラジエタ61Aに供給される冷却水を蓄えるリザーブタンク62L,62R(冷却水タンク)の少なくとも一部が、ステアリングシャフト33(ヘッドパイプ20hp)の側方に配設される。
【0078】
(作用・効果)
本実施形態によれば、補強シャフト(例えば、補強シャフト34)がステアリングシャフト(例えば、ステアリングシャフト33)の少なくとも前方または後方に配設される。このため、フロントフォーク40L,40Rの上端部40eよりも上方にステアリングシャフト33が配設される場合、つまり、フロントフォーク40L,40Rの上端部40eがトップブリッジ(例えば、トップブリッジ32)まで延在しない場合でも、車輪懸架装置(例えば、前輪懸架装置FS1)の剛性をさらに高めることができる。
【0079】
また、補強シャフト34は、ステアリングシャフト33の側方には配設されず、ステアリングシャフト33の前方または後方に配設される。このため、前輪50の左右側方からトップブリッジ32まで延在する従来の一般的な一対のフォークのように、ステアリングシャフト33(ヘッドパイプ20hp)の左右側方の貴重な空間を占有することがない。
【0080】
このため、ステアリングシャフト33(ヘッドパイプ20hp)の左右側方の空間に各種の部品を配設する際の自由度が向上する。例えば、上述したように、ラジエタ61やリザーブタンク62L,62Rなど、比較的重い部品や大型の部品を当該空間に配設することができる。また、当該部品を自動二輪車10(または自動二輪車10A、以下同)の前後方向の中心線付近に集中させることができる。
【0081】
当該空間に重い部品を配設すると、前輪50が分担する荷重が増大する。前輪50が分担する荷重が増大すると、自動二輪車10の安定性、特に、高速走行時の安定性が向上する。
【0082】
また、従来、前輪50と後輪70とがそれぞれ分担する荷重のバランスを取るため、ホイールベースを一定距離以下にすることが難しかったが、本実施形態によれば、当該荷重のバランスを取りつつ、自動二輪車10のホイールベースをさらに短縮し、運動性能を向上させることが容易となる。
【0083】
さらに、補強シャフト34がステアリングシャフト33の前方または後方に配設されるため、自動二輪車10の前面投影面積を縮小することが容易となる。
【0084】
また、前輪懸架装置FS6のように、補強シャフトを前後に配設した場合、ステアリングシャフト33(ヘッドパイプ20hp)の左右側方の空間を占有することなく、さらに高い剛性を確保することができる。
【0085】
本実施形態では、フロントフォーク40L,40Rとして、正立型フォークが用いられる。正立型フォークは、倒立型フォークと比較して適度な撓みが得られるため、車輪懸架装置としての適切な剛性を容易に得ることができる。
【0086】
本実施形態では、ラジエタ61やリザーブタンク62Lが(ヘッドパイプ20hp)の左右側方の空間に配設される。このため、厳寒時には、ラジエタ61やリザーブタンク62L,62Rをヒータとして代用することによって、自動二輪車10の乗り手に暖気を供給することができる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、図16〜図18を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態において説明した自動二輪車10は、高速性能やコーナリング性能を重視した中型〜大型の自動二輪車であった。
【0088】
本実施形態に係る自動二輪車100は、自動二輪車10よりも小型であり、自動二輪車10よりも高い利便性や経済性を追求した自動二輪車である。以下、自動二輪車10と異なる部分について主に説明し、同様の部分については、適宜説明を省略する。
【0089】
(鞍乗型車両の全体構成)
図16は、自動二輪車100の右側面図である。また、図17は、自動二輪車100の一部拡大平面図である。自動二輪車100は、前輪150と後輪170とを備え、エンジン160を動力源として、後輪170を駆動する。
【0090】
車体フレーム120のヘッドパイプ120hpは、トップブリッジ132、ステアリングシャフト133、補強シャフト134、アンダーブラケット139及びフロントフォーク140R(及び自動二輪車100の左側方に配設される同様のフォーク)とによって構成される前輪懸架装置FS100(図16において不図示、図18参照)を、ハンドル131によって回動可能に支持する。
【0091】
燃料タンク165は、エンジン160に供給される燃料を蓄える。シート180には、自動二輪車100の乗り手(ライダー及び同乗者)が着座する。
【0092】
シート180は、燃料タンク165の後方において燃料タンク165に連なって配設される。また、シート180の前端部180eは、自動二輪車100の側面視において、エンジン160のシリンダヘッド160aの上方まで延在する。
【0093】
また、燃料タンク165の前端部165eは、自動二輪車100の側面視において、ステアリングシャフト133(ヘッドパイプ120hp)よりも前方に位置する。
【0094】
ヘッドライト190は、自動二輪車100の前方を照射するライトである。ヘッドライト190は、取付ステー191を介して燃料タンク165の前端部165eに固定される。
【0095】
メーターパネル195は、自動二輪車100の走行速度や、エンジン160の回転数などを表示する。
【0096】
図17に示すように、トップブリッジ132には、ステアリングシャフト133及び補強シャフト134が連結される。また、ハンドル131は、ハンドルブラケット137を介してトップブリッジ132に固定される。
【0097】
燃料タンク165は、ステアリングシャフト133を中心として補強シャフト134などが回動することによる補強シャフト134などとの干渉を回避するため、当該干渉範囲を回避するよう、自動二輪車100の平面視においてU字状の形状を有する。
【0098】
(車輪懸架装置の構成)
図18(a)は、自動二輪車100に備えられる前輪懸架装置FS100の右側面図である。図18(b)は、ヘッドパイプ120hpを含む車体フレーム120の一部の右側面図である。
【0099】
ステアリングシャフト133は、車体フレーム120、具体的には、ヘッドパイプ120hpによって、前輪150を操舵が可能なように支持される。ステアリングシャフト133は、フロントフォーク140Rの上端部140eよりも上方に配設される。
【0100】
つまり、自動二輪車100でも、フロントフォーク140Rはトップブリッジ132まで延在せず、上端部140eは、アンダーブラケット139に連結される。
【0101】
補強シャフト134(補強柱部)は、前輪懸架装置FS100の剛性を確保、向上するために設けられる。補強シャフト134は、自動二輪車100の側面視において、ステアリングシャフト133の後方に配設される。
【0102】
(作用・効果)
自動二輪車100では、ステアリングシャフト133の左右側方に空間が確保できるため、燃料タンク165の前端部165eは、自動二輪車100の側面視において、ステアリングシャフト133(ヘッドパイプ120hp)よりも前方まで延在する。このため、燃料タンク165の容量が増大し、自動二輪車100の航続距離を延ばすことができる。
【0103】
また、シート180の前端部180eは、自動二輪車100の側面視において、エンジン160のシリンダヘッド160aの上方まで延在する。このため、シート180の前後長が延び、自動二輪車100の乗り手及び同乗者は、より自由に好きな着座位置を選択することができる。
【0104】
[第3実施形態]
次に、図19〜図24を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係る自動二輪車10Bは、第1実施形態に係る自動二輪車10(図1参照)と概ね同様の形状である。
【0105】
自動二輪車10と自動二輪車10Bとの主な相違箇所は、前輪懸架装置FS10、及びヘッドパイプ20hpaの内部の形状である。以下、自動二輪車10と異なる部分について主に説明し、同様の部分については、適宜説明を省略する。
【0106】
(鞍乗型車両の全体構成)
図19は、自動二輪車10Bの左側面図である。図19に示すように、自動二輪車10Bは、自動二輪車10など同様に、前輪50及び後輪70を備える。また、自動二輪車10Bは、車体フレーム20を備える。車体フレーム20は、前輪懸架装置FS10、具体的には、前輪懸架装置FS10を構成するステアリングシャフト33B(図20参照)を回動可能に支持するヘッドパイプ20hpaを有する。
【0107】
(車輪懸架装置の構成)
図20は、前輪懸架装置FS10の正面図である。図20に示すように、前輪懸架装置FS10は、前輪50を回転可能に支持する左右一対のフロントフォーク42L,42R、アンダーブラケット39D、及びステアリングシャフト33Bによって構成される。
【0108】
前輪懸架装置FS10は、自動二輪車10に備えられる前輪懸架装置FS1のような補強シャフト34を有していない。また、前輪懸架装置FS10では、フロントフォーク42Lの上端部42Laと、フロントフォーク42Rの上端部42Raとがアンダーブラケット39Dによって連結される。前輪懸架装置FS10のような構造は、中型サイズ(250cc程度)までのスクータなどに多く採用されている。
【0109】
アンダーブラケット39Dは、フロントフォーク42Lとフロントフォーク42Rとを連結する。本実施形態において、アンダーブラケット39Dは、橋梁部を構成する。
【0110】
ステアリングシャフト33Bは、アンダーブラケット39Dから立設される。具体的には、ステアリングシャフト33Bは、アンダーブラケット39Dに設けられたステアリングシャフト孔(不図示)に挿通され、アンダーブラケット39Dによって係止される。
【0111】
(ヘッドパイプ周辺の具体的構成)
次に、図21を参照して、ヘッドパイプ20hpa、及びヘッドパイプ20hpa周辺の具体的な構成について説明する。図21は、ヘッドパイプ20hpa、及びヘッドパイプ20hpaに挿通されるステアリングシャフト33Bなどの一部拡大側面図である。図21では、ヘッドパイプ20hpaは、車幅方向の中心部において、上下方向に沿って切断した断面図として示されている。
【0112】
ヘッドパイプ20hpaには、前輪懸架装置FS10を構成するステアリングシャフト33Bが挿通される。ヘッドパイプ20hpaは、ステアリングシャフト33Bを回動可能に支持する。
【0113】
ヘッドパイプ20hpaに挿通されたステアリングシャフト33Bの上端部33Baには、トップブリッジ32Dが取り付けられる。トップブリッジ32Dには、前輪50を操舵するために自動二輪車10Bの乗り手が操作するハンドルバーを保持するハンドルブラケット37が設けられる。
【0114】
ヘッドパイプ20hpaには、ボールベアリング21A,21Bが挿入される。ボールベアリング21Aは、ヘッドパイプ20hpaの上端部20teに配設され、ステアリングシャフト33Bを回動可能に支持する。本実施形態において、ボールベアリング21Aは、上部摺動部を構成する。
【0115】
ボールベアリング21Bは、ヘッドパイプ20hpaの下端部20beに配設され、ステアリングシャフト33Bを回動可能に支持する。本実施形態において、ボールベアリング21Bは、下部摺動部を構成する。
【0116】
また、ボールベアリング21Aと、ボールベアリング21Bとの間には、ニードルベアリング22A,22Bが配設される。本実施形態において、ニードルベアリング22A,22Bは、中間摺動部を構成する。ニードルベアリング22A,22Bも、ボールベアリング21A,21Bと同様に、ステアリングシャフト33Bを回動可能に支持する。本実施形態では、ニードルベアリング22A,22Bは、複数のニードル22n(ニードル状ローラー)が転がることによって摺動性を確保するローラー軸受によって構成される。
【0117】
ニードルベアリング22Aは、ヘッドパイプ20hpaのボールベアリング21Aとボールベアリング21Bとの距離を等分するヘッドパイプ上下方向等分線CL1よりもボールベアリング21A側に配設される。また、本実施形態では、ニードルベアリング22A,22Bの上端22Aeと下端22Beとの距離を等分する中間摺動部上下方向等分線CL2は、ヘッドパイプ上下方向等分線CL1よりもボールベアリング21A側に位置する。
【0118】

なお、ニードルベアリング22A,22Bは、必ずしも当該位置に配設されていなくても構わない。例えば、ニードルベアリング22A,22Bは、ヘッドパイプ上下方向等分線CL1よりもボールベアリング21B側に配設されていてもよい。
【0119】
ヘッドパイプ20hpaは、ニードルベアリング22B(及びニードルベアリング22A)を係止する係止部20bを有する。係止部20bは、ニードルベアリング22Bの下端22Beと当接する。つまり、ニードルベアリング22A,22Bは、ヘッドパイプ20hpaの上端部20teから挿入され、ニードルベアリング22Bの下端22Beが係止部20bに当接するまで押し込まれる。
【0120】
つまり、ニードルベアリング22A,22Bは、ステアリングシャフト33Bの外周部33Bbを回動可能に支持するとともに、ヘッドパイプ20hpaの内壁20iによって固定される。
【0121】
(作用・効果)
自動二輪車10Bによれば、ボールベアリング21Aとボールベアリング21Bとの間に、ニードルベアリング22A,22Bが配設される。このため、前輪懸架装置FS10に加わる力は、ボールベアリング21A,21Bのみならず、ニードルベアリング22A,22Bによって受け止められる。
【0122】
仮に、ニードルベアリング22A,22Bが設けられていない場合、前輪懸架装置FS10に加わる力は、基本的にボールベアリング21A,21Bによって受け止めなければならない。特に、ステアリングシャフト33Bの上端部33Baは、前輪懸架装置FS10に所定のキャスター角を付与するため、後方に傾斜した状態で、ヘッドパイプ20hpaに支持される。
【0123】
つまり、ヘッドパイプ20hpaの上端部20teに配設されるボールベアリング21Aは、特に大きな力を受け止めなければならず、ボールベアリング21Aが損傷し易い問題があった。
【0124】
ヘッドパイプ20hpaによれば、前輪懸架装置FS10に加わる力は、ボールベアリング21A,21Bのみならず、ニードルベアリング22A,22Bによって受け止められるため、車輪懸架装置の構造を簡素化しつつ自動二輪車10Bとして必要な強度や耐久性を確保することができる。
【0125】
すなわち、前輪懸架装置FS10のように、補強シャフトを有していない場合、またはフロントフォーク42L,42Rの上端が、トップブリッジ32Dまで延在せず、アンダーブラケット39Dによって連結される場合でも、自動二輪車10Bとして必要な強度や耐久性を確保することができる。
【0126】
自動二輪車10Bによれば、ニードルベアリング22Aは、ヘッドパイプ上下方向等分線CL1よりもボールベアリング21A側に配設される。また、ニードルベアリング22Bの上端と下端との距離を等分する中間摺動部上下方向等分線CL2は、ヘッドパイプ上下方向等分線CL1よりもボールベアリング21A側に位置する。
【0127】
つまり、より大きな力が加わるヘッドパイプ20hpaの上部において必要となる強度や耐久性を効果的に向上させることができる。
【0128】
自動二輪車10Bによれば、ニードルベアリング22B(及びニードルベアリング22A)は、ヘッドパイプ20hpaの下方に滑落しないように係止部20bによって係止される。このため、ニードルベアリング22B(及びニードルベアリング22A)を、容易かつ確実に所定の位置に配設することができる。
【0129】
自動二輪車10Bによれば、ボールベアリング21Aとボールベアリング21Bとの間には、複数のローラー軸受、具体的には、ニードルベアリング22A,22Bが配設される。つまり、前輪懸架装置FS10に加わる力は、ひとつのローラー軸受を用いる場合と比較して、より分散して受け止められる。このため、自動二輪車10Bとして必要となる強度や耐久性を効果的に向上させることができる。
【0130】
自動二輪車10Bによれば、ニードルベアリング22A,22Bが用いられるため、ボールベアリングなどを利用する場合と比較して、ヘッドパイプ20hpaの外径サイズが大きくなることを抑制できる。また、ニードル22nの外周面によって前輪懸架装置FS10に加わる力を受け止めることができるため、ボールなどの点によって前輪懸架装置FS10に加わる力を受け止めるよりも必要となる強度や耐久性を容易に確保することができる。
【0131】
(変更例)
次に、本実施形態の変更例、具体的には、上述したヘッドパイプ20hpa、及びヘッドパイプ20hpa周辺の構成に係る変更例について説明する。以下、上述したヘッドパイプ20hpa、及びヘッドパイプ20hpa周辺の構成と異なる部分について主に説明する。
【0132】
(1)変更例1
図22は、本実施形態の変更例に係るヘッドパイプ20hpb、及びヘッドパイプ20hpb周辺の一部拡大側面図である。
【0133】
図22に示すように、ヘッドパイプ20hpbでは、ボールベアリング21Aと、ボールベアリング21Bとの間に、4つのニードルベアリング、具体的には、ニードルベアリング22C〜22Fが配設されている。すなわち、ステアリングシャフト33Bに沿って上下方向に並んで配設されるニードルベアリング22C〜22F(複数の摺動部材)によって、中間摺動部が構成される。なお、ニードルベアリング22C〜22Fは、上述したニードルベアリング22A,22Bと同一である。
【0134】
また、ニードルベアリング22F(及びニードルベアリング22C〜22E)は、係止部20cによって係止される。
【0135】
本変更例によれば、前輪懸架装置FS10に加わる力は、偏ることなく、ニードルベアリング22C〜22Fによって、より分散して受け止められる。このため、自動二輪車10Bとして必要となる強度や耐久性をさらに効果的に向上させることができる。
【0136】
(2)変更例2
図23は、本実施形態の他の変更例に係るヘッドパイプ20hpc、及びヘッドパイプ20hpc周辺の一部拡大側面図である。
【0137】
図23に示すように、ヘッドパイプ20hpcでは、ニードルベアリングに代えて、滑り軸受23(メタル)が用いられる。滑り軸受23は、係止部20dによって係止される。
【0138】
本変更例のように、滑り軸受23によっても、自動二輪車10Bとして必要となる強度や耐久性を確保することができる。
【0139】
(3)変更例3
図24は、本実施形態のさらに他の変更例に係るヘッドパイプ20hpd、及びヘッドパイプ20hpd周辺の一部拡大側面図である。
【0140】
図24に示すように、ヘッドパイプ20hpdでは、ニードルベアリングに代えて、ボールベアリング24が用いられる。ボールベアリング24は、係止部20eによって係止される。つまり、ボールベアリング24は、ヘッドパイプ20hpdの下端部20beから挿入され、ボールベアリング24が係止部20eに当接するまで押し込まれる。
【0141】
また、係止部20eに当接するまで押し込まれたボールベアリング24は、ヘッドパイプ20hpdの下端部20beから挿入されるカラー25によって移動できないように規制される。ボールベアリング24は、ヘッドパイプ上下方向等分線CL1よりもボールベアリング21A側に配設される。
【0142】
(4)その他
以上、本実施形態に係る変更例1〜3について説明したが、さらに、以下のように変更してもよい。例えば、図20に示した前輪懸架装置FS10では、フロントフォーク42Lの上端と、フロントフォーク42Rの上端とがアンダーブラケット39Dによって連結されていたが、フロントフォーク42L,42Rの上端がトップブリッジ32Dまで延在する前輪懸架装置において、上述したようなニードルベアリング22A,22Bなどを用いる形態としてもよい。
【0143】
或いは、第1実施形態に示した前輪懸架装置FS5のように、補強シャフト34D(補強柱部)を有する前輪懸架装置において、上述したようなニードルベアリング22A,22Bなどを用いる形態としてもよい。この場合、補強シャフト34Dと、ステアリングシャフト33Bとは、アンダーブラケット39Dによって連結される。さらに、前輪懸架装置FS10の強度を向上させるため、例えば、アンダーブラケット39Dと、フロントフォーク42L,42Rとを一体で形成してもよい。
【0144】
また、上述した第3実施形態では、ニードルベアリング22A,22Bなどが、ヘッドパイプに形成された係止部(例えば、係止部20b)によって係止される形態としたが、ニードルベアリング22A,22Bなどは、ヘッドパイプの内壁20iに溶接する形態としてもよい。
【0145】
[その他の実施形態]
上述したように、第1〜第3実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0146】
例えば、上述した実施形態では、ステアリングシャフト、補強シャフト及びアンダーブラケットは、それぞれ個別の部品として形成されていたが、当該部品は、一体と形成してもよい。
【0147】
また、上述した実施形態では、自動二輪車を例として説明したが、本発明は、他の鞍乗型車両(例えば、3輪や4輪を有する鞍乗型車両)にも、勿論適用することができる。なお、鞍乗型車両とは、操縦者が鞍に跨るような姿勢をとり、2〜4輪を有する車両であるが、操縦者がフートボードに両足を揃えて乗車するスクータ型車両も含まれる。
【0148】
さらに、上述した実施形態では、前輪を例として説明したが、本発明の適用範囲は、必ずしも前輪に限られるものではない。
【0149】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】第1実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】第1実施形態に係る自動二輪車の平面図である。
【図3】第1実施形態に係る自動二輪車の正面図である。
【図4】第1実施形態に係る車輪懸架装置及び車体フレーム(一部)の左側面図である。
【図5】第1実施形態に係る車輪懸架装置の平面図及び正面図である。
【図6】第1実施形態に係る車輪懸架装置及び車体フレームの一部の左側面図である。
【図7】第1実施形態に係る車輪懸架装置の車体フレームの一部の分解平面図である。
【図8】第1実施形態の変更例に係る車輪懸架装置の左側面図である。
【図9】第1実施形態の変更例に係る車輪懸架装置の左側面図である。
【図10】第1実施形態の変更例に係る車輪懸架装置の左側面図である。
【図11】第1実施形態の変更例に係る車輪懸架装置の平面図及び正面図である。
【図12】第1実施形態の変更例に係る車輪懸架装置の平面図及び正面図である。
【図13】第1実施形態の変更例に係る自動二輪車の左側面図である。
【図14】第1実施形態の変更例に係る自動二輪車の平面図である。
【図15】第1実施形態の変更例に係る自動二輪車の正面図である。
【図16】第2実施形態に係る自動二輪車の右側面図である。
【図17】第2実施形態に係る自動二輪車の一部拡大平面図である。
【図18】第2実施形態に係る車輪懸架装置及び車体フレーム(一部)の右側面図である。
【図19】第3実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図20】第3実施形態に係る車輪懸架装置の正面図である。
【図21】第3実施形態に係るヘッドパイプ及びヘッドパイプ周辺の一部拡大側面図である。
【図22】第3実施形態の変更例に係るヘッドパイプ及びヘッドパイプ周辺の一部拡大側面図である。
【図23】第3実施形態の変更例に係るヘッドパイプ及びヘッドパイプ周辺の一部拡大側面図である。
【図24】第3実施形態の変更例に係るヘッドパイプ及びヘッドパイプ周辺の一部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0151】
10,10A,10B…自動二輪車、20…車体フレーム、20a…パイプ孔、20hp,20hpa〜20hpd…ヘッドパイプ、20b,20c,20d,20e…係止部、20be…下端部、20i…内壁、20te…上端部、21A,21B…ボールベアリング、22A〜22F…ニードルベアリング、22Ae…上端、22Be…下端、22n…ニードル、23…滑り軸受、24…ボールベアリング、25…カラー、31…ハンドル、32,32A,32D…トップブリッジ、32b…ステアリングシャフト孔、32c…補強シャフト孔、33,33A,33B…ステアリングシャフト、33e,33Ae…上端部、33f…下端部、33n…ナット、34,34A〜34F…補強シャフト、34e…上端部、34n…ナット、35,36…補強ブラケット、39,39A〜39D…アンダーブラケット、40L,40R,41L,41R,42L,42R…フロントフォーク、40e…上端部、40in…インナーチューブ、40out…アウターチューブ、42La,42Ra…上端部、50…前輪、60…エンジン、61,61A…ラジエタ、62L,62R…リザーブタンク、70…後輪、100…自動二輪車、120…車体フレーム、120hp…ヘッドパイプ、131…ハンドル、132…トップブリッジ、133…ステアリングシャフト、134…補強シャフト、137…ハンドルブラケット、139…アンダーブラケット、140R…フロントフォーク、140e…上端部、150…前輪、160…エンジン、160a…シリンダヘッド、165…燃料タンク、165e…前端部、170…後輪、180…シート、180e…前端部、190…ヘッドライト、191…取付ステー、195…メーターパネル、CL1…ヘッドパイプ上下方向中心線、CL2…ニードルベアリング上下方向中心線、FS1〜FS6,FS10,FS100…前輪懸架装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車輪を回転可能に支持する左右一対のフォークと、
左右一対の前記フォークを連結する橋梁部と、
前記橋梁部から立設されるステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトが挿通され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持するヘッドパイプと
を備える鞍乗型車両であって、
前記ヘッドパイプの上端部に配設され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持する上部摺動部と、
前記ヘッドパイプの下端部に配設され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持する下部摺動部と、
前記上部摺動部と下部摺動部との間に配設され、前記ステアリングシャフトを回動可能に支持する中間摺動部と
を備える鞍乗型車両。
【請求項2】
前記橋梁部は、左右一対の前記フォークの上端部を連結する請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記中間摺動部は、前記ヘッドパイプの前記上部摺動部と前記下部摺動部との距離を等分するヘッドパイプ上下方向等分線よりも前記上部摺動部側に配設される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記中間摺動部の上端と下端との距離を等分する中間摺動部上下方向等分線は、前記ヘッドパイプ上下方向等分線よりも前記上部摺動部側に位置する請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記中間摺動部は、ボールベアリングであり、
前記ボールベアリングは、前記ヘッドパイプ上下方向等分線よりも前記上部摺動部側に配設される請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記中間摺動部は、前記ステアリングシャフトの外周部を支持するとともに、前記ヘッドパイプの内壁によって固定される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記ヘッドパイプは、前記中間摺動部を係止する係止部を備え、
前記係止部は、前記中間摺動部の下端部分と当接する請求項6に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記中間摺動部は、前記ステアリングシャフトに沿って上下方向に並んで配設される複数の摺動部材によって構成される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記中間摺動部は、複数のローラーが転がることによって摺動性を確保するローラー軸受によって構成される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記鞍乗型車両の側面視において、前記ステアリングシャフトの少なくとも前方または後方に配設される補強柱部をさらに備え、
前記補強柱部と、前記ステアリングシャフトとは、前記橋梁部によって連結される請求項1に記載の鞍乗型車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−246072(P2007−246072A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211173(P2006−211173)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】